JP3760439B2 - 河川環境シミュレーション装置およびその方法並びに当該方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体 - Google Patents

河川環境シミュレーション装置およびその方法並びに当該方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、河川環境シミュレーション装置およびその方法並びに当該方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体に関し、さらに詳しくは、三次元画像データに基づいて、コンピュータにより河川および河川周囲環境を構築させ、その土木系、水質系、生態系、景観系、経済系、管理系予測を行わせる河川環境シミュレーション装置およびその方法並びに当該方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、河川水質に着目して河川水系のシミュレーションを行ったシステムとして、特開平11-184372号公報に開示された「河川水系の水環境シミュレーション方法」が知られている。このシステムの特徴は、河川地理情報に水質値および水量値を対話的に配置して河川水質情報を得るところにある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来技術による河川を中心としたシミュレーションシステムは、河川の水質や流れの現状解析などによる変化解析もしくは洪水などに対する警戒を目的としていた。従って、河川改修などによる外的変化がどのように周囲環境に影響を与えるかを検討するシステムは、存在しなかった。
【0004】
実際には、河川改修などによる局所的な流れの変化は長期的には河川そのものの形状を変化させ、その河川変化がまた流れや水質を変化させるという循環が起きている。また、河川変化はその周囲の自然環境を変化させ、それが生態系や景観系に影響を与えている。さらに、生態系や景観系の変化は総合的な改修コスト算出や河川管理コストに関しても影響を与える。
【0005】
従って、長期的な河川経年変化を河川地理情報から事前に予測するとともに、河川環境を構成する種々の要因、例えば、土木系、水質系、生態系、景観系、経済系、管理系の要因の変化を事前に予測することができれば、予め考えられる不都合を回避した形で自然環境の維持増進を狙いとしたよりよい環境づくりが実現する。
【0006】
すなわち、河川に生息する多様な生物の環境を守ることは、結果として人類の生命の存続や健康の維持を保障することにつながるし、利水という実利的な恩恵にあやかることにもなる。加えて、洪水その他の河川からの災害から身を守ること、すなわち、治水に十分な配慮がなされていれば災害時も大きな被害を受けることはなく環境共生型の河川環境が実現する。
【0007】
一方、そのような予測を行うためには、河川環境の現状を正確に把握することが重要になる。従来のシミュレーション装置の場合、現状の河川環境の把握のためには、現地測量が不可欠であったため、時間も労力もコストも必要以上にかかるという問題があった。従って、河川環境の現状を正確かつ迅速に把握できるシミュレーションシステムが求められている。
【0008】
本発明の目的は、河川改修などによる河川およびその周辺の経年変化を河川地理情報および水理計算に基づいてシミュレーションすることにより、河川改修前後における河川状況を全面的に把握し、河川環境および多方面への影響を予測することができる河川環境シミュレーション装置およびその方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、河川改修などによる河川およびその周辺の経年変化を河川地理情報および水理計算に基づいてシミュレーションすることにより、河川改修前後における河川状況を全面的に把握し、河川環境および多方面への影響を予測することができる河川環境シミュレーション方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、既定値として与えられた地形データを記憶する地形データ記憶手段と、前記地形データの少なくとも一部に対応する地域を上空から撮影した撮影データを記憶する撮影データ記憶手段と、前記撮影データに基づいて前記地形データから河川部データを抽出する河川部抽出手段と、前記河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを負荷データとして追加する負荷データ追加手段と、前記河川部データを記憶するとともに、前記河川部データに対して前記負荷データ追加手段により前記負荷データが追加されると前記河川部データと当該負荷データとを河川部データとして記憶する河川部データ記憶手段と、前記河川部データ記憶手段に記憶された河川部データに関して時系列河川流れデータを算出する時系列河川流れデータ演算手段とを備えたことを要旨とするものである。
【0010】
ここで「河川部データの抽出」とは、撮影データと既知の地形データとを重ね合わせて撮影データのうち「河川部に相当する部分」に対応する地形データを抽出することをいう。重ね合わせに際しては基準となる点は、撮影データおよび既知の地形データに何らかのマークを付けておいてもよいし、ユーザがディスプレイ上で河川外周部を指定するようにしてもよい。抽出されたデータ(「抽出データ」)は、座標変換がなされ四角形または六面体の計算用集中格子を構成することになる。「河川部データの抽出」というときは、実際には撮影データと地形データとの重ね合わせに始まって計算用集中格子を構築するまでの一連の動作を概念したものである。
「河床データ」とは、離散的に実測して得られる河床の三次元データをいう。より正確な予測を行うことができるように現状の実測データを反映させるようにするためである。「水理構造物」とは、例えば、低水路法線形、法覆工、法留工、根固工、水制工、護床工、遊水池・調節池、蜻蛉池をいう。また、「時系列河川流れデータ」とは、水深・流速・流れ方向をいう。
【0011】
上記構成を有する本発明に係る河川環境シミュレーションシステムによれば、河川部抽出手段により、撮影データ記憶手段に記憶された撮影データと地形データ記憶手段に記憶された前記地形データを重ね合わせ、前記撮影データのうち河川部に相当する部分に対応する地形データが河川部データとして抽出され、当該河川部データは、河川部データ記憶手段に記憶される。当該河川部データに対して負荷データ追加手段により河床データまたは水理構造物から選ばれる少なくともいずれかの負荷データが追加された場合には当該河川部データと当該負荷データとが河川部データとして河川部データ記憶手段に記憶される。そして、時系列河川流れデータ演算手段により、河川部データ記憶手段に記憶された当該河川部データに対して時系列河川流れデータが算出される。これにより、負荷データを追加した場合の流体シミュレーションが短時間で効率的かつ容易に行われることになる。
【0012】
この場合に、請求項2に記載されるように、前記時系列河川流れデータに対して時系列生態データ、時系列水質データおよび時系列植生データからなる環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかをテーブルを参照することにより求める環境データ演算手段を備えることが望ましい。
環境データ演算手段を設けるとよいのは、河川改修工事においては、河川改修工事が環境に与える影響に予め配慮するため環境シミュレーションを行う必要があるからである。すなわち、長期的な視点でみたときに少なくとも河川改修工事が原因となって環境破壊を引き起こすことがないように配慮しなければならないからである。そうすれば、現在の環境を維持するのはもちろんのこと、自然環境によりよい河川を創出できる場合もある。予めこのような環境データを演算しておけば、低コストで将来の状況を予測することができるという利点もある。
【0013】
この場合に、請求項3に記載されるように、前記河川部データを画像として表示するとともに、利用者に当該画像に基づいて河川外周部を指定させるための入力支援画像を表示する表示手段と、前記河川外周部を指定するための入力手段と、前記入力手段により前記河川外周部が指定されると当該河川外周部について四角形または六面体の計算用集中格子を構築する計算格子構築手段とを備えるとよい。
ここで「河川外周部」とは、川水との境界面に相当する地表面のことを意味する。このようにユーザが自由に河川外周部を指定できるようにしたのは、川水との境界面に相当する地表面は増水・渇水・河床形状等によって変化するから、増水時や渇水時における流体シミュレーションを正確に行うことができるようにするためである。「計算用集中格子」とは、物理平面上のデータとして表現される地形データを計算平面となる一般曲線座標系上のデータとして表現したものである。この計算用集中格子は、四角形または六面体となる上、流速・圧力を同一点によって表す集中格子を採用するため、流体シミュレーションにおける演算量が従来一般のスタガード格子に較べて減少することになる。
【0014】
この場合に、請求項4に記載されるように、前記入力手段により、前記河川外周部に対して離散的に測定された河床データが既存の河床データとの関連で前記入力支援画像に従って対話的に入力されると、対話手順に従って連続河床形状を構築し、および/または、前記入力手段により、前記河川外周部に対して河道内データまたは河道外データのうちから選ばれる少なくともいずれかが既存の河床データとの関連で前記入力支援画像に従って対話的に配置されると、配置手順に従って連続河床形状を構築する連続河床形状構築手段を備えることが望ましい。「離散的に測定された河床データ」を入力できるようにしたのは、実測値からなる三次元地形データを優先して流体シミュレーション結果に反映させるためである。従って、連続河床形状構築手段を備えたことで、月日の経過にともなって地形に若干の変化がある場合・土砂の堆積や掘り起こしにより地形に変化がある場合・地震や台風などの災害で地形に変化がある場合等の事情がある場合には、実測値に基づいて流体シミュレーションができる。全ての地形データを実測値に置き換える必要がある場合でもコンピュータ上で作業ができるため種々の場合を検討することができる。
また、「河道内データまたは河道外データのうちから選ばれる少なくともいずれか」を入力できるようにしたのは、自動構築された河川該当部の改修工法を入力させることで予定している改修工法が最適かどうか、改修工法を変更すべきかどうかを流体シミュレーション結果および/または環境シミュレーション結果に基づいて判断することができるようにするためである。ちなみに、「河道内データ」とは、低水路法線形・法覆工・法留工・根固工・水制工・護床工のことを意味し、「河道外データ」とは、遊水池(調節池)・蜻蛉池のことを意味する。尚、ユーザが入力した河床データ並びに河道内データおよび河道外データは少なくとも既存の地形データと同様の三次元データ構造を有する形式にはじめからなっているか若しくはそのように自動的に変換されるようになっている。
さらに、ユーザが対話型画面に従って行うことができるようにしたのは、画面入力によってユーザが入力を促されるようにしておけば入力項目の漏れを未然に防止することができるからである。
【0015】
この場合に、請求項5に記載されるように、前記計算格子構築手段は、前記連続河床形状を前記計算用集中格子に追加して四角形または六面体の計算用集中格子を構築するものであることが望ましい。すなわち、請求項3における「抽出データ」についての計算用集中格子の構築はもちろんのこと、さらに、連続河床形状データについての計算用集中格子の構築もまた、物理平面を一般曲線座標系である計算平面に座標変換することによって行うとよい。ここで「計算用集中格子」とは、上述したように物理平面上のデータとして表現される地形データを計算平面となる一般曲線座標系上のデータとして表現したものである。計算用集中格子は、四角形または六面体となる上、流速・圧力を同一点によって表す集中格子を採用するため、流体シミュレーションにおける演算量をスタガード格子に較べて減少させることができる。
【0016】
この場合に、請求項6に記載されるように、前記時系列河川流れデータ演算手段は、交互に差分方向を変える組合せを用いて前記計算用集中格子に関して新たな時系列河川流れデータを演算するものであることが望ましい。
ここで「交互に差分方向を変える組合せ」とは、第一に、ある変数Fについてξ、η方向のそれぞれに適用する1次元差分スキームをLξ(Δt)F、Lη(Δt)Fのように演算子で表すと元の方程式の解は、Fn+1 i,j=Lξ(Δt)Lη(Δt)Fn…(1)式と表されるが、単純に組み合わせると個々の演算子が2次精度を有していても1次精度に落ちるので2次精度を保つために、Fn+1 i,j=[Lξ(Δt)Lη(Δt)+Lη(Δt)Lξ(Δt)]Fn i,j/2…(2)式のようなスキームを用いることをいい、第二に、(2)式における各演算子の差分方向の組合せについて第1項Lξ(Δt)Lη(Δt)のうち、Lξ(Δt)およびLη(Δt)はいずれも予測子段階において後退差分をとり修正子段階において前進差分をとるとともに、第2項Lη(Δt)Lξ(Δt)のうち、Lη(Δt)およびLξ(Δt)はいずれも予測子段階においては前進差分をとり修正子段階においては後退差分をとるように組み合わせることをいう。「交互に差分方向を変える組合せ」を用いたことで、計算用集中格子の構造に差異があっても流体シミュレーション解析は殆ど影響を受けないという利点がある。
「時系列河川流れデータの演算」とは、数1に示したSt.Venantの二次元浅水流方程式を基本方程式として数8から数13を計算用集中格子に適用して、流体シミュレーション時点における水深・流速・流方向・圧力等を算出することをいう。
【0017】
この場合に、請求項7に記載されるように、前記環境データ演算手段は、前記新たな時系列河川流れデータに対して既定値である生態データまたは水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより当該データの時系列変化である新たな時系列生態データおよび/または新たな時系列水質データを環境データを構成するものとして求めるものであることが望ましい。
ここで「時系列生態データ」とは、水中の微生物、水中の植生、低水敷の植生、高水敷の植生、天端の植生、昆虫、魚、鳥類などをいう。また、「時系列水質データ」とは、pH、有機物の汚濁の程度を示すBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)、外観・色・味・におい、透明度・透視度、水温・気温、電気伝導度などをいう。中でも水温・気温は、生育する生物の種類・成長速度を左右する要因になる。
環境シミュレーションに際しては、例えば、現状を入力しておき必要な河床データや水理構造物を追加して計算用集中格子を作成した上で、求めたい時点(例えば、何日後、何月後、何年後)を入力すると、現状の水質とそのときの河川状況に応じて、将来の時系列生態データや時系列水質データが求められる。
【0018】
この場合に、請求項8に記載されるように、前記環境データ演算手段は、前記新たな時系列生態データまたは前記新たな時系列水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより河川および河川周囲の新たな時系列植生データを環境データを構成するものとして求めるものであることが望ましい。
ここで「時系列植生データ」とは、冠水頻度、気温、水温、湿度等によって決定される植物に関する情報をいう。
【0019】
この場合に、請求項9に記載されるように、画像処理手段を備え、当該画像処理手段は、前記新たな時系列生態データ、前記新たな時系列水質データまたは前記新たな時系列植生データのうちから選ばれる少なくともいずれかに対応する画像をテーブルを参照することにより決定し、当該画像が前記表示手段により表示されるものであることが望ましい。
かかる構成によってユーザは視覚的に河川改修工事の影響を予測することができるからである。
【0020】
この場合に、請求項10に記載されるように、前記環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力として河川施工の経済的効果を求める施工効果演算手段を備えるとよい。
ここで「河川施工の経済的効果」とは、河川改修工事により環境が良くなり人が集まるようになって商業的成果が上がるとか、再度改修工事を行う必要性の有無による河川維持費の有無等をいう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な一実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の説明において、単に「格子形状」という場合には河川の河床形状を意味し、「計算用集中格子」という場合には流体シミュレーション演算用に物理平面からデカルト平面(計算平面)へ座標変換がされた計算平面上の集中格子をいう。また、単に「河川地域」という場合には河川を含む地図上のある地域を意味し、「河川外周部」という場合には水が流れる地表面、低水路、高水敷、堤防敷、堤内地を含む意味である。また、河川環境シミュレーションは、川水の流れに関する「流体シミュレーション」と、自然環境そのものに関する「環境シミュレーション」とからなる。
一 河川環境シミュレーション装置10の全体概略構成
図1は、本発明の一実施形態に係る河川環境シミュレーション装置10(以下、単に「装置10」とする。)のブロック構成を示したものである。また、図2は、装置10の動作を概略的に示したフローチャートである。
【0022】
まず、装置10は、河川上空から河川改修工事の対象となる河川を含む地域を航空撮影したデジタルビデオデータと既知の三次元地形データとから三次元の河川形状データを抽出し、河川およびその周辺環境を再現し、水理状況(水深・流速・流方向・圧力)を解析するとともに、自然を含める多方面への影響並びに河川およびその周辺の経年変化をシミュレーションする装置である。
【0023】
従って、装置10は、河川改修工事に際して利水・治水の面からさまざまな対策を検討しつつ多自然型河づくりをめざすために活用される。すなわち、装置10は、河川改修工事の必要性の有無、効率的・効果的な施工方法の検討、河川改修工事後の河川およびその周辺環境の経年変化等を予め予測するため机上検討に供され、利水・治水の便を確保しつつ良好な河川現況の喪失を回避したり回復させようとする目的で活用される。
【0024】
図1に示したように、装置10は、ROM12(リードオンリメモリ)、地形データ記憶領域14、撮影データ記憶領域16、データテーブル記憶領域18、CPU20(中央処理装置)、数値演算プロセッサ22、画像処理プロセッサ24、RAM26(ランダムアクセスメモリ)、ディスプレイ28、キーボード・マウス・ジョイスティック等の入力用デバイス30を含む。装置各部は、アドレス付けがなされておりデータバス(図示略)を経由して演算結果、制御命令等を含むデータの送受信ができるように構成されている。
【0025】
まず、ROM12は、図2に示した本発明の一実施形態に係る河川環境シミュレーションの各手順を装置10に実行させるためのプログラムを当該装置10から読出可能に記憶させたものである。
【0026】
地形データ記憶領域14は、国土交通省から配布されるデータを記憶した領域であって河川改修工事の対象となっている河川を含む地域を実測することにより得られた既知の三次元地形データ(以下、単に「地形データA」とする。)を記憶している。撮影データ記憶領域16は、河川上空から撮影したデジタルビデオデータやデジタル写真を河川部の映像データ(以下、単に「撮影データB」とする。)として記憶している。
【0027】
地形データ記憶領域14および撮影データ記憶領域16は、装置10のハードディスクドライブに設ければよい。あるいは、フロッピィディスクや磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスクに地形データAや撮影データBを記憶させておき、フロッピィディスクドライブその他の外付けドライブから直接読み出すようにしてもよい。
【0028】
データテーブル記憶領域18は、後述する環境シミュレーション演算や画像表示において参照されるテーブルを記憶した領域である。例えば、後述する抽出データCや抽出データC'が記憶されるほか、時系列河川流れデータTRと、時系列生態データTA・時系列水質データTW・時系列植生データTPとの関係や流体シミュレーション結果等が記憶される領域である。予め抽出データC,C'に相当するデータを適当なファイル名を付して記憶しておくこともできる。種々の表示用画像データを適当なファイル名を付して記憶しておくこともできる。
【0029】
装置10は、電源を投入するとCPU20によりROM12に格納されたプログラムが読み出され、図2に示した河川環境シミュレーションの各手順を順次実行するように構成されている。従って、CPU20は、当該プログラムに記述された手順に従って、あるいは、キーボード・マウス・ジョイスティック等の入力用デバイス30その他装置各部から送出される割込等の制御信号に従って、(i)河川部データの抽出およびその画面表示(図2のS20,S30,S31,S32参照)、(ii)計算用集中格子の演算(図2のS20,S32,S42参照)、(iii)水理演算および演算結果等に基づく流体シミュレーションおよび環境シミュレーション(図2のS34,S44,S54,S35,S45,S55参照)等を行うべく装置各部を制御する。
【0030】
数値演算プロセッサ22は、CPU20から送出される命令に従って科学技術計算やマトリックス演算を行うものであり、例えば、数1から数13により数式表現される演算を行う。
画像処理プロセッサ24は、CPU20から送出される命令に従って数値演算プロセッサ22によって演算された演算結果に基づいて画像処理を行って画像を合成する。合成された画像は、データバスを介してディスプレイ28に供給される。
【0031】
RAM26(ランダムアクセスメモリ)は、数値演算プロセッサ22における演算処理や画像処理プロセッサ24における画像処理において一時的に用いるデータを読書可能に一時的に記憶する記憶領域であり、揮発性メモリでも不揮発性メモリでもどちらでもよい。
【0032】
ディスプレイ28は、数値演算プロセッサ22による科学技術計算の結果や画像処理プロセッサ24による合成画像のほか、プログラムの手順に従って、対話型画面・シミュレーション画面等を表示するものである。
【0033】
入力用デバイス30は、ディスプレイ28に表示される対話型画面に従ってユーザが各種命令を入力するために用いられ、例えば、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネル等が用いられる。キーボードやマウスは、画面表示に従ってデータファイル名を指定したり数値演算プロセッサ22による演算条件や画像処理プロセッサ24による画像処理条件を指定するのに用いられる。キーボードやマウスは、ディスプレイ28に表示された格子形状に対して水理構造物を追加したり、河道内データや河道外データを入力したりするのにも使用される。格子形状を計算用集中格子に変換するときのxy各方向の分割等分数を入力するのにも用いられる。さらに、マウスによれば、ディスプレイ28に表示された格子形状について、その修正ポイントを選択したり、選択された格子位置をダブルクリックやドラッグにより画面表示を一々確認しながら修正することができる。
【0034】
二 河川環境シミュレーション演算に関わる部分の詳細な構成
河川環境シミュレーションの手順は、上述した構成により、概略的には、(i)撮影データBに基づいて地形データAから河川部データを抽出データCとして抽出する工程と、(ii)河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを追加・変更・除去する工程と、(iii)抽出データCに関して時系列河川流れデータTR並びに時系列生態データTA、時系列水質データTW、時系列植生データTPおよび河川施工の経済的効果TEを算出する工程からなる。このうち、数値演算プロセッサ22が本発明に係る一実施形態との関係で特徴的であるのは、(i)における抽出データCの抽出に関わる機能と、(i)・(ii)における格子形状の計算用集中格子への変換(座標変換)に関わる機能と、(iii)における流体シミュレーションおよび環境シミュレーションに関わる機能である。そこで、これらの機能を実現する数値演算プロセッサ22の構成について以下にさらに説明する。
【0035】
[抽出データCの抽出]
数値演算プロセッサ22は、CPU20により抽出データCの抽出が指示されると次のような処理を行うように構成されている。まず、地形データAをRAM26を用いて仮想三次元座標上に格子形状でプロットする。さらに、撮影データBを地形データAの表示寸法に整合させた状態で当該仮想三次元座標上に重ね合わせる。そして、地形データAのうち撮影データBと重なる部分を抽出データCとして抽出する。この抽出データCは、平面を多層に重ねることで三次元を表したものである。尚、画像処理プロセッサ24の処理により地形データA、撮影データBおよび抽出データCは、ディスプレイ28上に画像表示されるようになっている。
【0036】
地形データAと撮影データBは、これらのデータA,Bを数値演算プロセッサ22がそのまま重ね合わせができるように河川地域・縮尺・配置方向が同じになるように予め定められたデータフォーマットにしておくのがよいが、画面上でユーザが河川地域・縮尺・配置方向を調節できるようなデータフォーマットのものでもよい。数値演算プロセッサ22は、ユーザによりディスプレイ28上でマウス等により河川地域が指定されると地形データAのうち撮影データBと重なる部分であってユーザによる指定範囲内に含まれる河川領域のデータを抽出データCとして抽出する。
【0037】
[物理平面から計算用集中格子への座標変換]
数値演算プロセッサ22は、物理平面上の格子形状を含むデータを計算平面上の計算用集中格子を構成するように座標変換を行うように構成されている。この座標変換は、図2でいえば、S20の三次元形状解析ツール、S30の河床修正ツール、S40の改修工法作成ツールにおいてなされる。
【0038】
そこで、S20の三次元解析ツールにおける抽出データCを例にして座標変換について説明する。まず、抽出データCから河川の中心線Lxを求める(図3参照)。中心線Lxとしては各分割ポイント毎の分割線Lyの中心を通る水流方向に沿った線が選ばれる。次いでユーザにより指定された分割数で河川の幅方向および流方向を分割する。このようにして得られる格子形状(図3では四角形状)の各格子点は、物理平面(x,y)上にあるためパソコンレベルでの流体シミュレーション演算を可能とすべく一般曲線座標系である計算平面(ξ,η)上に写像される(図4参照)。計算平面(ξ,η)上に写像された後の抽出データCは、「流体シミュレーション演算に適用できる計算用集中格子を構成するデータ」たる抽出データC'として保存される。
【0039】
計算平面(ξ,η)上に写像するようにしたのは次の理由による。流れ場に適切な計算用集中格子を分布させれば、流体シミュレーションを実質的に形状の単純な計算空間、例えば、長方形状その他の四角形状の空間で行うことができるからである(図4(b)参照)。また、ここで採用する計算用集中格子は、図5に示した集中格子である。この集中格子は、速度・圧力・流方向のすべてを同一の格子点で離散化して解くのに用いられる。同図から明らかであるが、集中格子の数は1個であるのに対しスタガード格子の数は3個であり、集中格子の数はスタガード格子よりも少ない。集中格子によれば、写像に関係する幾何学量の計算量(例えば、方程式の数)を格子数が少ない分だけ減少させることができるため記憶容量も少なくでき、パソコンにかかる負荷は抑制される。また、壁面等の境界条件の与え方も簡略化できる。従ってハードウエア資源を有効利用することができる。
【0040】
[流体シミュレーション演算]
流体シミュレーション演算は、図2を例にとると、S30の河床修正ツール、S40の改修工法作成ツールにおいてそれぞれ算出された計算用集中格子である計算座標データD1,D2に対して行われる(現状の抽出データC'について流体シミュレーションを行う場合にはS30において河床修正を行わないことで対応するように構成されている)。また、流体シミュレーション演算を実現している構成およびその仕組みは、同図のS34の現状水理計算ツール、S44の水制・ワンド水理計算ツールおよびS54の河床変動ツールのいずれにおいても共通である。流体シミュレーション演算においては画面上で演算条件を指定することができる。例えば、低水時か高水時か、どの時点でのシミュレーション結果か等である。そこで、数値演算プロセッサ22による流体シミュレーション演算を実現している構成およびその仕S組みについて説明する。
【0041】
・基礎方程式について まず、流体シミュレーション演算に用いた基礎方程式は、数1に示したSt.Venantの二次元浅水流方程式である。
【数1】
Figure 0003760439
各変数は、Mがx方向の流量フラックス、Nがy方向の流量フラックス、hが水深、gが重量加速度、Sox,Soyが河床勾配、zが河床高、Sfx,Sfyが摩擦勾配に関する項、tが時間、xが物理平面上のx座標、yが物理平面上のy座標、nが粗度係数、vtが粘性係数である。
河床勾配Sox, Soyと河床高zとの間には、数2に示した関係がある。
【数2】
Figure 0003760439
摩擦勾配に関する項Sfx,Sfyは、Manningの粗度係数を用いると数3により表される。
【数3】
Figure 0003760439
また、摩擦速度u*は、Manning式から数4により表される。
【数4】
Figure 0003760439
さらに、流速vtと摩擦速度u*との関係は、数5により表される。ここで、karman定数κはκ=0.40とすればよい。
【数5】
Figure 0003760439
【0042】
・二次元浅水流方程式の座標変換について 数1から数5に示した式は、物理平面上におけるものであるから、一般曲線座標に変換された計算座標データD1,D2にはそのまま適用することができない。そこで、数1を計算平面たる一般曲線座標に変換したものに計算座標データD1,D2を適用することとしている。数1に示したSt.Venantの二次元浅水流方程式を一般曲線座標に変換した式を数6に示す。
【数6】
Figure 0003760439
また、計算平面における反変成分速度(U,V)と物理平面における速度(u,v)との間には数7の関係が導かれる。
【数7】
Figure 0003760439
ここで、各変数は、Uがξ方向の流速反変成分、Vがη方向の流速反変成分、uがx方向の流速、vがy方向の流速である。計算格子は境界条件を設定しやすい集中格子を用いる。
【0043】
・差分スキームについて 数6の差分化はMacCormack法を用いて行ったものである。その差分スキームを数8から数11に示す。このうち数10および数11は、数8および数9に示した差分スキームに基づいてSt.Venantの二次元浅水流方程式を計算平面上のξ方向およびη方向に適用したものである。境界条件の設定により、流体シミュレーション演算を高精度に行うことができ、信頼性の高い結果が得られる。
【数8】
Figure 0003760439
【数9】
Figure 0003760439
【数10】
Figure 0003760439
【数11】
Figure 0003760439
【0044】
このMacCormack法は、常流・射流の混在する水理現象に有効な差分スキームであり、陽的な予測子−修正子の二段階の組合せによって時間的にも空間的にも2次精度を持たせるようにしている。演算子の組合せとしては、計算結果と実験結果とを比較して最小限の誤差で済む妥当な組合せとして、「交互に差分方向を変える組合せ」が採用されている。
【0045】
ここで「交互に差分方向を変える組合せ」とは、第一に、ある変数Fについてξ、η方向のそれぞれに適用する1次元差分スキームをLξ(Δt)F、Lη(Δt)Fのように演算子で表すと元の方程式の解は、Fn+1 i,j=Lξ(Δt)Lη(Δt)Fn…(1)式と表されるが、単純に組み合わせると個々の演算子が2次精度を有していても1次精度に落ちるので2次精度を保つために、Fn+1 i,j=[Lξ(Δt)Lη(Δt)+Lη(Δt)Lξ(Δt)]Fn i,j/2…(2)式のようなスキームを用いることをいい、第二に、(2)式における各演算子の差分方向の組合せについて第1項Lξ(Δt)Lη(Δt)のうち、Lξ(Δt)およびLη(Δt)はいずれも予測子段階において後退差分をとり、修正子段階において前進差分をとるとともに、第2項Lη(Δt)Lξ(Δt)のうち、Lη(Δt)およびLξ(Δt)はいずれも予測子段階においては前進差分をとり、修正子段階においては後退差分をとるように組み合わせることをいう。「交互に差分方向を変える組合せ」を用いたことで、計算格子構造に差異があっても流体シミュレーション解析は殆ど影響されないという利点がある。
【0046】
・時間増分について MacCormack法の安定条件はvon Neumannの安定性判定法によって求められている。安定条件は数12に示した周知のCFL条件式によって与えるようにした。
【数12】
Figure 0003760439
【0047】
・人工粘性について 2次精度のMacCormack法では、境界形状が激しく変化する場所を中心に数値的振動が生じるので、適度の振動抑制効果を持つ人工粘性を加えている。しかし、人工粘性は数値的振動と同時に物理的に意味のある境界変化等に起因した変動も抑える傾向がある。そこで、流れの変化が滑らかな領域では作用せず、振動の激しい領域でのみ効果をもつJameson(Journal of Hydraulic Research, Vol.30, No.1, pp.77-93,1992; Journal of Hydraulic Reserch, Vol.35, No.2, pp.243-256, 1997)らの提案した水面形状に依拠して振動を緩和する数13に示した人工粘性が導入されている。採用した差分方向の組合せ方法ではこの値を小さくできることも判明した。
【数13】
Figure 0003760439
【0048】
・初期条件と境界条件について 初期条件は、下流端の水位を一定として一般断面水路の不等流計算の方程式を用いて、各断面について上流端までの平均深さを求めManning則で各点の流量フラックスを算定して与えた。ただし、初期の流向は、ξ方向のみとし、η方向の流量フラックスは0としている。
【0049】
[環境シミュレーション]
環境シミュレーション演算は、図2でいうS34の現状水理計算ツール、S44の水制・ワンド水理計算ツールおよびS54の河床変動ツールにおいて流体シミュレーション結果に対して行われる。そこで、数値演算プロセッサ22による環境シミュレーション演算を実現している構成およびその仕組みについて説明する。
【0050】
環境シミュレーション演算は、流体シミュレーション演算に引き続いて行われる。数値演算プロセッサ22は、流体シミュレーション演算による結果として得られた新たな時系列河川流れデータTR(流速・圧力・流方向)に対して既定値である生態データまたは水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力として当該データの時系列変化である新たな時系列生態データおよび/または新たな時系列水質データを求めるものである。数値演算プロセッサ22は、さらに、新たな時系列生態データまたは新たな時系列水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてデータテーブル記憶領域18に格納されている表1に示したテーブルを参照することにより河川および河川周囲の新たな時系列植生データを求めるものである。
【表1】
Figure 0003760439
【0051】
すなわち、数値演算プロセッサ22は、例えば、表1を参照することにより既定値である水質データから生息し得る生態データを特定する。例えば、水質Aの場合には、ヤマメ、イワナ、ヒメマス等が生息し得るものと判断されるのである。一方で、数値演算プロセッサ22は、新たな時系列河川流れデータTRと現状データとを比較して水質に変化があるかを判断する。数値演算プロセッサ22は、流速が速くなって水質が向上すると予想されるときは水質のランクを一つあげ、流速が遅くなって河水が淀み水質が悪くなると予想されるときは水質のランクを一つ下げ、流速が現状と大差ないと予想されるときはそのままの水質を維持する。また、数値演算プロセッサ22は、新たな時系列河川流れデータTRと現状データとを比較して生態に変化があるかを判断する。数値演算プロセッサ22は、流速や水深の変化によって生態系に変化があると予想されるときは生態を変化させ、流速や水深の変化が現状と大差ないと予想されるときはそのままの生態を維持する。
【0052】
さらに、数値演算プロセッサ22は、新たな時系列生態データTAや新たな時系列水質データTWを入力として新たな時系列植生データTPを求める。すなわち、気温・水温・冠水頻度のほか、新たな時系列生態データTAや新たな時系列水質データTWから実現し得る植生を特定する。実現し得る植生を特定するとしたのは、河川環境は、自然の潜在力を活かしつつ人工的に創出された自然によって実現できるからである。所期する環境が得られるように各種種類の植物を植えればよい。
【0053】
三 河川環境シミュレーション装置10の動作手順
次に、上記構成を備えた装置10の動作について、図2に示したフローチャートを参照して説明する。
まず、シミュレーションに先立ち事前に河川改修工事の対象となる河川を含む地域の三次元の既知の実測データを地形データAとして国土交通省から入手しておく。さらに、シミュレーションに先立ち事前に河川改修工事の対象となる河川を含む地域を河川上空から撮影したデジタルビデオまたはデジタル写真を撮影データBとして準備しておく。また、装置10において使用するデータファイルとしては水文学データ、水理学データ、生態データ、水質データ等が反映された既存のものを用いればよい。データファイルについては、シミュレーションシステムを立ち上げた後で編集することもできる。
【0054】
ユーザが装置10の電源を投入すると装置10においては所定の初期化処理がなされる。シミュレーションシステムの立上げに並行してあるいは前後して、ユーザの操作により地形データ記憶領域14には地形データAがファイル名を付して格納され、撮影データ記憶領域16には撮影データBがファイル名を付して格納されている。データ入力インタフェースが起動されディスプレイ28には所定の初期画面が表示された後、図6に示したユーザ入力を促す対話型画面たるデータ選択画面が表示される。
【0055】
図6のデータ選択画面には地形データAと撮影データB等の入力欄(具体的には、地形データAとして格子型座標が入ったデータファイル名と、撮影データBとして三次元座標を持った河川のデータファイル名)が表示されるため、ユーザがマウスやキーボードを用いて地形データAと撮影データBとを指定する。また、図7に示した「現状の入力」として地形データAおよび撮影データBのほかにも水文学データ・水理学データ・生態データ等をデータファイル(右岸データ、左岸データ等)の指定により入力することができる。入力項目の詳細は同図に示した通りである。この操作の完了が装置10により認識されると(S10)、装置10は次の処理に進む。
【0056】
S20においては三次元形状解析ツールを起動させ、数値演算プロセッサ22により地形データAと撮影データBとが重ね合わされ抽出データCとして河川部データが求められる。そして、抽出データCは、物理平面から計算平面へ座標変換がなされ抽出データC'としてデータテーブル記憶領域18やRAM26等に保存される。一方、地形データA、撮影データB、抽出データCあるいは抽出データC'は、画像処理プロセッサ24により所定の画像処理が施されてディスプレイ28上に三次元形状あるいは格子形状で表示される。その後、装置10は次の処理に進む。
【0057】
S30においては、河床修正ツールを起動させることで抽出データC'のデータ修正・変換・加工が可能になる。ディスプレイ28上ではマウスで示される部分の抽出データC'の格子形状の色が周りの格子形状の色とは違う色で表示されるようになっているため表示中の格子形状を任意の形状に修正・加工ができる。
【0058】
図8Aおよび図8Bは河川改修工事を視覚的に表したものである。図8Aは格子形状を示したものであるが、これを例にとれば離散的に実測された河床データを格子形状として反映させるには、ある格子点をマウスクリックにより選択し、ドラッグによって修正したい地理上の位置までもってきた上でマウスクリック等により確定させればよい。格子形状そのものを修正したいときは、ある格子と格子とを結ぶ線をマウスクリックにより選択し、ドラッグによって連結させたい格子点までもってきた上でマウスクリック等により確定させればよい。
【0059】
画像処理プロセッサ24は、デフォルトの表示方法の他、ユーザによって任意に指定された角度・位置・表示方法に従って格子形状を表示するように構成されている。ディスプレイ28上には、河川地形のみならず画面切替用の入力支援画面も表示される。従って、ユーザが所定位置でマウスクリックを行ったりキーボードによるキー入力をすることにより、画像処理プロセッサ24が所定の表示用画像を合成するため、360度の視点から河川形状を表示させることができ任意の地点の断面を表示させることができる。
【0060】
かくしてユーザによる修正・加工等の画像処理がマウス・キーボード等の操作により確定すると、画像処理プロセッサ24により現に表示されている画像であって修正された格子形状を含めたものが3D画像データE1として保存される(S31)。さらに、数値演算プロセッサ22により、ユーザが修正した格子形状を含めた格子形状の計算格子への座標変換が行われ、算出されたデータが計算座標データD1として保存される(S32)。計算座標データD1および3D画像データE1が求まるとユーザに次の処理の選択が促される(S33)。
【0061】
S33においてシミュレーション演算が選択されると(S33:Y)、現状水理計算ツールが起動され、現状での流体シミュレーション演算および環境シミュレーション演算がなされ(S34)、現状での時系列河川流れデータTR、時系列生態データTA、時系列水質データTW、時系列植生データTPおよび河川施工の経済的効果TEが算出される。
【0062】
図9は、河川環境シミュレーションの出力データ基本項目を示したものであるが、同図の現状分析の欄が図2に示したS34における出力データに対応する。演算結果および現状表現アニメーションは、3D画像データE1に基づいて画像処理プロセッサ24による画像処理がなされた後、三次元画像や断面図等としてディスプレイ28に表示される(図2のS35)。
【0063】
一方、図2のS33において現状シミュレーションを行わず河川改修工法を反映させることを選択した場合には(S33:N)、改修工法作成ツールが起動される(S40)。改修工法作成ツールにおいては、ユーザの入力用デバイス30の操作により表示中の格子形状に対して画面上で任意に水理構成物が追加される(S40)。例えば、改修工法として各種の河道内データ(低水路法線形、法覆工、法留工、根固工、水制工、護床工)や河道外データ(遊水池・調節池、蜻蛉池)が入力される(図7参照)。ユーザにより明示的に確定されない限り追加・修正・削除等ができ、入力ミスをした場合でもキャンセルしながら作業できる。ディスプレイ28には、例えば、図8Aに示した格子形状の河川のほか、図8B(a)や同図(b)に示した水制工や堰と淵が立体的に表示される。
【0064】
かくしてユーザによる改修工法の入力・修正等がマウス・キーボード等の操作により確定すると、画像処理プロセッサ24により現に表示されている画像であって修正された格子形状を含めたものが3D画像データE2として保存される(S41)。さらに、数値演算プロセッサ22により、入力・修正された改修工法を含めた格子形状の計算格子への座標変換が行われ、算出されたデータが計算座標データD2として保存される(S42)。計算座標データD2および3D画像データE2が求まるとユーザに次の処理の選択が促される(S43)。
【0065】
S43において改修工法を反映させた状態でのシミュレーション演算が選択されると、水制・ワンド水理計算ツールを起動させる。これにより、改修工法を反映させた状態での流体シミュレーション演算および環境シミュレーション演算がなされ(S44)、改修工法を反映させた状態での時系列河川流れデータTR、時系列生態データTA、時系列水質データTW、時系列植生データTPおよび河川施工の経済的効果TEが算出される(S44)。演算結果および水制・ワンドは、3D画像データE2に基づいて画像処理プロセッサ24による画像処理がなされた後、三次元画像等としてディスプレイ28に表示される(S45)。
【0066】
一方、S43において改修工法のみならず時間経過に伴う河床変動を反映させた状態でのシミュレーション演算が選択されると、河床変動計算ツールを起動させる(S54)。これにより、時間経過に伴う河床変動を反映させた状態での流体シミュレーション演算および環境シミュレーション演算がなされ(S54)、時間経過に伴う河床変動を反映させた状態での時系列河川流れデータTR、時系列生態データTA、時系列水質データTW、時系列植生データTPおよび河川施工の経済的効果TEが算出される(S54)。演算結果および変動結果は、3D画像データE2に基づいて画像処理プロセッサ24による画像処理がなされた後、三次元画像等としてディスプレイ28に表示される(S55)。
【0067】
四 河川環境シミュレーション装置10の評価
[評価概要]
上述したように、流体シミュレーション演算において用いた差分スキームは、2次精度を持たせるべく、上記(2)式(Fn+1 i,j=[Lξ(Δt)Lη(Δt)+Lη(Δt)Lξ(Δt)]Fn i,j/2)のスキームを用いている。この場合に、各演算子の差分方向と差分方向の組合せとしては、表2に示したように、少なくとも一実施形態としたもの(実施例1に相当する)を含め3つの組合せが考えられた。3つの組合せは、図2に示したフローチャートに従って記述されたプログラムにおいて該当する部分のモジュールを取り換えることによって実現した。
【0068】
【表2】
Figure 0003760439
これらの組合せについて、盆地モデル1,2を用いて、(i)流速ベクトルについて演算結果が実測結果と一致するのかどうかという点と、(ii)計算格子構造が異なると解析結果が影響されるのかどうかという点を調べることにより、(i)差分方向の組合せが妥当かどうかという点と、(ii)シミュレーション方法の適用性を評価した。
【0069】
盆地モデル1,2は、幅が1.8m、長軸と短軸との比が1.5:1の楕円形をした盆地部と幅が短軸の1/4の流入水路(長さ2m)と1/5の流出水路(長さ2m)を有するモデルである。ただし、盆地モデル1が全体が単一の一様勾配の長方形断面をしているのに対し、盆地モデル2が盆地モデル1の上下流水路間を直線的に結んでできる全計算領域にわたって円弧断面の掘込河道(最大深さ7.5cm)を設けたものである点が異なっている。
【0070】
[差分方向の組合せについての評価]
図10Aは、盆地モデル1の計算格子である。図10Bは、図10Aに示した計算格子により求めた流速ベクトル分布を示したもので、(a)が実施例1、(b)が比較例1、(c)が比較例2に対応している。図10Cは、盆地モデル1についての等流速分布(cm/s)を示したもので、(a)が流量30L/sの実験による等流速分布、(b)が実施例1の時間平均した計算流速の等流速分布に対応している。
【0071】
まず、図10Bの結果から明らかなように、実施例1は流速ベクトルが対称になったのに対して比較例1および2は流速ベクトルが非対称となった。図10C(a)の実験による等流速分布によれば、循環領域が中心線に対して完全に近い対称性を示していることから、対称性を示したという点で実験結果と一致する実施例1が妥当な組合せであると推測できる。比較例1および2が非対称になったのは、差分方向の組合せが打切誤差を一方向に累積させていたためと考えられる。
【0072】
次に、この推測が真に妥当であるかどうかを確認するために、実施例1の流速ベクトルを時間平均した計算流速の等流速分布を求めたところ、図10C(b)に示した等流速分布が得られた。同図(b)の計算流速は、同図(a)の実験流速と較べるとよく一致していることが判明した。このことから、実施例1は、流速ベクトルについて演算結果が実測結果と一致することが判明し、その差分方向の組合せが妥当であることが確認された。
【0073】
[シミュレーション結果の信頼性の評価]
次に、実施例1に係る盆地モデル1に図10Aおよび図11Aに示した二種類の計算格子を適用することによりシミュレーション方法の適用性を調べた。図11Aの計算格子は盆地モデル2に適したものであるが、掘込河道の部分に適当な座標値を与え格子点数を変えることで盆地モデル1に適用している。図10Aの計算格子を用いた結果は、図10Bに示した(a)の流速ベクトルであり、図11Aの計算格子を用いた結果は、図11Bに示した流速ベクトルである。両図を比較すると、非定常性の強い小規模渦の形状が違うのみで主流と主な渦の状況は一致している。このことから、実施例1によれば計算格子構造に差異があっても解析には影響されず本実施形態に係るシミュレーション方法が妥当であることが確認された。また、計算格子構造が異なっても解析結果に影響が殆どでないことから信頼性の高いシミュレーション結果が得られることが確認された。
【0074】
[装置10によるシミュレーション例]
次に、装置10による環境シミュレーション例を図12Aから図16に示した画面表示例に沿って説明する。3D画像データE1,E2は、現状水理計算ツール(S34)、水制・ワンド水理計算ツール(S44)および河床変動計算ツール(S54)において求められた演算結果に基づいて種々の画像データとして合成されグラフ・画像・アニメーションとして表示される(S35,S45,S55)。
【0075】
図12Aから図12Cは、低水時のシミュレーション画面を示したものである。低水時のシミュレーションにおいては入力データ(図7参照)に低水時であることが反映されている。図12Aから図12Cに示したように、種々の表示方法が可能である。図12A(a)が低水時の水深表示を画像表示したものであり、(b)が低水時の水位を画像表示したものである。水深や水位によって川水部分が色分けして表示される。これにより水深や水位の分布状況が把握できる。また、水深と水位との関係から図12Bのように河床高と水位との関係をグラフにより表示することもできる。また、図12Cのように低水時の流速と流況を色分けして表示することもできる。
【0076】
図13Aから図13Cは、高水時のシミュレーション画面を示したものである。高水時のシミュレーションにおいては入力データ(図7参照)に高水時であることが反映されている。同図に示したように、種々の表示方法が可能である。図13A(a)が高水時の水位を画像表示したものであり、(b)が高水時の流速と流向を画像表示したものである。改修工事後の流況を知りたい場合には、図2に示したS54,S55の河床変動を考慮したシミュレーションを行えばよく、図13Bに示したように改修工事後における流速と流況とが表示できる。これらはいずれも視覚的にわかりやすく色分けして表示される。
【0077】
さらに、改修工法を施した後の河床変動を考慮した改修後の流況を知りたい場合には、入力データ(図7参照)に改修工法が反映されていれば図13Cのように水制とワンド周囲の流速と流況の表示が可能である。例えば、3本水制という改修工法を採用したときには、図14(a)のように流速と流況を拡大表示することができる。さらに、同図(b)に示したように、地形データと改修後の形状とを重ね合わせて表示させることもできる。
【0078】
また、図15は、(a)が河床の通水前の状況の画像表示例であり、(b)が通水1時間後の河床変動の画像表示例である。本発明の一実施形態に係る装置10によれば、このように経時的にシミュレーション結果を表示させることができるため、将来における河川環境の変化を事前に予測することができる。
【0079】
図16は、環境シミュレーション結果の一例を示したものであるが、時系列植生データTP等に基づいて種々の植物や生態をグラフィックで表示することができる。同図(a)は、生息環境のグラフィック表示であるが、これは、流域の水温・温度等何らかの条件によって色分けして生息環境がどのようになっているかを表したものである。また、同図(b)は、植生のグラフィック表示であるが、これは、たくさんの花が咲いている様子を表したものである。
【0080】
以上の装置10の構成および動作の説明並びにシミュレーション結果表示例から明らかなように、本実施形態によれば、コンピュータ上で三次元河川形状を再現あるいは予測できるため、河川改修工事における机上検討を短時間に行うことができ、しかも改修工法を変更する等、種々の場合について行うことができる。従って、実測を必要としないから低廉な人件費および効率の良さを実現できる。
【0081】
また、現状の水理データをコンピュータグラフィクスとして表示することで河川状況を容易に知ることができる。さらに、河川改修によって生じる状況の変化と自然の経年変化をコンピュータグラフィックスとして表示することもできるため、将来的な河川状況と植生変化などを容易に予測することができる。加えて洪水時などに関して堤防の決壊または氾濫時における周辺地域への影響を予測することができる。従って、本発明に係る河川環境シミュレーション装置を用いれば災害時には十分な対策をとることができる。
【0082】
さらに、河川改修による周辺環境への影響をシミュレーションできるため、環境アセスメントを実施して周辺環境への影響を予測し損失を限りなく回避することができる。また河川改修に関してのコスト算出をシミュレーションできるため、最小限のコストで最適な河川改修が実施できる。
【0083】
以上、本発明の好適な一実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。本実施形態は、一例として河川環境シミュレーション装置10により説明されているが、河川環境シミュレーション方法をコンピュータに実行させるための手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体もまた本発明に含まれるものである。この場合には、当該記録媒体をコンピュータに実装すればよい。また、上記実施形態においては四角形の計算用集中格子を用いたが六面体でもよい。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、請求項1から請求項10に係る河川環境シミュレーション装置は、河川部抽出手段によって撮影データに基づいて地形データから河川部データを抽出して、これを河川部データ記憶手段に記憶し、さらに、前記河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを負荷データとして追加されたときは前記河川部データと当該負荷データとを河川部データとして河川部データ記憶手段に記憶して、時系列河川流れデータ演算手段により、前記河川部データに関して時系列河川流れデータを算出するものであるから、実測作業を必要とせず、短時間で効率的に河川改修前後における河川の水理状況を全面的に把握し河川および多方面への影響を予測することができる。
【0085】
請求項5に係る河川環境シミュレーション装置は、計算格子として四角形または六面体の計算用集中格子を構築するため、演算量を減らすことができるという効果がある。
【0086】
請求項6に係る河川環境シミュレーション装置は、交互に差分方向を変える組合せを用いて新たな時系列河川流れデータを演算するものであるから、計算用集中格子が変わっても解析結果は影響されず信頼性の高い演算結果を得ることができるという効果がある。
【0087】
請求項11から請求項20に係る河川環境シミュレーション方法は、河川部抽出工程において撮影データに基づいて地形データから河川部データを抽出して、これを河川部データ記憶手段に記憶し、さらに、前記河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを負荷データとして追加されたときは前記河川部データと当該負荷データとを河川部データとして河川部データ記憶手段に記憶して、時系列河川流れデータ演算工程において、前記河川部データに関して時系列河川流れデータを算出するものであるから、実測作業を必要とせず、短時間で効率的に河川改修前後における河川の水理状況を全面的に把握し河川および多方面への影響を予測することができる。
【0088】
請求項15に係る河川環境シミュレーション方法は、計算格子として四角形または六面体の計算用集中格子を構築するため、演算量を減らすことができるという効果がある。
【0089】
請求項16に係る河川環境シミュレーション方法は、交互に差分方向を変える組合せを用いて新たな時系列河川流れデータを演算するものであるから、計算用集中格子が変わっても解析結果は影響されず信頼性の高い演算結果を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る河川環境シミュレーション装置10の概略構成を示し
たブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る河川環境シミュレーション装置10の概略的な動作手
順を示したフローチャートである。
【図3】格子形状の一例を示したものであり、(a)がその断面図、(b)が外観図である。
【図4】座標変換の概念を示したものである。
【図5】集中格子とスタガード格子とを比較のために示したものである。
【図6】ウインドウ表示されるデータ選択画面の一例を示したものである。
【図7】入力データ基礎項目を階層構造によって分類分けして示したものである。
【図8A】河川改修工事を可視的に表したものであり、河川形状を河川全体格子形状、断面および数値によって示した例である。
【図8B】河川改修工事を可視的に表したものであり、同図(a)が水制工をグラフィックに表したものであり、同図(b)が堰と淵とをグラフィックに表したものである。
【図9】出力データ基本項目を階層構造によって分類分けして示したものである。
【図10A】盆地モデル1の計算格子である。
【図10B】盆地モデル1の計算格子によって計算した流速ベクトル分布を示したものであり、(a)が実施例1、(b)が比較例1および(c)が比較例2に対応したものである。
【図10C】等流速分布を示したものであり、(a)が流量30L/sの実験による等流速分布であり、(b)が実施例1の時間平均により求めた等流速分布である。
【図11A】盆地モデル2の計算格子である。
【図11B】盆地モデル2の計算格子によって計算した流速ベクトル分布を示したものであり、実施例1に対応したものである。
【図12A】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図12B】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図12C】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図13A】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図13B】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図13C】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図14】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図15】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【図16】河川環境シミュレーション演算結果の画像表示例を示したものである。
【符号の説明】
A 地形データ
B 撮影データ
C 抽出データ
C' 抽出データ(抽出データCが計算用集中格子として変換されたもの)
D1,D2 計算座標データ
E1,E2 3D画像データ
TR 時系列河川流れデータ
TA 時系列生態データ
TW 時系列水質データ
TP 時系列植生データ
TE 河川施工の経済的効果
10 河川環境シミュレーション装置
12 ROM(リードオンリメモリ)
14 地形データ記憶領域
16 撮影データ記憶領域
18 データテーブル記憶領域
20 CPU(中央処理装置)
22 数値演算プロセッサ
24 画像処理プロセッサ
26 RAM(ランダムアクセスメモリ)
28 ディスプレイ
30 入力用デバイス

Claims (21)

  1. 既定値として与えられた地形データを記憶する地形データ記憶手段と、前記地形データの少なくとも一部に対応する地域を上空から撮影した撮影データを記憶する撮影データ記憶手段と、前記撮影データと前記地形データを重ね合わせ、前記撮影データのうち河川部に相当する部分に対応する地形データを河川部データとして抽出する河川部抽出手段と、前記河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを負荷データとして追加する負荷データ追加手段と、前記河川部データを記憶するとともに、前記河川部データに対して前記負荷データ追加手段により前記負荷データが追加されると前記河川部データと当該負荷データとを河川部データとして記憶する河川部データ記憶手段と、前記河川部データ記憶手段に記憶された河川部データに関して時系列河川流れデータを算出する時系列河川流れデータ演算手段と、を備えたことを特徴とする河川環境シミュレーション装置。
  2. さらに、前記時系列河川流れデータに対して時系列生態データ、時系列水質データおよび時系列植生データからなる環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかをテーブルを参照することにより求める環境データ演算手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の河川環境シミュレーション装置。
  3. 前記河川部データを画像として表示するとともに、利用者に当該画像に基づいて河川外周部を指定させるための入力支援画像を表示する表示手段と、前記河川外周部を指定するための入力手段と、前記入力手段により前記河川外周部が指定されると当該河川外周部について四角形または六面体の計算用集中格子を構築する計算格子構築手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の河川環境シミュレーション装置。
  4. 前記入力手段により、前記河川外周部に対して離散的に測定された河床データが既存の河床データとの関連で前記入力支援画像に従って対話的に入力されると、対話手順に従って連続河床形状を構築し、および/または、前記入力手段により、前記河川外周部に対して河道内データまたは河道外データのうちから選ばれる少なくともいずれかが既存の河床データとの関連で前記入力支援画像に従って対話的に配置されると、配置手順に従って連続河床形状を構築する連続河床形状構築手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の河川環境シミュレーション装置。
  5. 前記計算格子構築手段は、前記連続河床形状を前記計算用集中格子に追加して四角形または六面体の計算用集中格子を構築することを特徴とする請求項4に記載の河川環境シミュレーション装置。
  6. 前記時系列河川流れデータ演算手段は、交互に差分方向を変える組合せを用いて前記計算用集中格子に関して新たな時系列河川流れデータを演算することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の河川環境シミュレーション装置。
  7. 前記環境データ演算手段は、前記新たな時系列河川流れデータに対して既定値である生態データまたは水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより当該データの時系列変化である新たな時系列生態データおよび/または新たな時系列水質データを環境データを構成するものとして求めるものであることを特徴とする請求項6に記載の河川環境シミュレーション装置。
  8. 前記環境データ演算手段は、前記新たな時系列生態データまたは前記新たな時系列水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより河川および河川周囲の新たな時系列植生データを環境データを構成するものとして求めるものであることを特徴とする請求項7に記載の河川環境シミュレーション装置。
  9. さらに、画像処理手段を備え、当該画像処理手段は、前記新たな時系列生態データ、前記新たな時系列水質データまたは前記新たな時系列植生データのうちから選ばれる少なくともいずれかに対応する画像をテーブルを参照することにより決定し、当該画像が前記表示手段により表示されることを特徴とする請求項8に記載の河川環境シミュレーション装置。
  10. 前記環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力として河川施工の経済的効果を求める施工効果演算手段を備えたことを特徴とする請求項2から9のいずれか一項に記載の河川環境シミュレーション装置。
  11. 既定値として与えられた地形データを記憶する地形データ記憶手段から当該地形データを読み出すとともに、前記地形データの少なくとも一部に対応する地域を上空から撮影した撮影データを記憶する撮影データ記憶手段から当該撮影データを読み出す画像入力工程と、前記撮影データと前記地形データを重ね合わせ、前記撮影データのうち河川部に相当する部分に対応する地形データを河川部データとして抽出する河川部抽出工程と、前記河川部データに対して河床データまたは水理構造物のうちから選ばれる少なくともいずれかを負荷データとして追加する負荷データ追加工程と、前記河川部データを記憶するとともに、前記河川部データに対して前記負荷データ追加工程において前記負荷データが追加されると前記河川部データと当該負荷データとを河川部データとして記憶させる河川部データ記憶工程と、前記河川部データ記憶手段に記憶された河川部データに関して時系列河川流れデータを算出する時系列河川流れデータ演算工程と、からなることを特徴とする河川環境シミュレーション方法。
  12. さらに、前記時系列河川流れデータに対して時系列生態データ、時系列水質データおよび時系列植生データからなる環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかをテーブルを参照することにより求める環境データ演算工程を備えたことを特徴とする請求項11に記載の河川環境シミュレーション方法。
  13. 前記河川部抽出工程は、前記河川部データについて集中格子を用いて座標変換を行うことにより四角形または六面体の計算用集中格子を構築するものであることを特徴とする請求項11または12に記載の河川環境シミュレーション方法。
  14. さらに、離散的に測定された河床データ、改修工法たる河道内データまたは河道外データのうちから選ばれる少なくともいずれかが既存の河床データとの関連で取り込まれると連続河床形状を構築する連続河床形状構築工程を備えたことを特徴とする請求項13に記載の河川環境シミュレーション方法。
  15. さらに、前記連続河床形状を前記計算用集中格子に追加して四角形または六面体の計算用集中格子を構築する計算格子構築工程を備えたことを特徴とする請求項14に記載の河川環境シミュレーション方法。
  16. 前記時系列河川流れデータ演算工程は、交互に差分方向を変える組合せを用いて前記計算用集中格子に関して新たな時系列河川流れデータを演算することを特徴とする請求項13から15のいずれか一項に記載の河川環境シミュレーション方法。
  17. 前記環境データ演算工程は、前記新たな時系列河川流れデータに対して既定値である生態データまたは水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより当該データの時系列変化である新たな時系列生態データおよび/または新たな時系列水質データを環境データを構成するものとして求めるものであることを特徴とする請求項16に記載の河川環境シミュレーション方法。
  18. 前記環境データ演算工程は、前記新たな時系列生態データまたは前記新たな時系列水質データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力としてテーブルを参照することにより河川および河川周囲の新たな時系列植生データを環境データを構成するものとして求めるものであることを特徴とする請求項17に記載の河川環境シミュレーション方法。
  19. さらに、画像処理手段が前記新たな時系列生態データ、前記新たな時系列水質データまたは前記新たな時系列植生データのうちから選ばれる少なくともいずれかに対応する画像をテーブルを参照することにより決定する表示画像決定工程と、表示手段が当該画像を表示する画像表示工程とを備えたことを特徴とする請求項18に記載の河川環境シミュレーション方法。
  20. さらに、前記環境データのうちから選ばれる少なくともいずれかを入力として河川施工の経済的効果を算出する施工効果演算工程を備えたことを特徴とする請求項12から19のいずれか一項に記載の河川環境シミュレーション方法。
  21. 請求項11から請求項20のいずれか一項に記載された河川シミュレーション方法をコンピュータに実行させるため手順を当該コンピュータが読取可能に記録した記録媒体。
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