JP3756459B2 - 脱臭システムと脱臭方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱臭システムと脱臭方法に関し、詳しくは、廃棄物を分解して処理する廃棄物処理設備から発生するガスをプラズマ脱臭装置により脱臭するシステムと脱臭方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般廃棄物の内、いわゆる粗大ゴミ、不燃ゴミ等や、産業廃棄物などを無害化処理したり、リサイクル処理したりする場合、処理場に搬入されてくる廃棄物は、以降の処理工程で処理し易いように、有価物とその他に分離されたり、適度な大きさにするために破砕するなどの分解処理が行われる場合が多い。分解処理が行われる際、多量の粉塵が発生するので、これを集塵処理すると共に、発生したガスを脱臭処理する等、無害化されて大気に放出されるが、廃棄物中に可燃ガス(プロパン、メタン、炭化水素など)を含むボンベ等が含まれていることがあり、この場合は、破砕することによってボンベ内部から可燃ガスが放出される。可燃ガスは、後工程で悪影響を及ぼすことがあり、その発生に対して監視を怠ることはできず、発生が検知されると適切で迅速な処置を講ずる必要が生じる。
【0003】
例えば、脱臭処理に高能率でランニングコストが低いプラズマ脱臭装置を用いていると、高圧電源を使用して放電する関係上、放電により発生した火花に可燃ガスが引火したり、ガス中の微粒子が着火源となって、可燃ガスが燃焼するおそれがあり、燃焼して発火するとプラズマ脱臭装置の高価な放電極部分などが破壊されて、多大な損失を被ることになる。そのため、脱臭装置に送給される排ガスをモニターすべく、可燃ガス検出器を脱臭装置の上流側に設置して、その検出結果に応じて、可燃ガスを放電中のプラズマ脱臭装置に導入しないような処置(放電停止、ダンパーの開閉操作やバルブ操作によるガス経路を変更するなど)を施すことが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の可燃ガス検出器は、ガスを加熱してイオン化し、このイオンを電極間に通過させた際に発生する電流を測定する、いわゆる水素炎イオン化方式を採用しているため、使用上、以下のような問題点があった。
【0005】
(1) 検出ガス中にミストなどが混入していると測定精度が著しく低下するため、集塵装置と脱臭装置の間に、ガス中のミストを除去するためのミストセパレーターを設置し、このミストセパレーター通過後のガスを吸引検出するようにしているため、可燃ガスが発生してから検出器で検知するまでの時間が長くかかり、応答速度が低下する。
【0006】
(2) 検出器は、使用時に水素を消費すると共に、使用始には校正するための校正ガス、ゼロガス等を必要とし、少なくないランニングコストがかかる。
【0007】
(3) 応答速度の速い検出器は、極めて高価であり、汎用に使用される検出器の応答速度は遅く、しかも、検出器を設置する場所は、可燃ガスの発生源から離れているため、ガスの吸引に時間がかかり、通常は10秒以上を要する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、可燃ガスの発生源近くに設置可能で、検出器自体の応答速度も速く、それでいて多大な費用を要することなく可燃ガスを検知して、可燃ガスの悪影響を防止可能な脱臭システムとこれに用いる脱臭方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る脱臭システムの特徴構成は、廃棄物を分解処理する廃棄物処理設備から発生するガスを含む粉塵を集塵する集塵装置と、集塵後のガスを脱臭するプラズマ脱臭装置とを有するシステムにおいて、前記廃棄物処理設備から発生する可燃ガスを検知するレーザー式可燃ガス検知器を、前記ブラズマ脱臭装置の上流側に配置すると共に、検知された情報に基づいて前記プラズマ脱臭装置の動作を制御する手段を有することにある。
【0010】
この構成によれば、レーザー式可燃ガス検知器の応答速度が極めて速いことに加えて、レーザー光が透過可能な場所であれば、廃棄物を分解処理する廃棄物処理設備の近傍に設置することができるので、たとえ可燃ガスが発生して後工程に送られるようなことがあっても、プラズマ脱臭装置の放電を直ちに停止する等、迅速で適切な処置が可能になり、プラズマ脱臭装置を毀損するトラブルが発生するのを確実に防止できる。しかも、レーザー式可燃ガス検知器自体それほど高価ではなく、校正用のガスを使用する必要がないので、測定に多大な費用を要しないのみならず、校正自体が不要なため、連続してモニターリングすることができて都合がよい。その結果、可燃ガスの発生源近くに設置可能で、検出器自体の応答速度も速く、それでいて多大な費用を要することなく可燃ガスを検知して、可燃ガスの悪影響を防止可能な脱臭システムを提供することができた。
【0011】
前記レーザー式可燃ガス検知器が、前記廃棄物処理設備から生じるガスを排出する排出口近傍および/又は前記集塵装置のガス排出口近傍に配置されていることが好ましい。
【0012】
廃棄物処理設備のガス排出口近傍のような可燃ガスの発生源近くに、レーザー式可燃ガス検知器を設置すると、この検知器自体の応答速度の速さに加えて、素早く情報を送信できることになり、下流側での可燃ガスによる悪影響を一層確実に排除することができて都合がよい。
【0013】
又、本発明に係る脱臭方法の特徴構成は、廃棄物を分解処理する廃棄物処理設備から発生するガスを含む粉塵を集塵し、集塵後のガスをプラズマ脱臭装置を用いて脱臭する方法において、前記廃棄物処理設備から発生する可燃ガスを、前記ブラズマ脱臭装置の上流側に配置されたレーザー式可燃ガス検知器により検知すると共に、検知された情報に基づいて前記プラズマ脱臭装置の動作を制御することにある。
【0014】
この方法によれば、可燃ガスの発生源近くに設置可能で、検出器自体の応答速度も速く、それでいて多大な費用を要することなく可燃ガスを検知して、可燃ガスの悪影響を防止可能な脱臭方法を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、破砕機1と接続された本実施形態に係る脱臭システムの概略全体構成を示す。この脱臭システムは、破砕機1から発生する粉塵を集塵処理する集塵タンク2と、集塵された排出ガスを脱臭するプラズマ脱臭装置3と、排出ガス中の可燃ガスを検出するレーザー式可燃ガス検出器Sと、このレーザー式可燃ガス検出器Sにより排出検出ガス中に可燃ガスが検知された場合に可燃ガスをプラズマ脱臭装置3から回避する手段を構成する、別経路に誘導するバイパス用配管4と、を備えて構成されている。
【0016】
破砕機1は、被破砕物を搬入する搬送コンベア5を備えていて、被破砕物を内部に搬送すると共に、破砕機1内部では、図示はしないが、被破砕物を破砕するカッターロール、破砕された大型金属塊とその他を選別すべくフィードロール等を有しており、有価物を夫々の種別に応じて選別して下方から排出するようになっている。
【0017】
一方、破砕作業中に生じる粉塵、可燃ガスなどは破砕機1上部のガス排出口1aから集塵装置2に向けて配管6aを介して排出される。可燃ガスなどを含む粉塵は、集塵装置2の1種である集塵タンクに送風機(図示略)により送給され、ここで塵芥などの粒状物は集塵タンクである水タンクに取り込まれ、ミスト状の水分を含むガスのみが配管6bから排出される。ミスト含むガスは、ミストセパレーター7を経由してミストを除去され、プラズマ脱臭装置用送風機8によりプラズマ脱臭装置3に送給されて脱臭され、無害化されて煙突9より外部に放出される。煙突9から排出される前に、消音器や排ガス処理装置などを設けてもよく、又、集塵装置2についても図1に示す水タンク式のもの以外に、バグフィルター、電気集塵装置などを単独あるいは併用してもよい。尚、図番10は配管経路を開閉するダンパーであり、図番11は排気ファンである。
【0018】
レーザー式可燃ガス検出器Sは、破砕機1上部のガス排出口1aの近傍と、集塵タンク2の排出口2aの近傍の2箇所に装着されていて、生じた可燃ガスをできるだけプラズマ脱臭装置の上流側で検出可能になっている。もっとも、レーザー式可燃ガス検出器Sは、必ずしも上記の2箇所に配置する必要はなく、いずれかでもよい。要は、できるだけ可燃ガス発生源の近くで、脱臭装置から離れた箇所に配置することが、可燃ガスの発生を早期に検知できるのみならず、対処し易いので好ましい。破砕機1上部のガス排出口1aに配置されたレーザー式可燃ガス検出器Sの詳細を、図2に示す。
【0019】
このレーザー式可燃ガス検出器Sは、ガス排出口1aの第1側壁部分1Aに形成した第1測定窓12Aにレーザー投射器14Aを臨ませると共に、第1側壁部分1Aに対向する第2側壁部分1Bに形成した第2測定窓12Bにレーザー受信器14Bを臨ませ、レーザー投射器14Aとレーザー受信器14Bを光ファイバーケーブル13を介して検出計本体に接続して構成してある。検出計本体としては、レーザー発信器31と信号処理器21を備える。
【0020】
つまり、レーザー発信器31が波長をスキャンしながら強さ一定のレーザー光を発する。このレーザー光を、レーザー投射器14Aで一定のビーム径に調整してから、排出口1aから排出されるガスに直接照射し通過させる。そして、レーザー受信器14Bで残存のレーザー光強度を測定し、信号処理器21によって可燃ガスを検出する。可燃ガスが検出されると、信号処理器21から検出結果を制御器17に送信し、制御器17から可燃ガスを放電中のプラズマ脱臭装置3に入らないようにすべく、プラズマ脱臭装置3の放電停止、バイパス用配管4のダンパー10の開操作、プラズマ脱臭装置側のダンパー10の閉操作、プラズマ脱臭装置用送風機8の作動停止、あるいは水蒸気や窒素などの希釈ガスを配管内に通流させる等を指示する。この一連の動作により、可燃ガスは放電中のプラズマ脱臭装置3に取り込まれることなく、パイパス側の経路を経て、排出されることになる。このような一連の動作は、必ずしも自動的に行う必要はなく、可燃ガスの検出に基づき警報を発するようにして、この警報に応じて手動で各操作を行うようにしてもよい。尚、レーザー送受信箇所には、送受信器表面のガラスに汚れが付着するのを防止するため、水蒸気あるいは窒素などのガスを送り込むようにしてもよい。
【0021】
〔別実施の形態〕
(1)廃棄物を分解処理する設備としては、上記実施形態で示したような破砕機に限定されるものではなく、廃棄物を分解処理可能であれば他の設備であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱臭システムの一実施形態を表す概略全体構成図
【図2】可燃ガス検出器の配置を説明する断面図
【符号の説明】
1 廃棄物処理設備
2 集塵装置
3 プラズマ脱臭装置
17 制御器
S レーザー式可燃ガス検出器

Claims (3)

  1. 廃棄物を分解処理する廃棄物処理設備から発生するガスを含む粉塵を集塵する集塵装置と、集塵後のガスを脱臭するプラズマ脱臭装置とを有する脱臭システムにおいて、前記廃棄物処理設備から発生する可燃ガスを検知するレーザー式可燃ガス検知器を、前記ブラズマ脱臭装置の上流側に配置すると共に、検知された情報に基づいて前記プラズマ脱臭装置の動作を制御する手段を有することを特徴とする脱臭システム。
  2. 前記レーザー式可燃ガス検知器が、前記廃棄物処理設備から生じるガスを排出する排出口近傍および/又は前記集塵装置のガス排出口近傍に配置されている請求項1の脱臭システム。
  3. 廃棄物を分解処理する廃棄物処理設備から発生するガスを含む粉塵を集塵し、集塵後のガスをプラズマ脱臭装置を用いて脱臭する脱臭方法において、前記廃棄物処理設備から発生する可燃ガスを、前記ブラズマ脱臭装置の上流側に配置されたレーザー式可燃ガス検知器により検知すると共に、検知された情報に基づいて前記プラズマ脱臭装置の動作を制御することを特徴とする脱臭方法。
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