JP3758675B6 - ガス混合物から硫黄酸化物を除去する吸収剤および方法 - Google Patents

ガス混合物から硫黄酸化物を除去する吸収剤および方法 Download PDF

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発明の背景
1.発明の分野
本発明はアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物およびその熱処理誘導体に関する。本発明は、炭化水素分解触媒の存在下で、炭化水素と接触してさらに吸収するように再活性化させることができる吸収剤に硫黄酸化物を吸収させることによって、ガス混合物中の硫黄酸化物含量を減少させる方法にも関する。
II.従来技術の説明
硫黄含有燃料の処理や燃焼によって生じるガス混合物中の硫黄酸化物のような大気汚染物質の濃度を減少させるのに有効な方法および触媒の開発は、長い間、研究者らに関心を抱かせている主要な工業上の問題を提起する。Bertolaciniらに付与され、本出願人に譲渡された米国特許第3.835,031号は、酸化マグネシウムのような1種以上の第IIA族金属酸化物を含浸させたシリカアルミナマトリックス状態のモレキュラーシーブを含む触媒を働かせる循環流動接触分解法を述べている。再生帯域内で酸化硫黄を吸収し、次いで吸収した硫黄を分解反応帯,域内で放出することによって再生器の排ガス流への硫黄酸化物の放出は著しく減少する。
他の研究者らは希土類金属を含有する吸収剤が硫黄酸化物を除去するのに適していることを述べている。Radfordらに付与され、本出願人に譲渡された米国特許第4,146,463号は、セリウム、ランタンやネオジムのような希土類金属の酸化物を含有する改良触媒粒子による硫黄酸化物の吸収を述べている。該改良触媒粒子は再生帯域内で硫黄酸化物と反応することによって不揮発性硫黄化合物を生成すると述べられる。
研究者らは、硫黄酸化物分離触媒として最適な構造を確証しようと試みている。Lewisらに付与された米国特許第4,626,419号は、ガス類から硫黄酸化物を除去するための、アルカリ金属および結晶サイズが約90オングストローム単位よりも小さい酸化セリウムのような結晶性希土類金属酸化物を含む物質の組成物に関するものである。該’419号特許は、再生器排ガス中の硫黄の減量として測定されるすぐれた結果が、特定サイズの範囲にある酸化物触媒を用いることが得ることができると述べている。
たとえばYooらに付与された米国特許第4,790,982号には、マグネシウムおよびアルミニウムのスピネル型結晶構造を含有する硫黄酸化物分離触媒が報ぜられており、同特許は、セリウム金属および遊離マグネシアとともにマグネシアおよびアルミニウムのスピネルの使用を述べている。Bhattacharyyaらに付与された米国特許第4,728,635号は、硫黄酸化物および窒素除去剤として用いられるか焼アルカリ土金属、アルミニウム含有スピネル組成物の製造法に関するものである。
Van Broekhovenに付与された米国特許第4,865,019号はヒドロタルサイト構造を有するアニオンクレーを含む硫黄酸化物吸収剤を記載している。該’019号特許は、アニオンクレーが、特定比率の二価カチオン、三価カチオンおよびアニオンを必要とする式に相当する属化構造をもつことができることを述べている。二価カチオンMg2+ならびに単独またはLa3+および/もしくはCe3+と結合した三価カチオンAl3+が好ましい。NO3 -、OH-、Cl-、Br-、I-、CO3 2-、SO4 2-、SiO3 2-、SiO3 2-、CrO4 2-、HPO4 2-、MnO4-、HGaO3 2-、HVO4 2-、ClO4 2-、BO3 2-、モノ脂肪酸アニオン、ジ脂肪酸アニオン、アルキルスルホン酸アニオン、および前記の混合物のようなアニオンが適当なものとして挙げてある。該’019号特許は、ヒドロタルサイト構造の分解物を若干含む場合があると報じられている約300°から約900℃の範囲の温度に熱処理した後に、吸収剤は有効になると述べている。
Drezdonに付与され、本出願人に譲渡された米国特許第4,774,212号は、柱状アニオンとして、バナジウム、タングステンまたはモリブデンのポリオキソメタレートを有するマグネシウムおよびアルミニウムのヒドロタルサイト型クレー組成物を述べている。該組成物は、クレー層間の大きな面間隔を示す。一般的なヒドロタルサイトよりも大きなX線回折d(003)値を有すると報じられている。約200から約600℃の範囲の温度における触媒反応に該組成物を用いることについて述べてある。該’212号特許は、比較的大きな有機アニオンで柱状化させたヒドロタルサイトのようなクレーを配合し、pHが約3から約6の溶液から有機アニオンをポリオキソメタレートに置き換えることを含む前記組成物の調製法をも述べている。
pH依存性無機アニオンで柱状化させたヒドロタルサイト構造を有するアニオンクレーの直接的で、比較的簡単な製造法が、Bhattacharyyaに付与され、本出願人に譲渡された米国特許第4,246,899号に示されている。好ましい態様では、該方法は、無機イオンを含み、また選択的に選んだ約6から14のpHを有するカーボネートを実質的に含まない溶液に1種以上の選択した二価カチオンおよび1種以上の選択した三価カチオンを含有する溶液を加えることを含んでいる。
Kimに付与された米国特許第5,288,675号はMgO/La2O3/Al2O3であって、さらにMgO成分がX線回折によって検知可能な微結晶相として存在する三元酸化物塩基を意図している。硫黄酸化物の放出を抑制するために、該三元酸化物塩基を、セリアおよび/またはバナジアのような成分とともに用いることができると報じている。該’675号特許は、エージングし、共沈させたランタンおよびアルミニウムの水和酸化物スラリーを酸化マグネシウムスラリーおよび水酸化ナトリウム溶液と反応させ、か焼し、セリウムおよび/またはバナジウム溶液を含浸させ、さらに450°から700℃の温度でか焼することを含む多段工程によって該化合物を調製しうることを述べている。
たとえば、流動接触分解装置からの硫黄酸化物の放出は、環境規制によってますます制限される。硫黄酸化物大気汚染物質の除去は数年来大きな関心の的となっている。該放出物を減少させる1つの方法は、分解装置に入る前に、硫黄酸化物の量を減少させるように炭化水素原料流を脱硫することである。他の方法は、放出物流を安価なアルカリ物質、たとえば石灰または石灰石で洗浄することである。しかし、これらの方法はいずれも比較的めんどうであり、また別の廃棄物処理問題を生じさせる。したがって、再使用可能な吸収剤と接触させて硫黄酸化物を分離することが、興味のある代案である。
三酸化硫黄(SO3)の吸収は、二酸化硫黄(SO2)の吸収よりも迅速に進行することが一般に認められている。したがって、効果的な二酸化硫黄吸収剤は、少なくとも3つの作用を行わなければならない。第1に、望ましい吸収剤は、二酸化硫黄と酸素との、三酸化硫黄を生成させる反応を促進させる触媒能力を有する。第2に、望ましい吸収剤は、比較的多量の三酸化硫黄を結合することができる。第3に、望ましい吸収剤は、炭化水素および分解触媒に接触すると比較的迅速に硫黄成分を脱離することができる。
今日、流動接触分解装置に工業的にもっとも広く受け入れられている硫黄酸化物吸収剤は、スピネル技術、とりわけ酸化セリウムと結合させたMgAl2O4スピネルに基づいている。スピネルおよびセリウムの吸収剤は多くの目的に適切であるけれども、吸収能力に限りがあり、かつ不活性化しやすい。とくに、スピネルおよびセリウムの吸収剤中に存在する遊離の酸化セリウム結晶は、正常な操作の間に、総体的な活性を阻害するように形状が大きくなりやすい。さらに、スピネルおよびセリウムの吸収剤は、ある種の循環処理系に利用できる以上に脱離を完了するのに時間がかかる。
したがって、比較的短かいサイクル時間内に、単位質量当りかなり多量の硫黄化合物を吸収および脱離しうる新規吸収剤に対する要望が依存として存在する。吸収剤上の触媒物質は、最大限に接近できるように、十分に分散し、かつ操作条件下で凝集する傾向に抵抗しなければならない。さらに、吸収剤は物理的摩擦を阻止し、酸化・還元いずれの環境における処理温度においてもすぐれた安定性を示す必要がある。
発明の要約
本発明は、望ましい硫黄酸化物吸収能力ならびに比較的迅速な吸収および脱離速度を示す比較的小さな微結晶より実質的に成る改良吸収剤組成物である。高解像度電子顕微鏡法によって微結晶のかなりの部分が、二価金属一酸化物中に酸化アルミニウムのような不純物を分散させた固溶体より実質的に成ることがわかる。該改良吸収剤はモノメタレート、ジメタレート、トリメタレート、又はテトラメタレートの形の中間層アニオンを有するアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を熱処理することによって生成させることができる。本発明は、改良吸収剤の利点を利用する硫黄酸化物分離法でもある。
好ましい態様では、本発明は下式を有するアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物である。
Figure 0003758675
式中、M2+はマグネシウム、カルシウム、バリウムおよびストロンチウムより成る群から選ばれる二価金属である。M3+はセリウムおよびランタンより成る群から選ばれる三価金属カチオンである。
JはVO3、HVO4、VO4、V27、HV27、V39またはV412である。AはCO3である。qおよびvはそれぞれAおよびJに付随する正味イオン電荷である。xは約1.1から約3.5であるが、nは約0.01から約0.4であり、mは正数である。
別の好ましい態様では、本発明は硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する組成物である。該吸収剤は総体的に次式の微結晶を含む。
Figure 0003758675
式中、前記同様、M2+は二価の金属、M3+は三価の金属である。Tはバナジウムである。pは約0.01から約0.4であるが、rは約0.01から約0.2である。sは2.5である。各微結晶は約0.1から約30ナノメートルの範囲の最大線寸法を有する。さらに、本発明の微結晶のかなりの部分は、二価金属一酸化物中に、酸化アルミニウムまたは酸化バナジウムのような不純物を分散させた固溶体相より実質的に成る。微結晶の他の部分は実質的にスピネル相より成る。
さらに他の好ましい態様では、本発明は、硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する組成物の製造法である。該方法では、水を、約2モル部の、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムより成る群から選ばれる二価金属の塩と混合する。さらに、該混合物中に、総量で1モル部のアルミニウム塩と選択した三価金属塩も混合する。該三価金属はセリウムおよびランタンより成る群から選ばれる。約0.1ないし2モル部未満の量のメタレート塩をも前記混合物中に配合する。該メタレート塩はバナジン酸アニオンであるアニオン種を含有する。とくに好ましい態様では、たった1つの金属原子しか含まない水性で解離状態にあるアニオンを安定化させるために、アルカリ度調整剤をも該混合物中に配合する。このような形のアニオンは通常モノメタレートといわれる。場合によっては、沈澱が生じて、少なくとも一度か焼した後、別の工程として溶解状態のアニオンを導入するのが都合のよいこともある。
該混合物を約50℃から約100℃の範囲の温度に少なくとも約1時間加熱した後、混合物からアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を回収する。回収したアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、約450℃以上の温度で約1時間か焼して、硫黄酸化物吸収剤として使用するのに適する崩壊組成物を得る。該崩壊組成物は実質的に0.1〜約30ナノメートルの範囲の最大線寸法を有する微結晶より実質的に成る。該崩壊組成物は二価金属一酸化物中に酸化アルミニウムまたは酸化バナジウムを分散させた固溶体相より実質的に成る微結晶を含有する。該崩壊組成物はスピネル相より実質的に成る微結晶をも含有する。
さらに好ましい態様では、本発明は、少なくとも約450℃の温度で約1時間以上アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物をか焼することを含む、硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する組成物の製造法である。該アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、本発明のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物に関してさきに示した式を有する。か焼生成物は微結晶より実質的に成る崩壊組成物であって、各微結晶の大きさは約0.1から約30ナノメートルである。該微結晶は、前記のように、固溶体相の微結晶およびスピネル相の微結晶より成る。
さらに、本発明はガス混合物から硫黄酸化物を分離する方法である。該方法は、総体的に、本発明の崩壊組成物に関して前記した式の微結晶より実質的に成る脱水・崩壊した組成物上に硫黄酸化物を吸収させることを含む。該微結晶は約0.1から約30ナノメートルである。前記のように、微結晶の一部は固溶体相より成り、微結晶の他の部分はスピネル相より成る。該方法は、分解触媒の存在下で該崩壊組成物を炭化水素と接触させることにより該吸収剤から二酸化硫黄を脱離させることをも含む。
本発明は、有機硫黄化合物含有炭化水素原料の循環流動接触分解法でもある。該方法は、再生帯域内で前記の式による崩壊組成物を含む流動可能な微粒状固体によって、硫黄酸化物の少なくとも一部を吸収させることを含む。該崩壊組成物は、前記のように、二価金属一酸化物中に酸化アルミニウムを分散させた固溶体相より実質的に成る微結晶を含む。該方法は、さらに該微粒状固体を、反応帯域内で、炭化水素原料に接触させることによって、該微粒状固体から吸収された硫黄酸化物を除去することを含む。
【図面の簡単な説明】
図1は、7.62オングストローム単位のd(001)値を有するアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物に特有の強度と角度(度単位)との関係を示す実施例1の生成物についてのX線回折分析曲線である。
図2は、同様に図2に示されている温度曲線を有する熱重量分析中の時間(分単位)の関数としての実施例2の生成物の相対重量を示す二軸グラフである。
図3は、同様に図3に示されている温度曲線を有する熱重量分析中の時間の関数としての実施例3の生成物の相対重量を示す二軸グラフである。
図4は、実施例3の生成物について行った熱重量分析の第2サイクルおよび第3サイクルの温度曲線ならびに相対重量曲線を示す二軸グラフである。
発明の詳細な説明
我々は、アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物をか焼して、硫黄酸化物吸収剤として用いるのに極めて適当な特異の固溶体微結晶を有する脱水・崩壊した組成物を生成しうることを見出した。最初にヒドロタルサイト型柱状クレー組成物について述べる。
アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、該組成物がシート状でもある多数の水酸化物アニオン間に介入した二価および三価金属カチオンのシートによって構成されるという意味で層化している。該組成物は二価カチオン及び三価カチオンがシート内に散在しているために混合されている。シート間の中間層には水分子および更なるアニオンが存在している。通常のX線回折分析を行うと、ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は回折ビークを示し、その位置は隣接シート間の平均距離と相関させることができる。
1つの態様では、本発明は次式のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物である。
Figure 0003758675
式において、M2+は複数の水酸化物アニオンと配位結合して無限のシートを形成するプラス2価の原子価を有するカチオンとして表される二価金属である。該シートの構造は、天然に存在する鉱物のブルーサイト(Mg(OH)2)に類似する。該二価金属は、Perry′s Chemical Engineers Handbood(第6版)の表見返し部に示してある元素の周期表の第IIA族またはIIB族の元素から選ぶのが好ましい。該二価金属はマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムより成る群から選ばれ、マグネシウム、およびカルシウムより成る群から選ばれるのがもっとも好ましい。
3+という記号は原子価3のカチオンとして表わされる三価金属を示す。該三価金属は、セリウムおよびランタンから選ばれる。ランタニド系列元素ともいう希土類元素は、2種以上の希土類が天然に存在する混合物として見出されることが多い。このような希土類元素の混合物は本発明に好都合に使用できると考えられる。
xは約1.1から約3.5、好ましくは約1.5から約3.5、より好ましくは約2から約3である。nは約0.01から約0.4、より好ましくは約0.2から約0.4である。Alは複数の水酸アニオンを配位させた三価のカチオンとして存在する三価金属のアルミニウムである。さらに、該二価金属対アルミニウムのモル比は約1対約5が好ましく、約2対約3がさらい好ましい。
Jはバナジン酸アニオンより成る群から選ばれるアニオンである。JはVO3、HVO4、VO4、V27、HV27、V39、またはV412から選ばれる。Jはモノバナジン酸アニオン、とくにメタバナジン酸アニオン(VO3)、オルトバナジン酸アニオン(VO4)およびプロトン化バナジン酸アニオン(HVO4)より成る群から選ぶのがさらに好ましい。Jは主にシート間の中間層にあるのが好ましい。vはJに付随する正味アニオン電荷である。たとえば、VO3 1-に付随する正味イオン電荷−1である。同様にHVO4 2-に付随する正味イオン電荷は−2である。
Aは大きさが炭酸塩(CO3)にほぼ等しいかまたはそれよりも小さい比較的小さなアニオンである。AはCO3である。qはAに付随する正味イオン電荷である。kは約0.00ないし2未満である。
mは水分子の存在を定量的に示す正の数である。実質的にすべての水分子は中間層にあるのが好ましい。しかし、表示した式は実験式であって、特定の構造に限定されない。
比較として、天然産鉱物のヒドロタルサイトはアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の特定例である。しかし、ヒドロタルサイトの式は、本発明のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の式とは、鉱物のヒドロタルサイトが通常、マグネシウム以外の二価金属、アルミニウム以外の三価金属、および炭酸塩以外のアニオンを実質的に含有しないという点で異なっている。
本発明のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、通常の方法を用いて分析すると、X線回折パターン、好ましくは約7.6オングストローム単位に等しいかまたはさらに大きいd(001)値を含むX線回折パターンを示す。とくに好ましいアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は二価金属としてはマグネシウム、三価金属としてはセリウム、さらにアニオンJとしてはモノバナジン酸アニオンを使用する。
別の態様では、本発明は硫黄酸化物除去触媒として用いるのに適当な、脱水して少なくとも一部崩壊した組成物である。該崩壊組成物は、前記のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を熱処理して調製するのが好ましい。調製原料又は調製方法に関係なく、該崩壊組成物は、総体的に次式の微結晶を含んでいる。
Figure 0003758675
式中、前記のように,M2+は二価金属、Alはアルミニウム、およびM3+は三価金属である。Tはバナジウムである。
mは好ましくは約1.1から約3.5、より好ましくは約1.5から約3.5、もっとも好ましくは約2から約3である。pは約0.01から約0.4、好ましくは約0.2から約0.4である。該二価金属対アルミニウムのモル比は約1対約5が好ましく、約2対約3がさらに好ましい。
rは約0.01から約0.2、好ましくは約0.05から約0.2である。上記式中Oの添字を示す数字的表現において、rはS倍される。Tがバナジウムのときには、Sは2.5である。
本発明の微結晶はそれぞれある識別性(identifying characteristics)を有している。組成物中に存在するすべての微結晶がこの特性をもつ必要はないが、本発明によって与えられる利点を得るためには、微結晶のかなりの部分がこの特性をもたなければならない。
第1に、本発明の微結晶は約0.1から約30ナノメートルの範囲、より好ましくは約1から約20ナノメートルの範囲、もっとも好ましくは約10ナノメートルの最大線寸法を有する。該微結晶が球状である必要はない。微結晶が球状である場合には、最大線寸法は直径である。
前記範囲の寸法の微結晶を有する吸収剤は、通常のX線回折分析法では、ことによるとその比較的小さな結晶構造の存在を検知するのに不適当であるために、「無定形」と呼ばれる場合がある。しかし、高解像度電子顕微鏡法ではこの大きさの範囲の微結晶を通常検知する。本目的の場合には高解像度電子顕微鏡法を、少なくとも約2.0オングストローム単位の二点間解像度が可能な電子顕微鏡法と規定する。
該電子顕微鏡法は微結晶内の格子面を検知することもできる。格子面は、結晶構造内に配列する原子のように、一定の近傍に比較的平らである空間内の物体の規則正しい幾何学的配列である。適当な電子顕微鏡法によりエッジを見ると、格子面は曲線または直線であることができるのみならず、連続または非連続であることができる線として現われる。
さらに、電子顕微鏡法は、個々の格子面の存在および位置、種々の格子面の相対的強度、ならびに隣接格子面間の面間隔を正確に定めることができる。「格子パラメータ」と呼ぶ結晶格子のこれら観測値を併せ考えると、これらの値は高解像度電子顕微鏡の視野内の2つ以上の相を識別するのに用いることができる。ここに、相とは不均質な物理・化学的系中に存在する物質の均質で物理的にはっきり認識しうる部分であると理解されたい。
実際には、格子面は、相を識別するのに用いることができる、面間隔、相対的強度、ならびに面間隔および強度における周期的繰り返しのような識別格子パラメータを示す。ひとたび識別可能な相の存在が確かめられると、相の組成を正確に決定するために、他の種類の分析を行う必要があるかもしれない。たとえば、相の組成を確認するには、走査型電子顕微鏡法を用いることが多い。
第2に、本発明の微結晶のかなりの部分は、酸化マグネシウム(MgO)のような二価金属一酸化物の結晶格子内に、酸化アルミニウム(Al23)または酸化バナジウムのような不純物を分散させている固溶体相より実質的に成る。この分散体は単に物理的凝集物ではない。それどころか、不純物がドーパントとして存在する。該不純物は二価金属一酸化物の結晶格子を広げるように位置するが、結晶格子を完全には崩壊させない。
微結晶の他の部分は、本質的にスピネル相より成る。たとえば、該スピネル相はMgAl24のようなマグネシウムスピネルを含むことができる。さらに、三価金属酸化物より本質的に成る微結晶の存在することが好ましい。
二価金属一酸化物の結晶構造中に酸化アルミニウムを分散させた固溶体相は極めて例外的であると考えられる。通常は、酸化アルミニウムの微結晶と二価金属一酸化物の微結晶とが一緒ではあるが、比較的分離している複数の微結晶が見られ、各微結晶は単一の酸化物を含む。したがって、本発明の固溶体相の存在は、2つの相の間の更なる分離に抵抗する傾向を示すと仮定できる。固溶体相の存在は、炭化水素処理条件下での改良された安定性及び活性度と相関すると思われる。
該二価金属酸化物相は第IIA族およびIIB族の元素から選ぶことができる。該二価金属はマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムより成る群から選ばれ、マグネシウム、およびカルシウムより成る群から選ぶのがさらに好ましい。該二価金属酸化物相は本質的に酸化マグネシウムより成るのがとくに好ましい。
スピネルは、通常のX線回折分析で検知するには小さすぎる微結晶として存在することができるけれども、スピネル相は結晶性スピネル型の元素より成る。スピネル構造は酸化物イオンの立方最密充填配列に基づいている。一般に、スピネル構造の結晶単位胞は32個の酸素原子を含んでいる。酸化マグネシウムアルミニウムスピネルに関しては、式MgAl24に相当する各単位胞には8個のマグネシウム原子および16個のアルミニウムがある。
前記三価金属の酸化物結晶が存在すれば、酸化セリウムまたは酸化ランタンの結晶のような、三価金属酸化物結晶はそれぞれ最大線寸法が約0.1から約30ナノメートルの範囲、好ましくは約1から約20ナノメートルの範囲にある微結晶の形に実質的になければならない。該三価金属は、主に、固溶体微結晶およびスピネル微結晶と共存する本発明の比較的均質な微結晶中にあるのがとくに好ましい。
本発明のその他の微結晶とともに該三価金属酸化物相の存在が三価金属原子に望ましい分散度をもたらし、さらに三価金属酸化物を摩擦から守る傾向があると仮定される。たとえば、単独で存在する酸化セリウム結晶は、流動層処理のストレスを受けて分解する傾向がある。
別の態様では、本発明は二酸化硫黄吸収剤として用いるのに適する組成物の製造法である。水を、約2モル部の、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムより成る群から選ばれ、好ましくはマグネシウムである二価金属の塩と配合して、混合物をつくる。さらに、約1モル部の、アルミニウム塩とセリウムおよびランタンより成る群から選ばれる三価金属の塩との総量を、前記混合物中に配合する。該総量は、三価金属塩のモル量にアルミニウム塩のモル量を加え、その合計を二価金属塩のモル量の1/2で割ることによって計算する。また約0.01から2モル部未満のメタレートも該混合物中に配合する。本発明のメタレート塩はバナジン酸アニオンであるアニオンを含有する。ここに、塩とはイオン結合で結合されたカチオンとアニオンとを意味するつもりである。便宜的に、我々は、イオン結合が解離してしまった場合でも溶解した塩を含む溶液を塩溶液という。
好ましい態様では、前記の方法は、前記混合物中に適当量のアルカリ度調整剤を配合して、アニオンをモノメタレート、ジメタレート、トリメタレート、およびテトラメタレートアニオンより成る群から選ばれる水性の解離したメタレートの形に安定させることも含んでいる。とくに好ましい態様では、該アニオンは、それぞれが正確に1個の金属原子を含むモノメタレートである。たとえば、VO3 1-、HVO4 2-、およびVO4 3-は、それぞれ正確に1個の金属原子を含有するアニオンを表わす。沈澱するアルカリ度調整剤の損失を見込んでおかなければならない場合が多い。メタレートアニオンの安定化は、一般に、配合した混合物の液相部分で行われる。
本発明の目的に関連して、配合とは、前記成分をすべて同時に配合する方法を含み、さらに、2種以上の成分を相互に配合した後、他の成分を配合する方法をも含むものと理解される。諸成分をそれぞれ連続的に配合する際に、前記のように、所望の二価金属および三価金属を沈澱させやすい濃度およびアルカリ度を得るように、注意しなければならない。混合物のアルカリ度は、どの形のアニオンが溶解状態で安定化され、最後に沈澱物の成分になるかをも決定することができる。沈澱ができ、さらに回収してか焼した後までメタレートアニオンの添加を遅らせた方が都合のよいことが多い。
配合量および配合条件の最終選択は従来の業界技術者の知識によって教示される。たとえば、本明細書に全文を参照する米国特許第5,246,899号および特許査定米国特許出願第08/093,768号はpH依存性アニオンおよび内位添加剤に関する有用な教示を含んでいる。さらに、D.L.Kepert著、「The Early Transition Metals」(Academic Press(New York))の181ないし182ページは溶解しているバナジン酸イオンの安定化に関する情報が推奨される。
前記方法のとくに好ましい態様では、メタレート塩がバナジン酸塩を含有し、かつメタレート塩は混合物の液相中に約0.01から約1モルの範囲の濃度のバナジン酸塩を生成させるのに十分な量で配合される。さらに、混合物の液相には、pHが約6から約14の範囲のアルカリ度を生じさせるのに十分なアルカリ度調整剤が存在する。約6から約8のpH範囲がVO3 -1にとって適切である。約9から13のpH範囲がHVO4 2-に適切である。約13から約14の範囲がVO4 3-に適切である。
このとくに好ましい前記の方法の態様において、混合物の液相に溶解しているバナジン酸イオンの約50パーセント以上がHVO4 2-、VO4 3-またはVO3 1-のようなモノメタレートバナジン酸イオンの形で存在すると思われる。メタバナジン酸アニオン(VO3 1-)およびオルトバナジン酸イオン(VO4 3-)は、多くの二価金属水酸化物および三価金属水酸化物の沈澱とは一致しない条件で安定化されるので、これらのアニオンを含有する溶液を、前記の回収して第1段のか焼を行った生成物と配合するのが都合のよい場合が多い。該生成物は、そのメタレート塩溶液に接触させた後、再びか焼するのが好ましい。
加熱した混合物は、好ましくは約50℃〜約100℃の範囲、より好ましくは約75℃〜100℃の範囲の温度に、少なくとも約1時間放置する。混合物の少なくとも一部を液相に保持するのに相応するほど高圧力が、存在するならば、さらに高い温度を用いることができる。前記のようなアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は混合物から固体として回収される。適当な回収法には、限定されるものではないが、濾過、蒸発、分別結晶および噴霧乾燥がある。
回収したアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、約450℃以上の温度で約1時間以上、か焼する。その温度は約450°から約1000℃の範囲が好ましく、約450°から約850℃の範囲がさらに好ましい。ここに、か焼とは、ガス好ましくはガス流の存在下で、固体を加熱することを指す。そのガスは空気、または、窒素、ヘリウムもしくは二酸化炭素のような比較的不活性のガスであることができる。回収した物質は1回以上、好ましくは、前記のようにメタレート塩溶液に1回以上接触させる前後にか焼することができる。最終か焼により硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する脱水・崩壊した組成物が生成する。
崩壊組成物は、実質的に会合している水分子を含まないという意味で脱水される。さらに、前記のように水酸アニオンを配位させた金属カチオンを含有するシートは、か焼によって少なくとも一部崩壊し、便宜的に「崩壊」と呼ぶ状態になる。該崩壊組成物は、典型的なアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物のように長さが400ナノメートル以上のシートを有するのではなくて、実質的には微結晶より成り、各微結晶は、最大線寸法が約0.1から約30ナノメートルの範囲にある。該微結晶は、か焼されたときに少なくとも一部崩壊したと思われるアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の崩壊して無秩序状態の残留物と考えられる。水溶液との接触による間隔をおいた反復か焼工程が、すぐれた微結晶分散度を有する最終崩壊物を生成するように層化シートを反復崩壊して、新しい形にすると思われる。
いずれにせよ、本発明の微結晶は、硫黄酸化物のような反応物に接近しうるように比較的小さくかつ十分に分散している。微結晶のかなりの部分は、二価金属一酸化物中に酸化アルミニウムを分散させた固溶体相によって構成される。他の部分はスピネル相によって構成される。これらの相は高解像度電子顕微鏡法によって認めうる格子面を含んでいる。
さらに別の態様では、本発明は、下式のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物をか焼することを含む硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する組成物の製造法である。
Figure 0003758675
2+はマグネシウム、カルシウム、バリウムおよびストロンチウムより成る群から選ばれる二価金属である。マグネシウム、およびカルシウムより成る群から選ばれる二価金属が好ましい。これは、実際に、該金属が前記のように水酸アニオンを配位させた金属カチオンのシートを比較的容易に形成するからである。該二価金属としてはマグネシウムがとくに好ましい。
xは約1.1から約3.5、好ましくは1.5から3.5であり、nは約0.01から約0.4、好ましくは約0.1から約0.3である。該三価金属M3+は、セリウムおよびランタンより成る群から選ばれる。
JはVO3、HVO4、VO4、V27、HV27、V39、およびV412より成る群から選ばれる一価のアニオンであり;vはJに付随する正味イオン電荷であり;かつkは約0.01から2未満である。
AはCO3であり;qはAに付随する正味イオン電荷であり;かつmは正数である。
該か焼は少なくとも約450℃の温度、好ましくは約450°から約1000℃の範囲の温度、さらに好ましくは約450°から約850℃の範囲の温度で、約1時間以上行う。該か焼は、好ましくは、水性メタレート塩溶液との接触による間隔をおいて、2回以上の操作で反復実施することができる。最終のか焼によって、前記のように脱水・崩壊した組成物が生成する。
さらに別の態様では、本発明は、硫黄酸化物含有ガス混合物を、前記のように、脱水・崩壊した組成物と接触させることによって、硫黄酸化物を吸収させることを含む硫黄酸化物含有ガスから硫黄酸化物を分離する方法である。ここに、「吸収」という用語は、吸収、吸着、吸入、および化学吸着を含むものと理解されたい。該硫黄酸化物には二酸化硫黄および三酸化硫黄が含まれる。該硫黄酸化物は吸収されて崩壊組成物と結びつき、その極く近くに留まる。該硫黄酸化物が三酸化硫黄分子の形で結びつくか、または硫黄および酸化物を含むアニオンの形で結びつくか、又は別のある化学種の形で結びつくかは必ずしも明らかではない。
該硫黄酸化物が除去されるガス混合物は分子状酸素を含んでいる必要はないが、本発明の好ましい態様では、存在している二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化させるのに必要な理論量よりも過剰の量の分子状酸素を含有することが望ましい。分子状酸素の過剰は大きい必要はないが、二酸化硫黄を吸収する本発明の吸収剤の能力は、分子状酸素の過剰量が増すにつれて向上する。分子状酸素によるこの効果の理由ははっきりわからないが、酸素の濃度が増すと、二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化が促進され、かつ吸収剤の酸化機能の回復に役立つと思われる。この三酸化硫黄は二酸化硫黄よりも吸収剤によって容易に吸収されるとも思われる。分子状酸素は硫黄酸化物含有ガス混合物中に本質的に存在している場合もあれば添加する場合もある。硫黄酸化物の吸収は、約900℃未満の温度、好ましくは約100°から約900℃の温度、もっとも好ましくは約300°から約800℃の温度で行うのが望ましい。
硫黄酸化物は、高温において、分解触媒の存在下で該崩壊組成物を炭化水素と接触させることによって、脱離する。その温度は望ましくは約375°から約900℃、好ましくは約430°から約700℃、もっとも好ましくは約450°から約650℃である。使用温度で分解触媒による分解が可能でありさえすれば、任意の炭化水素を用いて、本発明の吸収剤から、吸収した硫黄酸化物を除去することができる。適当な炭化水素には、下記に限定されないけれども、メタン、天然ガス、天然ガス液、ナフサ、軽質軽油、重質軽油、広域留分軽油、減圧軽油、デカント油、および常圧蒸留残油のみならずけつ岩油、石炭液化等より得られる炭化水素留分(該炭化水素は単独または任意に配合して用いることができる)がある。さらに、硫黄酸化物は、水素のような還元ガスと接触させて離脱させることもできる。
ここに開示する本発明は、下記に限定されないけれども、比較的高温では、該崩壊組成物と硫黄酸化物との間に、硫酸塩や亜硫酸塩のような不揮発性無機硫黄化合物を生成させる化学反応が生じると仮定される。これら亜硫酸塩や硫酸塩は一部分解されて、もとの硫黄酸化物と崩壊組成物を遊離することができる。高温における硫黄酸化物吸収のこの逆転の結果、硫黄酸化物の吸収は約900℃未満の温度で行うのが望ましく、約800℃未満の温度で行うのが好ましい。
吸収した硫黄酸化物を該崩壊組成物から除去する正確な機構は不明であるが、炭化水素と炭化水素分解触媒と高温との組合せは吸収した硫黄酸化物を硫化水素に転化させる還元性雰囲気を生じると同時に、硫黄酸化物をさらに吸収するように該崩壊組成物を再活性化させると考えられる。該崩壊組成物からの吸収硫黄酸化物の除去は、分解触媒の存在下で、該崩壊組成物を、炭化水素との処理と同時か、または該処理後に、添加した水蒸気と接触させることによって、概して改善される。
吸収硫黄酸化物を該崩壊組成物から除去する間に生成する硫化水素は、業界では周知の一般的方法、例えばClaus Unitで元素状硫黄に転化させることができる。吸収硫黄酸化物の除去中に生成する分解炭化水素生成物は、吸収硫黄酸化物を除去するのにさらに用いるためにリサイクルさせることができる。
硫黄酸化物の分離法が、さらに、下式のアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレイ組成物を約450℃から約1000℃の範囲の温度で、硫黄酸化物を含有するガス混合物に接触させて、前記の崩壊組成物を生成させることを含むことが特に好ましい。
Figure 0003758675
式中、M2+はマグネシウム、カルシウム、バリウムおよびストロンチウムより成る群から選ばれる二価金属であり、xは約1.1から約3.5であり、nは約0.01から約0.4であり、M3+はセリウムおよびランタンより成る群から選ばれる三価金属であり、JはVO3、HVO4、V27、HV27、V39、V412、またはVO4であり、vはJに付随する正味イオン電荷であり、kは約0.01から2未満であり、AはCO3であり、qはAに付随する正味イオン電荷であり、かつmは正数である。
本発明の実施に用いるのに適する分解触媒には、必要条件下で安定な高活性の固体触媒がある。適当な触媒には、アルミニウム含量が約10から約30重量パーセントの無定形のシリカ−アルミナ型触媒がある。マグネシア含量が約20重量パーセントのシリカマグネシア型の触媒も適切である。好ましい触媒には、多孔質マトリックス中に分布した、約0.5から約50重量パーセント、好ましくは約1から約30重量パーセントの結晶性アルミナシリケート化合物を含むゼオライト型触媒がある。ゼオライト型分解触媒は、熱安定性とすぐれた触媒活性の点から好ましい。
ゼオライト型分解触媒の結晶性アルミナシリケートまたはゼオライト成分は、炭化水素分解の触媒として働くのが有効と知られている天然または合成の任意の種類またはそれらの配合物であることができる。適当なゼオライトには天然産および合成のアルミナシリケート物質たとえばホージャサイト、チャバザイト、モルデナイト、Zeolite X、Zeolite Yおよび超安定型大気孔ゼオライトがある。ゼオライト型分解触媒は、たとえばシリカ、アルミナ、マグネシア、ボリヤ、けいそう土、やムル石のような天然または合成の多孔質耐火物中に分散させることができる。
本発明を実施する際に、該崩壊組成物を適当な担体中に包含させるかまたは担体に付着させることができる。適当な担体には、下記に限定されないけれども、無定形分解触媒、ゼオライト型分解触媒、シリカ、アルミナ、シリカとアルミナの混合物、マグネシア、シリカとマグネシアの混合物、カオリン、およびけいそう土がある。好ましくは、担体が多孔質で表面に開いている細孔面積が少なくとも約10平方メートル/グラム、好ましくは少なくとも約50平方メートル/グラム、もっとも好ましくは約100平方メートル/グラムの表面積を有する。
本発明の極めて好ましい態様は、循環流動接触分解法における接触再生からの硫黄酸化物の放出を減少させるための使用を含む。この態様において、脱水して崩壊した組成物を含む流動可能な微粒状固体を微粒分解触媒とともに流動接触分解プロセスを循環させる。該崩壊組成物は次式を有する。
Figure 0003758675
該崩壊組成物は実質的に約0.1から約30ナノメートルの微結晶より成る。微結晶の一部は、二価金属一酸化物結晶構造中に酸化アルミニウムを分散させた固溶体相より成る。微結晶の他の部分はスピネル相より成る。さらに、三価金属酸化物相より成る微結晶も存在することができる。これらの相は高分解能電子顕微鏡法によって検知可能である。
原料を約430℃から約730℃の範囲の温度の反応帯域内で、微粒状分解触媒と混合して、分解炭化水素を生成させる。分解触媒との接触は、分解温度および分解時間を約10秒以下に限定する流動速度において、1基以上の流動トランスファーライン反応器内で行うのが好ましい。反応帯域流出物は、分解、未分解両者の炭化水素蒸気、分解触媒、ならびに、硫黄、比較的揮発性炭素質成分および比較的低揮発性炭素質成分を含有するコークスと呼ばれる炭素質物質を含む。コークスのかなりの部分は分解触媒に付着している。
コークスの炭素質成分は、通常、少量、概して約4から約10重量パーセントの水素を含有する高縮合芳香族炭化水素を含んでいる。炭化水素原料が有機硫黄化合物を含有する場合には、そのコークスは硫黄をも含有する。コークスが分解触媒に堆積するにつれて、触媒の分解活性および分解触媒の選択性は減少する。しかし、触媒は、適切な再生法によって当初の能力のかなりの程度を回復することができる。
再生前に、分解触媒から炭化水素蒸気が除去され、さらに、揮発性付着物がストリッピングされる。ストリッピング帯域は約430℃から約700℃、好ましくは約450°から約650℃、もっとも好ましくは約465°から595℃の範囲の温度に適切に保持することができる。窒素や排ガスのような不活性ガスまたは水蒸気と不活性ガスとの混合物も使用できるが、好ましいストリッピングガスは水蒸気である。
ストリップされて部分的に不活性化した分解触媒は、再生帯域内で、空気のような再生ガスを含有する分子状酸素を用いて触媒表面からコークス付着物を燃焼させることによって再生する。この燃焼は、硫黄酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素や水蒸気のような燃焼生成物の生成をもたらす。再生ガスを含有する酸素は、窒素、水蒸気、二酸化炭素、リサイクル再生帯域流出ガス等のような比較的不活性のガスを含有することができる。再生ガス中の分子状酸素の濃度は、通常2から約30容量パーセント、好ましくは約5から約25容量パーセントである。分子状酸素源としては空気を用いるのが好都合であるので、不活性ガスの大部分は窒素であることができる。再生帯域の温度は通常、約565°から約790℃の範囲、好ましくは約620°から約735℃の範囲にある。
分解触媒は、つぎに反応帯域に戻す。その方法は、反応帯域内で、微粒状固体を炭化水素原料に接触させることによって微粒状固体から吸収硫黄酸化物を除去することを含む。これは、微粒状固体を再生した分解触媒とともに反応帯域に再循環させることによって行うのが都合がよい。
反応帯域における炭化水素原料の接触分解中に、吸収硫黄酸化物は、硫化水素を含む硫黄含有ガスとして、微粒状固体から実質的に遊離する。同様に、次の水蒸気ストリッピングは、分解触媒から揮発性コークス成分を除去するのに役立つばかりでなく、また微粒状固体から残りの吸収硫黄酸化物の除去を完了させ、かつ再生帯域内で硫黄酸化物をさらに吸収させるための崩壊組成物の再活性化を完了させるのに役立つ。生成する硫化水素は反応帯域およびストリッピング帯域からの他の生成物とともに回収され、通常、流動接触分解装置に付随する装置で元素状硫黄に転化させることができる。
下記の実施例はいかなる意味でも本発明の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ、本発明のある態様をよく説明するために示すものである。
実施例1:ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の調製
1リットルの脱イオン水、15.90グラム(0.15モル)の炭酸ナトリウム、および48.0グラム(1.2モル)の水酸化ナトリウムを、機械撹拌機および水冷還流冷却器を備えたフラスコに充填した。1リットルの脱イオン水、102.56グラム(0.4モル)のMg(NO3)2.6H2O、67.38グラム(0.1796モル)のAl(NO3)3.9H2O、および8.86グラム(0.0204モル)のCe(NO3)3.6H2Oを混合して、絶えず撹拌しながら約1時間かけて、1滴ずつフラスコに加えた。生成物はpHが10.74のゼラチン状混合物であって、それを85℃で約15時間窒素パージで掃引しながら還流加熱を行った。次に混合物を冷却して濾過し、脱イオン水で反復洗浄した後、70°の減圧下で一夜間乾燥した。この乾燥物質を試料Aと呼称した。
試料Aを通常のX線回折法で分析して、図1に示す曲線を得た。曲線には、7.62オングストローム単位のd(001)値を有するヒドロタルタイト構造の特徴を示すピークが含まれる。さらに、高周波誘導結合プラズマ法で試料Aの金属分析を行い、金属はマグネシウムが20.6パーセント、アルミニウムが12.0パーセント、セリウムが6.1、およびナトリウムが450ppmと報告された。得られた金属は次式を有するヒドロタルサイトクレーに相当する。
Mg4Al2.099Ce0.205(OH)12.912CO3・4H2
実施例2:アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の450℃におけるか焼
前記実施例1に記載した方法によって生成された乾燥物質の一部を、450℃の温度に達するまで、毎分約20℃の速度で空気中で加熱した。前記物質は450°に15時間保持した後冷却した。450°でか焼した物質を試料Bと呼称した。
実施例3:アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物の850℃におけるか焼
前記実施例1に記載した方法によって生成された乾燥物質の一部を、850℃の温度に達するまで、毎分約20℃の速度で空気中で加熱した。前記物質は850°に15時間保持した後冷却した。850℃でか焼した物質を試料Cと呼称した。
実施例4: 450°でか焼した物質のバナジン酸塩化
0.23グラムのNH4VO3と6.22グラムの脱イオン水とを配合して溶液を調製した。溶液の比率は、メタバナジン酸イオン(VO3 1-)を安定化させるために、pHを約6から約8の範囲にするように注意深く選定した。該溶液を、前記実施例2に記載した4.82グラムの試料Bと十分に混合した。得られた混合物は一夜間、70℃の減圧下で乾燥した後、450℃でか焼して、試料Dと呼ぶバナジン酸塩化物質を得た。反応物の比率に基づいて、試料Dの理論式はほぼ下記のように推定される。
Mg4Al1.796Ce0.2040.0747.185
さらに試料Dの分析を行い、B.E.T.表面積が192m2/g、平均細孔径が81オングストローム単位、ミクロ細孔面積が50m2/g、およびミクロ細孔面積が0.023cc/g報告された。
実施例5: 850°でか焼した物質のバナジン酸塩化
前記実施例3に述べた試料Cをバナジン酸塩化してか焼した以外は、また実施例4の方法を行った。得られた物質を試料Eと呼称した。試料Eの推定理論式は前記試料Dについて示した式と同一である。
さらに分析をおこなった結果、試料Eは、B.E.T.表面積が119m2/g、平均細孔径が91オングストローム単位、ミクロ細孔面積が6m2/g、およびミクロ細孔容積が0.003cc/gと判明した。走査電子顕微鏡分析で補助した試料Dの高解像度電子顕微鏡法によって、存在する微結晶の可成りの部分は、酸化マグネシウム結晶格子中に酸化アルミニウム分散させた固溶体より成ることが判明した。
実施例6: 反応物限定バナジン酸塩化
0.11グラムのNH4VO3と4.0リットルの脱イオン水を配合して、比較的希薄のバナジン酸塩溶液を調製した。溶液の比率は、メタバナジン酸アニオンの形のアニオンを安定化させる範囲内のpHとするように選んだ。この希薄溶液を、前記実施例2に記載した4.82グラムの試料Bと十分に混合した。得られた混合物を濾過した後、一夜間70℃の減圧下で乾燥してから450°でか焼して部分バナジン酸塩化物質を得た。
反応物の比率に基づいて、部分バナジン酸塩化物質の論理式はほぼ下式のように推定する。
Mg4Al1.796Ce0.2040.0357.088
実施例7: 試料Dの性能試験
前記4に記載した試料Dの一部を、5000ppmの二酸化硫黄、2パーセントの酸素および残余のヘリウムを含む酸化ガス混合物ならびに50パーセントの水素および残余のヘリウムを含む還元ガス混合物に逐次曝露する間に熱重量分析にかけた。酸化ガスの温度は約735℃で、一方還元ガスの温度は640℃であった。各曝露は相当する温度におけるヘリウムパージ期間を先行させた。
最初は、重量が19.7363ミリグラムであった試料は、酸化ガス混合物に90分曝露する間に84.6パーセントの相対重量の増大を示した。還元ガス混合物に曝露すると、ほとんど即時に87.3パーセントの相対重量の減少が認められた。図2は、試料Dの当初の重量の百分率で表わした試料の相対重量と、試料Dの熱重量分析の酸化および還元の1サイクルの経過時間(分単位)との関係を示す。
実施例8: 試料Eの性能試験
前記実施例5に記載した試料Eの一部について、前記実施例7の方法を繰返した。当初の試料は重量が20.8923ミリグラムであった。酸化ガス混合物に曝露する間に試料の相対重量は83.3パーセント増大し、還元ガスに曝露する間に当初の重量に対して相対重量が84.1重量パーセント減少した。図3は、当初の重量の百分率として表わした試料の相対重量と、試料Eの熱重量分析の酸化および還元の1サイクルの経過時間(分単位)との関係を示す。
熱重量分析を行った試料Eの中のいくつかについて、第2の酸化および還元サイクルならびに第3の酸化および還元サイクル中の熱重量性能をも試験した。第2サイクル当初の試料の重量は16.8988ミリグラムであり、第3のサイクルは第2サイクル後直ちに行った。試料Eの第2および第3サイクルの温度曲線と同時に経過時間の関数としての試料の相対重量を図4に図示する。
実施例9: スピネル吸収剤の性能試験
スピネル組成物を原料とする、広く使用されている硫黄酸化物吸収剤を市場より入手し、対照試験を行うために試料Fと呼称した。試料Fは本発明のものではない。しかし、試料Fについても、前記実施例7および実施例8に述べた性能試験中酸化および還元の1サイクルを行った。試料Fは、二酸化硫黄含有酸化ガスに90分の曝露する間に相対重量が47.0パーセントの増大を示した。水素を含有する還元ガスに曝露すると、ほとんど即時に相対重量が50.3パーセントの減少を示した。
実施例7、実施例8および実施例9で得た性能試験の結果を下記表Iに示す。
Figure 0003758675
表Iを調べると、本発明によって調製した吸収剤(試料Dおよび試料E)は対照試料(試料F)よりも二酸化硫黄の吸収能力が著しく大きいことが明らかである。さらに、本発明の試料Eは、対照試料Fが最初の酸化サイクルで吸収したよりも、さらに多量の二酸化硫黄を、第2および第3の酸化サイクルで吸収し続けた。試料Fは広く受け入れられ、現在用いられている吸収剤技術の代表的な、商業的に得られる吸収剤であるので、この結果はとくに驚くべきことである。
本明細書のために、「主に」とはほとんどまたはたいていと定義する。定量的な用語としては、「主に」は約50パーセント以上を指す。「実質的に」は関連する化合物また系の巨視的な性質に測定可能な程度に影響を与えるように、かなりの割合で存在するか、または十分な頻度を有すると定義される。そのような顕著な、測定しうる効果に必要な量が明らかでない場合には、実質的には約20パーセント以上と同意語である。「本質的に」は絶対的にと定義されるが、巨視的な性質や最終結果に無視しうる影響を与えるほんの僅かな変動については許される。約1パーセントの変動は、本質的な性質の変化が見出し得ずに存在することが多い。
本発明のある様相をよく伝えるために実施例を示し、仮説を提出した。本発明の範囲は添付クレームによってのみ決定され、いずれにしても実施例または仮説によって限定されるものではない。さらに、前記教示を検討する技術者が、本発明の多くの補足的態様を想到する示唆を得ることは疑いない。本明細書に明白に記載があろうとなかろうと、このように明らかに類似の態様は、本発明のクレームの範囲内にあるつもりである。

Claims (18)

  1. 総体的に下記の微結晶:
    【化1】
    2+ 2mAl2-p3+ pr7+r-s
    (式中、mは1.1から3.5、
    pは0.01から0.4、
    M2+はマグネシウム、カルシウム、バリウム及びストロンチウムより成る群から選ばれる二価金属であり、
    M3+はセリウム及びランタンより成る群から選ばれる三価金属であり、
    Tはバナジウムであり、
    rは0.01から0.2であり、
    sは2.5である)
    を含み、さらに、前記微結晶は二価金属一酸化物中に酸化アルミニウムを分散させた固溶体微結晶及びスピネル相微結晶より実質的になり、各微結晶は0.1から30ナノメートルの最大線寸法を有する、組成物。
  2. 前記微結晶が、さらに三価金属酸化物相微結晶より成る請求項1に記載の組成物。
  3. 前記スピネル相微結晶が本質的に下式を有する請求項1又は2に記載の組成物:
    【化2】
    MgAl24
  4. 水、2モル部のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムより成る群から選ばれる二価金属の塩、ならびに総量で1モル部の、アルミニウム塩と、セリウム及びランタンより成る群から選ばれる三価金属の塩とを配合して混合物とし、
    前記混合物を50℃から100℃の範囲の温度に少なくとも1時間加熱し、
    前記混合物から、比較的小さなアニオンCO3を有するアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を回収し、
    前記回収したアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を450℃から1000℃の温度に1時間以上、か焼して、前記比較的小さなアニオンを本質的に含まない脱水物質とし、前記脱水物質を、バナジン酸アニオンを含有する0.01から2モル部未満のメタレート塩及びモノメタレート、ジメタレート、トリメタレート、またはテトラメタレートの形をしたアニオンを安定化させるのに適当な量のアルカリ度調整剤を含む水溶液と混合してスラリーを形成させ、
    前記スラリーから固体を回収し、該固体をか焼して、硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する少なくとも一部崩壊した組成物を生成させること
    を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物の製造法。
  5. 前記メタレート塩を、前記スラリーの液体部分に、0.01から1モルの範囲の濃度のバナジン酸アニオンである前記アニオンを生成させるのに十分な量で配合する、請求項4に記載の製造法。
  6. 前記二価金属がマグネシウムで、前記三価金属がセリウムである、請求項4又は5に記載の製造法。
  7. 前記微結晶が、さらに三価金属酸化物相微結晶より成る、請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造法。
  8. 水、2モル部のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムより成る群から選ばれる二価金属の塩、総量で1モル部のアルミニウム塩とセリウム及びランタンより成る群から選ばれる三価金属の塩、0.01から2モル部未満のバナジン酸アニオンを含有するメタレート塩、ならびにモノメタレート、ジメタレート、トリメタレート又はテトラメタレートの形をしたアニオンを安定化させるのに適当な量のアルカリ度調整剤を配合して、混合物とし、
    前記混合物を50℃から100℃の範囲の温度に少なくとも1時間加熱し、
    前記混合物からアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を回収し、さらに、
    前記回収したアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を450℃から1000℃の温度で1時間以上、か焼して、硫黄酸化物吸収剤として用いるのに適する少なくとも一部崩壊した組成物を生成させること、
    を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物の製造法。
  9. 前記回収されたアニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物は、式:
    【化3】
    2+ 2xAl2-n3+ n(OH)4x+4(Jv)k/v(Aq)(2-k)/q・mH2
    (式中、M2+はマグネシウム、カルシウム、バリウムおよびストロンチウムより成る群から選ばれる二価金属であり、
    xは、1.1から3.5であり、
    M3+はセリウム及びランタンより成る群から選ばれる三価金属であり、
    nは0.01から0.4であり、
    JはVO3、HVO4、VO4、V27、HV27、V39またはV412であり、
    vはJに付随する正味イオン電荷であり、
    kは0.01から2未満であり、
    AはCO3であり、
    qはAに付随する正味イオン電荷であり、かつ
    mは正数である)
    の組成物である、請求項8に記載の製造法。
  10. 前記微結晶が、さらに三価金属酸化物相微結晶より成る請求項9に記載の製造法。
  11. 前記二価金属一酸化物は、酸化マグネシウムである、請求項9又は10に記載の製造法。
  12. 硫黄酸化物を含有するガス混合物を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱水された少なくとも一部が崩壊した組成物と接触させることによって硫黄酸化物を吸収させることを含む、硫黄酸化物含有ガス混合物から硫黄酸化物を分離する方法。
  13. さらに、前記脱水された少なくとも一部が崩壊した組成物を、分解触媒の存在下で炭化水素と接触させることにより、該硫黄酸化物を脱離させることを含む、請求項12に記載の分離方法。
  14. アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を450℃から1000℃の範囲の温度で、硫黄酸化物含有ガス混合物と接触させて、脱水された少なくとも一部が崩壊した組成物を生成させることを含む、請求項12又は13に記載の分離方法。
  15. 前記脱離によって、硫化水素を含む硫黄化合物を生成させる請求項12〜14のいずれか1項に記載の分離方法。
  16. 有機硫黄化合物含有炭化水素原料の循環流動接触分解法において、
    (i)前記原料を、430℃から730℃の範囲の温度にある反応帯域内で微粒状分解触媒と混合して、分解炭化水素、ならびに、硫黄、比較的揮発性の成分、及び比較的低揮発性の成分を含有するコークスを生成させ、
    (ii)前記分解触媒を分解炭化水素から分離して、ストリッピング帯域に通し、そこで該分解触媒を430℃から730℃の範囲の温度でストリッピングガス流と接触させて、該分解触媒から前記揮発性成分を実質的に除去し、
    (iii)該分解触媒を触媒再生帯域に通し、そこで酸化ガスの存在下で565℃から790℃の範囲の温度で燃焼して、該分解触媒から、硫黄及び前記比較的低揮発性の成分を実質的に除去して、炭素酸化物及び硫黄酸化物を含む流出ガス流を生成させ、ついで
    (iv)前記分解触媒を、前記反応帯域に戻し、
    再生帯域内で、前記硫黄酸化物の少なくとも一部を、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱水された少なくとも一部が崩壊した組成物を含む流動可能な微粒子状固体によって吸収させることを含む方法によって、再生帯域の流出ガス流中の硫黄酸化物の総量を減少させることを特徴とする方法。
  17. さらに、前記微粒状固体を前記反応帯域内で前記炭化水素原料に接触させて、該微粒状固体から、吸収された硫黄酸化物を除去することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記再生帯域内で、アニオン性ヒドロタルサイト型柱状クレー組成物を前記酸化ガスとを接触させて、前記脱水された少なくとも一部が崩壊した組成物を生成させることをさらに含む、請求項16又は17に記載の方法。
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