JP3771500B2 - 無血清培地−無フィーダー細胞系を用いた哺乳動物胚由来未分化細胞の培養及び細胞株樹立方法 - Google Patents
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Description
本発明は、哺乳動物胚由来未分化細胞の培養及び細胞株樹立方法、特に、無血清培地−無フィーダー細胞系を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養及び細胞株樹立方法、及び該細胞の培養及び細胞株樹立方法を用いたクローン牛の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
胚性幹細胞(ES細胞)は、マウスでは複数の細胞株が樹立され、これらの細胞は、体外で培養すると、3種類の胚葉(germ layer)、すなわち、外胚葉、内胚葉、中胚葉の細胞層に分化する能力を有している。また、ES細胞をマウス初期胚(主に胚盤胞期胚)に移植することにより、キメラマウスを作製することができる(Forrester L. M et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 7514-7517, 1991; Palacios R et al., Dev. Biol, 92: 7530-7534, 1995)。
【0003】
最近では、ヒト胚盤胞期胚からも多分化能(pluripotency)を有し、長期間未分化のまま細胞分裂可能なES細胞株の樹立が報告されている(Thomson J. A et al., Science, 282: 1145-1147, 1998)。しかし、これまでに家畜においては多分化能を有し、体外培養系で長期継代培養可能なES細胞株の樹立についての報告はないが、中型・大型家畜についての初期胚(主に胚盤胞期胚)より未分化形質を保有する細胞の体外培養についていくつか報告されている。Talbotら(In Vitro Cell. Dev. Biol. 29A: 543-554, 1993)は、免疫手術を施して栄養膜細胞を除去したブタ胚盤胞期胚から、マウスSTO細胞をフィーダー細胞として用い、血清培地で培養することにより未分化細胞(epiblasts胚盤葉上層)の培養に成功している。この細胞を体外培養したところ、線維芽細胞、内胚葉由来細胞などに分化することを示した。
【0004】
同じ研究グループは、ブタの場合と同じ培養方法で、ウシ胚盤胞期胚からepiblastsを単離・培養し、体外培養で3胚葉性細胞(内胚葉、中胚葉、外胚葉)の特徴を有するそれぞれの細胞を得ている(Talbot, N. C et al.,Mol. Reprod. Dev. 42: 35-52,1995)。しかし、この培養条件ではepiblastsに細胞寿命があり細胞分裂が停止すること、未分化状態が維持されず分化細胞に移行してしまうという欠点があった。Talbotら(Biol. Reprod. 62: 235-247, 2000)は、マウスSTO細胞をフィーダー細胞とし、血清培地を用いて、ウシ胚盤胞期胚よりインターフェロンータウを産生する栄養膜細胞(trophecdoderm cells)と血清タンパク質であるトランスフェリンを産生する内胚葉性細胞(endoderm cells)の比較的未分化能を有している胚由来細胞の継代培養に成功している。ブタ脱出胚盤胞期胚から、マウスSTOフィーダー細胞と血清培地を用いて染色体数が正常で、アルカリフォスファターゼ染色陽性を示すES様細胞の報告もある(Chen et al., Theriogenology, 52: 195-212, 1999)。このES様細胞は、凍結保存可能で、体外培養により、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉性の体細胞に分化する能力があることも示した。
【0005】
Van Stekelenburg-Hamer ら (Mol. Repro. Dev. 40: 444-454, 1995)は、ウシ胚盤胞期胚から内部細胞塊(ICM)由来細胞の伸展及び細胞増殖には、マウスSTOフィーダー細胞の利用とチャコールを通した血清を添加した培地が重要であると報告している。未分化細胞株の樹立効率を調べたところ、フィーダー細胞としてウシ子宮上皮細胞を使用したところ9%であったが、マウスSTO細胞では49%の高い値が得られた。また、マウス線維芽細胞をフィーダー細胞として利用し、血清添加培地で培養すると、ウシ胚盤胞期胚のICMから未分化細胞株の樹立率は44.7%であった。(家畜受精卵移植技術研究組合、平成11年度研究開発報告書、pp15-pp39,2000)。ヒトES細胞の継代培養にも、通常は、マウス線維芽細胞などの体細胞をフィーダー細胞として用いることが必須と考えられているが、Xuら(Nature Biotech, 19. 971-974,2001)は、ヒトES細胞をフィーダー細胞に用いず、マトリゲルやラミニン処理シャーレを利用し、培地にマウス線維芽細胞の培養上清を添加すると、130回以上細胞分裂が可能であると報告している。また、霊長類由来始原幹細胞を、細胞外マトリックスを含むフィーダー細胞を含まない培養系で、培地に血清を添加して増殖させる方法も開示されている(特表2001−520036号公報)。
【0006】
本発明者は、すでにウシ胚盤胞期胚からES様細胞の単離・培養に成功している(特願2000−356600、ウシES様細胞の樹立方法とウシES様細胞株)。しかし、この培養方法は、初代培養では、マウス線維芽細胞のフィーダーが必要であり、細胞増殖させるためには初代培養、継代培養ともに血清培地が必須であった。
また、本発明者は、無血清培地を用い、メタロプロテイナーゼインヒビターの存在下で受精卵を体外培養し、胚発生を行う方法を開示した(特許第2006047号)。しかし、該方法は胚由来の未分化細胞の初代培養、継代培養に対するものではなかった。
このようにES細胞などの未分化細胞株の樹立や継代培養には、通常フィーダー細胞の利用と血清培地が用いられている。しかし、従来のフィーダー細胞を利用して血清培地で培養しても、初期胚から確実に未分化細胞が伸展・増殖して細胞株として樹立できる保証はなく、また、初代培養に成功しても継代培養で血清中に含まれる分化促進因子などの影響でたまたま未分化能を喪失することも知られている。また、この培養方法では、フィーダー細胞を準備する手間がかかること、細胞の未分化状態を維持可能な血清ロットを選択する必要があることなど、いくつかの欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、ウシのような哺乳動物のES細胞など胚由来未分化細胞は、種を問わずにフィーダー細胞を利用し、血清培地で体外培養することが一般的に行われている。この方法では体外培養した初期胚から未分化細胞が伸展及び増殖して未分化細胞株として樹立する効率が低いという問題がある。また、血清中には分化促進因子などが含まれており、継代培養するにつれて、細胞の分化が誘導されることの問題も指摘されている。
【0008】
従って、従来のフィーダー細胞を利用して血清培地で培養しても、初期胚から確実に未分化細胞を伸展・増殖して細胞株として樹立できる保証はなく、また、初代培養に成功しても継代培養で血清中に含まれる分化促進因子などの影響で、たまたま未分化能を喪失することもある。更に、フィーダー細胞及び血清培地を利用した従来の培養方法は、フィーダー細胞を準備する手間がかかること、細胞の未分化状態を維持可能な血清ロットを選択する必要があることなどの問題も含んでおり、これらの問題を解決するための、改良が課題となっている。特に、ウシのような家畜においては、従来の方法では、多分化能を有し、なおかつ未分化状態を維持し、体外培養系で長期継代培養可能なES細胞株の樹立ができてなく、それらの細胞株の樹立と培養を有効に行いうる方法の開発が課題となっている。
【0009】
そこで、本発明の課題は、ウシのような哺乳動物の初期胚由来未分化細胞の培養及び細胞株の樹立に有効な、ウシ胚由来未分化細胞の培養方法及び該細胞株の樹立方法を提供することにあり、なおかつフィーダー細胞及び血清培地を利用した従来の方法の問題点を改善したウシ胚由来未分化細胞の培養方法及び該細胞株の樹立方法を提供することにある。更に、本発明の課題は、該細胞の培養方法及び該細胞株の樹立方法を利用して、クローン牛を作製する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、フィーダー細胞を利用する替わりに、初期胚(胚盤胞期胚)をコラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質の基質を利用して、しかも、改良された無血清培地で体外培養すると、ウシ胚由来未分化細胞のような未分化細胞でも良好な伸展・増殖が誘導され、効率的に未分化細胞株の樹立が可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、初期胚より効率的に未分化細胞株の樹立が可能となり、ウシのような家畜の未分化細胞株の樹立が可能となる。更に、クローン技術との組み合わせにより、細胞分裂により得た多数の未分化細胞をドナー細胞として活用した核移植クローン牛の大量生産が可能となり、その結果、遺伝子診断された子牛(性判別、遺伝子疾患フリー、高肉質、高ミルク泌乳牛など)の大量生産が期待できる。
【0011】
すなわち本発明は、細胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンを基質とし、MEM改変無血清培地を用いることを特徴とする無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項1)や、基質のコラーゲンが、I型コラーゲン薄膜層からなることを特徴とする請求項1記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項2)や、MEM改変培地が、MEMα培地であることを特徴とする請求項1又は2記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項3)や、MEM改変培地が、更にアルブミン、ホルモン、未分化細胞増殖因子、抗酸化剤、細胞外マトリックス成分、及び非必須アミノ酸溶液からなる成分、或いは該群から選択される成分を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項4)や、無血清培地が、MEMα培地に、インスリン、TGFα、ヘパリンを含有させたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項5)や、無血清培地が、MEMα培地に、牛血清アルブミン、インスリン、TGFα、aFGF、ヘパリン、2−メルカプトエタノール、MEM非必須アミノ酸からなる添加物、又はこれらの添加物の1乃至数種の添加物の削除或いは付加、又は添加物同効物を置換した添加物を含有させたものからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法(請求項6)からなる。
【0012】
また本発明は、ウシ胚由来未分化細胞を、請求項1〜6のいずれか記載の培養方法で培養することにより初代培養を行い、培養した細胞を単一又は細胞小集団に分離した後、請求項1〜6のいずれか記載の培養方法で培養することにより二次培養を行い、更に二次培養と同様の操作を繰り返すことによって継代培養を行うことを特徴とする無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞株の樹立方法(請求項7)や、ウシ胚由来未分化細胞のアルカリフォスファターゼ活性、テロメレース活性、遺伝子転写因子Oct−4遺伝子発現、及びSSEA−1抗原発現、又はそれらのいずれかを測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の方法で培養・樹立した無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の未分化状態の評価方法(請求項8)からなる。
【0013】
さらに本発明は、請求項1〜7のいずれか記載の培養方法で培養・樹立したウシ胚由来未分化細胞を、ドナー細胞として除核ウシ成熟卵子に核移植し、クローン胚を発生させ、移植可能な段階まで発生したクローン胚を、受胚牛に移植して受胎させることを特徴とするクローン牛の作製方法(請求項9)からなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(哺乳動物(ウシ)胚由来未分化細胞の培養方法)
本発明は、細胞外マトリックスタンパク質を基質とし、無血清培地を用いることにより哺乳動物(ウシ)胚由来未分化細胞を培養することよりなる。細胞外マトリックスタンパク質の基質としては、コラーゲンを好ましい基質として挙げることができ、コラーゲンの基質としては、I型コラーゲン薄膜層からなる基質をより好ましい基質として挙げることができる。
本発明で使用する無血清培地としては、MEM改変培地、特にMEMα培地を基本培地として用いることができる。本発明で使用する無血清培地には、アルブミンや増殖促進作用を持つホルモン、更には、未分化細胞増殖因子、抗酸化剤、細胞外マトリックス成分、及び非必須アミノ酸溶液からなる成分を添加して、胚由来未分化細胞の増殖と未分化状態の維持を図ることができる。アルブミンとしては、卵白アルブミン、牛血清アルブミンなどが挙げられるが、牛血清アルブミンを好適なアルブミンの例として挙げることができる。増殖促進作用を持つホルモンとして、本発明の培地にインスリンを添加することができる。
【0015】
未分化細胞増殖因子としては、TGFα、β(形質転換成長因子)、FGF(繊維芽細胞増殖因子)、IL(インターロイキン)、EGF(上皮細胞増殖因子)及びPDGF(血小板由来増殖因子)等、種々のものが利用できる。抗酸化剤としては、2−メルカプトエタノール、モノチオグリセロール及びジチオスレイトール等を単独或いは組み合わせて用いることができる。更に、細胞の増殖や細胞の未分化状態の維持のために、ヘパリンのような細胞外マトリックス成分を添加することができる。非必須アミノ酸としては、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−プロリン及びL−セリン等のアミノ酸を挙げることができる。
これらの添加成分を適宜、基本培地に添加して、無血清培地として使用することができる。
特に、好ましい配合例として例示すれば、無血清増殖培地として、MEMα培地を用い、これに、牛血清アルブミン、インスリン、TGFα、aFGF、ヘパリン、2-メルカプトエタノール、MEM 非必須アミノ酸溶液を添加した培地を挙げることができる。
本発明の実施の態様の一つを示せば、本発明は、I型−コラーゲン薄膜層処理した培養シャーレを用いて、種々の細胞増殖因子等を含む無血清培地で培養し、初期胚(胚盤胞期胚)の内部細胞塊(ICM)より伸展・増殖する未分化細胞株を樹立し、細胞増殖能と細胞未分化状態を維持した細胞株の培養を図ることよりなる。
【0016】
(哺乳動物胚由来未分化細胞株の樹立)
本発明の哺乳動物胚由来未分化細胞株の培養方法を用いて、哺乳動物胚由来未分化細胞株の樹立を行う。哺乳動物胚由来未分化細胞株の樹立を行うには、まず、哺乳動物胚由来未分化細胞を、本発明の培養方法を用いて初代培養を行う。次に、培養した細胞を単一又は細胞小集団に分離した後、本発明の培養方法で培養することにより二次培養を行い、更に二次培養と同様の操作を繰り返すことによって継代培養を行い、哺乳動物胚由来未分化細胞株を樹立する。
本発明の細胞株の樹立方法により、従来法では、難しかったウシのような家畜の初期胚(胚盤胞期胚)の内部細胞塊(ICM)より伸展・増殖する未分化細胞株の効率的な樹立が可能となり、細胞増殖能と細胞未分化状態を維持した細胞株の樹立を図ることができる。
【0017】
(培養・樹立した哺乳動物胚由来未分化細胞の未分化状態の評価)
本発明の哺乳動物胚由来未分化細胞の培養方法及び細胞株の樹立方法を用いて、哺乳動物胚由来未分化細胞の培養及び細胞株の樹立を行うに際しては、該培養・樹立した胚由来未分化細胞の未分化状態の評価が必要となる。従って、該評価方法も、本発明の実施の態様の一つに含まれる。
本発明において培養・樹立した胚由来未分化細胞の未分化状態の評価を行うには、哺乳動物胚由来未分化細胞のアルカリフォスファターゼ活性、テロメレース活性、遺伝子転写因子Oct−4遺伝子発現、及びSSEA−1抗原発現を測定することによって行う。
本発明の胚由来未分化細胞の未分化状態の評価方法によって、本発明により培養・樹立した胚由来未分化細胞の未分化状態の評価を行ったところ、ウシのような家畜の胚由来未分化細胞についても、培養・樹立した胚由来未分化細胞が、細胞増殖能と共に、良好な細胞未分化状態が維持されていることが確認された。
【0018】
(クローン牛の作製)
本発明においては、本発明により培養・樹立したウシ胚由来未分化細胞を用いて、クローン牛の作製を行う。本発明の方法によりクローン牛を作製するには、本発明の方法により培養・樹立した未分化細胞を、ドナー細胞として除核ウシ成熟卵子に核移植し、クローン胚を発生させ、移植可能な段階まで発生したクローン胚を、受胚牛に移植して受胎させることにより行う。未分化細胞の除核ウシ成熟卵子への核移植、及び、発生したクローン胚の受胚牛への移植は、この分野で通常用いられる方法を使用することができる。本発明の方法により、ウシ胚由来未分化細胞、及び受胚動物として受胚牛を用いてクローン牛を作製することを可能とした。
【0019】
(培養・樹立した未分化細胞株の利用)
本発明の方法により、従来法のようなフィーダー細胞を用いずに、コラーゲンのような細胞外マトリックスタンパク質を基質とし、改良された無血清培地で体外培養することにより、初期胚(胚盤胞期胚)を利用して、未分化細胞の良好な伸展・増殖を誘導し、効率的に未分化細胞株の樹立を行うことが可能となり、かつ培養初代細胞でも良好な細胞増殖が可能なので、十分量のDNAサンプルの調製が可能となる。その結果、同一胚より樹立した未分化細胞の性判別、各種遺伝子診断、肉質等のDNAマーカー解析など複数の診断、解析が可能となる。従来の初期胚での遺伝子診断では十分な量のDNAサンプル回収が望めないので、同一胚から複数の遺伝子診断は困難であった。
【0020】
更に、上記のとおり、本発明で培養・樹立した未分化細胞はドナー細胞として、核移植操作によりクローン胚作製を可能とし、受卵牛への移植により受胎・妊娠継続が可能なことから、個体発生能が明らかである。従って、本培養システムを活用すれば、初期胚より効率的に未分化細胞株の樹立が可能となり、無駄なく各々の初期胚の遺伝子診断ができるようになり、細胞株より十分量のDNAサンプルが得られるので複数の遺伝子診断やDNAマーカー解析が可能となる。また、前記するように、クローン技術との組み合わせにより、例えば、細胞分裂により得た多数の未分化細胞をドナー細胞として活用した核移植クローン牛の大量生産などに利用でき、その結果、遺伝子診断された子牛(性判別、遺伝子疾患フリー、高肉質、高ミルク泌乳牛など)の大量生産が期待される。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1.ウシ胚由来未分化細胞の培養及び未分化細胞株の樹立
(1)未分化細胞の培養及び未分化細胞株の樹立
本発明において、胚由来未分化細胞は、Yamashitaら(Cytotechnology, 31:121-129(1999))の方法により、体外培養で作成したウシ胚盤胞期胚(体外受精後、8〜9日)より樹立した。具体的には、屠蓄されたウシ卵巣より採取した未成熟卵子は、25〜30個づつ230μlの無血清培地(IVMD101;機能性ペプチド研究所製)の入ったリプロC−1培養プレート(機能性ペプチド研究所製)に移し、5%CO2/95%空気、38.5℃、飽和湿度条件下で20〜22時間培養して体外成熟を行った。
【0022】
次に、同じ培養気相条件で体外受精用培地(IVF100;機能性ペプチド研究所製)中に成熟卵子と精子を一緒にし、6時間培養して体外受精を行った。体外受精後は、230μlのIVMD101培地の入ったリプロC−1培養プレート1穴に25−30個づつ卵子をいれ、5%CO2/95%空気、38.5℃、飽和湿度培養条件で8〜9日発生培養を行い、胚盤胞期胚を作製した。無血清培地−無フィーダー細胞培養系を用いたウシ胚由来未分化細胞(ICM由来未分化細胞:ICM-S及び栄養膜由来未分化細胞:TE−S)の樹立方法を図1に示す。
ウシ胚由来未分化細胞の樹立には、発生培養8〜9日目の胚盤胞期胚を使用した。栄養膜細胞を27G注射針を使用して微小外科的手法で出来る限り除去した内部細胞塊(ICM)−rich分画は、0.15% I型コラーゲン薄膜層上(CELLGEN, I-AC;高研)に注射針で移動しないようにに軽く押しつけて固定し、培養を開始した。
【0023】
培養直後にコラーゲン薄膜層に接着した細胞塊は、4日目くらいで著しい細胞伸展・増殖して単層状の胚由来未分化細胞が観察された。ウシ胚盤胞期胚のICMよりES様細胞を培養する時に、I型コラーゲン薄膜層が二次培養以降の培養に有効であることはすでに出願中の特許(特願2000−356600)において確認しており、今回は、さらに無血清培地を開発してウシ胚由来未分化細胞を初代培養からI型コラーゲン薄膜層の上で培養できるようにした。
胚由来未分化細胞の初代培養、継代培養には、無血清増殖培地として、MEMα培地(GIBCO)に、3mg/ml 牛血清アルブミン(BSA;Intergen)、5μg/ml インスリン(Sigma)、10ng/ml TGFα(R&D Systems)、10ng/ml aFGF(R&D Systems)、10μg/ml ヘパリン(Sigma)、100μM2−メルカプトエタノール(半井科学)、1mM MEM非必須アミノ酸溶液 (x1:GIBCO)を添加した培地を用い、5%CO2/95%空気、37℃、飽和湿度の条件下で行った。
【0024】
ウシ胚由来未分化細胞は、トリプシン処理等により完全に単一細胞の分散状態にすると著しい細胞損傷が起こり、増殖能を失うことがあることから、継代培養操作としては、増殖期の初代培養した胚由来未分化細胞(ICM−S及びTE−S)を、実体顕微鏡下、注射針(27G)で、1−1.5mm四方の100〜数百個の細胞小集団として切りだし、0.15% I型コラーゲン薄膜層上に軽く押しつけて固定して無血清増殖培地で培養し、4日毎に培地交換をして15〜20日間隔で継代培養を行った。
ウシ胚由来未分化細胞の凍結保存は、増殖中の胚由来未分化細胞を1−1.5mm四方の細胞小集団とし、通常、胚盤胞期胚の凍結方法に用いる緩慢凍結法により行った。凍結操作は、細胞小集団を凍結保存液(機能性ペプチド研究所製)で3回浸透・平衡化処理を行った後、凍結用ストロー(IMV Technologie社)に封入し、プログラムフリーザー(CHINO社:ET−U3)を用いて植氷と凍結を行い、液体窒素中で保存した。融解操作は、細胞小集団が封入された凍結ストローをウオーターバス(38℃)に浸して急速解凍し、次に、あらかじめ5%CO2/95%空気、37℃、飽和湿度の条件下で平衡化した細胞増殖培地に細胞小集団を浸し、平衡化処理を行った後、コラーゲン薄膜層に固定し培養を再開した。
【0025】
(2)未分化細胞の培養及び未分化細胞株の樹立の結果
図2(参考写真1参照)は、ウシ初期胚(胚盤胞期胚)より分離した未分化細胞を初代培養した時の位相差顕微鏡写真を示す。ウシ胚盤胞期胚を図1の方法を用いてICM−rich分画を分離し、0.15% I型コラーゲン薄膜層上で無血清増殖培地を用いて培養すると、培養開始後4日目ですでに良好な細胞接着・伸展及び細胞増殖が観察された(図2−a;参考写真1参照)。最初ICM由来未分化細胞(ICM−S)の増殖が活発に見られ、それに伴って栄養膜由来未分化細胞(TE−S)と思われる細胞群がICM−S細胞の周辺部に増殖してきた。培養11日目では、ICM−S細胞、TE−S細胞ともに単層状に著しい細胞増殖が見られ、細胞数は数千〜1万以上に増え、ICM−S細胞は中心部(ICM固定部)の細胞が細胞分裂により小型化し著しく密集したドーム形成が観察され、外側のTE−S細胞とは混ざり合うことは無かった(図2−b;参考写真1参照)。無血清増殖培地からヘパリンを除いた培地で胚由来未分化細胞を培養したところ、TE−S細胞の増殖と細胞形態にはほとんど変化は見られなかったが、ICM−S細胞では、細胞増殖能の低下、細胞形態の変化が観察され、ICM−S細胞の未分化状態の維持及び細胞増殖にヘパリンは重要な因子であることが示された(図2−c−1,−2;参考写真1参照)。
【0026】
図3(参考写真2参照)は、ウシ胚由来未分化細胞の二次培養の位相差顕微鏡写真を示す。初代培養11日目のICM−S細胞及びTE−S細胞集団から純粋な細胞小集団を切り出し、初代培養と同様にコラーゲン薄膜層上に無血清増殖培地を用いて培養を行い、24時間後の細胞を観察した(図3−a,b;参考写真2参照)。均一な細胞集団となった二次培養のICM−S細胞及びTE−S細胞の形態の特徴としては、ICM−S細胞は、細胞の増殖速度が遅く、隣接する細胞の境界が明瞭で、細胞質内に小型の脂肪滴が多数観察された。一方、TE−S細胞は、細胞の増殖速度が早く、隣接する細胞の境界が不明瞭で細胞の形も様々な形態をとった。培養期間を延長し、7日目の細胞を観察した(図3−c,d;参考写真2参照)。ICM−S細胞及びTE−S細胞とも良好な増殖が見られた。この細胞小集団を切り出し、コラーゲン薄膜層上で無血清増殖培地で培養すると、さらに数回の継代培養が可能であった。
【0027】
表1はウシ胚由来未分化細胞をコラーゲン薄膜層上で無血清増殖培地を用いて初代培養を行った時に細胞接着・伸展及び細胞増殖が起こり細胞株として樹立出来た割合を示している。各実験区における細胞株の樹立率は66.7%〜91.7%となり、平均でも75.2%と高い値を示した。
【0028】
【表1】
【0029】
また、樹立された胚由来未分化細胞(ICM−S及びTE−S)は一般的な胚の凍結に用いられる緩慢凍結法で凍結保存が可能であり、凍結融解後の細胞の生存性も良好であり、体外培養すると著しい細胞増殖が観察された(図4−a,b;参考写真3参照)。
【0030】
実施例2.ウシ胚由来未分化細胞の未分化能の解析
胚性幹細胞(ES細胞)などの多分化能を有している未分化細胞は、アルカリフォスファターゼ陽性、テロメレース活性、Oct−4遺伝子の発現、Lex糖鎖抗原として知られるSSEA−1抗原の存在などが見られる。そこで、実施例1において樹立されたウシ胚由来未分化細胞の未分化能について検討した。
【0031】
a)アルカリフォスファターゼ活性染色
樹立した細胞株のアルカリフォスファターゼ活性の測定は、アルカリフォスファターゼ組織染色キット(SIGMA、86−R)を使用し、染色性を調べることにより行った。培地を吸引除去し、PBSで2回洗浄した後、風乾固定を行った。染色液は、15mlチューブ中で、硝酸ナトリウム溶液(sodium nitrite solution)とFRVアルカリ溶液(FRV-Alkaline solution)を200μlずつ混和し、これに9mlの超純水を加えた後、ナフトールAS−BLアルカリ溶液(Naphtal AS-BL Alkaline solution)を200μl加えて調製した。風乾固定したディッシュに染色液を加えた後、室温で30〜60分静置し染色を行い、倒立顕微鏡下で観察を行った。
【0032】
b)テロメレース活性測定
テロメレース活性の測定は、TeloChaserテロメレース活性測定キット(東洋紡)を用いて行った。1反応に使用する胚由来未分化細胞抽出蛋白質の量は、20μg/sampleで行った。テロメレース活性は、電気泳動した後、SYBR Green(宝酒造)染色したゲルを写真撮影し、増幅したPCR産物のバンドの染色強度より算出した。それぞれの細胞におけるテロメレース活性は、ポジティブコントロールとしてHeLa細胞抽出物(2.5μg/sample:1.25×104cells に相当)を100とした時の相対活性として表した。
【0033】
c)ウシOct−4遺伝子の発現解析
ウシOct−4遺伝子の発現解析のために、van Eijkら(Biol. Reprod., 60:1385-1391(1999))が報告している塩基配列を基に、プライマー[P1;5'-CAGGCCGATGTGGGGCTCACCCTGG-3'(配列番号1)、P2;5'-CAGTTTGAATGCAAGGGAGAGCCCAG-3'(配列番号2)]を合成し、RT−PCR法を行った。
【0034】
d)SSEA−1抗原蛍光抗体染色
培地を吸引除去し、PBSで2回洗浄した後、細胞を1% ホルマリン-PBSで25分間固定した。その後、3% BSA溶液でブロッキング操作を行い、SSAE−1抗原(協和発酵)一次抗体で37℃、1時間処理し、続いてFITC標識抗マウスイムノグロブリン抗体(Sigma)で37℃、30分間の処理を行い、蛍光顕微鏡下で観察を行った。
【0035】
(2)未分化能の解析結果
図5(参考写真4参照)は、無血清培養−無フィーダー細胞系で得た初代培養のICM−S細胞とTE−S細胞のアルカリフォスファターゼ活性を示している。ICM−S細胞はアルカリフォスファターゼ染色陽性を示し、TE−S細胞には活性が観察されなかった。
他の未分化状態の細胞の指標として、テロメラーゼ活性を調べたところ、ICM−S細胞、TE−S細胞ともに活性が確認された(図6−A)。テロメラーゼ活性の相対活性を見ると、ICM−S細胞がTE−S細胞に較べ高い値を示した(図6−B)。
同様に細胞の未分化能の指標であるOct−4遺伝子の発現を解析したところ、ICM−S細胞、TE−S細胞の両方で遺伝子発現が認められた(図7)。
さらに、種々の動物で、ES(様)細胞の細胞表面抗原の指標とされている糖鎖SSEA−1抗原(LeX 糖鎖抗原)の発現を検討した結果、TE−S細胞は発現が認められたが、ICM−S細胞では明確な発現は認められ無かった(図8;参考写真5参照)。これまでの研究において、SSEA−1抗原は未分化なマウスES細胞や始原生殖細胞で発現が認められるという報告がある一方、未分化状態のヒトES細胞では発現が認められないという報告があり、ウシ胚由来未分化細胞ICM−Sはヒト型のES細胞と類似した性格を持つ未分化細胞である可能性が高い。
【0036】
実施例3.ウシ胚由来未分化細胞をドナーとした核移植胚と受胚牛への移植試験実施例1により、樹立された初代培養のICM−S細胞(培養後15〜20日)は、0.1%トリプシン中で5〜10分間処理した後、ピペッティングにより細胞を分散させ、ドナー細胞とした。レシピエント卵子は、と畜場卵巣由来の卵子をIVMD101培地で20〜22時間成熟培養後、除核して用いた。細胞融合は、25V/150μm、10μsec、2回の電気刺激によりZimmerman's cell fusion medium(Wolfe and Kraemer, Theriogenology, 35, 266:1991)中で行った。活性化処理は、細胞融合後10μM CaイオノフォアA23187(Calbiochem-Novabiochem社)に遮光して5分曝し、10μg/ml シクロヘキシミド(Sigma)を含むIVMD101培地で5時間処理した。発生培養はIVMD101培地(機能性ペプチド研究所製)で行い、細胞融合後48時間後に分割率、7〜8日目に胚盤胞期胚発生率について調べた。受胚牛への移植は、発情後7〜8日目に新鮮胚または凍結融解胚を1胚移植した。凍結胚は、凍結保存液(1.5M エチレングリコール+0.1M シュークロース)を用い、前述と同様の方法で凍結し、移植前日に融解して生存の確認をした胚を移植した。受胎確認は、胎齢30日、40日、60日に7.5MHz電子走査型超音波診断装置(日立メディコ)により行った。
【0037】
(2)ウシ胚由来未分化細胞をドナーとした核移植胚と受胚牛への移植試験の結果
ICM−S細胞をドナーとした核移植成績は、細胞融合率、分割率及び胚盤胞期胚発生率は、それぞれ27.6%、76.7%、20.9%であった(表2)。
【0038】
【表2】
【0039】
受卵牛への胚移植成績は、新鮮胚で1頭(1/1)、凍結胚で1頭(1/4)の受胎が確認され(表3)、60日経過してもいずれも妊娠継続中であった(図9A,B;参考写真6参照)。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】
本発明の無血清培地−無フィーダー細胞培養方法を用いることにより、ウシのような家畜においても、多分化能を有し、体外細胞系で長期継代培養可能なES細胞の培養及び効率的な細胞株の樹立が可能となる。この方法で樹立した未分化細胞株は、凍結保存可能で、しかも除核したウシ成熟卵子にドナー細胞として核移植操作を施すことにより、クローン胚を移植可能な胚盤胞期胚まで発生させることができる。更に、この胚盤胞期胚をレシピエント牛に移植することにより、受胎を行うことができ、妊娠を継続することができる。この事実から、本発明の体外培養方法で樹立された未分化細胞は、多分化能を有し、個体発生能を有する細胞と確認される。
また、発明の方法により、未分化細胞の良好な伸展・増殖が誘導され、効率的に未分化細胞株の樹立が可能となることにより、培養初代細胞でも良好な細胞増殖が可能となり、十分量のDNAサンプルの調製が可能となり、同一胚より樹立した未分化細胞の性判別、各種遺伝子診断、肉質等のDNAマーカー解析等の複数の診断、解析が可能となる。
【0042】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において、本発明の方法を用いたウシ胚由来未分化細胞の樹立方法を示す図である。
【図2】本発明の実施例において、本発明の方法を用いてウシ初期胚より分離した未分化細胞を初代培養した時の位相差顕微鏡写真を示す図である。
【図3】本発明の実施例において、本発明の方法を用いてウシ胚由来未分化細胞を二次培養した場合の位相差顕微鏡写真を示す図である。
【図4】本発明の実施例において、本発明の方法により樹立された胚由来未分化細胞を凍結保存し、凍結融解後の細胞を体外培養して細胞増殖の状況を観察した結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例において、本発明の方法で得た初代培養のICM−S細胞とTE−S細胞のアルカリフォスファターゼ活性染色の結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例において、本発明の方法で得た未分化状態の細胞の指標として、テロメラーゼ活性測定の結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例において、本発明の方法で得た未分化能の指標であるOct−4遺伝子の発現を解析した結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例において、種々の動物で、ES(様)細胞の細胞表面抗原の指標とされている糖鎖SSEA−1抗原(LeX 糖鎖抗原)の発現を検討した結果を示す図である。
【図9】本発明の実施例において、本発明の方法を用いて樹立した胚由来未分化細胞を受卵牛への胚移植を行い、新鮮胚で1頭(A)、凍結胚で1頭(B)の受胎を確認した後、60日経過後の妊娠継続中の状況を示すである。
Claims (9)
- 細胞外マトリックスタンパク質であるコラーゲンを基質とし、MEM改変無血清培地を用いることを特徴とする無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- 基質のコラーゲンが、I型コラーゲン薄膜層からなることを特徴とする請求項1記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- MEM改変培地が、MEMα培地であることを特徴とする請求項1又は2記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- MEM改変培地が、更にアルブミン、ホルモン、未分化細胞増殖因子、抗酸化剤、細胞外マトリックス成分、及び非必須アミノ酸溶液からなる成分、或いは該群から選択される成分を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- 無血清培地が、MEMα培地に、インスリン、TGFα、ヘパリンを含有させたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- 無血清培地が、MEMα培地に、牛血清アルブミン、インスリン、TGFα、aFGF、ヘパリン、2−メルカプトエタノール、MEM非必須アミノ酸からなる添加物、又はこれらの添加物の1乃至数種の添加物の削除或いは付加、又は添加物同効物を置換した添加物を含有させたものからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の培養方法。
- ウシ胚由来未分化細胞を、請求項1〜6のいずれか記載の培養方法で培養することにより初代培養を行い、培養した細胞を単一又は細胞小集団に分離した後、請求項1〜6のいずれか記載の培養方法で培養することにより二次培養を行い、更に二次培養と同様の操作を繰り返すことによって継代培養を行うことを特徴とする無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞株の樹立方法。
- ウシ胚由来未分化細胞のアルカリフォスファターゼ活性、テロメレース活性、遺伝子転写因子Oct−4遺伝子発現、及びSSEA−1抗原発現、又はそれらのいずれかを測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の方法で培養・樹立した無フィーダー細胞系無血清培地を用いたウシ胚由来未分化細胞の未分化状態の評価方法。
- 請求項1〜7のいずれか記載の培養方法で培養・樹立したウシ胚由来未分化細胞を、ドナー細胞として除核ウシ成熟卵子に核移植し、クローン胚を発生させ、移植可能な段階まで発生したクローン胚を、受胚牛に移植して受胎させることを特徴とするクローン牛の作製方法。
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