JP3772887B2 - 体動検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、体動に応じた信号を出力するセンサを複数設けた場合に、複数のセンサの中から測定に適したセンサを選択して測定を行う体動検出装置に関する。
従来、複数のセンサから本測定の対象とする出力信号(又はセンサ)を選択する体動検出装置としては、例えば、特許文献1に記載された歩数計のように、複数センサの出力信号を、例えば光学センサのようなメカ式の角度検出センサの出力信号に基づいて、複数センサの出力信号のうちの一つを選択するものがある。
また、予め装置の装着方向が既知である場合に複数のセンサから本測定の対象とするセンサを選択する体動検出装置が、特許文献2に記載されている。
また、予め定められた方向及び位置に固定して使用する体動検出装置として、2軸又は3軸の加速度センサを用いて体動を計測し、平地歩行,階段上り,階段下り等の歩行形態を識別する加速度計が非特許文献1に開示されている。この報告には、3軸の加速度センサを対象者の腰部に固定装着して歩いたときに得られる加速度波形を解析し、歩行形態を識別しており、加速度計は腰部に傾かないように固定装着しておく必要がある。
特開平9−223214号 特開平11−42220号 第11回生体・生理工学シンポジウム論文集BPES´96p.p493〜496
しかしながら、角度検出センサ等のメカ式の検出部を設けて出力信号を選択する場合には、別途、角度検出センサを設ける必要があり、コストが高くなるとともに、角度検出センサの設置スペース分だけ装置が大きくなるという問題があった。
また、装置の装着方向が決められている場合には、装置の方向を固定して使用しなければならず、装着できる場合が限られてしまう。さらに、装置の装着位置も制限され、装着方向を誤ると正しい測定結果が得られない等の問題があった。
本発明は、かかる従来技術の課題を解決するために、使用者が自由に装着又は携帯し得る体動検出装置において、装置の姿勢にかかわらず高い精度で体動を検出でき、低コストかつコンパクトに構成し得る体動検出装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、使用者が自由に携帯又は装着して体動を検出する装置であって、それぞれ検出する体動方向が異なるように配置され、体動に応じた信号を出力する複数の体動センサと、前記複数の体動センサの出力信号に基づいて前記装置の姿勢を判定する姿勢判定手段と、前記複数の体動センサの出力信号に対して、前記姿勢判定手段によって判定された前記装置の姿勢に応じた演算処理を行うことにより使用者の体動を検出する体動検出手段と、を備えたことを特徴とする。
このようにすれば、使用者が自由に携帯又は装着して、歩行形態の識別等の体動を検出することができるので、使用者の自由度が広がる。
また、前記体動センサは、体動によって生じる加速度に応じて変化する信号を出力することが好適である。
また、前記体動センサによって検出される体動は、歩行及び走行の少なくともいずれかを含むことが好適である。
本発明によれば、使用者が自由に装着又は携帯し得る体動検出装置において、装置の姿勢にかかわらず、常に体動検出に適した体動センサを選択して、そのセンサの出力信号に基づいて体動を検出することができるので、高い精度で体動を検出できる。また、複数の体動センサの出力信号に対する演算処理により、体動検出に適した体動センサを選択するので、角度センサ等のような手段を別途設ける必要がなく、低コストかつコンパクトに構成し得る体動検出装置を提供することができる。また、体動検出のために、装置を所定の姿勢に固定して装着する必要がないので、使用者の自由度が広がる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る体動検出装置は、体動センサの出力によって、使用者によって自由に携帯又は装着された体動検出装置の姿勢を判断し、その姿勢に基づいて歩数の計数あるいは、これに加えて平地歩行,階段上り,階段下り等の歩行形態の識別を行う。本実施形態では、歩数計の機能を有する体動検出装置について説明するが、後述するように、歩数計の機能を有するものに限られるものではない。
図1は本発明の実施形態に係る体動検出装置(歩数計)を示す外観斜視図であり、図2は同平面図である。
体動検出装置(歩数計)10は、扁平な立体形状であり、側面が楕円形の長辺の一端部を取り除いた形状をなしている。また、楕円形の長辺の他端部には、紐等を挿通する孔を有する紐支持部10aが突出形成されている。ケース1の表面には、LCD等からなる表示画面2,設定スイッチ3,メモリ/△スイッチ4,表示切換スイッチ5及びリセットスイッチ6が設けられている。ケース1の裏面には、電池カバー7及びシステムリセットスイッチ8が設けられている。
歩数計には、一般的に推奨される姿勢があり、例えば、ベルトやスラックス,スカート,パンツ等の腰部にクリップで確実に装着するというように取扱説明書等によって装着位置の指定がなされる。一方、ポケットの中に入れたり、首からぶらさげたり、あるいは、かばんの中に入れている場合などのように常に推奨される姿勢で歩数計を保持されるとは限らない場合でも、本装置(歩数計)10では高精度の計数が可能である。
図3は体動検出装置(歩数計)のケース1内部の体動センサの配置を模式的に示したものである(但し、回路基板等のケース内の他の構成は省略している。)。
本実施形態で用いる体動センサは、体動によって生じる加速度に応じて変化する信号を出力する加速度センサである。体動センサ111(他の体動センサ112等も同様である)は、板状の支持体11aと、支持体端部に設けられた重り11bと、支持体面上に形成された圧電素子からなる検知部11cとを含み、体動に起因して重りに作用する加速度によって生じる支持体11aの変形(歪み)を圧電素子11cの電圧信号に変換して取り出
す。
図3では、互いに直交するXY方向の体動センサ111,112に加えて、XY方向に挟まれる約45°の方向に一つの体動センサ113,さらに、3つの体動センサ111,112,113が配置された平面に直交するZ方向の体動を検出する体動センサ114が配置されている。XY方向に挟まれた約45°の角度の体動については、体動センサ111,112のいずれの出力も小さくなるので、このような場合には体動センサ113が有効である。
図4に本実施形態に係る体動検出装置10のブロック図を示す。
体動検出装置(歩数計)10は、主として、互いに直交するXY方向に配置された体動検出用の体動センサ111,112と、XY方向に挟まれる約45°の方向に一つの体動センサ113,さらに、3つの体動センサ111,112,113が配置された平面に直交するZ方向の体動を検出する体動センサ114と、体動センサ11,12の出力電圧を増幅する増幅回路131,132,133,134と、電池19と、時刻・歩数・連続歩数・連続歩行時間・消費カロリーを表示するLCD2と、設定スイッチ3等の操作スイッチ17と、システムリセットスイッチ8と、LCD表示制御,操作スイッチ入力検知,シーケンス制御及び電源供給等を制御する演算回路15からなる。
体動センサ111〜114から得られた信号は、作用軸判定部21に入力される。作用軸判定部21において作用軸が選択され、選択された作用軸の信号を用いて歩数カウンタ23で歩数をカウントする。
また、体動センサ111〜114から得られた信号は姿勢判定部(姿勢判定手段)121に入力される。姿勢判定部121において体動検出装置10の姿勢が判定され、判定された姿勢に基づいて歩行形態の識別等の演算処理が演算回路(体動検出手段)15において行われる。
尚、本実施形態では、作用軸判定部21及び歩数カウンタ23を備えているが、これらの構成を省略することもできる。
まず、体動検出装置10の姿勢を判断する原理について説明する。
図5に示す体動センサを用いて説明する。体動センサ11は、板状の支持体11aの一方の面上に形成された圧電素子からなる検知部11cと端部に形成された重り11bとを備え、体動によって生じる加速度に応じて変化する信号を出力する加速度センサである。
体動センサ11の向きについて、図5(a)に示すように検知部11cが支持体11aの下面に位置する状態を第1の向き、図5(b)に示すように検知部11cが支持体11aの上面に位置する状態を第2の向きと定義する。ここで、図5(a),(b)の体動センサ11の右側に表示された波形は、矢印方向の運動が生じた場合に(体動センサの向きに拘わらず運動の向きは同じである。)、体動センサ11からそれぞれ出力される加速度波形を示す。同じ運動が生じた場合でも、検知部11cが支持体11aのいずれの面上に形成されているかに応じて、圧電素子に生じる変形の仕方が異なるので、出力される波形も異なる。従って、図5(a)に示す第1の向きに配置された体動センサ11から出力される加速度波形を正波形とすると、図5(b)に示す第2の向きに配置された体動センサ11からは反転した加速度波形(逆波形)が出力される。
従って、使用者又は空間に対して体動検出装置(又は体動センサ)が基準となる姿勢をとる場合の種々の運動による加速度波形のパターンを予め記憶しておけば、体動センサか
ら出力される加速度波形のパターンと、基準姿勢時の加速度波形のパターンとを比較することにより、体動検出装置の姿勢を判断することが可能となる。すなわち、特別な姿勢判定のためのメカ的な装置を備えることなく、体動センサからの出力信号に対する演算処理によってソフト的に体動検出装置の姿勢を判断することができる。
(体動検出処理)
図6は体動検出装置10における体動検出処理のメインルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
まず、体動センサ111〜114からの出力信号の入力によって処理が開始される。
姿勢判定部121に入力された複数の体動センサ111〜114に接続された増幅回路からの出力に基づいて後述する姿勢判定処理が行われる(ステップ101)。
次に、姿勢判定処理によって判定された体動検出装置10の姿勢に基づいて体動検出処理が行われる(ステップ102)。ここで、体動検出処理としては、例えば、第11回生体・生理工学シンポジウム論文集BPES´96p.p493〜496第1の実施形態における歩行形態の識別処理を行うことができる。使用者が自由に携帯又は装着していても、姿勢判定処理によって使用者に対する体動検出装置10の姿勢を特定することができるので、使用者又は空間に対して固定された3軸方向等のような所定方向の体動を検出し、歩行形態の識別を行うことができる。これに本実施形態において後述し、また、第2〜第5の実施形態において説明する歩数の計数処理を組み合わせて各歩行形態での歩数を計数するようにすることもできる。
(姿勢判定処理)
次に、上述の姿勢判定処理のサブルーチンについて図7に示すフローチャートに従って説明する。
まず、各体動センサによって加速度を検出する(ステップ111)。
次に、検出された加速度波形に対する加速度波形処理を行う(ステップ112)。
次に、得られた加速度波形の向きが正波形か否かを判断する(ステップ113)。ここでは、体動センサが一つの場合について説明するが、複数の体動センサを備える場合も同様である。また、正波形とは、図5(a)に示すように正方向に立ち上がる波形を指す。
加速度波形の向きが正波形であれば、体動センサの向きは図5(a)に示すような第1の向きであり(ステップ114)、一方、加速度波形の向きが正波形とは逆である場合には、体動センサの向きは図5(b)に示すような第2の向きであると判断する(ステップ115)。
(3次元空間における体動検出装置の姿勢判定処理)
本実施形態における体動検出装置10の姿勢判定処理は上述した通りであるが、3次元空間における姿勢判定について、以下により詳細に説明する。
体動検出装置には、互いに直交する方向の加速度を検出するために、3つの体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)が設けられている。体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)はいずれも第1の実施形態において説明した体動センサ11と同様の構成を有する。図8(a)に示すように体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)が配
置された状態を基準姿勢とする。このとき、X,Y,Zの3軸は、紙面(鉛直面)右方に延びるX軸,紙面上方に延びるY軸,紙面に直交方向の奥側から手前側に伸びるZ軸として定義される。基準姿勢においては、センサa(122)は重りが+X方向となるようにX軸に沿って配置され、センサb(123)は重りが+Y方向となるようにY軸に沿って配置され、センサc(124)は重りが+X方向と+Y方向と45度の角度をなす方向に向けて配置されている。この基準姿勢では、センサa(122)はY軸方向、センサb(123)はX軸方向、センサc(124)はZ軸方向の加速度をそれぞれ検出する。また、このときセンサa(122)の検知部は+Y方向側に、センサb(123)の検知部は+X方向側に、センサc(124)の検知部は+Z方向側にそれぞれ配置されている。図3(a)又は(b)に示すような構成の体動検出装置であれば、直立した扁平な面がXY平面に平行となるように配置された状態を基準姿勢とすることができる。体動検出装置が基準姿勢である場合の体動センサの配置は、図8(a)の場合に限られない。例えば、図8(b)に示すように、センサa(122)を重りが+X方向となるようにX軸に沿うとともに検知部が−Y方向側に位置するように配置し、センサb(123)を重りが−Y方向となるようにY軸に沿うとともに検知部が+X方向側に位置するように配置し、センサc(124)を重りが−X方向と−Y方向と45度の角度をなす方向であり、かつ検知部が−Z方向側に位置するように配置することもできる。また、図8(c)に示すように、センサa(122)を重りが−Y方向となるようにY軸に沿うとともに検知部が+X方向側に位置するように配置し、センサb(123)を重りが+X方向となるようにX軸に沿うとともに検知部が−Y方向側に位置するように配置し、センサc(124)を重りが−X方向と−Y方向と45度の角度をなす方向であり、かつ検知部が−Y方向に位置するように配置することもできる。
図9(a)は体動検出装置は体動検出装置が基準姿勢にある状態を示す。直方体は体動検出装置の姿勢を模式的に示す。このとき、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)はそれぞれ図8(a)に示すように配置されている。図9(a)に示す基準姿勢となるように使用者に保持された状態で、使用者が所定の運動を行った場合の体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)から出力される加速度波形を図9(b)に示す。
使用者が体動検出装置を自由に装着又は携帯している状態で、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)によって図10(a)に示されるような加速度波形が出力された場合の姿勢判定処理について説明する。
まず、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)の出力に対するパターン解析として、図10(a)の波形と図9(b)の波形とのパターンマッチングを行う。図10(a)に示されるセンサa(122)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサa(122)の加速度波形の逆パターンである。また、図10(a)に示されるセンサb(123)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサb(123)の加速度波形と同様のパターンである。そして、図10(a)に示されるセンサc(124)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサc(124)の加速度波形の逆パターンである。従って、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)から出力される加速度波形に対するパターン解析から、図10(a)に示す加速度波形が出力される場合の体動検出装置の姿勢は、図9(a)に示す状態から、図10(a)に示すようにX軸の回りに180度回転させた状態、すなわち、左右を保ったまま上下を裏返した状態となっていることが分かる。
同様に、使用者が体動検出装置を自由に装着又は携帯している状態で、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)によって図11(a)に示されるような加速度波形が出力された場合の姿勢判定処理について説明する。
体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)の出力に対するパターン解析として、図11(a)の波形と図9(b)の波形とのパターンマッチングを行う。図11(a)に示されるセンサa(122)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサb(123)の加速度波形と同様パターンである。また、図11(a)に示されるセンサb(123)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサa(122)の加速度波形と逆パターンである。そして、図11(a)に示されるセンサc(124)の加速度波形は図9(b)に示されるセンサc(124)の加速度波形と同様のパターンである。従って、体動センサa(122),体動センサb(123),体動センサc(124)から出力される加速度波形に対するパターン解析から、図11(a)に示す加速度波形が出力される場合の体動検出装置の姿勢は、図9(a)に示す状態から、図10(a)に示すようにZ軸の回りに−90度回転させた状態、すなわち、右方向に90度回転させて縦横を入れ替えた状態となっていることが分かる。
このように、複数の体動センサの出力波形に対する演算処理によって体動検出装置の姿勢を判定することができ、特定された姿勢に応じて歩行態様等の体動検出処理を行うことができる。従って、使用者は所定の姿勢で装置を固定する必要がなく、自由に携帯又は装着した状態で体動検出を行うことができるので、使用者の自由度が広がる。
(歩数計数処理)
つぎに、体動検出装置(歩数計)を用いた歩数計数処理について説明する。
図12は体動検出装置(歩数計)における歩数計数処理のメインルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
まず、体動センサからの出力信号の入力によって処理が開始される。
作用軸判定部に入力された複数の体動センサに接続された増幅回路からの出力に基づいて作用軸判定処理が行われる(ステップ1)。作用軸の判定処理によって特定の作用軸に固定される(ステップ2)。次に、固定された作用軸に対応する体動センサからの出力データをバッファから歩数カウンタに送り、歩数を計数する(ステップ3)。これに伴ってバッファのデータを消去する(ステップ4)。次に、歩数カウンタによって計数された歩数をLCDに表示する(ステップ5)。このとき、LCDに表示されるのは、上述の作用軸に対応する体動センサによって検出された歩行の歩数である。次に、一歩の波形が入力されたか否かを判定する(ステップ6)。一歩の波形が入力されるまでステップ6を繰り返し、一歩の波形が入力されると、2秒以内に入力されたか否かを判定する(ステップ7)。2秒以内であれば、歩数カウンタのカウントを+1して(ステップ8)、ステップ5に戻る。2秒以内でなければ、ステップ1に戻る。
(作用軸判定処理)
まず、体動センサを加速度センサによって構成し、歩行時に得られた加速度波形の解析として一定時間内に得られた加速度波形の数を用いて作用軸判定処理を行う場合について説明する。以下では、説明の便宜上、センサ1及びセンサ2のみを例示して説明しているが、センサ3及びセンサ4についても同様にあてはまるものである。
図13は作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、作用軸判定タイマをスタートする(ステップ11)。
次に、体動センサ1の波形処理を行い(ステップ12)、体動センサ2の波形処理を行
う(ステップ13)。
ここで、体動センサ1及び体動センサ2によって得られる加速度波形の例を図8に示す。図14では横軸が時間(右方が時間の進む向き)であり、縦軸が加速度である(例えば電圧によって表されていてもよい。)。
次に、作用軸判定タイマの計時が4秒を経過しているか否かを判定する(ステップ14)。4秒を経過していなければステップ12に戻る。4秒経過していれば、バッファ1に格納されている体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形の数、例えば、歩行時に得られた加速度波形の数(フローチャートではこれを「バッファ1」と略記している。)が、バッファ2に格納されている体動センサ2の出力信号から得られた加速度波形の数(フローチャートではこれを「バッファ2」と略記している。)より大きい又は等しいという関係にあるか否かを判定する(ステップ15)。バッファ1に格納されている体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形の数がバッファ2に格納されている体動センサ2の出力信号から得られた加速度波形の数より大きい又は等しいという関係が成り立つ場合には、体動センサ1を作用軸として選択し(ステップ16)、作用軸判定処理を終了する。バッファ1に格納されている体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形の数がバッファ2に格納されている体動センサ2の出力信号から得られた加速度波形の数より大きい又は等しいという関係が成り立たない場合には、体動センサ2を作用軸として選択し(ステップ17)、作用軸判定処理を終了する。すなわち、加速度波形の数の多い方が作用軸として選択される。
(波形処理)
図15(a)は体動センサ1の波形処理の手順を示すフローチャートである。
体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形が、上閾値を既に超えているか否かをフラグ(Thu1)によって判定する(ステップ21)。Thu1=0であれば、上閾値を超えるまで判定が繰り返され(ステップ22)、上閾値を超えたらフラグ(Thu1)を1とし(ステップ23)、下閾値の判定に進む。一方、Thu1=1であれば、下閾値の判定に進む。ここで、体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形が下閾値を超えたか否かの判定は、加速度波形が下閾値を超えるまで繰り返され(ステップ24)、下閾値を超えたら加速度波形が1波形目か否かを判定する(ステップ25)。例えば、歩行時に得られた加速度波形であれば、1波形目は無条件にバッファに格納された値に1が加算され(ステップ27)、2波形目以降であれば、1波形前との間隔が規定間隔内(Ts規定値min≦ TsかつTs≦ Ts規定値max)であるか否かを判定し(ステップ26)、規定間隔内であれば、バッファに格納された値に1が加算される(ステップ27)。その後、フラグを(Thu1)0とし(ステップ28)、軸判定タイマが4秒経過するまで繰り返される。図14(b)は体動センサ2の波形処理の手順を示すフローチャートであるが、処理の詳細は図14(a)と同様であるので説明は省略する。ステップ26で行う判定は、体動センサの出力信号から歩行による信号以外の信号を排除する趣旨である。
このようにメカ式の角度センサ等の装置の姿勢検出手段を別途設けることなく、ソフト的に適切な体動センサの出力を取り出して、歩数等の計数を行うので、姿勢検出手段のためのスペースやコストが不要となる。従って、低コストかつコンパクトな歩数計を構成することができる。
尚、本実施形態では、体動検出装置として、歩数計についてのみ説明しているが、体動を検出し利用する装置であればよく、歩数以外の指標に変換するものも当然に含まれる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。体動検出装置の内部構成及び歩数計数処理については、第1の実施形態と同様であるので、異なる部分についてのみ説明する。本実施形態及び以降の実施形態においても、センサ1及びセンサ2を例示して説明しているが、センサ3及びセンサ4についても同様になりたつものである。
本実施形態では、歩行時に得られた加速度波形の解析として加速度波形のパワー値を用いて作用軸判定処理を行う。
(作用軸判定)
図16は作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。
ステップ41〜ステップ44までの処理は、図13に示す加速度波形の数を用い
る場合と同様であるので、説明を省略する。
作用軸判定タイマが4秒経過した時点で、体動センサ1と体動センサ2から得られた加速度波形のパワー値(p−p値(所定区間内の加速度波形の極値間の代数差のうち最大値)の2乗によって定義される。)、例えば、4秒間に得られた波形のうちの最初の3波形のパワー値((Pp)2)の加算値(Pp(1)2+Pp(2)2+Pp(3)2)(図15では、Pp1,Pp2と表記)を比較する(ステップ45)。比較の結果、パワー値の加算値の大きい方を作用軸として選択する(ステップ46,47)。また、p−pの絶対値の大きさで比較しても良い。
(波形処理)
図17(a)は、体動センサ1の波形処理の手順を示すフローチャートである。
まず、体動センサ1の波形処理の手順を示すフローチャートである。
体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形が、上閾値を既に超えているか否かをフラグ(Thu1)によって判定する(ステップ51)。Thu1=0であれば、上閾値を超えるまで判定が繰り返され(ステップ52)、上閾値を超えたらフラグ(Thu1)を1とし(ステップ53)、1波形目か否かを判定する(ステップ54)。ここで、1波形目であればステップ59の下閾値の判定に進み、2波形目以降であれば、1波形前との間隔(Ts)が規定間隔内(Ts規定値min≦ TsかつTs≦ Ts規定値max)であるか否かを判定する(ステップ55)。Tsが規定範囲内であれば、バッファに格納された値に1を加算し(ステップ56)、加速度波形のパワー値((Pp)2)を算出し、前波形のパワー値に加算する(ス
テップ57)。例えば、Pp1には4秒間に得られた最初の3波形のみ加算する(ステップ57)。一方、ステップ53においてThu1=1である場合、あるいはステップ54において1波形目である場合にも、パワー値を加算した場合と同様に下閾値の判定に進む。ここで、体動センサ1の出力信号から得られた加速度波形が下閾値を超えたか否かの判定は、加速度波形が下閾値を超えるまで繰り返され(ステップ59)、下閾値を超えたらフラグを(Thu1)0とし(ステップ60)、軸判定タイマが4秒経過するまで繰り返される。図17(b)は体動センサ2の波形処理の手順を示すフローチャートであるが、処理の詳細は図17(a)と同様であるので説明は省略する。
上述の処理では、パワー値の加算を4秒間に得られた最初の3波形の加算値としたが、2波形でも、3波形以上でもよい。また、1波形目から使用しなくてもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。体動検出装置の内部構成及び歩数計数処理については、第1の実施形態と同様であるので、異なる部分についてのみ説明する
本実施形態では、歩行時に得られた加速度波形の解析として加速度波形の周波数解析を用いて作用軸判定処理を行う。
(作用軸判定処理)
図18は、作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、作用軸判定タイマをスタートする(ステップ71)。
次に、体動センサ1によって得られる加速度波形をフーリエ変換し(ステップ72)、体動センサ2によって得られる加速度波形をフーリエ変換する(ステップ73)。
図19(a),(b)にそれぞれ体動センサ1,体動センサ2によって得られ
る加速度波形をフーリエ変換して得られる周波数分布の例を示す。図19(a)
に示すように体動センサ1の加速度波形の周波数分布はきわめてばらつきがすくなく、例えば2Hzの位置(F1)に高いピーク(高さF1max)が見られる。図19(b)に示
すように体動センサ2の加速度波形の周波数分布はばらついて
おり2.1Hzの位置(F2)に低いピーク(高さF2max)があり、他の周波数にもよ
り低いピークが存在する。この例は、体動センサ1方向では検出すべき体動による加速度変化が検出されており、体動センサ2方向では検出すべき体動とは異なる不要な振動を含む信号が検出されている状態を示す。
次に、作用軸判定タイマが、例えば、4秒経過したか否かを判定し(ステップ74)、4秒を経過するまでステップ72,73を繰り返す。
作用軸判定タイマの計時が4秒を経過した時点で、体動センサ1から得られた加速度波形の解析結果、最大ピークをもつ周波数(F1)及び最大ピークの値(F1max=パワー
値の最大ピーク値)を検出する(ステップ75,76)。次に、F1が規定周波数範囲内か否かを判定し(ステップ77)、規定周波数範囲外であればF1maxをゼロクリアさせ
る(ステップ78)。ここでは、例えば規定周波数を1Hz〜3Hzとしている。同様に体動センサ2から得られた加速度波形の解析結果、最大ピークをもつ周波数(F2)及び最大ピークの値(F2max=パワー値の最大ピーク値)を検出し(ステップ79,80)
、F2が規定周波数範囲内か否かを判定する(ステップ81)。F2が規定周波数範囲内であれば、F1maxが0か否かを判定する(ステップ82)。このとき、F1maxが0ならば作用軸として体動センサ2を選択する(ステップ85)。一方、F1maxが0でなけれ
ば、F1max≧F2maxか否かを判定する(ステップ83)。ここで、F1max≧F2maxならば、作用軸として体動センサ1を選択する(ステップ84)。また、ステップ81でF2が規定周波数範囲外であればF1maxが0か否かを判定する(ステップ86)。ここで
、F1max=0でなければ作用軸として体動センサ1を選択する(ステップ84)。F1max=0であれば軸判定タイマをゼロクリアし(ステップ87)、ステップ71に戻って再度作用軸判定を行う。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。体動検出装置の内部構成及び歩数計数処理については、第1の実施形態と同様であるので、異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態では、歩行時に得られた加速度波形の解析として加速度波形のパターン解析を用い作用軸判定処理を行う。
(作用軸判定処理)
図20は作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、作用軸判定タイマをスタートする(ステップ91)。次に、体動センサ1及び体動センサ2から得られた加速度波形を基準波形と比較する(ステップ92,93)。例えば、基準波形は予め収集したデータから求めておき、測定時に検出された波形と比較する。作用軸判定タイマが、例えば、5秒経過するまでステップ92,93を繰り返す(ステップ94)。作用軸判定タイマの計時が5秒経過したら、5秒間に得られた加速度波形のパターン解析結果によって作用軸を選択する。ここでは、基準波形との誤差が体動センサ1からの加速度波形の方が大きいか否かを判定する(ステップ95)。基準波形との誤差が体動センサ1からの加速度波形の方が大きければ、作用軸として体動センサ2を選択し(ステップ97)、基準波形との誤差が体動センサ1からの加速度波形の方が小さい又は等しければ、作用軸として体動センサ1を選択する(ステップ96)。
上述の加速度波形のパターン解析としては、例えば、加速度波形の波高値,波形の幅,ピーク間隔(周期),1波形における山や谷の数などを用いて予め求められた基準波形と比較してもいいし、前記パラメータを用いた検出波形の出現の安定性を用いてもよいし、クラスタ分析法等を用いた波形のパターン解析を用いてもよい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態として、上記実施形態とは、異なる体動センサを有する体動検出装置としての歩数計について説明する。体動センサ以外の構成は第1乃至第4の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
図21(a)は本実施形態に係る体動検出装置に用いる体動センサ120を示
す。
体動センサ120も、体動によって生じる加速度に応じて変化する信号を出力する加速度センサである。体動センサ120は、支点を中心として揺動し、先端に磁石120bが装着された振り子120aと、振り子120aの揺動範囲近傍の所定位置に設けられ、磁石120bの近接によりオンとなり、離間によってオフとなるリードスイッチ120cを含む。振り子の揺動範囲は不図示のストッパによって規制されている。また、振り子120aはつるまきバネ等の付勢手段により揺動する振り子が所定位置に復帰するように構成されている。体動に起因して振り子に作用する加速度によって振り子120aが揺動し、この振り子120aの揺動を磁石120bの近接によるリードスイッチの120c開閉によって生じる電圧又は電流の変化に変換して取り出している。
体動センサ120の出力信号は図21(b)に示すようにパルス波形となる。
パルス間間隔Ts(1)は図14に示す加速度波形と同様に定義されているが、こ
こではパルス幅がPp(1)として定義されている。体動センサ120では、体動による加速度の大きさは振り子120aの揺動角度が大きくなり、磁石120bがリードスイッチ120cに近接している時間が長くなるので、パルス幅が広くなる。このため、パルス幅をPpと定義している。
第1の実施形態における作用軸判定処理は、加速度波形の数をパルス波形の数とすることにより本実施形態に係る体動センサにも適用することができる。
また、第2の実施形態における作用軸判定は、上述のようにPpを定義することにより本実施形態に係る体動センサにも適用することができる。
また、第3及び第4の実施形態における作用軸判定処理は、パルス波形でも同様の解析処理を行うことができるので、本実施形態に係る体動センサにも適用することができる。
上述の体動センサ120は、磁石とリードセンサの組み合わせによって振り子の揺動を検出しているが、振り子の先端がフォトインタラプタを形成し、振り子の揺動により光路を断続するものでもよく、これらの構成に限られるものではない。
図1は本発明の実施形態に係る体動検出装置(歩数計)の外観斜視図である。 図2は本発明の実施形態に係る体動検出装置(歩数計)の平面図である。 図3は歩数計内の体動センサの配置を示す図である。 図4は本発明の実施形態に係る体動検出装置の構成を示すブロック図である。 図5(a),(b)は体動検出装置の姿勢判定原理を説明する図である。 図6は本発明の実施形態に係る体動検出装置における体動検出処理の主たる処理手順を示すフローチャートである。 図7は本発明の実施形態に係る体動検出装置における姿勢判定処理の手順を示すフローチャートである。 図8(a),(b),(c)は3つの体動センサの配置例を示す図である。 図9(a)は基準姿勢にある体動検出装置を示す図であり、図9(b)は基準姿勢時の各体動センサからの出力波形を示すグラフである。 図10(a)は他の姿勢にある体動検出装置を示す図であり、図10(b)は他の姿勢時の各体動センサからの出力波形を示すグラフである。 図11(a)はさらに他の姿勢にある体動検出装置を示す図であり、図11(b)はさらに他の姿勢時の各体動センサからの出力波形を示すグラフである。 図12は歩数計における歩数計数処理の手順を示すフローチャートである。 図13は作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。 図14は体動センサによって得られる加速度波形の例を示す図である。 図15は体動センサの波形処理を示すフローチャートである。 図16は作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。 図17は体動センサの他の波形処理を示すフローチャートである。 図18は他の作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。 図19は体動センサの加速度波形をフーリエ変換した結果を示す図である。 図20は他の作用軸判定処理の手順を示すフローチャートである。 図21(a)は体動センサの構成を模式的に示したものである。図21(b)は体動センサの出力信号を示す図である。
符号の説明
1 ケース
2 LCD
3 設定スイッチ
4 メモリ/△スイッチ
5 表示切替スイッチ
6 リセットボタン
10 体動検出装置(歩数計)
11,12 体動センサ
111,112,113,114 体動センサ
121 姿勢判定部
122 体動センサa
123 体動センサb
124 体動センサc

Claims (2)

  1. 使用者が自由に携帯又は装着して体動を検出する装置であって、
    それぞれ検出する体動方向が異なるように配置され、体動に応じた信号を出力する複数の体動センサと、
    前記複数の体動センサの出力信号に基づいて前記装置の姿勢を判定する姿勢判定手段と、
    前記複数の体動センサの出力信号に対して、前記姿勢判定手段によって判定された前記装置の姿勢に応じた演算処理を行うことにより使用者の体動を検出する体動検出手段と、
    を備えたことを特徴とする体動検出装置。
  2. 前記体動検出装置は、使用者の歩数を計数する歩数計であり、
    前記体動検出手段は、前記使用者の体動を検出して歩行形態を識別する機能を有する請求項1に記載の体動検出装置。
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