JP3762268B2 - 非接触電源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触電源装置に関し、特に、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、二次側ユニットの出力電圧を自動的に制御して過電圧となることを防止できる非接触電源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
結合トランスの一次側ユニットと二次側ユニットとを分離可能に構成した非接触電源装置がある。この非接触電源装置では、一次側ユニットのコンセントを屋内の商用電源に差し込み、二次側ユニットを屋外に配置する。そして、両ユニットを窓ガラスなどを挟んで対向配置させ、屋内から屋外へ電力を供給し、屋外の二次側ユニットに接続された電飾等を点灯等させるものである。かかる非接触電源装置では、窓ガラスや扉などを開けることなく、屋内と屋外とを閉ざしたままの状態で、屋内の商用電源を屋外で利用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる非接触電源装置では、二次側ユニットに接続される負荷が小さい場合(或いは、二次側ユニットに負荷が接続されていない場合)には、二次側ユニットには僅かな電流しか流れず(或いは、電流が流れず)、その結果、二次側ユニットの出力に過電圧が生じるという問題点があった。即ち、二次側ユニットに接続される負荷が、制御系のように小さいものであると、二次側ユニットに過電圧が生じて、その負荷が破壊される危険がある。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、二次側ユニットの出力電圧を自動的に制御して過電圧となることを防止できる非接触電源装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために請求項1記載の非接触電源装置は、一次側ユニットと、その一次側ユニットと分離された二次側ユニットとを有し、前記一次側ユニットから二次側ユニットへ電磁誘導により非接触に電力を供給するものであり、前記一次側ユニットに一次側巻線が収容され、前記二次側ユニットに二次側巻線が収容された第1の結合トランスと、前記二次側ユニットに収容されると共に、一次側巻線の一端が前記第1の結合トランスの二次側巻線の一端に接続され、その一次側巻線の他端が二次側巻線の一端に接続された第2の結合トランスと、前記二次側ユニットに収容されると共に、一端が前記第2の結合トランスの一次側巻線の他端と二次側巻線の一端とに接続され、他端が前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端に接続された共振回路とを備え、前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とから交番電圧を出力するものである。
【0006】
この請求項1記載の非接触電源装置によれば、第2の結合トランスの一次側巻線に流れる電流it1は、共振回路に流れる電流icと第2の結合トランスの二次側巻線に流れる電流it2とに分岐して流れる(it1=ic+it2)。このとき、第2の結合トランスの二次側巻線に流れる電流it2により、第2の結合トランスの二次側巻線に逆起電力Vt2が発生し、共振回路の両端の電圧Vcと、逆起電力Vt2の和(Vc+Vt2)が二次側ユニットの出力電圧となる。
【0007】
ここで、二次側ユニットに接続される負荷が増大すると、第2の結合トランスの二次側巻線に流れる電流it2が増大し、第2の結合トランスの一次側巻線に流れる電流it1も増大する。この結果、第2の結合トランスの一次側巻線および二次側巻線の両端の電圧Vt1,Vt2は、第2の結合トランスの一次側巻線および二次側巻線の巻数比に比例して増大する。逆に、二次側ユニットに接続される負荷が減少すると、第2の結合トランスの二次側巻線に流れる電流it2が減少し、第2の結合トランスの一次側巻線に流れる電流it1も減少する。この結果、第2の結合トランスの一次側巻線および二次側巻線の両端の電圧Vt1,Vt2は、第2の結合トランスの一次側巻線および二次側巻線の巻数比に比例して減少する。
【0008】
このように、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、第2の結合トランスの二次側巻線の電流it2が変化し、その電流it2の変化が第2の結合トランスの二次側巻線の電圧Vt2に変換される。よって、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、二次側ユニットの出力電圧が自動的に制御される。
【0009】
請求項2記載の非接触電源装置は、請求項1記載の非接触電源装置において、前記共振回路は、共振用コンデンサによって構成され、前記第1の結合トランスの二次側巻線と前記第2の結合トランスの一次側巻線と共に共振回路を形成して、前記一次側ユニットの発振周波数と前記二次側ユニットの共振周波数とが等しくなるようにその容量が調整されている。
【0010】
請求項3記載の非接触電源装置は、請求項1又は2に記載の非接触電源装置において、前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とに接続された整流平滑回路を備え、その整流平滑回路から直流電圧を出力するものである。
【0011】
請求項4記載の非接触電源装置は、請求項3に記載の非接触電源装置において、直列に接続された2個のスイッチング素子を2組並列に接続して構成されると共に、前記整流平滑回路の出力電圧を入力するインバータ回路と、所定の周波数で発振する発振回路と、その発振回路の出力に応じて前記インバータ回路のスイッチング素子をオンまたはオフさせて、そのインバータ回路から前記発振回路の周波数に応じた周波数の交番電圧を出力させる動作回路とを備えている。
【0012】
請求項5記載の非接触電源装置は、請求項1又は2に記載の非接触電源装置において、前記一次側ユニットは、商用電源から出力される交流電圧を整流する第1整流回路と、その第1整流回路の出力電圧をチョッパ制御して高周波の交番電流を前記第1の結合トランスの一次側巻線に流す駆動回路とを備え、前記二次側ユニットは、前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とから出力される交番電圧を整流する第2整流回路と、その第2整流回路の出力電圧から高周波成分を除去するローパスフィルタ回路と、そのローパスフィルタ回路の出力電圧が略0ボルトとなるタイミングでゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路と、直列に接続された2個のスイッチング素子を2組並列に接続して構成されると共に、前記ローパスフィルタ回路の出力電圧を入力するインバータ回路と、前記ゼロクロス検出回路によるゼロクロス信号の出力に応じて前記インバータ回路のスイッチング素子をオンまたはオフさせて、そのインバータ回路から商用電源と等しい周波数の交番電圧を出力させる動作回路とを備えている。
【0013】
この請求項5記載の非接触電源装置によれば、請求項1又は2に記載の非接触電源装置と同様に作用する上、商用電源から出力される交流電圧は、一次側ユニットの第1整流回路により整流され、駆動回路によりチョッパ制御されて、高周波の交番電流として第1の結合トランスの一次側巻線に流れる。その結果、二次側ユニットの第1の結合トランスの二次側巻線に電流が流れ、第1の結合トランスの二次側巻線の他端と第2の結合トランスの二次側巻線の他端とから交番電圧が出力される。かかる交番電圧は、第2整流回路により整流された後、ローパスフィルタ回路によって高周波成分が除去された状態で、インバータ回路へ入力される。このローパスフィルタ回路の出力電圧はゼロクロス検出回路へも入力され、該出力電圧が略0ボルトとなるタイミングでゼロクロス検出回路からゼロクロス信号が出力される。動作回路は、かかるゼロクロス信号を入力すると、インバータ回路のスイッチング素子をオンまたはオフして、インバータ回路から商用電源と等しい周波数の交番電圧を出力する。
【0014】
請求項6記載の非接触電源装置は、請求項5に記載の非接触電源装置において、前記ゼロクロス検出回路と前記動作回路との間に設けられ、前記ゼロクロス検出回路から所定時間内に2以上のゼロクロス信号が出力された場合に2回目以降のゼロクロス信号の前記動作回路への出力を止めるダブルパルス防止回路を備えている。
【0015】
請求項7記載の非接触電源装置は、請求項1から6のいずれかに記載の非接触電源装置において、前記二次側ユニットの配設状態に応じて、前記一次側ユニットへの電力供給を供給と断との間で切り替える切替スイッチを備えている。
【0016】
請求項8記載の非接触電源装置は、請求項7記載の非接触電源装置において、前記切替スイッチは、前記二次側ユニットが前記一次側ユニットに対向配置されていない場合に前記一次側ユニットへの電力供給を断するものである。
【0017】
請求項9記載の非接触電源装置は、請求項7又は8に記載の非接触電源装置において、前記切替スイッチは、前記一次側ユニットと前記二次側ユニットとが介在物を介すことなく直接対向配置されている場合に前記一次側ユニットへの電力供給を断するものである。
【0018】
請求項10記載の非接触電源装置は、請求項1から9のいずれかに記載の非接触電源装置において、前記第1の結合トランスの一次側鉄心と二次側鉄心とは側面形状がC字形に形成されると共に、そのC字形の端面が互いに対向するように配置されて使用されるものである。
【0019】
請求項11記載の非接触電源装置は、請求項1から10のいずれかに記載の非接触電源装置において、前記一次側ユニットは、前記二次側ユニットと対向する面以外を覆う非磁性体の導電率の高い金属により形成されたケーシングを備えている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の制御用非接触電源装置を電飾の点灯用に用いた電飾用非接触電源装置1の回路図である。この電飾用非接触電源装置1は、窓ガラスや壁などの介在物50を挟んで電力を供給しLEDアレイ7等の電飾を点灯させるものであり(図3参照)、主に、第1整流平滑回路2と、駆動回路3と、結合トランス4と、第2整流平滑回路5と、LED駆動回路6と、LEDアレイ7とを備えている。
【0021】
第1整流平滑回路2は、商用電源から電源コンセント11を介して供給される交流電圧を直流に整流平滑して出力する回路であり、ダイオードブリッジDB1と平滑コンデンサC1とを備えている。この第1整流平滑回路2のプラス端子は、後述する結合トランス4の主トランスTR1の一次側巻線41c(図2参照)に設けたセンタタップ41eに接続され、その一次側巻線41cの両端は、駆動回路3のN−MOSスイッチングディバイスQ1,Q2のドレイン端子にそれぞれ接続されている。
【0022】
駆動回路3は、結合トランス4の主トランスTR1の一次側巻線41cに交番電流を流すための回路である。前記した第1整流平滑回路2のマイナス端子に、この駆動回路3のスイッチングディバイスQ1,Q2のソース端子が接続されており、そのスイッチングディバイスQ1,Q2のゲート端子は、スイッチングディバイスQ1,Q2の駆動電流を制限するための抵抗R4,R5を介して、それぞれ駆動IC33の出力端子Out1,Out2に接続されている。この駆動IC33の入力端子Cinには、タイミング生成用のコンデンサC2が接続され、そのコンデンサC2の他端は、第1整流平滑回路2のマイナス端子に接続されている。また、駆動IC33の入力端子Rinには、タイミング生成用の抵抗R1〜R3が直列に接続されており、その直列に接続された抵抗列R1〜R3の他端は、第1整流平滑回路2のマイナス端子に接続されている。更に、タイミング生成用の抵抗R2と並列に押しボタンスイッチ31が接続されると共に、タイミング生成用の抵抗R3と並列に補正用スイッチ32が接続されている。
【0023】
駆動IC33は、2つの出力端子Out1,Out2に接続されたスイッチングディバイスQ1,Q2を交互にオンオフさせるICであり、例えばテキサス・インスツルメント社製のスイッチング・レギュレータ・コントローラTL494が使用される。オンオフの周期(駆動IC33の発振周波数)は、入力端子Cinに接続されるコンデンサC2の容量と入力端子Rinに接続される抵抗R1〜R3の抵抗値とによって定まる。よって、押しボタンスイッチ31または補正用スイッチ32がオンされた場合には、入力端子Rinに接続される抵抗値が変化するので、スイッチングディバイスQ1,Q2のオンオフ周期(駆動IC33の発振周波数)も変化する。
【0024】
押しボタンスイッチ31は、LEDアレイ7の点灯パターンを切り替えるためのスイッチであり、スイッチ31が押下されている間のみオン状態を維持し、その押下が解除された場合にオフとなるスイッチで構成される。一方、補正用スイッチ32は、結合トランス4の一次側ユニット41と二次側ユニット42との間隔が狭くなり過ぎた場合に、即ち一次側ユニット41と二次側ユニット42との間に挟まれる窓ガラスや壁などの介在物50の厚さが薄い場合に、二次側ユニット42の出力電圧が異常に高くなることを防ぐために使用されるスイッチである。この補正用スイッチ32は、押しボタンスイッチ31とは異なり、スイッチの操作が解除された後も、そのオンまたはオフの操作状態を保持するスイッチで構成される。
【0025】
なお、補正用スイッチ32は、一次側ユニット41と二次側ユニット42との間に挟まれる窓ガラスや壁などの介在物50の厚さに応じて、駆動IC33の発振周波数を変更するためのスイッチであるので、実施例のようなオンまたはオフの2通りに切り替わるスイッチに代えて、抵抗値を0Ω〜数キロΩの間で変更可能な可変抵抗により構成するようにしても良い。補正用スイッチ32を可変抵抗により構成すれば、一次側ユニット41と二次側ユニット42との間に挟まれる窓ガラスや壁などの介在物50の厚さに応じて、駆動IC33の発振周波数を調整し、一次側ユニット41から二次側ユニット42への電力供給を最適化することができる。
【0026】
結合トランス4は、主に、一次側巻線41cにセンタタップ41eを備えた主トランスTR1と、その主トランスTR1の二次側巻線42cに並列に接続された共振用コンデンサC3とにより構成されている。共振用コンデンサC3は、二次側巻線42cと共に共振回路を形成するコンデンサであり、結合トランス4の一次側巻線電流の周波数と二次側の共振周波数とが等しくなるように、その容量が調整されている。即ち、駆動回路3の押しボタンスイッチ31および補正用スイッチ32のオフ状態における駆動IC33の発振周波数と二次側の共振周波数とが等しくなるように、共振用コンデンサC3の容量が調整されている。よって、この共振用コンデンサC3により、結合トランス4の二次側へ電流を流れ易くして、その二次側へ十分な電力供給を可能としている。
【0027】
図2は、かかる結合トランス4の側断面図である。なお、図2では、一次側巻線41cのセンタタップ41eおよび二次側巻線42cと並列に接続された共振用コンデンサC3の図示は省略している。
【0028】
図2に示すように、結合トランス4は、一次側ユニット41と二次側ユニット42とに分割されており、それぞれ別々にカバー体41a,42a内に収容されている。一次側鉄心41bおよび二次側鉄心42bは、ともに側面形状がC字形に形成され、互いに交差しないようにC字形の端面が互いに対向するように配設されて使用される(図2参照)。一次側鉄心41bおよび二次側鉄心42bは、その継鉄部41d,42dが十分に長く形成されて、一次側巻線41cから二次側巻線42cへ電磁誘導によって供給される電力の供給効率が良好にされている。即ち、継鉄部41d,42dの長さLは、一次側ユニット41と二次側ユニット42とのギャップ長Gの2倍以上にすることが好ましく(L>2G)、本実施例の一次側鉄心41bおよび二次側鉄心42bは、そのように構成されている。この継鉄部41d,42dには、一次側巻線41cおよび二次側巻線42cがそれぞれ巻回されている。尚、一次側鉄心41bおよび二次側鉄心42bの形状を、C字形に代えて、E字形で形成するようにしても良い。また、前記した通り、一次側巻線41cはセンタタップ41eを備えると共に、二次側巻線42cには共振用コンデンサC3が並列に接続されている。
【0029】
また、一次側ユニット41は二次側ユニット42面を開放して、一方、二次側ユニット42は一次側ユニット41面を開放して、非磁性体の導電率の高い金属によって形成された箱形のケーシング41f,42fによりそれぞれ覆われている。通常、一次側鉄心41bに誘起された磁束は、ケーシング41fを通過して、ケーシング41fの外部および一次側鉄心41bの脚間を繋ぐ方向に漏出しようとする。しかし、ケーシング41fは非磁性体の導電率の高い金属によって形成されているので、磁束がケーシング41fを通過すると、ケーシング41fに漏れ磁束を妨げる向きに渦電流が発生する。その渦電流の発生により、ケーシング41fには漏れ磁束と逆向きの磁束が誘起され、ケーシング41fの外部に漏出する磁束および一次側鉄心41bの脚間で鎖交する磁束を減少させることができる。よって、一次側鉄心41bに誘起した磁束は、ケーシング41fにより効率よく二次側鉄心42bに鎖交し、一次側から二次側へ良好に電力を供給することができる。
【0030】
第2整流平滑回路5は、結合トランス4から出力される交流電圧を直流に整流平滑して、LED駆動回路6へ出力する回路であり、ダイオードブリッジDB2と平滑コンデンサC4とを備えている。即ち、結合トランス4の出力は、ダイオードブリッジDB2により整流され、コンデンサC4により平滑されて、LED駆動回路6へ出力される。
【0031】
LED駆動回路6は、LEDアレイ7の点灯パターンを制御するための回路であり、第2整流平滑回路5の出力を、所定時間保持する電圧保持用コンデンサC5を備えており、そのコンデンサC5のプラス端子には、コンデンサC5の放電を防ぐダイオードD1のカソードが接続されている。ダイオードD1のアノードは、第2整流平滑回路5のプラス端子に接続されており、第2整流平滑回路5の出力電圧は、このダイオードD1を介してコンデンサC5へ充電される。また、コンデンサC5のプラス端子は、定電圧IC61の入力端子に接続され、該コンデンサC5によって保持された第2整流平滑回路5の出力電圧は、定電圧IC61により5ボルトの定電圧に変換されて、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略す)62へ駆動電圧として供給される。この定電圧IC61の入出力端子には、コンデンサC5から出力される電圧の過渡的変動を緩和するための3つのコンデンサC6〜C8がそれぞれ接続されている。なお、各コンデンサC5〜C8の他端は、定電圧IC61のグランド端子と共に、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されている。
【0032】
一方、第2整流平滑回路5の出力は、ダイオードD1のアノードの他に、20ボルトの定電圧ダイオードZD1のカソードに接続されており、その定電圧ダイオードZD1のアノードは抵抗R6の一端に接続され、その抵抗R6の他端は、NPN型トランジスタQ3のベース端子および抵抗R7の一端に接続されている。トランジスタQ3のエミッタ端子は、抵抗R7の他端と共に、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されている。また、トランジスタQ3のコレクタ端子には、NPN型トランジスタQ4のベース端子と共に抵抗R8が接続され、そのトランジスタQ4のエミッタ端子は、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されると共に、そのコレクタ端子は、抵抗R9の一端と、マイコン62の入力端子Inとに接続されている。抵抗R9の他端は、抵抗R8の他端と共に、前記した電圧保持用コンデンサC5のプラス端子に接続されている。
【0033】
マイコン62は、CPUの他に、ROM、RAMおよび各種I/O回路等を1チップに内蔵したマイクロコンピュータであり、その内蔵ROMには、LEDアレイ7の各LEDの駆動パターンプログラムが複数記憶されている。このマイコン62の出力端子Out1〜Out4は、抵抗R10〜R13を介して、NPN型トランジスタQ5〜Q8のベース端子にそれぞれ接続されており、各トランジスタQ5〜Q8のエミッタ端子は、第2整流平滑回路5のマイナス端子にそれぞれ接続されている。また、トランジスタQ5〜Q8のベース端子とエミッタ端子との間には、抵抗R14〜R17がそれぞれ接続され、更に、トランジスタQ5〜Q8のコレクタ端子は、LEDアレイ7の所定のLED列のカソードに接続されている。このマイコン62の入力端子Inへロウ信号が入力される毎に、LEDアレイ7の駆動パターンが変更され、変更された駆動パターンに応じた信号が出力端子Out1〜Out4から出力され、LEDアレイ7の点灯パターンが変更される。なお、マイコン62のグランド端子は、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されている。
【0034】
LEDアレイ7は、複数(例えば15個)のLEDが直列に接続されたLED列を複数列備えたものである。各LED列のカソードは、マイコン62の出力端子Out1〜Out4に接続されたトランジスタQ5〜Q8のコレクタ端子に、それぞれ別々に接続されると共に、また、各LED列のアノードは、第2整流平滑回路5のプラス端子に接続されている。なお、LED列の列数および各LED列のLEDの個数は、適宜変更可能であり、LED列の列数に応じて、LED列を駆動するトランジスタQ5〜Q8等が増減される。
【0035】
次に、上記のように構成された電飾用非接触電源装置1の動作について説明する。電源コンセント11が商用電源(交流電源)に接続されると、第1整流平滑回路2のダイオードブリッジDB1と平滑コンデンサC1との働きにより、平滑コンデンサC1の両端から、即ち第1整流平滑回路2から直流電圧が出力される。同時に、駆動回路3の駆動IC33にも図示しない直流電源から電源が供給され、タイミング生成用のコンデンサC2と抵抗R1〜R3の直列抵抗によって定まる周期で、駆動IC33の出力端子Out1,Out2から抵抗R4,R5を介して、スイッチングディバイスQ1,Q2が交互にオンオフ駆動される。スイッチングディバイスQ1,Q2が交互に駆動されることにより、結合トランス4の主トランスTR1の一次側巻線41cに、コンデンサC2と抵抗R1〜R3とによって定まる周波数の交番電流が流れる。
【0036】
結合トランス4の主トランスTR1の一次側巻線41cに交番電流が流れると、二次側巻線42cに磁束が鎖交して、主トランスTR1の二次側巻線42cに電圧が発生する。共振用コンデンサC3は、予め結合トランス4の一次側巻線電流の周波数と二次側の共振周波数とが等しくなるように容量が調整されているので、この共振用コンデンサC3により、結合トランス4の二次側への電力供給が最適化される。
【0037】
結合トランス4の共振用コンデンサC3の両端から供給される電圧は、第2整流平滑回路5のダイオードブリッジDB2とコンデンサC4とによって、再び直流電圧に変換され、コンデンサC4の両端から出力される。このコンデンサC4から出力される直流のプラス電圧は、LEDアレイ7のアノード列およびLED駆動回路6の定電圧IC61に供給されると共に、その定電圧IC61によりマイコン62に適した電圧(5ボルト)に変換され、マイコン62へ駆動電圧として供給される。
【0038】
駆動電圧が供給されたマイコン62は、予めプログラムされた複数のLED駆動パターンのうち1のパターンに基づいて、各出力端子Out1〜Out4からLEDアレイ7の駆動信号を出力する。この駆動信号に応じて、トランジスタQ5〜Q8はオンまたはオフされ、その結果、オンされたトランジスタQ5〜Q8にカソードが接続されたLED列の各LEDは点灯し、逆に、オフされたトランジスタQ5〜Q8にカソードが接続されたLED列の各LEDは消灯する。
【0039】
次に、LEDアレイ7の点灯パターンの切り替え方式について説明する。LEDアレイ7の点灯パターンは、押しボタンスイッチ31を押下する毎に切り替えられる。なお、押しボタンスイッチ31は、スイッチ31が押下されている間のみオン状態を維持し、押下が解除された場合にはオフとなるスイッチである。
【0040】
具体的には、駆動回路3の押しボタンスイッチ31が押下(オン)されると、その押しボタンスイッチ31が押下されている間、抵抗R2が短絡され、駆動IC33の入力端子Rinに接続される抵抗値が変化する。これにより、駆動IC33の発振周波数が結合トランス4の二次側巻線42cと共振用コンデンサC3とで定まる共振周波数から外れ、結合トランス4の出力電圧は降下する。
【0041】
押しボタンスイッチ31がオン、補正用スイッチ32がオフの状態での抵抗R1,R3とコンデンサC2とで定まる駆動IC33の発振周波数、および、押しボタンスイッチ31および補正用スイッチ32が共にオンの状態での抵抗R1とコンデンサC2とで定まる駆動IC33の発振周波数が、結合トランス4の二次側巻線42cと共振用コンデンサC3とで定まる共振周波数と大きく異なるように、予め設定しておく。すると、押しボタンスイッチ31が押下された場合には、駆動IC33の発振周波数が、二次側巻線42cと共振用コンデンサC3とで定まる共振周波数から大きく外れ、その結果、結合トランス4の出力が略ゼロボルトとなる。
【0042】
押しボタンスイッチ31が押下されて、結合トランス4の出力がゼロボルトになると、LED駆動回路6の定電圧ダイオードZD1がオフして、トランジスタQ3のベース電流が流れなくなり、トランジスタQ3がオフする。トランジスタQ3がオフすると、抵抗R8を介してトランジスタQ3に流れていたコレクタ電流がトランジスタQ4のベースに流れ込み、トランジスタQ4がオンする。トランジスタQ4がオンすることにより、マイコン62の入力端子Inへの入力がハイからロウに転じ、その信号の変化を契機として、マイコン62により、LED駆動パターンが次のパターンに切り替えられる。
【0043】
その後、押しボタンスイッチ31がオフされると、結合トランス4の出力電圧は元の電圧に復帰するので、オフされていた定電圧ダイオードZD1も、再びオンされ、トランジスタQ3にベース電流が流れて、トランジスタQ3がオンされる。トランジスタQ3がオンされると、トランジスタQ4のベース電流が流れなくなり、トランジスタQ4がオフして、マイコン62の入力端子Inへの入力がロウからハイに復帰する。このように、駆動回路3の押しボタンスイッチ31が押下される毎に、マイコン62の入力端子Inへの入力がハイからロウに転じるので、その信号の変化を契機として、マイコン62によりLED駆動パターンが切り替えられる。
【0044】
なお、押しボタンスイッチ31の押下により、結合トランス4の出力電圧が略ゼロボルトになっても、マイコン62の駆動電圧はすぐにはダウンせず、マイコン62は動作を継続する。即ち、結合トランス4の出力電圧が略ゼロボルトになっても、LED駆動回路6の電圧保持用コンデンサC5の両端電圧はすぐにはゼロボルトにはならず、予め設定された時間だけ所定の電圧を維持し、これを定電圧IC61へ供給する。よって、この間、マイコン62へは定電圧IC61から5ボルトの駆動電圧が正常に供給されるので、マイコン62は動作を継続する。かかる間に押しボタンスイッチ31がオフされると、結合トランス4の出力電圧は元の電圧に復帰するので、押しボタンスイッチ31のオンが所定の時間内で有れば、その間、マイコン62の駆動電圧は正常に維持され、マイコン62は動作を継続するのである。
【0045】
次に、結合トランス4の一次側鉄心41bと二次側鉄心42bとの間に挟まれる窓ガラスや壁などの介在物50の厚みが薄い場合の操作を説明する。一次側鉄心41bと二次側鉄心42bとの間に挟まれる窓ガラスや壁などの介在物50の厚みが薄い場合、結合トランス4の一次側巻線41cと二次側巻線42cとの結合係数が上昇して、二次側巻線42cの出力電圧が異常に上昇する。かかる場合には、出火等による事故を防止するため、駆動回路3の補正用スイッチ32をオンして、二次側巻線42cの出力電圧の異常な上昇を抑制する。
【0046】
動作としては、補正用スイッチ32をオンすることにより、抵抗R3が短絡され、駆動IC33の発振周波数が高くなる。その結果、主トランスTR1に流れる交番電流の周波数も高くなる。主トランスTR1の二次側巻線42cは共振用コンデンサC3と共に、予め駆動IC33の発振周波数と共振するように設定されているので、補正用スイッチ32のオンにより、駆動IC33の発振周波数が変化すると、主トランスTR1の二次側巻線42cと共振用コンデンサC3とによって定まる共振周波数を外れて、主トランスTR1の二次側巻線42cの電圧が異常に上昇することは無くなるのである。
【0047】
なお、ここで使用される補正用スイッチ32は、窓ガラスや壁などの介在物50の厚みに応じてオンされるスイッチであるので、前記した押しボタンスイッチ31とは異なり、スイッチの操作が解除された後も、そのオンまたはオフの操作状態を保持するスイッチが用いられる。
【0048】
図3は、かかる電飾用非接触電源装置1の使用状態を示した図である。図3に示すように、電飾用非接触電源装置1は、一次側ユニット41と二次側ユニット42とを対向させ、その間に窓ガラスや壁などの介在物50を挟んで使用される。即ち、窓ガラスや壁などの介在物50を挟んで室内側に一次側ユニット41が配設され、その一次側ユニット41に対向して、室外側に二次側ユニット42が配設されて使用される。よって、室内の商用電源に電源コンセント11を差し込み、室内の一次側ユニット41から室外の二次側ユニット42へ電力を供給して、二次側ユニット42に接続されたLEDアレイ7を室外で点灯させることができる。このLEDアレイ7の点灯パターンは、室内に配設された一次側ユニット41の押しボタンスイッチ31を押下することにより切り替えられる。即ち、わざわざ室外へ出ること無く、単に室内からの操作で、室外で点灯するLEDアレイの点灯パターンを切り替えることができる。更に、窓ガラスや壁などの介在物50が薄い場合には、室内から補正用スイッチ32を操作することにより、二次側ユニット42から異常に高い電圧が出力されることを防止することができる。なお、当然のことながら、一次側ユニット41と二次側ユニット42との配設場所は室内と室外とに限られるものではない。
【0049】
次に、図4から図6を参照して、本実施例の変形例を説明する。上記実施例の電飾用非接触電源装置1は、一次側ユニット41の電源コンセント11が商用電源に接続されていると、LEDアレイ7のある二次側ユニット42の接続の有無に拘わらず、駆動回路3が作動して、結合トランス4の一次側巻線41cに励磁電流が待機電流として流れ、常に一定の電力を消費するという欠点があった。これに対し、図4から図6に示す第2及び第3実施例の電飾用非接触電源装置10,100では、一次側ユニット41に対向して二次側ユニット42が接続されていない場合には、一次側ユニット41で電力消費が行われないように構成されている。なお、第2及び第3実施例の電飾用非接触電源装置10,100の説明では、前記した第1実施例の電飾用非接触電源装置1と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0050】
図4(a)は、かかる第2実施例の電飾用非接触電源装置10の外観図である。第2実施例の電飾用非接触電源装置10は、一次側ユニット41の二次側ユニット42との対向面に押しボタンスイッチ65が配設されており、また、二次側ユニット42の一次側ユニット41との対向面であって、両ユニット41,42を対向配置させた場合に一次側ユニット41の押しボタンスイッチ65と対向する位置に、押しボタンスイッチ65より十分に大きな凹部66が形成されている。押しボタンスイッチ65は、スイッチ65が押下されている間のみオン状態を維持し、その押下が解除された場合にオフとなるスイッチで構成される。また、凹部66は、押しボタンスイッチ65を、そのオフ状態を維持したまま内部に収容できる大きさに形成されている。
【0051】
図4(b)は、かかる電飾用非接触電源装置10の電源コンセント11及び第1整流平滑回路2の部分的な回路図である。押しボタンスイッチ65は、電源コンセント11と第1整流平滑回路2との間に配設されており、電源コンセント11が商用電源に差し込まれた状態で、押しボタンスイッチ65が押下されている場合に限り、商用電源から交流電圧が第1整流平滑回路2および駆動回路3へ供給されるように構成されている。即ち、押しボタンスイッチ65が非押下の状態では、電源コンセント11が商用電源に差し込まれていても、商用電源からの交流電圧は第1整流平滑回路2および駆動回路3へ供給されず、一次側ユニット41では電力消費しない。
【0052】
よって、図5(a)に示すように、電飾用非接触電源装置10の一次側ユニット41と二次側ユニット42とが、窓ガラスや壁などの介在物50を介して正常に取り付けられている場合には、介在物50により押しボタンスイッチ65がオンされ、第1整流平滑回路2および駆動回路3へ交流電圧が供給されて、一次側ユニット41が作動する。一方、図5(b)に示すように、一次側ユニット41が取り外された場合には、押しボタンスイッチ65はオンされないので、第1整流平滑回路2および駆動回路3へ交流電圧は供給されず、一次側ユニット41で電力消費は行われない。また、図5(c)に示すように、一次側ユニット41と二次側ユニット42とが介在物50を介すことなく、直接対向配置された場合には、押しボタンスイッチ65は凹部66内に収容されてオンされないので、この場合にも第1整流平滑回路2および駆動回路3へ交流電圧は供給されず、一次側ユニット41で電力消費は行われない。
【0053】
なお、図5(c)に示す状態で一次側ユニット41が作動すると、両ユニット41,42の間隔は極めて狭いので、二次側ユニット42に異常に高い電圧が誘起され出火等の事故を招く危険がある。しかし、第2実施例の電飾用非接触電源装置10では、かかる場合に一次側ユニット41の作動が禁止されるので(一次側ユニット41は作動しないので)、二次側ユニット42に異常に高い電圧が誘起されることは無く、出火等の発生を予防することができる。
【0054】
図6は、第3実施例の電飾用非接触電源装置100の外観図である。第3実施例の電飾用非接触電源装置100は、一次側ユニット41の二次側ユニット42との対向面側内部にリードスイッチ71が配設され、また、二次側ユニット42の一次側ユニット41との対向面であって、両ユニット41,42を対向配置させた場合に一次側ユニット41のリードスイッチ71と対向する位置に、そのリードスイッチ71をオンさせるに十分な磁力を有する永久磁石72が配設されている。リードスイッチ71は、常時オフの状態にあり、永久磁石72が接近した場合にその磁力によってオンするスイッチである。一旦オンされたリードスイッチ71は、永久磁石72と離隔されることによりオフされる。
【0055】
このリードスイッチ71は、第2実施例の電飾用非接触電源装置10の押しボタンスイッチ65と電気的に同位置に配設されている。よって、電源コンセント11が商用電源に差し込まれた状態で、リードスイッチ71がオンされている場合に限り、商用電源から交流電圧が第1整流平滑回路2および駆動回路3へ供給される。従って、リードスイッチ71がオフの状態では、電源コンセント11が商用電源に差し込まれていても、商用電源からの交流電圧は第1整流平滑回路2および駆動回路3へ供給されず、一次側ユニット41では電力消費しない。
【0056】
このように第3実施例の電飾用非接触電源装置100では、一次側ユニット41と二次側ユニット42とが対向配置された場合にのみ、一次側ユニット41に電力が供給されるようにされている。即ち、一次側ユニット41と二次側ユニット42とが、窓ガラスや壁などの介在物50を介して正常に取り付けられている場合には、永久磁石72の磁力によりリードスイッチ71がオンされ、第1整流平滑回路2および駆動回路3へ交流電圧が供給されて、一次側ユニット41が作動する。一方、二次側ユニット42が取り外された場合には、リードスイッチ71に永久磁石72の磁力が働かないので、リードスイッチ71はオンされない。よって、かかる場合には、第1整流平滑回路2および駆動回路3へ交流電圧は供給されず、一次側ユニット41で電力消費は行われない。
【0057】
なお、第2実施例の押しボタンスイッチ65および凹部66と、第3実施例のリードスイッチ71および永久磁石72とを、1の電飾用非接触電源装置に共に搭載しても良い。図7(a)は、かかる両スイッチ65,71を直列に接続して共に搭載した電飾用非接触電源装置200の電源コンセント11及び第1整流平滑回路2の部分的な回路図である。この電飾用非接触電源装置200は、図7(b)に示すように、一次側ユニット41と二次側ユニット42とが介在物50を介して正常に対向配置されて使用される場合にのみ、一次側ユニット41がオンされ、図7(c)に示すように一次側ユニット41のみで二次側ユニット42が取り外されている場合や、図7(d)に示すように一次側ユニット41と二次側ユニット42とが介在物50を介すこと無く直接対向配置されている場合には、一次側ユニット41はオフとなる。よって、一次側ユニット41のみの場合や、両ユニット41,42が揃っていても両ユニット41,42が直接対向配置されている場合には、一次側ユニット41はオンされず、一次側ユニット41の無駄な電力消費と、二次側ユニット42の異常に高い電圧の発生とを防止することができる。
【0058】
次に、図8及び図9を参照して、第4実施例を説明する。第4実施例の電飾用非接触電源装置400は、第1の結合トランスとしての主トランスTR1と、第2の結合トランスとしてのトランスダクタTR2と、共振用コンデンサC3とにより、結合トランス40を構成して、二次側に接続される負荷の大きさに拘わらず、二次側の出力電圧が過電圧となることを防止するものである。即ち、第1実施例の電飾用非接触電源装置1の結合トランス4に、トランスダクタTR2を加えて、第4実施例の電飾用非接触電源装置400を構成している。以下、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0059】
図8に示すように、第4実施例の結合トランス40は、具体的に次のように構成されている。主トランスTR1の二次側巻線42cの一端に、第2の結合トランスとしてのトランスダクタTR2の一次側巻線の一端が接続され、そのトランスダクタTR2の一次側巻線の他端は、トランスダクタTR2の二次側巻線の一端と共振用コンデンサC3の一端とに接続されている。トランスダクタTR2の二次側巻線の他端は、結合トランス40の一方の出力端として、第2整流平滑回路5のダイオードブリッジDB2の一方の入力端に接続されている。また、主トランスTR1の二次側巻線42cの他端は、共振用コンデンサC3の他端に接続されると共に、結合トランス40の他方の出力端として、第2整流平滑回路5のダイオードブリッジDB2の他方の入力端に接続されている。即ち、第4実施例の結合トランス40は、直列に接続されたトランスダクタTR2と共振用コンデンサC3とを、主トランスTR1の二次側に並列に接続して構成されている。また、第1実施例の電飾用非接触電源装置1の場合と同様に、結合トランス40の主トランスTR1が一次側と二次側とで分離することにより、装置全体が一次側ユニット41と二次側ユニット42とに分離される。
【0060】
なお、共振用コンデンサC3は、主トランスTR1の二次側巻線42cとトランスダクタTR2の一次側巻線と共に共振回路を形成するコンデンサであり、結合トランス40の一次側巻線電流の周波数と二次側の共振周波数とが等しくなるように、その容量が調整されている。即ち、駆動回路3の押しボタンスイッチ31および補正用スイッチ32のオフ状態における駆動IC33の発振周波数と二次側の共振周波数とが等しくなるように、共振用コンデンサC3の容量が調整されている。よって、この共振用コンデンサC3により、結合トランス40の二次側へ電流を流れ易くして、その二次側へ十分な電力供給を可能としている。
【0061】
次に、図9を参照して、第4実施例の結合トランス40の動作を説明する。図9は、第4実施例の結合トランス40の部分的な拡大図である。
【0062】
トランスダクタTR2の一次側巻線に流れる電流it1は、共振用コンデンサC3に流れる電流icとトランスダクタTR2の二次側巻線に流れる電流it2とに分岐して流れる(it1=ic+it2)。このとき、トランスダクタTR2の二次側巻線に流れる電流it2により、トランスダクタTR2の二次側巻線に逆起電力Vt2が発生し、共振用コンデンサC3の両端の電圧Vcと、逆起電力Vt2の和(Vc+Vt2)が結合トランス40の二次側の出力電圧となる。
【0063】
ここで、結合トランス40の二次側に接続される負荷が増大すると、トランスダクタTR2の二次側巻線に流れる電流it2が増大し、トランスダクタTR2の一次側巻線に流れる電流it1も増大する。この結果、トランスダクタTR2の一次側巻線および二次側巻線の両端の電圧Vt1,Vt2は、トランスダクタTR2の一次側巻線および二次側巻線の巻数比に比例して増大する。
【0064】
逆に、結合トランス40の二次側に接続される負荷が減少すると、トランスダクタTR2の二次側巻線に流れる電流it2が減少し、トランスダクタTR2の一次側巻線に流れる電流it1も減少する。この結果、トランスダクタTR2の一次側巻線および二次側巻線の両端の電圧Vt1,Vt2は、トランスダクタTR2の一次側巻線および二次側巻線の巻数比に比例して減少する。
【0065】
このように、直列に接続されたトランスダクタTR2と共振用コンデンサC3とを、主トランスTR1の二次側に並列に接続して構成される第4実施例の結合トランス40によれば、結合トランス40の二次側に接続される負荷の大きさの変動に合わせて、トランスダクタTR2の二次側巻線の電流it2が変化し、その電流it2の変化がトランスダクタTR2の二次側巻線の電圧Vt2に変換される。よって、結合トランス40の二次側に接続される負荷の大きさの変動に合わせて、結合トランス40の二次側の出力電圧が自動的に制御されるので、二次側に接続される負荷が過電圧によって破壊されることを防止することができる。
【0066】
特に、結合トランス40の二次側に負荷が接続されない場合には、トランスダクタTR2の二次側巻線に電流it2は流れないので、トランスダクタTR2の二次側巻線に電圧Vt2も生じない。従って、共振用コンデンサC3の両端の電圧Vcが出力されることとなり、二次側の過電圧出力による出火等の事故を防止することができる。
【0067】
次に、図10及び図11を参照して第5実施例を説明する。第5実施例の非接触電源装置500は、クロック511の1/2の周波数の交流電圧を出力端子514,515間から出力するものであり、第4実施例の電飾用非接触電源装置400のLED駆動回路6及びLEDアレイ7と更には駆動回路3のボタンスイッチ31及び補正用スイッチ32とを取り外し、代わりに、交流電圧出力回路510を取り付けて構成されている。以下、前記した第4実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0068】
図10に示すように、交流電圧出力回路510は、商用電源の2倍の周波数で発振するクロック511と、そのクロック511の発振パルスを入力して、その発振パルスの立ち上がりのタイミングでQ出力とQバー出力とを反転するフリップフロップ512と、そのフリップフロップ512の出力を入力して動作するインバータ回路513とを備えている。
【0069】
インバータ回路513は、主に4つのNPN型トランジスタQ11〜Q14により構成されている。トランジスタQ11のコレクタ端子は、第2整流平滑回路5のプラス端子に接続され、そのベース端子は抵抗R51を介してフリップフロップ512のQ出力に接続されると共に、エミッタ端子はトランジスタQ12のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ12のベース端子は抵抗R52を介してフリップフロップ512のQバー出力に接続されると共に、そのエミッタ端子は、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されている。同様に、トランジスタQ13のコレクタ端子は、第2整流平滑回路5のプラス端子に接続され、そのベース端子は抵抗R53を介してフリップフロップ512のQバー出力に接続されると共に、エミッタ端子はトランジスタQ14のコレクタ端子に接続されている。トランジスタQ14のベース端子は抵抗R54を介してフリップフロップ512のQ出力に接続されると共に、そのエミッタ端子は、第2整流平滑回路5のマイナス端子に接続されている。また、各トランジスタQ11〜Q14のベース端子とエミッタ端子との間には、抵抗R55〜R58がそれぞれ接続されている。
【0070】
次に、図11を参照して、第5実施例の非接触電源装置500の交流電圧出力回路510の動作を説明する。図11は、交流電圧出力回路510の各部分の出力電圧波形を示した図である。
【0071】
第2整流平滑回路5からは、ダイオードブリッジDB2により整流され且つ平滑コンデサC4により平滑された直流電圧であって、駆動回路30の発振周期に合わせて若干上下する直流電圧が出力される(図11(a))。一方、クロック511からは商用電源の2倍の周波数で発振する発振パルスが出力され(図11(b))、フリップフロップ512に入力されている。フリップフロップ512は、かかる発振パルスの立ち上がりのタイミングで、Q出力およびQバー出力をそれぞれ反転する(図11(c),(d))。この反転に伴ってトランジスタQ11〜Q14がそれぞれオンまたはオフされ、その結果、出力端子514,515間から商用電源と等しい周波数の交流電圧Vxが出力される(図11(e))。
【0072】
このように、第5実施例の非接触電源装置500によれば、商用電源の2倍の周波数で発振するクロック511を用いることにより、出力端子514,515間に商用電源と等しい周波数の交流電圧Vxを出力することができる。よって、この非接触電源装置500の出力端子514,515をコンセントとして使用すれば、屋内と屋外とを閉ざしたまま、屋内の電源コンセントを使って屋外に電源コンセントを設け、商用周波数の交流電源で駆動する各種家電製品を屋外で利用することができる。また、非接触電源装置500は、主トランスTR1の二次側に、第2の結合トランスとしてのトランスダクタTR2を有しているので、出力端子514,515から過電圧を出力することがない。よって、出力端子514,515に接続される電気機器を過電圧によって破壊してしまうことがない。更に、商用電源の周波数は地域によって異なるが、クロック511の発振周波数を変更することにより、出力電圧の周波数を調整することができるので、汎用性に優れた非接触電源装置500とすることができる。
【0073】
次に、図12及び図13を参照して第6実施例を説明する。第5実施例の非接触電源装置500は、クロック511の1/2の周波数の矩形波の交流電圧を出力する電源装置であったが、第6実施例の非接触電源装置600は、商用電源と等しい交流電圧(周波数および波形)を出力することのできる電源装置である。以下、前記した第5実施例と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる部分のみを説明する。
【0074】
図12に示すように、第6実施例の非接触電源装置600は、第5実施例の非接触電源装置500に対して、平滑コンデサC1,C4およびクロック511が取り外され、新たにローパスフィルタ601と、ゼロクロス検出回路602と、単安定マルチバイブレータ603とが取り付けられて構成されている。
【0075】
ローパスフィルタ601は、ダイオードブリッジDB2の出力波の高周波成分を除去するための回路であり、ダイオードブリッジDB2の出力にコイルL1と抵抗R61とをそれぞれ並列に接続して構成されている。このローパスフィルタ601により、ダイオードブリッジDB2によって整流された出力電圧(図13(e))の高周波成分が除去され、商用電源の交流電圧を全波整流した状態の波形波とされる(図13(f))。なお、ローパスフィルタ601の出力電圧(図13(f))が略0ボルトとなるタイミング(ゼロクロスするタイミング)で、その出力電圧を交互に出力端子604,605から出力することにより、電源コンセント11から供給される商用電源と周波数および波形の等しい交流電圧を、この非接触電源装置600から出力するようにしている。
【0076】
ゼロクロス検出回路602は、ローパスフィルタ601の出力電圧が略0ボルトなるタイミング(ゼロクロスするタイミング)を検出するための回路であり、コンデンサC61と、抵抗R62と、定電圧ダイオードZD61とから構成されている。具体的には、ローパスフィルタ601のプラス側の出力にコンデンサC61の一端が接続され、そのコンデンサC61の他端に抵抗R62の一端と、定電圧ダイオードZD61のカソードとが接続されている。抵抗R62の他端と定電圧ダイオードZD61のアノードとは共にローパスフィルタ602のマイナス側の出力に接続されている。このゼロクロス検出回路602からは、ローパスフィルタ601の出力電圧が略0ボルトなるタイミング(ゼロクロスするタイミング)でゼロクロス信号としてのハイパルスが出力される(図13(g))。
【0077】
単安定マルチバイブレータ603は、ゼロクロス検出回路602とフリップフロップ512との間に設けられ、ゼロクロス検出回路603から出力されるハイパルス(ゼロクロス信号)の立ち上がりのタイミングで、一定幅のハイパルスを次段のフリップフロップ512へ出力する回路である(図13(h))。フリップフロップ512は、かかる単安定マルチバイブレータ512のハイパルスの立ち上がりのタイミングでQ出力およびQバー出力を反転して(図13(i),(j))、次段のインバータ回路513の出力を切り換える(図13(k))。
【0078】
ここで、電圧波形の乱れやノイズなどの影響により、1回のゼロクロスの検出につき、ゼロクロス検出回路602からゼロクロス信号が2回以上出力される場合がある(ダブルパルス)。単安定マルチバイブレータ603を介すことなく、ゼロクロス検出回路602とフリップフロップ512とを直接接続している場合には、かかるゼロクロス信号のダブルパルスによってインバータ回路513の出力が余分に切り換えられてしまう。そこで、本実施例では、ゼロクロス検出回路602とフリップフロップ512との間に単安定マルチバイブレータ603を設けて、ゼロクロス信号のダブルパルスが発生した場合にも、そのダブルパルスを単安定マルチバイブレータ603で吸収して、ダブルパルスが次段のフリップフロップ512へ出力されないようにしている。単安定マルチバイブレータ603がハイパルスを出力している間にゼロクロス信号(ダブルパルス)を入力しても、単安定マルチバイブレータ603から新たなハイパルスは出力されないからである。
【0079】
次に、図13を参照して、第6実施例の非接触電源装置600の動作を説明する。図13は、非接触電源装置600の各部分の出力電圧波形を示した図である。商用電源の交流電圧は、電源コンセント11を介して、ダイオードブリッジDB1に供給され、整流される(図13(a))。同時に、駆動回路30の駆動IC33にも図示しない直流電源から電源が供給され、タイミング生成用のコンデンサC2と抵抗R1〜R3の直列抵抗によって定まる周期で、駆動IC33の出力端子Out1,Out2から抵抗R4,R5を介して、スイッチングディバイスQ1,Q2が交互にオンオフ駆動(チョッパ制御)される(図13(b),(c))。スイッチングディバイスQ1,Q2が交互に駆動されることにより、結合トランス40の主トランスTR1の一次側巻線41cに、コンデンサC2と抵抗R1〜R3とによって定まる周波数の交番電流が流れ、結合トランス40から図13(d)に示す交番電圧が出力される。ダイオードブリッジDB1の出力電圧は平滑されていないので(図13(a))、この交番電圧の包絡線は商用電源の電圧波形に追従したものとなる。
【0080】
図13(d)に示す結合トランス40から出力される交番電圧は、ダイオードブリッジDB2によって整流され(図13(e))、ローパスフィルタ601によって高周波成分が除去されて(図13(f))、商用電源の交流電圧を全波整流した状態の波形波とされる。ゼロクロス検出回路602によって、この波形波が略0ボルトとなるタイミングが検出され、そのタイミングでハイパルス(ゼロクロス信号)が出力される(図13(g))。このゼロクロス信号の立ち上がりのタイミングで、単安定マルチバイブレータ603のQ出力から一定幅のハイパルスが次段のフリップフロップ512へ出力され(図13(h))、このハイパルスの立ち上がりのタイミングで、フリップフロップ512のQ出力およびQバー出力がそれぞれ反転され(図13(i),(j))、この反転に伴ってトランジスタQ11〜Q14がそれぞれオンまたはオフされる。その結果、非接触電源装置600の出力端子604,605間から商用電源と周波数および波形の等しい交流電圧Vyが出力される(図13(k))。
【0081】
このように、第6実施例の非接触電源装置600によれば、商用電源と周波数および波形の等しい交流電圧Vyを出力することができるので、出力端子604,605をコンセントとして使用すれば、屋内と屋外とを閉ざしたまま、屋内の電源コンセントを使って屋外に電源コンセントを設け、商用周波数の交流電源で駆動する各種家電製品を屋外で利用することができる。また、非接触電源装置600は、主トランスTR1の二次側に、第2の結合トランスとしてのトランスダクタTR2を有しているので、出力端子604,605から過電圧を出力することがない。よって、出力端子604,605に接続される電気機器を過電圧によって破壊してしまうことがない。即ち、屋内の商用電源を安全に屋外へ引き延ばして使用することができるのである。
【0082】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0083】
例えば、本実施例では、LEDアレイ7等の電飾を点灯制御する電飾用非接触電源装置1,10,100,200,400を用いて説明したが、本発明の制御用非接触電源装置は、必ずしも電飾の制御のためにのみ用いられるものではなく、他の対象物の制御に用いることは当然に可能である。
【0084】
また、押しボタンスイッチ31は、駆動回路3のタイミング生成用の抵抗R2と並列に配設され、そのスイッチ31の押下により、駆動IC33の入力端子Rinに接続される抵抗値を変化させて、駆動IC33の発振周波数を変更し、二次側巻線42cに生じる電圧を小さくして、その結果、LEDアレイ7の点灯パターンを切り替えた。しかし、該押しボタンスイッチ31を一次側巻線41cのセンタタップ41eとコンデンサC1のプラス端子との間に設け、或いは、ダイオードブリッジDB1と電源コンセント11との間に設けて、該スイッチ31をオンすることにより、一次側巻線41cへの電力供給を瞬間的に遮断して、その遮断により、二次側巻線42cへの電磁誘導を停止し、LEDアレイ7の点灯パターンを切り替えるようにしても良い。
【0085】
第4から第6実施例の結合トランス40の出力に、直接負荷を接続して使用するようにしても良い。また、第4から第6実施例の非接触電源装置に、第2及び第3実施例で説明した、押しボタンスイッチ65と凹部66や、リードスイッチ71と永久磁石72を組み合わせて構成しても良い。更に、第5実施例の非接触電源装置500では、図10に示す第2整流平滑回路5の出力を非接触電源装置の出力端として、その出力端から直流電圧を出力するようにしても良い。
【0086】
【発明の効果】
請求項1記載の非接触電源装置によれば、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、第2の結合トランスの二次側巻線の電流が変化し、その電流の変化が第2の結合トランスの二次側巻線の電圧に変換される。よって、二次側ユニットに接続される負荷の大きさの変動に合わせて、二次側ユニットの出力電圧が自動的に制御されるので、二次側ユニットに接続される負荷が過電圧によって破壊されることを防止することができるという効果がある。
【0087】
請求項2記載の非接触電源装置によれば、請求項1に記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、一次側ユニットの発振周波数と二次側ユニットの共振周波数とが等しくなるように、二次側ユニットの二次側巻線には共振回路が接続されている。よって、二次側巻線のインピーダンスを低下させて、二次側巻線へ電流を流れ易くし、一次側ユニットから二次側ユニットへの電力供給を最適化することができるという効果がある。
【0088】
請求項3記載の非接触電源装置によれば、請求項1又は2に記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、第1の結合トランスの二次側巻線の他端と第2の結合トランスの二次側巻線の他端とに接続された整流平滑回路から直流電圧を出力するので、この非接触電源装置を直流電源として利用できるという効果がある。即ち、直流電源で駆動する電飾などの電源装置として利用することができるのである。
【0089】
請求項4記載の非接触電源装置によれば、発振回路の出力に応じて動作回路によりインバータ回路のスイッチング素子がオンまたはオフされ、その結果、インバータ回路から矩形波の交番電圧が出力される。よって、この非接触電源装置を交流電源として利用できるという効果がある。なお、発振回路の発振周波数を適宜選択することにより、商用電源と等しい周波数の交番電圧を出力することができるので、かかる場合には、この非接触電源装置を商用周波数の交流電源で駆動する各種家電製品の電源装置として利用することができる。
【0090】
請求項5記載の非接触電源装置によれば、請求項1又は2に記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、商用電源と周波数および波形の等しい交流電圧を出力することができるので、商用周波数の交流電源で駆動する各種家電製品の電源装置として利用することができるという効果がある。
【0091】
請求項6記載の非接触電源装置によれば、請求項5に記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、ゼロクロス検出回路から所定時間内に2以上のゼロクロス信号が出力された場合には、ダブルパルス防止回路によって、2回目以降のゼロクロス信号の動作回路への出力が止められる。よって、電圧波形の乱れやノイズなどの影響により、1回のゼロクロスの検出につき、ゼロクロス検出回路からゼロクロス信号が2回以上出力された場合にも、インバータ回路のスイッチング素子のオン又はオフのタイミングを正常に保って、交番電圧を安定して出力することができるという効果がある。
【0092】
請求項7記載の非接触電源装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、二次側ユニットの配設状態に応じて、一次側ユニットへの電力供給を供給と断との間で切り替える切替スイッチを備えている。よって、二次側ユニットが一次側ユニットに対して適切に配設されている場合には一次側ユニットへ電力を供給し、逆に、適切に配設されていない場合には一次側ユニットへの電力供給を断して、本電源装置を適切に動作させることができるという効果がある。
【0093】
請求項8記載の非接触電源装置によれば、請求項7記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、切替スイッチは、二次側ユニットが一次側ユニットに対向配置されていない場合に一次側ユニットへの電力供給を断するものである。よって、二次側ユニットが取り外されている場合には、一次側ユニットの電源コンセントが商用電源に差し込まれていても、その一次側ユニットへの電力供給を断して、一次側ユニットの電力消費を抑えることができるという効果がある。
【0094】
請求項9記載の非接触電源装置によれば、請求項7又は8に記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、切替スイッチは、一次側ユニットと二次側ユニットとが介在物を介すことなく直接対向配置されている場合に一次側ユニットへの電力供給を断するものである。よって、一次側ユニットと二次側ユニットとが直接対向配置され、一次側巻線と二次側巻線との間隔が極小となっている場合には、一次側ユニットへの電力供給を断して、二次側巻線の出力電圧の異常な上昇を防止することができるという効果がある。
【0095】
請求項10記載の非接触電源装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、第1の結合トランスの一次側鉄心と二次側鉄心とは側面形状がC字形に形成されると共に、そのC字形の端面が互いに対向するように配置されて使用される。よって、一次側鉄心から二次側鉄心へ効率よく磁束を鎖交させて、二次側ユニットへ効率よく電力を供給することができるという効果がある。
【0096】
請求項11記載の非接触電源装置よれば、請求項1から10のいずれかに記載の非接触電源装置の奏する効果に加え、一次側ユニットは、非磁性体の導電率の高い金属により形成されたケーシングにより、二次側ユニットと対向する面以外を覆われている。通常、一次側鉄心に誘起された磁束は、ケーシングを通過して、ケーシングの外部および一次側鉄心の脚間を繋ぐ方向に漏出しようとする。しかし、ケーシングは非磁性体の導電率の高い金属によって形成されているので、磁束がケーシングを通過すると、そのケーシングに漏れ磁束を妨げる向きに渦電流が発生する。その渦電流の発生により、ケーシングには漏れ磁束と逆向きの磁束が誘起され、ケーシングの外部に漏出する磁束および一次側鉄心の脚間で鎖交する磁束を減少させることができる。よって、一次側鉄心に誘起した磁束は、ケーシングにより効率よく二次側鉄心に鎖交し、一次側ユニットから二次側ユニットへ良好に電力を供給することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である電飾用非接触電源装置の回路図である。
【図2】 結合トランスの側断面図である。
【図3】 電飾用非接触電源装置の使用状態を示した図である。
【図4】 (a)は、第2実施例の電飾用非接触電源装置の外観図であり、(b)は、その電飾用非接触電源装置の電源コンセント及び第1整流平滑回路の部分的な回路図である。
【図5】 (a)から(c)は、第2実施例の電飾用非接触電源装置の使用状態を示した図である。
【図6】 第3実施例の電飾用非接触電源装置の外観図である。
【図7】 (a)は、第4実施例の電飾用非接触電源装置の電源コンセント及び第1整流平滑回路の部分的な回路図であり、(b)から(d)は、その電飾用非接触電源装置の使用状態を示した図である。
【図8】 第4実施例の電飾用非接触電源装置の回路図である。
【図9】 第4実施例の結合トランスの部分的な拡大図である。
【図10】 第5実施例の非接触電源装置の回路図である。
【図11】 交流電圧出力回路の各部分の出力電圧波形を示した図である。
【図12】 第6実施例の非接触電源装置の回路図である。
【図13】 非接触電源装置の各部分の出力電圧波形を示した図である。
【符号の説明】
5 第2整流平滑回路(整流平滑回路)
30 駆動回路
40 結合トランス
41 一次側ユニット
41b 一次側鉄心
41c 一次側巻線
41f ケーシング
42 二次側ユニット
42b 二次側鉄心
42c 二次側巻線
42f ケーシング
65 押しボタンスイッチ(切替スイッチ)
71 リードスイッチ(切替スイッチ)
400 電飾用非接触電源装置(非接触電源装置)
500,600 非接触電源装置
511 クロック(発振回路)
512 フリップフロップ(動作回路)
513 インバータ回路
601 ローパスフィルタ(ローパスフィルタ回路)
602 ゼロクロス検出回路
603 単安定マルチバイブレータ(ダブルパルス防止回路)
C3 共振用コンデンサ(共振回路の一部)
DB1 ダイオードブリッジ(第1整流回路)
DB2 ダイオードブリッジ(第2整流回路)
Q11〜Q14 トランジスタ(スイッチング素子)
TR1 主トランス(第1の結合トランス)
TR2 トランスダクタ(第2の結合トランス)
Claims (11)
- 一次側ユニットと、その一次側ユニットと分離された二次側ユニットとを有し、前記一次側ユニットから二次側ユニットへ電磁誘導により非接触に電力を供給する非接触電源装置において、
前記一次側ユニットに一次側巻線が収容され、前記二次側ユニットに二次側巻線が収容された第1の結合トランスと、
前記二次側ユニットに収容されると共に、一次側巻線の一端が前記第1の結合トランスの二次側巻線の一端に接続され、その一次側巻線の他端が二次側巻線の一端に接続された第2の結合トランスと、
前記二次側ユニットに収容されると共に、一端が前記第2の結合トランスの一次側巻線の他端と二次側巻線の一端とに接続され、他端が前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端に接続された共振回路とを備え、
前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とから交番電圧を出力するものであることを特徴とする非接触電源装置。 - 前記共振回路は、共振用コンデンサによって構成され、前記第1の結合トランスの二次側巻線と前記第2の結合トランスの一次側巻線と共に共振回路を形成して、前記一次側ユニットの発振周波数と前記二次側ユニットの共振周波数とが等しくなるようにその容量が調整されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触電源装置。
- 前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とに接続された整流平滑回路を備え、その整流平滑回路から直流電圧を出力するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触電源装置。
- 直列に接続された2個のスイッチング素子を2組並列に接続して構成されると共に、前記整流平滑回路の出力電圧を入力するインバータ回路と、
所定の周波数で発振する発振回路と、
その発振回路の出力に応じて前記インバータ回路のスイッチング素子をオンまたはオフさせて、そのインバータ回路から前記発振回路の周波数に応じた周波数の交番電圧を出力させる動作回路とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の非接触電源装置。 - 前記一次側ユニットは、商用電源から出力される交流電圧を整流する第1整流回路と、その第1整流回路の出力電圧をチョッパ制御して高周波の交番電流を前記第1の結合トランスの一次側巻線に流す駆動回路とを備え、前記二次側ユニットは、前記第1の結合トランスの二次側巻線の他端と前記第2の結合トランスの二次側巻線の他端とから出力される交番電圧を整流する第2整流回路と、その第2整流回路の出力電圧から高周波成分を除去するローパスフィルタ回路と、そのローパスフィルタ回路の出力電圧が略0ボルトとなるタイミングでゼロクロス信号を出力するゼロクロス検出回路と、直列に接続された2個のスイッチング素子を2組並列に接続して構成されると共に、前記ローパスフィルタ回路の出力電圧を入力するインバータ回路と、前記ゼロクロス検出回路によるゼロクロス信号の出力に応じて前記インバータ回路のスイッチング素子をオンまたはオフさせて、そのインバータ回路から商用電源と等しい周波数の交番電圧を出力させる動作回路とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触電源装置。
- 前記ゼロクロス検出回路と前記動作回路との間に設けられ、前記ゼロクロス検出回路から所定時間内に2以上のゼロクロス信号が出力された場合に2回目以降のゼロクロス信号の前記動作回路への出力を止めるダブルパルス防止回路を備えていることを特徴とする請求項5に記載の非接触電源装置。
- 前記二次側ユニットの配設状態に応じて、前記一次側ユニットへの電力供給を供給と断との間で切り替える切替スイッチを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の非接触電源装置。
- 前記切替スイッチは、前記二次側ユニットが前記一次側ユニットに対向配置されていない場合に前記一次側ユニットへの電力供給を断するものであることを特徴とする請求項7に記載の非接触電源装置。
- 前記切替スイッチは、前記一次側ユニットと前記二次側ユニットとが介在物を介すことなく直接対向配置されている場合に前記一次側ユニットへの電力供給を断するものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の非接触電源装置。
- 前記第1の結合トランスの一次側鉄心と二次側鉄心とは側面形状がC字形に形成されると共に、そのC字形の端面が互いに対向するように配置されて使用されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の非接触電源装置。
- 前記一次側ユニットは、前記二次側ユニットと対向する面以外を覆う非磁性体の導電率の高い金属により形成されたケーシングを備えていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の非接触電源装置。
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