JP3757648B2 - Control rod pull-out monitoring device and control rod control device - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制御棒引抜き監視装置及び制御棒制御装置に係り、特に沸騰水型原子炉(BWRと称す)に適用するのに好適で、原子炉の出力運転中に制御棒の引抜きが可能か否かを中性子束に基づいて判定する制御棒引抜き監視装置及び制御棒制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
BWRは、炉心内に多数の燃料集合体を装荷している。これらの燃料集合体は、核燃料を充填した複数の燃料棒を有する。従来のBWRにおいて、原子炉の出力運転中に引抜き対象として選択された制御棒周辺に位置する中性子検出器の局所出力の平均値を求め、炉心流量により決定された原子炉出力の設定値と上記局所出力の平均値とを比較し、局所出力の平均値が原子炉出力の設定値を超えた場合に制御棒引抜き阻止信号を制御棒制御手段に出力する制御棒引抜き監視装置が、適用されている。例えば制御棒が誤って引抜かれると、炉心内の局所的な出力上昇によって燃料棒が損傷する恐れがあるが、制御棒引抜き監視装置は、制御棒引抜き阻止信号を出力することにより、燃料棒の損傷を防止する。
【0003】
ところで、BWRの運転においては、核燃料物質の燃焼に伴い、炉心の反応度が低下するので、炉心に供給する冷却材流量(炉心流量)を増やして反応度の低下を補償し、原子炉出力を一定に保持する。炉心流量が最大値に達すると、反応度の低下の補償ができなくなり原子炉出力を定格出力(100%出力)に維持できなくなる。そこで、制御棒の引抜き操作によって原子炉出力を上昇させる必要がある。原子炉では、燃料棒の健全性を維持するため、原子炉出力が定格出力を超過することを防止するため、定格出力近辺では制御棒の引抜き操作を行わない。制御棒の引抜き操作を実行する場合には、炉心流量の減少により原子炉出力を十分に低下させて制御棒の引抜き操作を実行し、その後、炉心流量を増加させて原子炉出力を定格出力まで上げている。しかし、原子炉出力を一旦下げるために、BWRプラントの設備利用率が低下し、望ましくない。また、炉心流量の減少,増加棒操作に対する運転員の負担増大、及び原子炉出力低下による電力系統への外乱増加、の原因になるなど、いずれの面から見ても好ましいものではない。従って、原子炉出力を低減させて制御棒の引抜きを行う回数は、可能な限り少ない方がよい。
【0004】
近年、ウラン資源の有効利用とエネルギーセキュリティ確保の観点から、段階的に軽水炉でのプルトニウム利用(プルサーマル)計画が進められている。今後、稼働中の沸騰水型原子力発電所で、炉心に装荷されている燃料集合体の1/3程度を、製造時にウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)を含んでいる燃料集合体(MOX燃料集合体という)とすることが計画されている。残りの2/3は、製造時点でウランとプルトニウムの混合酸化物を含まずウラン酸化物を含む燃料集合体(ウラン燃料集合体という)である。更には、炉心内の全ての燃料集合体をMOX燃料集合体とすることも計画されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
MOX燃料集合体がウラン燃料集合体と異なる点は、燃料集合体の製造時点でプルトニウムを含んでいることである。プルトニウムは、ウランに比べて遅発中性子割合が小さく、また、中性子吸収断面積が大きい。つまり、冷却材のボイド量変化時の出力変化量が大きくなる。これは、ボイド係数が大きいことを意味しており、高原子炉出力時の中性子のゆらぎ量が大きくなる。このゆらぎ量は、シミュレーションによる評価によって、定格出力時に、±5%以上になることが新たに分かった。
【0006】
MOX燃料集合体が装荷された炉心(MOX燃料炉心)でも、前述したように原子炉出力を低下させずに、制御棒の引抜き操作を行うことが望ましい。この炉心は、前述したように高原子炉出力時において中性子ゆらぎ量が定格出力の±5%以上変化する。制御棒引抜き監視装置は、中性検出器の出力が105%を超えた場合に、制御棒引抜き操作を禁止するロジックとなっている。このため、原子炉出力を低下させずに制御棒の引抜き操作を行おうとしても、中性子ゆらぎにより制御棒の引抜きが禁止される。つまり、MOX燃料炉心では、中性子ゆらぎにより制御棒引抜きが禁止され、原子炉出力を低下させずに制御棒の引抜き操作を行うことは不可能になってしまうという問題が発生する。
【0007】
ウラン燃料集合体を炉心に装荷した従来のBWRでは、運転サイクル数が多くなるにつれて生成されたプルトニウムが燃料集合体内に蓄積されて、ボイド係数が増大する。また、1つの運転サイクル前半では炉心流量を低くしてボイド量を増やし、これによりプルトニウムを積極的に燃料集合体内に蓄積させ、その運転サイクル後半では炉心流量の増加によりボイド量を減らして蓄積されたプルトニウムを燃焼させて、核燃料の利用率を高めるスペクトルシフト運転が行われている。運転サイクル前半及び後半では、制御棒操作と炉心流量制御との併用で原子炉出力は定格出力に保持される。スペクトルシフト運転を行った場合、中性子ゆらぎ量は、運転サイクル前半(上記の炉心流量低流量時)の方が運転サイクル後半より多いものの、現状では高原子炉出力時において中性子ゆらぎにより制御棒引抜きが禁止されることはない。しかしながら、濃縮度の高い燃料集合体が装荷されたり、運転サイクルが進んだり、運転サイクル期間自体が長くなることによってボイド係数が高くなり中性子ゆらぎ量が増大すると、中性検出器の出力が制御棒引抜き監視装置の規準値105%を超える可能性がある。この結果、高原子炉出力時での制御棒引抜きが制御棒引抜き監視装置によって禁止されるという問題が発生する。
【0008】
本発明の目的は、中性子ゆらぎ量が増大する場合に原子炉出力を低下させないで制御棒の引抜き操作ができ、炉心内の局所的な出力上昇に対しては制御棒の引抜きを阻止できる制御棒引抜き監視装置及び制御棒制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する第1発明の特徴は、局所平均中性子束を増幅する増幅手段と、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも低い場合に増幅手段のゲインを変更するゲイン調整手段と、増幅手段の出力信号の低周波信号を通過させる低周波通過フィルタと、低周波通過フィルタからの低周波信号が設定レベルを超えたときに、制御棒引抜き阻止信号を出力する比較手段とを備えたことにある。
【0010】
上記目的を達成する第2発明の特徴は、引抜き操作を行う制御棒が選択されたとき、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも高い場合に低周波通過フィルタに初期値として局所平均中性子束の値を設定し、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも低い場合に低周波通過フィルタに初期値として炉心平均中性子束の値を設定するフィルタ初期値設定手段を、備えたことにある。
【0011】
上記目的を達成する第3発明の特徴は、炉心内に配置された複数の中性子検出器から出力された中性子束信号の低周波信号を通過させる複数の低周波通過フィルタと、引抜き操作を行う制御棒周辺の中性子束を測定する複数の中性子検出器の中性子束信号を入力する複数の低周波通過フィルタの出力信号を用いて、局所平均中性子束を求める局所平均中性子束出力手段と、局所平均中性子束を増幅する増幅手段と、局所平均中性子束が前記炉心平均中性子束よりも低い場合に増幅手段のゲインを変更するゲイン調整手段と、増幅手段の出力信号の低周波信号を通過させる低周波通過フィルタと、低周波通過フィルタからの低周波信号が設定レベルを超えたときに、制御棒引抜き阻止信号を出力する比較手段とを備えたことにある。
【0012】
上記目的を達成する第4発明の特徴は、炉心内に配置された複数の中性子検出器から出力された中性子束信号の低周波信号を通過させる複数の低周波通過フィルタと、引抜き操作を行う制御棒周辺の中性子束を測定する複数の中性子検出器の中性子束信号を入力する複数の低周波通過フィルタの出力信号を用いて、第1局所平均中性子束を求める第1の局所平均中性子束出力手段と、引抜き操作を行う制御棒周辺の中性子束を測定する複数の中性子検出器の中性子束信号を用いて、第2局所平均中性子束を求める第2の局所平均中性子束出力手段と、第1局所平均中性子束を増幅する増幅手段と、第2局所平均中性子束が前記炉心平均中性子束よりも低い場合に増幅手段のゲインを変更するゲイン調整手段と、増幅手段の出力信号の低周波信号を通過させる低周波通過フィルタと、低周波通過フィルタからの低周波信号が設定レベルを超えたときに、制御棒引抜き阻止信号を出力する比較手段とを備えたことにある。
【0013】
上記目的を達成する第5発明の特徴は、増幅手段の出力信号及び低周波通過フィルタの出力信号のいずれかを出力する切替手段と、切替手段の出力信号が設定レベルを超えたときに、制御棒引抜き阻止信号を出力する比較手段を備えたことにある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な一実施例である制御棒引抜き監視装置を、図1に基づいて以下に説明する。
【0015】
本実施例を適用したBWRプラントの概要をまず説明する。BWRプラントは、原子炉圧力容器13,原子炉圧力容器13内の炉心に装荷された複数の燃料集合体(図示せず),燃料集合体間に挿入されて原子炉出力を制御する複数の制御棒15を備える。制御棒駆動機構16は、これらの制御棒15にそれぞれ設けられる。制御棒駆動機構16は、モータ18、及びこの回転を停止させるための電磁ブレーキ19等を有し、モータ18の回転量を直線運動に変換して制御棒15を上下方向に駆動させるものである。制御棒15の炉心高さ方向における位置は、位置検出器17で検出される。炉心は、ウラン燃料集合体及びMOX燃料集合体が混在するMOX燃料炉心である。
【0016】
モータ18の駆動によって制御棒15を炉心から引抜くことによって、原子炉出力が上昇する。再循環ポンプ(図示せず)の駆動によって炉心内に供給される冷却水14は、燃料集合体内を上昇する間に核燃料物質の分裂によって発生する熱で加熱されて蒸気となる。蒸気は、主蒸気管31を通ってタービン(図示せず)に送られる。再循環ポンプによる炉心流量の制御によっても、原子炉出力を制御できる。炉心流量が増加すると、原子炉出力が上昇する。
【0017】
複数の中性子検出器ストリング12が、制御棒15が挿入されない燃料集合体相互間の水ギャップに配置されている。1つの制御棒15を取り囲む4体の燃料集合体によって1つのセルが構成され、1つの中性子検出器ストリング12はセルの1つのコーナに配置される。中性子検出器ストリング12内には、図2に示すように、異なる高さでの中性子束を測定する4つの中性子検出器A,B,C及びDが配置されている。これらの中性子検出器ストリング12を4つ象限に分けられた炉心水平断面の1つの象限にまとめると、各セルのコーナに1本ずつ中性子検出器ストリング12が配置されることになる。図2において、セルの他の3つのコーナの位置での中性子束は、中性子検出器ストリング12が位置する象限とは異なる象限に配置された中性子検出器ストリング12A,12B及び12C内の各中性子検出器A〜Dによって検出される。
【0018】
本実施例の制御棒引抜き監視装置は、制御棒引抜き監視装置1,N個の局所出力モニタ(LPRM−1〜LPRM−N)及び平均出力モニタ(APRM)10を備える。制御棒駆動機構制御装置は、制御棒操作監視装置21及び制御棒制御器22を備える。
【0019】
炉心流量が最大値に達して炉心流量の増加により原子炉出力を定格出力に保持できない状態になったとき、操作盤(図示せず)からのオペレータによる操作指令20の入力により、選択された制御棒15の引抜き操作が実行される。制御棒操作監視装置21は、入力した操作指令20に基づいて、引抜く1本の制御棒 (ギャングモードで操作される場合には複数の制御棒)を目標位置まで引抜くための指令を制御棒制御器22に出力する。また、制御棒操作監視装置21は、操作指令20に基づいて選択された上記1本の制御棒(または複数の制御棒)の位置(炉心水平断面における位置)を示す情報(選択制御棒情報25)を後述の LPRM出力平均処理装置3に出力する。
【0020】
制御棒制御器22は、該当する制御棒14の位置検出器17からの制御棒位置を取込み、制御棒駆動装置23に制御指令を出力して該当制御棒を目標位置まで引抜く制御を実行する。制御棒駆動装置23は、制御指令を入力するとモータ 18を制御棒駆動方向に対応した方向に回転させるために、モータ18に電源 24の電圧を印加させる。このとき、電磁ブレーキ19は解除され、モータ18が回転する。制御棒15が目標位置まで引抜かれると、制御棒制御器22は制御指令を出力しなくなり、制御棒駆動装置23はモータ18と電磁ブレーキ19への電力供給を遮断する。モータ18は停止し電磁ブレーキ19のブレーキ力により制御棒15が目標位置に保持される。原子炉出力は、上昇し定格出力に維持される。
【0021】
次に、制御棒引抜き監視装置1について説明する。各中性子検出器ストリング12内の中性子検出器A〜Dの出力信号は、局所出力モニタ(LPRM)であるLPRM−1,LPRM−2,……,LPRM−Nのうち該当するモニタに入力される。1つのLPRMは、1個の中性子検出器に接続される。LPRM−1,LPRM−2,……,LPRM−Nは、該当する中性子検出器の測定した中性子束信号を入力し、中性子検出器の感度劣化(検出器に塗布してあるウランの消耗に起因)を補うためのゲイン補正処理,10Hz程度以上の高周波電気ノイズによる影響を抑制するためのフィルタ処理,原子炉出力に対応させるためのゲイン処理等を行い、原子炉出力に対応した中性子束信号をそれぞれ出力する。
【0022】
APRM10は、LPRM−1,LPRM−2,……,LPRM−Nの出力である中性子束信号を用いて、炉心平均中性子束(原子炉出力の平均値)を算出して出力する。制御棒引抜き監視装置1は、制御棒引抜き監視装置2A及び2B,制御棒引抜き監視装置2A及び2Bの出力信号を入力するORゲート手段9を備える。
【0023】
制御棒引抜き監視装置2Aは、LPRM出力平均処理装置3,調整手段4,増幅器5,ローパスフィルタ6,比較器7及び判定基準設定器8を有する。ローパスフィルタ6は、ディジタルフィルタである図3に示す有限長インパルス応答 (FIR)と呼ばれるフィルタである。遅延素子Z-1は入力信号をフィルタ演算周期だけ遅らして出力する。a0〜akは重み係数であり、30は加算器である。図3のFIRフィルタは非再帰型フィルタとも呼ばれ、現在の入力信号x(t)に重み係数a0 を掛けた値と過去の入力信号x(t−1),x(t−2),……
,x(t−k)に重み係数を掛けた値を加算器30で加算して得れられたy(t)を出力信号として出力する。重み係数a0〜akの値によってローパスフィルタ6の特性が決まる。
【0024】
ローパスフィルタ6としては、ディジタルフィルタである図4に示す無限長インパルス応答(IIR)と呼ばれるフィルタを用いてもよい。図4のIIRフィルタは再帰型フィルタとも呼ばれ、演算結果の一部が入力にフィードバックされ巡回するループが構成されている。重み係数α1 ,β1 の値によってローパスフィルタ6の特性が決まる。
【0025】
制御棒引抜き監視装置2Bは、制御棒引抜き監視装置2Aと同じ構成を有する。制御棒引抜き監視装置2Aは中性子検出器A及びCの中性子束信号に対する制御棒引抜き監視を行う。制御棒引抜き監視装置2Bは中性子検出器B及びDの中性子束信号に対する制御棒引抜き監視を行う。制御棒引抜き監視装置2Aと制御棒引抜き監視装置2Bは同じ動作をするので、制御棒引抜き監視装置2Aの動作を以下に詳しく説明する。
【0026】
中性子検出器A及びCの中性子束信号を入力する各LPRMの出力信号が、 LPRM出力平均処理装置3に入力される。LPRM出力平均処理装置3は、選択制御棒情報25も入力する。LPRM出力平均処理装置3は、選択制御棒情報25で指定された位置の制御棒15の周辺の4体の中性子検出器ストリング内の中性子検出器A及びC(例えば、図2の中性子検出器ストリング12,12A,12B及び12C内の中性子検出器A及びC)を選択し、これらの中性子検出器の出力である中性子束信号を用いて、これらの信号の加算平均である局所平均中性子束を算出する。局所平均中性子束は、増幅器5に入力される。なお、炉内最外周では制御棒引抜きによる出力上昇が小さいため、この部分の制御棒引抜きでは、3体あるいは2体の中性子検出器ストリング内の中性子検出器A及びCの出力信号を用いる。
【0027】
調整手段4は、ゲイン調整手段及びフィルタ初期値設定手段の各機能を有する。調整手段4におけるゲイン調整手段の機能について述べる。調整手段4におけるゲイン調整手段は、APRM10から出力された炉心平均中性子束がLPRM出力平均処理装置3から出力された局所平均中性子束よりも低い場合には、増幅器5のゲインを1に調整する。つまり、この場合には局所平均中性子束がそのまま増幅器5から出力されてローパスフィルタ6に入力される。
【0028】
炉心平均中性子束が局所平均中性子束以上になる場合には、調整手段4におけるゲイン調整手段は、炉心平均中性子束と局所平均中性子束とが等しくなるゲインを算出し、この算出したゲインになるように増幅器5のゲインを調整する。増幅器5は調整されたゲインを用いて局所平均中性子束を増幅してローパスフィルタ6に出力する。なお、増幅器5のゲインは、次に引抜く制御棒が選択されるまでは固定されており、変更されない。
【0029】
本実施例におけるゲイン調整手段は、上記のゲイン調整を行うので、中性子束レベルの低い位置における制御棒15が選択されたとき、この選択された制御棒15の価値が高い場合に、この制御棒15の引抜き可能量を減少させ、価値の高い制御棒15の引抜きによる燃料棒損傷の可能性を防止できる。このため、燃料棒の安全性が高まる。ゲイン調整手段は、ローパスフィルタ6の初期値設定のためにも必要である。
【0030】
ローパスフィルタ6は、炉心の局所的な出力増加を示すLPRM−1等の出力である中性子束信号は通過させ、中性子検出器の出力に含まれる中性子束のゆらぎを抑制させるためのものである。ローパスフィルタ6は、増幅器5の出力信号に含まれる、ゆらぎ周波数(例えば0.2Hz)以上の周波数成分を抑制し、ゆらぎ周波数よりも小さい周波数成分を含む低周波信号を出力する。
【0031】
比較器7は、ローパスフィルタ6からの低周波信号のレベルと判定基準設定器8に設定されている判定基準値とを比較する。判定基準設定器8に設定された判定基準値は、図5に示すように、炉心流量に連動した3つの判定基準値を有する。3つの判定基準値は、上限レベル警報の閾値となる正位置,中間レベル警報の閾値となる中間位置、及び低レベル警報の閾値となる低位置である。比較器7は、その低周波信号のレベルと上記3つの判定基準値とを比較し、低周波信号のレベルが各判定基準値を超えた時に警報を出力する。低周波信号のレベルが正位置の判定基準値を超えたときに、比較器7は制御棒引抜き阻止信号9aを出力する。定格出力では炉心流量が90%以上であるので、低周波信号のレベルが105%を超えたときに制御棒引抜き阻止信号9aが出力される。
【0032】
制御棒引抜き監視装置2Aからの制御棒引抜き阻止信号9a、及び制御棒引抜き監視装置2Bからの制御棒引抜き阻止信号9bの少なくとも1つがORゲート手段9に入力されたとき、ORゲート手段9から出力された制御棒引抜き阻止信号9cが制御棒操作監視装置21に入力される。制御棒制御器22は、制御棒操作監視装置21からの制御棒引抜き阻止信号9cに基づいて、引抜いている制御棒の更なる引抜きを阻止すべく、制御棒駆動装置23に引抜き中止の制御指令を出力する。制御棒駆動装置23は、この制御指令に基づいて該当する制御棒を操作する制御棒駆動機構16のモータ18への電力の供給を停止する。このようにして、制御棒引抜き阻止信号9cが出力されたとき、該当する制御棒の引抜きが停止される。
【0033】
なお、制御棒引抜き監視装置2BのLPRM出力平均処理装置3は、選択制御棒情報25で指定された位置の制御棒15の周辺の4体の中性子検出器ストリング内の中性子検出器B及びD(例えば、図2の中性子検出器ストリング12, 12A,12B及び12C内の中性子検出器B及びD)の出力である中性子束信号を用いて、これらの信号の加算平均である局所平均中性子束を算出する。なお、炉内最外周では制御棒引抜きによる出力上昇が小さいため、この部分の制御棒引抜きでは、3体あるいは2体の中性子検出器ストリング内の中性子検出器B及びDの出力信号を用いる。
【0034】
ローパスフィルタ6は、遅延素子Z-1を備えているので、現時点及び過去の局所平均中性子束(増幅器5の出力信号)を扱うことになる。ローパスフィルタ6に増幅器5の出力信号が印加された時には、遅延素子Z-1の出力は一般的にゼロである。このため、ローパスフィルタ6の出力である低周波信号のレベルはゼロから徐々に上昇して増幅器5の出力である局所平均中性子束に追従する。低周波信号のレベルが、増幅器5の出力である局所平均中性子束に追従するまでは、正位置の判定基準値よりも低いので、実際に制御棒引抜き阻止信号9aの出力が必要な状況下においても、比較器7が制御棒引抜き阻止信号9aを出力しないという問題を生じる。これは、遅延素子Z-1の初期値がゼロになっていることに起因する。そこで、選択制御棒情報25を入力した時、調整手段4がAPRM10から出力される炉心平均中性子束の値を遅延素子Z-1の初期値を設定する。各遅延素子 Z-1の初期値は、例えばAPRM10から出力される炉心平均中性子束の値(または増幅器5の出力である局所平均中性子束の値)にすればよい。
【0035】
図4のIIRフィルタでは、遅延素子Z-1の初期値がゼロの場合には入力信号がそのまま出力信号として出力されるため、遅延素子Z-1の初期値はゼロのままでよい。また、ローパスフィルタとして図3のFIRフィルタの出力に図4の IIRフィルタを接続したものを用いてもよいが、この場合にもFIRフィルタの各遅延素子Z-1の初期値は、例えば炉心平均中性子束の値または増幅器5の出力である局所平均中性子束の値に設定すればよい。
【0036】
ローパスフィルタ6は、各遅延素子Z-1の初期値設定処理がなされない場合には、遅延素子Z-1の初期値がゼロであるときに入力信号(図6の特性I)に対してレベルがゼロから徐々に上昇する低周波信号(図6の特性II)を出力したり、前回引抜かれた制御棒に隣接した燃料集合体に対する増幅器5の出力である局所平均中性子束の値が遅延素子Z-1に残っているときにこの値を初期値として今回引抜く制御棒に隣接した燃料集合体に対するものとは異なった初期値から低周波信号を出力することになる。これに対して、調整手段4におけるフィルタ初期値設定手段が、今回引抜く制御棒に対する選択制御棒情報25を入力した時に各遅延素子Z-1の初期値を炉心平均中性子束の値に設定する初期値設定処理を実行する場合には、ローパスフィルタ6は入力信号(図6の特性I)に対して引抜き制御棒を選択した時点から入力信号に追従した低周波信号(図6の特性III)を出力する。
【0037】
本実施例において、調整手段4におけるフィルタ初期値設定手段は、以下の機能を更に有している。フィルタ初期値設定手段は、選択制御棒情報25を入力した時にLPRM出力平均処理装置3の出力である局所平均中性子束がAPRM10の出力である炉心平均中性子束よりも高いと判定した場合に、各遅延素子Z-1の初期値としてその局所平均中性子束の値を設定する。また、フィルタ初期値設定手段は、その局所平均中性子束がその炉心平均中性子束以下であると判定した場合に、各遅延素子Z-1の初期値としてその炉心平均中性子束の値を設定する。
【0038】
このような機能をフィルタ初期値設定手段が有していない場合には、以下のような問題が生じる。すなわち、LPRM出力平均処理装置3の出力がAPRM10の出力より高いと、増幅器5のゲイン変更がなされないため、ローパスフィルタ6に入力される信号、つまりLPRM出力平均処理装置3の出力は、遅延素子Z-1の初期値よりも高いレベルになっている。このような状態で制御棒の引抜きが行われて、LPRM出力平均処理装置3の出力レベルが上昇し、低周波信号のレベルが正位置の判定基準値(105%)以上となった場合、比較器7は、遅延素子 Z-1の初期値がLPRM出力平均処理装置3の出力レベルより低かった分、より一層遅れて制御棒引抜き阻止信号9aを出力することになる。この制御棒引抜き阻止信号9aの出力遅れの防止は、上記した、LPRM出力平均処理装置3の出力である局所平均中性子束と炉心平均中性子束との大小関係に基づいた遅延素子Z-1の初期値設定機能を、フィルタ初期値設定手段に持たせるとよい。
【0039】
本実施例は、フィルタ初期値設定手段によってLPRM出力平均処理装置3の出力とAPRM10の出力の大小関係に応じて遅延素子Z-1の初期値を設定するので、ローパスフィルタ6が、常に、制御棒引抜き時においてローパスフィルタ6に最初に入力される増幅器5の出力信号のレベルと同一の値を初期値として入力信号のフィルタ演算を実施することが可能になる。このため、ローパスフィルタ6の出力が不必要に遅れることを防止でき、比較器7からの制御棒引抜き阻止信号 9aの出力遅れを防止できる。制御棒引抜き監視装置1からの制御棒引抜き阻止信号9cの出力の遅れがなくなり、該当する引抜き制御棒の引抜き阻止を短時間に行うことができる。
【0040】
本実施例は、ゲイン調整手段の出力に基づいて増幅器5のゲインを調整し、この増幅器5の出力をローパスフィルタ6に入力してゆらぎ周波数以上の周波数成分を抑制するので、MOX燃料炉心において、高原子炉出力、例えば定格出力時の中性子ゆらぎ量の増大に起因して増幅器5の出力である局所平均中性子束が正位置の判定基準値を超えるような値になっても、中性子ゆらぎ量の増大に起因した制御棒の引抜き阻止を回避できる。このため、中性子ゆらぎ量が増大した場合に、炉心流量減少による原子炉出力低下操作を行うことなく、すなわち定格出力の状態で制御棒15を引抜いて核燃料の燃焼に伴う原子炉出力の低下を補償できる。また、本実施例は、炉心内の局所的な出力上昇によって局所平均中性子束が増加してローパスフィルタ6の低周波信号のレベルが正位置の判定基準値を超えた場合には、該当する制御棒引抜きを阻止することができる。
【0041】
定格出力を維持するための制御棒の引抜きを原子炉出力を低下しないで行うことができるので、BWRプラントの設備利用率を向上できると共に、運転員の負担を軽減できる。本実施例は、更に、電力系統への外乱を増加させることを抑制できるという効果も生じる。
【0042】
本実施例は、MOX燃料炉心を有するBWRプラントだけでなく、スペクトルシフト運転が実施される、ウラン燃料集合体が装荷されてMOX燃料集合体が装荷されていない炉心を備えたBWRプラント、及び濃縮度の高いウラン燃料集合体が装荷されて定格出力時の中性子ゆらぎ量が増大する炉心を備えたBWRプラントにも適用でき、これらの場合にも前述の効果を生じる。
【0043】
本発明の他の実施例である制御棒引抜き監視装置を、図7に基づいて以下に説明する。本実施例は、図1の実施例とローパスフィルタの設置場所が異なっており、また調整手段4がゲイン調整手段の機能を有しフィルタ初期値設定手段の機能を有していない。本実施例の他の構成は、図1の実施例の構成と同じである。ローパスフィルタ61 はLPRM−1に、ローパスフィルタ62 はLPRM−2に、……,ローパスフィルタ6N はLPRM−Nにそれぞれ接続されている。ローパスフィルタ61,62,……,6N の構成は、図1のローパスフィルタ6の構成と同じである。このため、本実施例では、引抜き制御棒の選択の実施の有無とは無関係に、常にLPRM−1〜LPRM−Nの各出力信号に対して、個別に、図1のローパスフィルタ6と同様なフィルタリング処理が実施される。従って、図1の実施例におけるフィルタ初期値設定手段が不要になる。本実施例は、各ローパスフィルタに対する前述の初期値設定処理を不要にし、図1の実施例と同様に、中性子ゆらぎ量が増大した場合に、炉心流量減少による原子炉出力低下操作を行うことなく、制御棒15の引抜きによる核燃料の燃焼に伴う原子炉出力の低下を補償できる。また、本実施例は、炉心内の局所的な出力上昇によって局所平均中性子束が増加した場合には、該当する制御棒引抜きを阻止することができる。
【0044】
図7の実施例では、調整手段4は、APRM10の出力である炉心平均中性子束が LPRM出力平均処理装置3の出力である局所平均中性子束以上になる場合に炉心平均中性子束と局所平均中性子束とが等しくなる、増幅器5のゲインを算出する。しかし、図7の実施例では、LPRM出力平均処理装置3の入力段にローパスフィルタ61〜6Nを設けているため、LPRM出力平均処理装置3の出力は
APRM10の出力より時間遅れのある信号となり、上記ゲインの算出が複雑になる。このため、ゲインの算出に多くの時間を要し、制御棒引抜き阻止信号9cの出力が遅くなり安全許容マージンを低下させる可能性が生じる。この問題は、図8に示す実施例によって解消できる。
【0045】
図8は、本発明の他の実施例である制御棒引抜き監視装置を示している。本実施例は、制御棒引抜き監視装置2AにLPRM出力平均処理装置3′を新たに設け、調整手段4にはLPRM出力平均処理装置3の出力の替りにLPRM出力平均処理装置3′の出力を入力するようにしたことである。本実施例も、制御棒引抜き監視装置2Bは、制御棒引抜き監視装置2Aと同じ構成を有する。LPRM出力平均処理装置3′は、LPRM−1〜LPRM−Nの出力をそのまま入力し、LPRM出力平均処理装置3と同様に選択制御棒情報25で指定された位置の制御棒15の周辺の4体の中性子検出器ストリング内の中性子検出器A及びCを選択し、これらの中性子検出器の出力を用いて局所平均中性子束を算出する。調整手段4は、APRM10の出力である炉心平均中性子束がLPRM出力平均処理装置3′の出力である局所平均中性子束よりも低い場合に、炉心平均中性子束と局所平均中性子束とが等しくなるゲインを算出し、この算出したゲインになるように増幅器5のゲインを調整する。調整手段4は、これ以外では増幅器5のゲインを1にする。LPRM出力平均処理装置3の出力信号は、上記のようにゲインが調整された増幅器5で増幅される。本実施例における他の動作は、図7の実施例と同じである。
【0046】
本実施例は、LPRM出力平均処理装置3′を新たに設けることにより、図7の実施例に比べて、増幅器5のゲインの算出が容易でかつ高速に行え、制御棒引抜き阻止に対する応答時間をより短縮できる。本実施例は、図7の実施例で生じる効果も得ることができる。
【0047】
なお、図7及び図8の実施例は、LPRM−1〜LPRM−Nの出力をAPRM10及びローパスフィルタ61〜6Nに入力している。しかしながら、図7及び図8の実施例において、LPRM−1〜LPRM−Nの出力をローパスフィルタ61 〜6N に入力し、ローパスフィルタ61〜6Nの出力をAPRM10及びLPRM出力平均処理装置3に入力した場合には、以下の問題を生じる。
【0048】
APRM10は、図示していないが、炉心平均中性子束がスクラム設定値以上になったときに、スクラムのためのトリップ信号を原子炉保護系(図示せず)に出力する。原子炉保護系は、このトリップ信号に基づいて、高圧水を充填したアキュムレータにつながるラインに設けられた電磁弁を開く。アキュムレータ内の高圧水は、制御棒駆動機構16内に供給されて制御棒15を炉心内に急速挿入する。これによって、BWRがスクラムされる。
【0049】
炉心平均中性子束が設定値に達してスクラムを起こすまでの応答時間は90ms以下であることが、安全上要求されている。このため、LPRM−1〜LPRM−NとAPRM10との間に時定数の大きなローパスフィルタ61〜6Nを設けると、上記スクラム応答時間90ms以下を満足しなくなる。図7及び図8の実施例は、 LPRM−1〜LPRM−NとAPRM10との間にローパスフィルタ61〜6Nを配置していなく、炉心平均中性子束が設定値に達してスクラムを起こすまでの応答時間は90ms以下となり、安全性が極めて高い。
【0050】
本発明の他の実施例を、図9を用いて以下に説明する。本実施例は、図1の実施例において、制御棒引抜き監視装置1を制御棒引抜き監視装置1Aに替えて、更に切替指令スイッチ32を設けたものである。制御棒引抜き監視装置1Aは、制御棒引抜き監視装置1と同様に制御棒引抜き監視装置2A及び2Bを備える。制御棒引抜き監視装置1Aの制御棒引抜き監視装置2A及び2Bは、切替スイッチ33を有する。切替スイッチ33は、増幅器5及びローパスフィルタ6の出力端に接続され、比較器7の入力端に接続されている。
【0051】
切替スイッチ33は、切替指令スイッチ32によって接続状態が制御される。切替スイッチ33は、通常時に開状態になっている第1接点、及び通常時に閉状態になっている第2接点を有する。図9では、通常時において第2接点を介して、増幅器5の出力信号が比較器7に入力されている様子を示している。このため、ローパスフィルタ6の出力は比較器7に入力されることはない。切替指令スイッチ32が閉状態になれば、逆に第1接点が閉じられて第2接点が開くので、ローパスフィルタ6の出力が比較器7に出力されるが、増幅器5の出力信号が比較器7に入力されることはない。つまり、切替指令スイッチ32によって、増幅器5の出力あるいはローパスフィルタ6の出力のいずれかが選択されて比較器7に入力される。電源34A及び抵抗35は、切替指令スイッチ32が閉じられたときに、切替指令信号を切替スイッチ33に出力するために設けている。
【0052】
また、切替指令スイッチ32の状態、つまり増幅器5の出力あるいはローパスフィルタ6の出力のいずれが比較器7に出力されているかを、表示器34で監視できるようにしている。後述するが、これにより、プラント運転員がプラント状態に応じて、ローパスフィルタ6が働いて中性子揺らぎを抑制しているか否かを容易に認識することができる。この表示器34は、複数の運転員が操作監視することが可能な中央制御盤に取り付けて、複数の運転員によってローパスフィルタ6が働いて中性子揺らぎを抑制しているか否かを容易かつ共通に認識させて、運転監視の信頼性をより一層向上させることができる。表示器34は電源34Bから必要な電力の供給を受けている。
【0053】
中性子揺らぎは、原子炉の定格出力(100%出力)において、取替燃料の1/3程度までがMOX燃料の場合には±3%程度、炉心内のすべてがMOX燃料の場合には±5%以上になる。制御棒引抜き監視装置1Aは、中性子出力が105%を超えると、制御棒引抜き操作を禁止するロジックとなっているため、取替燃料の1/3程度までがMOX燃料の炉心の場合には、中性子揺らぎによって制御棒引抜き阻止が働くことはないが、炉心内のすべてがMOX燃料の場合には中性子揺らぎによって制御棒引抜き阻止が働くことになる。ローパスフィルタ6は、炉心の局所的な出力増加を示すLPRM出力信号は通過させ、中性子出力信号のゆらぎを抑制させるためのものであるが、時間遅れを伴う。時間遅れがあれば、その分制御棒引抜き阻止の判定が遅れる。
【0054】
この遅れ時間を見込んで安全余裕度を確保する必要があるが、ローパスフィルタ6を使用すれば、その余裕が少し低下する。取替燃料の1/3程度までがMOX 燃料の炉心の場合には、中性子出力信号が105%を超えることはないため、この場合には切替スイッチ33を制御して、増幅器5の出力信号を比較器7に出力させて、判定基準値と比較するようにし、安全余裕度をより一層向上させることができる。
【0055】
炉心内のすべてがMOX燃料の場合には、中性子揺らぎは±5%以上になる。この場合には、切替スイッチ33を制御して、ローパスフィルタ6の出力信号を比較器7に出力させて、判定基準値と比較するようにし、中性子揺らぎにより制御棒引抜き阻止になることを防止し、プラント運転の設備利用率向上を図ることが可能である。このことは、スペクトルシフト運転によって中性子ゆらぎ量が増大してくる場合についても同様であり、中性子出力が制御棒引抜き監視装置の規準値105%以上になれば、切替スイッチ33を制御して、ローパスフィルタ6の出力信号を比較器7に出力させて、判定基準値と比較するようにし、中性子揺らぎにより制御棒引抜き阻止になることを防止することができる。
【0056】
APRM10の出力信号である中性子出力は、図示していないが運転操作監視盤に出力されているため、この指示値を基に切替指令スイッチ32を操作して、切替スイッチ33を容易に制御することが可能である。また、APRM10の出力信号である中性子出力は図示していないが炉心性能計算機に取り込まれているため、ここで、中性子出力が105%を超えるか否かを判定し、この判定結果を表示装置,プリンタ等に出力し、この結果に基づいて切替指令スイッチ32を操作して、切替スイッチ33を容易に制御することが可能である。
【0057】
比較器7は、切替スイッチ33の出力と判定基準設定器8からの判定基準値とを比較し、切替スイッチ33の出力が判定基準値8より大きい場合には、制御棒引抜きを阻止するための制御棒引抜き阻止信号9aを出力する。制御棒引抜き阻止信号9aはORゲート手段9を介し、制御棒操作監視装置21に出力され、制御棒の引抜き操作が禁止される。
【0058】
なお、本来はローパスフィルタ6を働かすべきところでないのに、切替指令スイッチ32を誤って触って切替えてしまい、ローパスフィルタ6を働かすようにすると、制御棒引抜き阻止をすべきタイミングであったとしても、制御棒引抜き阻止判定が遅れ安全性を低下させてしまうことが考えられる。このような問題を解決するために、切替指令スイッチ32はダブルアクション(例えば、スイッチレバーを上に引き上げた後でないと切替えることができないようなスイッチ)で動作するものとする。
【0059】
制御棒引抜き監視装置1Aは、計算機、つまりソフト処理によって達成することも可能であり、その処理フローを示すと図10のようになる。
【0060】
まず、ステップ1において、各種の信号、例えばLPRMの出力信号を取り込む。次にステップ2において、選択制御棒廻りのLPRM信号の平均を演算する。ステップ3では、ステップ2で選べられた選択制御棒廻りのLPRM平均値とステップ1で入力されているAPRM出力値を比較し、LPRM平均値を増幅するためのゲインを算出する。平均出力モニタ10から出力される炉平均値(APRM出力値)と上述したLPRM平均値とを比較し、炉平均値がLPRM平均値より高い場合には、上述したLPRM平均値が炉平均値と等しくなるようにゲインを決定し、低い場合には、ゲインを1とする。ただし、新たに制御棒が選択されるまでは、この決定したゲインを固定する。
【0061】
ステップ4ではステップ2で選べられたLPRM平均値にステップ3で選べられたゲインを掛ける。ステップ5では、切替指令スイッチ32がON(閉状態)であるか否か判定する。ONでないならば、ステップ7にいく。ONであれば、ステップ6に進む。ステップ6では、例えば図3に示したFIRフィルタ(ローパスフィルタ)を演算実行する。
【0062】
切替指令スイッチ32がONになっていない場合には、ステップ7で、ステップ4で求めた値が判定基準値(図5の基準値)より高いかを判定する。切替指令スイッチ32がONである場合には、ステップ7で、ステップ6のフィルタ処理後の値が比較基準値(図5の基準値)より高いかを判定する。いずれの場合も、比較基準値より高い場合には、ステップ8に進む。比較基準値より低い場合には終了する。ステップ8では制御棒引抜き阻止信号を出力する。これらの処理はあらかじめ定められている周期で、周期的に実行される。
【0063】
以上のようにして、高出力時の中性子ゆらぎ量が増大することによって制御棒引抜き阻止が発生してしまうことを防止でき、かつ炉心内の局所的な出力上昇により中性子出力が上昇した場合には、制御棒引抜きを阻止することが可能である。
【0064】
APRM10は図示していないが、平均中性子出力値(炉平均値)が所定値以上になるとスクラムのためのトリップ信号を原子炉保護系に出力する。平均中性子出力値が所定値以上になってスクラムを起こすまでの時間は90ms以下であることが、安全上要求されている。このため、LPRM−1〜LPRM−NとAPRM10の間に時定数の大きなローパスフィルタを設けたのでは、上記スクラム応答90msを満足しなくなるという問題がある。従って、このような構成をとることは安全上許容されないのである。
【0065】
【発明の効果】
第1発明によれば、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも低い場合にゲイン調整手段の出力に基づいて増幅手段のゲインを変更し、このゲインが変更された増幅手段の出力を低周波通過フィルタに導いてゆらぎ周波数以上の周波数成分を抑制し低周波信号を通過させるので、原子炉出力の高出力時における中性子ゆらぎ量の増大に起因し制御棒の引抜き阻止を回避できる。このため、中性子ゆらぎ量が増大した場合に、炉心流量減少による原子炉出力低下操作を行うことなく、制御棒の引抜きによって核燃料物質の燃焼に伴う原子炉出力の低下を補償できる。また、低周波信号のレベルが設定レベルを超えたときには、該当する制御棒の引抜きを阻止することができる。
【0066】
第2発明によれば、引抜き操作を行う制御棒が選択されたとき、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも高い場合に低周波通過フィルタに初期値として局所平均中性子束の値を設定し、局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも低い場合に低周波通過フィルタに初期値として炉心平均中性子束の値を設定できるので、低周波通過フィルタの初期値がゼロより大きな値となり、制御棒引抜き阻止信号の出力遅れを改善できる。このため、該当する引抜き制御棒の引抜き阻止を短時間に行うことができる。
【0067】
第3発明によれば、複数の低周波通過フィルタを通過した各低周波信号を局所平均中性子束出力手段に入力しているので、第2発明のフィルタ初期値設定処理が不要になる。
【0068】
第4発明によれば、複数の低周波通過フィルタの出力信号を用いて、該当する引抜き制御棒周辺の第1局所平均中性子束を求める第1の局所平均中性子束出力手段以外に、上記の該当する引抜き制御棒周辺の中性子束を測定する複数の中性子検出器の中性子束信号を用いて、引抜き制御棒周辺の第2局所平均中性子束を求める第2の局所平均中性子束出力手段を設け、第2局所平均中性子束が炉心平均中性子束よりも低い場合にゲイン調整手段により増幅手段のゲインを変更するので、増幅手段のゲインの算出を容易に行うことができ、制御棒引抜き阻止に対する応答時間をより短縮できる。
【0069】
第5発明によれば、増幅手段の出力信号及び低周波通過フィルタの出力信号のいずれかを出力する切替手段と、切替手段の出力信号が設定レベルを超えたときに、制御棒引抜き阻止信号を出力する比較手段を備えているので、切替手段の操作によって比較手段への入力信号を増幅手段の出力信号及び低周波通過フィルタの出力信号のいずれかに選択できる。このため、炉心内へのMOX燃料の装荷割合が、運転サイクルで異なり、その結果として中性子揺らぎが運転サイクルで異なっても、共通に設けた1台の制御棒引抜き監視装置により、中性子ゆらぎ量の増大によって中性子出力が制御棒引抜き監視の基準値を超えるような値になっても高出力時の制御棒引抜き阻止が発生することのない様にでき、かつ炉心内の局所的な出力上昇により中性子出力が上昇した場合には制御棒引抜きを阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である制御棒引抜き監視装置の構成図である。
【図2】図1の原子炉圧力容器内の炉心における制御棒と中性子検出器の配置関係を示す説明図である。
【図3】図1のローパスフィルタ(FIRフィルタ)の詳細構成図である。
【図4】ローパスフィルタの他の実施例であるIIRフィルタの構成図である。
【図5】炉心流量と制御棒引抜き阻止判定基準値との関係を示す特性図である。
【図6】図1のローパスフィルタにおける入力信号及び出力信号を示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施例である制御棒引抜き監視装置の構成図である。
【図8】本発明の他の実施例である制御棒引抜き監視装置の構成図である。
【図9】本発明の他の実施例である制御棒引抜き監視装置の構成図である。
【図10】図9の制御棒引抜き監視装置のソフト処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,2A,2B…制御棒引抜き監視装置、3…LPRM出力平均処理装置、4…調整手段(ゲイン調整手段,フィルタ初期値設定手段)、5…増幅器、6…ローパスフィルタ、7…比較器、8…判定基準設定器、9…ORゲート手段、10…平均出力モニタ(APRM)、12,12A,12B,12C…中性子検出器ストリング、13…原子炉圧力容器、15…制御棒、16…制御棒駆動機構、18…モータ、21…制御棒操作監視装置、22…制御棒制御器、25…選択制御棒情報、32…切替指令スイッチ、33…切替スイッチ、A,B,C,D…中性子検出器、LPRM−1,LPRM−2,LPRM−N…局所出力モニタ、Z-1…遅延素子。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a control rod pull-out monitoring device and a control rod control device, and is particularly suitable for application to a boiling water reactor (referred to as BWR), and is it possible to pull out a control rod during the power operation of the reactor? The present invention relates to a control rod pull-out monitoring device and a control rod control device that determine whether or not based on a neutron flux.
[0002]
[Prior art]
The BWR loads a large number of fuel assemblies in the core. These fuel assemblies have a plurality of fuel rods filled with nuclear fuel. In the conventional BWR, the average value of the local outputs of the neutron detectors located around the control rod selected as the extraction target during the power operation of the reactor is obtained, and the set value of the reactor power determined by the core flow rate and the above A control rod withdrawal monitoring device is applied that compares a local power average value and outputs a control rod withdrawal prevention signal to the control rod control means when the local power average value exceeds the set value of the reactor power. Yes. For example, if a control rod is pulled out accidentally, the fuel rod may be damaged due to a local increase in power in the core. However, the control rod withdrawal monitoring device outputs a control rod withdrawal prevention signal, thereby Prevent damage.
[0003]
By the way, in the operation of the BWR, the reactivity of the core decreases as the nuclear fuel material burns. Therefore, the coolant flow rate (core flow rate) supplied to the core is increased to compensate for the decrease in the reactivity, and the reactor output is increased. Hold constant. When the core flow rate reaches the maximum value, the decrease in reactivity cannot be compensated and the reactor power cannot be maintained at the rated power (100% power). Therefore, it is necessary to increase the reactor power by pulling out the control rod. In the nuclear reactor, in order to maintain the integrity of the fuel rods, in order to prevent the reactor power from exceeding the rated power, the control rod is not pulled out near the rated power. When performing control rod drawing operation, the reactor power is sufficiently reduced by decreasing the core flow rate, and then the control rod drawing operation is performed.After that, the core flow rate is increased to bring the reactor power to the rated output. Raised. However, in order to reduce the reactor power once, the equipment utilization rate of the BWR plant is lowered, which is not desirable. Moreover, it is not preferable from any aspect such as a decrease in the core flow rate, an increase in the burden on the operator for the increase rod operation, and an increase in disturbance to the power system due to a decrease in the reactor output. Therefore, the number of times of pulling out the control rod while reducing the reactor power is preferably as small as possible.
[0004]
In recent years, from the viewpoint of effective utilization of uranium resources and ensuring energy security, plutonium utilization plans (pulthermal) in light water reactors are being promoted step by step. In the future, about 1/3 of the fuel assemblies loaded in the reactor core at the boiling water nuclear power plant in operation, the fuel assemblies containing mixed oxides (MOX) of uranium and plutonium (MOX) It is planned to be a fuel assembly). The remaining 2/3 is a fuel assembly (referred to as a uranium fuel assembly) that does not contain a mixed oxide of uranium and plutonium but contains uranium oxide at the time of manufacture. Furthermore, it is planned that all fuel assemblies in the core will be MOX fuel assemblies.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
The MOX fuel assembly differs from the uranium fuel assembly in that it contains plutonium at the time of manufacture of the fuel assembly. Plutonium has a smaller delayed neutron ratio and a larger neutron absorption cross section than uranium. That is, the amount of change in output when the amount of voids in the coolant changes is large. This means that the void coefficient is large, and the amount of neutron fluctuation at the time of high reactor power output becomes large. It was newly found that the fluctuation amount is ± 5% or more at the rated output by the evaluation by simulation.
[0006]
Even in the core (MOX fuel core) loaded with the MOX fuel assemblies, it is desirable to perform the control rod pull-out operation without reducing the reactor power as described above. As described above, in this core, the amount of neutron fluctuation changes by ± 5% or more of the rated power at the time of high reactor power output. The control rod pull-out monitoring device is a logic that prohibits the control rod pull-out operation when the output of the neutral detector exceeds 105%. For this reason, even if an attempt is made to pull out the control rod without reducing the reactor power, the pulling out of the control rod is prohibited due to neutron fluctuation. That is, in the MOX fuel core, control rod extraction is prohibited due to neutron fluctuation, and it becomes impossible to perform control rod extraction operation without reducing the reactor power.
[0007]
In a conventional BWR loaded with a uranium fuel assembly in the core, the generated plutonium accumulates in the fuel assembly as the number of operating cycles increases, and the void coefficient increases. Also, in the first half of one operating cycle, the core flow rate is lowered to increase the amount of voids, so that plutonium is positively accumulated in the fuel assembly, and in the second half of the operating cycle, the void amount is reduced and accumulated by increasing the core flow rate. Spectral shift operation is performed to increase the utilization rate of nuclear fuel by burning plutonium. In the first half and second half of the operation cycle, the reactor power is maintained at the rated power by the combined use of control rod operation and core flow rate control. When the spectrum shift operation is performed, the amount of neutron fluctuation is higher in the first half of the operation cycle (when the above core flow rate is low) than in the second half of the operation cycle. There is no ban. However, if a highly enriched fuel assembly is loaded, the operation cycle progresses, or the operation cycle period itself becomes longer, the void coefficient increases and the amount of neutron fluctuation increases. There is a possibility that the standard value of the pull-out monitoring device exceeds 105%. As a result, there arises a problem that control rod withdrawal at the time of high reactor power is prohibited by the control rod withdrawal monitoring device.
[0008]
It is an object of the present invention to control rods that can be pulled out without lowering the reactor power when the amount of neutron fluctuation increases, and to prevent the rods from being pulled out against a local increase in power in the core. An object of the present invention is to provide a drawing monitoring device and a control rod control device.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The features of the first invention for achieving the above object are: amplification means for amplifying the local average neutron flux; gain adjustment means for changing the gain of the amplification means when the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux; A low-frequency pass filter that passes a low-frequency signal of the output signal of the means, and a comparison means that outputs a control rod pull-out prevention signal when the low-frequency signal from the low-frequency pass filter exceeds a set level It is in.
[0010]
The feature of the second invention for achieving the above object is that, when a control rod for performing an extraction operation is selected, when the local average neutron flux is higher than the core average neutron flux, the local average neutron flux is used as an initial value for the low-frequency pass filter. When the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux, the low frequency pass filter is provided with filter initial value setting means for setting the core average neutron flux value as the initial value.
[0011]
A feature of the third invention for achieving the above object is that a plurality of low frequency pass filters that pass a low frequency signal of a neutron flux signal output from a plurality of neutron detectors arranged in the core, and a control for performing an extraction operation. Local average neutron flux output means for obtaining local average neutron flux using output signals of multiple low-frequency pass filters that input neutron flux signals of multiple neutron detectors that measure the neutron flux around the rod, and local average neutrons Amplifying means for amplifying the bundle, gain adjusting means for changing the gain of the amplifying means when the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux, and low-frequency passage for passing the low-frequency signal of the output signal of the amplifying means And a comparison means for outputting a control rod pull-out prevention signal when the low-frequency signal from the low-frequency pass filter exceeds a set level.
[0012]
A feature of the fourth invention that achieves the above object is that a plurality of low-frequency pass filters that pass a low-frequency signal of a neutron flux signal output from a plurality of neutron detectors arranged in the core, and a control that performs an extraction operation First local average neutron flux output means for obtaining a first local average neutron flux using output signals of a plurality of low-frequency pass filters that receive neutron flux signals of a plurality of neutron detectors that measure the neutron flux around the rod And a second local average neutron flux output means for obtaining a second local average neutron flux using neutron flux signals of a plurality of neutron detectors that measure the neutron flux around the control rod that performs the pulling operation, and a first local Amplifying means for amplifying the average neutron flux; gain adjusting means for changing the gain of the amplifying means when the second local average neutron flux is lower than the core average neutron flux; and a low frequency signal of the output signal of the amplifying means. A low-pass filter that passes, when the low-frequency signal from the low-pass filter exceeds a set level, lies in that a comparison means for outputting a control rod withdrawal inhibit signal.
[0013]
A feature of the fifth invention to achieve the above object is that the switching means for outputting either the output signal of the amplifying means or the output signal of the low-frequency pass filter, and the control when the output signal of the switching means exceeds a set level. Comparing means for outputting a rod pull-out prevention signal is provided.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
A control rod pull-out monitoring device which is a preferred embodiment of the present invention will be described below with reference to FIG.
[0015]
First, an outline of a BWR plant to which this embodiment is applied will be described. The BWR plant includes a
[0016]
By pulling out the
[0017]
A plurality of neutron detector strings 12 are arranged in the water gap between the fuel assemblies in which the
[0018]
The control rod withdrawal monitoring device of this embodiment includes a control rod
[0019]
When the core flow rate reaches the maximum value and the reactor power cannot be maintained at the rated output due to the increase of the core flow rate, the control selected by the input of the
[0020]
The
[0021]
Next, the control rod
[0022]
The
[0023]
The control rod pull-out
, X (t−k) multiplied by a weighting coefficient is added by the
[0024]
As the low-
[0025]
The control rod
[0026]
The output signal of each LPRM that receives the neutron flux signals of the neutron detectors A and C is input to the LPRM
[0027]
The adjusting
[0028]
When the core average neutron flux is equal to or greater than the local average neutron flux, the gain adjusting means in the adjusting means 4 calculates a gain that makes the core average neutron flux equal to the local average neutron flux, and this calculated gain is obtained. The gain of the
[0029]
Since the gain adjusting means in the present embodiment performs the gain adjustment described above, when the
[0030]
The low-
[0031]
The
[0032]
When at least one of the control rod
[0033]
Note that the LPRM output averaging
[0034]
The low-
[0035]
In the IIR filter of FIG. -1 When the initial value of the delay element Z is zero, the input signal is directly output as the output signal. -1 The initial value of may remain zero. Further, as the low-pass filter, the output of the FIR filter of FIG. 3 and the IIR filter of FIG. 4 connected may be used. In this case, each delay element Z of the FIR filter may be used. -1 The initial value may be set to the value of the core average neutron flux or the value of the local average neutron flux that is the output of the
[0036]
The low-
[0037]
In this embodiment, the filter initial value setting means in the adjustment means 4 further has the following functions. When the filter initial value setting means determines that the local average neutron flux that is the output of the LPRM output
[0038]
When the filter initial value setting means does not have such a function, the following problem occurs. That is, when the output of the LPRM output
[0039]
In this embodiment, the delay element Z is set according to the magnitude relationship between the output of the LPRM
[0040]
In this embodiment, the gain of the
[0041]
Since the control rods for maintaining the rated output can be pulled out without reducing the reactor output, the equipment utilization rate of the BWR plant can be improved and the burden on the operator can be reduced. The present embodiment also has an effect of suppressing an increase in disturbance to the power system.
[0042]
The present embodiment is not only a BWR plant having a MOX fuel core, but also a BWR plant having a core loaded with uranium fuel assemblies and not loaded with MOX fuel assemblies, in which spectrum shift operation is performed, and enrichment The present invention can also be applied to a BWR plant equipped with a core in which a high-grade uranium fuel assembly is loaded and the amount of neutron fluctuation at the rated power increases.
[0043]
A control rod pull-out monitoring apparatus according to another embodiment of the present invention will be described below with reference to FIG. This embodiment differs from the embodiment shown in FIG. 1 in the location of the low-pass filter, and the adjusting means 4 has a function of gain adjusting means and does not have a function of filter initial value setting means. The other configuration of this embodiment is the same as that of the embodiment of FIG.
[0044]
In the embodiment of FIG. 7, the adjusting means 4 is the core average neutron flux and the local average neutron flux when the core average neutron flux that is the output of the
The signal is delayed with respect to the output of the APRM10, and the calculation of the gain is complicated. For this reason, it takes a lot of time to calculate the gain, the output of the control rod pull-
[0045]
FIG. 8 shows a control rod pull-out monitoring apparatus according to another embodiment of the present invention. In this embodiment, the control rod pull-out
[0046]
In this embodiment, by newly providing an LPRM output averaging processing device 3 ', the gain of the
[0047]
7 and 8, the outputs of LPRM-1 to LPRM-N are output from
[0048]
Although not shown, the
[0049]
It is required from the viewpoint of safety that the response time until the core average neutron flux reaches the set value and the scram is generated is 90 ms or less. For this reason, a low-
[0050]
Another embodiment of the present invention will be described below with reference to FIG. In this embodiment, the control rod pull-out
[0051]
The connection state of the changeover switch 33 is controlled by the changeover command switch 32. The changeover switch 33 has a first contact that is normally open and a second contact that is normally closed. FIG. 9 shows a state in which the output signal of the
[0052]
Further, the display 34 can monitor the state of the changeover command switch 32, that is, which of the output of the
[0053]
Neutron fluctuation is about ± 3% when the rated power (100% output) of the reactor is up to about 1/3 of the replacement fuel is MOX fuel, and ± 5 when everything in the core is MOX fuel. % Or more. Since the control rod withdrawal monitoring device 1A has a logic that prohibits the control rod withdrawal operation when the neutron output exceeds 105%, when about 1/3 of the replacement fuel is the core of the MOX fuel, Neutron fluctuation does not prevent the control rod from being pulled out, but if the entire core is MOX fuel, the control rod is prevented from being pulled out by neutron fluctuation. The low-
[0054]
It is necessary to secure a safety margin in anticipation of this delay time. However, if the low-
[0055]
When everything in the core is MOX fuel, the neutron fluctuation is ± 5% or more. In this case, the changeover switch 33 is controlled so that the output signal of the low-
[0056]
The neutron output, which is the output signal of APRM10, is output to the operation monitoring panel (not shown), so that the changeover switch 33 can be easily operated by operating the changeover command switch 32 based on this indicated value. Is possible. Moreover, since the neutron output which is an output signal of APRM10 is not shown, but is taken into the core performance calculator, it is determined whether or not the neutron output exceeds 105%, and this determination result is displayed on the display device, It is possible to easily control the changeover switch 33 by operating the changeover command switch 32 based on the result output to a printer or the like.
[0057]
The
[0058]
Even though the low-
[0059]
The control rod pull-out monitoring device 1A can also be achieved by a computer, that is, software processing, and its processing flow is as shown in FIG.
[0060]
First, in
[0061]
In
[0062]
If the switch command switch 32 is not turned on, it is determined in
[0063]
As described above, when the amount of neutron fluctuation at the time of high output increases, it is possible to prevent the prevention of control rod pull-out, and when the neutron output increases due to the local increase in power in the core. It is possible to prevent the control rod from being pulled out.
[0064]
Although APRM10 is not illustrated, when the average neutron output value (reactor average value) exceeds a predetermined value, a trip signal for scram is output to the reactor protection system. It is required for safety that the time from when the average neutron output value becomes equal to or greater than a predetermined value to cause scram is 90 ms or less. For this reason, if a low-pass filter having a large time constant is provided between LPRM-1 to LPRM-N and APRM10, there is a problem that the
[0065]
【The invention's effect】
According to the first invention, when the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux, the gain of the amplifying means is changed based on the output of the gain adjusting means, and the output of the amplifying means whose gain is changed is changed to the low frequency. Since the low frequency signal is passed by suppressing the frequency component higher than the fluctuation frequency by guiding to the pass filter, it is possible to prevent the control rod from being pulled out due to the increase in the amount of neutron fluctuation at the time of high power of the reactor. For this reason, when the amount of neutron fluctuation increases, it is possible to compensate for the decrease in the reactor output accompanying the combustion of the nuclear fuel material by pulling out the control rod without performing the operation for decreasing the reactor output due to the decrease in the core flow rate. Further, when the level of the low frequency signal exceeds the set level, the corresponding control rod can be prevented from being pulled out.
[0066]
According to the second invention, when the control rod for performing the extraction operation is selected, when the local average neutron flux is higher than the core average neutron flux, the value of the local average neutron flux is set as an initial value in the low-frequency pass filter. When the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux, the core average neutron flux value can be set as the initial value in the low-frequency pass filter, so the initial value of the low-frequency pass filter is greater than zero and the control rod The output delay of the pull-out prevention signal can be improved. For this reason, the extraction | drawer prevention of the applicable extraction control rod can be performed in a short time.
[0067]
According to the third aspect of the invention, since the low frequency signals that have passed through the plurality of low frequency pass filters are input to the local average neutron flux output means, the filter initial value setting process of the second aspect is not necessary.
[0068]
According to the fourth aspect of the present invention, in addition to the first local average neutron flux output means for obtaining the first local average neutron flux around the extraction control rod using the output signals of the plurality of low-frequency pass filters, the above-mentioned corresponding A second local average neutron flux output means for obtaining a second local average neutron flux around the extraction control rod using neutron flux signals of a plurality of neutron detectors for measuring the neutron flux around the extraction control rod is provided; (2) When the local average neutron flux is lower than the core average neutron flux, the gain adjusting means changes the gain of the amplifying means, so that the gain of the amplifying means can be easily calculated, and the response time to control rod withdrawal prevention is increased. It can be shortened.
[0069]
According to the fifth aspect of the present invention, the switching means for outputting either the output signal of the amplifying means or the output signal of the low-frequency pass filter, and the control rod pull-out prevention signal when the output signal of the switching means exceeds a set level. Since the comparison means for outputting is provided, the input signal to the comparison means can be selected from the output signal of the amplification means and the output signal of the low-frequency pass filter by operating the switching means. For this reason, even if the loading ratio of MOX fuel in the core differs in the operation cycle and as a result, the neutron fluctuation is different in the operation cycle, the control rod extraction monitoring device provided in common makes it possible to reduce the amount of neutron fluctuation. Even if the neutron output exceeds the control rod pull-out monitoring standard value due to the increase, it is possible to prevent the control rod from being pulled out at high power, and neutrons can be increased by local increase in the core. When the output increases, the control rod can be prevented from being pulled out.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a configuration diagram of a control rod pull-out monitoring apparatus according to a preferred embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing an arrangement relationship between control rods and neutron detectors in the core in the reactor pressure vessel of FIG. 1;
FIG. 3 is a detailed configuration diagram of a low-pass filter (FIR filter) in FIG. 1;
FIG. 4 is a configuration diagram of an IIR filter which is another embodiment of the low-pass filter.
FIG. 5 is a characteristic diagram showing a relationship between a core flow rate and a control rod withdrawal prevention determination reference value.
6 is an explanatory diagram showing an input signal and an output signal in the low-pass filter of FIG. 1. FIG.
FIG. 7 is a configuration diagram of a control rod pull-out monitoring apparatus according to another embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a configuration diagram of a control rod pull-out monitoring apparatus according to another embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a configuration diagram of a control rod pull-out monitoring apparatus according to another embodiment of the present invention.
FIG. 10 is a flowchart showing a software processing flow of the control rod pull-out monitoring device of FIG. 9;
[Explanation of symbols]
1, 2A, 2B ... control rod pull-out monitoring device, 3 ... LPRM output average processing device, 4 ... adjusting means (gain adjusting means, filter initial value setting means), 5 ... amplifier, 6 ... low pass filter, 7 ... comparator, DESCRIPTION OF
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