JP3755751B2 - 浴室 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばユニットバスルーム等の浴室に係わり、特に、側壁や天井壁に光による幻想的な演出効果が得られる浴室に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ユニットバスルーム等の浴室においては、側壁や天井壁として、鋼板等からなる基材の表面に加飾層が形成された化粧板が使用されており、この化粧板は、基材の表面に印刷柄シートを一層または複数層ラミネートしたり、基材の表面を塗装したり、あるいは塗装鋼板にシルク印刷すること等によって形成されている。
【０００３】
そして、このような化粧板は、浴室内に配設される照明装置の光を反射する等の機能を有するが、浴室内を広く見せたり入浴者にゆったりとした心地よい気分を与えることが難しいことから、例えば実開平５−８５９４５号公報に開示の浴室構造が提案されている。この浴室構造は、浴室の少なくとも一側壁に内面が凹状の湾曲面部を形成し、他側壁もしくは天井壁に取り付けたスポットライト照明装置のスポットライトを湾曲面部に照射するようにしたものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この浴室構造においては、スポットライト照明装置のスポットライトを単に一側壁の湾曲面部に照射させる構造であるため、浴室内を広く見せたりスポットライトが醸し出す雰囲気により入浴者にある程度ゆったりした気分を与えることができるものの、湾曲面部に照射されるスポットライトの反射光が極めて単調で演出性が乏しいという問題点を有している。
【０００５】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、側壁等の表面に加飾層と凹凸層及び表面層を設けることで光による十分な演出性が得られる浴室を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項１に記載の発明は、側壁と天井壁とを備え内部に浴槽が設置される浴室であって、前記側壁及び又は天井壁の少なくとも一部が、基材表面に形成された加飾層と、該加飾層上に形成された略透明な凹凸層と、該凹凸層を覆う表面が平坦で略透明な表面層を有すると共に、前記加飾層が浴室内の照明光を拡散する機能を有することを特徴とする。
【０００７】
このように構成することにより、基材表面に形成された加飾層及び凹凸層と、この凹凸層を覆う表面が平坦で略透明な表面層からなる浴室の側壁等は、浴室内の例えば照明装置の照明光が、凹凸層で反射すると共に表面層の表面でも反射されて、浴室内に光による幻想的な演出効果が得られる。この時、表面層が略透明に形成されていることから、照明光の一部が表面層内まで進入して凹凸層や加飾層で拡散・反射され、浴室に光による十分な演出効果が得られる。
【０００８】
そして、前記加飾層は、請求項２に記載の発明のように、メタリック模様もしくはパール模様を有することが好ましく、また、前記加飾層の表面には、請求項３に記載の発明のように、加飾面としての細かな凹凸部を有することが好ましい。このように構成することにより、加飾層のメタリック模様やパール模様を入浴者に輝かせて視認させることができたり、細かな凹凸部により光を良好に拡散・反射させることができる。
【０００９】
また、前記浴室は、請求項４に記載の発明のように、前記浴槽内の湯の水面にスポットライトを照射し、その反射光を側壁や天井壁に映し出すことが可能なスポットライト照明装置を備えていることが好ましい。このように構成することにより、水面の揺らぎによって側壁等に写し出される反射光を無限に変化させることができて、浴室内に光による一層幻想的な雰囲気を得ることができる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図１〜図４は、本発明に係わる浴室の一実施例を示し、図１がその内部の概略斜視図、図２がその概略平面図、図３が壁パネルの断面図、図４がその作用を説明するための説明図である。
【００１１】
図１及び図２において、浴室１は、防水パン２と、４枚の側壁としての壁パネル３ａ〜３ｄ（壁パネル３ａは図２参照）と、天井壁としての例えばドーム型の天井パネル４によって箱状に形成されている。防水パン２上には、壁パネル３ｂ側にバスタブ５が設置されると共に、壁パネル３ｄ側に洗い場６が設けられ、この洗い場６の壁パネル３ｃ側には洗面器置き用のカウンター７が設けられている。なお、カウンター７の上部には、ミラー９、収納棚１０、シャワー１１、水栓１２及び照明装置１３等が一体的に組み付けられたミラーパネル８が設けられている。
【００１２】
また、天井パネル４の左右の側面４ａには、浴室内方向に向けて一対のスピーカ１５（一方のスピーカ１５のみ示す）が取り付けられると共に、バスタブ５の壁パネル３ａ側の壁面（もしくは壁パネル３ａ）にはアクチュエータ１６（もしくはスピーカ）が取り付けられている。このスピーカ１５やアクチュエータ１６は、図２に示すように、例えば壁パネル３ａのドア１７近傍（もしくは浴室１内）に配設された制御盤１８に電気的に接続されており、この制御盤１８の制御によって、スピーカ１５で中高音が再生され、アクチュエータ１６によるバスタブ５自体（あるいは壁パネル３ａやその内側の音響空間）の振動で低音が再生されるように構成されている。
【００１３】
さらに、前記天井パネル４の内面で壁パネル３ａ、３ｃ側には、スポットライト照明装置１９、２０が取り付けられている。このスポットライト照明装置１９、２０は、光源としての例えばハロゲンランプ（図示せず）をそれぞれ有し、前記制御盤１８の制御によってそのスポットライト１９ａ、２０ａがバスタブ５内を照射するように構成されている。
【００１４】
すなわち、一方のスポットライト照明装置１９のスポットライト１９ａがバスタブ５の半身浴部分５ａを照射し、他方のスポットライト照明装置２０のスポットライト２０ａがバスタブ５の反半身浴部分５ｂを照射するように照射方向が予め所定方向に設定され、この一対のスポットライト１９ａ、２０ａでバスタブ５内の略全域が照射される。
【００１５】
なお、スポットライト照明装置１９、２０は、制御盤１８の操作で調光可能に構成されたり変色可能に構成されていることが好ましく、また、スポットライト照明装置はこの例のように２台の設置に限らず例えば１台（もしくは３台以上）でもよく、１台の場合は天井パネル４や壁パネル３ａ〜３ｄ上部に設けたレール（図示せず）に沿って移動可能に設け、そのスポットライトがバスタブ５の所望位置を所望角度で照射し得るように構成することが好ましい。
【００１６】
そして、スポットライト照明装置１９、２０による反射光Ｒが写し出される壁パネル３ａ〜３ｄと天井パネル４は、図３に示す如く構成されている。なお、壁パネル３ａ〜３ｄは全て同一に形成され、また天井パネル４も形状こそ違うものの、壁パネル３ａ〜３ｄと基本的構造は同一であるため、壁パネル３ａのみ図示し、以下の説明においても壁パネル３ａのみについて説明する。
【００１７】
壁パネル３ａは、鋼板等で構成される基材２１と、この基材２１の表面２１ａ全域に形成された加飾層２２と、この加飾層２２の表面２２ａの全域に形成された凹凸層２３と、この凹凸層２３の表面を覆うように形成された表面層２４とで構成されている。前記加飾層２２は、例えば基材２１の表面２１ａに塗料を所定厚さで塗布したり、基材２１の表面２１ａに印刷柄を有するシートをラミネートすること等により形成され、メタリック模様もしくはパール模様のような輝く模様を有し、またその表面２２ａには、加飾面としての細かな凹凸部２２ｂを有している。
【００１８】
また、前記凹凸層２３は、透明な樹脂シートを加飾層２２の表面２２ａにラミネートするか、加飾層２２の表面２２ａに透明な塗料を所定厚さで塗布すること等により、表面に円弧状波形の凹部２３ａと凸部２３ｂを有する如く形成されている。そして、この凹凸層２３の凹部２３ａと凸部２３ｂは、壁パネル３ａの上下方向あるいは左右方向に沿って規則正しくもしくは不規則に形成されるが、要は光を拡散・反射する機能を有すればその形態は適宜のものを使用し得る。なお、この凹凸層２３としては単なる透明な層に限らず、略透明で所定の模様や着色等が施された加飾した層で形成することも可能である。
【００１９】
さらに、前記表面層２４は、透明な樹脂塗料を凹凸層２３の表面に所定厚さで塗布すること等により、その表面２４ａが略平坦面となるようにして形成されている。そして、この表面層２４と凹凸層２３は、共に略透明に形成されるが、その色（色調）、模様、透明度合い等の意匠が互いに異なり、かつ表面層２４の意匠が凹凸層２３の意匠に悪影響を与えないように設定されている。また、表面層２４は、その表面２４ａが光の反射機能を有している。
【００２０】
この浴室１によれば、入浴者が入浴する際に、バスタブ５に所定量の湯Ｗを入れ、制御盤１８を操作してスポットライト照明装置１９、２０を点灯させて、そのスポットライト１９ａ、２０ａをバスタブ５内の湯Ｗの水面に照射する。この水面に照射されたスポットライト１９ａ、２０ａは、図１の矢印イ、ロの如く壁パネル３ａ〜３ｄや天井パネル４方向に反射されて、その反射光Ｒが壁パネル３ａ〜３ｄ（壁パネル３ｂは出窓２５部分等も含む）や天井パネル４に写し出される。
【００２１】
この時、バスタブ５内の湯Ｗの水面は、湯Ｗの供給時の振動や入浴者の洗い場６内での動きによる振動等で静止状態となることはなく、最低でも極微妙に揺らいだ状態となっており、これに連れて壁パネル３ａ〜３ｄや天井パネル４に写り出される反射光Ｒも揺らいだ状態となる。この揺らいだ状態の反射光Ｒは、水面の揺らぎ度合いに応じて変化し、これにより浴室１内に無限パターンの反射光Ｒからなる幻想的な雰囲気が醸し出されることになる。
【００２２】
そして、この壁パネル３ａ等に写し出される反射孔Ｒは、図４に示すように、実線矢印ハに示す反射光Ｒが、表面層２４の表面２４ａで反射されると共に、反射光の一部が透明な表面層２４内を所定の屈折角度をもって進入透過し、この透過した光が凹凸層２３の凹部２３ａや凸部２３ｂで拡散・反射される。
【００２３】
また、この表面層２４を透過した光の一部が、二点矢印ニの如く透明な凹凸層２３内に所定の屈折角度を持って進入透過し、この透過した光が加飾層２２の表面２２ａで反射されて、再び凹凸層２３と表面層２４を透過して表面層２４の表面２４ａから外部に拡散される。この時、凹凸層２３内に進入透過した光のうち、加飾層２２の凹凸部２２ｂに当接する光は、不規則に反射して加飾層２２の表面２２ａが例えば輝いた状態となる。
【００２４】
これにより、反射光Ｒが表面層２４で反射されたり凹凸層２３や加飾層２２で拡散・反射されて、壁パネル３ａ等に写し出される反射光Ｒ自体をより変化させることができて、見る位置によって異なる光の状態が得られたり、加飾層２２のメタリック模様もしくはパール模様が入浴者に輝いた状態で視認されることになる。また、スポットライト照明装置１９、２０を消した状態であっても、浴室１の前記照明装置１３の照明光（間接光）が、壁パネル３ａ等の表面層２４で反射されたり凹凸層２３や加飾層２２で拡散・反射されて、浴室１の壁パネル３ａ等に例えば淡く光った状態が得られることになる。
【００２５】
このように、上記実施例の浴室１にあっては、壁パネル３ａ〜３ｄと天井パネル４が、基材２１の表面２１ａ側に形成した加飾層２２と凹凸層２３及び表面層２４の三層構造からなるため、浴室１内の照明装置１３の照明光やスポットライト１９ａ、２０ａの反射光Ｒを、表面層２４によって反射させたり凹凸層２３や加飾層２２で拡散・反射させることができて、壁パネル３ａ等に深みのある光の幻想的な演出効果を得ることができる。
【００２６】
特に、加飾層２２にメタリック模様もしくはパール模様等の輝く模様を形成したり、凹凸層２３として模様等を有する加飾した層を使用することにより、加飾層２２や凹凸層２３の模様を光の反射で入浴者に例えば輝かせて視認させることができて、浴室１により幻想的な演出を行うことが可能になると共に、略透明な表面層２４と凹凸層２３の意匠を互いに異ならせることにより、壁パネル３ａ等の意匠の多様化が図れて、この意匠で光による多様な演出効果を得ることも可能になる。
【００２７】
また、浴室１の天井パネル４に一対のスポットライト照明装置１９、２０を取り付けて、そのスポットライト１９ａ、２０ａをバスタブ５の水面に照射するため、スポットライト１９ａ、２０ａによる水面の反射光Ｒ（間接光）を表面層２４と凹凸層２３を有する壁パネル３ａ等に写し出すことができ、その際、水面の揺らぎによって壁パネル３ａ等に写し出される反射光Ｒを無限に変化させることができて、浴室１内に光による一層幻想的な演出効果を得ることができる。
【００２８】
さらに、壁パネル３ａ等に例えば見る位置で光の状態が異なるような幻想的な反射光Ｒが写し出されるため、狭くて閉塞感を感じ易い浴室１の内部空間を広く見せることができ、特に、バスタブ５の水面の反射による反射光Ｒの状態が無限に変化することから、従来の単にスポットライト照明装置を湾曲面部に照射した場合等に比較して、浴室１内の空間をより広く効果的に見せたり神秘的な浴室空間を得ることが可能になる。
【００２９】
また、光を拡散・反射する凹凸層２３が表面層２４で覆われているため、凹凸層２３が表面層２４で保護される状態となり、壁パネル３ａ等の表面の耐久性を向上させることができると共に、表面層２４の表面２４ａが平坦に形成されているため、表面２４ａへの汚れの付着等が防止されると共に、仮に汚れた場合であっても簡単に水洗いできる等、長期に亘り清潔な壁パネル３ａ等を得ることが可能になる。
【００３０】
また、上記実施例によれば、次のような付随的な作用効果が得られる。つまり、浴室１に設けられる音響再生装置としての、アクチュエータ１６とスポットライト照明装置１９、２０の点灯を関連付けることで、例えばアクチュエータ１６を作動させる音楽再生時に、スポットライト照明装置１９、２０を点灯させれば、アクチュエータ１６による振動がバスタブ５内の湯Ｗに伝搬されてその水面が微妙に揺らぎ、壁パネル３ａ等に写し出される反射光Ｒに微細な変化を与えることができて、より一層変化に富んだ幻想的な反射光Ｒを得ることができる。
【００３１】
なお、上記実施例においては、凹凸層２３の凹部２３ａや凸部２３ｂの形状を円弧状に形成したが、本発明はこれに限定されるものでもなく、例えば三角形状の凹部や凸部とする等の適宜形状を採用することができる。また、上記実施例においては、浴室の壁パネル３ａ〜３ｄと天井パネル４の全てに凹凸層２３や加飾層２２等を設ける場合について説明したが、所望する演出効果位置の壁パネル３ａ等にのみに凹凸層２３等を設ける構成としても良い。また、表面層２４や凹凸層２３は一層に限らず、それぞれ複数層設ける構成とすることも可能である。
【００３２】
さらに、上記実施例においては、照明装置１３とスポットライト照明装置１９、２０を共に配設した浴室１について説明したが、照明手段は特に限定されず、例えばスポットライト照明装置１９、２０を省略して照明装置１３のみを配設したり、あるいは照明装置１３とは別にミラーパネル８の側面に照明装置を配設したり、出窓２５の所定位置に照明装置（いずれも図示せず）を配設して、これらの照明光を表面層２４や凹凸層２３等で直接的もしくは間接的に拡散・反射させる構成とすることもできる。また、上記実施例における浴室１の構造や各種照明装置の配設位置等も一例であって、本発明の各発明に係わる要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【００３３】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項１に記載の発明によれば、浴室の側壁及び又は天井壁が、加飾層及び凹凸層とこの凹凸層を覆う表面が平坦で略透明な表面層を有するため、加飾層や凹凸層及び表面層で浴室内の例えば照明装置の照明光が拡散・反射されて、浴室内に光による幻想的な演出効果を得ることができる。
【００３４】
また、請求項２に記載の発明によれば、請求項１に記載の発明の効果に加え、加飾層がメタリック模様もしくはパール模様を有するため、これらの模様を入浴者に輝かせて視認させることができる。
【００３５】
また、請求項３に記載の発明によれば、請求項１または２に記載の発明の効果に加え、加飾層の表面に加飾面としての細かな凹凸部を有するため、細かな凹凸部により光を良好に拡散・反射させることができる。
【００３６】
また、請求項４に記載の発明によれば、請求項１ないし３に記載の発明の効果に加え、浴室が、浴槽内の湯の水面にスポットライトを照射し、その反射光を側壁や天井壁に映し出すことが可能なスポットライト照明装置を備えているため、水面の揺らぎによって側壁 等に写し出される反射光を無限に変化させることができて、浴室内に光による一層幻想的な雰囲気を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明に係わる浴室の一実施例を示す内部の概略斜視図
【図２】 同その概略平面図
【図３】 同その壁パネルの断面図
【図４】 同その作用を説明するための説明図
【符号の説明】
１・・・・・・・・・浴室
３ａ〜３ｄ・・・・・壁パネル
４・・・・・・・・・天井パネル
５・・・・・・・・・バスタブ
７・・・・・・・・・カウンター
８・・・・・・・・・ミラーパネル
１５・・・・・・・・スピーカー
１６・・・・・・・・アクチュエータ
１９、２０・・・・・スポットライト照明装置
１９ａ、２０ａ・・・スポットライト
２１・・・・・・・・基材
２１ａ・・・・・・・表面
２２・・・・・・・・加飾層
２２ａ・・・・・・・表面
２３・・・・・・・・凹凸層
２３ａ・・・・・・・凹部
２３ｂ・・・・・・・凸部
２４・・・・・・・・表面層
２４ａ・・・・・・・表面
Ｗ・・・・・・・・・湯
Ｒ・・・・・・・・・反射光

Claims (4)

1. 側壁と天井壁とを備え内部に浴槽が設置される浴室であって、前記側壁及び又は天井壁の少なくとも一部が、基材表面に形成された加飾層と、該加飾層上に形成された略透明な凹凸層と、該凹凸層を覆う表面が平坦で略透明な表面層を有すると共に、前記加飾層が浴室内の照明光を拡散する機能を有することを特徴とする浴室。
2. 前記加飾層は、メタリック模様もしくはパール模様を有することを特徴とする請求項１に記載の浴室。
3. 前記加飾層の表面には、加飾面としての細かな凹凸部を有することを特徴とする請求項１または２に記載の浴室。
4. 前記浴室は、前記浴槽内の湯の水面にスポットライトを照射し、その反射光を側壁や天井壁に映し出すことが可能なスポットライト照明装置を備えていることを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の浴室。

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