JP3766461B2

JP3766461B2 - Novel thermostable β-galactosidase

Info

Publication number: JP3766461B2
Application number: JP30524995A
Authority: JP
Inventors: 奈穂美大津; 英雅元島; 悦雄皆川; 不二司城
Original assignee: Yotsuba Milk Products Co Ltd
Current assignee: Yotsuba Milk Products Co Ltd
Priority date: 1995-10-31
Filing date: 1995-10-31
Publication date: 2006-04-12
Anticipated expiration: 2015-10-31
Also published as: JPH09121866A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な耐熱性β−ガラクトシダーゼに関し、詳しくは、サーマス・エスピーＡ４株（ＦＥＲＭＰ−１５２３６）由来の新規な耐熱性β−ガラクトシダーゼに関するものである。
本発明のβ−ガラクトシダーゼは、温泉の熱水，泥などのサンプルより分離したサーマス属細菌に由来し、本酵素は耐熱性に優れており、食品工業用酵素としてきわめて有用なものである。
【０００２】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
低乳糖牛乳の生産や乳清中に含まれる乳糖の分解を効率よく行うために、固定化β−ガラクトシダーゼを用いた連続乳糖分解システムが開発され、一部で実用化されている。固定化される酵素の性質は、基質である乳糖との親和性が高いとともに、固定化してもその活性を失わず、殺菌処理などによる加熱に耐えうることが望ましい。
そこで、種々の好熱性細菌由来のβ−ガラクトシダーゼが検討され、これまでにサーマス(Thermus) 4-1A株( D.A.Cowan et al. Biotech. Bioeng.,26, 1141-1145(1984)), バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus) ATCC 8005 株( H.Hirata et al. J. Bacteriol., 166 (3), 722-727 (1986)、H.Hirata et al. Appl. Environ. Microbiol., 49 (6), 1547-1549 (1985) ) 由来のβ−ガラクトシダーゼが報告されているが、サーマス属細菌の耐熱性β−ガラクトシダーゼについては、アミノ酸レベルやＤＮＡレベルで、その構造が明らかにされたものはまだない。
ところで、現在、汎用されているβ−ガラクトシダーゼは、酵母である Kluyveromyces flagilis, Kluyveromyces lactis 、カビである Aspergillus oryzae,Aspergillus niger 由来のものである。これらは、いずれも高収率で生産できるため安価であるが、耐熱性という点ではバチルス・ステアロサーモフィルス由来のものに比べて劣っている。しかし、バチルス・ステアロサーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼは酵素の収率が低いため、一般に汎用されていない。
【０００３】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れたβ−ガラクトシダーゼを産生する微生物を探索して、該微生物由来の酵素を精製し、それが効果的に乳糖を分解することを証明することである。また、本発明のサーマス属細菌由来のβ−ガラクトシダーゼは、自然界からスクリーニングされたもので、そのＮ−末端アミノ酸配列から新規の酵素であることが明らかとなった。さらに、精製した該耐熱性β−ガラクトシダーゼは従来のサーマス属細菌由来のものよりも基質親和性が高く、より実用的なものである。
また、本酵素のＮ−末端アミノ酸配列が決定されたことにより、このアミノ酸配列より推定されるＤＮＡ配列をプローブとしてサーマス属及び他属細菌の耐熱性β−ガラクトシダーゼをクローニングすることも可能となった。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、まず各地の温泉より採集した熱水や泥などのサンプルよりスクリーニングを行い、β−ガラクトシダーゼ活性の高い微生物菌株を選択した。この菌株の菌学的性質を調べ、本菌はサーマス属細菌であると同定した。次いで、該菌株由来のβ−ガラクトシダーゼを精製し、諸性質を決定すると共に、そのＮ−末端アミノ酸配列を決定した。相同性検索の結果、従来報告されているバチルス・ステアロサーモフィルス由来のβ−ガラクトシダーゼＩとは４０．９％の低い相同性が示されたことから、本発明のβ−ガラクトシダーゼは新規な酵素であると確認した。また、この精製酵素は従来のサーマス属細菌由来β−ガラクトシダーゼよりも基質親和性が高いことが証明された。本発明はかかる知見により完成されたものである。
【０００５】
請求項１記載の本発明は、サーマス・エスピーＡ４株（ＦＥＲＭＰ−１５２３６）由来の菌体内酵素で、配列表の配列番号１に記載のＮ−末端アミノ酸配列を含む新規な耐熱性β−ガラクトシダーゼであり、請求項２記載の本発明は、配列表の配列番号１に記載のＮ−末端アミノ酸配列を含む耐熱性β−ガラクトシダーゼ産生能を有するサーマス・エスピーＡ４株（ＦＥＲＭＰ−１５２３６）である。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
耐熱性に優れたβ−ガラクトシダーゼを産生する微生物の探索は以下のようにして行った。
各地の温泉から採集した熱水や泥などのサンプルを、X-gal を含むサーマス属細菌用平板培地に塗沫して７０℃で２日間培養し、出現したコロニーのうち青色または緑色を呈しているものを選び、上記と同じ組成の液体培地に移して培養する。培養終了後、培養液から遠心分離などの固−液分離を行って菌体を集めた後、超音波破砕処理，ホモジナイザー処理などによって菌体を破砕して粗酵素液とする。この酵素のｏ−ニトロフェニルβ−Ｄ−ガラクトピラノシド（ＯＮＰＧ）に対するβ−ガラクトシダーゼ活性を測定し、最終的に該β−ガラクトシダーゼ活性が高く、増殖が早い菌株を選択する。このようにして、静岡県の熱川温泉より分離した菌株を選択した。本菌は、好気性のグラム陰性桿菌であり、カロチノイド系と考えられる油溶性の黄色色素を産生することから、サーマス属に属するものと同定した。本菌をサーマスＡ４株と命名した。本菌は工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はＦＥＲＭＰ−１５２３６である。
【０００７】
次に、本発明のβ−ガラクトシダーゼの採取と精製は以下の方法により行うことができる。
選択した菌株を、サーマス属細菌用液体培地を用いて大量培養し、培養物から遠心分離等の固−液分離手段によって菌体を回収する。次いで、該菌体をリン酸ナトリウム緩衝液等に懸濁し、適当な破砕手段によって破砕して粗酵素液(cell free extract) とする。この粗酵素液について、ＯＮＰＧに対する加水分解活性を指標としてβ−ガラクトシダーゼを精製する。
まず、上記の粗酵素液を８０％飽和の硫安等による硫安塩析を行い沈殿を回収し、該沈殿をトリス−塩酸緩衝液等に分散させた後、同じ緩衝液に対して透析処理を行う。次いで、各種のクロマトグラフィーを用いて分画し、精製する。例えば、イオン交換クロマトグラフィー，ヒドロキシアパタイトカラムクロマトグラフィー，ゲル濾過クロマトグラフィー，疎水性クロマトグラフィー等を適宜組み合わせて精製する。
【０００８】
このようにして精製した後、常法に従って酵素の諸性質を決定する。本酵素のＮ−末端アミノ酸配列の決定は、例えばプロテインシークエンサーを用いて行うことができる。決定されたＮ−末端アミノ酸配列を他のβ−ガラクトシダーゼのＮ−末端アミノ酸配列と比較することが可能である。さらに、所望により本酵素に対して遺伝子工学的改良を加えることにより、より実用的なβ−ガラクトシダーゼを創製することも可能である。
【０００９】
以下に、本発明のβ−ガラクトシダーゼの理化学的性質を示す。
（１）作用ラクトースをガラクトースとグルコースに加水分解する。
（２）基質特異性ラクトース（Ｋｍ＝２０ｍＭ），ＯＮＰＧ（Ｋｍ＝５．９ｍＭ）
（３）至適温度酵素の熱による失活を無視した見かけの至適温度は９０℃以上（４）耐熱性８５℃で２時間保温後、７５％残存活性
（５）至適ｐＨ５．５〜８．０
（６）分子量８６ｋＤａ（単量体）
（７）阻害剤鉄イオン，銅イオン，ＰＭＳＦ
（８）活性剤マンガンイオン，コバルトイオン，亜鉛イオン，ＤＴＴ，β−メルカプトエタノール，システイン
（９）Ｎ−末端アミノ酸配列配列表の配列番号１記載の通り
【００１０】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
実施例１
各地の温泉（温度６５〜９４℃、ｐＨ７前後）から熱水およびそれに接している微生物マットなどを採取した。これらをサーマス属細菌用平板培地（１リットル中、４ｇポリペプトン、2 ｇ酵母エキス、１％ラクトース、1 ｇＭｇＣｌ₂、１０ｇＧＥＬＲＩＴＥ、１０ｍｌＸ−ｇａｌ溶液（２０ｍｇ／ｍｌジメチルホルムアミド溶液）、１００ｍｌ１０×ｂａｓａｌｓａｌｔｓｏｌｕｔｉｏｎ（この溶液１リットル中には６．８９ｇＮａＮＯ₃、１．５ｇＣａＳＯ₄・２Ｈ₂Ｏ、１．１ｇＮａＨＰＯ₄ 、１．０３ｇＫＮＯ₃、１．０ｇＭｇＳＯ₄・７Ｈ₂Ｏ、１．０ｇニトリロ三酢酸、０．０８ｇＮａＣｌ、１０ｍｌＦｅＣｌ₂水溶液（０．２８ｇ／Ｌ）、１０ｍｌＮｉｔｓｃｈ’ｔｒａｃｅｅｌｅｍｅｎｔｓｏｌｕｔｉｏｎが含まれている) （なお、Ｎｉｔｓｃｈ’ｔｒａｃｅｅｌｅｍｅｎｔｓｏｌｕｔｉｏｎ１リットル中には２．２ｇＭｎＳＯ₄・Ｈ₂Ｏ、０．５ｇＺｎＳＯ₄・７Ｈ₂Ｏ、０．５ｇＨ₃ＢＯ₄、０．５ｍｌＨ₂ＳＯ₄、０．０４６ｇＣｏＣｌ₂・６Ｈ₂Ｏ、０．０２５ｇＮａ₂ＭｏＯ₄・２Ｈ₂Ｏ、０．０１６ｇＣｕＳＯ₄が含まれている) ）に塗沫して７０℃で培養した。
【００１１】
２日ほど培養するとコロニーが生じるので、そのうち青−緑色を呈しているもののみを画線分離した。分離により青色を呈さなくなるものもあったが、十分に青色を保っているコロニーを液体培地（先述の平板培地の組成よりＭｇＣｌ₂とＧＥＬＲＩＴＥを除いたもの）に移して７０℃で４８時間培養した。
培養終了後、培養液を遠心分離して集菌後、菌体を超音波破砕して粗酵素液とし、これのＯＮＰＧに対するβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。その結果、β−ガラクトシダーゼ活性が高く、増殖が速い菌株（Ａ４株と名付けた）を選択した。本菌株に由来するβ−ガラクトシダーゼを以後Ａ４−β−Ｇａｌと称することにする。このＡ４株は静岡県の熱川温泉より分離された菌株で、菌学的性質を調べた結果、好気性のグラム陰性桿菌で、カロチノイド系と考えられる油溶性の黄色色素を産生することから、サーマス属に属するものと認められ、サーマスＡ４株と命名した。本菌株はＦＥＲＭＰ−１５２３６として工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
【００１２】
実施例２
実施例１で得られたＡ４株（ＦＥＲＭＰ−１５２３６）を実施例１に示したと同様の液体培地を用いて９０リットル容ジャーファーメンターで７０℃で２日間培養し、約７０リットルの培養液を得た。この培養液よりＡ４株の菌体を遠心分離によって回収した。
遠心分離により得た菌体（約７２０ｇ、湿物重）のうち半量（３６０ｇ）を４リットルの５０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液（ｐＨ７．０）に懸濁し、５℃以下にて約２０時間循環させながら連続的に超音波破砕した。これを遠心分離して得た上清（比活性は０．１１５ｕｎｉｔ／ｍｇ）に８０％飽和となるよう硫安を加え、４℃で一晩放置した。生じたタンパク質の沈殿を遠心分離にて回収し、１リットルの５０ｍＭＴｒｉｓ−ＨＣｌ緩衝液（ｐＨ８．０）に分散させて、同じ緩衝液に対して透析を行った。
【００１３】
透析を終了したサンプル約３リットルを３００ｍｌずつＱ−Ｓｅｐｈａｒｏｓｅ陰イオン交換クロマトグラフィーで分画した。分画条件は以下の通りである。
カラム：Ｑ−ＳｅｐｈａｒｏｓｅＦＦ（Ｐｈａｒｍａｃｉａ製）
カラムサイズ：ＰｈａｒｍａｃｉａＸＫ５０（５０×２４０ｍｍ）
緩衝液：Ａ：５０ｍＭＴｒｉｓ−ＨＣｌ（ｐＨ８．０），０．０２％ＮａＮ₃
Ｂ：１ＭＮａＣｌ／緩衝液Ａ
溶出：十分に吸着させてから、２時間でＮａＣｌ濃度を０Ｍから１Ｍまで直線的に上昇させて溶出させた。
流速：４ｍｌ／ｍｉｎ
フラクションサイズ：８ｍｌ
このようにして活性画分（約９６０ｍｌ）を回収し、Ｑ−Ｓｅｐｈａｒｏｓｅ活性画分（比活性は０．２６９ｕｎｉｔ／ｍｇ）を得た。これを常法に従い硫安塩析、透析により脱塩濃縮して約６００ｍｌにした。
【００１４】
次に、これを５０ｍｌずつハイドロキシアパタイトカラムで分画した。条件は以下の通りである。
カラム：ギガパイト (生化学工業)
カラムサイズ：ＰｈａｒｍａｃｉａＸＫ５０（５０×７０ｍｍ）
緩衝液：Ａ：１０ｍＭリン酸カリウム緩衝液（ｐＨ７．０）, ０．０２％ＮａＮ₃
Ｂ：５００ｍＭリン酸カリウム緩衝液（ｐＨ７．０）, ０．０２％ＮａＮ₃
溶出：目的タンパク質はこのカラムと弱い相互作用しか持たないので、十分な量の緩衝液Ａを流して目的タンパク質を溶出してから、緩衝液Ｂの２０％、１００％のステップワイズで他のタンパク質を溶出した。
流速：４ｍｌ／ｍｉｎ
フラクションサイズ：８ｍｌ
活性画分を回収し、ハイドロキシアパタイト活性画分（約４３０ｍｌ、５．０４ｕｎｉｔ／ｍｇ）を得た。
【００１５】
さらに、これを５０ｍｌずつＭｏｎｏＱＨＲ１０／１０カラムを用いたＨＰＬＣで分画した。分画の条件は以下の通りである。
カラム：ＭｏｎｏＱＨＲ１０／１０（Ｐｈａｒｍａｃｉａ製）
緩衝液：Ａ：５０ｍＭＴｒｉｓ−ＨＣｌ（ｐＨ８．０），０．０２％ＮａＮ₃
Ｂ：１ＭＮａＣｌ／緩衝液Ａ
溶出：十分に吸着させてから、４０分間でＮａＣｌ濃度を０Ｍから０．４Ｍまで直線的に上昇させて溶出させた。
流速：４ｍｌ／ｍｉｎ
ＮａＣｌ濃度が約０．３Ｍのときに活性のピークが得られたので、この活性画分を回収し、ＭｏｎｏＱ活性画分（約１１５ｍｌ、８．１０ｕｎｉｔ／ｍｇ）を得た。
この際のクロマトグラムを図１に示した。なお、図中の実線はＡ４−β−Ｇａｌの相対活性を示し、破線は２８０ｎｍにおける吸光度を示し、一点鎖線はグラジエントの塩濃度を示す。
【００１６】
ＭｏｎｏＱ活性画分を限外濾過（分画分子量３００００）によりおよそ１０ｍｌまで濃縮してからこれを１ｍｌずつ以下の条件で分画した。
カラム：ＹＭＣ−ＰａｃｋＤｉｏｌ−３００（２０×５００ｍｍ）（ＹＭＣ）
緩衝液：０．１ＭＫＨ₂ＰＯ₄−Ｋ₂ＨＰＯ₄（ｐＨ７．０），０．２Ｍ
ＮａＣｌ
流速：０．３ｍｌ／ｍｉｎ
活性のピークは分子量約８６ｋＤａの蛋白質のピークと重なっていた。この活性画分を回収し、ゲル濾過活性画分（約２２ｍｌ、４９．３ｕｎｉｔ／ｍｇ）とした。
【００１７】
ゲル濾過活性画分約２２ｍｌに等量の１．７Ｍ（ＮＨ₄)₂ＳＯ₄ を加えたものを、Ｐｈｅｎｙｌ−Ｓｕｐｅｒｏｓｅ疎水性クロマトグラフィーにより３ｍｌずつ以下の条件で分画した。
カラム：Ｐｈｅｎｙｌ−ＳｕｐｅｒｏｓｅＨＲ５／５（Ｐｈａｒｍａｃｉａ）
緩衝液：Ａ：５０ｍＭＴｒｉｓ−ＨＣｌ（ｐＨ７．５），０．８５Ｍ（ＮＨ₄)₂ＳＯ₄ ，０．０２％ＮａＮ₃
Ｂ：５０ｍＭＴｒｉｓ−ＨＣｌ（ｐＨ７．５），，０．０２％
ＮａＮ₃
溶出：十分に吸着させた後、Ｂ緩衝液の割合を０％から５０％に切り替え、さらに５０％から１００％まで直線的に上昇させて溶出させた。
流速：０．６ｍｌ／ｍｉｎ
Ｂ緩衝液の割合が１００％、すなわち硫安濃度がほぼ０となったときに活性画分が溶出されたので、この活性画分を回収してＰｈｅｎｙｌ−Ｓｕｐｅｒｏｓｅ活性画分（約１０ｍｌ、４８．６ｕｎｉｔ／ｍｇ）を得た。
この際のクロマトグラムを図２に示した。なお、図中の実線はＡ４−β−Ｇａｌの相対活性を示し、実線は２８０ｎｍにおける吸光度を示し、矢印で示したピークはＡ４−β−Ｇａｌの相対活性のピークと重なっていることを示す。また、破線はグラジエントの緩衝液Ｂの割合を示す。
【００１８】
以上に述べた精製各段階の総タンパク質量、総活性、比活性、収率、精製倍率を表１に示した。なお、タンパク質濃度および酵素活性の測定は以下の方法により行った。
タンパク質濃度はＢｉｏ−ＲａｄＰｒｏｔｅｉｎａｓｓａｙ（Ｂｉｏ−Ｒａｄ社製）を用いて測定した。標準にはＢｏｖｉｎｅｓｅｒｕｍａｌｂｕｍｉｎを用いた。
【００１９】
ＯＮＰＧを基質としたときのβ−ガラクトシダーゼ活性は以下のようにして測定した。キュベット中の反応混合液（５０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液 (ｐＨ６．５）、１ｍＭＭｇＣｌ₂、２．８ｍＭＯＮＰＧ、全量は２．９ｍｌ）を７０℃に保ち、酵素液を１００μｌ加えて３０秒後から１分間の４０５ｎｍにおける吸光度の変化を測定した。ｏ−ニトロフェノールの４０５ｎｍにおけるモル吸光係数は３．１×１０³Ｍ^-1ｃｍ^-1として計算した。なお、精製の途中の段階での各フラクションの活性は簡易的に以下のようにして測定した。測定するフラクションから１０μｌを９６穴マイクロウェルプレートにとり、１８０μｌのバッファー（５０ｍＭリン酸ナトリウム (ｐＨ６．５）、1 ｍＭＭｇＣｌ₂)を加えた。次に、１０μｌの１０ｍＭＯＮＰＧを加えて、すぐに８０℃のインキュベーターに入れて１５分間おいた。このあとＭＴＰ−１００マイクロプレートリーダーで４０５ｎｍにおける吸光度を測定した。対照にはフラクションからの液の代わりに同じバッファーを用いた。なお、ＯＮＰＧと同様にｐ−ニトロフェニルβ−Ｄ−ガラクトピラノシド（ＰＮＰＧ）もβ−ガラクトシダーゼの基質として用いられる。
【００２０】
乳糖を基質としたときのβ−ガラクトシダーゼ活性は以下のようにして測定した。反応混合物（１０−１００ｍＭラクトース、１０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液 (ｐＨ６．５）、酵素液、全量は１ｍｌ）を７０℃で１時間反応させ、反応前と反応後のラクトースの量の変化をイオンクロマトグラフィー（ＤＩＯＮＥＸ社製，ＤＸ３０００型) で測定した。測定条件は以下の通りであった。
カラム：Ｃａｒｂｏ−ｐａｋＰＡ−１００
移動相：１５０ｍＭＮａＯＨ
流速：０．８ｍｌ／ｍｉｎ
検出器：ＰＡＤ
【００２１】
【表１】

【００２２】
Ｐｈｅｎｙｌ−Ｓｕｐｅｒｏｓｅ分画までの精製によってＡ４−β−Ｇａｌは４２３倍にまで精製され、次に記すＳＤＳ−ＰＡＧＥによりほぼ純品であることが確認された。そこで、このＰｈｅｎｙｌ−Ｓｕｐｅｒｏｓｅ活性画分を用いて酵素の諸性質を調べた。
【００２３】
（１）ＳＤＳ−ＰＡＧＥによる分子量の推定
ポリアクリルアミドゲル電気泳動（ＰＡＧＥ）はＬａｅｍｍｌｉ（U.K.Laemmli Nature (London), 227, 680-685 (1970)) の方法に準じて行い、クマシーブリリアントブルーＲ−２５０染色で可視化した。すなわち、精製各段階のサンプルをタンパク質濃度が約１ｍｇ／ｍｌとなるように調製し、常法に従ってＳＤＳ−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、クマシーブリリアントブルーで染色した。
精製各段階のサンプルをＳＤＳ−ＰＡＧＥにかけたものを図３に示した。なお、図中レーン１は分子量マーカー、レーン２は菌体破砕物の上清、レーン３はＱ−Ｓｅｐｈａｒｏｓｅで分画した活性画分、レーン４はハイドロキシアパタイトで分画した活性画分、レーン５はＭｏｎｏ−Ｑで分画した活性画分、レーン６はゲル濾過で分画した活性画分、レーン７はＰｈｅｎｙｌ−Ｓｕｐｅｒｏｓｅで分画した活性画分、レ−ン８は逆相ＨＰＬＣで精製した際のメインピークをそれぞれ示している。
ここで、Ａ４−β−Ｇａｌは分子量がおよそ７５ｋＤａの位置にバンドを形成した。一方、ここには示さないが、ゲル濾過分画の際、Ａ４−β−Ｇａｌの分子量はおよそ８６ｋＤａと見積もられた。これらのことから、Ａ４−β−Ｇａｌは分子量が約８６ｋＤａの単量体であると推定した。ＳＤＳ−ＰＡＧＥにおいて分子量が低く見えるのはＡ４−β−Ｇａｌの疎水性が大きいためと考えられる。
【００２４】
（２）ミカエリス定数
Ａ４−β−Ｇａｌのミカエリス定数（Ｋｍ）は、初期基質濃度を変化させたときの反応初速度の変化を測定し、Ｌｉｎｅｗｅａｖｅｒ−Ｂｕｒｋプロットを用いて算定した。ＯＮＰＧに対するＫｍ値は５．９ｍＭ、乳糖に対するＫｍ値は２０ｍＭであった。
なお、第２表に比較としてサーマス４−１Ａ株( D.A.Cowan et al. Biotech. Bioeng.,26, 1141-1145(1984))、バチルス・ステアロサーモフィルスＡＴＣＣ８００５株( H.Hirata et al. J. Bacteriol., 166 (3), 722-727 (1986)、H.Hirata et al. Appl. Environ. Microbiol., 49 (6), 1547-1549 (1985) のβ−ガラクトシダーゼのミカエリス定数も示した。
【００２５】
【表２】

【００２６】
（３）温度依存性
Ａ４−β−Ｇａｌの温度依存性は、活性測定時に反応混合液を７０℃に保つ代わりにそれぞれの目的温度に保って測定することで決定した。８０℃以上ではＯＮＰＧの熱分解が起こるので、酵素液の代わりに５０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液（ｐＨ６．５）を１００μｌ加えて同様に測定した値を用いて補正した。この条件下でのＡ４−β−Ｇａｌ酵素の熱による失活を無視した見かけの至適温度は９０℃以上であった。
【００２７】
（４）ｐＨ依存性
Ａ４−β−ＧａｌのｐＨ依存性は、活性測定時に反応混合液中の５０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液（ｐＨ６．５）に代えて目的のｐＨ緩衝液を加えて同様に測定することにより決定した。緩衝液には、５０ｍＭクエン酸ナトリウム緩衝液 (ｐＨ３．５〜６．０）、５０ｍＭリン酸ナトリウム緩衝液（ｐＨ５．５〜８．０) 、５０ｍＭグリシン−ナトリウム緩衝液（ｐＨ８．０〜９．０）を用いた。その結果、Ａ４−β−Ｇａｌの至適ｐＨはおよそ５．５〜８．０であった（図４参照）。なお、図中の─●─はクエン酸ナトリウム緩衝液、─■─はリン酸緩衝液、─▲─はグリシン−ＮａＯＨ緩衝液を用いたときの結果を示した。
【００２８】
（５）耐熱性
Ａ４−β−Ｇａｌの耐熱性は、酵素液を目的温度で規定した時間保温し、保温終了後すぐに７０℃で残存活性を測定することで決定した。Ａ４−β−Ｇａｌは８５℃までであれば２時間保温した後も７５％以上の活性を保持していることが明らかになった（図５参照）。なお、図中の─●─は７５℃，─■─は８０℃，─▲─は８５℃，─◆─は９０℃，─▼─は９５℃のときの結果を示した。
また、７０℃では２０時間保温後も活性の低減が見られなかった。
【００２９】
（６）各種金属イオン、阻害剤による影響
二価の金属イオン（Ｍｎ，Ｍｇ，Ｆｅ，Ｚｎ，Ｃｕ）は最終１ｍＭ、阻害剤（ＥＤＴＡ, ＰＭＳＦ, ＤＴＴ，β−メルカプトエタノール, システイン, ヨード酢酸）は最終１０ｍＭとなるように反応混合液に添加し、通常通り活性測定を行った。その結果、マンガンイオン，コバルトイオン，亜鉛イオン，ＤＴＴ，β−メルカプトエタノールおよびシステインはＡ４−β−Ｇａｌを活性化した。鉄イオン，銅イオン，ＰＭＳＦはＡ４−β−Ｇａｌを阻害したが、ヨード酢酸による阻害はみられなかった（図６（ａ), (ｂ）参照）。なお、図中の（ａ）は金属イオンによる影響を、（ｂ）は阻害剤による影響を示した。
【００３０】
実施例３
Ａ４−β−ＧａｌのＮ−末端アミノ酸配列を決定するため、逆相ＨＰＬＣによる精製を以下の条件で行った。

メインのピークを回収し、そのままプロテインシークエンサーにかけた。
【００３１】
Ａ４−β−ＧａｌのＮ−末端アミノ酸配列は、逆相ＨＰＬＣで精製したＡ４−β−Ｇａｌサンプルを常法に従い４７３ＡＰｒｏｔｅｉｎＳｅｑｕｅｎｃｅｒ（ＡｐｐｌｉｅｄＢｉｏｓｙｓｔｅｍｓ）で分析して決定した。
その配列を配列表の配列番号１（ただし、Ｘは決定できなかったアミノ酸残基を示す。）に示す。Ｎ−末端より１５残基目までが決定できたが、そのうち１残基（５番目）は決定できなかった。
このアミノ酸配列とこれから推定されるＤＮＡ配列についてデータベース（ＮＢＲＦ−ＰＩＲ，Ｒｅｌｅａｓｅ４３．０）に登録されている配列との相同性検索を行ったところ、バチルス・ステアロサーモフィルスのβ−ガラクトシダーゼＩ（アクセッションナンバーＡ２９８３６）のＮ−末端部分と４０．９％の相同性があることが判明した（図７参照）。
【００３２】
【発明の効果】
本発明により、サーマス属細菌の産生する菌体内酵素であり、配列表の配列番号１に記載のＮ−末端アミノ酸配列を含む新規なβ−ガラクトシダーゼが提供される。さらに、このアミノ酸配列から推定されるＤＮＡ配列を用いて、サーマス属及び他の属の細菌等から相同性のあるβ−ガラクトシダーゼをクローニングすることが可能となり、実用的なβ−ガラクトシダーゼの創製に貢献できる。このβ−ガラクトシダーゼは耐熱性に富むので、食品工業用酵素として有用である。
【００３３】
【配列表】
【００３４】
配列番号：１
配列の長さ：１５アミノ酸残基，うち１残基は未決定
配列の型：アミノ酸
配列の種類：ペプチド
配列の特徴
Thermus sp.A4 株由来のβ−ガラクトシダーゼのN-末端アミノ酸の配列
存在位置：N-末端
配列
Met-Leu-Gly-Val-X-Tyr-Tyr-Pro-Glu-His-Trp-Pro-Lys-Glu-Arg
【図面の簡単な説明】
【図１】Ｍｏｎｏ−Ｑカラムクロマトグラフィーのクロマトグラムを示した図である。
【図２】Ｐｈｅｎｙｌ−Ｓｅｐｅｒｏｓｅクロマトグラフィーのクロマトグラムを示した図である。
【図３】ＳＤＳ−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示した写真である。
【図４】Ａ４−β−ＧａｌのｐＨ依存性を示した図である。
【図５】Ａ４−β−Ｇａｌの耐熱性を示した図である。
【図６】（ａ）はＡ４−β−Ｇａｌの金属イオンによる影響を、（ｂ）はＡ４−β−Ｇａｌの阻害剤による影響を示した図である。
【図７】Ａ４−β−Ｇａｌと B. stearothermophilus由来のβ−ガラクトシダーゼＩとのＮ−末端アミノ酸配列を比較した図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel thermostable β-galactosidase, and more particularly to a novel thermostable β-galactosidase derived from Thermus SP A4 strain (FERM P-15236) .
The β-galactosidase of the present invention is derived from a Thermus bacterium isolated from hot spring hot water, mud and other samples, and the enzyme is excellent in heat resistance and is extremely useful as an enzyme for the food industry.
[0002]
[Background Art and Problems to be Solved by the Invention]
A continuous lactose decomposition system using immobilized β-galactosidase has been developed and partly put into practical use in order to efficiently produce lactose milk and decompose lactose contained in whey. It is desirable that the enzyme to be immobilized has a high affinity with the substrate lactose and does not lose its activity even when immobilized, and can withstand heating by sterilization treatment or the like.
Therefore, β-galactosidase derived from various thermophilic bacteria has been studied, and thermus 4-1A strain (DACowan et al. Biotech. Bioeng., 26, 1141-1145 (1984)), Bacillus stear has been studied so far. Bacillus stearothermophilus ATCC 8005 strain (H.Hirata et al. J. Bacteriol., 166 (3), 722-727 (1986), H.Hirata et al. Appl.Environ. Microbiol., 49 (6 ), 1547-1549 (1985)) have been reported. However, the thermostable β-galactosidase of the genus Thermus has not yet been clarified at the amino acid level or DNA level. Absent.
By the way, currently used β-galactosidase is derived from Kluyveromyces flagilis and Kluyveromyces lactis which are yeasts, Aspergillus oryzae and Aspergillus niger which are fungi. All of these are inexpensive because they can be produced in high yield, but are inferior to those derived from Bacillus stearothermophilus in terms of heat resistance. However, since β-galactosidase derived from Bacillus stearothermophilus has a low enzyme yield, it is not generally used.
[0003]
Therefore, the problem to be solved by the present invention is to search for microorganisms that produce β-galactosidase with excellent heat resistance, purify enzymes derived from the microorganisms, and prove that they effectively decompose lactose. It is to be. Moreover, the β-galactosidase derived from the genus Thermus of the present invention was screened from the natural world, and was revealed to be a novel enzyme from its N-terminal amino acid sequence. Furthermore, the purified thermostable β-galactosidase has a higher substrate affinity than that derived from conventional Thermus bacteria, and is more practical.
In addition, since the N-terminal amino acid sequence of this enzyme has been determined, it has become possible to clone thermostable β-galactosidase of the genus Thermus and other genera using the DNA sequence deduced from this amino acid sequence as a probe. .
[0004]
[Means for Solving the Problems]
The inventors first screened samples such as hot water and mud collected from hot springs in various places, and selected microbial strains with high β-galactosidase activity. The bacteriological properties of this strain were examined, and the bacterium was identified as a Thermus bacterium. Subsequently, β-galactosidase derived from the strain was purified to determine various properties, and its N-terminal amino acid sequence was determined. As a result of the homology search, the β-galactosidase of the present invention was found to be a novel enzyme because it showed a low homology of 40.9% with the previously reported β-galactosidase I derived from Bacillus stearothermophilus. It was confirmed that. Moreover, it was proved that this purified enzyme has a higher substrate affinity than the conventional β-galactosidase derived from the genus Thermus. The present invention has been completed based on such findings.
[0005]
The present invention according to claim 1 is a novel thermostable β-galactosidase which is an intracellular enzyme derived from Thermus sp. Strain A4 (FERM P-15236) and comprising the N-terminal amino acid sequence of SEQ ID NO: 1 in the sequence listing. The present invention according to claim 2 is a Thermus sp. A4 strain (FERM P-15236) having the ability to produce heat-resistant β-galactosidase comprising the N-terminal amino acid sequence described in SEQ ID NO: 1 in the sequence listing. .
[0006]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described in detail below.
The search for microorganisms producing β-galactosidase with excellent heat resistance was performed as follows.
Samples such as hot water and mud collected from hot springs in various places are smeared on a plate medium for thermus genus bacteria containing X-gal and cultured at 70 ° C for 2 days. Select the one that is present, transfer to a liquid medium having the same composition as above, and culture. After completion of the culture, solid-liquid separation such as centrifugation is performed from the culture solution to collect microbial cells, and then the microbial cells are crushed by ultrasonic crushing treatment, homogenizer treatment or the like to obtain a crude enzyme solution. The β-galactosidase activity of this enzyme with respect to o-nitrophenyl β-D-galactopyranoside (ONPG) is measured, and finally a strain having high β-galactosidase activity and rapid growth is selected. In this way, a strain isolated from Atagawa hot spring in Shizuoka Prefecture was selected. Since this bacterium is an aerobic gram-negative bacilli and produces an oil-soluble yellow pigment considered to be a carotenoid, it was identified as belonging to the genus Thermus. This bacterium was named Thermus A4 strain. This bacterium is deposited at the Institute of Biotechnology, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, and the deposit number is FERM P-15236.
[0007]
Next, β-galactosidase of the present invention can be collected and purified by the following method.
The selected strain is cultured in large quantities using a liquid medium for thermus bacteria, and the cells are recovered from the culture by solid-liquid separation means such as centrifugation. Next, the cells are suspended in a sodium phosphate buffer or the like and crushed by an appropriate crushing means to obtain a crude enzyme solution (cell free extract). About this crude enzyme solution, β-galactosidase is purified using the hydrolysis activity for ONPG as an index.
First, the crude enzyme solution is subjected to ammonium sulfate salting out with 80% saturated ammonium sulfate to collect a precipitate, and the precipitate is dispersed in a Tris-HCl buffer solution or the like, followed by dialysis treatment against the same buffer solution. . Next, fractionation and purification are performed using various types of chromatography. For example, purification is performed by appropriately combining ion exchange chromatography, hydroxyapatite column chromatography, gel filtration chromatography, hydrophobic chromatography and the like.
[0008]
After purification in this manner, various properties of the enzyme are determined according to conventional methods. The N-terminal amino acid sequence of this enzyme can be determined using, for example, a protein sequencer. It is possible to compare the determined N-terminal amino acid sequence with the N-terminal amino acid sequences of other β-galactosidases. Furthermore, a more practical β-galactosidase can be created by adding genetic engineering improvements to the enzyme as desired.
[0009]
The physicochemical properties of β-galactosidase of the present invention are shown below.
(1) Action It hydrolyzes lactose into galactose and glucose.
(2) Substrate specificity Lactose (Km = 20 mM), ONPG (Km = 5.9 mM)
(3) Optimum temperature The apparent optimum temperature ignoring the inactivation of the enzyme by heat is 90 ° C. or higher. (4) Heat resistance After keeping at 85 ° C. for 2 hours, 75% residual activity (5) Optimum pH 5.5 ~ 8.0
(6) Molecular weight 86 kDa (monomer)
(7) Inhibitor Iron ion, Copper ion, PMSF
(8) Activator Manganese ion, cobalt ion, zinc ion, DTT, β-mercaptoethanol, cysteine (9) N-terminal amino acid sequence As described in SEQ ID NO: 1 in the sequence listing
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples, but the present invention is not limited thereto.
Example 1
Hot water and microbial mats in contact with it were collected from hot springs at various temperatures (temperature 65 to 94 ° C., pH around 7). These were added to a plate medium for thermus bacteria (4 g polypeptone, 2 g yeast extract, 1% lactose, 1 g MgCl ₂ , 10 g GELLITE, 10 ml X-gal solution (20 mg / ml dimethylformamide solution), 100 ml 10 × in 1 liter. basal salt solution (solution 1 during liter _{_{6.89g NaNO 3, 1.5gCaSO 4 · 2H}} 2 O, 1.1g NaHPO 4, 1.03g KNO 3, 1.0g MgSO 4 · 7H 2 O, 1. 0 g nitrilotriacetic acid, 0.08 g NaCl, 10 ml FeCl ₂ aqueous solution (0.28 g / L), 10 ml Nitsch 'trace element solution is included) (Note that 2.2 g in 1 liter of Nitsch' trace element solution) Mn _{_{O 4 · H 2 O, 0.5g}} ZnSO 4 · 7H 2 O, 0.5gH 3 BO 4, 0.5ml H 2 SO 4, 0.046g CoCl 2 · 6H 2 O, 0.025g Na 2 MoO 4 · 2H ₂ O, 0.016 g CuSO ₄ is contained))), and incubated at 70 ° C.
[0011]
When cultured for about 2 days, colonies formed, and only those showing blue-green color were streaked. Although some of the colonies did not exhibit blue color due to the separation, colonies maintaining a sufficiently blue color were transferred to a liquid medium (excluding MgCl ₂ and GELLITE from the composition of the aforementioned plate medium) and cultured at 70 ° C. for 48 hours. .
After completion of the culture, the culture solution was centrifuged to collect the cells, and the cells were sonicated to obtain a crude enzyme solution, which was measured for β-galactosidase activity against ONPG. As a result, a strain having high β-galactosidase activity and rapid growth (named A4 strain) was selected. Hereinafter, β-galactosidase derived from this strain will be referred to as A4-β-Gal. This A4 strain is a strain isolated from Atagawa Hot Spring in Shizuoka Prefecture, and as a result of investigating mycological properties, it is an aerobic gram-negative bacillus and produces an oil-soluble yellow pigment considered to be a carotenoid, It was recognized as belonging to the genus Thermus and was named Thermus A4 strain. This strain is deposited as FERM P-15236 at the Biotechnology Institute of Industrial Technology.
[0012]
Example 2
The A4 strain (FERM P-15236) obtained in Example 1 was cultured at 70 ° C. for 2 days in a 90 liter jar fermenter using the same liquid medium as shown in Example 1, and about 70 liters of the culture solution. Got. The A4 strain cells were collected from this culture by centrifugation.
Half of the bacterial cells (about 720 g, wet weight) obtained by centrifugation (360 g) are suspended in 4 liters of 50 mM sodium phosphate buffer (pH 7.0) and circulated at 5 ° C. or lower for about 20 hours. While continuously sonicating. To this supernatant (specific activity was 0.115 unit / mg) obtained by centrifugation, ammonium sulfate was added to 80% saturation, and the mixture was allowed to stand at 4 ° C. overnight. The resulting protein precipitate was collected by centrifugation, dispersed in 1 liter of 50 mM Tris-HCl buffer (pH 8.0), and dialyzed against the same buffer.
[0013]
About 3 liters of the sample after dialysis was fractionated by Q-Sepharose anion exchange chromatography in 300 ml portions. Fractionation conditions are as follows.
Column: Q-SepharoseFF (Pharmacia)
Column size: Pharmacia XK50 (50 x 240 mm)
Buffer: A: 50 mM Tris-HCl (pH 8.0), 0.02% NaN ₃
B: 1M NaCl / buffer A
Elution: After sufficiently adsorbing, the NaCl concentration was linearly increased from 0M to 1M for 2 hours for elution.
Flow rate: 4ml / min
Fraction size: 8ml
In this way, an active fraction (about 960 ml) was collected to obtain a Q-Sepharose active fraction (specific activity 0.269 unit / mg). According to a conventional method, this was salted out with ammonium sulfate and desalted and concentrated by dialysis to make about 600 ml.
[0014]
Next, 50 ml of this was fractionated with a hydroxyapatite column. The conditions are as follows.
Column: Gigapite (Seikagaku Corporation)
Column size: Pharmacia XK50 (50 x 70 mm)
Buffer: A: 10 mM potassium phosphate buffer (pH 7.0), 0.02% NaN ₃
B: 500 mM potassium phosphate buffer (pH 7.0), 0.02% NaN ₃
Elution: Since the target protein has only a weak interaction with this column, a sufficient amount of buffer A is poured to elute the target protein, and then other proteins are stepwise with 20% and 100% of buffer B. Was eluted.
Flow rate: 4ml / min
Fraction size: 8ml
The active fraction was collected to obtain a hydroxyapatite active fraction (about 430 ml, 5.04 unit / mg).
[0015]
Furthermore, this was fractionated by HPLC using a Mono Q HR 10/10 column in 50 ml portions. The conditions for fractionation are as follows.
Column: Mono Q HR10 / 10 (manufactured by Pharmacia)
Buffer: A: 50 mM Tris-HCl (pH 8.0), 0.02% NaN ₃
B: 1M NaCl / buffer A
Elution: After sufficiently adsorbing, the NaCl concentration was linearly increased from 0M to 0.4M for 40 minutes for elution.
Flow rate: 4ml / min
Since a peak of activity was obtained when the NaCl concentration was about 0.3 M, this active fraction was collected to obtain a Mono Q active fraction (about 115 ml, 8.10 unit / mg).
The chromatogram at this time is shown in FIG. The solid line in the figure indicates the relative activity of A4-β-Gal, the broken line indicates the absorbance at 280 nm, and the alternate long and short dash line indicates the gradient salt concentration.
[0016]
The Mono Q active fraction was concentrated to about 10 ml by ultrafiltration (molecular weight cut off 30000), and then fractionated by 1 ml under the following conditions.
Column: YMC-Pack Diol-300 (20 × 500 mm) (YMC)
Buffer: 0.1M KH ₂ PO ₄ -K ₂ HPO ₄ (pH 7.0), 0.2M
NaCl
Flow rate: 0.3 ml / min
The peak of activity overlapped with the peak of protein having a molecular weight of about 86 kDa. This active fraction was collected and used as a gel filtration active fraction (about 22 ml, 49.3 unit / mg).
[0017]
A gel filtration active fraction of about 22 ml and an equal amount of 1.7 M (NH ₄ ) ₂ SO ₄ was fractionated by 3 ml of Phenyl-Superose hydrophobic chromatography under the following conditions.
Column: Phenyl-Superose HR5 / 5 (Pharmacia)
Buffer: A: 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 0.85 M (NH ₄ ) ₂ SO ₄ , 0.02% NaN ₃
B: 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 0.02%
NaN ₃
Elution: After sufficiently adsorbing, the ratio of the B buffer was switched from 0% to 50% and further increased linearly from 50% to 100% for elution.
Flow rate: 0.6 ml / min
Since the active fraction was eluted when the ratio of the B buffer was 100%, that is, when the ammonium sulfate concentration was almost 0, this active fraction was recovered and the Phenyl-Superose active fraction (about 10 ml, 48.6 units). / Mg).
The chromatogram at this time is shown in FIG. In addition, the continuous line in a figure shows the relative activity of A4- (beta) -Gal, a continuous line shows the light absorbency in 280 nm, and shows that the peak shown by the arrow has overlapped with the peak of the relative activity of A4- (beta) -Gal. The broken line indicates the ratio of the gradient buffer B.
[0018]
Table 1 shows the total protein amount, the total activity, the specific activity, the yield, and the purification rate of each purification step described above. The protein concentration and enzyme activity were measured by the following method.
The protein concentration was measured using Bio-Rad Protein assay (manufactured by Bio-Rad). Bovine serum albumin was used as a standard.
[0019]
The β-galactosidase activity when ONPG was used as a substrate was measured as follows. Keep the reaction mixture (50 mM sodium phosphate buffer (pH 6.5), 1 mM MgCl ₂ , 2.8 mM ONPG, total amount 2.9 ml) in the cuvette at 70 ° C., add 100 μl of enzyme solution and wait 30 seconds later. The change in absorbance at 405 nm for 1 minute was measured. The molar extinction coefficient of o-nitrophenol at 405 nm was calculated as 3.1 × 10 ³ M ⁻¹ cm ⁻¹ . In addition, the activity of each fraction in the middle of purification was simply measured as follows. 10 μl from the fraction to be measured was placed in a 96-well microwell plate, and 180 μl of buffer (50 mM sodium phosphate (pH 6.5), 1 mM MgCl ₂ ) was added. Next, 10 μl of 10 mM ONPG was added and immediately placed in an incubator at 80 ° C. for 15 minutes. Thereafter, the absorbance at 405 nm was measured with an MTP-100 microplate reader. For the control, the same buffer was used instead of the liquid from the fraction. As with ONPG, p-nitrophenyl β-D-galactopyranoside (PNPG) is also used as a substrate for β-galactosidase.
[0020]
The β-galactosidase activity when lactose was used as a substrate was measured as follows. The reaction mixture (10-100 mM lactose, 10 mM sodium phosphate buffer (pH 6.5), enzyme solution, total volume is 1 ml) is reacted at 70 ° C. for 1 hour, and the change in the amount of lactose before and after the reaction is measured by ion chromatography. It was measured by a graphic (DIONEX, DX3000 type). The measurement conditions were as follows.
Column: Carbo-pak PA-100
Mobile phase: 150 mM NaOH
Flow rate: 0.8ml / min
Detector: PAD
[0021]
[Table 1]

[0022]
A4-β-Gal was purified to 423 times by purification up to Phenyl-Superose fraction, and it was confirmed by SDS-PAGE described below that it was almost pure. Therefore, various properties of the enzyme were examined using this Phenyl-Superose active fraction.
[0023]
(1) Estimation of molecular weight by SDS-PAGE Polyacrylamide gel electrophoresis (PAGE) is performed according to the method of Laemmli (UK Laemmli Nature (London), 227, 680-685 (1970)) and stained with Coomassie brilliant blue R-250. Visualized with. That is, samples at each stage of purification were prepared so that the protein concentration was about 1 mg / ml, and subjected to SDS-polyacrylamide gel electrophoresis according to a conventional method, and stained with Coomassie brilliant blue.
A sample obtained by subjecting the sample at each purification stage to SDS-PAGE is shown in FIG. In the figure, lane 1 is a molecular weight marker, lane 2 is a supernatant of disrupted cells, lane 3 is an active fraction fractionated with Q-Sepharose, lane 4 is an active fraction fractionated with hydroxyapatite, lane 5 Is the active fraction fractionated with Mono-Q, lane 6 is the active fraction fractionated by gel filtration, lane 7 is the active fraction fractionated with Phenyl-Superose, and lane 8 is purified by reverse phase HPLC. Each of the main peaks is shown.
Here, A4-β-Gal formed a band at a position where the molecular weight was approximately 75 kDa. On the other hand, although not shown here, the molecular weight of A4-β-Gal was estimated to be about 86 kDa during gel filtration fractionation. From these facts, A4-β-Gal was estimated to be a monomer having a molecular weight of about 86 kDa. The reason why the molecular weight looks low in SDS-PAGE is thought to be due to the large hydrophobicity of A4-β-Gal.
[0024]
(2) Michaelis constant The Michaelis constant (Km) of A4-β-Gal was calculated using a Lineweaver-Burk plot by measuring the change in initial reaction rate when the initial substrate concentration was changed. The Km value for ONPG was 5.9 mM, and the Km value for lactose was 20 mM.
For comparison, the Thermus 4-1A strain (DACowan et al. Biotech. Bioeng., 26, 1141-1145 (1984)) and the Bacillus stearothermophilus ATCC 8005 strain (H.Hirata et al. J. The Michaelis constant of β-galactosidase of Bacteriol., 166 (3), 722-727 (1986), H.Hirata et al. Appl. Environ. Microbiol., 49 (6), 1547-1549 (1985) is also shown.
[0025]
[Table 2]

[0026]
(3) Temperature dependence The temperature dependence of A4-β-Gal was determined by measuring the reaction mixture at each target temperature instead of keeping the reaction mixture at 70 ° C during activity measurement. Since ONPG was thermally decomposed at 80 ° C. or higher, 100 μl of 50 mM sodium phosphate buffer (pH 6.5) was added instead of the enzyme solution, and correction was performed using the same measured value. The apparent optimum temperature neglecting the heat-induced inactivation of the A4-β-Gal enzyme under these conditions was 90 ° C. or higher.
[0027]
(4) pH dependence The pH dependence of A4-β-Gal was measured in the same manner by adding the desired pH buffer instead of the 50 mM sodium phosphate buffer (pH 6.5) in the reaction mixture during the activity measurement. Was determined by Buffers include 50 mM sodium citrate buffer (pH 3.5-6.0), 50 mM sodium phosphate buffer (pH 5.5-8.0), 50 mM glycine-sodium buffer (pH 8.0-9. 0) was used. As a result, the optimum pH of A4-β-Gal was approximately 5.5 to 8.0 (see FIG. 4). In the figure, — ● — indicates the results when using sodium citrate buffer, — ■ — indicates the phosphate buffer, and — ▲ — indicates the results when using the glycine-NaOH buffer.
[0028]
(5) Heat resistance The heat resistance of A4-β-Gal was determined by keeping the enzyme solution at the target temperature for the time specified, and measuring the residual activity at 70 ° C immediately after the heat retention. It was revealed that A4-β-Gal retained 75% or more of the activity after 2 hours of incubation up to 85 ° C. (see FIG. 5). In the figure,-●-indicates 75 ° C,-■-indicates 80 ° C,-▲-indicates 85 ° C,-♦-indicates 90 ° C, and-▼-indicates results at 95 ° C.
Also, at 70 ° C., no decrease in activity was observed after incubation for 20 hours.
[0029]
(6) Effects of various metal ions and inhibitors Divalent metal ions (Mn, Mg, Fe, Zn, Cu) are 1 mM final, inhibitors (EDTA, PMSF, DTT, β-mercaptoethanol, cysteine, iodoacetic acid) Was added to the reaction mixture so that the final concentration was 10 mM, and the activity was measured as usual. As a result, manganese ion, cobalt ion, zinc ion, DTT, β-mercaptoethanol and cysteine activated A4-β-Gal. Iron ions, copper ions, and PMSF inhibited A4-β-Gal, but no inhibition by iodoacetic acid was observed (see FIGS. 6A and 6B). In the figure, (a) shows the effect of metal ions, and (b) shows the effect of inhibitors.
[0030]
Example 3
In order to determine the N-terminal amino acid sequence of A4-β-Gal, purification by reverse phase HPLC was performed under the following conditions.

The main peak was collected and applied directly to the protein sequencer.
[0031]
The N-terminal amino acid sequence of A4-β-Gal was determined by analyzing an A4-β-Gal sample purified by reverse phase HPLC using a 473A Protein Sequencer (Applied Biosystems) according to a conventional method.
The sequence is shown in SEQ ID No. 1 in the sequence listing (where X represents an amino acid residue that could not be determined). Up to 15 residues from the N-terminal could be determined, but 1 residue (fifth) could not be determined.
A homology search between this amino acid sequence and a DNA sequence deduced from the sequence registered in the database (NBRF-PIR, Release 43.0) was performed. As a result, β-galactosidase I of Bacillus stearothermophilus I ( It was found that there was 40.9% homology with the N-terminal part of the accession number A29836) (see FIG. 7).
[0032]
【The invention's effect】
According to the present invention, there is provided a novel β-galactosidase which is an intracellular enzyme produced by the Thermus genus bacteria and which includes the N-terminal amino acid sequence described in SEQ ID NO: 1 in the Sequence Listing. Furthermore, using the DNA sequence deduced from this amino acid sequence, it becomes possible to clone homologous β-galactosidase from bacteria of the genus Thermus and other genera, contributing to the creation of practical β-galactosidase it can. Since β-galactosidase is rich in heat resistance, it is useful as an enzyme for the food industry.
[0033]
[Sequence Listing]
[0034]
SEQ ID NO: 1
Sequence length: 15 amino acid residues, 1 of which is undetermined type of sequence: type of amino acid sequence: characteristics of peptide sequence
Location of N-terminal amino acid sequence of β-galactosidase derived from Thermus sp. A4 strain: N-terminal sequence
Met-Leu-Gly-Val-X-Tyr-Tyr-Pro-Glu-His-Trp-Pro-Lys-Glu-Arg
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a chromatogram of Mono-Q column chromatography.
FIG. 2 is a diagram showing a chromatogram of phenyl-separose chromatography.
FIG. 3 is a photograph showing the results of SDS-polyacrylamide gel electrophoresis.
FIG. 4 is a diagram showing the pH dependence of A4-β-Gal.
FIG. 5 is a view showing the heat resistance of A4-β-Gal.
FIG. 6 (a) shows the effect of A4-β-Gal metal ions, and (b) shows the effect of A4-β-Gal inhibitors.
FIG. 7 is a view comparing the N-terminal amino acid sequences of A4-β-Gal and β-galactosidase I derived from B. stearothermophilus.

Claims

A novel thermostable β-galactosidase which is an intracellular enzyme derived from Thermus sp. A4 strain (FERM P-15236) and which contains the N-terminal amino acid sequence described in SEQ ID NO: 1 in the Sequence Listing.

Thermus sp. A4 strain (FERM P-15236) having the ability to produce heat-resistant β-galactosidase containing the N-terminal amino acid sequence described in SEQ ID NO: 1 in the Sequence Listing.

A method for producing a novel thermostable β-galactosidase, comprising culturing Thermus sp. Strain A4 (FERM P-15236) and collecting the thermostable β-galactosidase according to claim 1 from the culture.