JP3761423B2 - 行動履歴表現装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積されたユーザの経験や行動等の履歴情報を、表現するための行動履歴表現装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
博物館の見学者や、学会での参加者等に、個別的にガイド情報の提供を行ない、きめ細かな案内を実現するためのロボットガイドシステム等が提案されている。
【0003】
文献1:角 康之他著「C−MAP:Context-awareな展示ガイドシステムの試作」、情報処理学会誌、Vol.39,No.10,pp.2866-2878 」には、展示を見学する見学者に対して、携帯ガイドシステムを提供し、ユーザの見学履歴を取得することで、展示情報と複数の見学者の見学履歴とを意味構造を有するグラフとしてグラフ表示する手法が開示されている。
【0004】
このような手法を利用することで、見学者同士は興味の近い他の見学者の存在や、自分がまだ知らなかった関連情報を発見することが可能となる。
【0005】
一方で、同様にして、たとえばテーマパーク等において、複数のアトラクションを巡回したユーザにおいても、時系列として一連の行動履歴が得られることになる。
【0006】
このような行動履歴を一覧性が高い形式で、表示および記録することができれば、ユーザの思い出を記憶に留めてもらったり、あるいはその記憶を後から読み覚ますことが可能な視覚的な記憶媒体を提供できることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユーザの経験や行動履歴をコンピュータにより解析する技術としては、物語生成に関係して、文字ベースの物語分析や、物語自動生成関連の研究が存在している。これらの従来の物語の自動生成は、既存の作品を手本に自動的にストーリーを生成するという点で、上述したような経験や行動履歴を表現するという技術に関連するが、基本的には最終的に文字によって物語が表現される。
【0008】
さらに、電子計算機を媒介とした、時間を伴う事象の文字以外の表現に対する研究は、たとえば文献2:Steiner, K. and Moher, T.: Graphic StoryWriter: An Interactive Environment for Emergent Storytelling, Proceedings of CHI '92, pp.357-363 (1992)に開示されているような電子的なストーリーテリングの生成ツールが報告されている。
【0009】
また、漫画の手法を利用したコミュニケーション履歴の視覚化の研究としては、文献3:Kurlander, D., Skelly, T., and Salesin, D. H.: Comic Chat, Proceedings of the 23rd annual conference on Computer graphics, pp.225-236 (1996)らの研究がある。さらに、ビデオによる時系列での非一覧性を解消するため、漫画のコマ割りをインデキシングに利用した研究として、文献4:Uchihashi, S., Foote, J., Girgensohn, A., and Boreczky, J.: Video Manga: Generating Semantically Meaningful Video Summaries (1999)には、漫画コマ割りの持つ豊かな表現手法を応用した技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、以上のような文献2〜4に示されるような文字以外の視覚的な表現の研究は、いずれもフォーマットとして漫画風の表現を利用することをその第1目的としており、内容の自動生成という点までは踏込んで扱ってはいない。このため、視覚情報、たとえば漫画を利用して、経験や行動履歴を電子計算機により自動生成することはできないという問題点があった。
【0011】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ユーザの経験や行動履歴を、漫画などの視覚情報に基づいてストーリー生成し、レイアウト表示および印刷物として表現することが可能な行動履歴表現装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の行動履歴表現装置は、ユーザの行動履歴を表現する漫画を自動生成するための行動履歴表現装置であって、ユーザが行動履歴の対象となる行動を起こす以前に確定している静的情報と、ユーザの行動履歴中に記録された動的情報とを含む行動履歴情報を受け取るデータ入力手段と、少なくとも静的情報に応じて予め分類された複数のストーリ木をそれぞれ表現する情報を格納する漫画文法格納手段と、ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために行動履歴に対応して予め用意された複数の背景画像と、動的情報に対応して分類され予め用意された複数のキャラクタ画像とを格納する画像データ格納手段と、ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために行動履歴に対応して予め用意され、かつ動的情報に対応して分類された複数の文章情報を格納する文書データ格納手段と、行動履歴情報に基づいてストーリ木を選択し、選択されたストーリ木と行動履歴情報に基づいて、各コマに背景画を選択して割当て、かつ、動的情報に基づいて、各コマに対してキャラクタ画像および文章情報を選択して割当てることにより、漫画を生成する演算手段とを備える。
【0013】
請求項2記載の行動履歴表現装置は、請求項1記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴情報は、ユーザが行動中に携行し、動的情報を逐次入力する携帯端末に格納されており、ユーザの指示にしたがって、データ入力手段に与えられる。
【0014】
請求項3記載の行動履歴表現装置は、請求項1記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、動的情報は、ユーザの行動中の経験と経験に対するユーザの印象の好悪の程度とを数値化したデータ関連づけたテーブルを含む。
【0015】
請求項4記載の行動履歴表現装置は、請求項3記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、各背景画像は、キャラクタ画像を配置するための予め定められた位置情報と関連づけられて、画像データ格納手段に格納される。
【0016】
請求項5記載の行動履歴表現装置は、請求項4記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴表現装置は、生成された漫画を印刷するための印刷処理手段をさらに備える。
【0017】
請求項6記載の行動履歴表現装置は、請求項4記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴表現装置は、生成された漫画を情報伝達網に対して出力するためのデータ通信手段をさらに備える。
【0018】
請求項7記載の行動履歴表現装置は、請求項3記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、文章情報は、選択されたストーリー木に対応して予め定められ固定文章情報と、行動履歴に応じて指定され、固定文章情報の所定部分に挿入される部分文章とを含む。
【0019】
【発明の実施の形態】
[行動履歴表現装置100の構成]
なお、以下では、本発明の実施の形態として、主として、学会参加者であるユーザの行動履歴を、漫画を用いて視覚的に表現することが可能な行動履歴表現装置の構成について説明する。
【0020】
ただし、以下の説明で明らかとなるように、本発明はこのような場合に限定されることなく、たとえば、博物館の見学者やテーマパークの入場者のように、各々のユーザが履歴情報、たとえば、「何を」、「いつ」、「どこで」、展示物等に関する情報を獲得し、かつその経験や履歴について「どのような」感想を有しているかという情報を、視覚的に表現することが可能な行動履歴表現に対して適用可能なものである。
【0021】
図1は、本発明に係る行動履歴表現装置100の構成の概略を示す概略ブロック図である。
【0022】
まず、ユーザ2は、携帯端末101を保持して、学会参加時にホストコンピュータから、学会の講演題目や講演会場等の情報を獲得し、かつ、学会の各講演に対する自己の感想などの情報を入力する。このとき、上述したC−MAPシステムと同様に、講演内容の情報と複数の参加者の履歴とを意味構造を有するグラフとして携帯端末101にグラフ表示させることができる。このような手法を利用することで、学会参加者同士は興味の近い他の参加者の存在や、自分がまだ知らなかった関連情報を発見することが可能となる。
【0023】
したがって、携帯端末101は、ユーザ2からの情報入力を受けるためのキーボード部と、ユーザ2へ情報を提供するための表示部やガイド音声の出力部を有しているものとする。なお、ユーザからの情報入力を受ける構成としては、たとえば、音声入力を用いてもよい。
【0024】
また、携帯端末101には、ユーザ2の氏名、性別、年齢、参加する学会名や開催場所、開催日時などのように、ユーザ2が学会に参加して、随時、携帯端末101から感想等を入力していく以前に、既に確定している情報(以下、「静的情報」と呼ぶ)が、予め入力され格納されているものとする。一方、ユーザ2が、学会に参加して、順次会場をまわっていく間に聴講する講演内容、さらには、携帯端末101から入力されるユーザ2の感想等のように、表現対象となる行動履歴の中で随時新たに発生する情報を「動的情報」と呼ぶことにする。
【0025】
図1は、以上のようにして学会参加が終了したユーザ2の携帯端末101内に格納された行動履歴情報に基づいて、行動履歴表現装置100がその行動履歴を漫画で表現するための構成を示している。
【0026】
行動履歴表現装置100は、ユーザ2の携帯端末101から行動履歴に関するデータを、たとえば、無線により受け取るためのデータ入力部1010と、行動履歴表現装置100と外部との間でのデータ授受を制御するためのデータ入出力インタフェース部1020と、携帯端末101中に蓄積されたデータに基づいて、漫画の生成の演算処理を行うための演算処理部1030と、ユーザ2および他のユーザの行動履歴を格納するための行動履歴データベース1040と、演算処理部1030が漫画生成を行なうにあたり使用する漫画文法ルールを格納する漫画文法データベース1050と、漫画生成のためのキャラクタ画像や背景画像などの画像データを格納する画像データベース1060と、漫画に用いられるセリフやト書きなどの文章情報を格納する文章データベース1070と、データ入出力インターフェース部1020を介して演算処理部1030から与えられるデータに基づいて、生成された漫画を表示するための表示部(たとえば、平面ディスプレイ)1080と、表示部1080に表示される漫画をユーザ2の要求にしたがって、印刷して出力するための印刷処理部1090と、行動履歴表現装置100と外部の情報伝達網、たとえば、インターネット200との間でデータのやり取りを行うためのデータ通信部1100とを備える。
【0027】
ユーザ2は、演算処理部1030の生成した漫画を、インターネット200などの情報伝達網を介して、たとえば、ユーザ2の自宅の端末210で受け取ることも可能である。
【0028】
すなわち、本発明の行動履歴表現装置100では、個人の経験の文脈(コンテキスト)を考慮したガイドシステムにおける、個人の見学履歴に沿ったストーリーを持つ漫画を自動生成するサービスを提供する。
【0029】
この行動履歴表現装置100を用いた行動履歴表現システムを通じて、経験や思い出といった表現しにくいデータを、漫画というフォーマットを利用して表現することが可能となる。この個人化された漫画生成サービスは、学会の会場や展示会場等において、ユーザが見て感じたことをストーリー化し、その流れに沿い、かつ親しみやすい表現手法である漫画を自動生成することによって提供される。このような漫画生成サービスは、学会、展示会あるいはテーマパーク内での思い出をよりユーザに留めてもらう効果を持った視覚的記憶媒体を提供することになる。
【0030】
より具体的には、上述したようなC−MAPシステムという個人化された展示ガイドシステムによって得られる個人的なサービス授受の時系列データや興味データと、ユーザの行動履歴にかかわらず静的に判明している会場データやタイムテーブル等を組合せることで自動的にストーリーを生成する。この生成されたストーリーに基づいて、漫画化を行ない、ディスプレイ1080に表示したり、印刷物として個々のユーザに配布する。
【0031】
このような経験や行動履歴という過去の状況要約を目的とした場合に、漫画を利用する利点と欠点をまとめると以下のとおりである。
【0032】
まず、状況表現手段として漫画を利用する利点を考えると以下のとおりである。
【0033】
a) 親しみやすい
b) 一覧性が高い
c) 表現力が高い
d) 時系列に沿った表現が可能である。
【0034】
経験や行動履歴を表現するにあたり、対象としているユーザの種類は広範囲に及ぶ。たとえば、C−MAPシステムでは、さまざまな種類の展示会場や学会におけるサービスの提供を対象としている。したがって、ユーザの年齢層は広域に及ぶ。
【0035】
さらに、テーマパークなどでの使用を想定すると、一層、ユーザの年齢層は広域に及ぶことになり、訪れる多くの閲覧者に対して受入れやすい媒体であることが必要である。
【0036】
したがって、上述した特徴のうちaおよびbのユーザに対する親和性を漫画という媒体が有していることは有利である。
【0037】
また当然のことながら、展示会場等での経験を静的なメディアに写像するためには、上述したcおよびdに代表される表現力も重要な要素となる。
【0038】
ところで、経験や行動履歴を表現するための他の表現方法と比較して考えると、上述したa〜dの特徴を同時に兼ね備えた表現という意味で、漫画は稀有な存在であるといえる。たとえば、文章は、特徴cおよびdは確実に備えているが、特徴aおよびbに関しては十分ではない。文章を箇条書きにすれば、bの特徴の部分は文章でも達成可能となるが、その代わりに特徴cを損なうことになってしまう。
【0039】
また、1つの画像では、特徴dの要素が欠如しており、動画は特徴a、cおよびdには長けているが、特徴bの能力が致命的に低い。
【0040】
これらの利点欠点は、文字や絵の固有の特徴に起因するものであり、その両方を含んでいる漫画は両者のよい点と悪い点を多重に継承しているといえる。
【0041】
さらに、これらの利点と、何より漫画にはストーリーを表現するための手法としての歴史的実績があるという点で、漫画は、ユーザの経験や行動履歴を表現するに対して、信頼に足りる適切な表現方法であるといえる。
【0042】
ただし、一方で、漫画は、以下のような欠点も有しているといえる。
e) 正確さに欠ける
f) コマ数を制限すると、多くのことを表現できない。
【0043】
ただし、上述したような欠点eおよびfは、上述した特徴であるa〜dとトレードオフの関係にあるといえる。ここで、経験や行動履歴に対応する漫画を生成するという観点から見た場合、漫画にはより根本的な以下の問題があるといえる。
【0044】
g) 作製に専門的スキルを要する。
この問題gは、主に素材の作画とベースとなる物語生成に分けることができる。本発明では、以下に説明するとおり、素材の作画および物語生成のいずれに対しても、予め用意された複数のパターン(テンプレート)を準備することで、特別な専門的スキルを要することなく、経験や行動履歴を漫画で表現することが可能なのである。
【0045】
[全体の処理の流れ]
図2は、以上のような漫画による経験や行動履歴の表現を行なう際の全体の処理の流れを説明するための概念図である。
【0046】
たとえば、上述したC−MAPを導入した学会の開催会場においては、ユーザは個人化されたさまざまなサービスを受けることができる。
【0047】
まず、ユーザの胸などにつけられたバッジ4から発せられる信号を会場内に設置されたセンサー6が検知することで、その移動履歴が自動的にシステムに取得される。
【0048】
ユーザが聴講した講演や自身が発表した講演の履歴は、そのままユーザの履歴情報として、携帯端末101およびC−MAPシステムのホストコンピュータ300に蓄積される。同時に、ユーザは、各講演内容に対する自己の評価結果を携帯端末101に入力する。なお、行動履歴表現装置100自体が、このホストコンピュータ300の機能を果たしてもよい。
【0049】
また、ユーザ2は、他のユーザ3との間で、相互の携帯端末101および102の間で相手方を特定するための情報、たとえば、氏名や所属などのデータを交換することで、電子的な名刺交換を行なうこともできる。
【0050】
さらに、ユーザ2は、学会会場の所定の場所に設けられているエージェントサロンにおいて、他のユーザとの間で情報交換を行なうことが可能である。
【0051】
第1のユーザ2および第2のユーザ3は、携帯端末101および102により、それぞれ異なった経路で学会の講演内容に対する案内情報を受けつつ、その行動履歴を携帯端末101および102中に蓄積している。エージェントサロンに二人のユーザがエントリすると、大画面ディスプレイ20上に各ユーザのエージェントが乗り移り、各ユーザの履歴情報の比較結果に基づいて、ディスプレイ20上でこのエージェントが擬似的な会話を行なう。これにより、各ユーザは他のユーザとの興味や関心の共通点や相違点を容易に知ることが可能となる。このようにして、各ユーザの履歴情報をユーザに共通に提供して、ユーザ同士の出会いや知識交換を促進することができる。このとき、併せて、相手方の聴講した講演について評価結果の情報を得ることができる。
【0052】
行動履歴表現装置100では、このようにして、ユーザ2の行動履歴から、そのユーザ2に最も適合すると予測する漫画を生成する。その際に、行動履歴表現装置100は、そのユーザ2自身の情報だけではなく、そのユーザと関連する他のユーザの情報や、イベント全体の情報もストーリー生成に利用する。
【0053】
図3は、上述した行動履歴情報について、さらに詳しく説明するための概念図である。
【0054】
ユーザm(m:ユーザを識別するための番号)の行動履歴情報としては、まずユーザmが漫画の表現対象となるイベントに参加する以前に予め確定している情報、たとえば、氏名、性別、年齢、学会名、開催場所、開催日時、ユーザm自身の発表題目、発表日時などの「静的データ(静的情報)」がある。
【0055】
さらに、行動履歴情報のうち「動的データ(動的情報)」は、ユーザmの聴講履歴および聴講した講演に対する個人的評価を含む情報であり、図3に示すように、行動の時間、聴講場所、聴講内容、行動態様などを関連づけたテーブルとして格納される。たとえば、行動態様は、「聴講」のみを行なったのか、ユーザm自身が発表を行なったのかに関する情報である。ユーザの感想としては、たとえば、「面白い/まあまあ/あまり興味ない」の3段階からユーザが携帯端末101に対して入力を行なったものが格納されている。なお、携帯端末101を用いて、電子名刺交換やエージェントサロンで情報交換を行った相手を特定するための情報もいっしょに格納される。
【0056】
[漫画生成のためのモデル化]
以下では、図3のようにして得られた行動履歴情報に基づいて、漫画を作成する方法について、さらに詳しく説明する。
【0057】
漫画を定義するとすれば、「コマを構成単位とする物語進行のある絵」と表現することができる。これは、言い換えると、漫画には時間進行という概念が内包されていることを示している。時間進行は、コマとコマとの間にあることは無論のこと、1コマの中にも存在する。また、表現する対象となる事象の時間は通常有限である。
【0058】
したがって、漫画の構造を表現するための知識表現としては、意味的まとまりに順列があり、まとまり同士が関連しているという特徴を利用することができる。
【0059】
図4は、このようなモデル化した漫画の構成の概念を説明するための図である。
【0060】
まず、表現したい事象を、ある意味的な順列(時系列や後述する漫画文法ルール等)に沿って並んだ、ある意味単位のまとまり(以下、「クラスタ」と呼ぶ)の集合として保持されるデータセットに分割する。
【0061】
この各々のクラスタは、自分自身の中にまたある順列で並んだクラスタへのポインタを複数持っている。つまり、下位のクラスタを構成しているクラスタ群は、その親クラスタを含んだ上位クラスタに対して、異なる粒度を持った意味的な集合となっている。このクラスタの木は、その最下層のフレームが1コマで表わすことが可能な方向へ伸びていく。以下では、このようなクラスタの木のことを「ストーリー木」と呼ぶことにする。
【0062】
図4を参照して、このストーリー木における各階層のクラスタを、ある決定された漫画文法に従って各クラスタごとにソートし、木の葉の部分を作画レイアウトとした結果が漫画であると考えることができる。
【0063】
ここで、「漫画文法ルール」とは、物語を表現する上で用いられる文法的手法のことであり、各階層のクラスタが持っているものである。
【0064】
たとえば、「漫画文法ルール」とは、まずイントロダクションでハイライトの情景を見せ、その後、それまでの経験を説明していく、というような時系列に必ずしも即さないクラスタの並び方のことである。ストーリー木の各階層のクラスタは、この漫画文法ルールを、子クラスタのポインタの順列という形で各々保持している。
【0065】
上述のような内容生成以外にも、漫画を生成する上での決定やモデル化が困難な部分はいくつか存在する。
【0066】
たとえば、ストーリー木より上位の概念である、表現したい事象をどうやって形式化させるかという問題や、逆に下位の概念である、葉の部分である1コマの中の作画をどのように決定させるのかというような問題である。
【0067】
ただし、上述したようなC−MAPのような個人履歴や興味が蓄積されたデータベースと、ある程度の専門家の知識を導入すれば、このような問題はその内容作成の範囲を限定することで回避可能である。
【0068】
上位プロセスの計算機による自動生成は、本発明では、その対象が「経験や行動履歴の表現」であって、形式は「紙かWebかで提供される漫画」であり、作風はそれにふさわしい漫画文法であるところの「絵日記漫画」ということが、予め決定されている。
【0069】
したがって、表現の対象が規定されており、かつ上位概念の表現の作風は、すくなくともその表現対象に対応して予め定められているものとして扱うことができる。仮に、表現対象が複数あるとしても、その場合は、予めその表現対象に対応した作風を複数用意しておけばよい。
【0070】
下位のプロセスである作画のための技巧は、以下に説明するようなイラストレーションの自動生成や自動配置等の技術を用いることができる。
【0071】
たとえば、いくつかの絵日記漫画が適用している慣習にならい、各コマは同じ大きさになると予め決定しておくことで作画を単純化できる。また、たとえばA4用紙1枚に収めるためコマ数は、たとえば、12コマにするという制約条件を設けることでも作画を単純化できる。
【0072】
さらに、実際の場面やキャラクタの描画については、プロトタイプとして、予め描かれたイラストレーションの複数の組を用意しておく。
【0073】
したがって、経験や行動履歴を漫画で表現するというためには、上記上位プロセスと下位プロセスの中間に位置する、ストーリ−の「内容と構造の決定」を自動的に行なうことができればよい。
【0074】
[データ構造]
図3で説明したとおり、本発明のシステムでは、ユーザの履歴やそれに付随する時系列データがユーザの行動終了後に獲得されている。
【0075】
また、フォーマットも、目的が聴講経験の漫画化という理由から、絵日記漫画が適当であるために、ストーリー木の段数や漫画文法ルール、葉フレームの粒度は、このようなユーザの履歴に対応して予め決定しておく。
【0076】
たとえば、上位ルールとしては、学会参加の行動を表現する12コマの漫画であれば、まず、最初の1コマ目〜3コマ目まででストーリーの導入部を構成する。
【0077】
この導入部では、1コマ目にタイトルの文字情報とタイトルバックのイラストおよび他の文字情報が割当てられる。さらに、4コマ目〜11コマ目までが、行動履歴提示部に対応して、これの時系列的な提示に割当てられる。さらに、最後の12コマ目に、いわゆる「オチ」の内容が割当てられる。
【0078】
なお、このようなストーリー展開の全体的な流れ(ストーリー木)については、予めいくつかの候補を作成しておき、ユーザ2の静的情報(たとえば、年齢や性別)と動的情報とを加工して得られる情報に対応して、いずれかを選択する構成としておく。ここで、「静的情報と動的情報とを加工して得られる情報」とは、たとえば、「静的情報」と「動的情報」のうちいずれか一方の情報そのものである場合だけでなく、さらに、「どれくらい多くの発表を見学したかという情報」や、「全体的に興味のある発表が多かったか少なかったかという情報」のように、「静的情報」と「動的情報」との少なくとも一方に対して何らかの加工を施した情報をも意味するものである。
【0079】
このようなストーリー展開の全体的な流れが決定されると、実際のコマの生成は、以下のように行なわれる。
【0080】
まず、クラスタを節と葉の2種類に分ける。節は1段階の条件文(if文)とそれに対応する子クラスタへのポインタのみを持っている。if文にはユーザデータに対する条件が記述してある。たとえば、「リクエストのあったユーザが学会全体にレーティングした平均点が〜以上である。」などの条件がこれに当る。
【0081】
まず、このような全体的なユーザの感想に基づいて、導入部に対して予め規定されている個別的なストーリ展開のうちから、当該ユーザの評価に相当するストーリー展開が選択される。さらに、このような全体的なユーザの感想(評価)に応じて、導入部に展開されるセリフ、キャラクタ等の選択が行なわれる。
【0082】
また、各行動履歴ごとのユーザの感想に基づいて、物語表現のための上位ルールにしたがって、行動履歴提示部やオチの部分に展開されるセリフ、キャラクタ等の選択が行なわれる。
【0083】
言い換えると、ユーザが持つ印象によって漫画のストーリーが大幅に変わる仕組みになっている。
【0084】
図5および図6は、上述した全体的なユーザの感想に基づいて、タイトルバックの図や、導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択が行なわれた場合の漫画の例を示す図である。
【0085】
図5においては、聴講履歴として、ユーザがよい印象を持った場合の例を示し、図6は、ユーザがよい印象を持たなかった場合の例を示す。
【0086】
なお、図5や図6に示したストーリー展開において、自分が見なかった講演の中で人気があったものを紹介するコマを挿入することも可能である。
【0087】
このようなコマは、ユーザ全体の評価の高かったもののうち、そのユーザが参照しなかったものという、そのユーザ以外から得られた情報を利用することで生成することができる。
【0088】
図7は、コマの構成を示す概念図である。
ストーリー木の葉は、漫画のコマに当るので、同じようにif文とそれに対応する絵となるパーツへのポインタ、そして、そのパーツを置くコマの情報(パーツのコマに対する相対的な位置等のコマに関する情報)を持っている。このようなコマの情報は、特に制限されないが、たとえば、画像データベース1060に背景画像の情報と関連づけて格納されている。
【0089】
1コマは、背景、キャラクタ、キャラクタの台詞、文章という4つのレイヤに分かれている。各パーツは、各々のレイヤごとに管理され、配置される。
【0090】
たとえば、ユーザ2の学会全体への評価が高かった場合、評価の高い講演が上から順に選択されて、かつ時系列に配置されて、行動履歴提示部に割当てられる。行動履歴提示部の各コマにおいて、各講演会場の背景や背景内に配置するキャラクタ、セリフ、ト書きは、各講演へのユーザの評価レベルやユーザの行動態様に基づいて選択される。
【0091】
また、オチの部分も予め規定されたもののうち、ユーザ2の行動履歴や評価点の傾向に基づいて、選択される。
【0092】
図8は、キャラクタのレイヤに含まれるイラスト例を示す概念図である。
キャラクタとしては、予め、ユーザの評価値と関わりなく用いられる共通キャラクタ、ユーザの評価が高い場合に用いられる好印象キャラクタ、平均的なユーザの評価値に対応して用いられる通常キャラクタ、ユーザ評価が低い場合に用いられる退屈キャラクタなどが予め分類されて、画像データベース1060に格納されている。
【0093】
さらに、文章レイヤには、上記ストーリー木に対応して、その流れに沿って予め文例が用意されている。さらに、たとえば、各文例には「〜を見学しました」などのように「〜」の部分について動的に文字を入れることが可能な部分があり、ユーザ履歴データから補完することができるように、そのための情報が文章データベース1070に保持されている。このようなセリフやト書きの部分についても、キャラクタと同様に、ユーザの評価に応じて、複数の候補が分類されて、文章データベース1070に格納されている。
【0094】
[生成プロセス]
漫画の生成プロセスを説明すると、ユーザ2は、ユーザIDが入力された携帯端末101を使い、行動履歴表現装置100にログインする。
【0095】
行動履歴表現装置100は、ストーリー木の中から、静的情報(たとえば、年齢や性別)に応じて予め決めてあった分類をもとに、そのユーザに適した1つのストーリ木の道筋を選択する。なお、このとき、このような静的情報のみならず、たとえば、動的情報である上述した「全体的なユーザの感想」も考慮にいれてストーリー木を予め分類して用意しておき、それらのストーリ木から当該ユーザに適した1つのストーリ木の道筋を選択する構成としてもよい。
【0096】
その後、行動履歴表現装置100においては、演算処理部1030が、行動履歴データベース1040内のユーザIDから特定される履歴情報をもとに、選択されたストーリー木に対応する基準にしたがってソートされた葉フレームを構成する。演算処理部1030は、このようにして構成されたフレーム情報列をもとに、専門のイラストレーターによって予め描画された部分的な絵を重ね合わせてコマを生成する。その後、それを順にレイアウトすることで、絵日記が生成される。
【0097】
最後に、ユーザ2はそれをプリントアウトして持ち帰り、後で個人的に思い返したり、他の人と参照し合うことによって利用することが可能となる。
【0098】
なお、このような絵日記の情報は、上述したように、ユーザ2が端末101からシステムにログインする場合だけではなく、たとえばユーザの家からインターネットを介して画像データを受取るというようなサービスを行なうことも可能である。
【0099】
図9は、このようにして生成された12コマの漫画を示す図である。
図9では、ユーザの全体印象が平均よりも良かった場合の例を示す。
【0100】
たとえば、導入部の1コマ目では、静的情報をもとに、タイトルの表示が行なわれると共に、ユーザの全体印象が良かったことに対応して、背景の「おろち」の画像が選択されるともに、この背景画像の所定の位置に、ユーザの評価に基づいて選択された好印象キャラクタが配置される。さらに、セリフも、の背景画像中の所定の位置に、ユーザの評価に基づいて選択されたセリフが配置される。
【0101】
また、3コマ目以降の行動履歴提示部においては、たとえば、その3コマ目では、まず、行動履歴として訪れた場所から選択されたのが「AgentSalon(エージェントサロン)」であることに対応して、その背景が選択される。さらに、行動履歴提示部の冒頭のセリフとして、文例(テンプレート)のうち「それでは、はじめに、「…」にいってみましょう。」が選択されて、背景の所定位置である上部に配置される。さらに、行動履歴の情報に基づいて、セリフのうちの「…」が、「AgentSalon」に置きかえられる。
【0102】
また、ユーザ2の評価点にしたがって、選択されたキャラクタが、背景の所定位置に配置される。
【0103】
また、行動履歴提示部である7コマ目には、選択されたストーリー木の展開にしたがって、他のユーザの行動履歴とその評価に基づいて、たとえば、「人気の高かった講演であって、ユーザ2が聴講していない講演」という条件をみたす「memex」についての紹介が行なわれる。
【0104】
以上のような処理により、ユーザの経験や行動履歴を、漫画などの視覚情報に基づいてストーリー生成し、レイアウト表示および印刷物として表現することが可能となる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る行動履歴表現装置によれば、学会や展示会場等での経験や行動履歴を漫画的に表現して要約したものをユーザに漫画として表示したり、印刷物として提供することが可能となる。したがって、ユーザは、親しみやすくかつ一覧性が高い情報として、自己の経験や行動履歴を記録したものを受取ることが可能である。これにより、ユーザは自己の行動履歴を容易に思い返したり、他のユーザと参照し合うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る行動履歴表現装置100の構成の概略を示す概略ブロック図である。
【図2】 漫画による経験や行動履歴の表現を行なう際の全体の処理の流れを説明するための概念図である。
【図3】 行動履歴情報について説明するための概念図である。
【図4】 モデル化した漫画の構成の概念を説明するための図である。
【図5】 タイトルバックの図や導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択を行なって生成した漫画の例を示す第1の図である。
【図6】 タイトルバックの図や導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択を行なって生成した漫画の例を示す第2の図である。
【図7】 コマの構成を示す概念図である。
【図8】 キャラクタのレイヤに含まれるイラスト例を示す概念図である。
【図9】 本発明により生成された12コマの漫画を示す図である。
【符号の説明】
2 ユーザ、100 行動履歴表現装置、101 携帯端末、200 インターネット、210 端末、1010 データ入力部、1020 データ入出力インタフェース部、1030 演算処理部、1040 行動履歴データベース、1050 漫画文法データベース、1060 画像データベース、1070 文章データベース、1080 表示部、1090 印刷処理部、1100 データ通信部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄積されたユーザの経験や行動等の履歴情報を、表現するための行動履歴表現装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
博物館の見学者や、学会での参加者等に、個別的にガイド情報の提供を行ない、きめ細かな案内を実現するためのロボットガイドシステム等が提案されている。
【0003】
文献1:角 康之他著「C−MAP:Context-awareな展示ガイドシステムの試作」、情報処理学会誌、Vol.39,No.10,pp.2866-2878 」には、展示を見学する見学者に対して、携帯ガイドシステムを提供し、ユーザの見学履歴を取得することで、展示情報と複数の見学者の見学履歴とを意味構造を有するグラフとしてグラフ表示する手法が開示されている。
【0004】
このような手法を利用することで、見学者同士は興味の近い他の見学者の存在や、自分がまだ知らなかった関連情報を発見することが可能となる。
【0005】
一方で、同様にして、たとえばテーマパーク等において、複数のアトラクションを巡回したユーザにおいても、時系列として一連の行動履歴が得られることになる。
【0006】
このような行動履歴を一覧性が高い形式で、表示および記録することができれば、ユーザの思い出を記憶に留めてもらったり、あるいはその記憶を後から読み覚ますことが可能な視覚的な記憶媒体を提供できることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなユーザの経験や行動履歴をコンピュータにより解析する技術としては、物語生成に関係して、文字ベースの物語分析や、物語自動生成関連の研究が存在している。これらの従来の物語の自動生成は、既存の作品を手本に自動的にストーリーを生成するという点で、上述したような経験や行動履歴を表現するという技術に関連するが、基本的には最終的に文字によって物語が表現される。
【0008】
さらに、電子計算機を媒介とした、時間を伴う事象の文字以外の表現に対する研究は、たとえば文献2:Steiner, K. and Moher, T.: Graphic StoryWriter: An Interactive Environment for Emergent Storytelling, Proceedings of CHI '92, pp.357-363 (1992)に開示されているような電子的なストーリーテリングの生成ツールが報告されている。
【0009】
また、漫画の手法を利用したコミュニケーション履歴の視覚化の研究としては、文献3:Kurlander, D., Skelly, T., and Salesin, D. H.: Comic Chat, Proceedings of the 23rd annual conference on Computer graphics, pp.225-236 (1996)らの研究がある。さらに、ビデオによる時系列での非一覧性を解消するため、漫画のコマ割りをインデキシングに利用した研究として、文献4:Uchihashi, S., Foote, J., Girgensohn, A., and Boreczky, J.: Video Manga: Generating Semantically Meaningful Video Summaries (1999)には、漫画コマ割りの持つ豊かな表現手法を応用した技術が開示されている。
【0010】
しかしながら、以上のような文献2〜4に示されるような文字以外の視覚的な表現の研究は、いずれもフォーマットとして漫画風の表現を利用することをその第1目的としており、内容の自動生成という点までは踏込んで扱ってはいない。このため、視覚情報、たとえば漫画を利用して、経験や行動履歴を電子計算機により自動生成することはできないという問題点があった。
【0011】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ユーザの経験や行動履歴を、漫画などの視覚情報に基づいてストーリー生成し、レイアウト表示および印刷物として表現することが可能な行動履歴表現装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の行動履歴表現装置は、ユーザの行動履歴を表現する漫画を自動生成するための行動履歴表現装置であって、ユーザが行動履歴の対象となる行動を起こす以前に確定している静的情報と、ユーザの行動履歴中に記録された動的情報とを含む行動履歴情報を受け取るデータ入力手段と、少なくとも静的情報に応じて予め分類された複数のストーリ木をそれぞれ表現する情報を格納する漫画文法格納手段と、ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために行動履歴に対応して予め用意された複数の背景画像と、動的情報に対応して分類され予め用意された複数のキャラクタ画像とを格納する画像データ格納手段と、ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために行動履歴に対応して予め用意され、かつ動的情報に対応して分類された複数の文章情報を格納する文書データ格納手段と、行動履歴情報に基づいてストーリ木を選択し、選択されたストーリ木と行動履歴情報に基づいて、各コマに背景画を選択して割当て、かつ、動的情報に基づいて、各コマに対してキャラクタ画像および文章情報を選択して割当てることにより、漫画を生成する演算手段とを備える。
【0013】
請求項2記載の行動履歴表現装置は、請求項1記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴情報は、ユーザが行動中に携行し、動的情報を逐次入力する携帯端末に格納されており、ユーザの指示にしたがって、データ入力手段に与えられる。
【0014】
請求項3記載の行動履歴表現装置は、請求項1記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、動的情報は、ユーザの行動中の経験と経験に対するユーザの印象の好悪の程度とを数値化したデータ関連づけたテーブルを含む。
【0015】
請求項4記載の行動履歴表現装置は、請求項3記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、各背景画像は、キャラクタ画像を配置するための予め定められた位置情報と関連づけられて、画像データ格納手段に格納される。
【0016】
請求項5記載の行動履歴表現装置は、請求項4記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴表現装置は、生成された漫画を印刷するための印刷処理手段をさらに備える。
【0017】
請求項6記載の行動履歴表現装置は、請求項4記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、行動履歴表現装置は、生成された漫画を情報伝達網に対して出力するためのデータ通信手段をさらに備える。
【0018】
請求項7記載の行動履歴表現装置は、請求項3記載の行動履歴表現装置の構成に加えて、文章情報は、選択されたストーリー木に対応して予め定められ固定文章情報と、行動履歴に応じて指定され、固定文章情報の所定部分に挿入される部分文章とを含む。
【0019】
【発明の実施の形態】
[行動履歴表現装置100の構成]
なお、以下では、本発明の実施の形態として、主として、学会参加者であるユーザの行動履歴を、漫画を用いて視覚的に表現することが可能な行動履歴表現装置の構成について説明する。
【0020】
ただし、以下の説明で明らかとなるように、本発明はこのような場合に限定されることなく、たとえば、博物館の見学者やテーマパークの入場者のように、各々のユーザが履歴情報、たとえば、「何を」、「いつ」、「どこで」、展示物等に関する情報を獲得し、かつその経験や履歴について「どのような」感想を有しているかという情報を、視覚的に表現することが可能な行動履歴表現に対して適用可能なものである。
【0021】
図1は、本発明に係る行動履歴表現装置100の構成の概略を示す概略ブロック図である。
【0022】
まず、ユーザ2は、携帯端末101を保持して、学会参加時にホストコンピュータから、学会の講演題目や講演会場等の情報を獲得し、かつ、学会の各講演に対する自己の感想などの情報を入力する。このとき、上述したC−MAPシステムと同様に、講演内容の情報と複数の参加者の履歴とを意味構造を有するグラフとして携帯端末101にグラフ表示させることができる。このような手法を利用することで、学会参加者同士は興味の近い他の参加者の存在や、自分がまだ知らなかった関連情報を発見することが可能となる。
【0023】
したがって、携帯端末101は、ユーザ2からの情報入力を受けるためのキーボード部と、ユーザ2へ情報を提供するための表示部やガイド音声の出力部を有しているものとする。なお、ユーザからの情報入力を受ける構成としては、たとえば、音声入力を用いてもよい。
【0024】
また、携帯端末101には、ユーザ2の氏名、性別、年齢、参加する学会名や開催場所、開催日時などのように、ユーザ2が学会に参加して、随時、携帯端末101から感想等を入力していく以前に、既に確定している情報(以下、「静的情報」と呼ぶ)が、予め入力され格納されているものとする。一方、ユーザ2が、学会に参加して、順次会場をまわっていく間に聴講する講演内容、さらには、携帯端末101から入力されるユーザ2の感想等のように、表現対象となる行動履歴の中で随時新たに発生する情報を「動的情報」と呼ぶことにする。
【0025】
図1は、以上のようにして学会参加が終了したユーザ2の携帯端末101内に格納された行動履歴情報に基づいて、行動履歴表現装置100がその行動履歴を漫画で表現するための構成を示している。
【0026】
行動履歴表現装置100は、ユーザ2の携帯端末101から行動履歴に関するデータを、たとえば、無線により受け取るためのデータ入力部1010と、行動履歴表現装置100と外部との間でのデータ授受を制御するためのデータ入出力インタフェース部1020と、携帯端末101中に蓄積されたデータに基づいて、漫画の生成の演算処理を行うための演算処理部1030と、ユーザ2および他のユーザの行動履歴を格納するための行動履歴データベース1040と、演算処理部1030が漫画生成を行なうにあたり使用する漫画文法ルールを格納する漫画文法データベース1050と、漫画生成のためのキャラクタ画像や背景画像などの画像データを格納する画像データベース1060と、漫画に用いられるセリフやト書きなどの文章情報を格納する文章データベース1070と、データ入出力インターフェース部1020を介して演算処理部1030から与えられるデータに基づいて、生成された漫画を表示するための表示部(たとえば、平面ディスプレイ)1080と、表示部1080に表示される漫画をユーザ2の要求にしたがって、印刷して出力するための印刷処理部1090と、行動履歴表現装置100と外部の情報伝達網、たとえば、インターネット200との間でデータのやり取りを行うためのデータ通信部1100とを備える。
【0027】
ユーザ2は、演算処理部1030の生成した漫画を、インターネット200などの情報伝達網を介して、たとえば、ユーザ2の自宅の端末210で受け取ることも可能である。
【0028】
すなわち、本発明の行動履歴表現装置100では、個人の経験の文脈(コンテキスト)を考慮したガイドシステムにおける、個人の見学履歴に沿ったストーリーを持つ漫画を自動生成するサービスを提供する。
【0029】
この行動履歴表現装置100を用いた行動履歴表現システムを通じて、経験や思い出といった表現しにくいデータを、漫画というフォーマットを利用して表現することが可能となる。この個人化された漫画生成サービスは、学会の会場や展示会場等において、ユーザが見て感じたことをストーリー化し、その流れに沿い、かつ親しみやすい表現手法である漫画を自動生成することによって提供される。このような漫画生成サービスは、学会、展示会あるいはテーマパーク内での思い出をよりユーザに留めてもらう効果を持った視覚的記憶媒体を提供することになる。
【0030】
より具体的には、上述したようなC−MAPシステムという個人化された展示ガイドシステムによって得られる個人的なサービス授受の時系列データや興味データと、ユーザの行動履歴にかかわらず静的に判明している会場データやタイムテーブル等を組合せることで自動的にストーリーを生成する。この生成されたストーリーに基づいて、漫画化を行ない、ディスプレイ1080に表示したり、印刷物として個々のユーザに配布する。
【0031】
このような経験や行動履歴という過去の状況要約を目的とした場合に、漫画を利用する利点と欠点をまとめると以下のとおりである。
【0032】
まず、状況表現手段として漫画を利用する利点を考えると以下のとおりである。
【0033】
a) 親しみやすい
b) 一覧性が高い
c) 表現力が高い
d) 時系列に沿った表現が可能である。
【0034】
経験や行動履歴を表現するにあたり、対象としているユーザの種類は広範囲に及ぶ。たとえば、C−MAPシステムでは、さまざまな種類の展示会場や学会におけるサービスの提供を対象としている。したがって、ユーザの年齢層は広域に及ぶ。
【0035】
さらに、テーマパークなどでの使用を想定すると、一層、ユーザの年齢層は広域に及ぶことになり、訪れる多くの閲覧者に対して受入れやすい媒体であることが必要である。
【0036】
したがって、上述した特徴のうちaおよびbのユーザに対する親和性を漫画という媒体が有していることは有利である。
【0037】
また当然のことながら、展示会場等での経験を静的なメディアに写像するためには、上述したcおよびdに代表される表現力も重要な要素となる。
【0038】
ところで、経験や行動履歴を表現するための他の表現方法と比較して考えると、上述したa〜dの特徴を同時に兼ね備えた表現という意味で、漫画は稀有な存在であるといえる。たとえば、文章は、特徴cおよびdは確実に備えているが、特徴aおよびbに関しては十分ではない。文章を箇条書きにすれば、bの特徴の部分は文章でも達成可能となるが、その代わりに特徴cを損なうことになってしまう。
【0039】
また、1つの画像では、特徴dの要素が欠如しており、動画は特徴a、cおよびdには長けているが、特徴bの能力が致命的に低い。
【0040】
これらの利点欠点は、文字や絵の固有の特徴に起因するものであり、その両方を含んでいる漫画は両者のよい点と悪い点を多重に継承しているといえる。
【0041】
さらに、これらの利点と、何より漫画にはストーリーを表現するための手法としての歴史的実績があるという点で、漫画は、ユーザの経験や行動履歴を表現するに対して、信頼に足りる適切な表現方法であるといえる。
【0042】
ただし、一方で、漫画は、以下のような欠点も有しているといえる。
e) 正確さに欠ける
f) コマ数を制限すると、多くのことを表現できない。
【0043】
ただし、上述したような欠点eおよびfは、上述した特徴であるa〜dとトレードオフの関係にあるといえる。ここで、経験や行動履歴に対応する漫画を生成するという観点から見た場合、漫画にはより根本的な以下の問題があるといえる。
【0044】
g) 作製に専門的スキルを要する。
この問題gは、主に素材の作画とベースとなる物語生成に分けることができる。本発明では、以下に説明するとおり、素材の作画および物語生成のいずれに対しても、予め用意された複数のパターン(テンプレート)を準備することで、特別な専門的スキルを要することなく、経験や行動履歴を漫画で表現することが可能なのである。
【0045】
[全体の処理の流れ]
図2は、以上のような漫画による経験や行動履歴の表現を行なう際の全体の処理の流れを説明するための概念図である。
【0046】
たとえば、上述したC−MAPを導入した学会の開催会場においては、ユーザは個人化されたさまざまなサービスを受けることができる。
【0047】
まず、ユーザの胸などにつけられたバッジ4から発せられる信号を会場内に設置されたセンサー6が検知することで、その移動履歴が自動的にシステムに取得される。
【0048】
ユーザが聴講した講演や自身が発表した講演の履歴は、そのままユーザの履歴情報として、携帯端末101およびC−MAPシステムのホストコンピュータ300に蓄積される。同時に、ユーザは、各講演内容に対する自己の評価結果を携帯端末101に入力する。なお、行動履歴表現装置100自体が、このホストコンピュータ300の機能を果たしてもよい。
【0049】
また、ユーザ2は、他のユーザ3との間で、相互の携帯端末101および102の間で相手方を特定するための情報、たとえば、氏名や所属などのデータを交換することで、電子的な名刺交換を行なうこともできる。
【0050】
さらに、ユーザ2は、学会会場の所定の場所に設けられているエージェントサロンにおいて、他のユーザとの間で情報交換を行なうことが可能である。
【0051】
第1のユーザ2および第2のユーザ3は、携帯端末101および102により、それぞれ異なった経路で学会の講演内容に対する案内情報を受けつつ、その行動履歴を携帯端末101および102中に蓄積している。エージェントサロンに二人のユーザがエントリすると、大画面ディスプレイ20上に各ユーザのエージェントが乗り移り、各ユーザの履歴情報の比較結果に基づいて、ディスプレイ20上でこのエージェントが擬似的な会話を行なう。これにより、各ユーザは他のユーザとの興味や関心の共通点や相違点を容易に知ることが可能となる。このようにして、各ユーザの履歴情報をユーザに共通に提供して、ユーザ同士の出会いや知識交換を促進することができる。このとき、併せて、相手方の聴講した講演について評価結果の情報を得ることができる。
【0052】
行動履歴表現装置100では、このようにして、ユーザ2の行動履歴から、そのユーザ2に最も適合すると予測する漫画を生成する。その際に、行動履歴表現装置100は、そのユーザ2自身の情報だけではなく、そのユーザと関連する他のユーザの情報や、イベント全体の情報もストーリー生成に利用する。
【0053】
図3は、上述した行動履歴情報について、さらに詳しく説明するための概念図である。
【0054】
ユーザm(m:ユーザを識別するための番号)の行動履歴情報としては、まずユーザmが漫画の表現対象となるイベントに参加する以前に予め確定している情報、たとえば、氏名、性別、年齢、学会名、開催場所、開催日時、ユーザm自身の発表題目、発表日時などの「静的データ(静的情報)」がある。
【0055】
さらに、行動履歴情報のうち「動的データ(動的情報)」は、ユーザmの聴講履歴および聴講した講演に対する個人的評価を含む情報であり、図3に示すように、行動の時間、聴講場所、聴講内容、行動態様などを関連づけたテーブルとして格納される。たとえば、行動態様は、「聴講」のみを行なったのか、ユーザm自身が発表を行なったのかに関する情報である。ユーザの感想としては、たとえば、「面白い/まあまあ/あまり興味ない」の3段階からユーザが携帯端末101に対して入力を行なったものが格納されている。なお、携帯端末101を用いて、電子名刺交換やエージェントサロンで情報交換を行った相手を特定するための情報もいっしょに格納される。
【0056】
[漫画生成のためのモデル化]
以下では、図3のようにして得られた行動履歴情報に基づいて、漫画を作成する方法について、さらに詳しく説明する。
【0057】
漫画を定義するとすれば、「コマを構成単位とする物語進行のある絵」と表現することができる。これは、言い換えると、漫画には時間進行という概念が内包されていることを示している。時間進行は、コマとコマとの間にあることは無論のこと、1コマの中にも存在する。また、表現する対象となる事象の時間は通常有限である。
【0058】
したがって、漫画の構造を表現するための知識表現としては、意味的まとまりに順列があり、まとまり同士が関連しているという特徴を利用することができる。
【0059】
図4は、このようなモデル化した漫画の構成の概念を説明するための図である。
【0060】
まず、表現したい事象を、ある意味的な順列(時系列や後述する漫画文法ルール等)に沿って並んだ、ある意味単位のまとまり(以下、「クラスタ」と呼ぶ)の集合として保持されるデータセットに分割する。
【0061】
この各々のクラスタは、自分自身の中にまたある順列で並んだクラスタへのポインタを複数持っている。つまり、下位のクラスタを構成しているクラスタ群は、その親クラスタを含んだ上位クラスタに対して、異なる粒度を持った意味的な集合となっている。このクラスタの木は、その最下層のフレームが1コマで表わすことが可能な方向へ伸びていく。以下では、このようなクラスタの木のことを「ストーリー木」と呼ぶことにする。
【0062】
図4を参照して、このストーリー木における各階層のクラスタを、ある決定された漫画文法に従って各クラスタごとにソートし、木の葉の部分を作画レイアウトとした結果が漫画であると考えることができる。
【0063】
ここで、「漫画文法ルール」とは、物語を表現する上で用いられる文法的手法のことであり、各階層のクラスタが持っているものである。
【0064】
たとえば、「漫画文法ルール」とは、まずイントロダクションでハイライトの情景を見せ、その後、それまでの経験を説明していく、というような時系列に必ずしも即さないクラスタの並び方のことである。ストーリー木の各階層のクラスタは、この漫画文法ルールを、子クラスタのポインタの順列という形で各々保持している。
【0065】
上述のような内容生成以外にも、漫画を生成する上での決定やモデル化が困難な部分はいくつか存在する。
【0066】
たとえば、ストーリー木より上位の概念である、表現したい事象をどうやって形式化させるかという問題や、逆に下位の概念である、葉の部分である1コマの中の作画をどのように決定させるのかというような問題である。
【0067】
ただし、上述したようなC−MAPのような個人履歴や興味が蓄積されたデータベースと、ある程度の専門家の知識を導入すれば、このような問題はその内容作成の範囲を限定することで回避可能である。
【0068】
上位プロセスの計算機による自動生成は、本発明では、その対象が「経験や行動履歴の表現」であって、形式は「紙かWebかで提供される漫画」であり、作風はそれにふさわしい漫画文法であるところの「絵日記漫画」ということが、予め決定されている。
【0069】
したがって、表現の対象が規定されており、かつ上位概念の表現の作風は、すくなくともその表現対象に対応して予め定められているものとして扱うことができる。仮に、表現対象が複数あるとしても、その場合は、予めその表現対象に対応した作風を複数用意しておけばよい。
【0070】
下位のプロセスである作画のための技巧は、以下に説明するようなイラストレーションの自動生成や自動配置等の技術を用いることができる。
【0071】
たとえば、いくつかの絵日記漫画が適用している慣習にならい、各コマは同じ大きさになると予め決定しておくことで作画を単純化できる。また、たとえばA4用紙1枚に収めるためコマ数は、たとえば、12コマにするという制約条件を設けることでも作画を単純化できる。
【0072】
さらに、実際の場面やキャラクタの描画については、プロトタイプとして、予め描かれたイラストレーションの複数の組を用意しておく。
【0073】
したがって、経験や行動履歴を漫画で表現するというためには、上記上位プロセスと下位プロセスの中間に位置する、ストーリ−の「内容と構造の決定」を自動的に行なうことができればよい。
【0074】
[データ構造]
図3で説明したとおり、本発明のシステムでは、ユーザの履歴やそれに付随する時系列データがユーザの行動終了後に獲得されている。
【0075】
また、フォーマットも、目的が聴講経験の漫画化という理由から、絵日記漫画が適当であるために、ストーリー木の段数や漫画文法ルール、葉フレームの粒度は、このようなユーザの履歴に対応して予め決定しておく。
【0076】
たとえば、上位ルールとしては、学会参加の行動を表現する12コマの漫画であれば、まず、最初の1コマ目〜3コマ目まででストーリーの導入部を構成する。
【0077】
この導入部では、1コマ目にタイトルの文字情報とタイトルバックのイラストおよび他の文字情報が割当てられる。さらに、4コマ目〜11コマ目までが、行動履歴提示部に対応して、これの時系列的な提示に割当てられる。さらに、最後の12コマ目に、いわゆる「オチ」の内容が割当てられる。
【0078】
なお、このようなストーリー展開の全体的な流れ(ストーリー木)については、予めいくつかの候補を作成しておき、ユーザ2の静的情報(たとえば、年齢や性別)と動的情報とを加工して得られる情報に対応して、いずれかを選択する構成としておく。ここで、「静的情報と動的情報とを加工して得られる情報」とは、たとえば、「静的情報」と「動的情報」のうちいずれか一方の情報そのものである場合だけでなく、さらに、「どれくらい多くの発表を見学したかという情報」や、「全体的に興味のある発表が多かったか少なかったかという情報」のように、「静的情報」と「動的情報」との少なくとも一方に対して何らかの加工を施した情報をも意味するものである。
【0079】
このようなストーリー展開の全体的な流れが決定されると、実際のコマの生成は、以下のように行なわれる。
【0080】
まず、クラスタを節と葉の2種類に分ける。節は1段階の条件文(if文)とそれに対応する子クラスタへのポインタのみを持っている。if文にはユーザデータに対する条件が記述してある。たとえば、「リクエストのあったユーザが学会全体にレーティングした平均点が〜以上である。」などの条件がこれに当る。
【0081】
まず、このような全体的なユーザの感想に基づいて、導入部に対して予め規定されている個別的なストーリ展開のうちから、当該ユーザの評価に相当するストーリー展開が選択される。さらに、このような全体的なユーザの感想(評価)に応じて、導入部に展開されるセリフ、キャラクタ等の選択が行なわれる。
【0082】
また、各行動履歴ごとのユーザの感想に基づいて、物語表現のための上位ルールにしたがって、行動履歴提示部やオチの部分に展開されるセリフ、キャラクタ等の選択が行なわれる。
【0083】
言い換えると、ユーザが持つ印象によって漫画のストーリーが大幅に変わる仕組みになっている。
【0084】
図5および図6は、上述した全体的なユーザの感想に基づいて、タイトルバックの図や、導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択が行なわれた場合の漫画の例を示す図である。
【0085】
図5においては、聴講履歴として、ユーザがよい印象を持った場合の例を示し、図6は、ユーザがよい印象を持たなかった場合の例を示す。
【0086】
なお、図5や図6に示したストーリー展開において、自分が見なかった講演の中で人気があったものを紹介するコマを挿入することも可能である。
【0087】
このようなコマは、ユーザ全体の評価の高かったもののうち、そのユーザが参照しなかったものという、そのユーザ以外から得られた情報を利用することで生成することができる。
【0088】
図7は、コマの構成を示す概念図である。
ストーリー木の葉は、漫画のコマに当るので、同じようにif文とそれに対応する絵となるパーツへのポインタ、そして、そのパーツを置くコマの情報(パーツのコマに対する相対的な位置等のコマに関する情報)を持っている。このようなコマの情報は、特に制限されないが、たとえば、画像データベース1060に背景画像の情報と関連づけて格納されている。
【0089】
1コマは、背景、キャラクタ、キャラクタの台詞、文章という4つのレイヤに分かれている。各パーツは、各々のレイヤごとに管理され、配置される。
【0090】
たとえば、ユーザ2の学会全体への評価が高かった場合、評価の高い講演が上から順に選択されて、かつ時系列に配置されて、行動履歴提示部に割当てられる。行動履歴提示部の各コマにおいて、各講演会場の背景や背景内に配置するキャラクタ、セリフ、ト書きは、各講演へのユーザの評価レベルやユーザの行動態様に基づいて選択される。
【0091】
また、オチの部分も予め規定されたもののうち、ユーザ2の行動履歴や評価点の傾向に基づいて、選択される。
【0092】
図8は、キャラクタのレイヤに含まれるイラスト例を示す概念図である。
キャラクタとしては、予め、ユーザの評価値と関わりなく用いられる共通キャラクタ、ユーザの評価が高い場合に用いられる好印象キャラクタ、平均的なユーザの評価値に対応して用いられる通常キャラクタ、ユーザ評価が低い場合に用いられる退屈キャラクタなどが予め分類されて、画像データベース1060に格納されている。
【0093】
さらに、文章レイヤには、上記ストーリー木に対応して、その流れに沿って予め文例が用意されている。さらに、たとえば、各文例には「〜を見学しました」などのように「〜」の部分について動的に文字を入れることが可能な部分があり、ユーザ履歴データから補完することができるように、そのための情報が文章データベース1070に保持されている。このようなセリフやト書きの部分についても、キャラクタと同様に、ユーザの評価に応じて、複数の候補が分類されて、文章データベース1070に格納されている。
【0094】
[生成プロセス]
漫画の生成プロセスを説明すると、ユーザ2は、ユーザIDが入力された携帯端末101を使い、行動履歴表現装置100にログインする。
【0095】
行動履歴表現装置100は、ストーリー木の中から、静的情報(たとえば、年齢や性別)に応じて予め決めてあった分類をもとに、そのユーザに適した1つのストーリ木の道筋を選択する。なお、このとき、このような静的情報のみならず、たとえば、動的情報である上述した「全体的なユーザの感想」も考慮にいれてストーリー木を予め分類して用意しておき、それらのストーリ木から当該ユーザに適した1つのストーリ木の道筋を選択する構成としてもよい。
【0096】
その後、行動履歴表現装置100においては、演算処理部1030が、行動履歴データベース1040内のユーザIDから特定される履歴情報をもとに、選択されたストーリー木に対応する基準にしたがってソートされた葉フレームを構成する。演算処理部1030は、このようにして構成されたフレーム情報列をもとに、専門のイラストレーターによって予め描画された部分的な絵を重ね合わせてコマを生成する。その後、それを順にレイアウトすることで、絵日記が生成される。
【0097】
最後に、ユーザ2はそれをプリントアウトして持ち帰り、後で個人的に思い返したり、他の人と参照し合うことによって利用することが可能となる。
【0098】
なお、このような絵日記の情報は、上述したように、ユーザ2が端末101からシステムにログインする場合だけではなく、たとえばユーザの家からインターネットを介して画像データを受取るというようなサービスを行なうことも可能である。
【0099】
図9は、このようにして生成された12コマの漫画を示す図である。
図9では、ユーザの全体印象が平均よりも良かった場合の例を示す。
【0100】
たとえば、導入部の1コマ目では、静的情報をもとに、タイトルの表示が行なわれると共に、ユーザの全体印象が良かったことに対応して、背景の「おろち」の画像が選択されるともに、この背景画像の所定の位置に、ユーザの評価に基づいて選択された好印象キャラクタが配置される。さらに、セリフも、の背景画像中の所定の位置に、ユーザの評価に基づいて選択されたセリフが配置される。
【0101】
また、3コマ目以降の行動履歴提示部においては、たとえば、その3コマ目では、まず、行動履歴として訪れた場所から選択されたのが「AgentSalon(エージェントサロン)」であることに対応して、その背景が選択される。さらに、行動履歴提示部の冒頭のセリフとして、文例(テンプレート)のうち「それでは、はじめに、「…」にいってみましょう。」が選択されて、背景の所定位置である上部に配置される。さらに、行動履歴の情報に基づいて、セリフのうちの「…」が、「AgentSalon」に置きかえられる。
【0102】
また、ユーザ2の評価点にしたがって、選択されたキャラクタが、背景の所定位置に配置される。
【0103】
また、行動履歴提示部である7コマ目には、選択されたストーリー木の展開にしたがって、他のユーザの行動履歴とその評価に基づいて、たとえば、「人気の高かった講演であって、ユーザ2が聴講していない講演」という条件をみたす「memex」についての紹介が行なわれる。
【0104】
以上のような処理により、ユーザの経験や行動履歴を、漫画などの視覚情報に基づいてストーリー生成し、レイアウト表示および印刷物として表現することが可能となる。
【0105】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る行動履歴表現装置によれば、学会や展示会場等での経験や行動履歴を漫画的に表現して要約したものをユーザに漫画として表示したり、印刷物として提供することが可能となる。したがって、ユーザは、親しみやすくかつ一覧性が高い情報として、自己の経験や行動履歴を記録したものを受取ることが可能である。これにより、ユーザは自己の行動履歴を容易に思い返したり、他のユーザと参照し合うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る行動履歴表現装置100の構成の概略を示す概略ブロック図である。
【図2】 漫画による経験や行動履歴の表現を行なう際の全体の処理の流れを説明するための概念図である。
【図3】 行動履歴情報について説明するための概念図である。
【図4】 モデル化した漫画の構成の概念を説明するための図である。
【図5】 タイトルバックの図や導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択を行なって生成した漫画の例を示す第1の図である。
【図6】 タイトルバックの図や導入部や行動履歴提示部でのキャラクタの選択を行なって生成した漫画の例を示す第2の図である。
【図7】 コマの構成を示す概念図である。
【図8】 キャラクタのレイヤに含まれるイラスト例を示す概念図である。
【図9】 本発明により生成された12コマの漫画を示す図である。
【符号の説明】
2 ユーザ、100 行動履歴表現装置、101 携帯端末、200 インターネット、210 端末、1010 データ入力部、1020 データ入出力インタフェース部、1030 演算処理部、1040 行動履歴データベース、1050 漫画文法データベース、1060 画像データベース、1070 文章データベース、1080 表示部、1090 印刷処理部、1100 データ通信部。
Claims (7)
- ユーザの行動履歴を表現する漫画を自動生成するための行動履歴表現装置であって、
前記ユーザが前記行動履歴の対象となる行動を起こす以前に確定している静的情報と、前記ユーザの前記行動履歴中に記録された動的情報とを含む行動履歴情報を受け取るデータ入力手段と、
少なくとも前記静的情報に応じて予め分類された複数のストーリ木をそれぞれ表現する情報を格納する漫画文法格納手段と、
前記ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために前記行動履歴に対応して予め用意された複数の背景画像と、前記動的情報に対応して分類され予め用意された複数のキャラクタ画像とを格納する画像データ格納手段と、
前記ストーリ木に対応する所定数のコマの各々を構成するために前記行動履歴に対応して予め用意され、かつ前記動的情報に対応して分類された複数の文章情報を格納する文書データ格納手段と、
前記行動履歴情報に基づいて前記ストーリ木を選択し、選択された前記ストーリ木と前記行動履歴情報に基づいて、前記各コマに前記背景画を選択して割当て、かつ、前記動的情報に基づいて、前記各コマに対して前記キャラクタ画像および前記文章情報を選択して割当てることにより、前記漫画を生成する演算手段とを備える、行動履歴表現装置。 - 前記行動履歴情報は、前記ユーザが行動中に携行し、前記動的情報を逐次入力する携帯端末に格納されており、
前記ユーザの指示にしたがって、前記データ入力手段に与えられる、請求項1記載の行動履歴表現装置。 - 前記動的情報は、前記ユーザの行動中の経験と前記経験に対する前記ユーザの印象の好悪の程度とを数値化したデータ関連づけたテーブルを含む、請求項1記載の行動履歴表現装置。
- 各前記背景画像は、前記キャラクタ画像を配置するための予め定められた位置情報と関連づけられて、前記画像データ格納手段に格納される、請求項3記載の行動履歴表現装置。
- 前記行動履歴表現装置は、生成された前記漫画を印刷するための印刷処理手段をさらに備える、請求項4記載の行動履歴表現装置。
- 前記行動履歴表現装置は、生成された前記漫画を情報伝達網に対して出力するためのデータ通信手段をさらに備える、請求項4記載の行動履歴表現装置。
- 前記文章情報は、
前記選択されたストーリー木に対応して予め定められ固定文章情報と、
前記行動履歴に応じて指定され、前記固定文章情報の所定部分に挿入される部分文章とを含む、請求項3記載の行動履歴表現装置。
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