JP3768366B2 - 容器用ワークのカール型、カール装置、カール方法及び糊付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、菓子、海苔、鰹節パック、緑茶、紅茶パック、コーヒー、てんぷら粉、味噌等の飲食品や、タオル、下着等の繊維製品や、その他の各種商品を包装するための紙製の包装用容器に関し、特に、該容器に使用する紙製筒状のワークの端部を内側へカールさせるためのカール型、カール装置及びカール方法と、該ワークの内周面に端板を接着するための糊を付ける方法とに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図16(a)に示す包装用容器1は、例えば菓子等の飲食品(図示略)を包装するためのもので、紙製の外筒3及び内筒4からなる容器本体2と、内筒4の上端部に着脱可能に被せられる蓋5とを備えている。蓋5は、図16(b)に示すような紙製筒状のワーク6から作製されるもので、ワーク端部6aを内側へカールさせ、そのカールしたワーク端部6aにワーク開口を閉鎖する紙製の端板7を下側から掛止させ、必要に応じて接着してなるものである。
【0003】
ワーク端部6aを内側へカールさせるには、従来、図17に示すようなカール型50を使用して行っていた。このカール型50は、例えばフェノール樹脂板にワーク6の筒形状に合わせた凹所51を切削加工し、凹所51の内周側面をワーク6用の挿入ガイド面52とするとともに、該凹所51の内底面の周縁に挿入ガイド面52と連続する断面略U字状・平面環状の溝を切削加工し、該溝をワーク端部6a用のカール溝53としたものである。
【0004】
手でワーク6を挿入ガイド面52に挿入してワーク外周面を保持させ、さらに押込板(図示略)でワーク6をカール溝53側へ押し込むことにより、ワーク端部6aをカール溝53に滑入して内側へカールさせる。その後は、ワーク6の反対側端部6bを指で摘んで引張ることにより、ワーク端部6aをカール溝53から抜き外す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記カール型50及びカール方法には、次のような問題があった。
(イ)カール溝53内でカールしたワーク端部6aはカール溝53にきつく嵌入しているので、これを抜き外すにはワーク6の反対側端部6bを指でしっかり摘んで引張る必要がある。深い蓋5用の高さの高いワーク6の場合には、反対側端部6bが挿入ガイド面52の上端より十分に高い所に位置するので指で摘みやすい。しかし、浅い蓋5用の高さの低いワーク6の場合には、反対側端部6bが挿入ガイド面52の上端の近傍に位置するので指で摘みにくく、なかなかワーク端部6aをカール溝53から抜き外すことができず、効率が悪かった。
【0006】
(ロ)カール型50は、フェノール樹脂板のような易削性の素材に凹所51及びカール溝53を切削加工して一体形成していたため、使用に伴うカール溝53の摩耗が早いという問題があった。仮に、セラミックス等の高耐摩耗性の素材(その多くが、同時に難削性でもある。)に同様に凹所51及びカール溝53を切削加工して一体形成しようとすると、特に切削量の多い凹所51の切削加工に手間取るため、非常に高価なものとなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、カールしたワーク端部をカール溝から容易に抜き外せるようにすること、また、カール溝の高耐摩耗性と挿入ガイド面の易削性とを安価に両立させることにある。また、別の目的は、ワークの内周面への糊付けを効率的に行うことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、次のような各手段をとった。
(1)高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワークのワーク端部を滑入して内側へカールさせるためのカール溝を切削加工してなる板状のカール溝型部と、易削性の樹脂板に、前記ワークの筒形状に合わせた一定径の抜き穴を切削加工し、該抜き穴の内周側面を、前記ワークを挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部を前記カール溝へガイドするための挿入ガイド面とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部とを、前記カール溝型部の前記カール溝周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部の前記抜き穴周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部をカール溝から抜き外すためのエア噴出孔が開口している容器用ワークのカール型。
【0009】
(2)高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワークのワーク端部を滑入して内側へカールさせるためのカール溝を切削加工してなる板状のカール溝型部と、易削性の樹脂板に、前記ワークの筒形状に合わせた一定径の抜き穴を切削加工し、該抜き穴の内周側面を、前記ワークを挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部を前記カール溝へガイドするための挿入ガイド面とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部とを、前記カール溝型部の前記カール溝周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部の前記抜き穴周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部をカール溝から抜き外すためのエア噴出孔が開口しているカール型と、
前記カール溝型部とワーク挿入ガイド部とを当接及び離間させるカール型駆動機構と、
前記挿入ガイド面に挿入されたワークをカール溝側へ押し込むことによりワーク端部をカール溝に滑入してカールさせる押込部材と、
を備えた容器用ワークのカール装置。
【0010】
(3)前記押込部材に、前記挿入ガイド面との間にワークを挟着するワーク押さえ機構が設けられることが好ましい。
【0011】
(4)高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワークのワーク端部を滑入して内側へカールさせるためのカール溝を切削加工してなる板状のカール溝型部と、易削性の樹脂板に、前記ワークの筒形状に合わせた一定径の抜き穴を切削加工し、該抜き穴の内周側面を、前記ワークを挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部を前記カール溝へガイドするための挿入ガイド面とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部とを、前記カール溝型部の前記カール溝周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部の前記抜き穴周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部をカール溝から抜き外すためのエア噴出孔が開口しているカール型を使用し、
前記挿入ガイド面にワークを挿入してワーク外周面を保持する工程と、
前記カール溝型部とワーク挿入ガイド部とを当接し、前記挿入ガイド面に挿入されたワークをカール溝側へ押し込むことによりワーク端部をカール溝に滑入してカールさせる工程と、
前記カール溝型部とワーク挿入ガイド部とを離間し、前記挿入ガイド面にワーク外周面を保持した状態でワーク端部をカール溝から抜き外す工程と、
を含む容器用ワークのカール方法。
【0013】
(5)前記(4)の容器用ワークのカール方法において、前記ワーク端部をカール溝から抜き外す工程の後に、前記ワークの略中心にスプレーガンのノズル部を位置させ、該ノズル部から糊を飛ばしてワークの内周面に付着させる工程と、カールしたワーク端部に端板を掛止させ、前記糊付け部位に端板を圧着する工程とを行うことができる。
【0014】
以上において、ワークの筒形状は、特定の形状に限定されず、円筒状、楕円筒状、角筒状(三角筒、四角筒、五角筒、六角筒等)、隅丸角筒状等を例示することができる。また、「当接」は、極めて近くに接近した近接状態も含む。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る容器用ワークのカール型、カール装置及びカール方法を具体化した実施形態例について、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態で加工の対象とするワークは、前述した図16(a)に示す包装用容器1の蓋5を作製するための、同図(b)に示す紙製筒状のワーク6であって、紙製の帯を円筒状に巻き、巻縁同志を重ねて接着してなるものである。
【0017】
まず、本実施形態のカール型20は、図4〜図10に示すように、ワーク6のワーク端部6aを滑入して内側へカールさせるためのカール溝22を備えたカール溝型部21と、ワーク6を挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部6aを前記カール溝22へガイドするための挿入ガイド面26を備えたワーク挿入ガイド部25とを、当接及び離間可能に分割形成してなるものである。
【0018】
カール溝型部21は、高耐摩耗性及び低摩擦抵抗のセラミックス板の上面に断面略U字状・平面環状のカール溝22を切削加工してなるものであり、カール溝22の溝底の複数箇所にはカール溝型部21の下面から貫設されたエア噴出孔23が開口している。また、カール溝型部21の上面の複数箇所には位置決め突起24が取り付けられている。
【0019】
ワーク挿入ガイド部25は、易削性のフェノール樹脂板にワーク6の筒形状に合わせた抜き穴27を切削加工し、抜き穴27の内周側面を挿入ガイド面26としたものである。挿入ガイド面26の下端は挿入ガイド面26の外周に連続しており、上端にはワーク6を挿入しやすいように拡径する面取り28が形成されている。また、ワーク挿入ガイド部25の複数箇所には、当接時に前記位置決め突起24が嵌入する位置決め穴29が形成されている。
【0020】
次に、本実施形態のカール装置10は、上記カール型20を組み込んでなるもので、図1に示すように、平面略正八角形のテーブル11の各辺に一台ずつ(すなわち等角(45度)間隔の放射状配置で計8台)のワーク挿入ガイド部25がネジ12により水平に取り付けられている。このテーブル11がテーブル回転機構(図示略)により平面左回りに45度ずつ間欠的に回転駆動されることにより、ワーク6の挿入されたワーク挿入ガイド部25が同じく間欠的に回転移送されるようになっている。以下、カール装置10のその他の構造を、同装置を使用して行う本実施形態のカール方法とともに説明する。
【0021】
図1の位置▲1▼(3時の位置)は、挿入ガイド面26にワーク6を挿入する作業位置である。図2に示すように、この位置にカール溝型部21は設けられておらず、その代り、ワーク挿入ガイド部25の下方には受け板13が昇降可能に設けられ、上昇時にワーク挿入ガイド部25の下面に当接するようになっている。また、ワーク挿入ガイド部25の側方には、ワーク挿入ガイド部25の直上にまでワーク6を次々と供給する供給部材14が設けられている。
【0022】
そして、受け板13が上昇してワーク挿入ガイド部25の下面に当接した状態で、挿入ガイド面26にワーク6を挿入してワーク外周面を保持する。この挿入は手作業で行われるが、機械化も可能である。このとき、ワーク6はワーク端部6aが受け板13に当たるまで挿入されるが、必ずしもワーク端部6aの全周が受け板13に当たるとは限らず、ワーク6が傾いて位置ずれを起こすこともあるため、次の矯正が行われる。
【0023】
図1の位置▲2▼(1時半の位置)は、挿入ガイド面26に挿入されたワーク6の位置ずれを矯正する作業位置である。図3に示すように、この位置にカール溝型部21は設けられておらず、その代り、ワーク挿入ガイド部25の下方には受け板15が昇降可能に設けられ、上昇時にワーク挿入ガイド部25の下面に当接するようになっている。また、ワーク挿入ガイド部25の上方には矯正部材16が昇降可能に設けられ、下降時にワーク6を押し下げるようになっている。
【0024】
そして、前記位置▲1▼でワーク6の挿入されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲2▼に回転移送された後、受け板15が上昇してワーク挿入ガイド部25の下面に当接するとともに、矯正部材16が下降し、ワーク6をワーク端部6aの全周が受け板15に当たるまで押し下げて、前記位置ずれを矯正する。
【0025】
次に、図1の位置▲3▼(0時の位置)は、ワーク端部6aをカール溝22に滑入してカールさせる作業位置である。図4〜図10に示すように、ワーク挿入ガイド部25の下方にはカール溝型部21が当接及び離間可能に設けられている。カール溝型部21は支持台17の上に載置・固定されており、支持台17の上面には前記エア噴出孔23に連通する平面環状のエア溝18が凹設され、エア溝18の溝底から支持台17の内部には下方へ延びるエア通路19が形成されている。エア通路19には、エアコンプレッサ(図示略)が接続されている。エア溝18の周囲にはカール溝型部21との間の気密性を保つOリング30が嵌着されている。支持台17は該支持台17及びカール溝型部21を昇降させるカール型駆動機構(図示略)に結合され、その昇降によりカール溝型部21とワーク挿入ガイド部25とが当接及び離間するようになっている。
【0026】
また、ワーク挿入ガイド部25の上方には押込部材31が昇降可能に設けられ、下降時に、前記挿入ガイド面26に挿入されたワーク6をカール溝22側へ押し込むことによりワーク端部6aをカール溝22に滑入してカールさせるようになっている。押込部材31の下面であってワーク6の内側へ入り込める位置には小型のアクチュエータ(エアシリンダ、電磁ソレノイド等)よりなるワーク押さえ機構32が外向きに取り付けられている。
【0027】
そして、図4に示すように、前記位置▲2▼でワーク6の位置ずれが矯正されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲3▼に回転移送された後、図5に示すように、カール溝型部21が上昇してワーク挿入ガイド部25の下面に当接する。続いて、図6に示すように、押込部材31が下降し、ワーク6をカール溝22側へ押し込むことによりワーク端部6aをカール溝22に滑入して内側へカールさせる。続いて、図7に示すように、ワーク押さえ機構32のロッド33が外向きに突出し、ワーク6を内側から挿入ガイド面26に押さえ付けて挟着した状態で、図8に示すように、カール溝型部21が下降してワーク挿入ガイド部25から離間すると同時に、エアコンプレッサ(図示略)からの圧縮エアが、エア通路19及びエア溝18を経てエア噴出孔23から噴出して矢印で示すようにワーク端部6aを押し上げる。このワーク挟着とエア噴出とにより、挿入ガイド面26にワーク6を確実に保持した状態で、ワーク端部6aをカール溝22から確実に抜き外すことができる。続いて、図9に示すように、ワーク押さえ機構32のロッド33が退入してワーク6の挟着を解いた後、図10に示すように、押込部材31が上昇する。
【0028】
次に、図1の位置▲4▼(10時半の位置)は、カールしたワーク端部6aの上部ないしワーク6の内周面に糊付けする作業位置である。図11に示すように、この位置にカール溝型部21は設けられておらず、その代り、ワーク挿入ガイド部25の下方には受け板35が昇降可能に設けられ、上昇時にワーク端部6a及びワーク挿入ガイド部25の下面に当接するようになっている。
【0029】
そして、前記位置▲3▼でカールされたワーク6が保持されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲4▼に回転移送された後、受け板35が上昇してワーク6を少し押し上げてからワーク挿入ガイド部25の下面に当接した状態で、カールしたワーク端部6aの上部ないしワーク6の内周面にスプレーガン40により糊付けをする。スプレーガン40はそのノズル部41の中心軸線の周りに回転可能に支持されており、該ノズル部41の側面には中心軸線と直交する方向(本例では水平放射方向)へ糊43を吐出させて飛ばす複数の吐出孔42が形成されている。吐出孔42の数は二〜八つが好ましく、本例では二つが180度離れて形成されている。
【0030】
ノズル部41を下向きに配置したスプレーガン40を上方から下降させ、該ノズル部41をワーク6の略中心に位置させる。そして、二つの吐出孔42から同時に糊43を吐出させて略水平に飛ばしワーク6の内周面の二箇所に付着させる。続いて、スプレーガン40を前記中心軸の周りに45度回転させ、再び二つの吐出孔42から糊43を飛ばしてワーク6の内周面の二箇所に付着させる。これをさらに二回繰り返して、ワーク6の内周面の合計八箇所に糊43を付着させる。なお、最初の吐出後に60度ずつ回転させて飛ばすことによりワーク6の内周面の六箇所に付着させたり、最初の吐出後に90度回転させて飛ばすことによりワーク6の内周面の四箇所に付着させたりすることもでき、要するに回転角と付着箇所数は適宜決定できる。この方法によれば、同時に複数の吐出孔42から糊43を飛ばして複数箇所に付着させるとともに、スプレーガン40の動きが回転のみで小さくて済むため、非常に効率的に短時間で糊付けすることができる。なお、この糊付けはその他の機械作業又は手作業で行うこともできる。
【0031】
次に、図1の位置▲5▼(9時の位置)は、カールしたワーク端部6aに前記端板7を掛止させる作業位置である。図12に示すように、この位置にカール溝型部21は設けられておらず、その代り、ワーク挿入ガイド部25の下方には受け板36が昇降可能に設けられ、上昇時にワーク端部6a及びワーク挿入ガイド部25の下面に当接するようになっている。
【0032】
そして、前記位置▲4▼で糊付けされたワーク6が保持されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲5▼に回転移送された後、受け板36が上昇してワーク端部6a及びワーク挿入ガイド部25の下面に当接した状態で、端板7を上方からワーク6の内側へ嵌め入れて、カールしたワーク端部6aに掛止させる。
【0033】
次に、図1の位置▲6▼(7時半の位置)は、前記糊付け部位に端板7を圧着する作業位置である。図13に示すように、この位置にカール溝型部21は設けられておらず、その代り、ワーク挿入ガイド部25の下方には受け板37が昇降可能に設けられ、上昇時にワーク端部6a及びワーク挿入ガイド部25の下面に当接するようになっている。また、ワーク挿入ガイド部25の上方には押圧部材38が昇降可能に設けられ、端板7を押圧するようになっている。
【0034】
そして、前記位置▲5▼で端板7の挿入されたワーク6が保持されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲6▼に回転移送された後、受け板37が上昇してワーク端部6a及びワーク挿入ガイド部25の下面に当接するとともに、押圧部材38が下降し、端板7を前記糊付け部位に圧着して接着する。
【0035】
次に、図1の位置▲7▼(6時の位置)は、ワーク挿入ガイド部25からワーク6を外す作業位置である。図14に示すように、前記位置▲6▼で端板7の圧着されたワーク6が保持されたワーク挿入ガイド部25がこの位置▲7▼に回転移送された後、ワーク6を上方から押し下げれば、ワーク6はワーク挿入ガイド部25から外れて下方の貯留器(図示略)に落下する。このワーク外しは手作業で行われるが、機械化も可能である。
【0036】
上記のカール型20、カール装置10及びカール方法によれば、次のような効果が得られる。
(イ)カール溝22内でカールしたワーク端部6aはカール溝22にきつく嵌入している。しかし、本実施形態では、カール溝型部21とワーク挿入ガイド部25とを当接及び離間可能に分割形成しているので、両部21,25を離間させることにより、ワーク端部6aをカール溝22から抜き外すことが容易になる。また、本実施形態では、ワーク押さえ機構32が挿入ガイド面26との間にワーク6を挟着した状態で、両部21,25を離間させるので、挿入ガイド面26にワーク6を確実に保持できる。さらに、本実施形態では、前記離間と同時に、圧縮エアがエア噴出孔23から噴出してワーク端部6aを押し上げるので、ワーク端部6aをカール溝22から確実に抜き外すことができる。
【0037】
(ロ)カール溝型部21は、高耐摩耗性及び低摩擦抵抗のセラミックス板にカール溝22を切削加工したものであるから、使用に伴うカール溝22の摩耗が遅く、寿命が長いとともに、ワーク端部6aの滑入性がよい。なお、カール溝22は切削量が少ないので、切削加工に手間取ったりコストがかかったりすることもない。一方、ワーク挿入ガイド部25は、易削性のフェノール樹脂板に抜き穴27を切削加工したものであるから、抜き穴27は切削量が多いが容易に切削することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)カール溝型部21又はワーク挿入ガイド部25の材料を適宜変更すること。
(2)ワークの筒形状を適宜変更したり、ワークの高さを適宜変更したりすること。
【0039】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明に係る容器用ワークのカール型、カール装置及びカール方法によれば、カールしたワーク端部をカール溝から容易に抜き外すことができ、また、カール溝の高耐摩耗性と挿入ガイド面の易削性とを安価に両立させることができる。また、ワーク端部をカール溝から抜き外した後にスプレーガンから糊を飛ばすことにより、ワークの内周面への糊付けを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るカール装置の平面図である。
【図2】図1の位置▲1▼における同カール装置の断面図である。
【図3】図1の位置▲2▼における同カール装置の断面図である。
【図4】(a)は図1の位置▲3▼における同カール装置の断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図5】(a)は図4の状態からカール溝型部が上昇したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図6】(a)は図5の状態から押込部材が下降したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図7】(a)は図6の状態からワーク押さえ機構が作動したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図8】(a)は図7の状態からカール溝型部が下降したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図9】(a)は図8の状態からワーク押さえ機構が解除したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図10】(a)は図9の状態から押込部材が上昇したときの断面図、(b)は(a)の部分拡大断面図である。
【図11】(a)は図1の位置▲4▼における同カール装置の断面図、(b)は(a)の平面図である。
【図12】図1の位置▲5▼における同カール装置の断面図である。
【図13】図1の位置▲6▼における同カール装置の断面図である。
【図14】図1の位置▲7▼における同カール装置の断面図である。
【図15】同カール型の斜視図である。
【図16】(a)は包装用容器の斜視図、(b)は同容器の蓋の加工に使用するワークの斜視図である。
【図17】(a)は従来のカール型の斜視図、(b)は(a)の断面図である。
【符号の説明】
1 包装用容器
5 蓋
6 ワーク
6a ワーク端部
7 端板
10 カール装置
17 支持台
18 エア溝
19 エア通路
20 カール型
21 カール溝型部
22 カール溝
23 エア噴出孔
25 ワーク挿入ガイド部
26 挿入ガイド面
31 押込部材
32 ワーク押さえ機構
40 スプレーガン
41 ノズル部
42 吐出孔
43 糊
Claims (5)
- 高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワーク(6)のワーク端部(6a)を滑入して内側へカールさせるためのカール溝(22)を切削加工してなる板状のカール溝型部(21)と、易削性の樹脂板に、前記ワーク(6)の筒形状に合わせた一定径の抜き穴(27)を切削加工し、該抜き穴(27)の内周側面を、前記ワーク(6)を挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部(6a)を前記カール溝(22)へガイドするための挿入ガイド面(26)とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部(25)とを、前記カール溝型部(21)の前記カール溝(22)周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部(25)の前記抜き穴(27)周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝(22)の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部(6a)をカール溝(22)から抜き外すためのエア噴出孔(23)が開口している容器用ワークのカール型。
- 高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワーク(6)のワーク端部(6a)を滑入して内側へカールさせるためのカール溝(22)を切削加工してなる板状のカール溝型部(21)と、易削性の樹脂板に、前記ワーク(6)の筒形状に合わせた一定径の抜き穴(27)を切削加工し、該抜き穴(27)の内周側面を、前記ワーク(6)を挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部(6a)を前記カール溝(22)へガイドするための挿入ガイド面(26)とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部(25)とを、前記カール溝型部(21)の前記カール溝(22)周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部(25)の前記抜き穴(27)周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝(22)の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部(6a)をカール溝(22)から抜き外すためのエア噴出孔(23)が開口しているカール型(20)と、
前記カール溝型部(21)とワーク挿入ガイド部(25)とを当接及び離間させるカール型駆動機構と、
前記挿入ガイド面(26)に挿入されたワーク(6)をカール溝(22)側へ押し込むことによりワーク端部(6a)をカール溝(22)に滑入してカールさせる押込部材(31)と、
を備えた容器用ワークのカール装置。 - 前記押込部材(31)に、前記挿入ガイド面(26)との間にワーク(6)を挟着するワーク押さえ機構(32)が設けられた請求項2記載の容器用ワークのカール装置。
- 高耐摩耗性及び低摩擦抵抗の金属板又はセラミックス板の上面に、紙製一定径筒状のワーク(6)のワーク端部(6a)を滑入して内側へカールさせるためのカール溝(22)を切削加工してなる板状のカール溝型部(21)と、易削性の樹脂板に、前記ワーク(6)の筒形状に合わせた一定径の抜き穴(27)を切削加工し、該抜き穴(27)の内周側面を、前記ワーク(6)を挿入してワーク外周面を保持するとともにワーク端部(6a)を前記カール溝(22)へガイドするための挿入ガイド面(26)とした穴あき板状のワーク挿入ガイド部(25)とを、前記カール溝型部(21)の前記カール溝(22)周囲の上面と前記ワーク挿入ガイド部(25)の前記抜き穴(27)周囲の下面とが当接及び離間可能に分割形成してなり、カール溝(22)の溝底の複数箇所に、圧縮エアを噴出してワーク端部(6a)をカール溝(22)から抜き外すためのエア噴出孔(23)が開口しているカール型(20)を使用し、
前記挿入ガイド面(26)にワーク(6)を挿入してワーク外周面を保持する工程と、
前記カール溝型部(21)とワーク挿入ガイド部(25)とを当接し、前記挿入ガイド面(26)に挿入されたワーク(6)をカール溝(22)側へ押し込むことによりワーク端部(6a)をカール溝(22)に滑入してカールさせる工程と、
前記カール溝型部(21)とワーク挿入ガイド部(25)とを離間し、前記挿入ガイド面(26)にワーク外周面を保持した状態で、エア噴出孔(23)から圧縮エアを噴出することによりワーク端部(6a)を押し上げてカール溝(22)から抜き外す工程と、
を含む容器用ワークのカール方法。 - 前記ワーク端部(6a)をカール溝(22)から抜き外す工程の後に、
前記ワーク(6)の略中心にスプレーガン(40)のノズル部(41)を位置させ、該ノズル部(41)から糊(43)を飛ばしてワーク(6)の内周面に付着させる工程と、
カールしたワーク端部(6a)に端板(7)を掛止させ、前記糊付け部位に端板(7)を圧着する工程と
を行う請求項4記載の容器用ワークのカール方法。
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