JP3767469B2 - 無侵襲生体計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体に対して針等を侵襲させることなく該生体内部に関する各種情報を計測するための無侵襲生体計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
計測対象である生体に針などを刺すことなく、いわゆる無侵襲でその生体内部の各種情報を計測する装置として、例えば特開平7−103888号公報に記載の装置が知られている。この装置は、生体に近赤外光を照射し、生体内部に入り込んで透過及び反射を繰り返し再び生体表面に出てきた光(拡散反射光)を検出し、その光強度から算出した吸光度を用いて生体血液中の血糖、つまりグルコース濃度を測定するものである。このような装置は、被検者に身体的苦痛を与えることが少ないという大きな利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような生体計測装置では一般に精度や再現性の高い測定を行うことが難しい。何故なら、被検体(被検者の被検部位)は生理現象によって或いは随意的に動いてしまうため、これによって生体表面に対する発光部や受光部の接触圧が変動し、生体表面での正反射が増加したり、或いは生体内部の散乱係数などの状態が変動したりするからである。
【0004】
また、被検体が鼠などの動物である場合には計測途中に動いてしまう可能性が非常に大きいため、尚一層、精度や再現性の高い測定が困難である。これを回避するために、被検体の動きを薬剤等によって一時的に止めることも考えられるが、こうした薬剤の作用によって本来取得したい生体情報の正確性を損なうこともあり得る。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、計測対象の生体に動きがあるような場合でも、高い精度で且つ高い再現性をもって測定を行うことができる無侵襲生体計測装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係る無侵襲生体計測装置は、
a)生体の表面に接触する接触部を含み、該接触部を介して該生体内部の情報を計測する生体情報取得手段と、
b)前記接触部に対する前記生体からの圧力を検出する圧力検出手段と、
c)該圧力検出手段による検出圧に応じて、前記接触部及び/又は前記生体を移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態、及び効果】
本発明に係る無侵襲生体計測装置を用いて、目的とする生体内部の情報を計測する際には、生体情報取得手段の接触部を生体表面に押し付けるように接触させる。すると、圧力検出手段はそのときの接触部に対する生体の押圧力を検出する。圧力検出手段は接触部を介した情報の取得が行われる前後を含めて連続的に押圧力を検出してもよいし、或いは、少なくとも生体情報取得手段が情報を取得するタイミングでその時点の押圧力を検出するものであってもよい。いずれにしても、移動手段は、圧力検出手段による検出圧が所定値になるように、生体と接触部の少なくともいずれか一方を移動させる。これにより、生体に動きがあっても、それに追随して生体に対する接触部の接触圧をほぼ一定に維持することができる。
【0008】
したがって、本発明に係る無侵襲生体計測装置によれば、計測対象の生体が随意又は不随意に動いた場合であっても接触圧を一定に保つことによって、精度の高い計測を行うことができる。また、同一生体に対して複数回の計測を行う場合、或いは異なる複数の生体に対してそれぞれ計測を行う場合に、重要な計測条件の一つである接触圧を同一にすることができるので、高い再現性を得ることができ、計測結果の比較などの信頼性が大幅に向上する。
【0009】
本発明に係る無侵襲生体計測装置の一実施形態としては、前記生体情報取得手段は光学的に生体内部の情報を計測する手段であって、前記接触部は生体に向けて光を出射するとともに該生体からの光を受光するための光ファイバの集合体を備える構成とすることができる。
【0010】
この構成では、生体の表面に接触した接触部から生体に向けて光が照射され、照射された光の一部はその生体内部に浸透して、生体内部組織を通過する間に拡散や反射を繰り返し、やがて生体表面に出てくる。このとき生体表面から出射される拡散反射光は生体内部組織に関する情報を含んでいるから、接触部でこの光を受光し、光ファイバを介して生体情報取得手段の本体へと送る。これにより、生体内部組織に関する情報を無侵襲で取得することができる。
【0011】
なお、好ましくは、本発明に係る無侵襲生体計測装置において、前記圧力検出手段は互いに略直交する3軸方向の圧力を検出するものであり、前記移動手段は前記接触部及び/又は前記生体を前記3軸方向に移動するものである構成とするとよい。
【0012】
この構成によれば、計測途中で生体がどのように動いた場合であっても、その動きに追随して接触圧を一定に維持することができる。また、同一生体に対して複数回の計測を行う場合、或いは異なる複数の生体に対してそれぞれ計測を行う場合においては、接触部に対する生体の初期的な押付け状態に拘わらず、接触圧が一定になるように適宜に調節して測定を行うことができる。したがって、測定の精度や再現性が一層向上する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明に係る無侵襲生体計測装置の一実施例について、図1〜図4を参照して説明する。図1は本実施例による生体計測装置における計測部の上面図、図2は同じ計測部の側面一部破断面図、図3は同じ計測部の動作説明図、図4は本実施例による生体計測装置の電気系ブロック構成図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施例の生体計測装置にあって、安定したベース1上には、生体保持アーム3が固定された3軸移動ステージ2が設けられており、生体保持アーム3はX、Y、Zの互いに直交する3軸方向に移動自在となっている。また、ベース1上には一対の軸固定片4が立設され、その軸固定片4の間に架設された軸体5には、Z軸方向移動台6が蝶動自在(図3中の矢印Mz参照)に取り付けられている。軸体5と反対側に位置するZ軸方向移動台6の端部の突片6aの下には、該突片6aによる上からの押圧力を受けるように、Z軸方向圧力センサ7がベース1上に固定されている。これにより、Z軸方向移動台6に対してZ軸方向の力が加わった場合、その力はZ軸方向圧力センサ7によって検出される。
【0015】
Z軸方向移動台6上には、Y軸方向移動台8が一対のリニアガイド9によりY軸方向にスライド移動自在(図3中の矢印My参照)に設けられている。また、Z軸方向移動台6上に立設されたバネ固定片10とY軸方向移動台8との間にはバネ11が介挿されるとともに、Y軸方向移動台8を挟んでバネ固定片10と反対側には、バネ11の伸長による付勢力でY軸方向移動台8が移動する押圧力を受けるように、Y軸方向圧力センサ12がZ軸方向移動台6上に固定されている。これにより、Y軸方向移動台8に対してY軸方向の力が加わった場合、その力はY軸方向圧力センサ12によって検出される。
【0016】
Y軸方向移動台8上には、X軸方向移動台13が一対のリニアガイド14によりX軸方向にスライド移動自在(図3中の矢印Mx参照)に設けられている。また、Y軸方向移動台8上に立設されたバネ固定片15とX軸方向移動台13との間にはバネ16が介挿されるとともに、X軸方向移動台13を挟んでバネ固定片15と反対側には、バネ16の伸長による付勢力でX軸方向移動台13が移動する押圧力を受けるように、X軸方向圧力センサ17がY軸方向移動台8上に固定されている。これにより、X軸方向移動台13に対しX軸方向の力が加わった場合、その力はX軸方向圧力センサ17によって検出される。
【0017】
X軸方向移動台13上には、本発明における接触部としての円柱状の測定サンプラ18が固定されている。測定サンプラ18はその上面が被検体Bに対する接触面であって、被検体Bに対して光を照射するとともに拡散反射光を受光するために、照射側光ファイバ21と受光側光ファイバ31の端面が接触面に略面一に揃うように構成されている。具体的には、例えば、本出願人が特願2000−328144号で提案しているような装置を用いることができる。なお、照射側光ファイバ21及び受光側光ファイバ31は、X軸方向移動台13、Y軸方向移動台8及びZ軸方向移動台6の移動動作を妨げることがないようにベース1の下面から外部へ引き出されている。
【0018】
本実施例の生体計測装置では、上記構成によって、測定サンプラ18の上面つまり接触面を介してX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に加わった力は、それぞれX軸方向圧力センサ17、Y軸方向圧力センサ12及びZ軸方向圧力センサ7により検出される。すなわち、空間内でいずれの方向に作用する力も3個の圧力センサ17、12、7により検出される。
【0019】
図2及び図4に示すように、照射側光ファイバ21の入射端には発光側装置20が、受光側光ファイバ31の出射端には受光側装置30が接続されている。発光側装置20は光源22と分光器23とを含み、特定波長の単色光を照射側光ファイバ21へと送り込む。一方、受光側装置30は光検出器32、吸光度算出部33、生体情報算出部34を含む。なお、光源22、分光器23、光検出器32、及び吸光度算出部33は実質的に赤外分光光度計である。
【0020】
図4において、光源22から発した光は分光器23に導入され、そこで特定波長を有する単色光が取り出され、照射側光ファイバ21を通して測定サンプラ18から被検体Bに向けて照射される。分光器23は例えば1.4〜1.8μmの範囲で波長走査を行うものとする。この程度の波長範囲では、光は0.4〜1.2mm位の深さだけ被検体Bの内部に入り込み、その内部組織を通過する途中で拡散反射した光が被検体Bから出射する。この拡散反射光の一部は測定サンプラ18において受光側光ファイバ31の入射端面に入射し、該光ファイバ31を通って光検出器32に導入される。光検出器32は受光強度に応じた電気信号を出力し、吸光度算出部33はその信号に基づいて吸光度を求め、波長と吸光度との関係を示す吸光スペクトルを作成する。生体情報算出部34はその吸光スペクトルに基づいて多変量解析演算処理などを実行し、所望の生体情報を算出する。生体情報として例えば血液中のグルコース濃度などを得ることができるが、そのほかの生体情報であってもよい。
【0021】
上記のような測定に際し、生体である被検体Bは生体保持アーム3の上面に載置される。生体保持アーム3と測定サンプラ18とが適当な位置(高さ)関係にあると、図2に示すように、被検体Bの下表面が測定サンプラ18の上端面に接触して適度な圧力で押し付けられる。その状態で上述したように下から光が照射されると、その光は被検体B内部に浸透し、その内部組織で拡散反射した光が測定サンプラ18へと戻る。こうした1回の測定中或いは複数回の繰り返し測定の途中で被検体Bが動いてしまうと、測定サンプラ18に対する被検体Bの接触圧が変化し、それに伴って被検体Bの表面での反射光量や被検体B内部での散乱係数などが変動する。このような変動は本来の生体情報の値とは無関係な誤差である。そこで、本実施例の生体計測装置では、3個の圧力センサ17、12、7と、これら圧力センサ17、12、7による検出圧を読み込む制御部40と、3軸移動ステージ2とが次のように機能する。
【0022】
すなわち、少なくとも被検体Bに対して測定を行っている期間中、X、Y、Zの3軸方向の押圧力を検出するための3個の圧力センサ17、7による検出圧は制御部40へと入力される。測定サンプラ18に対する被検体Bの押圧力が全く変化しない場合には、これら圧力センサ17、12、7による検出圧は一定であるが、被検体Bに動きがあると、その動きの大きさと方向によって検出圧が変化する。そこで、制御部40は、読み込んだ3個の検出圧をそれぞれ所定の目標値と比較し、両者の差分がゼロになるような制御信号を算出する。
【0023】
具体的に言うと、例えば3軸移動ステージ2は3軸方向にそれぞれ独立したパルスモータを内蔵しており、制御部40は制御信号として各パルスモータを駆動するためのパルス数を算出する。そして、このパルス数に対応した数のパルス信号を各モータへと送出する。例えば、Z軸方向圧力センサ7による検出圧が目標値より下がった場合には、被検体Bの押圧力を増加させるために、生体保持アーム3をZ軸上で所定距離だけ下降させるべく3軸移動ステージ2を制御する。これにより、測定サンプラ18に対する被検体Bからの押圧力が強まる。逆にZ軸方向圧力センサ7による検出圧が目標値を越えた場合には、被検体Bの押圧力を減少させるために、生体保持アーム3をZ軸上で所定距離だけ上昇させるべく3軸移動ステージ2を制御する。これにより、測定サンプラ18に対する被検体Bからの押圧力が弱まる。
【0024】
また、X軸方向、Y軸方向においても同様に、それぞれの検出圧が目標値になるように生体保持アーム3をX軸上、Y軸上で所定距離だけ移動させるべく3軸移動ステージ2を制御する。3個の圧力センサ17、12、7により測定サンプラ18に掛かる3軸方向の力をそれぞれ検出しているとともに、3軸移動ステージにより生体保持アーム3は空間内のいずれの方向にも移動が可能となっているから、被検体Bの如何なる動きに対しても追従して接触圧をほぼ一定に維持することができる。また、同一の又は異なる被検体Bを測定する際に常に同一の接触圧を再現して測定を行うことができる。
【0025】
なお、上記実施例は本発明の単に一例に過ぎず、本願の特許請求の範囲に記載の趣旨の範囲で、様々な形態や構成に変形・修正できることは明白である。例えば、被検体Bを支持する生体保持アーム3を移動させる代わりに、測定サンプラ18自体を移動させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による生体計測装置における計測部の上面図。
【図2】 図1の計測部の側面一部破断面図。
【図3】 図1の計測部の動作説明図。
【図4】 本実施例による生体計測装置の電気系ブロック構成図。
【符号の説明】
1…ベース
2…3軸移動ステージ
3…生体保持アーム
4…軸固定片
5…軸体
6…Z軸方向移動台
6a…突片
7…Z軸方向圧力センサ
8…Y軸方向移動台
9、14…リニアガイド
10、15…バネ固定片
11、16…バネ
12…Y軸方向圧力センサ
13…X軸方向移動台
17…X軸方向圧力センサ
18…測定サンプラ
20…発光側装置
21…照射側光ファイバ
22…光源
23…分光器
30…受光側装置
31…受光側光ファイバ
32…光検出器
33…吸光度算出部
34…生体情報算出部
40…制御部
B…被検体

Claims (2)

  1. a)生体の表面に接触する接触部を含み、該接触部を介して前記生体内部の情報を計測する生体情報取得手段と、b)前記接触部に対する前記生体からの互いに略直交する3軸方向の圧力を検出する圧力検出手段と、c)該圧力検出手段による検出圧に応じて、前記接触部及び/又は前記生体を前記3軸方向に移動させる移動手段と、
    を備えたことを特徴とする無侵襲生体計測装置。
  2. 前記生体情報取得手段は光学的に生体内部の情報を計測する手段であって、前記接触部は生体に向けて光を出射するとともに該生体からの光を受光するための光ファイバの集合体を備えることを特徴とする請求項1に記載の無侵襲生体計測装置。
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