JP3772679B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料噴射制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン(内燃機関)の燃料噴射制御装置に関し、特に燃料カットの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用エンジンにおいては、エンジン回転数が所定値以上の状態で、アクセルペダルが開放されると、燃料噴射を強制的に停止する燃料カット制御を行っている。
燃料カット制御は、例えば従来例として特開平11−280457号公報等に示されているように、アクセルペダルが踏込まれていないことと、エンジン回転数が所定値以上であることとが、共に成立していることを条件に、燃料カットを実行し、この後、アクセルペダルが踏込まれるか、もしくはエンジン回転数が所定値以下になると、燃料カットを停止する。
【0003】
一方、近年、NOx低減を目的として排気系にNOxトラップ触媒を装着する場合がある。このNOxトラップ触媒は、空燃比がリーン状態のときにエンジンから排出されるNOxをトラップするもので、そのNOxトラップ量が所定量以上になると、空燃比をリッチ側にずらして、いわゆるリッチスパイクを行うことによって、NOxを脱離させ、触媒作用によりエンジンから排出されるHC、COを還元剤としてNOxを還元することによって、有害成分を浄化できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなNOxトラップ触媒を備える場合、燃料カット期間中においても、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量が所定値以上となって、再生時期となれば、リッチスパイクによって、NOxを脱離させ、還元させる必要がある。
【0005】
しかるに、従来の燃料カットの実行と停止の判定方法では、燃料カット期間中にリッチスパイクをさせようとしても、燃料カットが解除されないために、目標とする空燃比を実現できないという問題がある。
そこで、リッチスパイクを行いたいときを検出するフラグを設け、このフラグによって燃料カットを停止するという方法が考えられるが、この場合、新たにフラグ設定手段と、このフラグで燃料カットを停止する手段とが必要になり、制御ロジックが複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、燃料カットの実行・停止の判定を工夫することにより、簡単な制御ロジックでありながら、燃料カット中にリッチスパイクが要求された場合に、確実に燃料カットを停止できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1の発明では、アクセルペダル踏込み量を検出する手段と、エンジン回転数を検出する手段と、吸入空気量を検出する手段と、通常運転時に少なくともアクセルペダル踏込み量が所定値以下の場合にエンジン回転数が上昇するほどリーンとなるように目標空燃比を設定し、特定運転時に通常運転時の目標空燃比よりリッチとなるように目標空燃比を設定する手段と、前記吸入空気量と前記目標空燃比とに基づいて、目標燃料噴射量を設定する手段と、前記アクセルペダル踏込み量と前記目標空燃比とに基づいて、燃料カットの実行・停止を判定する手段と、前記目標燃料噴射量を基に、前記燃料カットの実行・停止の判定結果に従って、指令燃料噴射量を設定する手段と、を含んで、エンジンの燃料噴射制御装置を構成する。
【0008】
請求項2の発明では、前記燃料カットの実行・停止を判定する手段は、アクセルペダル踏込み量が所定値以下で、かつ目標空燃比が第1のしきい値よりもリーンであることを条件に、燃料カットを実行するように判定し、アクセルペダル踏込み量が所定値を超えるか、又は目標空燃比が前記第1のしきい値よりリッチ側の第2のしきい値よりもリッチであることを条件に、燃料カットを停止するように判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明では、前記目標空燃比を設定する手段は、アクセルペダル階込み量とエンジン回転数とから、少なくともアクセルペダル踏込み量が所定値以下の場合にエンジン回転数が上昇するほどリーンとなるように第1の目標空燃比を設定する手段と、前記第1の空燃比よりリッチな第2の目標空燃比を設定する手段と、排気系に備えられるNOxトラップ触媒の再生時期を判定する手段と、前記NOxトラップ触媒の再生時期でない場合に、目標空燃比として、前記第1の目標空燃比を選択し、再生時期の場合に、目標空燃比として、前記第2の目標空燃比を選択する手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、アクセルペダル踏込み量と目標空燃比とから、燃料カットの実行・停止を判定することによって、燃料カット時にリッチスパイクが要求された場合に、簡単な方法で、燃料カットを停止することができる。
また、通常運転時に少なくともアクセルペダル踏込み量が所定値以下の場合にエンジン回転数が上昇するほどリーンとなるように目標空燃比を設定するので、アクセルペダル踏込み量と目標空燃比とから、従来同様に、減速時の燃料カットを行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、燃料カットの停止と実行とを切換える目標空燃比のしきい値について、停止状態から実行状態に切換えるときの第1のしきい値を、実行状態から停止状態に切換えるときの第2のしきい値よりも大きな値としたことによって、切換え時において、停止と実行を繰り返すハンチング現象を防止することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、NOxトラップ触媒の再生のために目標空燃比を的確に設定して必要なリッチスパイクを行うことできると共に、その場合に燃料カットを確実に停止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す基本構成図である。
エンジン1の燃焼室2には、吸気通路3より空気が吸入される一方、燃料噴射弁4より燃料が噴射されることで、比較的リーンな混合気が形成され、この混合気が着火・燃焼する。燃焼後の排気は排気通路5より排出されるが、この排気通路5には、NOxトラップ触媒6が装着されている。
【0014】
NOxトラップ触媒6は、排気空燃比がリーンのときにNOxをトラップし、排気空燃比がリッチのとき(NOxトラップ触媒6のNOxトラップ量が所定値以上となって再生時期と判定され、空燃比をリッチ化したとき)にトラップされているNOxを脱離し、このとき触媒の還元作用でNOxを浄化する。
次に、本実施形態での燃料噴射制御について説明する。
【0015】
本実施形態では、エンジン運転条件検出手段として、アクセルペダルの踏込み量APO[%]を検出するアクセルペダル踏込み量検出手段11、エンジン回転数Ne[rpm ]を検出するエンジン回転数検出手段12、吸気通路3にて吸入空気量(吸入新気量)Qw[mg/sec]を検出する吸入空気量検出手段(エアフローメータ)13が設けられている。
【0016】
また、燃料噴射弁4の燃料噴射制御の演算処理部として、目標空燃比設定手段14、目標燃料噴射量設定手段15、燃料カット実行・停止判定手段16、指令燃料噴射量設定手段17が設けられている。
また、前記目標空燃比設定手段14は、図2に示すように、第1の目標空燃比設定手段14−1、第2の目標空燃比設定手段14−2、NOxトラップ触媒再生時期判定手段14−3、目標空燃比選択手段14−4を備えている。
【0017】
ここにおいて、前記各手段は、次のように機能する。
目標空燃比設定手段14は、通常運転時に少なくともアクセルペダル踏込み量APOが所定値(アクセルペダル開放判定しきい値)以下の場合にエンジン回転数Neが上昇するほどリーンとなるように目標空燃比tABYFを設定し、特定運転時(NOxトラップ触媒6の再生時期;リッチスパイク時)に通常運転時の目標空燃比よりリッチとなるように目標空燃比tABYFを設定する。
【0018】
より具体的には、図2の各手段が次のように機能する。
第1の目標空燃比設定手段14−1は、アクセルペダル踏込み量APOとエンジン回転数Neとに基づき、図4のマップを参照して、リッチスパイクを行わない通常運転時用の第1の目標空燃比tABYF1を設定する。
ここで、図4のマップからわかるように、アクセルペダル踏込み量APOにより異なる(アクセルペダル踏込み量APOが大となるほど空燃比大側(リーン側)となる)ものの、エンジン回転数Neが上昇するほど空燃比大(リーン側)となるように、第1の目標空燃比tABYF2を設定する。
【0019】
第2の目標空燃比設定手段14−2は、リッチスパイクを行うときの第2の目標空燃比tABYF2を設定する。
ここで、第2の目標空燃比tABYF2は、定数でも良いし、運転状態によって変化させても良いが、第1の目標空燃比tABYF1より小側(リッチ側)に設定する。図4中に点線で、第2の目標空燃比tABYF2の設定例を示している。
【0020】
NOxトラップ触媒再生時期判定手段14−3は、NOxトラップ触媒6にトラップされたNOxの量(NOxトラップ量)を推定し、これを所定値と比較することで、NOxトラップ量≧所定値の場合に、トラップ限界、すなわち再生時期と判定する。
尚、NOxトラップ触媒6のNOxトラップ量は、例えば、後述する目標空燃比選択手段14−4において第1の目標空燃比tABYF1が選択されている時間に、定数を乗じることによって、推定できる。また、エンジン運転条件毎のエンジンからの単位時間当たりのNOx排出量のマップを用意しておき、このNOx排出量(又はこれにトラップ率を乗じた値)を積算することによっても、推定できる。
【0021】
目標空燃比選択手段14−4は、NOxトラップ触媒再生時期判定手段14−3の判定結果に従って、NOxトラップ触媒6の再生時期でない場合(NOxトラップ量<所定値の場合)に、目標空燃比tABYFとして、第1の目標空燃比tABYF1を選択し(tABYF=tABYF1)、再生時期の場合(NOxトラップ量≧所定値の場合)に、目標空燃比tABYFとして、第2の目標空燃比tABYF2を選択する(tABYF=tABYF2)。これにより、最終的な目標空燃比tABYFが設定される。
【0022】
目標燃料噴射量設定手段15は、吸入空気量Qwと目標空燃比tABYFとから、例えば(1)式を用いて、目標燃料噴射量tQf[mg/sec]を求める。
tQf=Qw×(14.6/tABYF)・・・(1)
ここでは、理論空燃比を14.6とした。
燃料カット実行・停止判定手段16は、アクセルペダル踏込み量APOと目標空燃比tABYFとに基づき、燃料カットの実行と停止を、以下の条件で判定する。
【0023】
APO≦APOmin かつtABYF≧ABYFth1のとき→燃料カット実行
APO>APOmin 又はtABYF≦ABYFth2のとき→燃料カット停止
但し、APOmin :アクセルペダル開放判定しきい値[%]
ABYFth1:第1のしきい値(燃料カット実行判定用)
ABYFth2:第2のしきい値(燃料カット停止判定用)
である。APOmin 、ABYFth1、ABYFth2は定数として与える。また、ABYFth1はABYFth2よりも大きな値に設定する。
【0024】
指令燃料噴射量設定手段17は、目標燃料噴射量tQfを基に、燃料カット実行・停止判定手段16の判定結果に従って、指令燃料噴射量iQf[mg/sec]を、以下のように設定する。
燃料カット停止のとき → iQf=tQf
燃料カット実行のとき → iQf=0
ここで、iQf=0のときは、燃料噴射量が0となって、燃料カットがなされる。
【0025】
図3には、上記の燃料噴射制御の演算処理手順を、フローチャートとして示している。
S1では、アクセルペダル踏込み量APO、エンジン回転数Ne、吸入空気量Qwを検出する。
S2では、アクセルペダル踏込み量APOとエンジン回転数Neとに基づいて図4のマップから通常運転時用の第1の目標空燃比tABYFを設定する。
【0026】
S3では、リッチスパイクを行うときの第2の目標空燃比tABYF2を設定する。
S4では、NOxトラップ触媒6のNOxトラップ量を推定する。
S5では、推定されたNOxトラップ量を所定値と比較することで、再生時期(NOxトラップ量≧所定値)か否かを判定する。
【0027】
この結果、NOxトラップ触媒6の再生時期でない場合(NOxトラップ量<所定値の場合)は、S6で、目標空燃比tABYFとして、第1の目標空燃比tABYF1を選択する(tABYF=tABYF1)。再生時期の場合(NOxトラップ量≧所定値の場合)は、S7で、目標空燃比tABYFとして、第2の目標空燃比tABYF2を選択する(tABYF=tABYF2)。
【0028】
S8では、吸入空気量Qwと目標空燃比tABYFとから、目標燃料噴射量tQf=Qw×(14.6/tABYF)を設定する。
S9では、アクセルペダル踏込み量APOを所定値(アクセルペダル開放判定しきい値)APOmin と比較する。
APO>APOmin の場合は、S12へ進み、燃料カットフラグFC=0(燃料カット停止)とする。
【0029】
APO≦APOmin の場合は、S10へ進み、目標空燃比tABYFを第2のしきい値ABYFth2と比較する。
tABYF≦ABYFth2の場合は、S12へ進み、燃料カットフラグFC=0(燃料カット停止)とする。
tABYF>ABYFth2の場合は、S11へ進み、目標空燃比tABYFを第1のしきい値ABYFth1と比較する。
【0030】
tABYF≧ABYFth1の場合は、S13へ進み、燃料カットフラグFC=1(燃料カット実行)とする。
tABYF<ABYFth1の場合(すなわち、ABYFth2<tABYF<ABYFth1の場合)は、前回の燃料カットフラグFCの状態を維持する。従って、燃料カット実行中であれば燃料カット実行を継続し、燃料カット停止中であれば燃料カット停止を継続する。
【0031】
S14では、燃料カットフラグFCの状態を判定する。
この結果、FC=0(燃料カット停止)であれば、S15へ進んで、指令燃料噴射量iQfを目標燃料噴射量tQfに設定する(iQf=tQf)。FC=1(燃料カット実行)であれば、S16へ進んで、指令燃料噴射量iQfを0に設定する(iQf=0)。
【0032】
次に図5を参照して、本実施形態での燃料カット実行・停止動作について説明する。
図5には、アクセルペダル開放時の第1の目標空燃比tABYF1、リッチスパイク用の第2の目標空燃比tABYF2、第1及び第2のしきい値ABYFth1,ABYFth2を示している。
【0033】
先ず、リッチスパイクを行っていない通常運転時において、従来と同じように燃料カットの実行と停止が切換えられる理由を説明する。
必要なこととして、エンジン回転数Neが上昇するに伴って、アクセル開放時の第1の目標空燃比tABYF1が大きくなるように設定されている。
アクセル開放時に目標空燃比tABYF(=tABYF1)が第1のしきい値ABYFth1より大きいことを条件として、燃料カットが実行され、燃料カットによるエンジン回転数Neの減少に伴ない、目標空燃比がtABYF(=tABYF1)が第2のしきい値ABYFth2以下まで減少すると、燃料カットが停止される。従って、従来と同じように燃料カットを停止することができる。
【0034】
次に、従来例で問題とした燃料カット実行状態からリッチスパイクに移行できない問題が解決する理由を説明する。これは、リッチスパイクのために設定される第2の目標空燃比tABYF2を、第2のしきい値ABYFth2以下に設定しておくことによって、リッチスパイクが要求された場合に確実に燃料カットを停止することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示す基本構成図
【図2】 目標空燃比設定手段の詳細構成図
【図3】 演算処理手順を示すフローチャート
【図4】 第1の目標空燃比の設定用マップを示す図
【図5】 燃料カット実行・停止動作の説明図
【符号の説明】
1 エンジン
2 燃焼室
3 吸気通路
4 燃料噴射弁
5 排気通路
6 NOxトラップ触媒
11 アクセルペダル踏込み量検出手段
12 エンジン回転数検出手段
13 吸入空気量検出手段
14 目標空燃比設定手段
14−1 第1の目標空燃比設定手段
14−2 第2の目標空燃比設定手段
14−3 NOxトラップ触媒再生時期判定手段
14−4 目標空燃比選択手段
15 目標燃料噴射量設定手段
16 燃料カット実行・停止判定手段
17 指令燃料噴射量設定手段

Claims (3)

  1. アクセルペダル踏込み量を検出する手段と、
    エンジン回転数を検出する手段と、
    吸入空気量を検出する手段と、
    通常運転時に少なくともアクセルペダル踏込み量が所定値以下の場合にエンジン回転数が上昇するほどリーンとなるように目標空燃比を設定し、特定運転時に通常運転時の目標空燃比よりリッチとなるように目標空燃比を設定する手段と、
    前記吸入空気量と前記目標空燃比とに基づいて、目標燃料噴射量を設定する手段と、
    前記アクセルペダル踏込み量と前記目標空燃比とに基づいて、燃料カットの実行・停止を判定する手段と、
    前記目標燃料噴射量を基に、前記燃料カットの実行・停止の判定結果に従って、指令燃料噴射量を設定する手段と、
    を含んで構成されるエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料カットの実行・停止を判定する手段は、アクセルペダル踏込み量が所定値以下で、かつ目標空燃比が第1のしきい値よりもリーンであることを条件に、燃料カットを実行するように判定し、アクセルペダル踏込み量が所定値を超えるか、又は目標空燃比が前記第1のしきい値よりリッチ側の第2のしきい値よりもリッチであることを条件に、燃料カットを停止するように判定することを特徴とする請求項1記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 前記目標空燃比を設定する手段は、
    アクセルペダル階込み量とエンジン回転数とから、少なくともアクセルペダル踏込み量が所定値以下の場合にエンジン回転数が上昇するほどリーンとなるように第1の目標空燃比を設定する手段と、
    前記第1の空燃比よりリッチな第2の目標空燃比を設定する手段と、
    排気系に備えられるNOxトラップ触媒の再生時期を判定する手段と、
    前記NOxトラップ触媒の再生時期でない場合に、目標空燃比として、前記第1の目標空燃比を選択し、再生時期の場合に、目標空燃比として、前記第2の目標空燃比を選択する手段と、
    を含んで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエンジンの燃料噴射制御装置。
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