JP3773720B2 - 3次元運動復元装置、3次元運動復元方法および記録媒体 - Google Patents

3次元運動復元装置、3次元運動復元方法および記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばビデオカメラにより対象物体を撮像し、その画像から対象物体の3次元運動を復元するための3次元運動復元装置、3次元運動復元方法および記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図18は、例えば「弱中心射影画像からオイラー角を利用したモーション復元の線形アルゴリズム」(杉本典子、徐剛著、電子情報通信学会論文誌D−II、Vol.J81−D−II、No.4、第681頁〜第688頁、平成10年4月)に記載の従来の3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
図において、201は対象物体を撮像するビデオカメラであり、202はビデオカメラ201で撮像された少なくとも3つの画像を入力する画像入力装置であり、203は画像入力装置202からの3つの画像のうちの各2つの画像の組から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうち2つの回転角をそれぞれ計算するパラメタ計算装置であり、204はパラメタ計算装置203により計算された複数組の2つの回転角から残りの1つの回転角を計算して対象物体の回転運動を認識する回転運動認識装置である。
【0004】
次に動作について説明する。
図19および図20は従来の3次元運動復元装置の動作を説明する図である。
まずビデオカメラ201は対象物体を撮像し、画像入力装置202は、撮像された画像のうち、3つの画像(第1の画像、第2の画像および第3の画像)をパラメタ計算装置203に順次供給する。
【0005】
例えば図19においては、211〜213がビデオカメラ201により撮像された対象物体の第1〜第3の画像であり、221、224および227が第1〜第3の画像211,212,213における対象物体の画像であり、222、225および228が第1〜第3の画像211,212,213における対象物体の特徴点であり、223が特徴点228から特徴点222への画像上の移動ベクトルであり、226が特徴点222から特徴点225への画像上の移動ベクトルであり、229が特徴点225から特徴点228への画像上の移動ベクトルである。
【0006】
そしてパラメタ計算装置203は、図19に示すように、第1の画像211と第2の画像212、第2の画像212と第3の画像213、並びに第3の画像213と第1の画像211の各組から、それらの画像の撮像間の対象物体の3次元回転運動を表すオイラーの角と呼ばれる3つの回転角のうちの2つの回転角をそれぞれ計算する。なお、オイラーの角とは、3次元の回転を、z軸のまわりの回転γ、y軸のまわりの回転β、およびx軸のまわりの回転αに分解して表現したときの(α,β,γ)の組のことをいう。
【0007】
このときパラメタ計算装置203は、各画像における複数の特徴点をそれぞれ検出し、各画像間でそれら特徴点222,225,228を対応づけて各特徴点の移動ベクトル223,226,229を計算する。そして当該画像を弱中心射影と仮定して、そのエピポーラ方程式に基づいて、この移動ベクトルからオイラーの角のうちの(α,γ)を計算する。
【0008】
すなわち、第1の画像211と第2の画像212の撮像間の3次元回転運動を表すオイラーの角を(α12,β12,γ12)とし、第2の画像212と第3の画像213の撮像間の3次元回転運動を表すオイラーの角を(α23,β23,γ23)とし、第3の画像213と第1の画像211の撮像間の3次元回転運動を表すオイラーの角を(α31,β31,γ31)とすると、パラメタ計算装置203は、第1の画像211と第2の画像212から(α12,γ12)を計算し、第2の画像212と第3の画像213から(α23,γ23)を計算し、第3の画像213と第1の画像211から(α31,γ31)を計算する。
【0009】
次に回転認識装置204は、これらの2つの回転角の組(α12,γ12),(α23,γ23),(α31,γ31)から、例えば第1の画像211第2の画像212との撮像間の3次元回転運動を表すオイラーの角の残りの角(成分)β12を計算して、対象物体5の3次元回転運動、すなわちオイラーの角(α12,β12,γ12)を復元する。この際ネッカーリバーサル(Necker Reversal)なる現象が生じ、絶対値が同一で符号が逆である2つのβ12が解として得られ、図20に示すように異なる2つの回転運動が復元される。すなわち、図20においては、205は対象物体であり、206は対象物体205上の特徴点であり、第1の解として図20(a)に示すように、第1の回転軸に対して第1の回転方向の回転角β12が得られ、第2の解として図20(b)に示すように、第2の回転軸に対して第2の回転方向の回転角β12が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の3次元運動復元装置は以上のように構成されているので、ネッカーリバーサルにより回転角βについて2つの解が得られるため、対象物体の回転運動を正しく一意に復元することが困難であるなどの課題があった。
【0011】
また、従来の3次元運動復元装置では時間の経過とともに撮像された3枚の画像間で特徴点の対応づけを行うため、第1の画像と第3の画像の撮像間の時間経過が大きくなり対象物体の回転運動による視差も大きくなると、第1の画像と第3の画像の両方に撮像される特徴点が少なくなり、回転運動の復元結果が不正確になる可能性があるという課題があった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、2方向から撮像されたそれぞれ2枚の対象物体の画像からオイラーの角を計算して3次元回転運動を復元するようにして、3次元回転運動を正確にかつ一意に復元するための3次元運動復元装置、3次元運動復元方法および記録媒体を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る3次元運動復元装置は、所定の第1の方向から対象物体を撮像する第1の撮像手段と、第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、第2の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する回転角計算手段と、回転角計算手段によりそれぞれ計算された2組の2つの回転角から、3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動復元手段とを備えるものである。
【0014】
この発明に係る3次元運動復元装置は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、また、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するようにしたものである。
【0015】
この発明に係る3次元運動復元装置は、第1の撮像手段により撮像された画像における対象物体の位置を特定するとともに、第2の撮像手段により撮像された画像における対象物体の位置を特定する位置特定手段と、位置特定手段によりそれぞれ特定された画像における対象物体の位置から、実空間における対象物体の3次元位置を特定する3次元位置特定手段と、3次元位置特定手段により特定された運動前および運動後の対象物体の3次元位置から対象物体の並進運動による移動量を計算して、対象物体の並進運動を復元する並進運動復元手段とを備えるものである。
【0016】
この発明に係る3次元運動復元装置は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、また、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、それらの画像における対象物体の位置、第1および第2の撮像手段の位置、並びに第1および第2の撮像手段の第1および第2の方向から、三角測量の原理に基づいて対象物体の3次元位置を計算するようにしたものである。
【0017】
この発明に係る3次元運動復元装置は、所定の第1の方向から対象物体を撮像する第1の撮像手段と、第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第1の計算手段と、第2の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第2の計算手段と、第1の計算手段により計算された2つの回転角および第2の計算手段により計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動復元手段とを備えるものである。
【0018】
この発明に係る3次元運動復元装置は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するようにしたものである。
【0019】
この発明に係る3次元運動復元装置は、第1の撮像手段の第1の方向と第2の撮像手段の第2の方向とのなす角度を90度にしたものである。
【0020】
この発明に係る3次元運動復元方法は、所定の第1の方向から対象物体を撮像するステップと、第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像するステップと、第1の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップと、第2の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップと、第1の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角および第2の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元するステップとを備えるものである。
【0021】
この発明に係る記録媒体は、コンピュータに、所定の第1の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップ、第1の方向とは異なる第2の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップ、第1の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角および第2の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元するステップを実行させるためのプログラムを記録したものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。図において、1は所定の第1の方向から対象物体を撮像するビデオカメラ(第1の撮像手段)であり、2は第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像するビデオカメラ(第2の撮像手段)である。3はビデオカメラ1,2から運動前および運動後の対象物体の画像を順次入力する画像入力装置である。
【0023】
4はビデオカメラ1により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、また、ビデオカメラ2により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するパラメタ計算装置(回転角計算手段)である。
【0024】
5はビデオカメラ1,2により撮像された画像に基づきパラメタ計算装置4によりそれぞれ計算された2組の2つの回転角から、3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動認識装置(回転運動復元手段)である。
【0025】
この実施の形態1による3次元運動復元装置は、ビデオカメラ1とビデオカメラ2を併用し、対象物体を角度φだけ異なる方向から撮像して、対象物体の運動を正確に復元する。そして以下のように測定系を設定する。
【0026】
図2はビデオカメラ1による測定系の一例を示す図であり、図3はビデオカメラ2による測定系の一例を示す図であり、図4は対象物体、その特徴点、およびビデオカメラにより撮像される画像の関係の一例を示す図である。図において、21はビデオカメラ1の光軸およびビデオカメラ2の光軸を含む平面であり、22および23はビデオカメラ1,2によりそれぞれ撮像される画像の平面であり、31は運動の復元の対象となる対象物体であり、32は対象物体31の特徴点である。
【0027】
図2に示すようにビデオカメラ1による測定系では、ビデオカメラ1とビデオカメラ2は、その位置および光軸が同一平面21内に含まれるように配置される。さらにビデオカメラ2の光軸をビデオカメラ1の光軸から平面21上で角度φだけ回転させた方向とし、光軸の交点O付近に対象物体31が存在するものとする。そして、ビデオカメラ1に関する座標系Ω(x,y,z)は、交点Oを原点とし、y軸の方向を平面21に垂直な方向に、z軸をビデオカメラ1の光軸の方向に、残りのx軸を右手系として設定する。
【0028】
また、図3に示すようにビデオカメラ2による測定系では、ビデオカメラ2に関する座標系Ω(x,y,z)は、交点Oを原点とし、y軸の方向を平面21に垂直な方向に、z軸をビデオカメラ2の光軸の方向に、残りのx軸を右手系として設定する。したがって座標系Ωから座標系Ωへの座標変換は、y軸を回転軸とする角度(−φ)の回転変換となる。
【0029】
そして座標系Ωでの対象物体の回転運動を表す行列Rは、オイラーの角と呼ばれる3つの角度パラメタ、すなわち3つの回転角(α,β,γ)を用いて式(1)に示すように表現される。
【数1】
Figure 0003773720
【0030】
また座標系Ωにおいても同様に同一の対象物体の回転運動を表す行列Rが、オイラー角(α,β,γ)を用いて表現される。この(α,β,γ)と(α,β,γ)との関係は、座標系Ωから座標系Ωへの座標変換をTとすると、式(2)に示すように表現される。
【数2】
Figure 0003773720
【0031】
さらに、ビデオカメラ1とビデオカメラ2により時刻tにおいて撮像される画像を、それぞれI(X,Y)とJ(X,Y)で表し、図4に示すように、画像の平面22,23において、それぞれのY軸はy軸に平行に、X軸は平面21に平行に、かつ光軸に垂直になるようにする。そして画像のサイズをともにN×Nとし、光軸との交点を(N/2,N/2)とする。
【0032】
次に動作について説明する。
図5は、この発明の実施の形態1による3次元運動復元装置の動作について説明するフローチャートであり、図6は3次元運動復元装置による処理を説明する図であり、図7は特徴点の移動距離Lを示す図である。
【0033】
まずビデオカメラ1とビデオカメラ2は第1の方向および第2の方向から対象物体をそれぞれ撮像する。すなわち、ビデオカメラ1の光軸の方向が第1の方向になり、ビデオカメラ2の光軸の方向が第2の方向になる。ここで対象物体は任意の物体でかまわない。全体的な表面の様相が均質で特徴点の検出が困難な物体の場合、例えば色が顕著なマーカーを物体表面上に均等に複数個設置するようにすれば、そのマーカーが特徴点として検出される。
【0034】
そして画像入力装置3は、ステップST1において、図6に示すようにビデオカメラ1とビデオカメラ2からそれぞれ所定の同一の時刻tにおける画像I(X,Y),J(X,Y)を読み込んで記憶し、微小時間Δの経過後、ステップST2においてビデオカメラ1とビデオカメラ2からそれぞれ同一の時刻(t+Δ)における画像It+Δ(X,Y),Jt+Δ(X,Y)を読み込んで記憶する。すなわち、対象物体の同一の運動前後の画像がビデオカメラ1,2からそれぞれ読み込まれる。そして画像入力装置3は、これらの画像I(X,Y),J(X,Y),It+Δ(X,Y),Jt+Δ(X,Y)をパラメタ計算装置4に供給する。
【0035】
そしてパラメタ計算装置4は、ステップST3において、画像I(X,Y)から対象物体38上のn個の特徴点(X,Y)(i=1,・・・,n)を検出し、ステップST4において、画像It+Δ(X,Y)から対象物体38上のn個の特徴点(X ,Y )を検出する。例えば画素の輝度や色、あるいはその変化量が所定のしきい値より大きい点を特徴点として検出する。
【0036】
次にステップST5において、パラメタ計算装置4は、画像I(X,Y)における特徴点(X,Y)(図6における特徴点39)と、画像It+Δ(X,Y)における同一の特徴点(X ,Y )(図6における特徴点40)との対応づけを行う。この際、例えばパラメタ計算装置4は、画像I(X,Y)から画像It+Δ(X,Y)への経過時間Δが短い場合、特徴点(X ,Y )は特徴点(X,Y)の近傍に存在すると考えられるので、図7に示すように、各特徴点(X,Y)(m=1,・・・,n)について、式(3)に従って計算される距離Lが最小の特徴点(X ,Y )が特徴点(X,Y)に対応づけられる。
【数3】
Figure 0003773720
【0037】
この処理をすべての特徴点(X,Y)に対して実行することにより、すべての特徴点が対応づけられる。ただし、対応づけられた特徴点の間の距離Lが所定のしきい値を超える場合は、対応づけが誤っていると判断し、画像It+Δ(X,Y)においてその特徴点(X,Y)に対応する特徴点が検出されなかったとして、その特徴点(X,Y)を削除するとともに特徴点(X,Y)を配列し直し、nを1だけ減らす。また、選択された特徴点(X ,Y )が既に他の特徴点(X,Y)に対応づけられている場合は、距離Lの短い方を優先して対応づける。以下、第i番目の特徴点(X,Y)に対応づけられた画像It+Δ(X,Y)の特徴点を改めて(X ,Y )と表現する。
【0038】
次にステップST6において、パラメタ計算装置4は、特徴点(X,Y)と特徴点(X ,Y )から、オイラーの角の2成分である2つの回転角(α,γ)を計算する。
【0039】
このとき、画像I(X,Y)においてn個の特徴点(X,Y)(i=1,2,..,n)が検出され、それが画像It+Δ(X,Y)における(X ,Y )に移動した場合、各画像を弱中心射影画像とすると、エピポーラ方程式から、式(4)の関係が得られる。
【数4】
Figure 0003773720
【0040】
そして式(4)を満たす最小の固有値Gに対する固有ベクトルsから、式(5)に従って(α,γ)の組が計算される。
【数5】
Figure 0003773720
【0041】
なお、ここではsinαの符号と−sの符号が一致し、かつ、cosαの符号とsの符号が一致するようにαを選択し、sinγの符号と−sの符号が一致し、cosγの符号と−sの符号が一致するようにγを選択する。(α,γ)に関しては、(α±π,γ±π)なる解がもう一組存在するが、例えば「3次元ビジョン」(徐剛,辻三郎著、2章、共立出版発行、平成10年)に記載されているように、オイラーの角はαを−π/2<α≦π/2に制限することで表現は唯一となるため、この条件を満たす(α,γ)を選択する。なお下記の(α,γ)についても同様である。
【0042】
そしてパラメタ計算装置4は、ステップST7においてステップST3と同様にして画像J(X,Y)からn個の特徴点(X,Y)を検出し、ステップST8においてステップST4と同様にして画像Jt+Δ(X,Y)から特徴点(X ,Y )を検出し、ステップST9においてステップST5と同様にして特徴点(X,Y)と特徴点(X ,Y )との対応づけを行う。さらにステップST10においてステップST6と同様にして、パラメタ計算装置4は、特徴点(X,Y)と特徴点(X ,Y )から、式(4),(5)に従ってオイラーの角の2成分(α,γ)を計算する。
【0043】
すなわち、図6に示すようにパラメタ計算装置4は、同一の対象物体の同一の回転運動について2つの回転角の組(α,γ),(α,γ)を計算し、回転運動認識装置5に供給する。
【0044】
次にステップST11において、回転運動認識装置5は、(α,β,γ)と(α,β,γ)との関係式である式(2)に従って、(α,γ)および(α,γ)から残りの未知数β,βを計算する。
【0045】
すなわち、行列Rの各要素をrij、行列Rの各要素をr’ijとして式(2)を展開すると、行列の各要素について式(6)の関係が得られる。
【数6】
Figure 0003773720
【0046】
これらの式は未知数sinβ,cosβ,sinβ,cosβに関する一次の線形方程式となり、式(7)に示すようになる。
【数7】
Figure 0003773720
【0047】
これを一般化逆行列を用いて、あるいは、展開して得られる式を連立させて解くことにより、sinβ、cosβ、sinβおよびcosβが、α、γ、αおよびγの式として表現される。これによりsinβとcosβからβが一意に特定される。
【0048】
このとき特にφを90度に設定した場合は、式(7)は、式(8)に示すようになる。また、式(8)中の第4と第7の等式および第2と第3の等式においてsinβを消去すると、式(9)に示すようになる。
【数8】
Figure 0003773720
【数9】
Figure 0003773720
【0049】
さらに式(9)を変形すると式(10)になる。この式(10)を満たすβは−π<β≦πの範囲で一意に定められる。
【数10】
Figure 0003773720
【0050】
したがって回転運動認識装置5は、式(10)に従ってα、α、γおよびγからsinβおよびcosβを計算し、βを計算する。これにより、オイラー角(α,β,γ)が特定され、対象物体の回転運動Rが復元される。
【0051】
以上のように、この実施の形態1によれば、所定の第1の方向および第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体をそれぞれ撮像し、第1の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、第2の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、それらの2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算するようにしたので、対象物体の回転運動を正確にかつ一意に復元することができるという効果が得られる。
【0052】
また、この実施の形態1によれば、特徴点の対応づけは連続する2つの画像間でのみ行うため、回転運動を正確に復元することができるという効果が得られる。
【0053】
さらに、この実施の形態1によれば、ビデオカメラ1により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて2つの回転角α,γを計算し、ビデオカメラ2により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて2つの回転角α,γを計算するようにしたので、簡単な演算で2つの回転角を計算することができるという効果が得られる。
【0054】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。図において、11はビデオカメラ1により撮像された画像における対象物体の位置を特定するとともに、ビデオカメラ2により撮像された画像における対象物体の位置を特定する位置特定装置(位置特定手段)であり、12は位置特定装置11によりそれぞれ特定された画像における対象物体の位置から、実空間における対象物体の3次元位置を特定する位置認識装置(3次元位置特定手段)であり、13は位置認識装置12により特定された運動前および運動後の対象物体の3次元位置から対象物体の並進運動による移動量を計算して、対象物体の並進運動を復元する並進運動認識装置(並進運動復元手段)であり、14は回転運動認識装置5により復元された3次元回転運動と並進運動認識装置13により復元された3次元並進運動とを統合して対象物体の3次元運動を復元する3次元運動統合装置である。
【0055】
なお、図8におけるその他の構成要素については実施の形態1によるもの(図1)と同様であるのでその説明を省略する。
【0056】
図9はビデオカメラ1による測定系の一例を示す図である。図において、51はビデオカメラ1による撮像位置(0,0,Z)であり、52はビデオカメラ2による撮像位置(Z,0,0)であり、fはビデオカメラ1,2の焦点距離である。なお、その他については図2に示すものと同様であるのでその説明を省略する。また、説明を簡略にするために、ビデオカメラ1の光軸とビデオカメラ2の光軸とのなす角φは90度とする。
【0057】
次に動作について説明する。
図10はこの発明の実施の形態2による3次元復元装置の動作を説明するフローチャートである。図11および図12は対象物体の画像上の位置から3次元位置を導出する処理を説明する図であり、図13は並進運動ベクトルの一例を示す図である。
【0058】
実施の形態2による3次元復元装置は、まず、ステップST1〜ステップST11において実施の形態1による3次元復元装置と同様にして対象物体の回転運動を復元し、回転運動認識装置5から3次元運動統合装置14へオイラー角(α,β,γ)が供給される。なお、画像入力装置3は、取り込んだ画像I(X,Y),J(X,Y),It+Δ(X,Y),Jt+Δ(X,Y)をパラメタ計算装置4に供給するとともに、位置特定装置11にも供給する。
【0059】
そしてステップST21において、位置特定装置11は、画像I(X,Y)における特徴点の重心(X,Y)を式(11)に従って計算する。
【数11】
Figure 0003773720
【0060】
ステップST22において、位置特定装置11は、画像J(X,Y)における特徴点の重心(X,Y)を同様に計算する。
【0061】
次にステップST23において、位置認識装置12は、重心(X,Y)と重心(X,Y)から、三角測量の原理に基づいて対象物体の3次元位置を計算する。
【0062】
すなわち、図11に示すように、撮像位置51,52および画像上の重心(X,Y),(X,Y)をそれぞれ通過する2直線の交点55を対象物体の3次元位置とする。ただし、一般的にはこれらの2直線は交点55を有さないので、その場合、図12に示すように、2直線が互いに最も近接する点56,57を結ぶ線分の中点58を対象物体31の3次元位置とする。
【0063】
座標系Ωにおいて、上記2直線の方程式は次のようになる。
まず、画像上の重心(X,Y)の、座標系Ωでの座標が(X−N/2,Y−N/2 ,Z−f)であるから、ビデオカメラ1の撮像位置51と重心(X,Y)を通過する直線は、実数kを用いて式(12)に示すようにベクトル表現することができる。
【数12】
Figure 0003773720
ここで、qは当該直線上の一点を表す位置ベクトルであり、eは当該直線の方向単位ベクトルである。
【0064】
また、画像上の重心(X,Y)の、座標系Ωでの座標が(Z−f,Y−N/2,−(X−N/2))であるから、ビデオカメラ2の撮像位置52と重心(X,Y)を通過する直線は、実数hを用いて式(13)に示すようにベクトル表現することができる。
【数13】
Figure 0003773720
ここで、qは当該直線上の一点を表す位置ベクトルであり、eは当該直線の方向単位ベクトルである。
【0065】
これらの交点55、または最も近接する点を結ぶ線分の中点58は、例えば以下のように計算される。
【0066】
各直線上の点q,qの間の距離の二乗λを(q−qとし、λをkで偏微分した値が0になるk(=k)を求めると、式(14)に示すようになる。
【数14】
Figure 0003773720
【0067】
ここでベクトルe ,e の肩文字Tは転置を意味している。さらにλにおけるkにkを代入したλをhで微分した値が0になるh(=h)を求めると、最も近接する点を与えるkおよびhは、式(15)に示すようになる。
【数15】
Figure 0003773720
【0068】
最も近接する点56と点57の位置ベクトルをq およびq とすると、kとhを式(12)および式(13)にそれぞれ代入することで位置ベクトルq ,q が得られる。交点55が存在する場合にはq =q となる。一方、交点55が存在しない場合には、中点58の位置ベクトルqは、式(16)に示すようになる。
【数16】
Figure 0003773720
【0069】
したがって、位置認識装置12は、2直線の交点が存在する場合には、その交点55(=q1 =q )を対象物体31の運動前の3次元位置(x,y,z)とし、2直線の交点が存在する場合には、上記中点58を対象物体31の運動前の3次元位置(x,y,z)とする。
【0070】
そして、位置特定装置11は、ステップST24においてステップST21と同様にして画像It+Δ(X,Y)における特徴点の重心を計算し、ステップST25においてステップST22と同様にして画像Jt+Δ(X,Y)における特徴点の重心を計算する。
【0071】
さらに位置認識装置12は、ステップST26においてステップST23と同様にして、各画像上の重心から三角測量の原理に基づいて対象物体31の運動後の3次元位置(x,y,z)を計算する。そして位置認識装置12は、計算した対象物体の運動前および運動後の3次元位置(x,y,z),(x,y,z)を並進運動認識装置13に供給する。
【0072】
ステップST27において、並進運動認識装置13は、図13に示すように、対象物体31の運動前の3次元位置(x,y,z)から対象物体31の運動後の3次元位置(x,y,z)へのベクトルを対象物体31の並進運動ベクトルS(=(x−x,y−y,z−z))とし、3次元運動統合装置14に供給する。
【0073】
そしてステップST28において、3次元運動統合装置14は、回転運動Rと並進運動Sによって対象物体31の3次元運動を復元する。これにより時刻tにおける対象物体上の点をa(t)とすれば、対象物体の運動は式(17)に示すように表現される。
【数17】
Figure 0003773720
【0074】
以上のように、この実施の形態2によれば、ビデオカメラ1,2によりそれぞれ撮像された画像における対象物体の位置を特定し、それぞれ特定された画像における対象物体の位置から実空間における対象物体の3次元位置を特定して対象物体の並進運動による移動量を計算するようにしたので、対象物体の回転運動とともに並進運動を復元することができるという効果が得られる。
【0075】
また、この実施の形態2によれば、ビデオカメラ1により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出してすべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、ビデオカメラ2により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出してすべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、それらの画像における対象物体の位置、ビデオカメラ1,2の位置、並びにビデオカメラ1,2の光軸の方向から、三角測量の原理に基づいて対象物体の3次元位置を計算するようにしたので、対象物体の3次元位置を簡単に計算することができるという効果が得られる。
【0076】
実施の形態3.
図14は、この発明の実施の形態3による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。図において、1は所定の第1の方向から対象物体を撮像するビデオカメラであり、2は第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像するビデオカメラである。101−1はビデオカメラ1から運動前および運動後の対象物体の画像を順次入力する第1の画像入力装置であり、101−2はビデオカメラ2から運動前および運動後の対象物体の画像を順次入力する第2の画像入力装置である。
【0077】
102−1はビデオカメラ1により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第1のパラメタ計算装置(第1の計算手段)であり、102−2はビデオカメラ2により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第2のパラメタ計算装置(第2の計算手段)である。
【0078】
103は第1のパラメタ計算装置102−1により計算された2つの回転角および第2のパラメタ計算装置102−2により計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動認識装置(回転運動復元手段)である。
【0079】
次に動作について説明する。
図15は、この発明の実施の形態3による3次元運動復元装置の動作を説明するフローチャートである。
【0080】
この実施の形態3による3次元運動復元装置は、実施の形態1における画像入力装置およびパラメタ計算装置をビデオカメラ毎に設け、回転角(α,γ)の計算と回転角(α,γ)の計算とを並列に実行する。
【0081】
ステップST31において第1の画像入力装置101−1は、ビデオカメラ1から画像I(X,Y)を読み込んで記憶し、それに同期して、ステップST41において第2の画像入力装置101−2は、ビデオカメラ2から画像J(X,Y)を読み込んで記憶する。
【0082】
次にその微小時間Δの経過後、ステップST32において第1の画像入力装置101−1は、ビデオカメラ1から画像It+Δ(X,Y)を読み込んで記憶し、ステップST42において第2の画像入力装置101−2は、ビデオカメラ2から画像Jt+Δ(X,Y)を読み込んで記憶する。そして第1の画像入力装置101−1は画像I(X,Y),It+Δ(X,Y)を第1のパラメタ計算装置102−1に供給し、第2の画像入力装置101−2は画像J(X,Y),Jt+Δ(X,Y)を第2のパラメタ計算装置102−2に供給する。
【0083】
そしてステップST33〜ステップST36において、第1のパラメタ計算装置102−1は、実施の形態1におけるパラメタ計算装置4と同様にして、対象物体の運動前および運動後の画像I(X,Y),It+Δ(X,Y)から、式(4),(5)に従ってオイラーの角の3成分である回転角のうちの2つの回転角α,γを計算し、回転運動認識装置103に供給する。
【0084】
またステップST43〜ステップST46において、第2のパラメタ計算装置102−2は、第1のパラメタ計算装置102−1の動作と並行して、実施の形態1におけるパラメタ計算装置4と同様にして、対象物体の運動前および運動後の画像J(X,Y),Jt+Δ(X,Y)から、式(4),(5)に従ってオイラーの角の3成分である回転角のうちの2つの回転角α,γを計算し、回転運動認識装置103に供給する。
【0085】
そしてステップST51において、回転運動認識装置103は、第1のパラメタ計算装置101−1からの回転角α,γと第2のパラメタ計算装置101−2からの回転角α,γから、式(10)を満たすβを計算する。これにより、回転運動認識装置103は、(α,β,γ)によって対象物体31の回転運動Rを復元する。
【0086】
なお、第1および第2の画像入力装置101−1,101−2は同期して画像を読み込むようにしているが、微小時間Δが同一であり、両者が読み込む時刻の差が十分小さい場合には、観測される対象物体31の回転運動は同一とみなすことができるので、特に同期をとらずに回転運動を復元するようにしてもよい。
【0087】
なお、図16はこの実施の形態3による3次元運動復元装置の他の構成を示すブロック図である。図において、131は、所定のプログラムに従って、第1の画像入力装置101−1に対応する画像入力部141、第1のパラメタ計算装置102−1に対応するパラメタ計算部142、および回転運動認識装置103に対応する回転運動認識部143として動作する第1のコンピュータであり、132は、所定のプログラムに従って、第2の画像入力装置101−2に対応する画像入力部151、および第2のパラメタ計算装置102−2に対応するパラメタ計算部152として動作する第2のコンピュータである。
【0088】
図16に示すように、3次元運動復元装置におけるビデオカメラ1,2以外の構成要素をコンピュータとして構成することもできる。この場合、第2のコンピュータ132から第1のコンピュータ131へ送信するデータは(α,γ)のみであるので、少ない通信量で2つのコンピュータにより効率よく並列に処理を実行することができる。
【0089】
以上のように、この実施の形態3によれば、ビデオカメラ1により撮像された画像から回転角(α,γ)への計算と、ビデオカメラ2により撮像された画像から回転角(α,γ)への計算を独立に並行して実行するようにしたので、3次元運動の復元処理を高速に実行することができるという効果が得られる。
【0090】
なお、上記実施の形態1〜3においては、ビデオカメラ1,2以外の構成要素を、その構成要素の動作を記述したプログラムに従って動作するコンピュータとして実現するようにしてもよい。図17は、コンピュータにより実現した実施の形態1,2による3次元復元装置の構成の一例を示すブロック図である。図17に示すように、例えばコンピュータ111は、各種処理を実行するCPU112、起動時に必要なデータなどを予め記録されたROM113、処理実行時にプログラムやデータなどを記憶するRAM114、ビデオカメラ1,2から画像をそれぞれ読み込むインタフェース115,116、および所定の記録媒体121に対してデータの読み書きを実行する駆動装置117で構成される。そして記録媒体121には、実施の形態1または実施の形態2におけるビデオカメラ1,2以外の構成要素の動作を記述したプログラムが記録され、そのプログラムがコンピュータ111に読み込まれて実行される。なお、実施の形態3の場合には、第1および第2のコンピュータ131,132のそれぞれにプログラムを用意しておく。
【0091】
また、上記実施の形態1〜3では、ビデオカメラ1の光軸、すなわち撮像方向とビデオカメラ2の光軸とのなす角度を90度としているが、特に90度に限定されるものではなく、他の角度に設定しても同様に3次元運動の復元を実行することができる。
【0092】
さらに、上記実施の形態1〜3におけるパラメタ計算装置4、並びに第1および第2のパラメタ計算装置102−1,102−2は、撮像した画像を弱中心射影画像と仮定してエピポーラ方程式に従って回転角α,γを計算するようにしたが、他の計算方法に従って回転角α,γを計算するようにしてもよい。
【0093】
さらに、上記実施の形態1〜3では、座標系としてΩ,Ωを定義したが、演算結果を座標変換することにより、任意の座標系に対応させることができる。
【0094】
さらに、上記実施の形態1〜3では、ビデオカメラ1およびビデオカメラ2の焦点距離、および設置位置の座標系Ωの原点からの距離を同一としているが、ビデオカメラ1およびビデオカメラ2の焦点距離、および設置位置の座標系Ωの原点からの距離がそれぞれ異なる場合でも同様にして並進運動を復元することができる。
【0095】
さらに、上記実施の形態1〜3では、ビデオカメラ1の光軸とビデオカメラ2の光軸が交点を持つものとして説明したが、ねじれの位置にあっても同様の効果を奏する。
【0096】
さらに、上記実施の形態1〜3では、一連の2枚の画像を入力してそれぞれの特徴点を検出して2枚の画像の撮像間の運動を復元するように説明したが、運動の復元処理を連続して実行することも勿論可能である。その場合には、画像It+Δ(X,Y),Jt+Δ(X,Y)および特徴点の検出結果を次の処理での画像I(X,Y),J(X,Y)としてそのまま使用することにより、次の処理において画像I(X,Y),J(X,Y)の入力とそれからの特徴点の検出処理を省略することができる。
【0097】
さらに、対象物体の形状は特に限定されないが、対象物体の形状が既知の場合、その形状の特徴を考慮して運動をより正確に復元するようにしてもよい。
【0098】
さらに、上記実施の形態2では、画像上の特徴点の像の重心を用いて対象物体の並進運動を計算するが、対象物体の画像を背景から抜き出し、その領域の重心を画像における対象物体の位置として使用するなど、他の方法により画像上での対象物体の位置を計算するようにしてもよい。
【0099】
さらに、上記実施の形態3では、2台のビデオカメラを使用しているが、さらに1台を追加し、そのうちの2台ごとに対して上記実施の形態3による3次元運動復元装置を構成することにより、それぞれの復元結果を比較してより正確に対象物体の3次元運動を復元することができる。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、所定の第1の方向から対象物体を撮像するとともに、第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像し、第1の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、また、第2の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、第1の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角および第2の方向から撮像された画像に基づいて計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元するように構成したので、対象物体の回転運動を正確にかつ一意に復元することができるという効果がある。
【0101】
また、特徴点の対応付けは連続する2つの画像間でのみ行うため、回転運動を正確に復元することができるという効果がある。
【0102】
この発明によれば、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するように構成したので、簡単な演算で2つの回転角を計算することができるという効果がある。
【0103】
この発明によれば、第1の撮像手段により撮像された画像における対象物体の位置を特定するとともに、第2の撮像手段により撮像された画像における対象物体の位置を特定する位置特定手段と、位置特定手段によりそれぞれ特定された画像における対象物体の位置から実空間における対象物体の3次元位置を特定する3次元位置特定手段と、3次元位置特定手段により特定された運動前および運動後の対象物体の3次元位置から対象物体の並進運動による移動量を計算して、対象物体の並進運動を復元する並進運動復元手段とを備えるようにしたので、対象物体の回転運動とともに並進運動を復元することができるという効果がある。
【0104】
この発明によれば、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての特徴点の重心を画像における対象物体の位置として計算し、それらの画像における対象物体の位置、第1および第2の撮像手段の位置、並びに第1および第2の撮像手段からの第1および第2の方向から、三角測量の原理に基づいて対象物体の3次元位置を計算するように構成したので、対象物体の3次元位置を簡単に計算することができるという効果がある。
【0105】
この発明によれば、所定の第1の方向から対象物体を撮像する第1の撮像手段と、第1の方向とは異なる第2の方向から対象物体を撮像する第2の撮像手段と、第1の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第1の計算手段と、第2の撮像手段により撮像された運動前および運動後の対象物体の画像から、対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第2の計算手段と、第1の計算手段により計算された2つの回転角および第2の計算手段により計算された2つの回転角から3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動復元手段とを備えるようにしたので、上記2つの回転角の計算を並列に実行することができ、3次元運動の復元処理を高速に実行することができるという効果がある。
【0106】
この発明によれば、第1の撮像手段の第1の方向と第2の撮像手段の第2の方向とのなす角度が90度になるように構成したので、より簡単な演算で対象物体の3次元運動を復元することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 ビデオカメラによる測定系の一例を示す図である。
【図3】 ビデオカメラによる測定系の一例を示す図である。
【図4】 対象物体、その特徴点、およびビデオカメラにより撮像される画像の関係の一例を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による3次元運動復元装置の動作について説明するフローチャートである。
【図6】 3次元運動復元装置による処理を説明する図である。
【図7】 特徴点の移動距離Lを示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態2による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。
【図9】 ビデオカメラによる測定系の一例を示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態2による3次元復元装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】 対象物体の画像上の位置から3次元位置を導出する処理を説明する図である。
【図12】 対象物体の画像上の位置から3次元位置を導出する処理を説明する図である。
【図13】 並進運動ベクトルの一例を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態3による3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態3による3次元運動復元装置の動作を説明するフローチャートである。
【図16】 実施の形態3による3次元運動復元装置の他の構成を示すブロック図である。
【図17】 コンピュータにより実現した実施の形態1,2による3次元復元装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図18】 従来の3次元運動復元装置の構成を示すブロック図である。
【図19】 従来の3次元運動復元装置の動作を説明する図である。
【図20】 従来の3次元運動復元装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 ビデオカメラ(第1の撮像手段)、2 ビデオカメラ(第2の撮像手段)、4 パラメタ計算装置(回転角計算手段)、5 回転運動認識装置(回転運動復元手段)、11 位置特定装置(位置特定手段)、12 位置認識装置(3次元位置特定手段)、13 並進運動認識装置(並進運動復元手段)、102−1第1のパラメタ計算装置(第1の計算手段)、102−2 第2のパラメタ計算装置(第2の計算手段)、103 回転運動認識装置(回転運動復元手段)、121 記録媒体。

Claims (9)

  1. 所定の第1の方向から対象物体を撮像する第1の撮像手段と、
    前記第1の方向とは異なる第2の方向から前記対象物体を撮像する第2の撮像手段と、
    前記第1の撮像手段により撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、前記第2の撮像手段により撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する回転角計算手段と、
    前記回転角計算手段によりそれぞれ計算された2組の前記2つの回転角から、前記3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、前記対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動復元手段と
    を備えた3次元運動復元装置。
  2. 回転角計算手段は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による前記特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、また、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による前記特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する
    ことを特徴とする請求項1記載の3次元運動復元装置。
  3. 第1の撮像手段により撮像された画像における前記対象物体の位置を特定するとともに、第2の撮像手段により撮像された画像における前記対象物体の位置を特定する位置特定手段と、
    前記位置特定手段によりそれぞれ特定された画像における前記対象物体の位置から実空間における前記対象物体の3次元位置を特定する3次元位置特定手段と、
    前記3次元位置特定手段により特定された運動前および運動後の前記対象物体の3次元位置から前記対象物体の並進運動による移動量を計算して、前記対象物体の並進運動を復元する並進運動復元手段と
    を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の3次元運動復元装置。
  4. 位置特定手段は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての前記特徴点の重心を前記画像における前記対象物体の位置として計算し、また、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、すべての前記特徴点の重心を前記画像における前記対象物体の位置として計算し、
    3次元位置特定手段は、前記位置特定手段により計算された各画像における対象物体の位置、前記第1および第2の撮像手段の位置、並びに前記第1および第2の撮像手段の第1および第2の方向から、三角測量の原理に基づいて前記対象物体の3次元位置を計算する
    ことを特徴とする請求項3記載の3次元運動復元装置。
  5. 所定の第1の方向から対象物体を撮像する第1の撮像手段と、
    前記第1の方向とは異なる第2の方向から前記対象物体を撮像する第2の撮像手段と、
    前記第1の撮像手段により撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像から、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第1の計算手段と、
    前記第2の撮像手段により撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像から、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する第2の計算手段と、
    前記第1の計算手段により計算された前記2つの回転角および前記第2の計算手段により計算された前記2つの回転角から前記3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、前記対象物体の回転運動を一意に復元する回転運動復元手段と
    を備えた3次元運動復元装置。
  6. 第1の計算手段は、第1の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による前記特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算し、
    第2の計算手段は、第2の撮像手段により撮像された対象物体の画像における所定の数の特徴点を抽出し、運動による前記特徴点の移動量から弱中心射影画像のエピポーラ方程式に基づいて前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算する
    ことを特徴とする請求項5記載の3次元運動復元装置。
  7. 第1の撮像手段の第1の方向と第2の撮像手段の第2の方向とのなす角度が90度である
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の3次元運動復元装置。
  8. 所定の第1の方向から対象物体を撮像するステップと、
    前記第1の方向とは異なる第2の方向から前記対象物体を撮像するステップと、
    前記第1の方向から撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップと、
    前記第2の方向から撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップと、
    前記第1の方向から撮像された画像に基づいて計算された前記2つの回転角および前記第2の方向から撮像された画像に基づいて計算された前記2つの回転角から前記3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、前記対象物体の回転運動を一意に復元するステップと
    を備えた3次元運動復元方法。
  9. コンピュータに、
    所定の第1の方向から撮像された運動前および運動後の対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップ、
    前記第1の方向とは異なる第2の方向から撮像された運動前および運動後の前記対象物体の画像に基づいて、前記対象物体の回転運動を表す3つの回転角のうちの2つの回転角を計算するステップ、
    前記第1の方向から撮像された画像に基づいて計算された前記2つの回転角および前記第2の方向から撮像された画像に基づいて計算された前記2つの回転角から前記3つの回転角のうちの残りの回転角を一意に計算して、前記対象物体の回転運動を一意に復元するステップ
    を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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