JP3753169B2 - 情報記録装置および情報記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録装置および情報記録方法に関し、特に、同一箇所に一度だけ情報を書き込めるライトワンス(WO:Write Once )型や同一箇所に何度も情報を書き直せるリライタブル(RW:Rewritable)型の光ディスクの如き追加記録可能な記録媒体に情報を記録する情報記録装置および情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の情報記録装置において、追加記録可能ディスクに情報データを書き込む場合、書き込むべき情報データに同期化を施しつつその情報データを書き込むための書込用クロック信号を生成する。換言すれば、生成した安定な所定周波数の書込用クロック信号に同期(例えば、いわゆるビット同期)をとりつつ情報データをディスクに書き込むのが通常である。この書込用クロック信号は、一般には、単独で発振出力可能な例えば水晶発振器等の基準クロック発生器から発生される。
【0003】
しかしながら、既に情報データが一部または部分的に書き込まれているディスクに対して、その書込済みの情報データに引き続いて新たな情報データを書き込む追記または追加記録をなす場合、書込済みの情報データに使われた書込用クロック信号と新たな情報データに用いられる書込用クロック信号との間で位相の違いが生ずる可能性がある。
【0004】
この場合、新データ記録後に得られるディスクを読み取って、かかる前後の情報データを連続再生する動作において、当該前後の情報データの結合部近傍では当該ディスクの読取データの同期用クロック信号を再生するのにしばしば困難となることがある。特に、或る1つの情報記録装置により情報データの書き込まれたディスクに対して、他の情報記録装置により追記を行った場合などは、これら情報記録装置が同種のものであったとしても、別個の発生源から各記録時において書込用クロック信号が生成されることとなり、位相のみならず周波数の異なる書込用クロック信号にて先行情報データとその後続情報データとが書き込まれてしまうことを否定できない。
【0005】
読取データの同期用クロック信号の再生には、読取信号を入力とするPLL(Phase Locked Loop)回路が用いられるが、位相や周波数において大差のある書込用クロック信号にて先行及び後続の情報データが記録されたディスクは、かかる先行データと後続データとの結合部近傍においてPLL回路の同期動作を大きく乱すこととなる。その結果、読取データの同期用クロック信号に基づいて読取データの復号処理を行うデコーダは、読取データ中の種々のデータを誤検出してしまうこともある。
【0006】
また、ディスクに書き込まれるデータは、上述したようなビット同期の他に、所定の情報量を担うデータブロック毎に特定の同期信号が配されるフォーマットを採って再生時の当該データブロックについての同期化がなされるようにされているが、このような特定同期信号にしても、書込用クロック信号に基づいてデータに配置される。従って、上述の如くして生ずる位相や周波数において大差のある書込クロック信号により、先行情報データに最後に配された特定同期信号と後続情報データに最初に配された特定同期信号との間隔が、それより前及び後の間隔に対して大きく相違してしまうこととなり、再生時における特定同期信号の検出不能や誤検出を招きかねない。特に、かかる特定同期信号の検出能力の低いプレーヤにおいては深刻な問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、情報再生時において読取データの同期動作を乱すことなく書込済データとこれに後続して追記されたデータとを円滑に連続再生することを可能とする記録媒体への記録形態を採ることのできる情報記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による情報記録装置は、記録媒体の書込済データに後続する新データを追加記録することの可能な情報記録装置であって、前記新データとの同期化をなしつつその新データを前記記録媒体に書き込むための書込用クロック信号を生成する書込用クロック生成手段と、前記記録媒体から前記書込済データを読み取って前記書込済データの同期用クロック信号を再生し再生クロック信号を生成するクロック再生手段と、前記書込用クロック信号の位相を前記再生クロック信号の位相に同期させた後、前記書込用クロック信号を、所定の時定数をもって前記書込用クロック生成手段において固有の周波数に復帰させる調整手段と、を有することを特徴としている。
【0009】
上記情報記録装置は、前記書込済データは所定データブロック毎に同期信号が配されるデータとし、前記書込済データから前記同期信号を検出する同期信号検出手段と、前記同期信号検出手段による前記同期信号の検出タイミングに応答して前記再生クロック信号に基づく計数動作を開始する計数手段と、前記計数手段による計数値に基づいて前記新データの前記記録媒体への書込開始時点を定める制御手段と、をさらに有するように構成可能である。
【0010】
また上記情報記録装置において、前記調整手段は、前記記録媒体における前記新データの追加記録開始位置より前の所定期間における前記書込済データから得られる再生クロック信号の位相に前記書込用クロック信号の位相を同期させるようにすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、追加記録可能な記録媒体の1つとしてのDVD−R(Digital Video Disc-Recordable )に情報を書き込む際の一般的な物理フォーマットについて、図1ないし図3を用いて説明する。
【0012】
DVD−Rに対して行われる誤り訂正処理は、ECC(Error Correction code)ブロックをその誤り単位として行われる。かかるECCブロックは、図1に示されるデータセクタを基にして形成される。DVD−Rに記録される原情報は、図1の如きデータセクタ20を複数個含む物理構造を成して構成される。1つのデータセクタ20は、その先頭から、データセクタ20の開始位置を示すID情報21と、当該ID情報21の誤りを訂正するためのID情報誤り訂正コード(IEC:ID Data Error correction Code)22と、予備データ23と、映像や音声またはコンピュータデータ等の当該ディスクに本来記録すべき主たる情報を担うデータ24と、データ24におけるエラーを検出するためのエラー検出コード(EDC:Error Detection Code)25とが順に配されたブロックデータにより構成される。DVD−Rにおいては、このデータセクタ20が複数連続することにより記録すべき原情報が構成される。
【0013】
このようなデータセクタ20は、図2のようにしてECCブロックの構築に使用される。初めに、図2(A)に示されるように、1つのデータセクタ20を172バイト毎に分割し、分割されたデータ(以下、これをデータブロック33と称する)をそれぞれ垂直方向に並べる。そうすると、垂直方向には12行のデータブロック33が並ぶこととなる。
【0014】
次いで、図2(B)に示されるように、各データブロック33に対してそれぞれ10バイトのECC内符号(PI(Pality In)符号)31を割り当てる。ECC内符号31が、当該データブロック33の末尾に付加されることにより、1つの訂正ブロック34が構成される。この段階では、ECC内符号31を含む訂正ブロック34が垂直方向に12行並べられることとなる。そして、このようなECC内符号31の付加処理は、データセクタ20の16個分繰り返される。これにより、192行の訂正ブロック34が得られる。
【0015】
図2(B)においてはさらに、上述した如き192行の訂正ブロック34が垂直方向に並べられて形成されるブロックデータに対して、今度は垂直方向に1バイト毎に分割し、分割されたデータに対して16個のECC外符号(PO(Pality Out)符号)32を付加する。なお、ECC外符号32は、上記訂正ブロック34のうち、ECC内符号31の部分に対しても付加される。
【0016】
かくして、16個のデータセクタ20を含む1つのECCブロック30が形成される。なお、以上の説明から分かるように、1つのECCブロック30が担う総情報量は、(172+10)バイト×(192+16)行=37856バイトであり、このうち、情報データ24は、2048バイト×16=32768バイトとなる。
【0017】
また、図2(B)においては、ECCブロック30を構成する各1バイトのデータに「D#.*」なる採番を施している。例えば、「D1.0」は第1行第0列に配置されている1バイトのデータを示しており、「D190.170」は第190行第170列に配置されている1バイトのデータを示している。従って、ECC内符号31は、第172列ないし181列に配置され、ECC外符号32は第192行ないし第207行に配置されることとなる。
【0018】
さらに、1つの訂正ブロック34は、DVD−R上には連続して記録されるので、当該ブロック全体のエラーが発生する可能性がある。しかし、図2(B)に示すように、ECCブロック30は、ECC内符号31とECC外符号32との双方を含むように構成されるので、図2(B)において水平方向に並んでいるデータの訂正をECC内符号31で行い、図2(B)において垂直方向に並んでいるデータの訂正をECC外符号32で行うことができる。これにより、図2(B)に示すECCブロック30内においては、水平及び垂直方向における二重の誤り訂正を行うことが可能となり、従来のCD(Compact Disk)等に用いられている誤り訂正処理に比してより強力に誤り訂正ができる。
【0019】
この点につき詳述すると、例えば、1つの訂正ブロック34(上述のように、1行分のECC内符号31を含んで計182バイトのデータを含み、連続してDVD−R上に記録される。)が、全てDVD−Rの外傷等により破壊されたとしても、それを垂直方向から見ると、1列のECC外符号32に対して1バイトのデータ破壊でしかない。従って、各列に対応するECC外符号32を用いて誤り訂正を行えば、たとえ1つの訂正ブロック34の全てが破壊されていても、誤り訂正を行って正確に再生することができるのである。
【0020】
かかるECCブロック30のDVD−Rに対する具体的記録形態は、図3に示される。なお、図3において、「D#.*」にて採番された1バイトデータは、図2(B)において同じく採番されたものと同一である。ECCブロック30は、先ず、図3の最上段に示されるように、訂正ブロック34毎に水平方向に一列に並べられてインターリーブされる。これにより、図3の2段目に示されるように、16個のレコーディングセクタ40に変換される。かかる変換においては、1つのレコーディングセクタ40は、2366バイト(37856バイト÷16)の情報を含むこととなり、この中には、データセクタ20、ECC内符号31又はECC外符号32が混在している。但し、各レコーディングセクタ40の先頭には、データセクタ20におけるID情報21(図1参照)が配置される。
【0021】
この1つのレコーディングセクタ40は、図3の3段目に示されるように、91バイト毎のデータ41に分割され、夫々にヘッダHが付加される。その後、このヘッダ付加状態のレコーディングセクタ40は、8−16変調され、図3の最下段に示されるように、データ41及びそのヘッダ毎にシンクフレーム42に変換される。変換後は、1つのシンクフレーム42は、ヘッダH’とデータ43とにより構成されることとなる。また、1つのシンクフレーム42の情報量は、91バイト×8×(16/8)=1456チャネルビット(但し、シンク情報を含めると1488チャネルビット)となり、このシンクフレーム42が連続した形態でDVD−Rに書き込まれる。このとき、1つのレコーディングセクタ40は、26個のシンクフレーム42を含むこととなる。
【0022】
以上説明した物理フォーマットに従ってDVD−Rに情報を記録することにより、当該情報を再生する際に8−16復調及びデインターリーブを行えば(図3参照)、元のECCブロック30を復元することが出来、上述したような強力な誤り訂正を行って情報を正確に再生することができる。かくして、DVD−Rには、図3の最下段に示されるようなシンクフレーム系列の形態で情報が記録されるが、その記録は、DVD−Rにおいては予め定められたトラックにおいてなされる。
【0023】
図4は、かかる情報の記録箇所を担うトラックを含むDVD−Rの記録層の構造を示している。図4において、DVD−R1は、色素膜5が成膜され上記シンクフレーム系列の情報の書込可能なグルーブトラック2と、グルーブトラック2に隣接しかつグルーブトラック2に読取光または書込(記録)光としてのレーザービームBを誘導させるためのランドトラック3とが形成されている。グルーブトラック2は、レーザービームBの発生源側から見て凹状にして、ランドトラック3は、同発生源側から見て凸状にして、ビームBを反射するための光反射面としての金蒸着面6を担持するよう形成されている。
【0024】
グルーブトラック2は、当該ディスクの平坦面に平行な方向に所定の周波数(例えば当該ディスクの適正回転速度に対応する周波数)で波状にうねる、いわゆるウォブリングが施されている。かかるウォブリングを用いることにより、情報読取時には、当該ディスクの回転制御を行うことが可能である。ランドトラック3には、DVD−R1の記録位置を示すアドレス情報や記録タイミングを制御するためのタイミング制御情報等の記録制御情報を担うプリピット4が形成される。
【0025】
かかるグルーブトラック2及びランドトラック3はもとより、上記ウォブリングやプリピット4は、DVD−R1の作製時に予め形成される。付言すれば、ウォブリングやプリピット4は、初めての情報を書き込む前に既に形成(記録)されている既成記録情報を担うものである。このような構造を有するDVD−R1の情報記録時には、光ビームBの中心がグルーブトラック2の中心と一致するように光ビームBがDVD−R1に照射され、グルーブトラック2に上記シンクフレーム系列に対応するピットが形成される。このとき、光ビームBのスポットSPの大きさは、図4に示されるように、当該スポットの一部がランドトラック3にも照射されるように設定される。また、このランドトラック3に照射された光スポットSPの一部の反射光を用いてプッシュプル法によりプリピット4が検出されそのプリピットが示す当該ディスク固有の既成記録情報が取得される。さらに、グルーブトラック2に照射されている光スポットSPの反射光を用いてグルーブトラック2のウォブリングに応じたウォブル信号を検出し、このウォブル信号に基づいたDVD−R1の回転制御が行われる。
【0026】
グルーブトラック2とこれに書き込まれるシンクフレーム系列のデータ並びにランドトラック3に形成されるプリピット(以下、LPP(Land Pre Pit)と称する)4は、図5の如き対応関係とされる。図5に示されるように、グルーブトラック2には、その中心線に沿って記録情報であるシンクフレーム系列のデータが記録される。かかる記録に際しては、グルーブトラック2が呈する8つのウォブリング周期につき1つのシンクフレームが記録されるよう制御される。ウォブリング周波数は、全てのシンクフレームに亘り140kHz(適正読取レート換算値)一定とされる。
【0027】
シンクフレームの先頭には、先の図3において説明したように、ヘッダH′が配されており、そのヘッダには同期信号SYが先端に割り当てられている。この同期信号SYは、シンクフレームの同期をとるために設けられており、14Tの長さの同一波形シンボルを有する。ここで、Tは、図3の3段目に示されるような8−16変調前のデータ系列におけるビット間隔に相当する。シンクフレームは、1488Tの長さを有する。
【0028】
一方、LPP4は、図5に上向き矢印に対応する位置に形成される。すなわち、図5においてはグルーブトラック2のウォブリングによって呈される波の山及び谷の一方に対応する位置であってしかもシンクフレームにおける先頭から数えて3つの当該位置に隣接するランドトラック2において形成されうるようにしている。但し、1つのレコーディングセクタ(図3参照)においては偶数番目のシンクフレーム(EVENフレーム)にのみ又は奇数番目のシンクフレーム(ODDフレーム)にのみLPP4が形成されるようにしている。図5においてはEVENフレームのみLPP4が形成された場合を示しており、上向きの点線矢印に対応する位置にはLPP4が形成されない。シンクフレームの先頭に最も近くに配されるLPP4は、同期用に設けられるもので、定められた偶数または奇数番目のフレームに対応して必ず配されるようにしている。かかる同期用LPP4は、DVD−Rの記録面上のアドレス情報を担うものであり、レコーディングセクタ単位でそのアドレス情報が識別される。
【0029】
なお、この図5からも分かるように、LPP4の形成位置は、グルーブトラック2に書き込まれるシンクフレームデータ中の同期信号SYの記録位置にほぼ対応づけられる。本実施例による情報記録装置は、以上のような形態で既成記録情報が形成されかつシンクフレーム系列データが書き込まれるDVD−Rを扱うことのできるものであり、以下、その詳細について説明する。
【0030】
図6は、かかる情報記録装置の概略的構成を示している。図6において、DVD−R1(以下、単にディスクと呼ぶ)は、スピンドルモータ50により回転されつつ読取光レベル及び書込光レベルの双方にてレーザ光を出力可能な光ヘッドとしてのピックアップ60によりそのレーザ光が照射される。ディスクに入射したこのレーザ光は、当該ディスクの反射面(図4参照)に達するとともに記録情報に応じた状態の反射光となってピックアップ60に導かれる。
【0031】
ピックアップ60は、受光素子を含む光電変換回路を内蔵しており、ディスクからの反射光を受光しかつその受光レベル及び状態に応じた光電変換をなす。その光電変換出力は、読取信号として再生増幅器61に供給される。再生増幅器61は、供給された読取信号を増幅し、増幅された読取信号を帯域通過フィルタ(BPF)62を介してウォブル検出回路63及びLPP(プリピット)検出回路64に供給する。
【0032】
ウォブル検出回路63は、読取信号から上記ウォブル信号を検出または抽出し、これをクロストーク除去回路65の一入力に供給する。LPP検出回路64は、読取信号から上記プリピット4を検出しその検出結果に応じたプリピット信号を生成する。プリピット信号は、クロストーク除去回路65の他入力に供給されるとともに、プリピット(LPP)デコーダ66に供給される。
【0033】
クロストーク除去回路65は、ウォブル信号に含まれるクロストークに起因したジッタ成分をプリピット信号に基づいて除去する機能を有し、除去後のウォブル信号を、ウォブル同期クロック生成用PLL回路70に供給する。得られるウォブル信号は、時間軸上、スピンドルサーボ等の時間軸サーボでは取りきれない残留エラーに基づくプリピット信号の検出精度に依存した精度を持つこととなる。別言すれば、得られるウォブル信号は、残留エラーによるプリピット信号の誤差(±5T程度)を含むということである。
【0034】
PLL回路70は、クロストーク除去されたウォブル信号を一入力としてこれを他入力信号と位相比較し両者の位相差に応じた誤差信号を出力する位相比較器71と、誤差信号の低周波成分を通過せしめる低域通過フィルタ(LPF)72と、このフィルタ出力に応じて発振周波数を変化させるVCO73と、VCO73の発振出力クロック信号を分周してウォブル信号と同等の周波数の信号を生成し位相比較器71の他入力に供給する分周器74とによって構成される。VCO73の出力クロック信号は、書込用クロックの基となるものであり、PLL回路70の出力すなわちウォブル信号に位相同期した原書込用クロック信号WCK0として位相合わせ回路80に供給される。PLL回路70は、書込用クロック生成手段に対応する。
【0035】
再生増幅器61からの増幅された読取信号はまた、主データデコーダ67,ビットクロック再生回路68及びシンク検出回路69に供給される。主データデコーダ67は、読取信号に対して、8−16復調やデインターリーブのデータ処理を含みかつECCブロックから誤り訂正処理を行いつつデータ24を復元する処理を施し(図1ないし図3参照)、復元されたデータは、CPU9に転送される。CPU9は、この転送された復元データを、実際の音響出力や映像出力またはデータ出力をなすための図示せぬ再生データ処理系に送る。これに対しLPPデコーダ66は、検出されたプリピット信号から、ディスクの記録面における記録位置を示すアドレス情報やシンクフレーム同期情報を検知し、これらをCPU9に送る。CPU9は、このプリピット信号に基づくアドレス及びシンクフレーム同期情報を使って、種々の処理を行う。
【0036】
クロック再生回路68は、読取信号が担うデータのビット同期用クロック(周期Tを有する)を再生するものであり、その出力は、再生クロックRCKとしてCPU9及び位相合わせ回路80に供給される。シンク検出回路69は、読取信号に含まれる特定同期信号としての同期信号SY(図5参照)を検出する。シンク検出回路69は、同期信号SYの検出に応答した例えばパルス状のシンク検出信号SY′を発生する。かかるシンク検出信号は、CPU9及び位相合わせ回路80に供給される。
【0037】
位相合わせ回路80は、PLL回路70からのウォブル信号に位相同期した原書込用クロック信号WCK0 の位相をシフト可能な移相器81と、移相器81の出力信号を一入力とし上記クロック再生回路68からの再生クロック信号RCKを他入力として両者の位相差に応じた誤差信号を出力する位相比較器82と、誤差信号の低域成分を通過せしめる低域通過フィルタ(LPF)83と、サンプルホールドタイミング信号に応答してLPF83の出力信号の値をサンプルしホールドするサンプルホールド(S/H)回路84と、サンプルホールド回路84の出力信号の値とオフセット値とを加算する加算器85と、加算器85に所定のオフセット値を供給するオフセット値発生回路86と、加算器85の加算出力を一方の入力とし移相器81の定常時における移相量に対応する基準信号V0 を他方の入力としこれら2つの入力のうちのいずれか一方をCPU9からのループ制御信号に応じて選択的に移相器81へ出力するループスイッチ87と、クロック再生回路68の出力再生クロック信号,シンク検出回路69の出力シンク検出信号及びCPU9からの制御信号に基づいてS/H回路84へのサンプルホールド(S/H)タイミング信号を発生するS/Hタイミング生成回路88とによって構成される。位相合わせ回路80は、位相調整手段を担う。
【0038】
この位相合わせ回路80においては、加算器85の出力を選択するようループスイッチ87に対してCPU9がループ制御信号を発生した場合(ループ閉成時)、基本的に、移相後の書込用クロック信号WCKと再生クロック信号RCKとの位相誤差が位相比較器82によって得られ、この位相誤差のサンプル値がサンプルホールド回路84によって得られる。そして加算器85は、そのサンプル値とオフセット値との加算値に応じたフィードバック信号をスイッチ87を介して移相器81に供給する。ここで移相器81に供給されるフィードバック信号は、位相誤差に応じた移相量、より詳しくは当該位相誤差の値とオフセット値の加算値をゼロに収束させるような移相量(どの程度移相させるべきかを示す値)を移相器81に設定することとなる。
【0039】
したがって、これら移相器81、位相比較器82、LPF83、S/Hサンプルホールド回路84、加算器85及びオフセット値発生回路86、ループスイッチ87によって形成されるループのフィードバック制御によって、書込用クロック信号WCKは、当該ループ閉成時点から次第に、クロック再生回路68からの再生クロック信号RCKの位相にオフセット分を加味した位相へと合致せしめられていくこととなる。このように位相合わせされた書込用クロック信号WCKは、移相器81から導出され、情報記録系の1つを担うエンコーダ91における符号変換用のビットクロックとして供給される。ここで採用されるオフセットは、書込ビームをディスクに照射してから実際に記録マークが形成されるまでの時間に対応した値とすることが好ましい。このようにすることによって、ディスクの記録特性に適合したデータの書込ができる。
【0040】
また、基準信号V0 を選択するようループスイッチ87に対してCPU9がループ制御信号を発生した場合(ループ開放時)は、当該基準信号V0 に対応する移相量が移相器81に設定され、移相器81は、この設定された移相量にて原書込用クロック信号WCK0 の位相をシフトさせて書込用クロック信号WCKを生成する。従ってループ開放時には、再生クロックに依存せず基準信号V0 によって定まる位相調整の施された書込用クロックWCKが発生することとなる。
【0041】
S/Hタイミング生成回路88の詳細については後述する。エンコーダ91は、CPU9から転送された、ディスクへ書き込むべきデータの終段符号化を行う。ここでは先の図3に参照されるような8−16変調をなすための符号変換がなされる。CPU9は、書き込むべきデータの原信号を図示せぬ書込データ供給系から受信し、当該原信号に対し8−16変調処理以外のデータ処理すなわち、上述したECC内符号31やECC外符号32を付加してECCブロック30を構成するとともに当該ECCブロック30に対してインターリーブを施す処理を行ってエンコーダ91に転送すべきデータを生成する。かかるデータの転送には、内蔵メモリ9mが使用される。転送データは、一旦このメモリ9mに記憶され、CPU9が判断した所定のタイミングで順次読み出される。エンコーダ91により最終的に符号化されたデータは、パワー制御回路92に送られる。
【0042】
パワー制御回路92は、書込モードにおいて、エンコーダ91から送られた符号化データに応じたレーザーパワーを指定するための制御信号を発生し、レーザー駆動回路93は、この制御信号に応じた実際のピックアップ光源レーザに即したレベルの駆動信号を発する。これにより、ピックアップ60がディスクに照射する記録(書込)用レーザ光の強度は、符号化データに対応して変化せしめられることとなる。これに対し読取モードにおいては、パワー制御回路92は、エンコーダ91から送られた符号化データには応じず、読取用の低レベルかつ略一定なレーザーパワーを指定するための制御信号を発生し、レーザー駆動回路93は、この制御信号に応じた実際のピックアップ光源レーザに即したレベルの駆動信号を発する。これにより、ディスクは、ピックアップ60の照射する一定な低レベルの読取用レーザ光によって読み取られることとなる。
【0043】
ウォブル検出回路63の出力ウォブル信号はまた、既述したように、ディスクの回転制御にも使用される。具体的には、図示せぬ局部発振器より供給された基準クロック信号を一方の入力とする位相比較器51の他方の入力に、ウォブル信号が供給される。位相比較器51は、2つの入力の周波数誤差及び位相誤差を得、これに応じたスピンドル制御信号をドライバー回路52に供給し、ドライバー回路52は、スピンドル制御信号に応じたモータ50の駆動信号を発生する。これにより、読取信号から検出されるウォブル信号の周波数が基準クロック信号の周波数に一致するようにモータ50の回転制御がなされることとなる。
【0044】
次に、この情報記録装置の動作について説明する。図7は、図6に示される情報記録装置の、ディスクに既に書き込まれている一連の書込済データ(以下、旧データと言う)に対しこれに改めてデータ(以下、新データと言う)を後続させ追加して書き込む追加記録モードにおける各部動作波形及び動作形態を示すタイムチャートである。
【0045】
本実施例においては、図7の(A)段に示されるように、旧データの書き込み終了時に、当該旧データの最終ECCブロック30Eの次に配されるべきECCブロック30Tの先頭レコーディングセクタ40Tにおける第1シンクフレーム42Fの全データ部及び第2シンクフレーム42Sのデータ部の86バイト分に対応するダミーデータ(以下、旧ダミーデータと言う)44を、シンク情報SY及び対応するID情報21とともに当該旧データに続けて記録する。
【0046】
このような形態でなされた旧データ書込済のディスクに対して、図示せぬ指令手段から追加記録開始指令が発せられると、CPU9は、図8及び図9に示されるような追加記録処理を実行する。すなわち、CPU9は、追加記録開始指令に応答して先ず、読取モードを開始させる(ステップS1)。この処理においては、CPU9は、エンコーダ91からの入力データに応ずることなくピックアップ60のディスク1への照射光の強度が当該記録面の書込作用を生じさせない程度の比較的低い一定の読取光レベルとなるようにパワー制御回路92を制御する。
【0047】
次いでCPU9は、旧データのうち、最後の旧データが記録されているレコーディングセクタ40Eの先頭側ID情報21を検索するため、当該ID情報21に対応する番地であるN番地をサーチする(ステップS2)。この処理は、デコーダ67の出力信号に基づいて実行される。なお、ここでは、旧データのうち、最後のECCブロック30Eにおける最後のレコーディングセクタ40Eのデータの先頭側に配されたID情報21が示す番地がN番地であるとし、それに引き続いて旧ダミーデータ44が記録されているレコーディングセクタ40Tの先頭側に配されたID情報21が示す番地が(N+1)番地であるとしている。
【0048】
N番地に対応するID情報21が検出されると(図7の時刻t1 参照)、当該N番地に対応するID情報21に引き続いてレコーディングセクタ40Eに記録されているデータ及びその後続レコーディングセクタ40Tのデータの読み取りを開始する(ステップS3)。そして、CPU9は、(N+1)番地に対応するID情報21が検出されたか否かを、読取データの復調出力すなわちデコーダ67の出力信号に基づいて判定する(ステップS4)。ステップS4において(N+1)番地に対応するID情報21が検出されない場合は、それが検出されるまでデータの読み取りを継続する。
【0049】
ステップS4において(N+1)番地に対応するID情報21が検出された場合(図7の時刻t2 参照)、CPU9は、今度は検索目標を当該(N+1)番地のID情報21に対応するレコーディングセクタ40Tにおける第2シンクフレーム42Sとして、さらに進行して得られる読取データに基づいて検索を行う(ステップS5)。より詳しくは、CPU9は、(N+1)番地のID情報21検出後における当該第2シンクフレーム42S先頭の同期信号SYの検出信号SY′をシンク検出回路69より受信し、その受信タイミングをもって当該第2シンクフレーム42Sの到来を検知するのである。
【0050】
こうして第2シンクフレーム42Sが検知されると(図7の時刻t3 参照)、CPU9は、S/H回路84にS/Hタイミング信号が供給されることを許可するための許可指令信号をS/Hタイミング生成回路88に発する(ステップS6)。CPU9はまた、当該第2シンクフレーム42Sの検知に応答してクロック再生回路68からの再生クロックのカウントを開始する(ステップS7)。
【0051】
S/Hタイミング生成回路88は、例えば図10の如く構成される。図10において、S/Hタイミング生成回路88は、上記許可指令信号及びシンク検出回路69からのシンク検出信号SY′を入力とするAND回路8Gと、AND回路8Gの出力信号をセット入力とするSRフリップフロップ8F1と、SRフリップフロップ8F1のQ出力信号を反転リセット入力及びイネーブル入力とするとともにクロック再生回路68からの再生クロックをトリガー入力とするカウンタ8Cと、カウンタ8Cのカウント値と所定の第1カウント値との一致判定を行う第1の比較器8CM1と、カウンタ8Cのカウント値と所定の第2カウント値との一致判定を行いその一致判定出力を上記フリップフロップ8F1のリセット入力へ供給する第2の比較器8CM2と、この第1の比較器8CM1の一致判定出力をセット入力とし第2の比較器8CM2の一致判定出力をリセット入力とするSRフリップフロップ8F2とによって構成される。SRフリップフロップ8F2のQ出力からは、S/H回路84へのS/Hタイミング信号が発生される。
【0052】
この構成において、AND回路8Gは、許可指令信号及びシンク検出信号SY′の双方が有意となったときに高レベル信号を発生し、これに応答してフリップフロップ8F1がセット状態とされる。これによりカウンタ8Cは、リセットが解除されかつ再生クロックのカウント可能状態とされる。従ってカウンタ8Cは、許可指令信号及びシンク検出信号SY′の双方が有意となったのに応答してカウント動作を開始することとなる。比較器8CM1は、カウンタ8Cのカウント出力が第1カウント値N1に達したことを検知し、フリップフロップ8F2をセット状態にする。その後カウンタ8Cのカウントがさらに進むと、比較器8CM2は当該カウント出力が第2カウント値N2に達したことを検知し、フリップフロップ8F2をリセット状態にする。これにより、フリップフロップ8F2は、S/Hタイミング信号を、第1カウント値N1において立ち上げ第2カウント値N2において立ち下げることとなる。
【0053】
よってSRフリップフロップ8F2のQ出力からは、図7の(F)段に示されるような波形のS/Hタイミング信号が発生される。なお、図7に示されるように、上記第1カウント値N1は、第2シンクフレーム42Sにおける旧ダミーデータの例えば40バイト分に相当する値とされ、上記第2カウント値N2は、第2シンクフレーム42Sにおける旧ダミーデータの86バイト分に相当する値とされ、両カウント値の差は1シンクフレームの概ね半分程度に相当する46バイト分に設定される。換言すれば、カウンタ8Cが第1カウント値N1に達するタイミングは、第2シンクフレーム42Sにおける旧ダミーデータの40バイト分の読取が完了した時点に対応し、カウンタ8Cが第2カウント値N2に達するタイミングは、第2シンクフレーム42Sにおける旧ダミーデータの86バイト分の読取が完了した時点に対応し、S/Hタイミング信号の高レベル持続期間が46バイト分に相当する。但し、第1及び第2カウント値N1,N2及びそれらの差は、上述した値に限らずそれぞれ適当な別の値に変更しても良い。変更自在な態様としては、図10に示されるように、これら所定のカウント値を適宜変更可能にして格納できるメモリ8V1及び8V2を使用することができる。
【0054】
一方、CPU9も、計数手段として第2シンクフレーム42Sの検知に応答してクロック再生回路68からの再生クロックのカウントを開始しており、当該カウント開始からのカウント値が上記第1カウント値N1に達したか否かが判別される(ステップS8)。第1カウント値N1に達していれば、CPU9は、図7の(E)段に示されるように、ループ制御信号を立ち上げ、スイッチ87をして位相合わせ回路80のサーボループを閉成せしめる(ステップS9)。このループ閉成タイミングは、S/Hタイミング信号の立ち上がりエッジのタイミングに相当することとなる。
【0055】
その後、CPU9は、さらにそのカウント動作を継続して当該カウント値が上記第2カウント値N2に達したか否かを判別する(ステップS10)。ここで第2カウント値N2をカウントしたことが判別されると(図7の時刻t4 参照)、CPU9は、制御手段として、書込モードを開始させる(ステップS11)。この処理においては、CPU9は、エンコーダ91からの入力データに応じて、ディスク記録面に書込作用を生じ得る書込光レベルとそうでない読取光レベルとの間でピックアップ60のディスク1への照射光の強度を変化させるような記録モードにパワー制御回路92を制御する。
【0056】
これにより、エンコーダ91の出力データのうち、図7の(H)段に実線で示されるような当該第2シンクフレーム42Sの87バイト目以降のデータがパワー制御回路92に取り込まれディスク1に記録されることとなる。図7(H)段に点線で示されるエンコーダ91の出力データは、パワー制御回路92に転送されるものの読取モードが設定されているが故に、パワー制御回路92の出力に反映されていないことを示している。なお、データを書き込まないときでもピックアップ60の照射光を再生パワーに設定し続けるのは、ディスク上の情報記録トラック(グルーブトラック)をトラッキングするためトラッキングサーボ制御用の反射光が必要であるからである。
【0057】
かくして新データの書き込みが開始された後は、CPU9は、エンコーダ91に転送すべき本来の新データが終了したか否かを判定する(ステップS12)。終了していない場合にはそのまま新データの記録を継続し、終了した場合には、記録終了時の最終処理として、当該データの最終ECCブロック30の次に配されるべきECCブロック30の先頭レコーディングセクタ40における第1シンクフレームの全データ部及び第2シンクフレームのデータ部の86バイト分に対応するダミーデータ44を、シンク情報SY及び対応するID情報21とともに当該データに続けて記憶する(ステップS13)。この態様は、先述した旧データの記録終了時における処理と同様である。
【0058】
ステップS13により記録終了時の付加的記録を含め全ての新データに関わる書込が終了すると、CPU9は、エンコーダ91からの入力データに応ずることなくピックアップ60のディスク1への照射光の強度が一定の読取光レベルとなるようにパワー制御回路92を制御して読取モードに切り換える(ステップS14)。こうして、新データの追加記録処理が終了する。
【0059】
上述したように、新データの書込直前においては、ループ制御信号が立ち上げられかつS/Hタイミング信号が発生される。S/H回路84は、S/Hタイミング信号が高レベルにある間、サンプリングすなわちLPF83からの誤差信号を取り込んで加算器85に伝送するよう動作する。このときCPU9は、ループ制御信号を立ち上げて加算器85の出力を移相器81に中継するようスイッチ87を制御しており、S/Hタイミング信号の高レベル期間に亘って当該誤差信号に応じた移相量が移相器81に指定される。
【0060】
したがってS/Hタイミング信号が高レベルにある間、位相合わせ回路80のフィードバック制御が実行され、図7の(G)段に示されるように当該フィードバックループにおけるLPF83の出力エラーレベルが小さくなる方向に変化し、当該ループは、いわゆる位相引込をなすこととなる。かかる位相引込が進むと、当該ループはロックレンジに移行して、オフセット値にて定まる目標値近傍に誤差信号が収められる位相ロック状態を保つこととなる。かくして書込用クロックWCKは、この新データの書込直前におけるS/Hタイミング信号の高レベル期間において再生クロックRCKの位相にオフセットを加味した目標位相に合わされる。
【0061】
S/H回路84は、S/Hタイミング信号の立ち下がりに応答してその直前にサンプルした誤差信号の値を保持し以降これを加算器85へ出力することとなる。従って移相器81には、かかる保持値とオフセット値との加算値に対応する移相量が、S/Hタイミング信号の高レベル期間経過後も継続して指定されることとなり、書込用クロックWCKは、S/Hタイミング信号の高レベル期間経過後においてその継続される移相量にて位相調整されることとなる。
【0062】
なお、図7の(C)段及び(D)段においては、書込用クロックWCKと再生クロックRCKの位相態様を概略的かつ模式的に示しており、書込用クロックWCKに付された斜線部は、位相合わせされることなく基準値V0 に対応する移相量にてその位相が定まることを、書込用クロックWCKに付されたクロスハッチ部は、再生クロックRCKの位相に合わせ込まれていることを、書込用クロックWCKに付された縦線部は、再生クロックRCKの位相にほぼ合致した状態が維持されていることを、それぞれ示している。
【0063】
こうした位相合わせ回路80の動作によれば、新データの書込よりも所定期間だけ前の読取から書込用クロックWCKの位相が書込済データによる再生クロックRCKの位相に整合するように調整されるので、書込済データのビットクロックの位相の連続性を保ったままのビットクロックにて新データをディスクに書き込むことができる。よってこのように書き込まれたディスクにおいては、ビットクロックの再生やシンク検出において支障を来すことなく当該書込済データと新データとを円滑に連続再生することができる。
【0064】
次に、本発明による他の実施例について説明する。図11は、本発明の第2実施例による情報記録装置の概略構成を示しており、図6に示されるものと同等の部分には同一の符号が付されている。図11における情報記録装置は、基本的に、図6の構成から移相器81,オフセット発生回路86及びS/H回路84を除いて構成されている。それ故、PLL回路70´は、LPF72とVCO73との間に加算器7Aが接続され、LPF72の出力信号を一方の入力とし加算出力信号をVCO73に供給する構成の改変が施されている。
【0065】
さらに、改変された位相合わせ回路80´においては、VCO73の出力信号が直接、位相比較器82の入力に供給されるとともに、書込用クロック信号WCKとして導出されている。位相合わせ回路80´においてはまた、LPF83の出力信号が増幅器85´を介してループスイッチ87の一入力とされ、ループスイッチ87の出力信号は、LPF8fを介してPLL回路70´における加算器7Aの他入力へ供給される。そして、ループスイッチ87に供給されるループ制御信号は、先述したS/Hタイミング生成回路88と同等の構成及び信号発生原理を有するタイミング生成回路88´によって発生される。
【0066】
位相合わせ回路80´において、位相比較器82は、PLL回路70´におけるVCO73の出力信号(書込用クロックWCK)とクロック再生回路68からの再生クロック信号RCKとを位相比較し、両者の位相誤差に応じた信号をLPF83及び増幅器85´を介してループスイッチ87に供給する。ループスイッチ87は、増幅器85´の出力増幅誤差信号及び基準信号V0 のいずれかを選択的にLPF8fへ出力する。LPF8fを経た信号はPLL回路70´におけるVCO73の入力制御信号に加えられる。
【0067】
このような構成において、増幅器85´の出力を選択するようループスイッチ87に対してCPU9がループ制御信号を発生した場合(ループ閉成時)、書込用クロック信号WCKと再生クロック信号RCKとの位相誤差が位相比較器82によって得られ、この位相誤差に応じたフィードバック信号がスイッチ87,LPF8f及び加算器7Aを介してVCO73に供給される。ここでVCO73に供給されるフィードバック信号は、位相誤差に応じた移相量、より詳しくは当該位相誤差をゼロに収束させるような移相量(瞬時周波数)をVCO73に設定することとなる。
【0068】
したがって、これら位相比較器82、LPF83、増幅器85´,ループスイッチ87,LPF8f及び加算器7Aによって形成されるループのフィードバック制御によって、書込用クロック信号WCKは、当該ループ閉成時点から次第に、クロック再生回路68からの再生クロック信号RCKの位相へと合致せしめられていくこととなる。
【0069】
また、基準信号V0 を選択するようループスイッチ87に対してCPU9がループ制御信号を発生した場合(ループ開放時)は、当該基準信号V0 に対応する移相量(瞬時周波数)がVCO73に設定され、VCO73は、この設定された移相量にて書込用クロック信号WCKの位相をシフトさせる(つまり瞬時周波数を変化させる)。従ってループ開放時には、再生クロックに依存しない基準信号V0 によって定まる位相調整の施された書込用クロックWCKが発生することとなる。
【0070】
但し、注記すべきは、LPF8fの作用である。このLPF8fは、ループスイッチ87が増幅器85´の出力信号から基準信号V0 に選択を切り換えたときに、フィードバック信号を増幅器85´の出力信号の値から基準信号V0 の値へと緩やかに変移させてVCO73に供給する作用を奏する。これにより、当該ループの位相ロック状態後におけるループ開放後において、そのロックされた位相から基準信号V0 に対応する位相へと書込用クロック信号WCKの位相を徐々に変化させていき、暫くした後に初めて基準信号V0 に対応する位相(周波数)に復帰させるようにしているのである。
【0071】
この情報記録装置の動作は、図12に示される。図12においては、(F)段に示されるように、ループ制御信号が上記第1カウント値N1のタイミングで立ち上がって当該位相合わせループを閉じるとともに、上記第2カウント値N2のタイミングで立ち下がって当該位相合わせループを開く。
【0072】
したがってループ制御信号が高レベルにある間、位相合わせ回路80′のフィードバック制御が実行され、図12の(G)段に示されるように当該フィードバックループにおけるLPF83の出力エラーレベルが小さくなる方向に変化し、当該ループは、いわゆる位相引込をなすこととなる。かかる位相引込が進むと、当該ループはロックレンジに移行して、目標値近傍に誤差信号が収められる位相ロック状態を保つこととなる。かくして書込用クロックWCKは、この新データの書込直前におけるループ制御信号の高レベル期間において再生クロックRCKの位相に合わせられる。
【0073】
ループ制御信号が立ち下がると、位相合わせループは開放され基準信号V0 がLPF8fを介して加算器7Aに供給される。ここでLPF8fは、所定の時定数を有するものであり、基準信号V0 が供給されても直ちにこれをそのまま加算器7Aに伝送せず、指数関数的にその基準信号V0 が示す値に近づくような信号を加算器7A伝送することとなる。
【0074】
かくして当該ループの閉成後のLPF83の出力は、図12(G)段に※1にて示されるような緩慢な変化を呈して基準信号V0 に対応するレベルへと到達することとなる。これにより、追加記録開始から暫くした後は、書込用クロック信号WCKは、書込用クロック生成手段たるPLL回路70′に固有の周波数及び位相(すなわち基準信号V0 にて定まる中心周波数)に復帰せしめられるので、新データの旧データに対するつなぎ目近傍の箇所でのみ再生クロックRCKと同期されることとなる。
【0075】
なお、図12の(C)段及び(D)段においても、書込用クロックWCKと再生クロックRCKの位相態様を概略的かつ模式的に示しており、書込用クロックWCKに付された斜線部は、位相合わせされることなく基準値V0 に対応する移相量にてその位相が定まることを、書込用クロックWCKに付されたクロスハッチ部は、再生クロックRCKの位相に合わせ込まれていることを、それぞれ示している。但し、書込用クロックWCKにおける時刻t4 以降の暫くの間は、かかるクロスハッチがだんだんと薄れて元の斜線に似通っていくが如く描かれており、再生クロックRCKの位相から書込用クロックWCKの位相へと移りゆく態様が示されている。
【0076】
こうした位相合わせ回路80′の動作によっても、新データの書込よりも所定期間だけ前の読取から書込用クロックWCKの位相が書込済データによる再生クロックRCKの位相に整合するように調整されるので、書込済データのビットクロックの位相の連続性を保ったままのビットクロックにて新データをディスクに書き込むことができ、情報再生時において読取データの同期動作を乱すことなく当該書込済データと新データとを円滑に連続再生することができる。しかも、この第2実施例においては、比較的に簡単な構成とすることができるので、コスト面等で有利である。
【0077】
なお、以上の動作をなすためのCPU9の処理は、図13及び図14に示される。これによれば、CPU9は、ステップS5によって第2シンクフレームが検出されると、その後のステップS6´においてタイミング生成回路88´にループ制御信号の発生を許可してステップS7へと移行することが分かる。また、ステップS7の後は、図8及び図9におけるステップS8及びS9を省いてステップS10による第2カウント値の判別処理を行うようにしていることが分かる。
【0078】
次に、本発明によるさらに他の実施例を説明する。図15は、第3実施例による情報記録装置の概略構成を示しており、図6と同等の部分には同一の符号が付されている。図15においては、図6に示される構成に対して情報記録系が改善されている。すなわち、エンコーダ91Aは、その符号化出力として反転出力と非反転出力との2つを備える。この2つの符号化出力は、それぞれスイッチ回路91Sに供給される。スイッチ回路91Sは、一方及び他方の符号化出力のうちいずれか1つを選択的にパワー制御回路92に供給する。
【0079】
バッファ回路91Bは、再生増幅器61からの読取信号を取り込んで所定の遅延時間(例えば最小ピット長Tmin に等しい例えば3T相当分)をもって比較回路91Cに供給する。比較回路91Cは、CPU9から供給される比較判定トリガー信号に応答してバッファ回路91Bの出力の値とエンコーダ91Aの非反転出力の値とを比較し、両者が一致していた場合はエンコーダ91Aの反転出力を選択するようスイッチ回路91Sに制御信号を供給する。
【0080】
このような構成によれば、追加記録する際に書込済データの末尾と新データの先頭とが結合されて不具合の生じるデータパターンとなることを回避することができる。このような第3実施例特有の作用効果は、図16を参照して詳説することができる。
【0081】
図16において、(A)段に示される書込済データは、(B)段に示されるように、バッファ回路91Bによって3T相当分遅延される。エンコーダ91Aの非反転出力データは、(C)段に示されるように、これまでの説明と同様に時刻t4 においてパワー制御回路92に取り込まれ始める。時刻t4 を過ぎると、書込済データは途切れてしまうが、比較回路91Cには、(D)段に示されるように時刻t4 にて立ち上がり当該3T相当のパルス幅を呈する比較判定トリガーがCPU9より供給され、かつ3T相当分遅延されたバッファ出力の書込済データが入力されるので、この入力データとエンコーダ91Aの非反転出力データとが値比較されることとなる。すなわち、書込済データの末尾3T分と新データたるエンコーダ91Aの非反転出力データの先頭3T分とが比較される。
【0082】
比較回路91Cは、当該データの値が一致していることを判定すると、スイッチ回路91Sをしてエンコーダ91Aの反転出力データをパワー制御回路92に転送せしめ以降この反転出力による記録形態を継続する。図16の(E)段に示される追加記録後のデータは、この場合の態様を表している。逆に、当該データの値が一致していないことを判定すると、そのままスイッチ回路91Sをしてエンコーダ91Aの非反転出力データをパワー制御回路92に転送する状態を持続する。
【0083】
これにより、書込済データの末尾とこれに結合される新データの先頭とが同一の値となることを防ぐことができる。例えば、書込済データの末尾が7Tに亘って論理値0が続いていた場合に新データの先頭も7Tに亘って同じく論理値0が続いていたとすると、単純に両データを結合した場合は、14Tに亘って論理値0が続くデータパターンとなってしまう。この14Tに亘って論理値0が続くパターンは、本実施例においては同期信号SYにだけ与えられるパターンと一致する。つまり、かかるデータ結合部において偶発的に同期信号SYと同じデータパターンが形成されたことになり、後の情報再生時においてシンク検出回路の誤検出の要因となってしまう。
【0084】
これに対して本実施例においては、このような場合に新データを強制的に反転せしめるので、偶発的な同期信号SYのパターン形成を防ぎ、もって当該同期信号の誤検出を回避することができる。なお、この第3実施例においては書込済データの末尾とこれに結合される新データの先頭とが同じであった場合、新データの論理値を反転させるようにしているが、かかる反転処理と同様に実質的にデータの内容を変えないような値の変更をなすようにしても良い。
【0085】
なお、これまでの説明においては、追加記録される先頭レコーディングセクタ40Tの各シンクフレームには新データが格納される如く説明したが、特開平9−270171号公報に記載されているように、新データに代えてダミーデータを格納するようにしても良い。また、上記実施例においては、記録媒体としてDVD−Rについて主に説明したが、他の追加記録可能な記録媒体に対して本発明は適用可能である。
【0086】
さらに、特定同期信号としてシンクフレーム同期信号SYを例に挙げたが、シンクフレームとは異なる情報量の所定データブロック毎に配される他の同期信号を特定同期信号として本発明を実現することも可能である。また、旧データの記録末端部に図7に示されるような旧ダミーデータを後続させて記録したディスクに対して追加記録をなす態様につき説明したが、かかる旧ダミーデータの如き後続部を設けなくとも本発明は実現可能である。すなわち、旧データの格納されるシンクフレームにおいて位相合わせを行って新データの書込用クロックの同期合わせを行うようにしても相当な効果が発揮される。
【0087】
この他にも、上記実施例においては種々の手段を限定的に説明したが、当業者の設計可能な範囲にて適宜改変することも可能である。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の情報記録装置によれば、情報再生時において読取データの同期動作を乱すことなく書込済データとこれに後続して追記されたデータとを円滑に連続再生することを可能とする記録媒体への記録形態を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DVD−Rの原記録情報を担うデータセクタの構造を示す図である。
【図2】図1のデータセクタを用いて構築されるECCブロックの構造を示す図である。
【図3】DVD−Rに記録されるデータの物理フォーマットを示す図である。
【図4】DVD−Rの記録層の構造を示す斜視図である。
【図5】DVD−Rにおけるグルーブトラックとこれに書き込まれるシンクフレーム系列のデータ並びにランドトラックに形成されるプリピットの対応関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施例による情報記録装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図7】図6の情報記録装置の各部動作波形及び動作形態を示すタイムチャートである。
【図8】図6の情報記録装置におけるCPUによって実行される追加記録処理の手順を示す前半フローチャートである。
【図9】図6の情報記録装置におけるCPUによって実行される追加記録処理の手順を示す後半フローチャートである。
【図10】図6の情報記録装置におけるS/Hタイミング生成回路の具体的構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施例による情報記録装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図12】図11の情報記録装置の各部動作波形及び動作形態を示すタイムチャートである。
【図13】図11の情報記録装置におけるCPUによって実行される追加記録処理の手順を示す前半フローチャートである。
【図14】図11の情報記録装置におけるCPUによって実行される追加記録処理の手順を示す後半フローチャートである。
【図15】本発明の第3実施例による情報記録装置の概略的構成を示すブロック図である。
【図16】図15の情報記録装置による特徴的動作形態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 DVD−R
50 スピンドルモータ
51 位相比較器
52 モータドライバ
60 ピックアップ
61 再生増幅器
62 帯域通過フィルタ
63 ウォブル検出回路
64 プリピット検出回路
65 クロストーク除去回路
66 プリピットデコーダ
67 主データデコーダ
68 クロック再生回路
69 シンク検出回路
70,70´ ウォブル同期原書込用クロック生成用PLL回路
71 位相比較器
72 低域通過フィルタ
73 電圧制御型発振器
74 分周器
7A 加算器
80,80´ 位相合わせ回路
81 移相器
82 位相比較器
83 低域通過フィルタ
84 サンプルホールド回路
85 加算器
85´ 増幅器
86 オフセット発生回路
87 ループスイッチ
88 サンプルホールドタイミング生成回路
88´ タイミング生成回路
8G AND回路
8F1,8F2 SRフリップフロップ
8C カウンタ
8CM1,8CM2 比較器
8V1,8V2 メモリ
9 CPU
91,91A エンコーダ
92 パワー制御回路
93 レーザ駆動回路
91S スイッチ回路
91B バッファ回路
91C 比較回路

Claims (6)

  1. 記録媒体の書込済データに後続する新データを追加記録することの可能な情報記録装置であって、
    前記新データとの同期化をなしつつその新データを前記記録媒体に書き込むための書込用クロック信号を生成する書込用クロック生成手段と、
    前記記録媒体から前記書込済データを読み取って前記書込済データの同期用クロック信号を再生し再生クロック信号を生成するクロック再生手段と、
    前記書込用クロック信号の位相を前記再生クロック信号の位相に同期させた後、前記書込用クロック信号を、所定の時定数をもって前記書込用クロック生成手段において固有の周波数に復帰させる調整手段と、を有することを特徴とする情報記録装置。
  2. 前記書込済データは、所定データブロック毎に同期信号が配されるデータであり、
    前記書込済データから前記同期信号を検出する同期信号検出手段と、
    前記同期信号検出手段による前記同期信号の検出タイミングに応答して前記再生クロック信号に基づく計数動作を開始する計数手段と、
    前記計数手段による計数値に基づいて前記新データの前記記録媒体への書込開始時点を定める制御手段と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1記載の情報記録装置。
  3. 前記調整手段は、前記記録媒体における前記新データの追加記録開始位置より前の所定期間における前記書込済データから得られる再生クロック信号の位相に前記書込用クロック信号の位相を同期させることを特徴とする請求項1または2記載の情報記録装置。
  4. 記録媒体の書込済データに後続する新データを追加記録することの可能な情報記録方法であって、
    前記記録媒体から前記書込済データを読み取って前記書込済データの同期用クロック信号を再生し再生クロック信号を生成するクロック再生工程と、
    前記新データとの同期化をなしつつその新データを前記記録媒体に書き込むための書込用クロック信号を生成する書込用クロック生成工程と、
    前記書込用クロック信号の位相を前記再生クロック信号の位相に同期させた後、前記書込用クロック信号を、所定の時定数をもって前記書込用クロック生成手段において固有の周波数に復帰させる調整工程と、
    を有することを特徴とする情報記録方法。
  5. 前記書込済データは、所定データブロック毎に同期信号が配されるデータであり、
    前記書込済データから前記同期信号を検出する同期信号検出工程と、
    前記同期信号検出工程による前記同期信号の検出タイミングに応答して前記再生クロック信号に基づく計数動作を開始する計数工程と、
    前記計数工程による計数値に基づいて前記新データの前記記録媒体への書込開始時点を定める制御工程と、
    をさらに有することを特徴とする請求項4記載の情報記録方法。
  6. 前記調整工程は、前記記録媒体における前記新データの追加記録開始位置より前の所定期間における前記書込済データから得られる再生クロック信号の位相に前記書込用クロック信号の位相を同期させることを特徴とする請求項4または5記載の情報記録方法。
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