JP3757249B2 - 沸騰水型炉の燃料集合体 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は軽水炉、特に沸騰水型軽水炉の燃料集合体に関するものである。該燃料集合体は長尺要素のバンドルからなっており、これらは該バンドルに沿って互いに離隔して配置された複数個のスペーサによって保持、固定されている。該スペーサは長尺要素を相互に固定するための複数個のセルを有している。前記スペーサによって保持された長尺要素からなる構造物をバンドルと呼んでいる、該バンドルの端部はそれぞれ底部と頂部において、それぞれ底部タイプレートと頂部タイプレートによって保持されている。ある種の沸騰水型軽水炉の燃料集合体においては、前記バンドルは4個の直交的なサブバンドルに分割され、燃料集合体内に配置された各々のサブバンドルのそれぞれの下部部分および上部部分が、それぞれ底部タイプレートおよび頂部タイプレートによって保持されている。前記バンドルおよびサブバンドルは、それぞれ燃料チャンネルによって取り囲まれている。普通は垂直方向に配置された燃料集合体の中を冷却材が下から上へ流れるようになっており、核反応をしている間は燃料集合体内に配置された燃料棒を冷却するようになっている。
例えば、燃料検査の間、あるいは燃焼段階において、バンドルあるいはサブバンドルの位置及び/又は方向が変化させられるべき時には、前記バンドルあるいはサブバンドルは外周の燃料チャンネルから吊り出す必要がある。この吊り出し操作を行なうために、普通は底部タイプレートあるいは吊り出しプレートを配置して、このプレートにある部材が係合するようにして、バンドルあるいはサブバンドルを燃料チャンネルから取り出す。ある種の場合には、燃料集合体全体を吊り上げ、取扱うために、燃料集合体のためのハンドルが設けられている。このハンドルの助けを借りて、バンドル全体もまた燃料チャンネルから取り出すことができる。例えば、サブバンドルを検査するような場合には、前記ハンドルはサブバンドルが燃料チャンネルから取り出す前に取り外される。
背景技術
燃料集合体を有する頂部タイプレート(単数あるいは複数)の設計は、燃料集合体の特性に関して非常に重要である。冷却材が燃料集合体の中を上方へ流れる時には、冷却材ができるだけ小さな圧力降下を受けることが重要である。燃料集合体の圧力降下が小さいということは、燃料集合体の安定性にとって好ましいことである。圧力降下が小さいということはまた、原子炉運転中の自由度を増加させるだけでなく、燃料集合体に冷却材を供給するポンプの能力を増加させるという結果になる。さらに、頂部タイプレート(単数あるいは複数)が、バンドルあるいは4個のサブバンドルを燃料チャンネルから吊り出すように設計されることが重要である。
図1は沸騰水型軽水炉のための従来技術による燃料集合体1を示し、図3はサブバンドルのための従来技術による頂部タイプレート5aの上から見た図である。該頂部タイプレート5aより上へ部分的に延在した超長尺燃料棒3aが、頂部タイプレート5aにおける開口の内の2つを貫通するようになっている。該2つの超長尺燃料棒3aは底部タイプレート6に固定され、またその各々には頂部タイプレート5aの上側にナット8が設けられている。他の燃料棒3は底部タイプレート6の上にのり、燃料棒3のそれぞれの端部プラグ10の周囲に配置されたらせんばね9によって、頂部タイプレート5aの下側と接触している。該らせんばねは頂部タイプレート5aをこれらのナット8に対して押し付け、それによって該ナット8が頂部タイプレート5aと底部タイプレート6との間の最大距離を制限している。前記2つの超長尺燃料棒3aは頂部タイプレート5aと底部タイプレート6との間の引っ張り力の伝達結合体として配置され、同時に頂部タイプレート5aと底部タイプレート6との間の最大距離を制限している。
前記頂部タイプレート5aは、超長尺燃料棒3aのための開口に近接して配置されたそれぞれの取扱い開口11の中で取扱い工具を受けるように設計されている。該取扱い工具は該取扱い開口11を通って頂部タイプレート5aを貫通し、それぞれの取扱い開口11におけるバー5cと係合するようになっており、その後サブバンドルを燃料集合体から吊り出すようになっている。この吊り出し操作は、荷重の大部分が底部タイプレート6から支持用の超長尺燃料棒3aに伝達され、さらに頂部タイプレート5aの上で支持用の超長尺燃料棒3aのプラグ10にねじどめされたナット8を介して頂部タイプレート5aに伝達され、さらに取扱い工具へと伝達されることを意味している。この吊り出し操作を行なうために頂部タイプレート5aは、全てのサブバンドルの荷重を取扱うために、強度の観点から設計しなければならない。このことは、材料の量が増大して、従って頂部タイプレート5aに関してある種の圧力降下が生じることを意味している。さらに、頂部タイプレート5aの強度が、それにかかる荷重に制限を加えることになる。
説明して来た実施例に係る1つの課題は、支持用の超長尺燃料棒が原子炉運転中に照射されて異なった程度の生長をすることがあって、それによってナットの軸線方向位置が支持燃料棒に関して異なってくることであり、このことは荷重が非均一な分布をすることになって、全荷重を1本の燃料棒で吊り上げなければならなくなることがあることを意味している。このような頂部タイプレートにおいて吊り上げを行なう時には、取扱い開口の中を案内されて、頂部タイプレートの下側から前記バーと係合することのできる工具が必要となる。燃料棒の生長程度に差があるということは、頂部タイプレートの下側に押し付けられているらせんばねを有して配置されている他の燃料棒が軸線方向に生長して頂部タイプレートに到達し、従ってバーの下における取扱い工具のためのスペースがかなり減少するかも知れないので、遠隔操縦の工具をバーの下へ到達させるのが困難になるかも知れないということを意味している。
また、中央部にウォーターロッドを配置したバンドルからなる燃料集合体の場合には、該ウォーターロッドを頂部タイプレートと底部タイプレートとの間の引張り力伝達結合体の中に配置して、ウォーターロッドを吊り上げることによってバンドルを吊り出すことも知られている。従って該ウォーターロッドは2つの機能、即ち、頂部タイプレートを固定する機能と、荷重の一部を底部タイプレートに伝達する機能とを有している。
本発明の目的は流路抵抗が小さくて、バンドルあるいは一つ又はそれ以上のサブバンドルを吊り出すのに必要な吊り上げ力に一切制限を加えない頂部タイプレートを備えた燃料集合体を提供することにある。さらに、本発明の目的はバンドルの取扱い中に引張り力の伝達要素(単数あるいは複数)が頂部タイプレートを包含しない燃料集合体を提供することにある。
発明の要約、利点
本発明は、小さな圧力降下と頂部タイプレートの選択の自由度とを与える特性を有する燃料集合体に関するものである。これらの特性は請求の範囲第1項の特徴部分に記載された特徴を有する燃料集合体によって得られる。
該燃料集合体は頂部タイプレートを有し、その唯一の役割は燃料集合体内に配置されたサブバンドルの上端を保持することである。該頂部タイプレートは燃料棒に固定され、該燃料棒の他端は底部タイプレートに固定されている。該頂部タイプレートは、燃料集合体の中を上方へ流れる冷却材が頂部タイプレートを燃料棒の周囲の所定位置から吊り上げないようにして、燃料棒に固定されている。サブバンドルにおける残りの燃料棒は底部タイプレートの上にのるように配置され、頂部タイプレートの中を自由に貫通するようになっている。上述した他の燃料棒の内、少なくとも1本、好ましくは2本あるいはそれ以上が超長尺燃料棒であり、これは頂部タイプレートの上へ延在しており、超長尺燃料棒の端部プラグを吊る時にサブバンドルの底部タイプレートと一緒になって引張り力の伝達結合体となっている。さらに、該超長尺燃料棒(単数あるいは複数)は底部タイプレートに固定されている。
本発明の利点は、吊り上げ操作が頂部タイプレートを介するのではなく、直接支持用の燃料棒において行なわれるという点にある。従って、荷重は底部タイプレートから支持用燃料棒(単数あるいは複数)を介して直接取扱い工具に伝達される。このことは、頂部タイプレートを自由に選択することができることを意味し、該頂部タイプレートの唯一の機能は燃料棒の上端を保持することになる。頂部タイプレートを選択することができるのと同様に、例えば流路抵抗の小さい従来技術によるスペーサを選択することもでき、これによって頂部タイプレートにかかる圧力降下を小さくすることもできる。あるいは、既知の頂部タイプレートにおけるバーの数も減少させることができ、同様にその材料の量も相当に圧力降下を減少させることができる。
2本あるいはそれ以上の支持用燃料棒における生長差は、吊り工具をバランスさせることによって補償することができ、取扱い荷重はいかなる生長差とも無関係に支持用燃料棒間で常に均一に分布される。
本発明の付加的な利点は、従来技術による、頂部タイプレートの下で、燃料棒の周囲に配置されていたらせんばねが不用になるという点である。
他の利点は取扱い工具の機能が燃料棒のいかなる生長差によっても制限されないという点である。
【図面の簡単な説明】
図1は沸騰水型軽水炉の従来技術による燃料集合体を示す図である。
図2は図1のA−A断面における、沸騰水型軽水炉の燃料集合体のための従来技術による頂部タイプレートと、本発明による頂部タイプレートを示す図である。
図3は沸騰水型軽水炉の燃料集合体におけるサブバンドルの従来技術による頂部タイプレートを上から見た図である。
図4aは本発明による沸騰水型軽水炉の燃料集合体におけるサブバンドルの頂部タイプレートを上から見た図である。
図4bは本発明による沸騰水型軽水炉の燃料集合体におけるサブバンドルの頂部タイプレートと、燃料棒と2本の支持用超長尺燃料棒の上部部分の側面図である。該頂部タイプレートは、頂部タイプレートが燃料棒に対してどのようにして軸線方向に固定されるかをもっと明瞭に示すために、部分的に断面図となっている。
図4cは沸騰水型軽水炉の燃料集合体におけるサブバンドルの頂部タイプレートの他の実施例を上から見た図である。
図5は本発明による沸騰水型軽水炉の燃料集合体の頂部タイプレートを上から見た図である。
好的実施例の説明
図1は従来技術による沸騰水型軽水炉の燃料集合体1を示し、これは燃料チャンネル2と称する長方形断面の長い管状容器を有している。該燃料チャンネル2は両端において開放されており、原子炉の冷却材が流れる連続的な流路を形成している。前記燃料集合体1は、バンドルの中で平行に配置された、同様に長尺の管状の燃料棒3を多数有しており、該燃料棒の中には原子燃料のペレット4が配置されている。該燃料棒3は頂部においては頂部タイプレート5によって、また底部においては底部タイプレート6によって保持されている。該燃料棒3はスペーサ7によって互いに離隔保持されており、原子炉が運転されている間の曲がりあるいは振動が防止されている。
頂部タイプレート5における2つの開口を通って、超長尺燃料棒3aが貫通するようになっており、部分的に頂部タイプレート5より上へ延在している。2本の前記超長尺燃料棒3aは底部タイプレート6に固定されており、それぞれには頂部タイプレート5の上側にナット8が設けられている。他の燃料棒3は底部タイプレート6の上にのっていて、燃料棒3のそれぞれの端部プラグ10の周囲に配置されたらせんばね9によって、頂部タイプレート5の下側と接触させられている。該らせんばね9は頂部タイプレート5をこれらのナット8に押し付けており、それによってナット8は頂部タイプレート5と底部タイプレート6との間の最大距離を制限することになる。前記2本の超長尺燃料棒3aは頂部タイプレート5と底部タイプレート6との間で引張り力の伝達結合体として配置され、同時に頂部タイプレート5と底部タイプレート6との間の最大距離を制限している。
図2は図1のA−A断面において、右上部分においてはサブバンドルのための従来技術による頂部タイプレート5aを示し、左下部分においては本発明によるサブバンドルのための頂部タイプレート5bを示している。従来技術による頂部タイプレート5aについては背景技術の項で記述している。本発明によるサブバンドルのための頂部タイプレート5bは図4aおよび図4bにもっと明瞭に示されている。
図4aはサブバンドルのための頂部タイプレート5aを上から見た図である。3bで示した1本の燃料棒のみに、頂部タイプレート5bの上側においてナット8が設けられている。図4aに示した頂部タイプレート5bは図3に示したものより大きな開放構造物を有しており、複数個のバー5cが除去されており、それによって材料の厚さも減少している。原理的には、頂部タイプレート5bは従来技術によるスペーサ7として設計されている。
図4bは前記頂部タイプレート5bの側面図であり、燃料棒3の内の単に1本、即ち、3bで示した燃料棒が、ナット8と端部プラグ10におけるカラ−12との間で頂部タイプレート5bを固定するようにして配置されていることが明らかである。燃料棒3の内の2本が超長尺燃料棒であり、頂部タイプレート5bの上へ延在するようになっている。これらの2本の超長尺燃料棒3aは底部タイプレート6に固定されるように配置され、底部タイプレートと共に引張り力の伝達結合体となっている。頂部タイプレート5b及び/又は底部タイプレート6に固定されている燃料棒はそれらの中で取り外し自在に配置されている。バンドル内の他の燃料棒3は底部タイプレート6の上にのっており、頂部タイプレート5bの中を自由に貫通できるようになっている。
図4cは他の実施例によるサブバンドルのための頂部タイプレート5dを示している。該頂部タイプレート5dは複数個のチューブ状セル5eを有している。該セル5eの直径は、頂部タイプレート5dによって保持されている燃料棒3の中心間の距離にほぼ等しい。該セル5eは互いに結合されて直交格子を形成している。燃料棒3の端部プラグ10は頂部タイプレート5dの中でセル5eの間に形成されたスペース5fの中に配置されている。超長尺燃料棒3aを取り囲んだセル5eは、これらのセルを受けとめ、支持するのに適したほぼ正方形断面になったスペース5gが設けられるように設計されている。
図5は他の実施例による、燃料棒3のバンドルからなる燃料集合体のための頂部タイプレート5hを上から見た図である。燃料棒の内の1本、即ち、3bで示された燃料棒には、頂部タイプレート5hの上側においてナット8が設けられている。8本の燃料棒が超長尺燃料棒3aであり、これらは底部タイプレート6に固定されて配置され、引張り力の伝達結合体となっている。

Claims (11)

  1. 沸騰水型軽水炉における、あるいは沸騰水型軽水炉のための燃料集合体(1)であって、頂部タイプレートと底部タイプレート(5b,5d,5h,6)の間で延在し、かつスリーブ状に形成されたケーシング(2)によって取り囲まれた複数個の垂直な燃料棒(3,3a,3b)であって、該燃料棒が複数個の軸線方向に離隔したスペーサ(7)によって位置決めされている、その燃料棒を具備した燃料集合体において
    ただ1本の燃料棒(3b)が前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)および底部タイプレート(6)において取り外し自在に配置され、
    他の燃料棒の内の少なくとも1本(3a)が底部タイプレート(6)に固定され、頂部タイプレート(5b,5d,5h)の上へ延在して、底部タイプレート(6)と共に引張り力の伝達結合体となっている超長尺燃料棒(3a)であり、それにより超長尺燃料棒(3a)を介して燃料集合体のつり上げが可能になることを特徴とする燃料集合体。
  2. 沸騰水型軽水炉における、あるいは沸騰水型軽水炉のための燃料集合体(1)であって、4つのサブバンドルに分配され、かつスリーブに形成されたケーシング(2)によって取り囲まれた複数個の垂直な燃料棒(3,3a,3b)であって、各々のサブバンドルが複数個の軸線方向に離隔したスペーサ(7)によって位置決めされており、各々のサブバンドルが頂部タイプレートと底部タイプレート(5b,5d,5h,6)の間で延在している、その燃料棒を具備した燃料集合体において
    各々のサブバンドルの中でただ1本の燃料棒(3b)が前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)および底部タイプレート(6)において取り外し自在に配置され、
    前記サブバンドルの中の他の燃料棒の内の少なくとも1本(3a)が底部タイプレート(6)に固定され、頂部タイプレート(5b,5d,5h)の上へ延在して、底部タイプレート(6)と共に引張り力の伝達結合体となっている超長尺燃料棒(3a)であり、それにより超長尺燃料棒(3a)を介して燃料集合体のつり上げが可能になることを特徴とする燃料集合体。
  3. 請求の範囲第1項あるいは第2項に記載された燃料集合体(1)において、頂部タイプレート(5b,5d,5h)に取り外し自在に固定された燃料棒(3b)が、頂部タイプレートの軸線方向の位置を固定している燃料集合体。
  4. 請求の範囲第1項あるいは第2項に記載された燃料集合体(1)において、前記他の燃料棒(3)が底部タイプレート(6)の上にのり、頂部タイプレート(5b,5d,5h)の中を自由に貫通できるようになっている燃料集合体。
  5. 請求の範囲第2項に記載された燃料集合体(1)において、各々のサブバンドルに関して1つの頂部タイプレート(5b,5d,5h)を有している燃料集合体。
  6. 請求の範囲第2項に記載された燃料集合体(1)において、4個のサブバンドルに共通な頂部タイプレート(5b,5d,5h)を有している燃料集合体。
  7. 請求の範囲第1項から第6項のいずれか1項に記載された燃料集合体(1)において、前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)がステンレス鋼でできている燃料集合体。
  8. 請求の範囲第1項から第7項のいずれか1項に記載された燃料集合体(1)において、前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)がインコネルでできている燃料集合体。
  9. 請求の範囲第1項から第8項のいずれか1項に記載された燃料集合体(1)において、前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)がスペーサとして設計されている燃料集合体。
  10. 請求の範囲第1項から第9項のいずれか1項に記載された燃料集合体(1)において、前記頂部タイプレート(5b,5d,5h)が直交パターンに一緒に結合された複数個のチューブ状のセル(5e)を有し、該セル(5e)の間に形成されたスペース(5f,5g)が燃料棒(3,3a)の上端部を支持するようになっている燃料集合体。
  11. 請求の範囲第1項から第10項のいずれか1項に記載された燃料集合体(1)において、該燃料集合体が2本の支持用の超長尺燃料棒(3a)を有している燃料集合体。
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