JP3754664B2 - 生花輸送用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生花輸送用容器に関し、特に、輸送時や保管時であっても生花に常時保水用の水を供給し続け、輸送時や保管時に生じ易い生花の乾燥や萎れを防止しうるとともに、転倒させても保水用の水が外部に漏出することのない生花輸送用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
生花、特に切り花を、生産地から卸売市場まで、また卸売市場から販売店まで輸送する際、大半は、偏平な段ボール箱を使用し、この箱内に切り花を横に寝かせた状態で収容しているが、輸送中、切り花には給水が全く行われないため、この方法では目的地に到着するまで切り花の鮮度を保つのは困難であった。
【0003】
そこで、従来、容器に保水用の水を貯溜しておき、この容器に切り花を挿して輸送する方法が考えられ、その輸送方法に適する容器として、例えば、実用新案登録第3055663号公報に見られるような容器が提案されている。
【0004】
この容器は、上方を開口した防水性下容器の上方の開口周縁部に、底面を開口した上容器の底面の開口周縁を脱着自在に係合して細長の植物収納容器本体を形成するとともに、下容器又は上容器に給水孔を設けたものである。
【0005】
しかしながら、上記したような容器にあっては、輸送中や保管中に転倒すると、容器内部の水が外に流出してしまい、水の補給ができない場合は、収容した切り花が乾燥したり萎れたりし、商品価値がなくなってしまうといった問題があった。また、容器から流出した水が周囲を汚損するといった問題もあった。さらに、容器本体から水が流出しないよう容器を常に起立状態で使用する必要があることから、輸送時や保管時に嵩高くならざるを得ず、輸送量や保管量に制約を受けるといった問題もあった。
【0006】
このような問題を解決するものとして、例えば特開2002−154589号公報には、転倒しても容器内の水が外部に流出する虞のない切り花用包装容器が提案されている(以下、第1従来技術という)。
【0007】
この容器は、容器本体に貯溜する水の面より上方位置に、略中央部に切り花を挿入するための開口を形成した仕切部を設け、この仕切部によって、容器が転倒した場合でも、容器本体に貯溜した水が外部に流出、漏洩するのを防止したものである。
【0008】
また、上記第1従来技術のものとは別に、図11及び図12に示すように、容器本体A内に下端開口部が存する内筒Bを一体的に形成し、容器が転倒しても内部の水が容器本体Aの内壁面と内筒の外周面との間の空間Cに流れ込むようにして、容器本体A内の水が外部に流出、漏洩するのを防止したものが提案されている(以下、第2従来技術という)。尚、図中の符号Dは、容器使用後に容器内の水を排出するための排出部を示し、この排出部Dは容器本体Aと一体成形されており、凸部を切除することで開口される。再使用(水を注入)する場合は、栓等で閉塞される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第1従来技術のものにあっては、切り花は仕切板の開口部によってのみ支持され、仕切板には僅かな厚みしかないことから、切り花が十分に保持されず、このため輸送中などに容易に傾いてしまい、隣接する容器の切り花と接触して切り花同士が損傷し合ったりするといった問題があった。
【0010】
また、容器が転倒した場合の水の流出を仕切板で防止することを主眼にしたものであって、容器を転倒させたまま輸送するといった発想のものではなく、容器を常に起立状態で使用することを前提としたものであるから、前記実用新案登録第3055663号公報の容器の場合と同様、輸送時や保管時に嵩高くならざるを得ず、輸送量や保管量に制約を受けるといった問題もあった。
【0011】
なお、転倒しても仕切板によって水が外部に流出しないのであるから、容器を転倒させた状態でも使用できるようにも見えるが、前述したように切り花は仕切板の開口部によってのみ支持されるため、転倒させて使用すると、開口部と接する部分に切り花自体の重みがかかり、しかも開口部には十分な厚みがないことから、該開口部と接する部分で切り花が損傷してしまい、商品価値が損なわれてしまうといった問題がある。
【0012】
一方、前記第2従来技術にあっては、上記したような第1従来技術における問題はないが、次のような別の問題があった。
【0013】
すなわち、内筒が容器本体と一体に設けられているため、切り花の種類が異なりその束の太さが種々ある場合に、個々に対応する内径をもった複数種類の容器を用意しておく必要があり、その分容器の製造コストが嵩むといった問題があった。
【0014】
また、内筒は伸縮するものではないため、切り花の束の太さを内筒の内径に合うよう細かく調整する必要があり、取り扱いに不便であった。すなわち、束の太さが内筒の内径よりも大きい場合、無理に束を内筒に挿入すると切り花の茎を痛めてしまい、逆に束の太さが内筒の内径よりも小さい場合は、切り花が傾斜し易くなり、前記第1従来技術の場合と同様の問題が生じる。このため、内筒に束を挿入する際に数本の切り花を間引いたり或いは足したりするなどして束の太さを細かく調整する必要があり、この調整作業が必要になる分、使い勝手が悪いものであった。
【0015】
さらに、内筒と容器本体とが一体に成形されたものであるため、不使用時に容器同士をスタック(積み重ね)したとしても、かなり嵩張り、輸送や保管に不便であるといった問題もあった。
【0016】
またさらに、内筒と容器本体とが一体に成形されたものであるから、使用後、容器本体内の水を排出させるための排水口を別途形成するとともに、使用時にはこの排水口を閉塞しておくための手段が必要であり、その分製造コストが嵩むといった問題もあった。
【0017】
また、この種の容器にあっては、起立時に生花の水揚げが良好に行われるよう水深(容器底面から水面までの距離)を極力深くする必要がある一方で、転倒時には内筒から水が容器外部に漏出しないよう水深(容器側面から水面までの距離)を浅くする必要があるうえ、輸送重量を極力減らす必要もあることから、第2従来技術では、内筒Bの下端開口部に対向する容器Aの底面を面積の狭いものとして起立時の水深を稼ぐ(水の液面を上昇させる)一方、空間Cを大きく採ることによって転倒時における水の液面を極力低くし、転倒時の水位が内筒Bに達しないように図っている。このため、上記したように底面積が上部に比べて極端に狭くならざるを得ないことから、起立時にあっては、安定性に欠け、生花の背丈が高いと容易に転倒してしまい、その結果、生花を傷めてその商品価値を損なわせてしまうといった問題があった。
【0018】
本発明は、上述の問題点に鑑み創案されたものであって、輸送時や保管時であっても生花に保水用の水を常時供給し続け、輸送時や保管時に生じ易い生花の乾燥や萎れを防止しうることは勿論のこと、起立時の安定性に富み、転倒させても保水用の水が外部に漏出することがなく、いわゆる横積みの状態で輸送及び保管することができ、輸送及び保管時の省スペース化をも達成しうるとともに、取り扱い易く製造コストの嵩まない、さらには保水用の水量が少なくて済み輸送重量の軽減をも図ることのできる生花輸送用容器を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る生花輸送用容器は、生花の輸送時や保管時に生じる生花の乾燥や萎れの防止に必要な量の保水用の水を貯溜する容器本体と、この容器本体内に入れられる生花の束を、容器本体の底面に対して起立状態で保持するとともに、転倒時には容器本体から前記水が漏出するのを防止する蓋とを備え、前記容器本体は、その上面に開口部が設けられ、前記蓋は、容器本体の開口部に対し水密状態に装着可能とされるとともに、容器本体内へ延びる生花保持筒が設けられ、転倒時、前記水の全量が、容器本体と生花保持筒との間の空間に滞留可能とされた生花輸送用容器において、前記容器本体は、その内面適所に、生花挿入時前記生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止する保持筒支持手段が設けられたことを特徴とするものである。
【0020】
このような本発明によれば、生花は、起立時にあっては、その下端部が水に浸ることになるため、保水が行われる。一方、転倒時にあっては、生花の下端部は水に浸らなくなるが、該水から発生する水蒸気により保水が行われる。また、転倒時は、容器本体内の水は、その全量が容器本体と生花保持筒との間の空間に滞留するとともに、蓋は容器本体の開口部に水密状態に装着されていることから、容器本体内の水が、生花保持筒や、容器本体と蓋との境界等を通じて外部に漏出することはない。また、容器本体の内面適所に設けられた保持筒支持手段により、起立時にあっては、生花の傾斜が完全に阻止され、また、転倒時にあっては、生花の重みで生花保持筒が撓み、その結果生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没して、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことが防止される。
【0025】
また、本発明に係る生花輸送用容器は、生花の輸送時や保管時に生じる生花の乾燥や萎れの防止に必要な量の保水用の水を貯溜する容器本体と、この容器本体内に入れられる生花の束を、容器本体の底面に対して起立状態で保持するとともに、転倒時には容器本体から前記水が漏出するのを防止する蓋とを備え、前記容器本体は、その上面に開口部が設けられ、前記蓋は、容器本体の開口部に対し水密状態に装着可能とされるとともに、容器本体内へ延びる生花保持筒が設けられ、転倒時、前記水の全量が、容器本体と生花保持筒との間の空間に滞留可能とされた生花輸送用容器において、前記容器本体は、少なくとも、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に、前記生花保持筒の外面と常時接し、生花挿入時、生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止するとともに、転倒時には生花保持筒が前記側壁側に沈下するのを防止する保持筒沈下防止手段が設けられたことを特徴とするものである。
【0026】
この場合も、起立時にあっては、生花の傾斜が完全に阻止され、また、転倒時にあっては、生花の重みで生花保持筒が容器本体の側壁側に沈下し、その結果生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没して、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことが防止される。特に、この保持筒沈下防止手段は、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に設けられているから、当該側壁を下にして容器本体を転倒させた状態を長期間継続させても、生花保持筒が生花の重みで容器本体の側壁側に沈下することがない。この点、前記保持筒支持手段は、生花保持筒との間に隙間がある場合、その隙間分生花保持筒が生花の重みで容器本体の側壁側に沈下するので、容器本体を長期間転倒させたままにする場合にはあまり適さないが、少なくとも、容器本体が転倒した瞬間、生花の重みで生花保持筒が撓んで生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没し続け、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことは防止される。
【0027】
また、生花保持筒は、保持筒沈下防止手段に対応する部位及びその周辺に、該部位の周辺が保持筒沈下防止手段よりも下方に垂下するのを防止する垂下防止手段を有していてもよい。
【0028】
この場合、特に生花保持筒が蛇腹状に形成されている場合には、保持筒沈下防止手段が設けられている側壁を下にして容器本体を転倒させた状態を長期間継続させた時に、生花の重みで、保持筒沈下防止手段に対応する部位の周辺が保持筒沈下防止手段よりも下方に垂下しようとするのを防止しうる。
【0029】
また、容器本体は、生花保持筒の下端開口部が臨む底面に、生花の切断端部を保持する切断端保持部を有していてもよい。
【0030】
この場合、切断端保持部が生花保持筒と協働で生花をしっかりと保持することになるので、起立状態にあっても転倒状態にあっても生花の姿勢を常に適正に維持することができる。
【0031】
また、生花保持筒は、裾窄まりに形成され、蓋同士のスタックが可能とされていてもよい。
【0032】
これにより、不使用時における容器の保管スペースを削減することができ、省スペース化に寄与できる。
【0033】
また、容器本体は、全体が裾窄まりに形成されるとともに、側壁の外面形状が、側壁の内面形状と略合致する形状とされ、容器本体同士のスタックが可能とされていてもよい。
【0034】
この場合も、不使用時における容器の保管スペースを削減することができ、省スペース化に寄与できる。
【0035】
また、容器本体は、側壁の少なくとも一部に、外部の床面と安定して接する平滑面を有しているとよい。すなわち、容器本体の横断面形状を蒲鉾型、矩形、多角形、三角形等に形成することで、転倒時、別途器具等を用いずとも容器本体が転動するのを防止することができる。
【0036】
また、生花保持筒には、その前記平滑面に対応する位置に転倒時に水平となる平坦部が設けられていてもよい。
【0037】
この場合、転倒時、生花保持筒がその平坦部において水の水面と平行となり、生花保持筒の下端縁が水中に没しにくくなるため、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことが防止される。
【0038】
また、容器本体は、底面に、起立時、水の液面を上昇させる沈漬体が生花と干渉しないよう設けられていてもよい。
【0039】
この場合、起立時、少ない水量でも、生花の水揚げが良好に行われるよう水深(容器底面から水面までの距離)を深くすることができるとともに、このように水の全体量が少ないものとなるため、転倒時においては水深(容器側面から水面までの距離)を浅くすることができ、生花の水揚げの促進、転倒時の水漏れ、輸送重量の削減の3つを同時に達成することが可能となるばかりか、容器本体の底面を大きく採ることが可能となるので、起立時の安定性も良好なものとなる。
【0040】
また、容器本体は、側壁に、転倒時、水の液面を下降させるべく水の流入を許容する凹部が設けられていてもよい。
【0041】
この場合、転倒時、水が側壁の凹部に流入するため、その凹部の体積分水の液面が下降することになり、生花保持筒と水面との距離が開き、転倒時、生花保持筒を通じて外部に水が漏れるのが防止される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0043】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る生花輸送用容器1の使用状態を示す斜視図、図2は、生花輸送用容器1の平面図、図3は、容器本体10の平面図、図4は、生花用輸送用容器1を転倒させた状態を示す、図2におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【0044】
この生花輸送用容器1は、生花Fの輸送時や保管時に生じる生花Fの乾燥や萎れの防止に必要な量の保水用の水W(図4参照)を貯溜する容器本体10と、この容器本体10内に入れられる生花Fの束を、容器本体10の底面11に対して起立状態で保持するとともに、転倒時には容器本体10から水Wが漏出するのを防止する蓋20とを備えたものである。
【0045】
容器本体10は、その上面に開口部12が設けられ、この開口部12の周囲におけるフランジ部13に蓋係合用リブ14が周設されるとともに、全体が裾窄まりに形成されている。また、この実施の形態においては、容器本体10は、平面視略矩形状に形成されており、4つの側壁15を有している。各側壁15には、それぞれ、その内面適所に、生花F挿入時、後に詳述する蓋20の生花保持筒21の姿勢が崩れるのを防止する保持筒支持手段16が設けられている。
【0046】
保持筒支持手段16は、各側壁15の略中央部を容器本体10の内方に膨出させてなる膨出部により構成されている。この膨出部16は、裾広がりの略台形状に形成されている。なお、膨出部16の形態はこの例に限るものではなく、生花保持筒21の姿勢が崩れるのを防止し得るのであれば、形状は任意である。また、保持筒支持手段16は、容器本体10の側壁15を膨出させてなる膨出部で構成する以外に、例えば柱状の別部材を側壁15の内面適所に添設することで構成してもよい。
【0047】
また、上記保持筒支持手段16は、上記したように裾広がりの略台形状に形成されたことによって、基端部(容器本体10の底面11側)が、沈漬体17として機能するようになされている。この沈漬体17は、起立時、水Wの液面を上昇させるためのものである。すなわち、この沈漬体17によって、起立時、少ない水量でも、生花Fの水揚げが良好に行われるよう水深(底面11から水面までの距離)を深くすることができるとともに、このように水Wの全体量が少ないものとなるため、転倒時においては水深(側壁15内面から水面までの距離)を浅くすることができ、生花Fの水揚げの促進、転倒時の水漏れ、輸送重量の削減の3つを同時に達成することが可能となるばかりか、容器本体10の底面11を大きく採ることが可能となるので、起立時の安定性も良好なものとなる。この沈漬体17は、保持筒支持手段16と一体に設ける必要はなく、生花Fと干渉しない位置であれば、容器本体10の底面11の任意の箇所でよい。
【0048】
このようになる容器本体10は、中の保水用の水Wの水位が容器本体10外部からも判るように透明もしくは半透明の合成樹脂から成形されるのが好ましい。また、適正な量の水を補給し得るように、側壁15の適所に水位表示部152を設けておくとよい。なお、容器本体10の材質は、上記したような合成樹脂に限るものではなく、例えば剛性を有する紙で容器本体全体を成形し、その表面に防水性皮膜を設けたものであってもよい。その場合、中の水Wの水位(液面レベル)が容器本体10外部からも判るよう、側壁15の一部に透視窓を設けておくとよい。
【0049】
以上説明したように、容器本体10を全体形状が裾窄まりとなるよう成形するとともに、保持筒支持手段16を膨出部で構成した場合、複数個の容器本体10同士を容易にスタックすることができ、不使用時の保管スペースを最小のものとすることができる。
【0050】
前記蓋20は、容器本体10の開口部12に対し水密状態に装着可能とされるとともに、容器本体10内へ延びる生花保持筒21が設けられたものである。この蓋20は、外形状が容器本体10のフランジ部13の外形状と合致するように形成されており、周囲に容器本体10の蓋係合用リブ14と嵌合する嵌合リブ22が設けられている。
【0051】
上記生花保持筒21は、裾窄まりに形成されるとともに、蛇腹状に形成されており、周方向に伸縮可能とされている。この生花保持筒21の長さ及び窄まり具合は、その下端が、転倒時に保水用の水の水位よりも下まわることがなく、且つ、所望量の生花Fの束を挿入し得てしかも該束を保持しうるよう適宜設定される。なお、生花保持筒21は、上記したように蛇腹状に形成せず、平滑な曲面で形成してもよい。また、蛇腹状に形成する場合であっても、平滑な曲面で形成する場合であっても、生花保持筒21を上記したように裾窄まりに形成しておくと、不使用時、複数個の蓋20同士をスタックすることができ、保管スペースを節減することが可能となる。さらに、生花保持筒21の内径が異なる複数種類の蓋20を予め用意しておくことで、生花Fの束の太さに応じて適宜その太さに適合する内径をもった別の蓋20と交換して使用することができ、生花の出荷作業を容易なものにすることができる。
【0052】
以上のようになる生花輸送用容器1は、図4に示すように、転倒時、水Wの全量が、容器本体10と生花保持筒21との間の空間に滞留可能なものであり、蓋20は容器本体10の開口部12に上記各リブ14,22によって水密状態に装着されていることから、容器本体10内の水Wが、生花保持筒21や、容器本体10と蓋20との境界等を通じて外部に漏出することはない。なお、図中の符号Lは、床面を示す。
【0053】
<実施の形態2>
図5乃至図8は、本発明の実施の形態2を示し、図5は、生花輸送用容器1の平面図、図6は、容器本体10の平面図、図7は、図6におけるVII −VII 線に沿う容器本体10の断面図、図8は、生花輸送用容器1を転倒させた状態を示す、図5におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。
【0054】
この実施の形態2における生花輸送用容器1は、図1乃至図4で示したものと、容器本体10に保持筒沈下防止手段18を設けた点、容器本体10の側壁15に、転倒時、水Wの液面を下降させるべく水の流入を許容する凹部19を設けた点、及び、蓋20の生花保持筒21に垂下防止手段23を設けた点で異なるだけであり、その他は同一であるので、同一構成要素には同一符号を付しその説明を省略するとともに、上記相違点についてのみ、以下説明する。
【0055】
容器本体10には、転倒時に容器本体10外の床面Lに臨む側壁151の内面に、蓋20の生花保持筒21の外面と常時接し、生花F挿入時、生花保持筒21の姿勢が崩れるのを防止するとともに、転倒時には生花保持筒21が側壁151側に沈下するのを防止する保持筒沈下防止手段18が設けらている。
【0056】
また、容器本体10の側壁15には、転倒時、水Wの液面を下降させるべく水の流入を許容する凹部19が設けられている。これら凹部19は、図示例ではそれぞれ3本の溝で構成されており、側壁15の補強リブとしても機能するように図られている。このような凹部19を設けることで、転倒時、水Wが側壁15の凹部19に流入し、これによってその凹部19の体積分水Wの液面が下降することになり、生花保持筒21と水面との距離が開き、転倒時、生花保持筒21を通じて外部に水が漏れるのが防止される。なお、水位表示部152も、上記凹部19と同様の構成にすると、凹部19と上記したのと同じ機能を果たすことになる。
【0057】
この保持筒沈下防止手段18は、前記した保持筒支持手段16と同様、側壁151の略中央部を容器本体10の内方に膨出させてなる膨出部により構成されている。この膨出部18は、裾広がりの略台形状に形成されているが、保持筒支持手段16における膨出部よりも幅狭に形成されるとともに、膨出高さは保持筒支持手段16のそれよりも高く設定され、生花保持筒21の外面と常時接するようになされている。また、生花保持筒21の外面と接しない下端部側は、容器本体10の内方に必要以上突出しないよう、生花保持筒21の外面と接する部分とは傾斜角度が異なっている。上記下端部側をこのように形成しておくと、生花Fの束の下端部が当該膨出部18に当たることが防止でき、生花Fの束を生花保持筒21に挿入する際、該下端部が邪魔になることがない。なお、膨出部18の形態はこの例に限るものではなく、上記した機能を発揮し得るのであれば、形状は任意である。また、保持筒支持手段16は、容器本体10の側壁15を膨出させてなる膨出部で構成する以外に、例えば柱状の別部材を側壁15の内面に添設することで構成してもよい。
【0058】
また、保持筒沈下防止手段18は、その基端部が、実施の形態1で説明した保持筒支持手段16と同様、沈漬体17とされている。
【0059】
一方、蓋20の生花保持筒21は、前記の実施の形態のものと同様、蛇腹状に形成されるとともに、上記した保持筒沈下防止手段(膨出部)18に対応する部位及びその周辺適所に、該部位の周辺が保持筒沈下防止手段18よりも下方に垂下するのを防止する垂下防止手段23を有している。この垂下防止手段23は、例えば、生花保持筒21の下端部の一部において、蛇腹を潰すことで構成されている。なお、垂下防止手段23は、そのような構成のものに限らず、例えば、図示はしないが、断面コ字状で全体が円弧状に形成された別部材で構成し、この別部材を、生花保持筒21の垂下防止手段23に対応する位置の下端部に嵌着するようにしてもよい。このように、垂下防止手段23を設けた場合、特に生花保持筒21が蛇腹状に形成されている場合には、保持筒沈下防止手段18が設けられている側壁15を下にして容器本体10を転倒させた状態を長期間継続させた時に、生花Fの重みで、保持筒沈下防止手段18に対応する部位の周辺が保持筒沈下防止手段18よりも下方に垂下しようとするのを効果的に防止しうる。
【0060】
なお、この実施の形態のものにあっては、図示はしないが、保持筒沈下防止手段18が設けられている側壁151が4つの側壁15のうちのいずれであるかを明示するためのマーカーを容器本体10又は/及び蓋20の適所に設けておくと、容器本体10を転倒させる際、保持筒沈下防止手段18が設けられている側壁15を常に床L側にもっていくことができ、転倒時における水の漏出を確実に防止することができる。
【0061】
また、上記したいずれの実施の形態のものにあっても、図示はしないが、容器本体10の、生花保持筒21の下端開口部が臨む底面11に、生花Fの切断端部を保持する、例えば円形の凸壁や凹部などからなる切断端保持部を設けておくとよい。その場合、切断端保持部が生花保持筒21と協働で生花Fの束をしっかりと保持することになるので、起立状態にあっても転倒状態にあっても生花Fの姿勢を常に適正に維持することができる。
【0062】
<実施の形態3>
図9及び図10は、本発明の実施の形態3を示し、図9は、生花輸送用容器1の平面図、図10は、分解状態で示す、図9におけるX−X線に沿う断面図である。
【0063】
この実施の形態3における生花輸送用容器1は、上記実施の形態2のものと、保持筒沈下防止手段18の基端部を大きくして沈漬体17の体積を増加させた点、及び、蓋20の生花保持筒21に平坦部24を設けた点で異なるだけであり、その他は同一であるので、同一構成要素には同一符号を付しその説明を省略するとともに、上記相違点についてのみ、以下説明する。
【0064】
保持筒沈下防止手段18は、その基端部が、実施の形態2のそれよりも大きくなされ、これによって沈漬体17の体積がより大きなものとされている。このため、起立時、水Wの量が少なくても、その液面レベルを高くすることができ、より一層生花Fの水揚げが良好に行われる。
【0065】
一方、生花保持筒21には平坦部24が設けられている。この平坦部24は、転倒時、床面L側にくる位置に設けられる。また平坦部24の下端部においては、蛇腹部分の谷部がすべて閉塞25されており、これによって、転倒時、蛇腹部分の谷部から水Wが生花保持筒21内に流入するのが防止される。また、このように蛇腹部分の谷部がすべて閉塞25されることにより、この閉塞25部分で垂下防止手段23が構成されることにもなる。
【0066】
また、蓋20を容器本体10に装着する際、上記平坦部24が転倒時に床面L側にくる位置、つまり保持筒沈下防止手段18が設けられた位置にくるよう、蓋20には、保持筒沈下防止手段18の上端に対応する位置に凸部26が形成されている。この凸部26は、保持筒沈下防止手段18の上端とのみ嵌合し、他の保持筒支持手段16の上端とは嵌合しないようになされている。これによって、閉蓋する際、蓋20を容器本体10に対して正しい姿勢、すなわち平坦部24が転倒時に床面L側にくる位置とすることができる。なお、この点は、実施の形態2においても同様の構成としており、図5に示す符号26が上記凸部に該当する。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、輸送時や保管時であっても生花に常時保水用の水を供給し続け、輸送時や保管時に生じ易い生花の乾燥や萎れを防止しうることは勿論のこと、転倒させても保水用の水が外部に漏出することがなく、いわゆる横積みの状態で輸送及び保管することができるので、輸送及び保管時の省スペース化をも達成しうる。
また、容器本体の内面適所に、生花挿入時、生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止する保持筒支持手段が設けられているので、起立時にあっては、生花の傾斜が完全に阻止され、また、転倒時にあっては、生花の重みで生花保持筒が撓み、その結果生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没して、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことが防止される。
また、容器本体において、少なくとも、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に、生花保持筒の外面と常時接し、生花挿入時、生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止するとともに、転倒時には生花保持筒が側壁側に沈下するのを防止する保持筒沈下防止手段が設けられている場合は、起立時にあっては、生花の傾斜が完全に阻止され、また、転倒時にあっては、生花の重みで生花保持筒が容器本体の側壁側に沈下し、その結果生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没して、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことが防止される。特に、この保持筒沈下防止手段は、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に設けられているから、当該側壁を下にして容器本体を転倒させた状態を長期間継続させても、生花保持筒が生花の重みで容器本体の側壁側に沈下することがない。この点、前記保持筒支持手段は、生花保持筒との間に隙間がある場合、その隙間分生花保持筒が生花の重みで容器本体の側壁側に沈下するので、容器本体を長期間転倒させたままにする場合にはあまり適さないが、少なくとも、容器本体が転倒した瞬間、生花の重みで生花保持筒が撓んで生花保持筒の下端縁が容器本体内の水中に水没し続け、水が生花保持筒を伝って外部に漏出するといったことは防止される。
【0068】
また、蓋と容器本体とから構成されたものであり、生花保持筒の内径が異なる複数種類の蓋を用意しておけば、生花の束の太さが異なっても、それに左右されることなく容器本体を共通に使用することができる。したがって、前記従来のもの(特に前記第2従来技術)に比べて、取り扱い易く製造コストが嵩まないといった効果を奏する。
【0069】
さらに、沈漬体を容器本体に設けた場合は、保水用の水量を、従来のものに比べて大幅に少なくすることができるため、水量の減少分、輸送重量の軽減を図ることのできる。したがって、大量輸送に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る生花輸送用容器の使用状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る生花輸送用容器の実施の形態1を示す平面図である。
【図3】実施の形態1の容器本体の平面図である。
【図4】実施の形態1に係る生花用輸送用容器を転倒させた状態を示す、図2におけるIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明に係る生花輸送用容器の実施の形態2を示す平面図である。
【図6】実施の形態2の容器本体の平面図である。
【図7】図6におけるVII −VII 線に沿う容器本体の断面図である。
【図8】実施の形態2の生花輸送用容器を転倒させた状態を示す、図5におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】本発明に係る生花輸送用容器の実施の形態3を示す平面図である。
【図10】図9におけるX−X線に沿う分解断面図である。
【図11】従来の生花輸送用容器の一例を示す、使用状態の斜視図である。
【図12】図9に示す従来の生花輸送用容器の断面図ある。
【符号の説明】
1 生花輸送用容器
10 容器本体
11 底面
12 開口部
13 フランジ部
14 蓋係合用リブ
15 側壁
151 床面に臨む側壁
152 水位表示部
16 保持筒支持手段
17 沈漬体
18 保持筒沈下防止手段
19 凹部
20 蓋
21 生花保持筒
22 嵌合リブ
23 垂下防止手段
F 生花
W 水
L 床面

Claims (11)

  1. 生花の輸送時や保管時に生じる生花の乾燥や萎れの防止に必要な量の保水用の水を貯溜する容器本体と、
    この容器本体内に入れられる生花の束を、容器本体の底面に対して起立状態で保持するとともに、転倒時には容器本体から前記水が漏出するのを防止する蓋とを備え、
    前記容器本体は、その上面に開口部が設けられ、
    前記蓋は、容器本体の開口部に対し水密状態に装着可能とされるとともに、容器本体内へ延びる生花保持筒が設けられ、
    転倒時、前記水の全量が、容器本体と生花保持筒との間の空間に滞留可能とされた生花輸送用容器において、
    前記容器本体は、その内面適所に、生花挿入時前記生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止する保持筒支持手段が設けられたことを特徴とする生花輸送用容器。
  2. 生花の輸送時や保管時に生じる生花の乾燥や萎れの防止に必要な量の保水用の水を貯溜する容器本体と、
    この容器本体内に入れられる生花の束を、容器本体の底面に対して起立状態で保持するとともに、転倒時には容器本体から前記水が漏出するのを防止する蓋とを備え、
    前記容器本体は、その上面に開口部が設けられ、
    前記蓋は、容器本体の開口部に対し水密状態に装着可能とされるとともに、容器本体内へ延びる生花保持筒が設けられ、
    転倒時、前記水の全量が、容器本体と生花保持筒との間の空間に滞留可能とされた生花輸送用容器において、
    前記容器本体は、少なくとも、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に、前記生花保持筒の外面と常時接し、生花挿入時生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止するとともに、転倒時には生花保持筒が前記側壁側に沈下するのを防止する保持筒沈下防止手段が設けられたことを特徴とする生花輸送用容器。
  3. 前記容器本体は、少なくとも、転倒時に容器本体外の床面と接する側壁の内面に、前記生花保持筒の外面と常時接し、生花挿入時生花保持筒の姿勢が崩れるのを防止するとともに、転倒時には生花保持筒が前記側壁側に沈下するのを防止する保持筒沈下防止手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の生花輸送用容器。
  4. 前記生花保持筒は、前記保持筒沈下防止手段に対応する部位及びその周辺適所に、該部位の周辺が保持筒沈下防止手段よりも下方に垂下するのを防止する垂下防止手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の生花輸送用容器。
  5. 前記容器本体は、前記生花保持筒の下端開口部が臨む底面に、生花の切断端部を保持する切断端保持部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の生花輸送用容器。
  6. 前記生花保持筒は、裾窄まりに形成され、蓋同士のスタックが可能とされたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の生花輸送用容器。
  7. 前記容器本体は、全体が裾窄まりに形成されるとともに、側壁の外面形状が、側壁の内面形状と略合致する形状とされ、容器本体同士のスタックが可能とされたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の生花輸送用容器。
  8. 前記容器本体は、側壁の少なくとも一部に、外部の床面と安定して接する平滑面を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の生花輸送用容器。
  9. 前記生花保持筒は、その前記平滑面に対応する位置に転倒時に水平となる平坦部が設けられたことを特徴とする請求項8に記載の生花輸送用容器。
  10. 前記容器本体は、底面に、起立時、前記水の液面を上昇させる沈漬体が前記生花と干渉しないよう設けられたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一つに記載の生花輸送用容器。
  11. 前記容器本体は、側壁に、転倒時、前記水の液面を下降させるべく水の流入を許容する凹部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに 記載の生花輸送用容器。
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