JP3769432B2 - 符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法及び基地局 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基地局から複数の移動局へ向けた送信信号が拡散符号によって拡散され伝送される符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法及び基地局に関する。
【0002】
【従来の技術】
符号分割多重セルラの下り回線では、基地局において複数の移動局へ向けた送信信号がそれぞれ異なる拡散符号によって拡散、重畳された後に一括して送信される。下り回線では、複数の移動局へ向けた信号が基地局から一括して伝送されるため、送信信号間の同期を取ることが容易である。そこで、各送信信号を直交同期符号により拡散することによって送信信号間の干渉を抑制することが可能となる。
【0003】
一方、他基地局からの下り回線信号は同期を取ることが困難であるため、これらの基地局からの干渉を抑制する手段として、直交同期符号にさらに基地局固有のスクランブル符号を乗じる手法が用いられる。ここで、スクランブル符号としてはゴールド符号等が用いられる。
【0004】
本手法を用いた場合の基地局送信装置構成を図12に示す。図12に示す拡散加算装置spuでは、乗算器001において移動局へ向けた送信信号Si(iは移動局番号)と直交符号Co,iとが掛け合わされ、掛け合わせた後の出力信号は加算器002において加算され、さらに加算器002の出力信号は乗算器001においてスクランブル符号Csと掛け合わされて合成拡散信号sdが出力される。合成拡散信号sdは、変調装置003において変調がかけられた後にアンテナ004から各移動局へ向けて送信される。
【0005】
上述の図12に示した拡散手法を全ての基地局が用いることによって、移動局において受信される他基地局からの下り回線干渉はランダム化され、誤り訂正符号との併用によってこれらの干渉を抑制することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
CDMAセルラシステムでは以下のような理由により符号消費が促進されるため、直交符号に不足が生じる状況が多く発生する。
【0007】
まず、ソフトハンドオーバ(Soft Hand−Over;SHO)が適用されると複数の基地局が1移動局のために同一信号を送信するために、SHOが適用されない場合に比べて符号消費が増す。また、音声の無音区間では信号の送信を一時停止して干渉を減らし、より多くの移動局を収容する方法が取られるために、常にオン状態である情報源を伝送する場合に比べて符号消費が増える。さらに、符号消費は伝搬環境によっても変化し、伝搬路に遮蔽物が多く存在する場合等は他セル干渉がよく抑圧されて容量が増すために、基地局での符号消費が増える。
【0008】
以上のような理由により基地局に直交符号数を超える数の移動局が接続される場合には、1基地局で複数のスクランブル符号を用いることで拡散符号不足に対処する手法が取られる。
【0009】
図13はk個のスクランブル符号を用いる場合の基地局送信装置構成を示した図である。拡散加算装置spu−j(jはスクランブル符号番号)では、送信信号Sj,h(hは直交符号番号)、直交符号Co,h、およびスクランブル符号Cs,jがそれぞれ入力され、合成拡散信号sd−jが出力される。図13中のnjはj番目スクランブル符号より生成される直交符号の使用数を表している。合成拡散信号の出力sd−jは加算器002において加算された後、変調装置003で変調がかけられてアンテナ004より各移動局へ向けて放出される。
【0010】
図13のように1基地局で複数のスクランブル符号を同時に用いる場合、伝送速度、所要ビット誤り率などの要求品質が異なる送信信号や、セル内での移動局位置、干渉量等に依存する受信品質の異なる送信信号が1つの基地局において取り扱われると、割り当てられたスクランブル符号の違いのために各送信信号が受ける同一セル内の他の送信信号からの干渉の程度に差が生じ、通信品質の不平等や干渉劣化が生じる問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
スクランブル符号と直交符号とを乗じることで生成される拡散符号に優先度を設け、前記優先度を移動局の要求品質や受信品質によって変化させる。
【0012】
拡散符号の優先度を要求品質や受信品質によって変化させることで、異なる要求品質、受信品質をもった移動局間の干渉を制御し、移動局における信号受信品質の不公平を緩和し、不公平によって生じる干渉劣化を抑制する。
【0013】
【発明の実施の形態】
[構成の説明]
本発明の第一の実施形態における拡散符号割当方法では、複数の第一符号を含む第一の符号セットと、1又は複数の第二符号を含む第二の符号セットとを有している。ここで、第一符号は、直交符号が該当し、第二符号はスクランブル符号が該当する。スクランブル符号としては、ゴールド符号やゴールド符号の一部等を用いることができる。
【0014】
そして、第一の符号セットに第二符号を割り当て、複数の第一の符号に前記割り当てた第二符号を乗じて複数の結合符号を生成する。結合符号が生成されると、基地局から移動局に送信される送信信号に結合符号を割り当て、割り当てられた結合符号により送信信号を拡散し、拡散された送信信号を移動局へ送信する。
【0015】
本発明では、結合符号に優先度を付ける。そして、優先度の高い結合符号から優先して送信信号に割り当てる。ここで、優先度は送信信号毎に変化させる。具体的には、移動局からの回線品質値情報や要求品質値情報に基づいて優先度を送信信号毎に変化させる。
【0016】
以下では、本発明の拡散符号割当方法を基地局送信装置に適用した第一の実施の形態を図1及び図2を用いて説明する。
【0017】
図1はk個のスクランブル符号を用いる場合の基地局送信装置構成を示した図である。
【0018】
本発明の第一の実施の形態は、拡散加算装置spu−j(jはスクランブル符号番号)と、加算器002と、変調装置003と、アンテナ004とから構成される。
【0019】
拡散加算装置spu−jは、送信信号Sj,h(hは直交符号番号)に対して、直交符号Co,h、およびスクランブル符号Cs,jの結合符号を割り当て、合成拡散信号sd−jを出力する。図1中のnjはj番目スクランブル符号より生成される直交符号の使用数を表している。ここで、送信信号には共通制御信号が含まれてもよい。
【0020】
加算器002は、合成拡散信号の出力sd−jのおのおのを加算する。
【0021】
変調装置003は、加算器002で加算されたで合成拡散信号を変調する。
【0022】
アンテナ004は、変調装置003で変調された合成拡散信号を各移動局へ向けて放出する。
【0023】
フィードバック情報受信手段005は、アンテナ006より移動局からフィードバック情報として回線品質情報や要求品質情報を受信する。
【0024】
優先度決定手段007は、フィードバック情報受信手段005からフィードバック情報を受け取り、この情報に基づいて送信信号毎に結合符号の優先度を決定する。
【0025】
[動作の説明]
次に本実施の形態の動作について図1及び図2を用いて説明する。
【0026】
図2は、直交符号とスクランブル符号から構成される結合符号を移動局へ割り当てる際に、基地局における割り当て処理の流れ図を示している。
【0027】
基地局は、処理101において、変数maに符号割り当ての対象となる移動局の番号を設定する。処理102において、移動局maからフィードバック情報の伝達を受ける。ここでフィードバック情報として、共通制御信号の受信電力、希望信号対干渉信号電力比等の回線品質値情報や、伝送速度、所要誤り率等の要求品質値情報を与える。
【0028】
ここで、回線品質値として希望信号電力対干渉信号電力比を採用した場合、接続中の基地局より放出された共通制御信号の受信電力を調べ、非接続中の基地局より放出された共通制御信号の受信電力を調べ、接続中の基地局に対応する受信電力と非接続中の基地局に対応する受信電力との比により希望信号対干渉信号電力比を算出することができる。
【0029】
処理103においてフィードバック情報に基づいて結合符号の優先度を設定し、さらに処理104において優先度変数pに1、すなわち最上位優先度を設定する。処理106において、優先度pの結合符号が使用中であるか否かを判定し、優先度pの結合符号が使用中であれば、処理105において優先度変数pに1を加えて処理106へ戻る。
【0030】
処理106において優先度pの結合符号が使用中でないと判断された場合には、処理107において優先度pの結合符号を移動局maに割り当て、割り当てた結合符号情報を基地局から移動局maに通知し、符号割り当て処理を完了する。
【0031】
なお、割り当てられた符号を用いて基地局から移動局へ送信する送信信号には共通制御信号を含めることができ、この場合、共通制御信号には最も優先度の高い結合符号を割り当てるのが良い。
【0032】
[第一の優先度の設定例]
図3、図4ならびに図5は、本発明の第一の実施の形態である図2の処理103において優先度決定手段007にて設定される各結合符号の優先度の設定例を示している。この例では、回線品質値に基づいて優先度を設定する。
【0033】
図3の横軸は移動局が観測する回線品質値を表し、図3のように回線品質値はいくつかのしきい値で分割される。回線品質値としては、移動局で観測される干渉電力、移動局が受信する共通制御信号受信電力、および希望信号電力対干渉信号電力比等が考えられる。移動局が測定したこれらの回線品質値は図2の処理102において基地局へ伝達される。
【0034】
図3に示すように、前記しきい値で区切られた複数の値域にはそれぞれ回線品質値分類を設定する。これにより同程度の回線品質値に対しては等しい回線品質値分類が適用される。移動局で観測された回線品質値に応じて、図3より回線品質値分類が選択される。
【0035】
基地局では、優先度決定手段007にて回線品質分値に基づいて、具体的には回線品質値分類毎に、結合符号の優先度を決定する。その際に第二符号であるスクランブル符号にに優先度を付け、又は直交符号である第一符号及び第二符号に優先度を付けて、結合符号の優先度を決定する。その際に回線品質値分類毎にスクランブル符号の優先度又はスクランブル符号及び直交符号の優先度を等しく設定する。
【0036】
図4及び図5は、回線品質値分類Q1、Q2における各結合符号の優先度の設定例を示したものである。図4(a),(b)、図5(a),(b)に示した各表における横軸はスクランブル符号の番号を、縦軸は直交符号の番号を表し、表の各要素が各結合符号の優先度である。
【0037】
図4の例では、スクランブル符号に優先度を設け回線品質値に応じてスクランブル符号の優先度を変化さている。図4(a)では、スクランブル符号1の優先度が1、スクランブル符号2の優先度が2とされ、図4(b)のスクランブル符号1の優先度が2、スクランブル符号2の優先度が1と設定されている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0038】
その結果、図4(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度を1〜8を割り当て、図4(a)スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図4(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図4(b)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられている。この例では直交符号には優先度は付けられておらず、スクランブル符号毎に、直交符号がランダムに割当られている。
【0039】
図5の例では、図4の例と同様にスクランブル符号に優先度を設け回線品質値に応じてスクランブル符号の優先度を変化させている。図5(a)では、スクランブル符号1の優先度が1、スクランブル符号2の優先度が2とされ、図5(b)のスクランブル符号1の優先度が2、スクランブル符号2の優先度が1と設定されている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0040】
その結果、図5(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度を1〜8を割り当て、図5(a)スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図5(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図5(b)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられている。
【0041】
更に、この例では、直交符号符号に優先度を設けている。具体的には、図5(a),(b)では、直交符号1、2、…、8にそれぞれ直交符号の優先度を1、2…8としている。そして、これら直交符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0042】
具体的には、図5(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1)(1,2)…(1,8);(スクランブル符号番号,直交符号番号)、に対して1、2、…、8としている。また、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1)(2,2)…(2,8)、に対して9、10、…、16としている。また図5(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1)(1,2)…(1,8)に対して9、10、…、16としている。また、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1)(2,2)…(2,8)、に対して1、2、…、8としている。
【0043】
なお、この図5(a),(b)の例では、一律に直交符号の優先度を定めているが、スクランブル符号と同様に回線品質値に応じて優先度を変化させても良い。
【0044】
[効果]
下り回線の送信電力制御が適用される場合、各移動局へ向けた送信電力は回線品質によって変化し、送信電力の相異は各移動局が受信する他の下り送信信号からの干渉量に不平等を引き起こす。図4、5のように、本実施の形態によると回線品質値分類によって結合符号の優先度が変わり、送信信号と結合符号の割り当てが回線品質で分類分けされる。これによって、回線品質の相違に起因する各移動局における通話受信品質の不平等が抑制される。
【0045】
特に回線品質値として共通制御信号受信電力が用いられている場合には以下に述べるような干渉低減効果が期待できる。
【0046】
図3、図4、図5に示した本実施の形態によると共通制御信号受信電力が同程度の移動局、すなわち基地局と移動局との伝播損失が同程度である移動局へは等しいスクランブル符号が割り当てられる。同一のスクランブル符号が割り当てられた送信信号間は同一の直交符号セットが割り当てられるために相互の干渉が小さく抑えられる。
【0047】
送信電力制御が行われる場合、共通制御信号受信電力が低い移動局へ向けた送信信号、すなわち基地局までの伝播損失が大きい移動局へ向けた送信信号は、基地局から大きな出力でもって放出され、これが他の無線回線へ大きな干渉をおよぼす。図3、図4、図5に示した本実施の形態によると、当該送信信号には同一の直交符号セットからなる結合符号が割り当てるために、当該送信信号間の相互の干渉が抑制される。
【0048】
一方、共通制御信号受信電力が高い移動局へ向けた送信信号、すなわち基地局までの伝播損失が小さい移動局へ向けた送信信号へは、伝播損を補償するための送信電力は小さく設定できる。このように送信電力の設定に余裕がある送信信号では、前記共通制御信号受信電力が小さい移動局へ向けた送信信号から大きな干渉を受けても、干渉に打ち勝つだけの高い送信電力を設定することが可能となり、干渉の軽減が期待できる。
【0049】
[第二の優先度の設定例]
図6は、本発明の第一の実施の形態である図1の処理102において基地局の優先度決定手段007にて設定される各結合符号の優先度の第二の設定例を示している。この例では、伝送品質要求量に基づいて優先度を設定する。伝送品質要求量としては伝送速度、伝送誤り率や、伝送速度と伝送誤り率の関数等が考えられる。
【0050】
図6の横軸および縦軸は、それぞれ、移動局が要求する伝送速度および伝送誤り率を表している。図6のl−1,l−2,l−3,l−4は、伝送品質要求量分類Qo−a,〜Qo−iを規定するための境界線である。移動局が要求したこれらの伝送品質要求量は図2の処理102において基地局へ伝達される。図6では、同程度の伝送速度、伝送誤り率に対しては等しい伝送品質要求量分類が適用されるようにしている。
【0051】
移動局で要求された伝送品質要求量に基づき、送信信号の伝送速度ならびに当該送信信号に必要とされる伝送誤り率に応じて、図6における伝送品質要求量分類が選択される。
【0052】
基地局では、優先度決定手段007にて伝送品質要求量に基づいて、具体的には伝送品質要求量分類毎に、結合符号の優先度を決定する。その際に第二符号であるスクランブル符号にに優先度を付け、又は直交符号である第一符号及び第二符号に優先度を付けて、結合符号の優先度を決定する。その際に伝送品質要求量分類毎にスクランブル符号の優先度又はスクランブル符号及び直交符号の優先度を等しく設定する。
【0053】
図7及び図8は伝送品質要求量分類Qo−a,Qo−bにおける各結合符号の優先度の設定例を示したものである。図7(a),(b)、図8(a),(b)に示した各表における横軸はスクランブル符号の番号を、縦軸は直交符号の番号を表し、表の各要素が各結合符号の優先度である。
【0054】
伝送品質要求量分類Qo−bでは、Qo−aよりも高速な伝送を想定しており、1通話当たりの符号占有量をQo−aよりも大きく設定している。このような高速伝送を実現するための符号生成手法として、複数の直交符号を同時に用いる手法や、階層型直交符号を用いる手法が知られている。
【0055】
図7の例では、スクランブル符号に優先度を設け伝送品質要求量に応じてスクランブル符号の優先度を変化させている。図7(a)では、スクランブル符号1の優先度が1、スクランブル符号2の優先度が2とされ、図7(b)のスクランブル符号1の優先度が2、スクランブル符号2の優先度が1と設定されている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0056】
その結果、図7(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられ、図7(a)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図7(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度5〜8が割り当てられ、図7(b)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜4が割り当てられている。この例では直交符号には優先度は付けられておらず、スクランブル符号毎に、直交符号がランダムに割当られている。
【0057】
図8の例では、図7の例と同様にスクランブル符号に優先度を設け伝送品質要求量に応じてスクランブル符号の優先度を変化させている。図8(a)では、スクランブル符号1の優先度が1、スクランブル符号2の優先度が2とされ、図8(b)のスクランブル符号1の優先度が2、スクランブル符号2の優先度が1と設定されている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0058】
その結果、図8(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられ、図8(a)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度9〜16が割り当てられ、図8(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度5〜8が割り当てられ、図8(b)のスクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜4が割り当てられている。
【0059】
更に、この例では、直交符号に優先度を設けている。具体的には、図8(a)では、直交符号1、2、…、8にそれぞれ直交符号の優先度を1、2…8としている。図8(b)では、直交符号1及び2、3及び4、5及び6、7及び8にそれぞれ直交符号の優先度を1、2、3、4としている。
【0060】
そして、これら直交符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。具体的には、図8(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1)(1,2)…(1,8);(スクランブル符号番号,直交符号番号)、に対して1、2、…、8としている。また、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1)(2,2)…(2,8)、に対して9、10、…、16としている。
【0061】
また図8(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1&2)、(1,3&4)、(1,5&6)、(1,7&8)に対して5、6、7、8としている。また、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1&2)、(2,3&4)、(2,5&6)、(2,7&8)、に対して1、2、3、4としている。
【0062】
ここで、結合符号(A,B&C)は、スクランブル符号Aに対して、BとCの直交符号を同時に用いていることを示す。
【0063】
[効果]
図6、7、8のように、本実施形態では伝送品質要求量分類によって結合符号の優先度を変えている。このように、伝送速度や伝送誤り率等で与えられる伝送品質要求量に応じて結合符号の優先度を変えることで、送信信号と結合符号の割り当てが伝送速度や伝送誤り率によって分類分けされる。
【0064】
一般に高速伝送の送信信号程、もしくは低い誤り率を要求する送信信号程、必要な送信電力は大きなものとなる。他信号へ大きな干渉を与えうるこれらの送信信号に等しいスクランブル符号を割り当てることで、当該送信信号間の干渉を抑えることができる。
【0065】
一方、低速伝送もしくは高い誤り率が許容できる送信信号は、異なるスクランブル符号が割り当てられた高速伝送もしくは低い誤り率を要求する送信信号から大きな干渉を受けるが、低速伝送もしくは高い誤り率が許容できる送信信号は必要とする送信電力が低いため、送信電力制御の適用によって、大きな干渉に打ち勝つことができる。また、伝送速度や誤り率に応じてスクランブル符号を割り当てることで、受信通話品質の不平等を抑制することもできる。
【0066】
[第三の優先度の設定例]
図9、図10、図11は、本発明の第一の実施の形態である図1の処理102において基地局の優先度決定手段007にて設定される各結合符号の優先度の第三の設定例を示している。本設定例においては、回線品質値と第二符号の使用数に基づいて優先度を設定する。
【0067】
まず、基地局は事前に結合符号の使用数を各スクランブル符号毎に調べる。図9はその一例を示したものであり、横軸はスクランブル符号の番号、縦軸は各スクランブル符号の使用数を表している。図9では、第二スクランブル符号がもっとも使用数が高く、第四スクランブル符号がもっとも使用数が低い様子を想定している。
【0068】
基地局は、当該スクランブル符号使用数ならびに移動局より伝達された回線品質値により結合符号の優先度を決定する。ここで、回線品質値として、移動局で観測される干渉電力、移動局における共通制御信号受信電力や、希望信号対干渉信号電力比を与え、回線品質値情報は図1の処理108において移動局から基地局へ伝達される。
【0069】
図10、11は、図9で与えられるスクランブル符号使用数の下での各結合符号の優先度の設定例を示したものである。各表の縦軸は直交符号番号を表し、横軸はスクランブル符号番号を表している。
【0070】
図10の例では、移動局より伝達された前記回線品質値が品質しきい値以上である場合には、図10(a)に示すように、当該スクランブル符号使用数の下で使用数が最も少ないスクランブル符号ほど優先度を高く設定する。
【0071】
具体的には、スクランブル符号4の優先度を1、スクランブル符号3の優先度を2、スクランブル符号1の優先度を3、スクランブル符号2の優先度を4としている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。その結果、図10(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度17〜24が、スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度25〜32が、スクランブル符号3で構成される結合符号群に優先度9〜16、スクランブル符号4で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられている。
【0072】
一方、移動局より伝達された前記回線品質値が品質しきい値未満である場合には、図10(b)に示すように、当該スクランブル符号使用数の下で使用数が多いスクランブル符号ほど優先度を高く設定する。
【0073】
具体的には、スクランブル符号2の優先度を1、スクランブル符号1の優先度を2、スクランブル符号3の優先度を3、スクランブル符号4の優先度を4としている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。その結果、図10(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度9〜16が、スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜8が、スクランブル符号3で構成される結合符号群に優先度17〜24が、スクランブル符号4で構成される結合符号群に優先度25〜32が割り当てられている。
【0074】
この例では直交符号には優先度は付けられておらず、スクランブル符号毎に、直交符号がランダムに割当られている。
【0075】
また、図11の例では、図10の例と同様に、移動局より伝達された前記回線品質値が品質しきい値以上である場合には、図11(a)に示すように、当該スクランブル符号使用数の下で使用数が最も少ないスクランブル符号ほど優先度を高く設定する。
【0076】
具体的には、スクランブル符号4の優先度を1、スクランブル符号3の優先度を2、スクランブル符号1の優先度を3、スクランブル符号2の優先度を4としている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。その結果、図11(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度17〜24が、スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度25〜32が、スクランブル符号3で構成される結合符号群に優先度9〜16、スクランブル符号4で構成される結合符号群に優先度1〜8が割り当てられている。
【0077】
一方、移動局より伝達された前記回線品質値が品質しきい値未満である場合には、図11(b)に示すように、当該スクランブル符号使用数の下で使用数が多いスクランブル符号ほど優先度を高く設定する。
【0078】
具体的には、スクランブル符号2の優先度を1、スクランブル符号1の優先度を2、スクランブル符号3の優先度を3、スクランブル符号4の優先度を4としている。そして、これらスクランブル符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。その結果、図11(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群に優先度9〜16が、スクランブル符号2で構成される結合符号群に優先度1〜8が、スクランブル符号3で構成される結合符号群に優先度17〜24が、スクランブル符号4で構成される結合符号群に優先度25〜32が割り当てられている。
【0079】
図11の例では、更に直交符号についても優先度が付けられている。具体的には、直交符号1、2、…、8にそれぞれ直交符号の優先度を1、2…8としている。そして、これら直交符号の優先度が高いほど結合符号の優先度が高く設定されている。
【0080】
具体的には、図11(a)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1)(1,2)…(1,8);(スクランブル符号番号,直交符号番号)、に対して17、18、…、24とし、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1)(2,2)…(2,8)、に対して25、26、…、32とし、スクランブル符号3で構成される結合符号群の優先度を結合符号(3,1)(3,2)…(3,8)、に対して9、10、…、16とし、スクランブル符号4で構成される結合符号群の優先度を結合符号(4,1)(4,2)…(4,8)、に対して1、2、…、8としている。
【0081】
また図11(b)のスクランブル符号1で構成される結合符号群の優先度を結合符号(1,1)(1,2)…(1,8)に対して9、10、…、16とし、スクランブル符号2で構成される結合符号群の優先度を結合符号(2,1)(2,2)…(2,8)、に対して1、2、…、8とし、スクランブル符号3で構成される結合符号群の優先度を結合符号(3,1)(3,2)…(3,8)、に対して17、18、…、24とし、スクランブル符号4で構成される結合符号群の優先度を結合符号(4,1)(4,2)…(4,8)、に対して25、26、…、32としている。
【0082】
なお、この図11(a),(b)の例では、一律に直交符号の優先度を定めているが、スクランブル符号と同様に結合符号の使用数に応じて直交符号の優先度を変化させても良い。
【0083】
[効果]
異なるスクランブル符号が割り当てられた信号間は、符号の直交性が保たれないために相互の干渉量が大きい。とくに、使用数が少ないスクランブル符号が割り当てられた送信信号は、使用数が多いスクランブル符号が割り当てられた送信信号から大きな干渉を受ける。
【0084】
送信電力制御が適用される場合、回線品質値が品質しきい値である場合、すなわち移動局における受信品質が良好である場合には、当該移動局へ向けた送信電力は低く設定できる。この場合、図9、図10、図11のように、回線品質値が高い移動局へ使用数が少ないスクランブル符号で構成される結合符号を割り当てても、当該移動局へ向けた送信信号は最大送信電力に達することなく干渉に耐えることができる。これによって干渉劣化の抑制が可能となる。
【0085】
なお、以上本発明の拡散符号割当方法を基地局装置に適用した例を用いて説明したが、基地局装置ではなく制御局や交換局において実現することも当然にできる。
【0086】
【発明の効果】
拡散符号の優先度を移動局における要求品質や受信品質によって変化させることで、移動局における通話受信品質の不平等が抑制され、干渉が低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散符号割当方法を適用した基地局装置のブロック図
【図2】本発明の第一の実施形態を示す符号割り当て処理の流れ図
【図3】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第一の優先度の設定例における回線品質値と回線品質値分類の関係の一例を示す図
【図4】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第一の優先度の設定例を示す図
【図5】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第一の優先度の設定例を示す図
【図6】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第二の優先度の設定例における伝送速度と伝送誤り率に対する伝送品質要求量分類の一例を示す図
【図7】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第二の優先度の設定例を示す図
【図8】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第二の優先度の設定例を示す図
【図9】本発明の第一の実施形態における結合符号割り当ての第三の優先度の設定例におけるスクランブル符号使用数を示す図
【図10】本発明の第一の実施形態における符号組割り当ての第三の優先度の設定例を示す図。
【図11】本発明の第一の実施形態における符号組割り当ての第三の優先度の設定例を示す図。
【図12】従来の単数スクランブル符号拡散による基地局送信装置
【図13】従来の複数スクランブル符号拡散による基地局送信装置
【符号の説明】
002:乗算器
003:変調装置
004:アンテナ
005:フィードバック情報受信手段
006:アンテナ
007:優先度決定手段
Si:移動局iへ向けた送信信号
Co,i:移動局iに割り当てる直交符号
spu:拡散加算装置
sd:合成拡散信号
Cs:スクランブル符号
Sj,h:スクランブル符号jが割り当てられた移動局hの送信信号
k:ある基地局で消費するスクランブル符号数
Cs,j:j番目のスクランブル符号
spu−j:スクランブル符号jで拡散する拡散加算装置
sd−j:スクランブル符号jに対する合成拡散信号
nj:スクランブル符号jを使用する移動局数
S:直交符号数
l−1,l−2,l−3,l−4:伝送品質要求量分類を規定する境界線
Qo−a〜Qo−i:伝送品質要求量分類
Q1,Q2,Q3:回線品質値分類

Claims (7)

  1. 複数の第一符号である直交符号を含む第一の符号セットと、複数の第二符号を含む第二の符号セットとを有し、
    前記第一の符号セットに前記複数の第二符号の各々を割り当て、複数の結合符号を生成し、
    前記結合符号に、前記第一符号に付けられた第一の優先度及び前記第二符号に付けられた第二の優先度、又は前記第二の優先度に基づいて、基地局から移動局に送信される送信信号毎に第三の優先度を付け、
    前記送信信号に前記第三の優先度に基づいて前記結合符号を割り当て、
    割り当てられた結合符号により前記送信信号を拡散し、拡散された前記送信信号を前記移動局へ送信することを特徴とする符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法。
  2. 前記送信信号に共通制御信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法。
  3. 前記共通制御信号には最も優先度の高い結合符号を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法。
  4. 前記第二の符号セットとしてゴールド符号あるいは当該ゴールド符号の一部を用いることを特徴とする請求項1、2、3に記載の符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法。
  5. 複数の第一符号である直交符号を含む第一の符号セットと、複数の第二符号を含む第二の符号セットとを有し、
    前記第一の符号セットに前記複数の第二符号の各々を割り当て、複数の結合符号を生成し、
    前記結合符号に、前記第一符号に付けられた第一の優先度及び前記第二符号に付けられた第二の優先度、又は前記第二の優先度に基づいて、基地局から移動局に送信される送信信号毎に第三の優先度を付け、
    前記送信信号に前記第三の優先度に基づいて前記結合符号を割り当て、
    割り当てられた結合符号により前記送信信号を拡散し、拡散された前記送信信号を前記移動局へ送信することを特徴とする符号分割多重セルラにおける基地局。
  6. 複数の第一符号である直交符号を含む第一の符号セットと、複数の第二符号を含む第二の符号セットとを有し、
    前記第一の符号セットに前記複数の第二符号の各々を割り当て、前記第一符号と前記第二符号の組を生成し、
    前記符号の組に、前記第一符号に付けられた第一の優先度及び前記第二符号に付けられた第二の優先度、又は前記第二の優先度に基づいて、基地局から移動局に送信される送信信号毎に第三の優先度を付け、
    前記送信信号に前記第三の優先度に基づいて前記第一符号と前記割り当てた第二符号の組を割り当て、
    当該第一符号と前記割り当てた第二符号の組により前記送信信号を拡散し、拡散された前記送信信号を前記移動局へ送信することを特徴とする符号分割多重セルラにおける拡散符号割り当て方法。
  7. 複数の第一符号である直交符号を含む第一の符号セットと、複数の第二符号を含む第二の符号セットとを有し、
    前記第一の符号セットに前記複数の第二符号の各々を割り当て、前記第一符号と前記第二符号の組を生成し、
    前記符号の組に、前記第一符号に付けられた第一の優先度及び前記第二符号に付けられた第二の優先度、又は前記第二の優先度に基づいて、基地局から移動局に送信される送信信号毎に第三の優先度を付け、
    前記送信信号に前記第三の優先度に基づいて前記第一符号と前記割り当てた第二符号の組を割り当て、
    当該第一符号と前記割り当てた第二符号の組により前記送信信号を拡散し、拡散された前記送信信号を前記移動局へ送信することを特徴とする符号分割多重セルラにおける基地局。
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