JP3768963B2 - コンクリート構造物の補修方法および補修監視システム - Google Patents

コンクリート構造物の補修方法および補修監視システム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物のひび割れを補修するために用いられるコンクリート構造物の補修方法および補修監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは、一般には、水や火、日光等の環境に対する耐久性が強く、さらに、コンクリートが強アルカリ性であるため、コンクリート内部にある鉄筋はその表面に不動態皮膜を形成して腐食から保護される。このため、コンクリートは、トンネルや擁壁、防護壁など、屋外や地下などに建設される構造物に広く利用されている。
【0003】
コンクリートの一部にひび割れが発生すると、漏水や鉄筋の腐食、コンクリートの崩壊など、コンクリート構造物の利用や保全に悪影響を及ぼすので、定期的に検査を行うとともに、ひび割れが発見された場合には、適切な補修を行う必要がある。
コンクリート構造物の補修方法としては、
(A)ひび割れ箇所に適当な補修材を注入して硬化させる方法、
(B)海水に陽極を設置し、コンクリート構造物内の鉄筋を陰極として、両電極間に通電し、海水中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを電気泳動作用により、電着物としてひび割れ箇所に析出させる方法、
などが知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−65938号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の補修方法においては、以下に示すような問題があった。
(A)の方法では、ひび割れ箇所に補修材を確実に注入する必要があり作業の手間が掛かるとともに、補修作業の管理が難しく、注入不足、硬化不良などが起こると、ひび割れを補修することができなかった。
(B)の方法では、岸壁や桟橋の脚柱など、海に面して建設されたコンクリート構造物には適用できるが、トンネルや擁壁など、地下や地上に建設されたコンクリート構造物には適用できない。また、補修作業の終了は、実験的または経験的に決められた所定時間通電することにより行っていたので、通電時の接点の接触やひび割れの規模によっては、電着物の析出が不足または過多である場合があり、ひび割れを完全に補修できないことがあった。
このため、コンクリート構造物のひび割れを確実に補修できる方法が要望されていた。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、地下や地上に建設されたコンクリート構造物のひび割れの補修を容易かつ確実に実施することができるコンクリート構造物の補修方法および補修監視システムを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、コンクリート構造物の表面にカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電解質溶液を保持する保持体を配置し、この保持体に設置した電極を陽極とし、コンクリート構造物内部の鉄筋を陰極として、陽極と陰極との間に電流を印加して、前記電解質溶液中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電着物を析出させることにより、コンクリート構造物を補修するコンクリート構造物の補修方法であって、前記電解質溶液がカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液であり、通電時間に対する前記電解質溶液のpHの変化を測定することにより、測定されたpH変化が(a)pHが急激に低下する段階、(b)pHが緩やかに低下する段階、(c)pH変化が微小となる段階を経過したことを確認して、pHの低下が微小になったときに電流の印加を終了することを特徴とするコンクリート構造物の補修方法を提供する。
この補修方法によれば、電解質溶液のpHの変化に基づいて、補修作業の終了を容易かつ確実に判別することができ、適切な量の電着物をひび割れ箇所に析出させることができる。
電流の印加を終了するときのpH値としては、5.5〜6.5とすることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、上述のコンクリート構造物の補修方法において、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液である電解質溶液と、コンクリート構造物の表面に接触するように前記電解質溶液を保持する保持体と、この保持体に設置された電極と、コンクリート構造物の鉄筋と前記電極との間に、鉄筋が陰極、前記電極が陽極となるように電流を印加する直流電源装置と、前記電解質溶液のpH変化を検出するpH変化検出手段とを備えたコンクリート構造物の補修装置を用いることを特徴とするコンクリート構造物の補修方法を提供する。
この補修方法によれば、pH変化検出手段により検出された電解質溶液のpH変化に基づいて、補修作業の終了を容易かつ確実に判別することができ、適切な量の電着物をひび割れ箇所に析出させることができる。
【0009】
さらに本発明は、コンクリート構造物の表面にカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電解質溶液を保持する保持体を配置し、この保持体に設置した電極を陽極とし、コンクリート構造物内部の鉄筋を陰極として、陽極と陰極との間に電流を印加して、前記電解質溶液中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電着物を析出させることにより、コンクリート構造物を補修するために用いられるコンクリート構造物の補修監視システムであって、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液である電解質溶液と、コンクリート構造物の表面に接触するように前記電解質溶液を保持する保持体と、この保持体に設置された電極と、コンクリート構造物の鉄筋と前記電極との間に、鉄筋が陰極、前記電極が陽極となるように電流を印加する直流電源装置と、前記保持体に保持された電解質溶液のpH変化を検出するpH変化検出手段と、前記pH変化検出手段によって検出されたpH変化の情報(データ)を通信網を介して伝送する送信装置と、前記pH変化の情報を受信する受信装置と、受け取った前記情報に基づいて通電時間に対する前記電解質溶液のpHの変化を解析してpH変化が(a)pHが急激に低下する段階、(b)pHが緩やかに低下する段階、(c)pH変化が微小となる段階を経過したことを判別するコンピュータとを備えたことを特徴とするコンクリート構造物の補修監視システムを提供する。
この補修監視システムによれば、電解質溶液のpH変化の情報を遠隔地で受け取ることができ、補修作業の遠隔監視が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明に係るコンクリート構造物の補修装置の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
図1において、符号1は、コンクリート構造物であり、このコンクリート構造物1は、内部に鉄筋2が内装されたコンクリート3からなる。符号4は、コンクリート構造物1に発生したひび割れであり、本実施の形態のコンクリート構造物の補修装置10(以下、単に「補修装置」という)は、このひび割れ4を補修する装置である。
【0011】
本補修装置10は、ひび割れ箇所4に設置され、電解質溶液11を保持する保持体12と、保持体12内に設けられた電極13とを備えている。電極13は、電線14によって、コンクリート構造物1の鉄筋2と電気的に接続される。電線14には直流電源装置15が設けられ、電極13が陽極、鉄筋2が陰極となる方向に電流を印加できるようになっている。また、保持体12内の電解質溶液11のpH変化を検出するためのpH変化検出手段として、pH測定器16を備えている。
【0012】
保持体12は、電解質溶液11に対する安定性が高い材料からなり、電解質溶液11を、これがコンクリート構造物1の表面1aに接触できるように保持できるものであることが必要であるが、例えば、ガラスやプラスチックなどの絶縁体からなる容器や、電解質溶液11を吸着して保持できる材料を用いることができる。吸着材料としては、パルプ、スポンジ、グラスウール、織布、不織布などの繊維質材料、沸石やシラス、有機発泡ポリマーなどの多孔質材料などが挙げられる。また、電解質溶液11に有機高分子などのゲルを混合してゲル化したものを、ひび割れ箇所に貼着させることにより、当該ゲルを保持体12として使用することもできる。
【0013】
電解質溶液11に含まれる電解質としては、カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含有する必要がある。これらのイオンは、電極13と鉄筋2との間の電位差により、陰極である鉄筋2に向けて泳動し、コンクリート3上に、炭酸カルシウム(CaCO3)や水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]などからなる電着物として析出する。このように析出した電着物がひび割れ4の間隙を充填し、また、コンクリート構造物1の表面1aまで電着物の層が形成されることにより、ひび割れ4が補修され、さらに、その周囲のコンクリート3表面も補強され、コンクリート構造物1の耐久性が改善される。
【0014】
さらに、後述するように、電解質溶液11に緩衝作用を付与するため、酢酸やクエン酸、他のカルボン酸などの有機酸の陰イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、ホウ酸イオンなどの弱塩基である陰イオンが添加される。
電解質溶液11に添加される電解質としては、上述したイオンを含有するものであり、特に、水に対する溶解度や安全性(毒性)、価格等を考慮して、酢酸マグネシウムや酢酸カルシウム等が好適である。
電解質溶液11に添加される電解質の濃度としては、電解質の種類やひび割れ4の規模などに応じて異なり、特に限定されるものではないが、例えば、0.1〜0.5mol/lとすることが好ましい。
【0015】
電極13としては、チタン、チタン合金、白金、炭素などの耐食性の高い導電体が好適に用いられ、形状としては、格子状、リボン状、シート状、櫛形などが例示され、ひび割れ4が露出された箇所をより広く覆うことができるようにメッシュ(網目状)とすることが好ましい。
直流電源装置15により通電される電流の電流密度としては、1.0A/m2以上が好ましい。
pH測定器16としては、特に限定されることはなく、市販の一般的なpH計を用いることができる。
【0016】
次に、上述の補修装置10を用いた本発明のコンクリート構造物の補修方法(以下、単に「補修方法」という)の一実施形態を説明する。この補修方法においては、直流電源装置15により鉄筋2と電極13との間に電流を印加する。その結果、電解質溶液11中、鉄筋2および電極13において以下に示す電極反応が進行する。
【0017】
(陰極である鉄筋2側)
2H2O+2e-→2OH-+H2 ・・・・・ (1)
【0018】
(陽極13側)
2H2O→O2+4H++4e- ・・・・・ (2)
【0019】
このように水の電気分解により、陰極である鉄筋2の付近に水酸化物イオンが生成し、上述したように、炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムなどからなる電着物の析出が進行する。これに対して、陽極である電極13側では、水素イオンが発生して電解質溶液11のpHが小さくなり、酸性側に変化する。
【0020】
電解質溶液11のpHが過度に酸性側に変化すると、コンクリート構造物1の表面1aを溶解し、コンクリート構造物1を損傷するおそれがあるが、上述したように、緩衝作用のある電解質を用いることにより、通電を続けても、電解質溶液11のpHの低下を徐々に緩やかにし、最終的に、pHを弱酸性(pH6.5〜5.5)の範囲で安定させることができる。
【0021】
補修作業の進行状況は、pH測定器16により測定された電解質溶液11のpHの変化に基づいて決定される。このpHの変化は、図5に示すように、(a)pHが急激に変化(低下)する段階、(b)pHが緩やかに低下する段階、(c)pH変化が微小となる段階、の3段階を含んでいる。
このように、pH測定器16により測定されたpH変化が上記3段階を経過し、電解質溶液11のpHが所定の値にまで小さくなったことを検知したことを見計らって補修作業を停止する。
これにより、補修作業による電極反応が適切に進行したことが確認できるとともに、通電による電解質溶液11の消費量(電着物の析出量)を把握することができるので、コンクリート構造物1の確実な補修が実現される。
【0022】
図2は、コンクリートの補修装置の参考例を示す概略構成図である。図中、図1で用いたのと同一の符号は、前記第1の実施の形態と同一または同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。
図2に示す補修装置20では、pH変化検知手段として、pH指示薬が用いられている。pH指示薬としては、所定のpH範囲において色彩の明瞭な変化を呈する市販の種々の指示薬を適用することができる。
【0023】
特に、上述した段階(a)、段階(b)、段階(c)の3段階に対応して、段階(a)から段階(b)への推移を検出する指示薬Aと、段階(b)から段階(c)への推移を検出する指示薬Bとを併用することが好ましい。
例えば、指示薬Aとしては変色域が「黄色6.4〜8.4赤色」であるフェノールレッド(PR)を、また、指示薬Bとして変色域が「黄色6.0〜7.0青色」であるブロムチモールブルー(BTB)を採用することができる。
【0024】
ここでは、図2に示すように、指示薬Aおよび指示薬Bは、それぞれ混合しないように別々にして紙やゲルなどの担体21a、21bに担持されており、担体21a、21bは、電解質溶液11中に浸漬されている。
補修作業の進行により、pH値が低下し、段階(a)から段階(b)に推移したことは、指示薬Aの呈色変化により検知できる。さらに補修作業が進行して、段階(b)から段階(c)に推移したことは、指示薬Bの呈色変化により検知でき、このことを見計らって、補修作業を停止する。
これにより、補修作業による電極反応が適切に進行したことが確認できるとともに、通電による電解質溶液11の消費量(電着物の析出量)を把握することができるので、電着物の析出量の過不足を抑制し、コンクリート構造物1を確実に補修することができる。
【0025】
図3は、本発明に係るコンクリートの補修監視システムの第1の実施の形態を説明する概略構成図である。図中、図1で用いたのと同一の符号は、上記実施の形態と同一または同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。
図3に示す補修監視システム30は、上述の補修装置10と、この補修装置10のpH測定器16に接続された送信装置31と、この送信装置31から通信網32を通じて送信されたデータを受信する受信装置33と、受信装置33から受け取ったデータを解析するコンピュータ34と、解析結果を表示する表示装置35とを備えている。
通信網32として具体的には、一般の電話網やインターネット、専用ケーブル回線、一般無線や衛星通信などが挙げられる。送信装置31や受信装置33としては、通信網32に適したものが適宜用いられ、コンピュータ34や表示装置35としては、市販の適当な装置を採用することができる。
【0026】
次に、この補修監視システム30を利用した補修方法を説明する。ここでは、上述の補修装置の第一実施の形態について説明したように、鉄筋2と陽極13との間に電流を通電し、ひび割れ4に電着物を析出させる。このとき、電解質溶液11のpHをpH測定器16により測定し、得られた測定値を定期的、不定期的、またはリアルタイムに、通信網32を通じてコンピュータ34に送信する。コンピュータ34は、予め用意された解析プログラムに従い、受け取ったデータに基づいてpH変化を解析する。pHの変化が上述した3つの段階(a)〜(c)を経過し、電解質溶液11のpHが所定の値にまで小さくなったかどうかの判別を行う。解析結果は、表示装置35により適宜表示される。解析の結果、補修作業の終了時点を認識したときには、表示装置35には補修作業の終了を示す表示がなされる。監視員は、表示装置35の表示を定期的に監視し、補修作業の終了の表示を認識した場合、作業員を補修現場に派遣して、補修作業を終了させる。
この場合、電解質溶液11が緩衝溶液となっているので、補修作業の終了時には電解質溶液11のpHが安定し、急激なpH変化が起こらないようになっているので、電解質溶液11によりコンクリートを損傷するおそれがない。
なお、本実施の形態の補修監視システムでは、コンピュータ34に適切なプログラムを与えることにより、受け取ったデータに基づいて、補修作業がおよそ何日後に終了するか、予測させることもできる。この場合、作業日程の管理を容易化することができる。
【0027】
このような補修監視システムによれば、コンクリート構造物の補修作業を遠隔監視することができる。また、作業員が補修作業の経過を補修現場に出向いて点検、調査する必要がないことから、労力を大幅に削減することができる。補修監視システムの構築に特殊な装置は不要であり、比較的低コストにて行うことができる。
【0028】
図4は、コンクリートの補修監視システムの参考例を説明する概略構成図である。図中、図1〜3で用いたのと同一の符号は、上記実施の形態または参考例と同一または同様の構成であることを示し、重複する説明を省略する。
この補修監視システム40は、上述の参考例の補修装置20と、この補修装置20の担体21a、21bに担持されたpH指示薬の呈色変化を撮像するカメラ41と、撮像された画像データを通信網32を通じて送信する送信装置31と、通信網32からデータを受信する受信装置33と、受信装置33から受け取ったデータを解析するコンピュータ34と、解析結果を表示する表示装置35とを備えている。
【0029】
本補修監視システム40を用いた補修方法では、まず、カメラ41により得られたpH変化を示すデータを得る。そしてこのデータを、上記第1の実施の形態の補修監視システム30と同様に、送信装置31により通信網32を通じて遠隔地に設置されたコンピュータ34に伝送し、このコンピュータ34でデータを解析する。これにより、コンクリート構造物の補修作業を遠隔監視することができる。また、作業員が補修処理の経過を補修現場に点検、調査する必要がないことから、労力を大幅に削減することができる。システムの構築にも特殊な装置が不要であり、低コストにて行うことができる。
【0030】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、図3、図4において、送信装置31および受信装置33の代わりに、双方向の送受信が可能な通信装置(送受信装置)を用い、補修現場側の通信装置31と直流電源装置15とを図示しない信号線で接続して、直流電源装置15の電流のオン・オフや電流量の大きさ等を制御する制御信号をコンピュータ34側から通信網32を介して直流電源装置15に送信できるようにすることもできる。この場合、補修作業の開始や終了などを遠隔操作することができる。
【0031】
【実施例】
図1に示した補修装置10を用い、コンクリート構造物1のひび割れ箇所4に、チタンメッシュ電極13(面積600cm2)を備えた容器12を取り付け、この容器12内に濃度0.1mol/lの酢酸マグネシウム水溶液を充填した。鉄筋2と電極13とを電線14により接続し、pH測定器16により電解質溶液11のpHを測定しながら、直流電源装置15により両極間に電流密度1.0A/m2の電流を通電して、補修処理を行った。この条件で補修を行ったところ、通電時間に対するpH変化として、図5に示すグラフが得られた。
14日間通電し、pHの低下が微小になったことを確認して通電を停止し、補修箇所を目視で検査したところ、ひび割れ4およびその周辺部は電着物で完全に覆われており、ほぼ平滑な表面となっていた。また、補修箇所からの漏水の量を測定したが、漏水は確認されなかった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコンクリート構造物の補修方法は、電解質溶液のpH値の変化を検出し、このpH値が所定の値以下となったことにより、電流の印加を終了するものであるので、電着物の析出を把握し、検知できる。
これにより、補修作業による電極反応が適切に進行したことが確認できるとともに、通電による電解質溶液の消費量や電着物の析出量を把握することができる。
【0033】
本発明のコンクリート構造物の補修装置は、コンクリート構造物の表面に接触するように電解質溶液を保持する保持体を備えているので、電解質溶液をひび割れ箇所に容易に設置することができる。また、電解質溶液のpH変化を検出するpH変化検出手段を備えているので、補修作業の終了時点を確実に知ることができる。
【0034】
本発明のコンクリート構造物の補修監視システムは、コンクリート構造物の表面に接触するように電解質溶液を保持する保持体を備えているので、電解質溶液をひび割れ箇所に容易に設置することができる。また、pH変化検出手段と、このpH変化検出手段によって検出されたpH変化の情報を通信網を介して伝送する送信装置および受信装置を備えているので、遠隔地から補修作業の状況を監視し、補修作業の終了時点を知ることができ、補修作業の管理に益するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコンクリート構造物の補修装置の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】 コンクリート構造物の補修装置の参考例を示す概略構成図である。
【図3】 本発明に係るコンクリート構造物の補修監視システムの第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図4】 コンクリート構造物の補修監視システムの参考例を示す概略構成図である。
【図5】 実施例における電解質溶液のpH変化の測定結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1…コンクリート構造物、1a…コンクリート構造物の表面、2…鉄筋(陰極)、10…補修装置、11…電解質溶液、12…保持体(容器)、13…電極(陽極)、15…直流電源装置、16…pH変化検出手段(pH測定器)、20…補修装置、21a,21b…pH変化検出手段(pH指示薬の担体)、30…補修監視システム、31…送信装置、32…通信網、33…受信装置、40…補修監視システム。

Claims (4)

  1. コンクリート構造物の表面にカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電解質溶液を保持する保持体を配置し、この保持体に設置した電極を陽極とし、コンクリート構造物内部の鉄筋を陰極として、陽極と陰極との間に電流を印加して、前記電解質溶液中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電着物を析出させることにより、コンクリート構造物を補修するコンクリート構造物の補修方法であって、
    前記電解質溶液がカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液であり、通電時間に対する前記電解質溶液のpHの変化を測定することにより、測定されたpH変化が(a)pHが急激に低下する段階、(b)pHが緩やかに低下する段階、(c)pH変化が微小となる段階を経過したことを確認して、pHの低下が微小になったときに電流の印加を終了することを特徴とするコンクリート構造物の補修方法。
  2. 電流の印加を終了するときのpH値が5.5〜6.5であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  3. カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液である電解質溶液と、コンクリート構造物の表面に接触するように前記電解質溶液を保持する保持体と、この保持体に設置された電極と、コンクリート構造物の鉄筋と前記電極との間に、鉄筋が陰極、前記電極が陽極となるように電流を印加する直流電源装置と、前記電解質溶液のpH変化を検出するpH変化検出手段とを備えたコンクリート構造物の補修装置を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート構造物の補修方法。
  4. コンクリート構造物の表面にカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電解質溶液を保持する保持体を配置し、この保持体に設置した電極を陽極とし、コンクリート構造物内部の鉄筋を陰極として、陽極と陰極との間に電流を印加して、前記電解質溶液中のカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する電着物を析出させることにより、コンクリート構造物を補修するために用いられるコンクリート構造物の補修監視システムであって、
    カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンを含有する緩衝溶液である電解質溶液と、コンクリート構造物の表面に接触するように前記電解質溶液を保持する保持体と、この保持体に設置された電極と、コンクリート構造物の鉄筋と前記電極との間に、鉄筋が陰極、前記電極が陽極となるように電流を印加する直流電源装置と、前記保持体に保持された電解質溶液のpH変化を検出するpH変化検出手段と、前記pH変化検出手段によって検出されたpH変化の情報を通信網を介して伝送する送信装置と、前記pH変化の情報を受信する受信装置と、受け取った前記情報に基づいて通電時間に対する前記電解質溶液のpHの変化を解析してpH変化が(a)pHが急激に低下する段階、(b)pHが緩やかに低下する段階、(c)pH変化が微小となる段階を経過したことを判別するコンピュータとを備えたことを特徴とするコンクリート構造物の補修監視システム。
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