JP3774833B2 - 流動床式焼却炉の焼却灰処理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業廃棄物等の焼却物の焼却処理に係り、流動層上に残留した焼却灰を処理する流動床式焼却炉の焼却灰処理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにおいては、産業廃棄物及び一般廃棄物等の焼却物を焼却炉の流動層で焼却処理を行った際、発生する焼却灰を炉外へ排出するため、焼却灰を飛灰化(粉化)させ、排ガスとともに搬送し、集塵装置で捕集を行い灰ホッパに貯留している。この従来技術は、流動層上で焼却灰を解砕し、飛灰化(粉化)させ、比重の軽い焼却灰を排ガスとともに搬送するものであるが、焼却灰の組成には、Sio2−Al2o3−fe2o3が多く含まれるため、粘土状に固まった焼却灰に対して、低公害化を計るため、流動化空気の流速を抑えると、飛灰化に時間がかかり、新たな焼却灰が発生して流動床上に残留し、排ガスとともに搬送することができないことがある。また、焼却灰の比重が流動層を形成する流動媒体(硅砂)に比べて3〜5倍軽いため、焼却炉の下部より排出することが難しい。流動層上に残留した焼却灰を炉外へ排出しないと、流動層の層高が上昇し流動不良が発生したり、保有熱の少ない焼却灰により流動層を高温に保つことができず自燃ができなくなる恐れがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにあっては、焼却灰の組成によっては、流動層上に比重の軽い焼却灰が飛灰化されずに残留し、排ガスとともに搬送することができない恐れがあり、流動床上に残留した焼却灰を炉外へ排出しないと、流動層の層高が上昇し流動不良を発生したり、保有熱の少ない焼却灰で流動層を高温に保つことができなくなる恐れがある。
【0004】
本発明の目的は、流動層上に残留した焼却灰を抜出し、冷却、破砕及び搬送して焼却炉の流動層へ戻すことにより、焼却灰を排ガスとともに排出して捕集し、流動層の層高及び温度の安定を図ることのできる流動床式焼却炉の焼却灰処理システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る流動床式焼却炉の焼却灰処理システムは、産業廃棄物を焼却する流動層と、流動層上で飛灰化した焼却灰を排ガスとともに捕集する集塵装置とを備えた流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにおいて、流動層上に残留した焼却灰をオーバーフローさせるように抜出しシュートを流動層上部側面に設け、抜出しシュートを経由して焼却灰を抜出すとともに冷却しかつ破砕して流動層へ戻す処理手段を具備した構成とする。
【0006】
そして焼却物を流動層で焼却し、流動層上で飛灰化した焼却灰を排ガスとともに排出して捕集する流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにおいて、流動層上に残留した比重の軽い焼却灰をオーバーフローさせて冷却しながら破砕し、その破砕した焼却灰を流動層へ戻す処理手段を具備した構成でもよい。
【0007】
また比重の軽い焼却灰は、流動層上部側面に設けた抜出しシュートを経由してオーバーフローされる構成でもよい。
【0008】
さらに処理手段は、オーバーフローさせた焼却灰を冷却しながら搬送する冷却搬送手段と、搬送された焼却灰を破砕する破砕手段と、破砕された焼却灰を流動層へ戻す搬送手段とよりなる構成でもよい。
【0009】
本発明によれば、流動層上部側面に抜出しシュートを設け、流動層上に残留した焼却灰をオーバーフローさせるため、流動層の層高が安定される。またオーバーフローした焼却灰を冷却しながら搬送する冷却搬送手段と、冷却しながら破砕する破砕手段とを組み合わせた機能を有する処理手段により、焼却灰を破砕して流動層へ戻すことにより、流動層上に残留した焼却灰も排ガスとともに排出されて処理される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1を参照しながら説明する。図1に示すように、焼却炉11内に投入された産業廃棄物及び一般廃棄物等を含む焼却物5を焼却する流動層4と、流動層4上で飛灰6化されかつダクト7を経て排ガスとともに排出された焼却灰10を捕集し廃棄するバグフィルタ8及び灰ホッパ9よりなる集塵装置とを備えた流動床式焼却炉の焼却灰処理システムであって、流動層4上に残留した比重の軽い焼却灰10をオーバーフローさせるように流動層4上の側面に抜出しシュート12を設け、抜出しシュート12を経由してオーバーフローさせた焼却灰10を冷却しかつ破砕して流動層4へ戻す処理手段(焼却灰処理装置)13を具備し、焼却炉11に流動層4の上方に戻し管23を設けた構成とする。そして処理手段13は、オーバーフローさせて抜出した焼却灰10を入口管22から導入し水冷ジャケット16により冷却しながら搬送する冷却搬送手段(スクリューフィーダ)15と、搬送された焼却灰10を水冷ジャケット18により冷却しながら破砕する破砕手段(ボールミル)17と、破砕された焼却灰10を焼却炉戻りシュート19を経て流動層4へ戻す搬送手段(砂循環エレベータ)14とよりなるものとする。
【0011】
すなわち流動ブロア1より供給された流動化空気を散気管2より流動媒体3に吐出して流動媒体3を撹拌し、流動層4が形成される。形成された流動層4に焼却物5が投入され、流動層4で燃焼され飛灰化される。飛灰化された飛灰6は流動層4で解砕されて粉化され、飛灰6は排ガスとともにダクト7を通りバグフィルタ8で捕集され、灰ホッパ9に貯留されたのち廃棄される。また粉化されず比重の軽い焼却灰10は、流動層4の上に残留するため、一例として焼却炉11内の流動層4の上部側面に抜出しシュート12を設け、オーバーフローされた焼却灰10は、焼却灰処理装置13に供給される。そして冷却、破砕及び搬送されて、燃焼炉戻りシュート19を経て現有技術である砂循環エレベータ14で上方へ搬送され、焼却炉11の戻り管23を経て流動層4へ戻される。
【0012】
図2は、スクリューフィーダ及びボールミルを一体化した構造を示す。抜出しシュート12より抜出された焼却灰10は、焼却灰処理装置13が持つスクリューフィーダ15で搬送され、水冷ジャケット16で約500℃に冷却される。そしてスクリューフィーダ15で搬送された焼却灰10は、水冷ジャケット18で約350℃まで冷却されながらボールミル17で破砕されかつ搬送される。焼却灰処理装置13のスクリューフィーダ15及びボールミル17で冷却、破砕及び搬送された焼却灰10は、焼却炉戻りシュート19を通り、砂循環エレベータ14により焼却炉11の流動層4へ搬送される。焼却炉11に搬送された焼却灰10は、破砕され粉化されるため、飛灰6とともに排ガスにより搬送され、ダクト7を通りバグフィルタ8で捕集され灰ホッパ9に貯留されたのち廃棄される。
【0013】
次に本実施例の動作を説明する。流動層上部側面に抜出しシュートを設け、流動層上に残留した焼却灰をオーバーフローさせるため、流動層の層高が安定される。またオーバーフローした焼却灰を冷却しながら搬送する水冷ジャケット式スクリューフィーダと、冷却しながら破砕する水冷ジャケット式ボールミルとを組み合わせた機能を有する焼却灰処理装置の設置を行い、焼却灰を破砕して焼却炉へ戻すことにより、排ガスとともに炉外に排出され、処理することが可能となる。また現有技術である不燃物搬送装置及び集塵装置を共用することで過大な設備の追設もなくコンパクトなシステムとなる。なおオーバーフロー面を流動層上部側面と定めることにより、比重の重い流動媒体や不燃物等は従来と同様に炉底より抜出しを行い、比重が軽く流動層に残留する焼却灰は、流動層上部側面よりオーバーフローさせることができる。
【0014】
本システムは、流動層上に残留する焼却灰を比重により分別し、比重の軽い焼却灰を流動層上部側面よりオーバーフローさせ、流動層のレベルを一定にするものである。抜出された焼却灰を、焼却灰処理装置に通すことにより、焼却灰処理装置の有する水冷ジャケット式スクリューフィーダにより焼却灰の温度を約500℃まで下げながら搬送し、排出先に設けた水冷ジャケット式ボールミルで焼却灰を約350℃まで冷却しながら破砕を行う。破砕された焼却灰は、不燃物搬送装置を通して炉内に戻すことにより、搬送装置の追設を行うことはない。焼却灰処理装置により破砕され、炉内の流動層へ戻った焼却灰は、粉化されるため、排ガスとともに炉外に排出される。また一回のオーバーフローで破砕されず、固形化したまま戻った焼却灰も、2度3度とオーバーフローすることにより粉化がなされる。搬送された焼却灰は従来技術である集塵装置により捕集される。従って炉内に残留した焼却灰を炉外へ排出することが可能となる。また現有技術である不燃物搬送装置及び集塵装置を共用することにより、システムの拡張を最小限に留めることができる。また比重の重い流動媒体や不燃物は、炉底より排出を行うが、流動層上部側面にオーバーフローするための抜出しシュートを設けているため、若干の可燃物や不燃物を同時に抜出すこともあるが、不燃物搬送装置を通し、焼却炉へ戻すことができるので、厳格な分別を行う必要がなくなる。
【0015】
本発明の他の実施例を図3に示す。本実施例は、冷却搬送装置(冷却搬送手段)20と破砕機(破砕手段)21とを追設し、冷却、破砕及び輸送を行い、砂循環エレベータ(搬送手段)14により搬送し、戻し管23を経て焼却炉11内に戻すことで流動層4に残留する焼却灰10を処理することができる。本実施例によれば、スクリューフィーダとボールミルとを分離したため、水冷及び破砕の方式を焼却灰の組成に応じて任意に選定できるとともに構造が簡単になる。しかしシステムの拡張を行う必要があるが、前記と同様な効果を得ることができる。
【0016】
本発明によれば、抜出しシュートより流動層上に残留する焼却灰を炉外に排出することにより、流動層の層高が上昇し、流動化不良の発生を防ぐことが可能となり、保有熱の低い焼却灰による流動層温度の低下が防げるため、自燃が行える。また現有設備を共用することで大巾な設備拡大を防ぐことができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、流動層上に残留した焼却灰を炉外にオーバーフローさせ、現有設備を用いて冷却しながら破砕して流動層に戻すため、流動層の層高の上昇が抑制されて流動化状態が良くなり、焼却灰による温度低下が防止される。また現有設備を共用することにより設備の拡大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】図1の焼却灰処理装置を示す図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
4 流動層
5 焼却物
6 飛灰
8 バグフィルタ
9 灰ホッパ
10 焼却灰
11 焼却炉
12 抜出しシュート
13 焼却灰処理装置
14 砂循環エレベータ
15 スクリューフィーダ
16,18 水冷ジャケット
19 焼却炉戻りシュート
Claims (5)
- 産業廃棄物を焼却する流動層と、該流動層上で飛灰化した焼却灰を排ガスとともに捕集する集塵装置とを備えた流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにおいて、前記流動層上に残留した前記焼却灰をオーバーフローさせるように抜出しシュートを流動層上部側面に設け、該抜出しシュートを経由して前記焼却灰を抜出すとともに冷却しかつ破砕して前記流動層へ戻す処理手段を具備したことを特徴とする流動床式焼却炉の焼却灰処理システム。
- 焼却物を流動層で焼却し、該流動層上で飛灰化した焼却灰を排ガスとともに排出して捕集する流動床式焼却炉の焼却灰処理システムにおいて、前記流動層上に残留した比重の軽い焼却灰をオーバーフローさせて冷却しながら破砕し、その破砕した焼却灰を前記流動層へ戻す処理手段を具備したことを特徴とする流動床式焼却炉の焼却灰処理システム。
- 比重の軽い焼却灰は、流動層上部側面に設けた抜出しシュートを経由してオーバーフローされることを特徴とする請求項2記載の流動床式焼却炉の焼却灰処理システム。
- 処理手段は、オーバーフローさせた焼却灰を冷却しながら搬送する冷却搬送手段と、搬送された焼却灰を破砕する破砕手段と、破砕された焼却灰を流動層へ戻す搬送手段とよりなることを特徴とする請求項1又は2記載の流動床式焼却炉の焼却灰処理システム。
- 前記流動層上からのオーバーフローさせた焼却灰と、前記流動層の下部から排出した焼却灰とを前記流動層に戻すことを特徴とする請求項1又は2記載の流動床焼却炉の焼却灰処理システム。
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JP11611296A JP3774833B2 (ja) | 1996-05-10 | 1996-05-10 | 流動床式焼却炉の焼却灰処理システム |
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Publications (2)
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JPH09303738A JPH09303738A (ja) | 1997-11-28 |
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JP2020148437A (ja) * | 2019-03-15 | 2020-09-17 | 荏原環境プラント株式会社 | 焼却灰排出装置、焼却灰排出方法 |
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