JP3757793B2 - 高圧流体用開閉弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高圧流体の流れを制御するための開閉弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高圧流体用開閉弁として、図3に示すようなものが公知である。このような弁1の弁本体2の内部のキャビティ5にはシート部8が設けられており、弁体3をこのシート部8に着座させることによって、キャビティ5に通じた流体流入通路6と流体流出通路7を遮断して閉弁し、弁体3をシート部8から離間させることによって開弁するように構成されている。この弁体3及び弁体操作部18は通路9の内部に配置されており、この通路9から流体が漏れるのを防ぐために通路9にはシール機構が配置されている。
【0003】
ところが、シール機構の晒される流体の圧力は例えば180MPa程度であり、パッキン15を弁体3及び弁本体2の壁面と強く密着させなければならない。そのため、弁操作時に弁体3を移動させる場合には、強い密着力によって発生する摩擦力に抗して弁体3を摺動させなければならず、開弁操作及び閉弁操作の度にパッキン15が著しく磨耗してしまい、パッキン15を頻繁に交換しなければならないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するために、弁体のシール機構の磨耗を低減した高圧流体用開閉弁を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の高圧流体用開閉弁は、流体流入通路と、流体流出通路と、流体流入通路及び流体流出通路に連通したキャビティとを備えた弁本体と、弁本体のキャビティ内に配置されている弁体と、弁体を操作するための弁体操作部と、弁体操作部のシール機構とを備えた高圧流体用開閉弁において、キャビティには、流体流入通路を遮断するための第一シート部と、シール機構を遮断するための第二シート部とが形成されており、弁体には、第一シート部と当接可能な第一当接部と、第二シート部と当接可能な第二当接部とが形成されており、閉弁時において、弁体が弁体操作部に押圧されることによって弁体は第一当接部で第一シート部に着座させられて流体流入通路と流体流出通路を遮断し、開弁時において、弁体が弁体操作部と離間することによって弁体が第二当接部で第二シート部に着座させられ、流体流入通路と流体流出通路が連通しかつ弁体操作部のシール機構が高圧流体から隔離される。また、シールは、開弁及び閉弁時において高圧流体に晒されることがないため、流体の漏れによる圧損が非常に小さく、高い圧力精度を実現することができる。
【0006】
上記構成が功を奏し、閉弁時及び開弁時にはシール機構は弁体によって高圧流体と隔離されるため、比較的に弱い密着力でシールでき、その結果、シールの弁体との摩擦による磨耗が著しく低減され、シールの寿命を著しく長くすることができる。
【0007】
また、本発明の高圧流体用開閉弁は、弁体操作部のシール機構から漏れた流体を流出させるために、弁本体の外面に通じた通路がシール機構の近傍に配置されている。
【0008】
上記構成が功を奏し、弁体が第一シート部に押圧してシールを高圧流体と隔離した状態から、弁体が第二シート部と押圧してシールを高圧流体と隔離した状態へ移行する間に、高圧流体が漏れた場合でもこの流体を通路を通して排出することができ、漏れた流体が開閉弁の内部に溜まって弁体の動きを妨害して操作の不具合の危険をなくすことができる。また、選択的に、通路から回収した流体を再使用できるという利点がある。
【0009】
また、本発明の高圧流体用開閉弁は、弁体操作部のシール機構から漏れた流体の圧力を低減するために、空洞部がシール機構外周に沿って形成されている。
【0010】
上記構成が功を奏し、シール近傍に空洞部を設けることにより、シール機構を通して漏れた流体を空洞部で減圧させることができるので、高圧流体が漏れた場合にも漏れ流体の圧力によって操作の不具合の危険をなくすことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。図1は、本発明による高圧流体用開閉弁の閉弁時の断面図である。図1において、1は高圧流体用開閉弁、2は弁本体、3は弁体、18は弁体操作部をそれぞれ示している。最初に本発明の高圧流体用開閉弁1の構成について説明する。弁本体2の内部には、その内部には弁体3が移動可能な寸法のキャビティ5が形成されている。キャビティ5の下部は略円錐状となっており、このキャビティ下部には、弁体3の第一当接部3aの着座する第一シート部8が形成されている。第一シート部8よりも下の部分から弁本体2の底面の入口6aへ流体流入通路6が延びている。この入口には、高圧流体を供給するために高圧ポンプ(図示せず)が接続されている。また、キャビティ5の上部は略円錐状となっており、このキャビティ上部には、弁体3の第二当接部3bの着座する第二シート部10が形成されている。第二シート部10よりも上の部分から弁本体2の上面へ通路9が延びている。この通路9には、弁体の操作機構及びシール機構が配置されている。また、第一シート部8と第二シート部10の間のキャビティ5の部分から弁本体2の側面の出口7aへ流体流出通路7が延びている。出口7aには、例えば高圧試験装置などに接続されている。
【0012】
図1において3は弁体を示している。弁体3は弁本体2の内部に形成されたキャビティ5の内部に開弁位置と閉弁位置の間で弁体操作部18によって移動可能に配置されている。弁体3は、弁本体2の第一シート部8と当接する第一当接部3aを下部において有し、弁本体2の第二シート部10と当接する第二当接部3bを上部において有している。また、第二当接部3bの上部には、弁体操作部18の弁体加圧部4と当接するための第三当接部3cが形成されている。また、弁体3は、好適には、当接部3bから下方に弁体3の第二シート部10の下部には流体流入通路6内に弁体案内部13が延長している。これにより、弁体3が移動時に傾いた場合にも弁体案内部13が流体流入通路6にガイドされるので、開弁及び閉弁時において当接部3a、3bとシート部8、10の当接が容易となる。また、閉弁操作では、弁体操作部18を下降させて弁体3に押圧することによって、高圧流体に抗して弁体3が下に押圧されて閉弁位置に保たれる。閉弁位置では、弁体3の当接部3bが第一シート部8に当接することにより流体流入通路6が遮断される。
開弁操作では、弁体操作部18を上昇させることによって、弁体3は下面で圧力を受けて上昇し、弁体3が第二シート部10に当接した時、弁体3は第二シート部10で囲んだ領域分だけ下向きの力よりも大きな上向きの力を受けるので、開弁位置に保たれる。開弁位置では、弁体3の当接部3aが第二シート部10から離間し、流体流入通路6と流体流出通路7が連通した状態となる。
【0013】
図1において18は弁体操作部である。弁体操作部18の上部において、アクチュエータとして機能する例えば油圧式ピストン(図示せず)と連結される端部を有し、下部において弁体3の第三当接部3cと当接する弁体加圧部4を有する。また、弁体操作部18のシール部と接触する部分には耐磨耗処理が施されている。
【0014】
次に、弁体操作部18のシール機構について説明する。弁本体2の通路9には筒状の凹所が設けられており、この凹所内には、下から上へ順に第一スペーサ14、シール15、第二スペーサ16、プラグ17が配置されている。これらの構成要素のそれぞれには、弁体操作部及び弁体が略垂直方向に移動可能に通ることのできるように開口が中央に設けられている。弁本体2の凹所には雌ねじ部が形成されており、雄ねじ部が形成されたプラグ17を回転させることによって、シール15を圧縮してシール15を横方向に膨張させて弁体操作部18及び弁本体2の凹所の壁面に密着してシールする。
【0015】
図3に示す従来の開閉弁では、常にシール15が流体に晒されるので、流体の圧力に応じて強くプラグを締め付けてシール15を密着させる必要がある。それに対して、本発明の開閉弁では、図2に示すように、開弁時には、弁体3は、第二シート部10に当接した状態を保っており、通路9が第二シート部10で遮断されるのでシール15は高圧流体から隔離されている。このように、弁体3のシール15は、閉弁状態及び開弁状態において高圧流体に晒されることがないので、シール15と弁体操作部18の間の密着力を強くする必要がない。それにより、密着力が小さいのでシール15の磨耗量を低減し、シール15の寿命を長くすることができる。
【0016】
図1において12は流体排出通路である。弁本体2の凹所の壁面から弁本体2の外面へ通じた流体排出通路12が形成されている。このため、シール15と弁本体2の凹所の間を漏れ出る流体があった場合には、この漏れ流体を排出通路12を通して弁本体2の外部に取り出すことができる。これにより、漏れた流体が開閉弁の内部に溜まって弁体の動きを妨害して操作の不具合の危険をなくすことができる。また、排出通路12を形成することにより通路12から回収した流体を再使用できるという利点がある。
【0017】
図1において11は空洞部である。シール15近傍に空洞部11が形成されている。これにより、シール15を通して漏れた流体を空洞部11で減圧させることができるので、高圧流体が漏れた場合にも漏れ流体の圧力によって操作の不具合の危険をなくすことができる。
【0018】
次に、本発明の高圧流体用開閉弁の作用について説明する。まず開閉弁1の設定を行う。高圧ポンプに通じた管(図示せず)を開閉弁1の入口6aに接続し、例えば高圧試験装置等の目的の装置に通じた管(図示せず)を開閉弁1の出口7aに接続する。弁1のプラグ17を締め、弁体操作機構のシール15を確保する。弁体操作部18の端部に油圧ピストン(図示せず)を連結し、ピストンを下降して弁体3を第一シート部10に固定し、弁を閉弁状態に保つ。弁体操作部18、高圧ポンプを作動することによって、流体流入通路6内に流体を所定の値の高圧で貯留する。
【0019】
次に、開弁を行う。開弁タイミング時に油圧ピストンを上昇させることにより弁体操作部18を上昇させる。その直後、弁体3は底面に流体の圧力を受け、弁本体の第一シート部8から離間して上昇し、弁体3は第二シート部10と当接して開弁状態となる。一方、流体は、キャビティ5及び流体流出通路7を通って高圧試験装置に供給される。
【0020】
最後に、閉弁を行う。閉弁タイミング時に油圧ピストンを下降させて弁体操作部18を下降させることにより、弁体3を第一シート部8に着座させて閉弁させることによって高圧ポンプから切り離す。それと同時に、高圧試験装置に通じた管を切り離すことによってキャビティ5内の圧力を解放し、弁操作を終了する。
【0021】
以上のように、開弁及び閉弁状態の時、シールは高圧流体と隔離されている。そのため、シールを強く弁体操作部に密着させる必要がなく、その結果、シールの弁体との摩擦による磨耗が著しく低減され、シールの寿命を著しく長くすることができる。また、流体の漏れによる圧損が非常に小さく、高い圧力精度を実現することができるという利点がある。
【0022】
以上の説明において、本実施形態では弁1と接続する装置を高圧試験装置として説明したが、当然、高圧試験装置に限らない
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧流体用開閉弁の開弁時の断面図である。
【図2】本発明の高圧流体用開閉弁の閉弁時の断面図である。
【図3】従来の高圧流体用開閉弁の閉弁時の断面図。
【符号の説明】
1…高圧流体用開閉弁
2…開閉弁本体
3…弁体
3a…第一当接部
3b…第二当接部
4…弁体加圧部
5…キャビティ
6…流体流入通路
7…流体流出通路
8…第一シート部
10…第二シート部
11…空洞部
12…排出通路
15…シール
18…弁体操作部

Claims (3)

  1. 流体流入通路と、流体流出通路と、前記流体流入通路及び前記流体流出通路に連通したキャビティとを備えた弁本体と、
    前記弁本体の前記キャビティ内に配置されている弁体と、
    前記弁体を操作するための弁体操作部と、
    前記弁体操作部のシール機構とを備えた高圧流体用開閉弁において、
    前記キャビティには、前記流体流入通路を遮断するための第一シート部と、前記シール機構を遮断するための第二シート部とが形成されており、
    前記弁体操作部は、前記弁体を押圧するための弁体加圧部が設けられており、
    前記弁体には、前記第一シート部と当接可能な第一当接部と、前記第二シート部と当接可能な第二当接部と、前記弁体加圧部と当接可能な第三当接部とが形成されており、
    前記弁体には、開弁時においても前記流体流入通路内まで延びている弁体案内部がさらに設けられており、
    閉弁時において、前記弁体が前記弁体操作部に押圧されることによって前記弁体は前記第一当接部で前記第一シート部に着座させられて前記流体流入通路と前記流体流出通路を遮断し、
    開弁時において、前記弁体が前記弁体操作部と離間することによって前記弁体が前記第二当接部で前記第二シート部に着座させられ、前記流体流入通路と前記流体流出通路が連通しかつ前記弁体操作部のシール機構が高圧流体から隔離されることを特徴とする高圧流体用開閉弁。
  2. 前記弁体操作部のシール機構から漏れた流体を流出させるために、前記弁本体の外面に通じた通路が前記シール機構の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の高圧流体用開閉弁。
  3. 前記弁体操作部のシール機構から漏れた流体の圧力を低減するために、空洞部が前記シール機構外周に沿って形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧流体用開閉弁。
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