JP3755040B2 - ポリヌクレオチド、ポリペプチド及び解糖系酵素の製造方法 - Google Patents

ポリヌクレオチド、ポリペプチド及び解糖系酵素の製造方法 Download PDF

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本発明は、旋毛虫(Trichinella spiralis)からクローニングされた解糖系酵素遺伝子に関する知見に基づいて発明されたポリヌクレオチド、ポリペプチド及び解糖系酵素の製造方法に関するものである。
従来より、旋毛虫Trichinella属からクローニングされた遺伝子としては、ミオシン重鎖遺伝子(myosin heavy chain gene)、セリンプロテイナーゼ抑制遺伝子(serine proteinase inhibitor gene)、21kDa排泄・分泌(ES)蛋白遺伝子(21kDa excretory and secretory(ES) products gene)等が挙げられる(非特許文献1〜3参照)。
ナカダ T(Nakada T)他,"Trichinella spiralis由来のミオシン重鎖遺伝子様抗原タンパク質(An antigenic peptide of myosin heavy chain-like protein from Trichinella spiralis.)",Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene,2002年,30巻,p.15-21 ナガノ I(Nagano I)他,"Trichinella spiralis由来のセリンプロテイナーゼ抑制遺伝子のクローニング及び性状解析(Molecular cloning and characterization of a serine proteinase inhibitor from Trichinella spiralis.)",Parasitology,2001年,123巻,p.77-83 ナガノ I(Nagano I)他,"Trichinella pseudospiralisから分泌された21kDaタンパク質のクローニング及び性状解析(Molecular cloning and characterization of a 21kDa protein secreted from Trichinella pseudospiralis.)",Journal of Helminthology,2001年,75巻,p.273-278
この発明は、本発明者らにより、旋毛虫(Trichinella spiralis)が産出する新規な解糖系酵素遺伝子のクローニングに成功した結果なされたものである。その目的とするところは、エノラーゼ活性を容易に利用することができるポリヌクレオチド及びポリペプチドを提供することにある。別の目的とするところは、エノラーゼ活性を備えた解糖系酵素を容易に製造することができる解糖系酵素の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号1で表される塩基配列からなり、該配列番号1で表される塩基配列は配列番号3の173〜1360番目で表される塩基配列よりなり、かつエノラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものである。
請求項2に記載の発明のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号4の42〜437番目で表されるアミノ酸配列をコードし、かつエノラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするものである。
請求項3に記載の発明のポリヌクレオチドは、請求項1又は請求項2に記載のポリヌクレオチドの塩基配列と、該ポリヌクレオチドの5'末端又は3'末端に結合するとともに融合ペプチドをコードする塩基配列とからなるものである。
請求項4に記載の発明のポリペプチドは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列からなるものである。
請求項5に記載の発明の解糖系酵素の製造方法は、解糖系酵素を製造する方法であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドが発現可能となるように組込まれた組替えベクターを導入して形質変換した細胞である形質転換体を増殖させた後に該形質転換体から請求項4に記載のポリペプチドを精製するものである。
以上詳述したように、本発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1から請求項3に記載の発明のポリヌクレオチド及び請求項に記載の発明のポリペプチドによれば、エノラーゼ活性を容易に利用することができる。請求項に記載の発明の解糖系酵素の製造方法によれば、エノラーゼ活性を備えた解糖系酵素を容易に製造することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
本実施形態の第一のポリヌクレオチドは、配列番号1で表される塩基配列、又はその配列と実質的に同一の塩基配列を含有するものである。例えば、前記塩基配列及び該配列の3’末端に結合するとともに融合ペプチドをコードする塩基配列からなるものが挙げられる。ここで、結合とは、各塩基配列が連続して配列されることをいう。これら第一のポリヌクレオチドは、いずれもエノラーゼ(2-phospho-D-glycerate hydrolylase:enolase)活性を有するポリペプチド(解糖系酵素)をコードする。ここで、エノラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするとは、前記塩基配列の5’末端にシグナル配列が結合されていない、即ち前記塩基配列の5’末端側にシグナル配列が連続して配列されていないことを意味する。
さらに、前記実質的に同一の塩基配列とは、配列番号2で表されるアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列をコードする塩基配列のことである。また、この実質的に同一の塩基配列には、配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して僅かに異なるアミノ酸配列をコードするものであって、そのアミノ酸配列からなるポリペプチドがエノラーゼ活性を有する塩基配列も含まれる。例えば、PCR反応により配列番号1で表される塩基配列を増幅したPCR産物も前記実質的に同一の塩基配列の概念に含まれる。このとき、前記実質的に同一の塩基配列としては、そのアミノ酸配列が配列番号2で表されるアミノ酸配列に対して好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上のホモロジーを有するのが望ましい。
配列番号1で表される塩基配列は、旋毛虫(Trichinella spiralis)からクローニングされた解糖系酵素の遺伝子配列であり、全長1188塩基の塩基配列からなる。この塩基配列は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードし、該ポリペプチドはエノラーゼ活性を有する解糖系酵素である。尚、以下において、配列番号1で表される塩基配列又はその配列と実質的に同一の塩基配列を含有するポリヌクレオチドをPN1+という。
実施形態の第二のポリヌクレオチドは、配列番号1で表される塩基配列、又はその配列と実質的に同一の塩基配列からなるものである。これら第二のポリヌクレオチドは、第一のポリヌクレオチドと同様にエノラーゼ活性を有する解糖系酵素をコードする。ここで、前記実質的に同一の塩基配列とは、前記第一のポリヌクレオチドの場合と全く同様のことを意味する。尚、以下において、配列番号1で表される塩基配列又はその配列と実質的に同一の塩基配列からなるポリヌクレオチドをPN1という。
実施形態の第三のポリヌクレオチドは、前記PN1の塩基配列の一部を含有するものであり、PN1の塩基配列の一部からなるものであってもよい。ここで、この第三のポリヌクレオチドは、前記PN1の塩基配列のうち連続した一連の部分配列を含有している。即ち、第三のポリヌクレオチドは、配列番号1で表される塩基配列の一部、又はその配列と実質的に同一の塩基配列を含有するものである。前記実質的に同一の塩基配列とは、配列番号2で表されるアミノ酸配列の一部と同一のアミノ酸配列をコードするものを意味する。また、この実質的に同一の塩基配列としては、そのアミノ酸配列が配列番号2で表されるアミノ酸配列の一部に対して、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上のホモロジーを有するものであってもよい。尚、以下において、PN1の塩基配列の一部を含有する第三のポリヌクレオチドをPN1pという。
これら第一から第三のポリヌクレオチドは、いずれも一本鎖DNAや二本鎖DNA等のDNA,又は一本鎖RNAやmRNA等のRNAの形態で利用される。また、アンチセンスDNA又はアンチセンスRNAの形態で利用することもできる。これら第一から第三のポリヌクレオチドは、その全長又はその一部をサザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーション等に用いられる標識用のプローブとして利用することができる。また、DNAチップ(マイクロアレイ)に利用することができる。
実施形態の第一のポリペプチドは、前記PN1+によりコードされるアミノ酸配列からなり、PN1によりコードされるアミノ酸配列からなるポリペプチドのN末端又はC末端(最も好ましくはC末端)に融合ペプチド(ポリペプチド)が融合されたものである。ここで、前記アミノ酸配列のN末端にはシグナルペプチドが融合されておらず、融合ペプチドが融合されていないものが好ましい。前記融合ペプチドとしては、第一のポリヌクレオチドが組込まれた組替えベクターを導入した形質転換体を用いて第一のポリペプチドを産出させたときそのポリペプチドの精製が容易となるために、オリゴヒスチジン、ポリヒスチジン、チオレドキシン(TRX)等の標識ペプチドが好適に用いられる。また、前記融合ペプチドとしては、スクリーニング等に容易に利用することができるために、種々のレポーター遺伝子や薬剤耐性遺伝子の遺伝子産物を用いてもよい。この第一のポリペプチドは、エノラーゼ活性を有している。
実施形態の第二のポリペプチドは、前記PN1によりコードされるアミノ酸配列からなるものであり、例えば配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるものが挙げられる。この第二のポリペプチドもエラノーゼ活性を有している。尚、以下において、エノラーゼ活性を有する第一及び第二ポリペプチドを解糖系酵素という。
実施形態の第三のポリペプチドは、前記PN1pによりコードされるアミノ酸配列からなるものであり、前記第二のポリペプチドのアミノ酸配列のうち連続した一連の部分配列を含有している。この第三のポリペプチドは、抗体作製のための抗原やプロテインチップ(マイクロアレイ)等に利用され得る。
本実施形態の組替えベクターは、前記ポリヌクレオチド(PN1+、PN1又はPN1p)がプラスミドベクターやレトロウイルスベクター等の種々の発現ベクター内に発現可能となるように組込まれたものである。この組替えベクターは、公知のインビトロ(in vitro)タンパク合成系を利用して前記ポリペプチドを製造するために利用される。
本実施形態の形質転換体は、前記組替えベクターを大腸菌、酵母、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞等の種々の宿主細胞内に導入して該細胞を形質転換することにより得られる。尚、前記宿主細胞としては、エノラーゼ活性の低下を抑えつつPN1+等がコードするポリペプチドを迅速かつ容易に大量生産できるために、大腸菌や酵母等の微生物を用いるのが好ましく、大量生産に特に適していることから大腸菌を用いるのがより好ましい。
本実施形態の解糖系酵素の製造方法は、形質転換体を増殖させる増殖工程と、その増殖工程で増殖した形質転換体から解糖系酵素を精製する精製工程とを備えている。前記形質転換体としては、前記第一又は第二のポリヌクレオチド(PN1+又はPN1)が発現可能となるように組込まれた組替えベクターを導入して形質転換した細胞が用いられる。この形質転換体としては、エノラーゼ活性の低下を抑制し、PN1+又はPN1がコードするポリペプチドを迅速かつ容易に大量生産することができることから、微生物を用いるのが好ましく、大量生産に特に適していることから大腸菌を用いるのがより好ましい。一方、前記組替えベクターに組込まれるポリヌクレオチドとしては、精製工程が容易であることから、前記標識ペプチドを特に3’末端にコードするポリヌクレオチドを含有する第一のポリヌクレオチドであるのが好ましい。
前記精製工程は、前記形質転換体により産出されたポリペプチドをクロマトグラフィ等の分離精製技術を用いて精製する工程である。この精製工程では、前記形質転換体が産出するポリペプチドを効率的に精製し得る任意の分離精製技術が適用されるが、前記標識ペプチドと特異的に結合するアフィニティークロマトグラフィを用いて精製するのが好ましい。尚、前記形質転換体により産出されたポリペプチドを精製した後、該ポリペプチドから標識ペプチドを分離させて解糖系酵素を単離する操作を行うとよい。
本実施形態の抗体は、前記第一から第三のポリヌクレオチド又はポリペプチド、好ましくは第二若しくは第三のポリヌクレオチド又はポリペプチドを抗原として作製されるものであり、解糖系酵素に特異的に結合するポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体が挙げられる。前記モノクローナル抗体はハイブリドーマにより容易かつ大量に供給され得る。この抗体は、旋毛虫の存在を検出するための検出用ツールやプロテインチップ等に利用される。本実施形態の医薬品としては、代謝改善薬又は旋毛虫による感染症を治療するための感染症治療薬等が挙げられる。
代謝改善薬は、前記解糖系酵素を有効成分として含有するものであり、解糖系酵素のエノラーゼ活性を利用することにより、エノラーゼの酵素失活等によって抑制されている解糖系代謝を改善する。一方、感染症治療薬は、前記解糖系酵素の発現抑制、又は該解糖系酵素の活性阻害を引き起こすことにより、旋毛虫(Trichinella spiralis)による感染症の治療を行うものである。この感染症治療薬は、前記第二又は第三のポリヌクレオチド(PN1又はPN1p)に対するアンチセンスDNA又はアンチセンスRNA、或いは前記抗体を有効成分として含有する。
本実施形態の検査用キットとしては、ヒトや家畜等が旋毛虫症に罹患しているか否かを検査(診断)するための診断キット、又は食肉や食肉加工品等に対する食品検査を行うための食品検査キットが挙げられる。これらの検査用キットは、ヒト、家畜、食肉、食肉加工品等から採取した検査用サンプルに、旋毛虫(Trichinella spiralis)が産出する解糖系酵素が存在するか否かを検査することにより診断又は食品検査を行うものである。これらの検査用キットとしては、遺伝子検査キット又はタンパク検査キットが挙げられる。
遺伝子検査キットは、前記第一から第三のポリヌクレオチド、好ましくは第二又は第三のポリヌクレオチドを検出用プローブとして利用するものである。この遺伝子検査キットとしては、DNAチップ、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション、インサイチューハイブリダイゼーション等の公知の検査技術が適用され、迅速かつ簡便に検査を行うことができることからDNAチップが最も好適に適用される。
タンパク検査キットは、前記第一から第三のポリペプチド(検査用サンプルとしてはヒトや家畜の血清が用いられる。)、又は前記抗体を検出用ツールとして利用するものである。このタンパク検査キットとしては、免疫沈降反応、ゲル内二重拡散法、免疫電気泳動法、定量沈降反応、放射免疫定量法、酵素免疫定量法、ウェスタンブロッティング、プロテインチップ等の公知の検査技術が適用され、迅速かつ簡便に検査を行うことができることからプロテインチップが最も好適に適用される。
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態のポリヌクレオチドは、旋毛虫(Trichinella spiralis)よりクローニングされた新規な塩基配列に基づいて提供され、該配列の5’末端にはシグナル配列が結合されていない。第一及び第二のポリヌクレオチド(PN1+及びPN1)は、いずれもエノラーゼ活性を有する(第一又は第二の)ポリペプチドをコードしていることから、そのエノラーゼ活性を人為的に有効利用することにより代謝改善薬等として利用することができる。
一方、第三のポリヌクレオチド(PN1p)は、アンチセンスDNA,アンチセンスRNA、DNAチップ、検査用プローブ等の感染症治療薬や検査用キット等に好適に利用することができる。同様に、第三のポリペプチドは、抗体作製やプロテインチップ等の検査用キットに好適に利用することができる。従って、これら第三のポリヌクレオチド及びポリペプチドは、旋毛虫(Trichinella spiralis)による感染症の早期発見、効果的な治療や予防に役立てることによって、感染症の拡大を容易に抑えることができる。
・ 本実施形態の組替えベクターは第一から第三のポリヌクレオチドが発現可能となるように組込まれたものであり、本実施形態の形質転換体は前記組替えベクターが導入されたものである。これら組替えベクター及び形質転換体は、前記第一から第三のポリヌクレオチド及びこれらポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを大量生産するのに適していることから、医薬品や検査用キット等の原材料を容易かつ大量に提供することができる。また、取扱いや保存が極めて容易である。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記解糖系酵素を腫瘍マーカーとして用いてもよい。この場合には、例えば血中における本実施形態の解糖系酵素の量を測定することにより、癌の発見、癌の進行状況を判断することができる。
<解糖系酵素の同定>
旋毛虫(Trichinella spiralis) (ISS413)感染15日後のマウスから筋肉幼虫(muscle larvae)を採取してmRNAを抽出した。続いて、前記mRNAを、Timesaver cDNA synthesis kit(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いてλZAPIIベクター(Stratagene社製)に組込んだ後、Gigapack Gold III packaging extract(Stratagene社製)にパッケージしてcDNAライブラリーを作製した。このライブラリーの作製方法の詳細は、Nagano,I.et.al.Parasitology 123:77-83を参照。
次に、前記Trichinella spiralisの幼虫300匹をBALB/cマウスに感染させ、2月後に採取した抗Trichinella spiralis血清にて前記cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、ポジティブクローンが18個得られた。このスクリーニング法の詳細は、Sambrook,J.et.al.A laboratory manual,2nd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York.p.12.1-12.44を参照。これらポジティブクローンをin vivo excisionによりブラスミドに変換後に大腸菌SOLR株に導入し、自動シークエンサーにてシークエンスを行い塩基配列を決定した。
これらの塩基配列及びそのアミノ酸配列についてホモロジー検索したところ、1つのクローンTsENOが新規な配列を有していることが判明した。このクローンは、配列番号3で表される全長1619bpの塩基配列からなるものであり、ホモロジー検索からエノラーゼ活性を有する解糖系酵素をコードするらしいことも判明した。
配列番号3で表される塩基配列は50〜1360番目までの1311塩基(437アミノ酸)からなるオープンリーディングフレーム(ORF)と、1361〜1363番目までの終始コドンとを備えている。さらに、この塩基配列は、1〜49番目までの49塩基からなる5'非翻訳領域(5'UTR)と、1364〜1619塩基までの256塩基からなる3'非翻訳領域(3'UTR)とを備えている。加えて、この塩基配列には、Von Heijine, G. 1986. A new method for predicting signal sequence cleavage sites. Nucleic Acids Research 14:4683-4690.のアルゴリズムに基づいて、1〜123番目までの123塩基からなるN端シグナル配列が存在することが確認された。このため、この塩基配列がコードするポリペプチドは、41番目のThrと42番目のGlnとの間で前記N端シグナル配列が切断される翻訳後修飾を受ける可能性が高い。
配列番号3で表される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列は配列番号4で表され、このアミノ酸配列についてホモロジー検索をしたところ、Caenorhabditis elegans、ヒト又はGallus gallus由来のエノラーゼ活性を有する解糖系酵素に対してそれぞれ77%、72%、又は71%のホモロジーがあったことが示された。
<RT-PCRによる解糖系酵素遺伝子の存在確認及び発現量の定量>
旋毛虫(Trichinella spiralis)(ISS413)の成虫、新生幼虫、15日齢筋肉幼虫又は35日齢筋肉幼虫より、TRIZOL(Life Technologies社製)を用いてトータルRNAをそれぞれ単離した後、DNase(Promega社製)を用いて処理した。続いて、DNase処理済みのトータルRNAから、RT-PCRによってエノラーゼ活性を有する解糖系酵素に相当すると考えられる遺伝子(以下、解糖系酵素遺伝子という。)をクローニングした。ここで、RT-PCRにはReady-To-Go RT-PCR Kit(Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いるとともに、配列番号5及び6で表される塩基配列かなら一対のPCRプライマーを用いた。
この結果、RT-PCRにより全てのステージにおいて解糖系酵素遺伝子が発現していることが確認され、各ステージにおける発現量に大きな差は見られなかった。また、旋毛虫(Trichinella pseudospiralis)についても、前記旋毛虫(Trichinella spiralis)の場合と全く同様の作業を行ったところ、全てのステージにおいて解糖系酵素遺伝子が発現していることが確認され、各ステージにおける発現量に大きな差は見られなかった。尚、RT-PCRにおいては、コントロールとしてグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)を増幅するためのプライマーを同時に用いて行い、該GAPDHの発現量を指標に前記解糖系酵素遺伝子の発現量を確認した。
<リコンビナントタンパクの発現と精製>
前記クローンTsENOが組込まれたプラスミドを、配列番号7及び8で表される塩基配列からなる一対のPCRプライマーにてPCR増幅することにより増幅フラグメントを得た。この増幅フラグメントは、配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドである。次に、前記増幅フラグメントをBamHI及びKpnIで切出し、pTrcHis発現ベクター(Invitrogen社製)に組込んで組替えベクターを作製した後、大腸菌DH5α細胞内に導入して形質転換細胞を作製した。続いて、形質転換細胞の培養液にIPTG(isopropyl β-D-thiogalactopyranaside)を終濃度1mM添加し、37℃で3時間インキュベートしてポリヒスチジン融合リコンビナントタンパクの発現を誘導した。そして、前記リコンビナントタンパクの発現が誘導された形質転換細胞を集めた後に20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)中で超音波処理により破壊し、同緩衝液中に終濃度6Mの尿素を添加して可溶化させた後にHis Trap カラム(Amarsham Pharmacia Biotech社製)にリコンビナントタンパクを吸着させた。
次に、Colangeli,R.et.al. Journal of Chromatography.B.Biomedical sciences and applications 714:223-235の方法に従って、前記カラムに対して尿素を段階的に薄めた20mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)でゆっくりと洗浄した後、500mMイミダゾールを含有する溶出液を用いてリコンビナントタンパクを溶出させた。続いて、この溶出液中のイミダゾールをPD-10カラム(Amercham Pharmacia Biotech社製)にて取除き、リコンビナントタンパクを精製した。尚、この操作により得たリコンビナントタンパクは第二のポリペプチドであり、以下においてプロリコンビナントタンパクという。
一方、配列番号9及び10で表される塩基配列からなる一対のPCRプライマーを用い前記PCR増幅と同様にして増幅フラグメントを得た後、前記工程と同様にしてリコンビナントタンパクを得た。尚、増幅フラグメントは配列番号3で表される塩基配列の50〜1360番目(配列番号4で表されるアミノ酸配列の1番目のMetから437番目のGln)までの配列からなるポリヌクレオチドである。この操作により得たリコンビナントタンパクは前記プロリコンビナントタンパクのN末端にシグナルペプチドが融合しており、以下においてプレプロリコンビナントタンパクという。
<プロリコンビナントタンパクに対する抗体等の作製及び免疫染色>
前記プロリコンビナントタンパク100μgをBALB/cマウスに注射した後、同プロリコンビナントタンパク約100μgを2週間毎に4回注射してプロリコンビナントタンパクに対する抗体を作製した。また、Trichinella spiralisの幼虫300匹をBALB/cマウスに感染させ、2月後にTrichinella spiralisに対する抗体を抗血清として得た。
次に、0.4μgのプロリコンビナントタンパクを11%SDS-PAGEにて電気泳動した後、ニトロセルロース膜に転写させた。続いて、Trichinella spiralisに対する抗体とアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG抗体(2次抗体)とによってウエスタンブロッティングを行った。また、Trichinella spiralisの35日齢筋肉幼虫の粗抽出蛋白又は排泄・分泌蛋白20μgを前記プロリコンビナントタンパクと同様にして電気泳動した後にニトロセルロースに転写させた。続いて、プロリコンビナントタンパクに対する抗体と前記2次抗体とによってウエスタンブロッティングを行った。これらの結果を表1に示す。尚、前記粗抽出物は、Wakelin, D., P. K. Goyal, M. S. Dehlawi, and J. Hermanek. 1994. Immune responses to Trichinella spiralis and T. pseudospiralis in mice. Immunology 81:475-479の方法やWu, Z., I. Nagano and Y. Takahashi. 1998. Differences and similarities between Trichinella spiralis and T. pseudospiralis in morphology of stichocyte granules, peptide maps of excretory and secretory(E-S) products and messenger RNA of stichosomal glycoproteins. Parasitology 116:61-66.の方法に従って得た。さらに、表1において、×は染色バンドが見られなかったことを示す。
Figure 0003755040
表1に示すように、Trichinella spiralisに対する抗体は、プロリコンビナントタンパクに特異的に結合した。一方、プロリコンビナントタンパクに対する抗体は、Trichinella spiralisの35日齢筋肉幼虫の粗抽出蛋白に特異的に結合することが示された。
<プロリコンビナントタンパクのエノラーゼ活性の測定>
エノラーゼ活性は、Kustrzeba-Wojcicka, I., and M. Golczak. 2000. Enolase from Candida albicans-purification and characterization. Comparative Biochemistry and Physilogy Part B 126:109-120.の方法に従い、ホスホエノールピルビン酸(phosphoenolpyruvate:PEP)の吸光度測定により行った。即ち、まず0.05Mイミダゾール緩衝液(1mM 2ホスホグリセリン酸(2-phospho-glyceric acid:2PGA),3mM MgSO4,pH6.0-8.0)及び0.05nmolのリコンビナントタンパクを混合し、全量が0.5mlの反応液を調製した。ここで、リコンビナントタンパクとしては実施例としてのプロリコンビナントタンパク又は比較例としてのプレプロリコンビナントタンパクを用いた。次いで、反応液を25℃で1時間インキュベートするとともに240nmでの吸光度の変化を測定し、吸光度の変化よりPEP量を求めた。ここで、前記条件下では、吸光度の0.2の上昇は、基質である2PGAがPEPに0.226μmol変換されたことに相当する。また、コントロールとしてウサギ由来のエノラーゼ(Sigma社製)を用いた。各pHにおける測定結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例のプロリコンビナントタンパクはエノラーゼ活性を発揮することが確認され、プロリコンビナントタンパクの至適pHは約6.8であった。一方、比較例のプレプロリコンビナントタンパクはエノラーゼ活性を発揮しなかった。これは、プレプロリコンビナントタンパクはN末端にシグナルペプチドを有しているためにエノラーゼ活性がないためである。尚、本明細書において、ポリヌクレオチドとは10個以上のヌクレオチドからなるものをいい、ポリペプチドとは10個以上のアミノ酸からなるものをいう。
実施例のエノラーゼ活性と緩衝液のpHとの関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号1で表される塩基配列からなり、該配列番号1で表される塩基配列は配列番号3の173〜1360番目で表される塩基配列よりなり、かつエノラーゼ活性を有するポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
  2. ポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドは配列番号4の42〜437番目で表されるアミノ酸配列をコードし、かつエノラーゼ活性を有するポリペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のポリヌクレオチドの塩基配列と、該ポリヌクレオチドの5'末端又は3'末端に結合するとともに融合ペプチドをコードする塩基配列とからなることを特徴とするポリヌクレオチド。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列からなることを特徴とするポリペプチド。
  5. 解糖系酵素を製造する方法であって、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドが発現可能となるように組込まれた組替えベクターを導入して形質変換した細胞である形質転換体を増殖させた後に該形質転換体から請求項4に記載のポリペプチドを精製することを特徴とする解糖系酵素の製造方法。
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