JP3763709B2 - 光素子及び分波器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光素子及び分波器に関する。より詳細には、本発明は、フォトニック結晶において光や電場などの外場を変化させることによってフォトニックバンド構造を変化させ光スイッチング動作を可能とした能動的な光素子および分波器に関する。
【0002】
【従来の技術】
屈折率の異なる2種類の光学媒質を光の波長オーダーで周期的に配列した「フォトニック結晶」と呼ばれる構造体は、半導体中の電子のエネルギーが周期的なポテンシャルの中でバンド構造を示すように、周期的な屈折率変化により光の波数と振動数すなわち光子エネルギーとの関係がバンド構造を示す。
【0003】
フォトニック結晶では、どの方向にも光が伝播しない「フォトニックバンドギャップ」と呼ばれる波長領域を出現させることが可能であったり(E.Yablonovitch,Phys.Rev.Lett.58(20),2059(1987))、非常に大きな光学異方性や分散性を示すなど、光学特性に大きな特徴がある。そこでこれらの特徴を利用して、自然放出光の制御や、曲がり角の曲率半径が非常に小さい光導波路、偏光素子及び分波器などが提案され、各種分野における応用の期待が高まっている。
【0004】
しかし、従来は、以下に説明する3つの例を除くと、フォトニック結晶は「受動素子」として使われており、「能動素子」として利用する提案は殆どなかった。すなわち、従来提案されているフォトニック結晶の殆どは、空間に固定された屈折率分布によってフォトニック結晶の光学特性が決定されるため、たとえば、分波器においては、ある特定の方向に分光されてくる光の波長(振動数)は決まっており、特定の方向に取り出す光の振動数を切り替えることはできなかった。また、導波路に設けた分岐のどちらに光を導くかをダイナミックに切り替えるといったこともできなかった。
【0005】
以下に挙げる3種類の提案は、スイッチング機能を持つ「能動素子」としてフォトニック結晶を利用したものである。
【0006】
(1)一つは、フォトニック結晶に、その周期性を乱しバンド構造を壊してしまうための超音波発生器または温度調節器を取り付けたものである。これにより、光の遅延装置として利用するフォトニック結晶の遅延効果を発現させたり、消失させたりしようというものである(都鳥、 他、特開平10−83005号公報)。
【0007】
(2)もう一つは、互いに対向して設置され表面に金属膜が形成された回折格子の間に電気光学材料を挟み込んだ1次元のフォトニック結晶である。対向した金属膜間に電圧を印加することで電気光学材料の屈折率が変化し、1次元方向のバンドギャップの位置が変わることにより、バンドの端近くの波長の光透過をON/OFFすることができるというものである(都鳥、 他、特開平10−83005号公報)。
【0008】
(3)3番目の提案は、半導体をその構成要素として含むフォトニック結晶に制御光として円偏光を照射し、フォトニック結晶材料内のスピンの分布を変化させることにより、すなわち複素屈折率を変化させることにより、フォトニックバンド構造を変化させ、フォトニック結晶を透過する光のスイッチングを行おうとするものである(竹内、西川、特開平10−90634号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら3つの提案は、以下に説明する点で未だ解決すべき課題を有するものであった。
【0010】
すなわち、上記(1)の提案は、フォトニック結晶としての機能を発現させるか消失させるかを切り替えているに過ぎず、フォトニック結晶としての機能の発現のしかたを能動的に変化させるものではない。従って、分波器の方向制御、光導波路の分岐制御などには利用できない。
【0011】
また、上記(2)の提案は、構造上1次元フォトニック結晶に限って適用できるものに過ぎず、2次元や3次元の大きな分散特性や優れた導波路としての特性に関しては、それを利用することができない。
【0012】
また、上記(3)の提案は、フォトニック結晶を構成する光学媒質の複素屈折率を変化させることによりバンド構造を変化させるものであり、フォトニック結晶の周期性や対称性を変化させることはできない。従って、大きなバンド構造の変化を誘起することは不可能であった。
【0013】
以上のように、従来のフォトニック結晶では、能動的な機能を持たせた場合でも、フォトニック結晶としての機能自体を発現させるか消失させるかという選択的動作に限られたり、スイッチングが実現できるフォトニック結晶の次元が限られたり、制御可能な範囲が制限されたりしていた。特にいずれの場合でも、従来の技術では、異種の光学材料の分布の仕方は変えずにその屈折率でけを変える方法を用いており、フォトニック結晶の結晶構造や周期性自体を切り替えることができず、自由にダイナミックにフォトニックバンドの構造を変化させることは不可能であった。
【0014】
一方、フォトニック結晶にバンドギャップが生じる場合、フォトニック結晶中の周期性が乱れた部分が1次元的に連続すると、光がその部分のみに閉じ込められ、従来実現できなかったような急激な折れ曲がりも可能な微細な光導波路となることが知られている(Attila Mekis et al,Phys.Rev.Lett.77,3787(1996))。このような微細な導波路に分岐を設け、光の波長に応じて進む道筋が変わるようにできれば、導波路自体が分波器となり、光通信や光回路における集積化、作製工程の簡略化のために極めて有益な光機能素子となる。
【0015】
しかし、上述した従来技術では、導波路中のいかなる波長の光にとっても、同じ部位がフォトニック結晶中の周期性の乱れた部位、すなわち導波路として働いてしまうため、上述のようなフォトニック結晶中の微細な導波路自体を波長に応じた分波器として利用することはできなかった。
【0016】
以上詳述したように、従来は、屈折率が異なる部位が存在する位置、言い換えれば空間的な屈折率変化のパターンが空間内に固定されていたのでバンド構造の変化の範囲に制限があった。その結果として、フォトニック結晶を能動的に利用すべく、バンド構造を自由に大幅に、かつダイナミックに変化させることは不可能であった。
【0017】
すなわち、従来は、能動的なフォトニック結晶を利用した光素子を実現する技術は知られていなかった。また、従来は、フォトニック結晶中の微細な導波路そのものを分波器として利用する技術も知られていなかった。
【0018】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、フォトニック結晶のバンド構造を、自由に、大幅に、ダイナミックに制御することが可能な新規な光素子、特に、複素屈折率の分布パターン、あるいは周期性そのものを変化させることにより上記の制御を可能にする光素子を提供することにあり、また本発明の他の目的は、フォトニック結晶中の導波路を用いた、新規な分波器を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の光素子は、請求項1に記載したように、第1の光学媒質中に少なくとも第2の光学媒質と第3の光学媒質とがそれぞれ入射光の波長オーダーの間隔で周期的に配列された構造体を備え、前記構造体に印加する外場条件を変化させることによって前記第1乃至第3すなわち第1、第2、第3の光学媒質の屈折率の相対的な関係を変化させ前記構造体中に形成される屈折率の空間分布の周期性を変化可能としたことを特徴とする。
【0020】
ここで「入射光の波長オーダー」とは、変調やスイッチングや導波などの作用を施すために光素子に入射させる光の波長と同程度のオーダーの間隔という意味であり、入射光の波長の数10倍以上あるいは数10分の1以下の如く大幅に異なる間隔ではない間隔を意味する。
【0021】
上記構成をより具体的に表現すると、本発明の光素子は、3種類以上の光学媒質から構成され、各々の光学媒質を周期的に配列した1次元あるいは2次元あるいは3次元の構造体であって、入射させる光の振動数に対して少なくとも2つの光学媒質の屈折率が異なるように光学材料および温度あるいは外場の条件を設定し、その構造体への電場あるいは磁場あるいは圧力の印加、あるいはこの構造体への光照射、あるいはこの構造体に印加されていた電場、磁場、圧力の変化、あるいは光照射の強度あるいは波長の変化、あるいはこの構造体の温度変化により、この構造体中に入射させる光の振動数において、屈折率がより大きく異なる光学媒質の組み合わせが変化し、あるいは新たに屈折率が周囲と異なる部位が周期的に出現し、すなわち、変化の後新たな周期的構造をとったり、あるいはそれぞれの媒質により構造体中に生じる屈折率の周期的なピークの相対的な比率が変化することにより、入射する光がかかわる振動数領域において新たなバンド構造が出現する構造体を有することを特徴とする。
【0022】
また、上述した光素子の実施の形態としては、請求項2に記載したように、前記構造体は、第1の外場条件においては、所定波長の光に対して前記第1の光学媒質の屈折率と前記第3の光学媒質の屈折率とが実質的に等しく前記第1の光学媒質の屈折率と前記第2の光学媒質の屈折率とが実質的に異なることにより、前記第2の光学媒質の周期的な配列によって前記所定波長の光を変調し、前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の光に対して前記第1の光学媒質の屈折率と前記第2の光学媒質の屈折率とが実質的に等しく前記第1の光学媒質の屈折率と前記第3の光学媒質の屈折率とが実質的に異なることにより、前記第3の光学媒質の周期的な配列によって前記所定波長の光を変調することを特徴とする。
【0023】
より具体的に表現すると、周期構造を有する構造体が3種類の光学媒質から構成され、それぞれの光学媒質を第1、第2、第3の光学媒質とし、第1、第2、第3の光学媒質の屈折率をそれぞれ第1、第2、第3の屈折率としたとき、第1、第2、第3の光学媒質それぞれの構造体中での分布が周期構造を有し、この光素子に入射させる光の振動数における屈折率が第1と第3の媒質でほぼ等しく第1と第2の媒質では異なり、すなわち第1と第2の屈折率の差が第1と第3の屈折率の差より大きくなり、構造体内で入射光が変調を受ける屈折率の周期的構造が主に第2の媒質の周期的な分布によって決まる構造体であり、その構造体への電場あるいは磁場あるいは圧力の印加、あるいはこの構造体への光照射、あるいはこの構造体に印加されていた電場、磁場、圧力の変化、あるいは光照射の強度あるいは波長の変化、あるいはこの構造体の温度変化により、前記振動数における屈折率が第1と第2の媒質でほぼ等しく第1と第3の媒質では異なるようになり、すなわち第1と第3の屈折率の差が第1と第2の屈折率の差より大きくなり、構造体内で入射光が変調を受ける屈折率の周期的構造が主に第3の媒質の周期的な分布によって決まるようになり、入射する光がかかわる振動数領域において新たなバンド構造が出現することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の第3の光素子は、請求項3に記載したように、第1の光学媒質と、前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した一部分を置換して配列された第3の光学媒質と、を有する構造体を備えた光素子であって、第1の外場条件においては、所定波長の光に対して前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に異なり、前記第3の光学媒質により置換された前記一部分が前記所定波長の光に対して導波路として機能し、前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の光に対して前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第3の光学媒質により置換された前記一部分が前記所定波長の光に対して導波路として機能しないことを特徴とする。
【0025】
より具体的に表現すれば、複素屈折率の異なる2種類以上の光学媒質から構成され、同種類の光学媒質からなる部位が周期的に配列することを特徴とする2次元あるいは3次元の構造体を有し、この構造体の周期構造の乱れが構造体内に1次元的に連なって存在し、その周期構造の乱れた部分が光導波路として働く構造体において、3種類以上の光学媒質を用い、その光学媒質のうちの3つをそれぞれ第1、第2、第3の光学媒質とした場合、この光導波路に入射させる光の振動数νの近傍における第1、第2、第3の複素屈折率をそれぞれ第1、第2、第3の複素屈折率とした場合、第1の媒質中に第2の媒質による2次元あるいは3次元の周期構造を有し、第2の媒質による2次元あるいは3次元周期構造の一部が1次元的に連なった第3の媒質で置き換えられ、この光素子に入射される光の振動数近傍において第1の複素屈折率と第2の複素屈折率、第2の複素屈折率と第3の複素屈折率がそれぞれ異なり、第3の媒質で置き換えられた部位が入射光の光導波路として働く構造体であって、その構造体への電場あるいは磁場あるいは圧力の印加、あるいはこの構造体への光照射、あるいはこの構造体に印加されていた電場、磁場、圧力の変化、あるいは光照射の強度あるいは波長の変化、あるいはこの構造体の温度変化により、振動数νの近傍における第1と第2の複素屈折率が異なり、第2と第3の複素屈折率がほぼ等しくなるようになり、第3の媒質で置き換えられた部位が入射光に対して周期構造の乱れとして働かず、光導波路として機能する部位が消失するため、スイッチング機能を持った導波路を有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の第4の光素子は、請求項4に記載したように、第1の光学媒質と、前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第1の部分を置換して配列された第3の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第2の部分を置換して配列された第4の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第3の部分に生じた前記第2の光学媒質の周期性の乱れた部位と、を有し、前記第1の部分と前記第2の部分とがそれぞれ前記第3の部分に接続されてなる構造体を備えた光素子であって、第1の外場条件においては、所定波長の光に対して前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第1の部分と前記第3の部分とが前記所定波長の光に対して導波路として機能し、前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の光に対して前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第2の部分と前記第3の部分とが前記所定波長の光に対して導波路として機能することにより、前記第3の部分に入射した前記所定波長の光の分岐先を前記第1の部分と前記第2の部分のいずれかに切り替え可能としたことを特徴とする。
【0027】
より具体的に表現すれば、複素屈折率の異なる2種類以上の光学媒質から構成され、同種類の光学媒質からなる部位が周期的に配列することを特徴とする2次元あるいは3次元の構造体を有し、この構造体の周期構造の乱れが構造体内に1次元的に連なって存在し、その周期構造の乱れた部分が光導波路として働く構造体において、4種類以上の光学媒質を用い、その光学媒質をそれぞれ第1、第2、第3、第4の光学媒質とした場合、この光導波路に入射させる光の振動数近傍における第1から第4までの媒質の複素屈折率をそれぞれ第1、第2、第3、第4の複素屈折率とした場合、第1の媒質中に第2の媒質による2次元あるいは3次元の周期構造を有し、第2の媒質による2次元あるいは3次元周期構造の一部が1次元的に連なった第3の媒質で置き換えられ第1の部位を形成し、また別の一部が1次元的に連なった第4の媒質で置き換えられ第2の部位を形成し、さらに別の一部に1次元的に連なった第2の媒質の周期構造の乱れにより第3の部位が形成され、第3の部位に、第1の部位と第2の部位が接続され、この光素子に入射される光の振動数近傍において第1の複素屈折率と第2の複素屈折率、第2の複素屈折率と第3の複素屈折率がそれぞれ異なり、第2の複素屈折率と第4の複素屈折率がほぼ等しく、第3と第1の部位が入射光の光導波路として働く構造体であって、その構造体への電場あるいは磁場あるいは圧力の印加、あるいはこの構造体への光照射、あるいはこの構造体に印加されていた電場、磁場、圧力の変化、あるいは光照射の状態の変化、あるいはこの構造体の温度変化により、振動数νの近傍における第1と第2の複素屈折率、第2と第4の複素屈折率がそれぞれ異なり、第2と第3の複素屈折率がほぼ等しくなるようになり、第1の部位が入射光に対して周期構造の乱れとして働かず、光導波路として機能しなくなるかわりに、第2の部位が光導波路として機能するようになるため、第3の部位に入射した光の分岐先、あるいは行き先を第1の部位と第2の部位の間で切り替えることが可能である。
【0028】
一方、本発明の分波器は、第1の光学媒質と、前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第1の部分を置換して配列された第3の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第2の部分を置換して配列された第4の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第3の部分に生じた前記第2の光学媒質の周期性が乱れた部位と、を有し、前記第1の部分と前記第2の部分とがそれぞれ前記第3の部分に接続されてなる構造体を備えた分波器であって、
第1の波長の光に対しては、前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第1の部分と前記第3の部分とが前記第1の波長の光に対して導波路として機能し、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光に対しては、前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第2の部分と前記第3の部分とが前記第2の波長の光に対して導波路として機能することにより、前記第3の部分に入射した前記第1の波長及び前記第2の波長の光がその波長に応じてそれぞれ前記第1の部分と前記第2の部分のいずれかに進むことを特徴とする。
【0029】
より具体的に表現すると、複素屈折率の異なる2種類以上の光学媒質から構成され、同種類の光学媒質からなる部位が周期的に配列することを特徴とする2次元あるいは3次元の構造体を有し、この構造体の周期構造の乱れが構造体内に1次元的に連なって存在し、その周期構造の乱れた部分が光導波路として働く構造体において、4種類以上の光学媒質を用い、その光学媒質をそれぞれ第1、第2、第3、第4の光学媒質とした場合、この光導波路に入射させる2つの光の振動数を第1の振動数および第2の振動数とした場合、第1の振動数近傍における第1から第4までの媒質の複素屈折率をそれぞれ第1、第2、第3、第4の複素屈折率とし、第2の振動数近傍における第1から第4までの媒質の複素屈折率をそれぞれ第5、第6、第7、第8の複素屈折率とした場合、第1の媒質中に第2の媒質による2次元あるいは3次元の周期構造を有し、第2の媒質による2次元あるいは3次元周期構造の一部が1次元的に連なった第3の媒質で置き換えられ第1の部位を形成し、また別の一部が1次元的に連なった第4の媒質で置き換えられ第2の部位を形成し、さらに別の一部に1次元的に連なった周期構造の乱れにより第3の部位が形成され、第3の部位に、第1の部位と第2の部位が接続される場合、この光素子に入射される光の第1の振動数近傍において第1の複素屈折率と第2の複素屈折率、第2の複素屈折率と第3の複素屈折率がそれぞれ異なり、第2の複素屈折率と第4の複素屈折率がほぼ等しく、第3と第1の部位が入射光の光導波路として働き、第2の振動数近傍では、第5の複素屈折率と第6の複素屈折率、第6の複素屈折率と第8の複素屈折率がそれぞれ異なり、第6の複素屈折率と第7の複素屈折率がほぼ等しく、第3と第2の部位が入射光の光導波路として働くことにより、第3の部位に入射した第1の振動数および第2の振動数の光がその振動数に応じてそれぞれ第1の部位および第2の部位に進み、導波路自体を分波器として機能させることができる。
【0030】
本発明においては、光素子として機能する際の被制御光すなわち入射光の振動数(波長)(入射光が単色光でない場合はある広がりを持った振動数の領域)における屈折率の空間分布が入射光に対するフォトニック結晶の応答を決定し、ほかの波長域における屈折率の分布には左右されないことに着目している。
【0031】
特に、本発明による能動的な光素子は、外場により屈折率が変化する複数の光学媒質を利用している。そのような光学材料でフォトニック結晶を作製する際、ある外場の条件の下では、複数ある光学媒質のうちのある2つの屈折率が等しく、あるいはほぼ等しくなるようにする。すると、光が感じる周期的な屈折率の分布は、それら屈折率の等しい2つの光学媒質以外の光学媒質の分布パターンとなる。
【0032】
また、別の外場条件の下では、別の2つの光学媒質の屈折率が等しくなるようにする。この場合にも、光素子の中の光は、その条件下で屈折率が等しくなった光学媒質以外の光学媒質の分布パターンを感じる。
【0033】
これら2つの条件下で光が感じる分布パターンを所望の結晶構造、格子点の形状、周期に設定することによって、2つの大きく異なるフォトニックバンド構造の間を外場条件を変えるだけでダイナミックに切り替えることができる。
【0034】
本発明によるフォトニック結晶中のスイッチング可能な導波路は、上記の説明と同じ原理により、外場の条件を変えることで光が感じるフォトニック結晶中の屈折率の周期性の乱れの位置を切り替えることにより動作する。
【0035】
また本発明による分波器は、外場の条件を変えるのではなく、入射する光の振動数(波長)に依存して光学媒質の屈折率が変化することを利用している。すなわち、波長によって光がフォトニック結晶中の屈折率の周期性の乱れとして感じる位置が異なるような光学媒質の組み合わせでフォトニック結晶および導波路を構成して、分波器として機能させる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0037】
屈折率が光の波長オーダーで空間的に周期的な変化を示す媒体は「フォトニック結晶」と呼ばれ、特異的な光学的性質を示す。それはこのような構造体において光が屈折率の周期性を感じ取りバンド構造を示すからである。半導体中の電子のエネルギーにおけるバンドギャップと同様に、フォトニックバンド構造のなかに、光の伝播を遮断する振動数領域であるフォトニックバンドギャップを生じさせることができる。これらのフォトニックバンド構造、フォトニックバンドギャップによって大きな波長分散性や異方性、狭い空間に集積可能な急な折れ曲がり角度の導波路などが実現できる。
【0038】
このバンド構造を決めているのは、屈折率の空間分布である。特に、入射光に対するフォトニック結晶の応答を決める、入射光の波長域(振動数領域)におけるバンド構造は、入射光の波長域における屈折率分布により決定される。
【0039】
本発明においては、フォトニック結晶を構成するのに少なくとも2種類の光学媒質を用いる。また、それらの光学媒質は、それぞれ周期的に配列されている。ここで「光学媒質」とは、真空中あるいは空気中に構築した誘電体3次元周期構造の場合の空気、あるいは真空空間のような空間や気体、液体などを含む概念である。また、以下の説明では、外場の条件がAの場合の、振動数νの光に対する第iの光学媒質の屈折率をni (ν,A)と書き表すことにする。「外場の条件」とは、フォトニック結晶に印加する電場、磁場、圧力の条件、あるいはフォトニック結晶に照射する光の強度、波長、偏光方向などの条件、あるいはフォトニック結晶の温度を意味する。
【0040】
最初に、外場の条件A1において、フォトニック結晶を構成するN種類の光学 媒質の屈折率がすべて異なる場合を考える。
【0041】
図1は、3種類の光学媒質の屈折率がすべて異なる場合を例示した概念図である。すなわち、同図は、第1の光学媒質1の中に第2の光学媒質2と第3の光学媒質3がそれぞれ周期的に配列した構造体を表す。そして、第1乃至第3すなわち第1、第2、第3の光学媒質の屈折率が互いに異なる。この条件は、次式により表すことができる。
ni (ν1 ,A1 )≠nj (ν1 ,A1 )(i≠j)
ここで、niは第jの光学媒質の屈折率を表す。この場合、入射光の振動数ν1近傍におけるバンド構造は、(N−1)種類の光学媒質の空間分布によって決 まる屈折率の周期構造と、N種類の光学媒質すべての屈折率によって決まる。図1は、N=3の場合に対応する。
【0042】
次に、外場条件をA2 に変えてN種類のうちの2つの光学媒質の屈折率を等しくする。
【0043】
図2は、この状態を例示した概念図である。例えば、屈折率を等しくする2つを、第k、第lの光学媒質(k<l)とすると、次式により表される状態とする。
nk (ν1 ,A2 )=nl (ν1 ,A2 )
これは、外場をA2 の状態にしたことによって、入射光の振動数ν1 における、第kと第lの光学媒質の屈折率が等しくなったことを意味する。ここで第kと第lの光学媒質はお互いに接触しているとする。この状態では、第lから第k−lの光学媒質の空間分布と、第kと第lの光学媒質をあわせた媒質の空間分布と、第k+1から第l−1の光学媒質の空間分布と、第l+1から第Nの光学媒質の空間分布とそれらの屈折率によってバンド構造か決まる。ただしN−1種類の光学媒質の空間分布が決まれば、残り1種類の光学媒質の空間分布もきまるので、結局ν1 においてN−1種類の異なる屈折率を示すN−1種類の媒質(第kと第lの光学媒質を合わせて1種類と数える)のうちN−2種類の光学媒質の空間分布とN−1種類の屈折率の値によってバンド構造が決まる。図2は、その様子をN=3の場合について表したものである。
【0044】
次に、図3に例示したように、外場条件をA3 に変えて、第kと第lではない光学媒質の組み合わせである第mと第nの光学媒質(m<n)においてν1 での屈折率が等しくなるようにしたとする。すなわち
nm (ν1 ,A3 )=nn (ν1 ,A3 )
となるようにする。ここで、第mと第nの光学媒質はお互いに接触しているとする。この状態では、第lから第m−1の光学媒質の空間分布と、第mと第nの光学媒質をあわせた媒質の空間分布と、第m+1から第n−1までの光学媒質の空間分布と、第n+1から第Nの光学媒質の空間分布とそれらの屈折率によってバンド構造が決まる。その様子は図3に例示した通りである。
【0045】
図1〜図3に表したように、外場の条件をA1 、A2 、A3 の間で、すなわちA1 とA2 の間、A2 とA3 の間、あるいはA1 とA3 の間で切り替えることにより、バンド構造を決める屈折率分布の空間的な配列パターンを切り替えることが可能となる。その結果として、屈折率の値だけを変化させる場合よりも、入射光に対するフォトニック結晶のバンド構造に大きな変化を誘起することができるようになる。
【0046】
ここで、条件A2 、A3 において屈折率を等しくした光学媒質がお互いに接していると仮定したが、接していない場合でも、空間分布のパターンを変化させることができる。その例を次に示す。
【0047】
図4は、第1、第2、第3の光学媒質からなるフォトニック結晶で、外場条件をA1 からA2 に切替える場合を例示した概念図である。この場合、第1の光学媒質1中において、第2の光学媒質2と第3の光学媒質3がそれぞれ空間に閉める領域は周期、格子点の形状が等しい単純立方格子であるとする。ただし、各々の基本周期ベクトルをa、b、cで表すと、第2と第3の光学媒質の格子点はa/2、b/2、c/2だけずれている。このような光学材料を条件A1 のもとにおくと、第2と第3の屈折率が異なるため、結晶構造は、図4(a)に表したように、「塩化セシウム型構造」となる。
【0048】
次に、外場条件をA2 に変えると、第2と第3の光学媒質は入射光にとって区別がなくなるため、図4(b)に表したように結晶構造が体心立方格子構造となったのと同等になる。このように、条件A1 とA2 で入射光に対するフォトニック結晶の結晶構造が変化する。
【0049】
次に、図5を参照しつつ、少なくとも3種類の光学媒質を構成要素として持つ構造体を考える。その3種類の光学媒質を第1の光学媒質1、第2の光学媒質2及び第3の光学媒質3とし、被制御光ν1 に対する屈折率が、以下の関係を満たすものとする。
n1 (ν1 ,A1 )≠n2 (ν1 ,A1 )
n2 (ν1 ,A1 )≠n3 (ν1 ,A1 )
この第1の媒質中に第2の媒質による3次元の周期構造を構成する。その場合、その周期構造により生成されるフォトニック結晶が、入射光振動数ν1 において広い方向に対するバンドギャップを開くことが望ましく、特に全方位にバンドギャップが開くダイヤモンド構造を形成することが望ましい。
【0050】
この周期構造を構成する第2の媒質の一部を、図5(a)に表したように、1次元的に連なる第3の光学媒質で置き換える。すると、フォトニック結晶の周期性が崩れたその1次元的に連なる部位に光が閉じ込められ、その部位の連なる方向以外に光は伝播することができず、結局その第3の物質で置き換えた部位が光導波路として働く。
【0051】
次に外場条件をA2 に変化させる。この条件下では、光学媒質の屈折率の関係は、次式の関係を満たすものとする。
n1 (ν1 ,A2 )≠n2 (ν1 ,A2 )
n2 (ν1 ,A2 )=n3 (ν1 ,A2 )
この場合、第2と第3の光学媒質は、振動数ν1 の光にとって同等となり、フォトニック結晶中の周期性の崩れは消失する。すなわち、図5(b)に表したように、導波路が消失する。このようにして条件A1 とA2 を切り替えることにより、導波路としての機能をON/OFFすることができる。
【0052】
次に、図6を参照しつつ、少なくとも4種類の光学媒質を構成要素として持つ構造体を考える。その4種類の光学媒質を第1の光学媒質1、第2の光学媒質2、第3の光学媒質3及び第4の光学媒質4とし、条件A1 における、被制御光ν1 に対する屈折率をそれぞれn1 (ν1 ,A1 )、n2 (ν1 ,A1 )、n3 (ν1 ,A1 )、n4 (ν1 ,A1 )とする。さらに、それぞれの屈折率が次式の関係を満たすものとする。
n1 (ν1 ,A1 )≠n2 (ν1 ,A1 )
n2 (ν1 ,A1 )≠n3 (ν1 ,A1 )
n2 (ν1 ,A1 )≠n4 (ν1 ,A1 )
ここで、図6に例示したように、第1の媒質中に第2の媒質による3次元の周期構造を構成すると仮定する。この場合も、周期構造により生成されるフォトニック結晶が入射光振動数ν1 において広い方向に対するバンドギャップを開くことが望ましく、特に、全方位にバンドギャップが開くダイヤモンド構造を形成することが望ましい。この周期構造を有する第2の媒質の一部を、図6に例示したように、1次元的に連なる第3の光学媒質で置き換える。すると、フォトニック結晶の周期性が崩れたその1次元的に連なる部位が、図5に関して前述した場合と同様に、導波路となる。つまり、第3の光学媒質が連なる方向以外に伝播しようとする光を閉じ込め、光導波路として機能する。これを「第1の導波路」と呼ぶことにする。
【0053】
また、図6に例示したように、別の一部を、やはり1次元的に連なる第4の光学媒質で置き換えると、その部分も導波路として機能する。これを「第2の導波路」と呼ぶことにする。
【0054】
さらに、図6に例示したように、別の一部に1次元的に連なる周期性の乱れた部位を作成すると、その部分も導波路となる。その部位を「第3の導波路」と呼ぶことにする。これら3つの導波路を接続し分岐のある導波路を構成する。
【0055】
図7は、このようにして形成した光素子の動作を表す概念図である。
【0056】
まず、同図(a)に表したように、外場条件A1 においては、第1、第2及び第3のいずれの導波路も入射光に対し導波路として働く。従って、例えば第3の導波路の左端から入射した光は、第1および第2の導波路へとそれぞれ分岐する。
【0057】
次に、図7(b)に表した状態とする。すなわち、屈折率が次式の関係を満たすような外場条件A2とする。
n1 (ν1 ,A2 )≠n2 (ν1 ,A2 )
n2 (ν1 ,A2 )≠n3 (ν1 ,A2 )
n2 (ν1 ,A2 )=n4 (ν1 ,A2 )
すると、n2 (ν1 ,A2 )=n4 (ν1 ,A2 )となるために、第2の導波路であった部位は周期性の乱れた部位ではなくなり、導波路として機能しなくなる。すなわち、外場条件A2 では、第3の導波路を伝播してきた光は第1の導波路のみへと進み、第2の導波路へは進まない。
【0058】
次に、図7(c)に表した状態とする。すなわち、屈折率が次式の関係を満たすように外場条件A3 に変える。
n1 (ν1 ,A3 )≠n2 (ν1 ,A3 )
n2 (ν1 ,A3 )=n3 (ν1 ,A3 )
n2 (ν1 ,A3 )≠n4 (ν1 ,A3 )
すると、今度はn2 (ν1 ,A3 )=n3 (ν1 ,A3 )となるために、第1の導波路であった部位が導波路として機能しなくなる。すなわち条件A3 では第3の導波路を伝播してきた光は第2の導波路のみへと進み、第1の導波路へは進まない。
【0059】
以上説明したようにして、条件をA1 、A2 、A3 と切り替えることにより、光導波路中を進む光の分岐のしかたを切り替えることができる。
【0060】
次に、図8を参照しつつ、入射光の波長によって導波路中に設けた分岐の進みかたが異なる分波器の動作原理を説明する。
【0061】
図6に例示した導波路同様、少なくとも4種類の光学媒質を構成要素として持つ構造体を想定し、その4種類の光学媒質を、第1、第2、第3及び第4の光学媒質とする。また、これらの光学媒質の、外場条件A1における、入射光振動数 ν1およびν2に対する屈折率をそれぞれ、n1 (ν1 ,A1 )、n2 (ν1 ,A1 )、n3 (ν1 ,A1 )、n4 (ν1 ,A1 )および、n1 (ν2 ,A1 )、n2 (ν2 ,A1 )、n3 (ν2 ,A1 )、n4 (ν2 ,A1 )とする。
【0062】
そして、これらの屈折率が次式の関係を満たすものとする。
n1 (ν1 ,A1 )≠n2 (ν1 ,A1 )
n2 (ν1 ,A1 )≠n3 (ν1 ,A1 )
n2 (ν1 ,A1 )=n4 (ν1 ,A1 )
n1 (ν2 ,A1 )≠n2 (ν2 ,A1 )
n2 (ν2 ,A1 )=n3 (ν2 ,A1 )
n2 (ν2 ,A1 )≠n4 (ν2 ,A1 )
図8(a)及び(b)は、これらの光学媒質によって形成された分岐のある導波路を有する光素子を表す概念図である。すなわち、まず第1の媒質中に第2の媒質による3次元の周期構造を構成する。この場合も、周期構造により生成されるフォトニック結晶が入射光振動数ν1、ν2において広い方向に対するバンドギャップを開くことが望ましく、特に全方位にバンドギャップが開くダイヤモンド構造を形成することが望ましい。
【0063】
この周期構造を有する第2の媒質の一部を、図8(a)に例示したように、1次元的に連なる第3の光学媒質で置き換える。するとn2 (ν1 ,A1 )≠n3 (ν1 ,A1 )であることから、振動数ν1 の光にとっては、その部位がフォトニック結晶の周期性が崩れた部位となり、第3の光学媒質が連なる方向以外に伝播しようとする振動数ν1 の光を閉じ込め、光導波路として機能する。しかし振動数ν2 の光に対しては、n2 (ν2 ,A1 )=n3 (ν2 ,A1 )であることから、周期性が乱れた部位にはならず、導波路としては機能しない。この部位を「第1の導波路」と呼ぶことにする。
【0064】
また、別の一部を、図8(a)に例示したように、やはり1次元的に連なる第4の光学媒質で置き換えると、その部位はn2 (ν1 ,A1 )=n4 (ν1 ,A1 )であることから、振動数ν1 の光にとっては周期性の乱れた部位にはならず、導波路として機能しない。しかし振動数ν2 の光に対しては、n2 (ν2 ,A1 )≠n4 (ν2 ,A1 )であることから、周期性の乱れた部位となり導波路として機能する。この部位を「第2の導波路」と呼ぶことにする。
【0065】
さらに別の部位に、図8(a)に例示したように、1次元的に連なった、振動数ν1 の光およびν2 の光に対する周期性の乱れを形成し、「第3の導波路」とする。この第3の導波路に、第1と第2の導波路を接続する。
【0066】
図8(b)に表したように、この導波路の第3の導波路からなる部分の左端から振動数ν1 の光とν2 の光を入射すると、振動数ν1 の光は、分岐において、導波路1からなる部分には進むが、導波路2からなる部分には進まない。逆に、振動数ν2 の光は、導波路1からなる部分には進まないが、導波路2からなる部分に進む。このようにして、第3の導波路を伝播してきたν1とν2 の光を振動 数(波長)によって分岐することが可能となる。
【0067】
以上図5乃至図8に関して前述した導波路を有する光素子の説明においては、3次元的なフォトニック結晶中に設けた1次元的な導波路について説明した。しかし、本発明は、3次元のフォトニック結晶に限定されるものではない。すなわち、2次元的な周期構造を持つフォトニック結晶中の1次元的な周期構造の乱れを利用した導波路においても全く同様に適用できる。
【0068】
また、図1乃至図8に関して前述したフォトニックバンド構造の能動的な切り替え、あるいは導波路におけるスイッチングは、外場による屈折率の単なる変化を利用するのではなく、物質による屈折率の外場依存性の違いを利用して、外場の印加によりフォトニック結晶あるいはそれを用いた光素子を構成する複数の光学材料のうち、2つの光学材料に関しては、屈折率の値をある波長において等しくする、あるいは近づけることが可能であることを利用したものである。
【0069】
図9は、3種類の光学媒質について屈折率の外場に対する依存性を例示したグラフ図である。外場としては、電場、磁場、光、圧力、温度などが利用できる。これらの外場の主な種類と、それを加えた場合に屈折率変化が誘起され本発明のフォトニックバンド構造の切り替えに利用できる主な機構を、以下に列挙する。
【0070】
電場に関しては、▲1▼シュタルクシフト、▲2▼フランツ・ケルディッシュ効果、▲3▼ボッケルス効果、▲4▼カー効果、▲5▼配向変化による屈折率変化(特に偏光に対して効果的)などを利用することができる。
【0071】
磁場に関しては、▲1▼磁場による準位分裂に伴う共鳴エネルギーのシフトに起因する屈折率変化、▲2▼Cotton-Mouton効果などを利用することができる。
【0072】
光に関しては、▲1▼オプティカルシュタルク効果、▲2▼光励起によるポピュレーション移動に伴う屈折率変化(吸収飽和)、▲3▼光照射による量子干渉に起因する屈折率変化(Electromagnetically Induced Transparency)、▲4▼光異性化による屈折率変化、▲5▼光照射による構造変化による屈折率変化、▲6▼光イオン化による屈折率変化などを利用することができる。
【0073】
圧力に関しては、▲1▼ピエゾ反射効果(piezoreflectance effect)を利用する ことができる。
【0074】
温度に関しては、▲1▼温度変化による電子構造のバンドシフトに伴う屈折率変化、▲2▼温度変化による異性化に伴う屈折率変化、▲3▼温度変化による構造変化に伴う屈折率変化を利用することができる。
【0075】
さらに、上記した外場のいずれか2つ以上組み合わせても、効果的に屈折率変化の誘起が可能である。また、本発明では、上記の説明と全く同じ機構により、被制御光としてある特定の偏光を利用しその偏光に対する屈折率変化が誘起される物質でフォトニック結晶を構成すれば、その特定の偏光に対してフォトニックバンド構造のダイナミックな切り替え、導波路のスイッチング、分波が可能である。
【0076】
【実施例】
以下に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
【0077】
(実施例1)
本発明の一実施例としての光素子を作成するために、まず、フォトニック結晶の骨組みとなるシリカ(SiO2)の多孔体を用意した。この多孔体のサイズは 1mm×1mm×1mm、空孔率は90%以上、平均空孔径は30nmで、空気に近い1.015〜1.055の屈折率を示す。
【0078】
このシリカ多孔体をルテニウム錯体のエタノール溶液に浸し、ルテニウム錯体を含浸させた。
【0079】
図10は、ルテニウム錯体の構造式を表す。エタノール溶液には約1時間浸し、その間加熱、還流を行い、シリカ多孔体の内壁にルテニウム錯体を吸着させた。その後、シリカ多孔体をエタノールで洗浄し、未吸着のルテニウム錯体を洗い出した。
【0080】
次に、QスイッチYAGレーザの第4高調波(波長266nm)のレーザ光を、レンズでスポット径約300nmに集光し、上記の処理をほどこしたシリカ多孔体に照射した。その際、ミラーをピエゾ素子利用の駆動系で操作し、シリカ多孔体の内部に焦点を結ぶようにし、さらにその焦点の位置を順次変えながら焦点で3次元のパターニングを行った。焦点では、強度の高い紫外光によりルテニウム錯体が分解した。パターニングにあたっては、ルテニウム錯体が分解されないで残る部分が、格子定数700nmの面心立方格子を形成するようにした。
【0081】
図11は、シリカ多孔体中のルテニウム錯体の分布を表す概念図である。同図に表したように、ルテニウム錯体が面心立方格子を形成するように形成する。また、図11に表したように、面心立方格子の各格子点における強い紫外線が照射されていない部位が、長径約350nm、短径約300nmのラグビーボール型になるようにした。さらに、その長径の軸が、最近接格子点の方向に向くようにした。このようにすることで、面心立方格子を形成するラグビーボール状の部位のみに、分解されないルテニウム錯体が残った。シリカ多孔体の内部にあるルテニウム錯体の分解生成物を取り除くために、エタノールおよびメタノールを用い洗浄を行った。
【0082】
次に、このシリカ多孔体をエポキシ樹脂であるセロキサイド2021(商標名:ダイセル化学社製)に光酸発生剤である4−モルホリノ−2,5ジブチロキシベンゼンジアゾニウホウフッカ塩を1%加えた液体に浸し、この液体を含浸させた。
【0083】
その後、エキシマーレーザ励起の色素レーザにより波長407nmのレーザ光を発生させ、波長266nmの光によるパターニングを行ったのと同様の装置を用いて、エポキシ樹脂を含浸させたシリカ多孔体の内部に焦点を結ばせ、その位置を順次変え、格子定数1.4μmの面心立方格子を形成する位置に、波長407nmの強い光が照射されるようにした。また、それぞれの格子点では、波長407nmの強い光が照射される部位が、長径約450nm、短径約400nmのラグビーボール型になるようにし、またその長径の軸が、最近接格子点の方向に向くようにした。
【0084】
この波長407nmの光によるパターニングにあたっては、シリカ多孔体に形成したマーカーでの位置合わせにより、波長266nmの光で形成したパターンと中心が重ならない位置にパターン形成を行った。さらにこのシリカ多孔体を60度に保ったまま5時間加熱した。そうすることで、格子定数1.4μmの面心立方格子を形成するラグビーボール状の部位のみに、エポキシ樹脂の硬化した部位が形成された。その後、アセトンおよびメタノールでシリカ多孔体を洗浄し、未硬化樹脂および酸発生剤の除去を行った。
【0085】
次に、10重量%の色素(ラムダフィジック社製、IR26)を含むメチルメタクリレート中に上記の処理を行ったシリカ多孔体を浸し、メチルメタクリレートを含浸させた。その後、シリカ多孔体全体にエキシマー励起の色素レーザからの波長500nmのレーザ光を照射したところ、シリカ多孔体中のルテニウム錯体が付着した部位に染み込んだメチルメタクリレートのみが、ルテニウム錯体の触媒作用により重合した。光重合後、アセトンによりシリカ多孔体を洗浄し、重合していないメチルメタクリレートを除去した。その結果、格子定数700nmの面心立方格子を形成する部位にラグビーボール型のポリメチルメタクリレートが形成された。
【0086】
次に、シリカ多孔体の中の、エポキシ樹脂およびポリメチルメタリレートで占められていない部位に、再びエタノール溶液によりルテニウム錯体を吸着させ、未吸着分を洗浄により除去し、さらに2重量%の色素(ラムダフィジック社製、IR26)を含むメチルメタクリレートを含浸させた。その後、波長500nmのレーザ光照射により、メチルメタクリレートを重合させた。
【0087】
図12は、このようにして作成したフォトニック結晶の構造を表す概念図である。同図に表したように、本実施例のフォトニック結晶は、マトリクスとして色素を2重量%含有するポリメチルメタクリレートを有し、このマトリックス中に、ラグビーボール状の色素10重量%を含有したポリメチルメタリレートからなる格子定数700nmの面心立方格子と、エポキシ樹脂からなる格子定数1.4μmの面心立方格子とが形成されている。
【0088】
このフォトニック結晶について波長1000nm付近の赤外反射スペクトルを測定したところ、ちょうど1000nm付近に大きな反射ピークが現れた。これは、1000nm付近の波長領域では、2重量%色素を分散させたポリメチルメタクリレートと、エポキシ樹脂の屈折率の差より、10重量%の色素を分散させたポリメチルメタクリレートと2重量%色素を分散させたポリメチルメタクリレートの屈折率の差の方が大きく、主に、格子定数700nmの面心立方型に並んだ10重量%の色素を分散させたポリメチルメタクリレートの空間パターンによってフォトニックバンドが形成されたためである。これにより反射率の特に高い領域が、1000nm付近に現れたものと考えられる。
【0089】
一方、このフォトニック結晶に、波長1100nmの赤外光を照射しながら、1000nm付近の反射スペクトルを再び測定した。
【0090】
図13は、波長1100nmの赤外光の照射・非照射状態での1000nm付近の反射スペクトル表すグラフ図である。同図からわかるように、波長1100nmの赤外光を照射した状態においては、1000nm付近にあった大きな反射ピークが消失した。これは、波長1100nmの光照射により色素を分散させた部位に吸収飽和が起こり、10重量%の色素を分散させたポリメチルメタクリレートと2重量%色素を分散させたポリメチルメタクリレートの屈折率の差が小さくなったためと考えられる。
【0091】
さらに、この条件では、1000nm付近の波長領域では2重量%色素を分散させたポリメチルメタクリレートとエポキシ樹脂の屈折率の差が、10重量%の色素を分散させたポリメチルメタクリレートと2重量%色素を分散させたポリメチルメタクリレートの屈折率の差よりも大きくなっているため、格子定数1.4μmの面心立方を形成するエポキシ樹脂の分布パターンによってフォトニックバンドが形成されていると考えられる。実際、近赤外領域では2000nm付近に反射ピークが観測され、これはエポキシ樹脂の分布パターンによるフォトニックバンドに起因すると考えられる。
【0092】
以上詳述したように、3種類の光学媒質によってフォトニック結晶を構成することで、光照射によりある波長に対しフォトニックバンドを構成する部位の空間パターンを切り替え、光学応答を大きく変化させることができた。
【0093】
(実施例2)
実施例1で用いたものと同じ規格、サイズのシリカ多孔体を、エポキシ樹脂であるセロキサイド2021(商標名:ダイセル化学社製)に光酸発生剤である4−モルホリノ−2,5ジブチロキシベンゼンジアゾニウムホウフッカ塩を1%加えた液体に浸し、この液体を含浸させた。その後、エキシマーレーザ励起の色素レーザにより波長407nmのレーザ光を発生させ、実施例1でパターニングの際に用いたのと同様の装置を用いて、エポキシ樹脂を含浸させたシリカ多孔体の内部に焦点を結ばせ、その位置を順次変え、格子定数1.4μmの面心立方格子を形成する位置に、波長407nmの強い光が照射されるようにした。またそれぞれの格子点では、波長407nmの強い光が照射される部位が、長径450nm、短径400nmのラグビーボール型になるようにし、またその長径の軸が、最近接格子点の方向に向くようにした。シリカ多孔体中に10層以上の格子点を形成した後、このシリカ多孔体を60度に保ったまま5時間加熱した。その後、アセトンおよびメタノールでシリカ多孔体を洗浄し、未硬化樹脂および酸発生剤の除去を行った。
【0094】
次に、10重量%の色素(ラムダフィジック社製、IR26)と1重量%の4−モルホリノー2,5ジブチロキシベンゼンジアゾニウムホウフッカ塩を含む、エポキシ樹脂セロキサイド2021(ダイセル化学社製)に上記の処置を行ったシリカ多孔体を浸し、色素を含んだエポキシ樹脂を含浸させた。その後、シリカ多孔体に形成したマーカーによる精密な位置合わせにより、再び試料を波長407nmのレーザ光によるパターニングの装置にセットし、先に形成した面心立方格子の最上層の上に、最上層と整合の取れる形で、1次元的に連なった一列の格子点に相当する位置に、順次光を照射し、それぞれの格子点では、波長407nmの光が照射される部位が、長径450nm、短径400nmのラグビーボール型になるようにし、またその長径の軸が、下層の面心立方格子を形成している格子点の長軸の向きと一致するようにした。
【0095】
図14は、このようにして得られた構造を表す概念図である。
【0096】
この色素を含む格子点形成を1列分行った後、またこのシリカ多孔体を60度に保ったまま5時間加熱した。その後、アセトンおよびメタノールでシリカ多孔体を洗浄し、未硬化樹脂および酸発生剤の除去を行った。
【0097】
次に、1重量%の4−モルホリノ−2,5ジブチロキシベンゼンジアゾニウムホウフッカ塩を含む、エポキシ樹脂セロキサイド2021(ダイセル化学社製)に上記の処置を行ったシリカ多孔体を浸し、エポキシ樹脂を含浸させた。
【0098】
その後、シリカ多孔体に形成したマーカーによる精密な位置合わせにより、再び試料を波長407nmのレーザ光によるパターニングの装置にセットし、先に形成した面心立方格子とその上の一列の色素を含んだエポキシ樹脂と整合の取れる形で、その上にさらに面心立方格子を形成する格子点を、レーザ光を焦点を移動させつつ照射することによって10層以上形成した。その際、それぞれの格子点では、強い407nmの光が照射される部位が、長径450nm、短径400nmのラグビーボール型になるようにし、またその長径の軸が、下層の面心立方格子を形成している格子点の長軸の向きと一致するようにした。
【0099】
その後、またこのシリカ多孔体を60度に保ったまま5時間加熱し、次にアセトンおよびメタノールでシリカ多孔体を洗浄し、未硬化樹脂および酸発生剤の除去を行った。
【0100】
図15は、このようにして得られたフォトニック結晶中の導波路機能について行った評価方法を表す概念図である。
【0101】
まず、同図(a)に表したように、フォトニック結晶中の1次元的に連なった色素を含むエポキシ樹脂の端が露出するようにシリカ多孔体を削り、両端に光ファイバーを接続した。このファイバーに波長1000nmのレーザ光を入射したところ、フォトニック結晶を挟んだ反対側のファイバーから、入射光強度の90%の強度の光が出力しているのが観測された。すなわち、1次元的に連なった色素を含むエポキシ樹脂の部分が、フォトニック結晶中の周期性の乱れた部位となり、光導波路として機能していることが確認できた。
【0102】
次に、図15(b)に表したように、フォトニック結晶に波長1100nmのレーザ光を照射し、その強度を変えていったところ、ある強度で出力光強度がゼロになった。これは光照射により色素を含むエポキシ樹脂でできた格子点の屈折率が変化し、色素を含まない格子点との屈折率差がなくなったため、色素を含むエポキシ樹脂の1次元的な連なりが導波路として機能しなくなったためと考えられる。
【0103】
以上詳述したように、本実施例によれば、1100nmの光照射によってスイッチング機能を示す光導波路を作成することができた。
【0104】
(実施例3)
実施例2で用いたのと同じ規格、サイズのシリカ多孔体を用い、また同様のパターニング方法で、フォトニック結晶中に光導波路が形成された光素子を作製した。
【0105】
図16は、本実施例において製作したフォトニック結晶の構造を表す概念図である。本実施例においては、周期性の乱れた部位として、1100nm近傍に吸収ピークを持つ色素(ラムダフィジク社製、IR26)を10重量%含んだエポキシ樹脂により形成された格子点からなる導波路部(「導波路A」とする)のみでなく、850nm近傍に吸収ピークを持つ色素(ラムダフィジク社製、IR132)を含むエポキシ樹脂による導波路(「導波路B」とする)、および格子点のあるべき個所にエポキシ樹脂による格子点を形成しないことによる格子欠陥を1次元的に連ねたことにより形成した導波路(「導波路C」とする)の、3種類の導波路を作製した。これら導波路は、フォトニック結晶中において、図16に示すように接続した。
【0106】
この3種類の導波路のうち、導波路Cにより形成された導波路の左端から光ファイバーで導いた波長1000nmのレーザ光を入射した。ただし、フォトニック結晶全体に波長850nmのレーザ光を照射した。導波路Aと導波路Bの端からの出力光を測定したところ、入射レーザ光の80%以上は導波路Aから出力されていることがわかった。これは、以下の機構によると考えられる。
【0107】
すなわち、この条件下では、入射した1000nmの光の波長は、導波路Aに関しては吸収ピーク波長1100nmの高エネルギー側に位置し、エポキシ樹脂単独の屈折率より低い屈折率を示すスペクトル領域にある。一方、導波路Bに関しては、吸収ピーク波長850nmの低エネルギー側の屈折率が高くなるスペクトル領域にある。しかし、導波路Bは850nmのレーザ光により強く励起されており、吸収飽和に伴い、屈折率がエポキシ樹脂単独の場合に近い値に変わっているために、入射光が屈折率の周期性の乱れとは感じにくい。このため、実際に導波路として働くのは、入射光が屈折率の周期性の乱れとして感じる導波路Aだけになる。
【0108】
次に、フォトニック結晶全体に波長850nmのレーザ光のかわりに波長1100nmのレーザ光を照射した。この条件で導波路Aと導波路Bの端からの波長1000nmのレーザ出力光を測定したところ、入射レーザ光の80%以上は導波路Bから出力されていることがわかった。これは、以下の機構によると考えられる。
【0109】
すなわち、この条件下では、入射した1000nmの光の波長は、導波路Bに関しては吸収ピーク波長850nmの低エネルギー側に位置し、エポキシ樹脂単独の屈折率より高い屈折率を示すスペクトル領域にあるのに対し、導波路Aに関しては、吸収ピーク波長1100nmの高エネルギー側の屈折率が低くなるスペクトル領域にある。しかし、導波路Aは波長1100nmのレーザ光により強く励起されており、吸収飽和に伴い、屈折率がエポキシ樹脂単独の場合に近い値に変わっているために、入射光が屈折率の周期性の乱れとしては感じにくい。そのため、実際に導波路として働くのは、入射光が屈折率の周期性の乱れとして感じる導波路Bだけになる。
【0110】
以上詳述したように、本実施例によれば、光素子に照射する光の波長を変えることにより、導波路中を進む光の分岐のしかたを切り替えることができた。
【0111】
(実施例4)
実施例3で用いたのと同じ規格、サイズのシリカ多孔体を用い、また同様のパターニング方法で、フォトニック結晶中に光導波路が形成された光素子を作製した。
【0112】
ただし本実施例では、周期性の乱れた部位として、600nm近傍に吸収ピークを持つ色素(ラムダフィジク社製、Cresyl Violet)を10重量%含んだエポキシ樹脂により形成された格子点からなる導波路(「導波路A」とする)と、450nm近傍に吸収ピークを持つ色素(ラムダフィジク社製、Coumarin 334) を含むエポキシ樹脂による導波路(「導波路B」とする)、および格子点のあるべき個所にエポキシ樹脂による格子点を形成しないことによる格子欠陥を1次元的に連ねたことにより形成した導波路(「導波路C」とする)の、3種類の導波路を作製した。これら導波路は、フォトニック結晶中で実施例3の場合と同様の配置で接続した。
【0113】
この3種類の導波路のうち、導波路Cにより形成された導波路部に光ファイバーで導いた波長700nm、及び500nmの2波長からなるレーザ光を入射し、導波路Bおよび導波路Cからの出力光を測定したところ、700nmの入射光の80%以上が導波路Aから、波長500nmの入射光の80%以上が導波路Bから出力した。
【0114】
これは、波長700nmの光にとっては、導波路部の色素を含んだエポキシ樹脂がその他の部分のエポキシ樹脂と異なり高い屈折率を示すのが導波路Aであり、波長500nmの光にとっては、導波路部の色素を含んだエポキシ樹脂がその他の部分のエポキシ樹脂と異なり高い屈折率を示すのが導波路Bであることによる。
【0115】
以上説明したように、本実施例によれば、波長に応じて分岐の方向が変わり分波器として機能する光素子が得られた。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外場を変化させることにより、フォトニック結晶あるいはその中に設けた光導波路部の屈折率に関して、入射させる被制御光の振動数において屈折率がより大きく異なる光学媒質の組み合わせが変化し、あるいは新たに屈折率が周囲と異なる部位が周期的に出現し、すなわち変化の後新たな周期構造をとったり、あるいはそれぞれの媒質によりフォトニック結晶中に生じる屈折率の周期的な比率が変化することにより、被制御光に対する、フォトニック結晶あるいは導波路の応答を能動的に切り替えることが可能である。また、被制御光の波長によって屈折率の周期構造となる部位を異なった場所に作製することにより、分岐において、波長によってその先進む導波路が異なる分波器を構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトニック結晶中の屈折率分布の様子を示す概念図。
【図2】フォトニック結晶中の屈折率分布の様子を示す概念図。
【図3】フォトニック結晶中の屈折率分布の様子を示す概念図。
【図4】外場条件により塩化セシウム型構造と体心立方構造が切り替わる様子を示す図。
【図5】光導波路のスイッチングの様子を示す概念図。
【図6】条件により分岐の仕方を切り替えられる光導波路の屈折率分布を表す模式図。
【図7】条件により光導波路中での光の伝播の方向が切り替わる様子を示した図。
【図8】フォトニック結晶中の光導波路による分波器の屈折率分布を表す模式図。
【図9】複数の光学媒質の屈折率が外場に依存する様子を示す概念図。
【図10】本発明の一実施例に用いる光重合反応の触媒であるルテニウム錯体の化学構造を表す図。
【図11】本発明のフォトニック結晶の一実施例を作製する途中での、ルテニウム錯体のシリカ多孔体中の分布を表す図。手前の層から一層ずつわかりやすいように影の付け方を変えて示してある。
【図12】本発明のフォトニック結晶の一実施例における構造を示す図。ただし一層目のみが示されている。
【図13】図12のフォトニック結晶の反射スペクトル。
【図14】本発明のフォトニック結晶中の光導波路の一実施例を作製する途中での、色素を含んだエポキシ樹脂の配置を表す図。
【図15】本発明のフォトニック結晶中の光導波路の一実施例におけるスイッチング動作を説明する図。
【図16】本発明のフォトニック結晶中の光導波路の一実施例における導波路接続の様子を説明する図。
【符号の説明】
1 第1の光学媒質
2 第2の光学媒質
3 第3の光学媒質
4 第4の光学媒質
Claims (4)
- 第1の光学媒質中に少なくとも第2の光学媒質と第3の光学媒質とがそれぞれ入射光の波長オーダーの間隔で周期的に配列された構造体を備え、
前記構造体は、
第1の外場条件においては、所定波長の前記入射光に対して前記第1の光学媒質の屈折率と前記第3の光学媒質の屈折率とを実質的に等しくするとともに前記第1および第3の光学媒質の屈折率と前記第2の光学媒質の屈折率とを異ならせることにより、前記第2の光学媒質の周期的な配列によって前記所定波長の入射光を変調し、
前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の入射光に対して前記第1の光学媒質の屈折率と前記第2の光学媒質の屈折率とを実質的に等しくするとともに前記第1および第2の光学媒質の屈折率と前記第3の光学媒質の屈折率とを異ならせることにより、前記第3の光学媒質の周期的な配列によって前記所定波長の入射光を変調することを特徴とする光素子。 - 第1の光学媒質と、前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した一部分を置換して配列された第3の光学媒質と、を有する構造体を備えた光素子であって、
第1の外場条件においては、所定波長の入射光に対して前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に異なり、前記第3の光学媒質により置換された前記一部分が前記所定波長の入射光に対して導波路として機能し、
前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の入射光に対して前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第3の光学媒質により置換された前記一部分が前記所定波長の入射光に対して導波路として機能しないことを特徴とする光素子。 - 第1の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第1の部分を置換して配列された第3の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第2の部分を置換して配列された第4の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第3の部分に生じた、前記第2の光学媒質による周期性が乱れた部位と、
を有し、
前記第1の部分と前記第2の部分とがそれぞれ前記第3の部分に接続されてなる構造体を備えた光素子であって、
第1の外場条件においては、所定波長の入射光に対して前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第1の部分と前記第3の部分とが前記所定波長の入射光に対して導波路として機能し、
前記第1の外場条件とは異なる第2の外場条件においては、前記所定波長の入射光に対して前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第2の部分と前記第3の部分とが前記所定波長の入射光に対して導波路として機能することにより、前記第3の部分に入射した前記所定波長の入射光の分岐先を前記第1の部分と前記第2の部分のいずれかに切り替え可能としたことを特徴とする光素子。 - 第1の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中に周期的に配列された第2の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第1の部分を置換して配列された第3の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第2の部分を置換して配列された第4の光学媒質と、
前記第1の光学媒質中において前記第2の光学媒質により形成されるべき周期構造のうちの連続した第3の部分に生じた、前記第2の光学媒質による周期性が乱れた部位と、
を有し、
前記第1の部分と前記第2の部分とがそれぞれ前記第3の部分に接続されてなる構造体を備えた分波器であって、
第1の波長の入射光に対しては、前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第1の部分と前記第3の部分とが前記第1の波長の入射光に対して導波路として機能し、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の入射光に対しては、前記第1の光学媒質の複素屈折率と前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第4の光学媒質の複素屈折率とが互いに実質的に異なり、前記第2の光学媒質の複素屈折率と前記第3の光学媒質の複素屈折率とが実質的に等しく、前記第2の部分と前記第3の部分とが前記第2の波長の入射光に対して導波路として機能することにより、前記第3の部分に入射した前記第1の波長及び前記第2の波長の入射光がその波長に応じてそれぞれ前記第1の部分と前記第2の部分のいずれかに進むことを特徴とする分波器。
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