JP3763404B2 - 床パネルの捲れ防止構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベランダやバルコニーなどの下地床面上に敷設して化粧床面を形成するユニット床材などの床パネルにかかり、特に床パネルが風を受けて捲れ上がることを防止する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベランダなど屋外の下地床面上に化粧床面を形成する場合に、合成樹脂製の床パネルが用いられている。これは、図9に示されるように、平面視正方形状の単位パネル10を目地部を介して縦横三列に並べるとともに、パネル面の下面に所定間隔で複数本の脚部11を設け、各周側面部には継手部としての雄型継手片12と雌型継手片13をそれぞれ設けて一体成形してある。そして、複数枚の床パネル1を下地床面上に敷きつめ、隣接パネルの継手片同士を凹凸嵌合させてパネル周辺部同士を互いに連結することで一体の床面を構成するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
床パネル1を敷設して形成された床面は、パネル面が脚部11で支持されて床面下方に空間を形成しているため、屋外に敷設した場合でも、この空間部から雨水などを排水可能である。しかし、台風などの強風時に床パネル1の端部から前記空間部に横風が入り込んだときは、床面全体が軽量なため、敷設した床面を捲り上げ、連結したパネルをバラバラに飛散させてしまう虞れがある。
【0004】
そこで、本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、パネル面が複数の脚部で支持された床パネルを用いて化粧床面を形成するにあたり、床面が風を受けても捲れ上がり難くすることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この種床パネルは、屋外に設置した際に雨水がパネル面上やパネル面下で滞留しないよう、パネル面下方は空間部としておく必要があり、パネル周辺部にも空間部と通じた排水凹路を形成しておく必要がある。パネルの捲れ上がりは、床パネルの端部からパネル面下方の空間部内に風が一気に進入してパネル面を持ち上げることによって起こるため、パネルの捲れを防止するには、風がパネル面下方空間部に進入しないように設けること、例えば床パネルの端部に壁部を形成することが効果的であると考えられる。しかし、この場合、壁部に排水凹路を適度に設けておかなければ排水性が悪化してしまい、壁部に排水凹路を広く設けたのでは、排水凹路を通じて風がパネル面下方に進入し、パネルの捲れを防止することができない。また、壁部を設けたのみでは、風の勢いが強い場合に風が壁部の下側に回り込んで、パネル面下方の空間部内に入り込み、パネル面を持ち上げるといった事態も引き起しかねない。
そこで本発明は、単に床パネル端部に設けた壁部で風の進入を遮断するのではなく、床パネル端部の下側にパネル面上方へと抜ける風の通路を設け、この通路に沿って風を流通させることで、パネル面下方空間部内への風の進入を遮断し、また例え進入したとしても進入風量を大きく減少させるとともに、床パネル端部に下方への押圧力が加わるように構成した。
【0006】
詳しくは、本発明の床パネルの捲れ防止構造は、パネル面が複数の脚部で支持されてなる床パネルの端部に、適宜な間隔を開けて配置された脚板と脚板間に架け渡されて脚板上部間隙を塞ぐ天板と天板後方に形成された開口部とを有し、前記天板の下面に天板先端側から後端側へ上向きに傾いた傾斜面を設け、脚板先端間の間隙から流入した風が天板下側の空隙を通って前記開口部から流出するように構成された導風パネルを、前記開口部側の端部を前記床パネルの端部に連結して設置したことを特徴とする。
【0007】
これによれば、導風パネルの天板下面に形成された傾斜面と下地床面との間で通風路が形成され、床面端部に吹きつける風は、脚板先端間隙から天板下側に流入して導風パネル内に入り込み、前記傾斜面に沿って開口部へと導かれ、開口部から床パネルのパネル面上方へと送出される。よって、床パネルの下方空間部に進入する風量が大きく減り、床面が捲れ上がることを防止できる。傾斜面は天板下面全体に設けてあることが好ましいが部分的に設けてもよい。
【0008】
導風パネルは、天板の厚みをその先端側から後端側に渡って漸次小さくして構成することができる。
これによれば、通風路の幅は、風が流入する側が狭く、流出する開口部側が広くなるため、横風は速度を増して通風路内を流通し、開口部からパネル面上方へとスムーズに送出する。
【0009】
導風パネルは、天板の上面に天板先端側から後端側へ上向きに傾いた傾斜面を設けて構成することができる。
これによれば、天板上面は後端側へ向けて上り勾配となるように傾斜しており、導風パネルの天板上部に横風が衝突すると、天板上面の傾斜に沿って後方側へ上昇する気流が形成される。この気流により導風パネルを下方へ押し付けようとする力が発生し、床パネル端部を接地位置に保持して捲れ上がりを防止する。
傾斜面は天板上面全体に設けてあることが好ましいが部分的に設けてもよい。
【0010】
導風パネルは、天板先端から後端までの長さを、その上面側よりも下面側の方が長くなるようにして構成することができる。
これによれば、床面端部に吹きつける風は、導風パネルの天板先端に当たって天板の上面と下面に分かれ、天板上面側の風は上面に沿って、天板下面側の横風は通風路に沿ってそれぞれ流通し、天板後方の開口部で再び合流する。ここで、天板は上面側よりも下面側の方が長く形成してあるので、上下両面に分かれた風が開口部で同時に合流した場合、天板上面側よりも下面側を流通する風の方が流通速度が速くなる。そのため、天板下面側の気圧が上面側よりも低くなり、これにより導風パネルを下方へ押し付けようとする力が発生し、床パネル端部を設置位置に保持して捲れ上がりを防止する。
【0011】
導風パネルは、開口部の後方に仕切り壁板を設け、導風パネルから床パネル底部空間への風の進入が遮断されるように構成することができる。
これによれば、開口部後方に設けた仕切り壁板により、通風路と床パネル下方空間とが遮断され、通風路を流通する風が床パネル下方の空間部に進入することを防止するとともに、仕切り壁板により通風路に流入した風が開口部へと誘導されて開口部からの排出を促し、パネル面上方へとスムーズに送出される。
【0012】
なお、通風路は、その表面に凹凸があると風の流通の妨げとなることから、通風路表面は空気流を乱さない湾曲した面に形成してあることが好ましい。導風パネルは、床パネルと同様の合成樹脂、その他適宜の材質のものを用いて形成することができる。また、導風パネルと床パネルを一体に形成し、これを床面の端部に配置するようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
図示した形態は、従来技術で示した床パネル1を下地床面上に複数枚敷設して化粧床面を形成する場合に、床面周辺部の床パネル1の端部に導風パネル2を設置して、床パネル1が風を受けて捲れ上がることを防止したものである。
【0014】
図1〜図3は床面の端部に設置される導風パネル2の第1実施例を示している。この導風パネル2は、床パネル1の端辺の長さと略同じ長さを有する合成樹脂製の長尺枠形の部材であって、その長手方向に沿って延びた仕切り壁板20の前面部20aに四つの脚板21を等間隔開けて平行に突設し、各脚板21の上面に短手方向の幅が脚板21よりも短い平面視矩形の天板22を架け渡して脚板21の上部間隙を塞ぐとともに、天板22の後端部と仕切り壁板20の上端部間を開口部23とし、仕切り壁板20の後面部20bには床パネル1に連結するための三対の継手片24を一定の間隔を開けて突設した形状に形成されている。
【0015】
詳しくは、図2に示されるように、仕切り壁板20は下部が厚く、上部が薄い先細り状の横断面を有して床パネル1の端部と同じ高さに設けてある。仕切り壁板20の前面部20aは上方に傾斜した湾曲面、後面部20bは接地面に対して垂直な平面に形成してある。
脚板21は、適宜な長さを有する接地面に対して垂直な平板を仕切り壁板20の前面部20aと直交するように配置して設けてある。各脚板21の高さは、仕切り壁板20側が高く、先端側を低く設けてある。
天板22は、その先端部22aが厚く、後端部22bが薄い先太り状の横断面形状に設けてある。より詳しくは、天板22は、その厚みが先端部22aから後端部22bに渡って漸次小さくなるように設けてあるとともに、その上面22cを先端部22aから後端部22bへ上向きに傾斜した湾曲面、その下面22dを同じく先端部22aから後端部22bへ上向きに傾斜した湾曲面に形成してある。また、先端部22aから後端部22bに至る上面22cの長さ(距離)dc と下面22dの長さdd とを、上面22c側よりも下面22d側の方が長くなるよう(dc <dd )に設けてある。
開口部23は、天板22の後端部20bと仕切り壁板20の上端部の間を細幅矩形状に開口して形成されている。
継手片24は、仕切り壁板20の後面部20bから突設させた突片24aの先端に床パネル1の脚部11が嵌入し得る係合環24bを設けて形成してある。
【0016】
そして、導風パネル2は、下地床面に設置した状態で、下地床面と仕切り壁板20、脚板21及び天板22の各板内周面とで区画される空隙に通風路25を形成し、脚板21と天板22の先端部間隙である流入口26からパネル内に風が流入すると、通風路25内を流通させて開口部23へと誘導し、開口部23から上方へと風を送出するように構成してある。
【0017】
このように形成された導風パネル2は、図3に示されるように、化粧床面の周辺部に配された床パネル1のパネル面下方に継手片24を差し入れ、係合環24bに脚部11を嵌め入れて床パネル1の端部に一体に連結して設置される。
【0018】
導風パネル2が端部に設置された床面に横風が吹きつけた場合、横風は流入口26からパネル内部に入り込むが、流入した風を開口部23へと誘導するようにパネル内部の通風路25が設けられており、また、導風パネル2と床パネルの端部間が仕切り壁板20で仕切られているため、横風は通風路25に沿って開口部23へと流通し、開口部23からパネル面上方へと送出され、床パネル1の下方空間部へ進入することはない。
【0019】
また、横風は導風パネル2の天板先端に当たって天板22の上面と下面に分かれ、天板上面側の風は上面22cに沿って、天板下面側の横風は通風路25に沿ってそれぞれ流通し、開口部23で再び合流するが、天板22の下面22d側を上面22c側よりも長く形成してあるので、天板下面22d側を流通する風の方が流通速度が速くなり、そのため天板下面22d側が減圧し、これにより導風パネル2を下方へ押し付けようとする力が発生する。さらに、天板22の上面22cが後端部22bへ向けて上方傾斜しているため、当該傾斜面に沿って後方側へ上昇する気流が形成され、この気流によっても導風パネル2を下方へ押し付けようとする力が発生する。従って、横風を受けることに伴って発生するこれらの下方押圧力により導風パネル2は所定の設置位置に保持され、横風を受けて床パネル1の床面が捲り上がることを防ぐことができる。
【0020】
なお、導風パネル2は、必ずしも化粧床面の全周に設置する必要はなく、化粧床面の周辺部の内、横風を受けて床面が捲れ上がる虞れのある部位に部分的に設置することができる。例えば図4はバルコニーに床パネル1を敷設して化粧床面を形成した形態であるが、この形態では、手すりに面して並べられた床パネル1の内、手すりが開口していて風が入り込んでくる中央部三枚の床パネル1の端部にのみ導風パネル2を設置している。
【0021】
図5及び図6は導風パネル2の第2実施例を示している。この導風パネル2は、床パネル1の端辺の長さと略同じ長さを有する合成樹脂製の長尺枠形の部材であって、上面に天板22が架け渡された脚板21と仕切り壁板20との間に、開口部23を挟んで、小開口27aが縦横に列設された開口板27を配し、開口板27の下面に脚部28を突設して一体に形成したものである。
【0022】
詳しくは、仕切り壁板20は、先細り状の横断面を有して床パネル1の端部と同じ高さに設けてあり、その前面部20aは上方に傾いた傾斜平面、後面部20bは接地面に対して垂直な平面に形成してある。仕切り壁板20の下部には排水凹路20cが設けてある。
開口板27は、図6に示されるように、その面内に脚板21側から仕切り壁板20側へ向けて上方に傾斜した仕切り部を格子状に配して方形状と矩形状の複数の小開口27aを区画しており、その下面に突設された脚部28により床パネル1と同高さに水平に支持して設けてある。
脚板21及び天板22は前記実施例と同様の形態としてある。
【0023】
このように形成された導風パネル2は、前記実施例と同様に、継手片24に脚部11を嵌め入れて床パネル1の端部に一体に連結して設置される。床面に横風が吹きつけた場合は、横風は流入口26からパネル内部に入り込み、通風路25内を流通して開口部23又は開口板27の小開口27aからパネル面上方へと送出され、床パネル1の下方空間部へ進入することはない。また、横風は導風パネル2の天板先端に当たって天板22の上面と下面に分かれて流通することにより、導風パネル2を下方へ押し付けようとする力が発生し、これにより導風パネル2を所定の設置位置に保持し、横風を受けて床パネル1の床面が捲れ上がることを防ぐことができる。
【0024】
なお、導風パネル2を構成する天板22は、前記実施例で示した形態の他に、図7に断面で示した形態のものとしてもよい。
同図(A)の天板22は、その長手方向の略中央部の厚みを最も大きくし、上面22cを先端部22a側から後端部22bに向けて上方へ湾曲傾斜させ、下面22dをその中央部から後端部22bに向けて上方へ湾曲傾斜させた形状に設けたものである。この形態では、通風路25の幅が開口部23側が広くなるので、通風路25内に流入した横風を速度を増して開口部へと流通させることができ、また、天板先端から後端までの長さが下面22d側の方が長くなり、しかも上面22cが後方へ上向き傾斜しているので、横風の流通に伴って大きな下方押圧力を得ることができる。
【0025】
同図(B)、(C)の天板22は、その先端部22aの厚みを最も大きくし、後端部22bに向けて漸次厚みを小さくした形状に設けたもの、同図(D)の天板22はその中央部の厚みを最も大きくし、後端部22bに向けて漸次厚みを小さくした形状に設けたものである。このような形態では、通風路25の幅が流入口26側が狭く、開口部23側が広くなるので、通風路25内に流入した横風を速度を増して開口部23へとスムーズに流通させることができる。
【0026】
同図(E)、(F)の天板22は、その上下両面を先端部22aから後端部22bに向けて上方へ傾斜させた形状に設けたものである。このような形態では、上面22cが後方へ上向き傾斜しているので、上面22cに沿って流れる横風に上昇気流を効果的に発生させて大きな下方押圧力を得ることができる。
【0027】
また、導風パネル2を構成する仕切り壁板20は、前記実施例で示した形態の他に、図8に断面で示した形態のものとしてもよい。
同図(A)の仕切り壁板20は、通風路25と開口部23に面する前面部20aを傾斜平面とした三角横断面形状に設けたもの、同図(B)は前面部20aを傾斜湾曲面とした湾曲した三角横断面形状に設けたもの、同図(C)は矩形横断面形状に設けたものである。通風路25内で渦を作らずに風をスムーズに流通させるには、矩形横断面形状よりも三角横断面形状とするのが好ましい。仕切り壁板20には、前記第2実施例で示したように、床パネル下方空間への風の進入を遮断可能な範囲で排水凹路を形成することができる。
【0028】
なお、図示した形態は一例であり、導風パネルはこれらの形態、或いは他の形態を適宜組み合わせて構成することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、通風路を内部に有する導風パネルを床パネルの端部に設置し、床面に横風が吹きつけたときにこの通風路に沿って横風を流通させ、パネル面上方へ送出することで、パネル面下方空間部内への横風の進入を遮断し、例え進入したとしても僅かな風量に抑えることができ、また、横風を受けることに伴って発生する下方押圧力により床パネルを所定の設置位置に保持して、床面が捲れ上がることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の導風パネルの平面図である。
【図2】図1の導風パネルの拡大横断面図である。
【図3】図1の導風パネルを設置した状態の要部断面図である。
【図4】バルコニーに図1の導風パネルを用いて床面を構成した状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例の導風パネルの平面図である。
【図6】図5の導風パネルの拡大横断面図である。
【図7】(A)〜(F)は天板の他の形態の横断面である。
【図8】(A)、(B)は仕切り壁板の他の形態の横断面である。
【図9】(A)は従来の床パネルを敷設した状態の平面図、(B)は床パネルの連結部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 床パネル
2 導風パネル
20 仕切り壁板
21 脚板
22 天板
23 開口部
25 通風路
Claims (5)
- パネル面が複数の脚部で支持されてなる床パネルの端部に、適宜な間隔を開けて配置された脚板と脚板間に架け渡されて脚板上部間隙を塞ぐ天板と天板後方に形成された開口部とを有し、前記天板の下面に天板先端側から後端側へ上向きに傾いた傾斜面を設け、脚板先端間の間隙から流入した風が天板下側の空隙を通って前記開口部から流出するように構成された導風パネルを、前記開口部側の端部を前記床パネルの端部に連結して設置したことを特徴とする床パネルの捲れ防止構造。
- 天板の厚みをその先端側から後端側に渡って漸次小さくして導風パネルを構成した請求項1に記載の床パネルの捲れ防止構造。
- 天板の上面に天板先端側から後端側へ上向きに傾いた傾斜面を設けて導風パネルを構成した請求項1又は2に記載の床パネルの捲れ防止構造。
- 天板先端から後端までの長さを、その上面側よりも下面側の方が長くなるようにして導風パネルを構成した請求項1〜3の何れかに記載の床パネルの捲れ防止構造。
- 開口部の後方に仕切り壁板を設け、導風パネルから床パネル下方空間への風の進入が遮断されるように導風パネルを構成した請求項1〜4の何れかに記載の床パネルの捲れ防止構造。
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