JP3765549B2 - ダスト濃度測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所のボイラーあるいは廃棄物焼却炉などの煙道ガスを採取して、それに含まれる煤塵の濃度を測定するダスト濃度測定方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラー、焼却炉などから排出される煙道ガスに含まれている塵埃などのダストの濃度を測定することは、大気の汚染防止のため、ボイラーなどの運転管理上、必要となっている。このような目的のためのダスト濃度測定装置として、煙道ガスに光を照射して、その光の透過量を測定する光透過方式、または散乱、反射量を測定する光散乱方式の濃度測定装置が普及している。
【0003】
このようなダスト濃度測定装置によるダスト濃度の測定について、図5を参照して説明する。
サンプリング管1は、煙道壁10を貫通して、煙道内(図5で煙道壁10の左側)にガス取入口11に配置し、煙道外(図5右側)において手動弁13とダスト濃度計本体2を経由し、Uターンして煙道内に連通して、ガス放出口12を配置するよう設けられている。この場合、測定ガスは、煙道内のガスの流動圧力差により、ガス取入口11から取り込まれ、ダスト濃度計本体2の測定室21を通過し、最後にガス放出口12から煙道内に還流する。
【0004】
その一方、測定室21においては、光源23から測定ガスに光を照射し、その透過量または散乱量を受光器22が備えたセンサで計測し、得られたセンサ出力はダスト濃度演算器30に伝達され、指示計に濃度値を表示するようダスト濃度測定装置は構成されている。このようにして、煙道内のガスのダスト濃度を連続的に測定することができるのである。
【0005】
この場合のダスト濃度の測定原理を光散乱方式について説明する。
先ず、ダスト濃度=0の基準体として清浄空気を選び、これを測定室に導入した場合のセンサ出力をSzero、そのときの指示計の濃度値の表示(以下、指示値という)を0と設定する。次いで、ダスト濃度値がMspanに相当する基準体(以下、SPANという)を対象としたときのセンサ出力をSspanとし、図6に示すように、横軸をセンサ出力、縦軸を指示値とした検量線を作成する。そして、濃度未知の測定ガスについて得たセンサ出力をSとすれば、この検量線に基づいて、その濃度を指示値Xとして求めることができる。そして、前記ダスト濃度演算器30は、このようなセンサ出力と指示値との関係を基準にして数値演算うとともに、濃度指示値を表示する機能またはそのための信号を発信する機能を含むものである。
【0006】
以上説明したように作動するダスト濃度計においては、実際の測定に先立って予めダスト濃度=0の場合のセンサ出力Szeroを計測しておき、その場合の濃度指示値(この値は0を基準とするので、一般にゼロ点という)を0に設定して測定が行われるのであるが、このゼロ点は、測定室内のダスト付着などによる散乱率の経時的な変化、あるいは指示計器の電気的または機械的経時変化などによって、0からずれて、ある程度偏移(ドリフト)するのは止むを得ないところである。このようなゼロ点のドリフトが生じると、当然、測定濃度に誤差が生じるので、改めてダスト濃度=0の場合のセンサ出力Szeroを計測し直して、新たに得たセンサ出力S1zero をもって指示値を0と設定し直す操作が必要となる。このようにセンサ出力と指示値との関係を正しく再設定する操作がゼロ点校正といわれるものである。
【0007】
ところで、上記の図5に例示するダスト濃度測定装置において、以上説明したようなゼロ点校正を行うには、次の手順による。
1)測定ガスの取入口11側の流路に設けられた手動弁13を閉鎖し、測定ガスの流入を停止する。
2)測定室21内の光学系レンズ等の汚染防止のため、供給される清浄なパージエアにより測定室内を清浄空気雰囲気にする。余剰空気は放出口12から煙道内に放出される。
3)次いで、ダスト濃度演算器30の指示値が安定した後、指示値が0になるようダスト濃度演算器30の設定を手動で変更して、ゼロ点校正を行う。
【0008】
このようなダスト濃度測定装置のゼロ点の校正方法においては、次のような不都合があった。
1)ゼロ点校正操作の都度、燃焼炉などの煙道または煤塵除去装置、バグフィルタなどに近辺に設けられた前記手動弁を操作する必要があり、ゼロ点校正の頻度が通常1週間間隔ではあるものの、遠方の現場に出向くなど手間のかかる作業であった。
【0009】
2)最近は燃焼排気ガスのダイオキシンなど有害物質の低減化のため、集塵機のは高性能のバグフィルタが採用されるようになり、管理すべきダスト濃度も数mg/m3 程度の低濃度となってきたので、ダスト濃度の精度確保、特にゼロ点付近の精度を確保することが重要となっている。
【0010】
ところが、前記の燃焼炉などの運転開始時、または中断時にはフィルタを保護するため、バグフィルタを迂回したバイパス運転が行われるのが通例である。そして、そのようなバイパス運転時には、排気ガスは、g/m3 単位レベルの高濃度のダスト濃度状態となってダスト濃度測定装置に流入するので、測定室内の汚染が加速されるから、バイパス運転中に、ゼロ点が大きくドリフトするという問題が生じ、バイパス運転終了後の定常運転に際して、前記の低濃度領域でのダスト濃度測定に誤差が大きくなるという不具合があった。
【0011】
3)前記した問題に対しては、ゼロ点校正の実施回数を増やして対応することが試みられたが、ゼロ点校正操作中は、前記手動弁が閉鎖され測定ガスの流通が停止するため、ガス取り入れ口から手動弁の間でダストが沈積することになり、測定再開に際して、この沈積ダストが短時間に測定室に流入するため、内部を汚染してゼロ点をドリフトさせるうえ、日常の保守作業が増加するという不都合もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、先ず、ダスト濃度測定装置の自動化し易いゼロ点校正方法を提供するものであり、さらには、上記のようなバイパス運転に際して測定ガスのダスト濃度が大きく変動しても、ゼロ点のドリフトを極力抑制して測定誤差の発生を防止できるダスト濃度測定方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、先ず、次に述べるダスト濃度測定方法により解決することができる。
(1)煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外に導き、開閉弁を経由してダスト濃度計にてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記開閉弁を閉じて、前記ダスト濃度計の測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力S span を計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0として校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、前記開閉弁を開いて、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
【0014】
ただし、Sspanは、所定のダスト濃度に該当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、次回のSPANを行うまでは固定値を用いる。Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。S0zero は、前回ゼロ校正時のダスト濃度センサ出力である。また、Zは、測定室を清浄空気で充満させた状態におけるダスト濃度センサ出力S1zero によって示される、今回のゼロ校正直前の濃度計指示値である。
なお、これらの記号の意味は、以後も同様とする。
【0015】
(2)前記(1)と同様に、測定ガス中のダスト濃度を測定するダスト濃度測定方法において、同様にダスト濃度センサ出力S1zero を計測してゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、ダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
X=(S−S1zero )M/(Sspan−S1zero )
【0016】
(3)前記(1)と同様に、測定ガス中のダスト濃度を測定するダスト濃度測定方法において、同様にダスト濃度センサ出力S1zero を計測してゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、ダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
X=(S−S1zero )M/(Sspan×A−S1zero )
ただし、Aは、S1zero /S0zero またはS1zero −S0zero によって定まる係数とする。
【0017】
【0018】
(5)煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外のダスト濃度測定室に導いてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記ダスト濃度測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力S span を計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0としてセンサ出力と指示値の関係を校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作を、前記ガス取入口およびガス放出口とダスト濃度測定室との間に設けられた加圧空気放出手段によって、加圧空気をガス取入口およびガス放出口のそれぞれの方向に放出しながら実施した後に、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
ただし、Sspan、M、Zは、前記した定義した通りのものである。
【0019】
(6)前記(5)に記載のダスト濃度測定方法であって、(A)式においてZ=0と読み換えるか、または(B)式においてS0zero =S1zero と読み換えてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法。
(7)前記(5)に記載のダスト濃度測定方法であって、Sspanに、S1zero
/S0zero 比または差S1zero −S0zero によって定まる係数Aを乗じたものとしてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について、図1〜5を参照しながら説明する。
(1)先ず、本発明のダスト濃度測定方法では、前回のゼロ点校正とSPAN点校正以降に、適宜な間隔でゼロ点校正を繰り返し行いながら、測定ガスのダスト濃度を測定するダスト濃度測定方法であり、ダスト濃度測定装置としては、先に説明した図5に例示されるものが利用できる。すなわち、煙道内に配置したガス取入口11から測定ガスを取り入れ、これを煙道外に導き、開閉弁13を経由してダスト濃度計本体2の測定室21にてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口12から放出するダスト濃度測定方法において、前記開閉弁2を閉じて、前記ダスト濃度測定装置の測定室21を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測して、そのときの濃度測定装置指示値を0として校正するのであるが、このゼロ点校正操作が適宜間隔を設けて繰り返される。
【0021】
そして、この各ゼロ点校正操作後に、前記開閉弁13を開いて、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度を測定するにあたって、本発明のダスト濃度測定方法の特徴は、センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めるところにある。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
【0022】
ただし、この場合、Sspanは、所定のダスト濃度に該当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、次回のSPANを行うまでは固定値を用いる。そして、Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。
また、S0zero は、前回ゼロ校正時のダスト濃度センサ出力である。さらに、Zは、測定室を清浄空気で充満させた状態におけるダスト濃度センサ出力S1zero
によって示される、今回のゼロ校正直前の濃度計指示値である。
なお、これらの記号の意味は、以後も同様とする。
【0023】
上記した(A)および(B)式は、実質的に同一の関係を示すもので、横軸をセンサ出力、縦軸を計器指示値とした図1のグラフを参照して説明する。
前回のゼロ点校正時のセンサ出力S0zero 、SPAN点校正時のセンサ出力Sspanとしたときの検量線を検量線K0 とする。そして、ある時間経過後、あらためてゼロ点校正を行った場合のセンサ出力をS1zero としたとき、新たな検量線を、それまでの検量線K0 から平行移動したものと想定すると、検量線K1 として求めることができる。
【0024】
この場合、センサ出力と指示値とは、次の関係があるから、(A)式が得られる。
X/(M−Z)=(S−S1zero )/(Sspan−S1zero )
また、同時に次の関係にもあるので、(B)式も得られるのである。
X/M=(S−S1zero )/(Sspan−S0zero )
【0025】
従って、新たなゼロ点校正によって得られたセンサ出力S1zero を前記(A)式または(B)式に適用して演算すれば、ゼロ点がドリフトしたことによって誤差を含んでいたダスト濃度指示値を、ゼロ点校正時の前回センサ出力S0zero と今回センサ出力S1zero との差分だけ検量線が平行移動したものとして、補正することができる。このようにして得られる濃度指示値は、SPAN点のセンサ出力のドリフトも含んでいるので、SPAN点校正の頻度をゼロ点校正の頻度より少なくしても、実用的な精度を維持できる利点がある。さらに、ゼロ点校正時の前回センサ出力S0zero と今回センサ出力S1zero とを使用すれば簡単な計算式により校正された濃度指示値を求めることができるので、ゼロ点校正を容易に自動化することもできる利点が得られる。
【0026】
(2)次に、第2の実施形態を説明すると、前記(1)と同様に、ゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行いながら、測定ガス中のダスト濃度を測定するダスト濃度測定方法において、ダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法である。
X=(S−S1zero )M/(Sspan−S1zero )
【0027】
ここで横軸をセンサ出力、縦軸を計器指示値とした図2のグラフを参照してさらに説明すると、前回のゼロ点校正時のセンサ出力S0zero 、SPAN点校正時のセンサ出力Sspanとしたときの検量線を検量線K0 とする。そして、ある時間経過後、あらためてゼロ点校正を行った場合のセンサ出力をS1zero としたとき、新たな検量線を、それまでの検量線K0 からゼロ点だけが移動したものと想定すると、検量線K1 として求めることができる。
そして、この場合、センサ出力と支持値とは、次の関係があるから、前記の計算式が得られる。
X/M=(S−S1zero )/(Sspan−S1zero )
【0028】
従って、新たなゼロ点校正によって得られたセンサ出力S1zero を前記計算式に適用して演算すれば、経時誤差を含んでいたダスト濃度指示値を、ゼロ点校正時の前回センサ出力S0zero と今回センサ出力S1zero との差分だけゼロ点が移動した検量線によって補正することができる。そこで、SPAN点校正の頻度をゼロ点校正の頻度より少なくしても、実用的な精度を維持できる利点がある。さらに、この方法では、最新のゼロ点校正時のセンサ出力S1zero を使用するだけで、簡単な計算式により校正された濃度指示値を求めることができるので、ゼロ点校正を容易に自動化することもできる利点が得られる。
【0029】
(3)さらに、第3の実施形態について説明すると、この実施形態では、第1、第2の場合に用いる計算式に代えて、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法である。
X=(S−S1zero )M/(Sspan×A−S1zero )
ただし、Aは、S1zero /S0zero またはS1zero −S0zero によって定まる係数であり、0.8〜1.5の範囲の値に選択される。
【0030】
ここで横軸をセンサ出力、縦軸を計器指示値とした図3のグラフを参照してさらに説明すると、前回のゼロ点校正時のセンサ出力S0zero 、SPAN点校正時のセンサ出力Sspanとしたときの検量線を検量線K0 とする。そして、ある時間経過後、あらためてゼロ点校正を行った場合のセンサ出力をS1zero としたとき、SPAN点のセンサ出力を係数Aで修正したSspan×Aを指示値Mに対応させて作成できる新たな検量線K1 を準備する。
そして、この場合、センサ出力と指示値とは、次の関係があるから、前記の計算式が得られる。
X/M=(S−S1zero )/(Sspan×A−S1zero )
【0031】
この図3の事例では、A<1である場合が示されているが、ダスト濃度計の光学系の構造とその汚染度合、あるいはセンサ装置の電気回路の特性などにより、経時変化が必ずしも一様でないので、検量線の勾配には、機器個々に特長ある変化が生じる場合がある。そこで、あらかじめ機器個々の特性を知り、それに合致するように、S1zero の変数としての係数Aを設定して検量線の勾配の変化を予定しておけば、SPAN点校正の頻度を少なくしても、測定精度を高く維持することができることになる。
【0032】
この実施形態によれば、新たなゼロ点校正によって得られたセンサ出力S1zero を前記計算式に適用して演算すれば、ゼロ点がドリフトしたことによって誤差を含んでいたダスト濃度指示値を、使用機器の特性に応じて校正された検量線によって補正することができるので、測定精度を高く維持するうえ、最新のゼロ点校正時のセンサ出力S1zero を使用するだけで、簡単な計算式により校正された濃度指示値を求めることができるので、先の実施形態と同様にゼロ点校正を容易に自動化することもできる利点が得られる。
【0033】
(4)次に、本発明のダスト濃度測定装置の実施形態について、図4を参照して説明する。
この実施形態では、煙道内の測定ガスを取り入れるためのガス取入口11を一端に備え、測定ガスを煙道内に放出するためのガス放出口12を他端に備えたサンプリング管1の中間にはダスト濃度計本体2が配置され、その濃度測定室21に測定ガスが導入され、光源23から測定ガスに光を照射し、その透過量または散乱量を受光器22が備えたセンサで計測し、得られたセンサ出力はダスト濃度演算器30に伝達され、指示計に濃度値を表示するよう形成されているのは、先に説明したものと同様である。
【0034】
そして、本発明の特長は、このサンプリング管1の前記ガス取入口側とガス放出口側の各々には、高圧空気を煙道方向に放出する手段として、空気ノズル14a、14bが放出口をそれぞれガス取入口11とガス放出口12の方に向けて配設されているところにある。さらに、この空気ノズル14a、14bには、高圧空気タンク(図示せず)などから高圧空気が供給されるのであるが、そこにはゼロ点校正操作を制御するための制御器31の信号によって開閉される自動空気弁15a、15bが設けられている。そして、このような空気ノズル14a、14bの挟まれる形態で、サンプリング管1にはダスト濃度計本体2が位置し、受光器22が備えたセンサのダスト濃度に対応したセンサ出力から濃度指示値を演算するダスト濃度演算器30が設けられている。
【0035】
この実施形態のダスト濃度測定装置によれば、ゼロ点校正にあたって空気ノズル14a、14bから加圧空気をガス取入口11とガス放出口12に向けて放出できるので、前記したようなバイパス運転に際して測定ガスのダスト濃度が大きく変動しても、ダストのサンプリング管への流入を効果的に防止することができるから、ダストの流入に伴うゼロ点のドリフトを極力抑制して測定誤差の発生を防止できる利点が得られる。
【0036】
(5)次に、前記のように加圧空気を放出する操作を含むダスト濃度測定方法の実施形態を説明する。この場合、測定ガスの取り入れ、放出の操作、および清浄空気を対象にしてダスト濃度センサ出力S1zero を計測して、ゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う点は前記と同様であり、この実施形態の特長は、その各ゼロ点校正操作を、前記ガス取入口およびガス放出口とダスト濃度測定室との間に設けられた空気ノズル14a、14bによって、加圧空気をガス取入口11およびガス放出口12のそれぞれの方向に放出しながら実施した後に、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法である。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
ただし、Sspan、M、Zは、前記した定義した通りのものである。
【0037】
この実施形態によれば、バイパス運転に際して測定ガスのダスト濃度が大きく変動しても、ダストのサンプリング管への流入を効果的に防止することができるという、加圧空気の放出に基づく利点にあわせて、先の実施形態(1)に同じく、SPAN点校正の頻度をゼロ点校正の頻度より少なくしても、実用的な精度を維持できるうえ、ゼロ点校正時の前回センサ出力S0zero と今回センサ出力S1zero とを使用すれば簡単な計算式により校正された濃度指示値を求めることができるので、ゼロ点校正を容易に自動化することもできる利点が得られる。
【0038】
さらに、実施形態(6)として、前記(5)に記載のダスト濃度測定方法において、先の実施形態(2)のように(A)式においてZ=0と読み換えるか、または(B)式においてS0zero =S1zero と読み換えてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法に具体化することができる。
また、さらに、実施形態(7)として、前記(5)に記載のダスト濃度測定方法において、先の実施形態(3)のようにSspanに、S1zero /S0zero 比または差S1zero −S0zero によって定まる係数Aを乗じたものとしてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法に具体化することができる。
そして、これらの実施形態においては、前記(5)に述べた利点と、実施形態(2)または(3)のそれぞれに述べた利点を合わせ持つものとして、実施できるのである。
なお、上記説明は、光散乱方式のダスト濃度計に基づいているが、光透過方式の場合にも同様に適用され得るのである。
【0039】
【発明の効果】
本発明のダスト濃度測定方法は、以上に説明したように構成されているので、ゼロ点校正方法を含む測定方法の自動化を容易にすることが可能となり、また、バイパス運転に際して測定ガスのダスト濃度が大きく変動しても、ダストの侵入を防止する、あるいは侵入したダストを積極的に排出できるので、ゼロ点のドリフトを極力抑制して測定誤差の発生を防止できるうえ、日常の保守作業を軽減できるという優れた効果がある。よって本発明は従来の問題点を解消したダスト濃度測定方法として、その工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのセンサ出力と濃度指示値との関係を示すグラフ。
【図2】第2の実施形態を説明するためのセンサ出力と濃度指示値との関係を示すグラフ。
【図3】第3の実施形態を説明するためのセンサ出力と濃度指示値との関係を示すグラフ。
【図4】本発明のダスト濃度計の測定ガスの流れを示すモデル図。
【図5】ダスト濃度計の測定ガスの流れを示すモデル図。
【図6】センサ出力と濃度指示値との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 サンプリング管、11 ガス取入口、12 ガス放出口、14a、14b
空気ノズル、15a、15b 自動空気弁、2 ダスト濃度計本体、21 濃度測定室、23 光源、22 受光器、30 ダスト濃度演算器、31 ゼロ点校正操作制御器。
Claims (6)
- 煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外に導き、開閉弁を経由してダスト濃度計にてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記開閉弁を閉じて、前記ダスト濃度計の測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力Sspanを計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0として校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、前記開閉弁を開いて、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
ただし、Sspanは、所定のダスト濃度に該当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、次回のSPANを行うまでは固定値を用いる。Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。S0zero は、前回ゼロ校正時のダスト濃度センサ出力である。また、Zは、測定室を清浄空気で充満させた状態におけるダスト濃度センサ出力S1zero によって示される、今回のゼロ校正直前の濃度計指示値である。 - 煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外に導き、開閉弁を経由してダスト濃度計にてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記開閉弁を閉じて、前記開閉弁を閉じて、前記ダスト濃度計の測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力Sspanを計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0として校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、前記開閉弁を開いて、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
X=(S−S1zero )M/(Sspan−S1zero )
ただし、Sspanは、所定のダスト濃度に該当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、次回のSPANを行うまでは固定値を用いる。Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。 - 煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外に導き、開閉弁を経由してダスト濃度計にてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記開閉弁を閉じて、前記ダスト濃度計の測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力Sspanを計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0として校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、行う方法であって、その各ゼロ点校正操作後に、前記開閉弁を開いて、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
X=(S−S1zero )M/(Sspan×A−S1zero )
ただし、Sspanは、所定のダスト濃度に相当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、直近の計測値を示す。Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。Aは、S1zero /S0zero またはS1zero −S0zero によって定まる係数とする。ただし、S0zero は、前回のゼロ点校正時のセンサ出力である。 - 煙道内に配置したガス取入口から測定ガスを取り入れ、これを煙道外のダスト濃度測定室に導いてダスト濃度を測定した後、煙道内に配置したガス放出口から放出するダスト濃度測定方法において、前記ダスト濃度計の測定室に校正用基準体(SPAN)をセットしてセンサ出力Sspanを計測し、そのときの濃度計指示値をMとして校正するSPAN点校正操作を行い、次回のSPAN点校正操作を行うまでに、測定室を清浄空気で充満させた状態でダスト濃度センサ出力S1zero を計測するとともに、そのときの濃度計指示値を0として校正するゼロ点校正操作を適宜間隔を設けて複数回、自動的に行う方法であって、その各ゼロ点校正操作を、前記ガス取入口およびガス放出口とダスト濃度測定室との間に設けられた加圧空気放出手段によって、加圧空気をガス取入口およびガス放出口のそれぞれの方向に放出しながら実施した後に、測定ガスを取り入れた状態でダスト濃度センサ出力Sを計測して、次の(A)または(B)の計算式により、ダスト濃度Xを求めることを特徴とするダスト濃度測定方法。
(A) X=(S−S1zero )×(M−Z)/(Sspan−S1zero )
(B) X=(S−S1zero )×M/(Sspan−S0zero )
ただし、Sspanは、所定のダスト濃度に該当する校正用基準体(SPAN)を測定室にセットした場合のセンサ出力値で、次回のSPANを行うまでは固定値を用いる。Mは、その校正用基準体(SPAN)に固有の所定のダスト濃度値である。S0zero は、前回ゼロ校正時のダスト濃度センサ出力である。また、Zは、測定室を清浄空気で充満させた状態におけるダスト濃度センサ出力S1zero によって示される、今回のゼロ校正直前の濃度計指示値である。 - 請求項4記載のダスト濃度測定方法であって、(A)式においてZ=0と読み換えるか、または(B)式においてS0zero =S1zero と読み換えてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法。
- 請求項4記載のダスト濃度測定方法であって、Sspanに、S1zero /S0zero 比または差S1zero −S0zero によって定まる係数Aを乗じたものとしてダスト濃度Xを求めるダスト濃度測定方法。ただし、S0zero は、前回のゼロ点校正時のセンサ出力である。
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