以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態においては、DVDフォーマットに従ってディジタルデータを記録可能な情報記録媒体を用いて記録及び再生を行う情報記録再生装置に対し本発明を適用する場合の構成を説明する。
本実施形態においては、記録可能なDVD−RW/DVD−Rなどのディスクへの記録時に、後述のようにリンキング領域を設け、記録済みデータに続いて追記データを記録する場合には、その境界部にリンキング領域を挟んで記録が行われる。そして、このように記録可能なディスクに設けられるリンキング領域の構造は、従来とは異なる特徴を備えている。
初めに、実施形態に係る情報記録再生装置の概要構成を及びその動作について、図1を用いて説明する。なお、図1は、本発明の第1の実施形態に係わる情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態に係る情報記録再生装置1は、上記記録可能なDVD−RW/DVD−Rなどのディスク2に対するデータ記録/再生用の光ピックアップ3を備えている。
また、情報記録再生装置1は、外部から入力された記録すべき情報(例えば、情報記録再生装置1を使用するユーザから入力された情報(画像情報、音声情報および画像・音声混在情報等、以下、ユーザデータとする)に対応するアナログ信号をデジタル化すると共に、当該デジタル化されたユーザデータに対して誤り訂正処理等を含む符号化処理を施して、ECCブロックを構成するECCブロック構成部5と、このECCブロック構成部5によりECCブロック化された記録データに対してリンキング領域を挿入するリンキング領域挿入部6と、リンキング領域が挿入された記録データを、その記録すべき情報に対応する形状のビットとして光ピックアップ3を介してディスク2上に記録するためのデータ記録部7と、上記記録すべき情報の光ディスク2への記録時において未記録状態の光ディスク2における記録トラックからの反射光に基づいて当該記録トラックにおける後述するウォブリングに対応するウォブリング検出信号を検出してCPU20及びPLL(Phase Locked Loop)に出力するウォブル検出部22と、当該ウォブリング検出信号に基づいて上記データ記録部7、リンキング領域挿入部6及びECCブロック構成部5における夫々の動作の基準となる記録クロック信号を生成して当該データ記録部7、リンキング領域挿入部6及びECCブロック構成部5に出力する上記PLL23と、上記ウォブリング検出信号に基づいて後述する態様で未記録状態の光ディスク2上に記録されているアドレス情報を検出し、上記データ記録部7に出力する上記CPU20と、を備えている。
すなわち、ディスク2は、図示しない回転駆動部により回転駆動されており、光ピックアップ3は、データ記録部7から送られた記録データを受信し、そのデータ記録部7の制御に基づいて、光ピックアップ3内の図示しない半導体レーザ等の光源を駆動してレーザ光等の光ビームを生成してディスク2の情報記録面に照射し、記録データに対応するピットを形成して記録データをディスク2上に記録する。
このとき、当該記録データの記録に先立ち、光ピックアップ3は上記光ビームの光ディスク2からの反射光を受光し、上記記録トラックにおけるウォブリングの周期を検出して対応する上記ウォブリング検出信号をPLL23及びCPU20に出力する。
そして、CPU20は当該ウォブリング検出信号に基づいて記録トラック上のアドレス情報を検出し、これをデータ記録部7へ出力する。これにより、データ記録部7は、当該出力されてきたアドレス情報に基づいて記録データを記録すべき光ディスク2上の記録位置を認識し、上述した如く記録データの記録を行う。
さらに、情報記録再生装置1は、光ピックアップ2から出力された、前記ディスク2からの反射光に対応する光信号を受信して上記反射光に対応する再生信号を生成する再生信号生成部11と、再生された再生信号を2値化処理して2値化信号を生成する2値化処理部12と、生成された2値化信号に基づいてシンクパターンを生成するシンクパターン生成部13とを備えている。
また、情報記録再生装置1は、シンクパターン生成部13および情報記録再生装置1の他の構成要素(図1に示すブロック構成要素を含む)に対して動作基準となるクロック信号を供給するPLL14と、このPLL14に対する動作制御用のホールド信号を発生するホールド信号発生部15と、シンクパターン生成部13により生成されたシンクパターンに基づいて再生データを読み取って出力するデータ読取部16とを備えている。
さらに、情報記録再生装置1は、光ピックアップ2、ECCブロック構成部5〜データ記録部7に対してデータ通信可能に接続されており、上記光ピックアップ2、ECCブロック構成部5〜データ記録部7を介した上述した情報記録処理全体を統括的に制御する上記CPU20を備えている。
このCPU20は、シンク検出部13〜データ読取部16に対してデータ通信可能に接続されており、上述したデータ記録部7による情報記録処理と共に上記光ピックアップ2、シンク検出部13〜データ読取部16を介した上述した情報再生処理全体を統括的に制御する機能も有している。
また、情報記録再生装置1は、CPU20がアクセス自在なメモリ21を備えており、CPU20は、その動作に必要なデータをメモリ21に対して書き込みおよび読み出し自在となっている。また、メモリ21には、CPU20に上記情報記録/再生処理機能を実現させるためのプログラムが記憶されている。
以下、図2〜図5を用いて、本実施形態における上記リンキング領域を含むデータ構造の概要について説明する。
図2は、DVDフォーマットにおけるECCブロックのデータ構成を示す図である。このECCブロックは、入力されたユーザデータに誤り訂正を施す際の単位ブロックとしての役割を担う。図2に示すように、ディスク上で連続配置される16セクタ(図1ではセクタ0〜15)分のデータが1ECCブロックに対応する。まず、記録すべきユーザデータに対し同一のスクランブルを施した後、パリティを付加してインターリーブを施すことにより、ECCブロックが構成される。なお、図2において、ECCブロックに含まれる各セクタは182バイト×13行の構成であって、1ECCブロックは182バイト×208行の構成となる。
図3は、上記セクタのデータ構成を示す図である。図2に示すように、1セクタを構成する13行を2等分し、各々の91バイト(1456ビット)に対し32ビットのシンクコード(SY0〜SY7)が付加される。そして、各シンクコードにより区切られたデータ部分によりシンクフレームが構成される。このように、シンクコードは再生時にシンクフレームを判別するための識別情報としての役割を担っている。図3においては、各1行は2つのシンクフレームからなり、1セクタは全部で26個のシンクフレームを含んで構成される。その結果、1ECCブロックには、全部で16×26個のシンクフレームが分割配置されたデータ構造を有することになる。
上記のシンクコードには、チャンネルビット幅14Tのパルスが埋め込まれ、データ部分に出現する最長チャンネルビット幅11Tより長いパターンを有するので、データ部分と区別して識別できる。また、シンクコードに対し先頭の9チャンネルビットに各々異なるパターンを持たせているので、8通りのシンクコードSY0〜SY7が存在する。そして、図3に示すように、SY0〜SY7を配置して、セクタ内のデータ位置を識別できるようになっている。
ここで、本実施形態においては、図3に示すような標準的なシンクコードSY0〜SY7のパターンに加え、リンキング領域で用いる特別なシンクコードのパターンを設けている。
図4は、ディスク上で記録済みデータと追記データの境界部にリンキング領域が挿入された状態を示す図である。図4に示すリンキング領域(斜線にて示す)は、記録済みデータの最後のECCブロックと追記データの先頭のECCブロックに挟まれる2シンクフレーム分の領域に挿入されている。前後のECCブロックは、図3のデータ構成となるのに対し、リンキング領域のシンクコードSYX、SYYの少なくともいずれかは、通常のシンクコードSX0〜SY7とは異なる特別なパターンを用いている。
すなわち、リンキング領域においては、第1のシンクフレームにシンクコードSYXが付加され、第2のシンクフレームにシンクコードSYYが付加される。シンクコードSYX、SYYは、少なくともいずれかが上記通常のシンクコードSY0〜SY7とは異なるパターンであり区別することができる。また、リンキング領域に含まれる2つのシンクフレームのデータ部分には、本来のデータを記録する代わりに、図4に示すようなダミーデータが書き込まれるか、あるいは未記録とされる。
なお、本実施形態ではデータ構造の簡素化のため、ディスク上で隣接するECCブロックの全ての境界部にリンキング領域を挿入する。このようにしても、ディスクへの記録時に記録済みデータと追記データの間にリンキング領域が常に挿入されるとともに、16×26個のシンクフレームを含むECCブロックに対し、リンキング領域は僅かに2シンクフレーム分のサイズであるため、ディスクの記憶容量の無駄は小さくて済む。ただし、上述のようにECCブロックの全ての境界部にリンキング領域を挿入する構成に限られず、ディスクの隣接するECCブロックの境界部のうち選択的にリンキング領域を設けるよう構成にしても差し支えない。
図5は、図4に示すリンキング領域を含むデータ部分をディスクのデータ配列に従って表した図である。図5において、データAが記録済みデータであってデータAの最後がECCブロック(n−1)であるとする。また、データAに後続するデータBが追記データであって、データBの先頭がECCブロック(n)であるとする。このとき、図5に示すように、ECCブロック(n−1)とECCブロック(n)の境界部には、上述の2つのシンクフレームからなるリンキング領域が挿入される。すなわち、データAがECCブロック(n−1)で終端に達するとリンキング領域に移行するとともに、リンキング領域に後続してECCブロック(n)から開始するデータBに移行するようなデータ構造になっている。このように、データAとデータBの接続部分では、ディスク上のECCブロックの連続性がいったん途切れた状態でリンキング領域が挿入されることになる。
また、図5に示すようにデータが配列されたディスクを再生する場合は、データAに対する再生動作を行ってECCブロック(n−1)に達し、データAが終了した後、リンキング領域のシンクコードSYXが検出される。シンクコードSYXは、上述したようにシンクコードSY0〜SY7と異なるパターンであるため、容易にリンキング領域の位置を判別することができる。このシンクコードSYXを再生時に検出するための具体的な構成については後述する。なお、リンキング領域の判別のためにはシンクコードSYYを検出してもよいが、本実施形態ではシンクコードSYXを検出してリンキング領域の判別を行う。
次に、上記ディスク2における記録トラックの実施形態について、図6を用いて説明する。なお、図6は、記録データが記録されていない状態のディスク2における記録トラックの構成(拡大図)と上述してきた記録データのデータ構成との関係を示す模式図である。
図6最上段に示すように、実施形態のディスク2における記録トラックTRには記録データの記録位置を示すアドレス情報が予め記録されている。そして、当該記録トラックTRは、その長手方向(すなわち、ディスク2の周方向)において、一つのアドレス情報に対応するアドレスユニットAUに分割されている。すなわち、例えば、アドレスnなる値を有するアドレス情報に対応するアドレスユニットAU内に当該アドレスnの位置に記録されるべき記録データが記録されるのである。なお、このとき、各アドレスユニットAUに対応するアドレス情報は、対応するアドレスユニットAU内の記録トラックTRをいわゆるウォブリング(蛇行)させ、且つ対応するアドレス情報によりそのウォブリングの周期を位相変調することにより記録されている。
そして、実施形態のディスク2においては、図6に示すように、一のECCブロックを構成する最終のデータが記録されるアドレスユニットAUと、当該一のECCブロックに後続すべき次のECCブロックを構成する最初のデータが記録されるアドレスユニットAUと、の境界部分が、当該各ECCブロックを記録後におけるリンキング領域を構成するシンクフレームの境界部分と一致するように、当該アドレスユニットAUが形成されている。
換言すれば、図6に示すように、ECCブロック(n−1)を構成する最終のデータにシンクコードSYXを後続させたときのそのシンクコードSYXを含むリンキング領域内のシンクフレームの後端が記録されるべき位置が、ECCブロック(n−1)に対応する複数のアドレスユニットAUの内の最後のアドレスユニットAUの後端と一致し、更に、ECCブロック(n)を構成する最初のデータにシンクコードSYYを先行させたときのそのシンクコードSYYの前端が記録されるべき位置が、ECCブロック(n)に対応する複数のアドレスユニットAUの内の最初のアドレスユニットAUの前端と一致するように、当該各アドレスユニットAUが形成されている。
なお、図6は、一のECCブロックにその前後に記録されるリンキング領域に記録される情報を加えた記録データが記録されるべきディスク2上の領域が四つのアドレスユニットAUに相当している場合を図示しているが、これ以外に、ECCブロックとリンキング領域に記録される情報とを加えた記録データが記録されるべきディスク2上の領域が、一つ又は複数のアドレスユニットAUに相当していればよいこととなる。
以上のように、本実施形態に係る情報記録再生装置は、DVD−RW/DVD−Rに対し上述のようなデータ構造の記録データを構成する記録データ構成手段として機能するとともに、記録データに上述のような特徴を持つリンキング領域を挿入するリンキング領域挿入手段として機能する。また、本実施形態に係る情報記録再生装置は、DVD−RW/DVD−Rに対する追記データを記録する際に上述のように制御する記録制御手段として機能する。
次に、本実施形態に係る情報記録再生装置において光ディスク2に記録されているデータを再生する際の上記リンキング領域の検出動作について、図7を用いて説明する。図7は、情報記録再生装置各部にて出力される信号のうち、リンキング領域付近の波形のパターンを示す図である。
図1に示す情報記録再生装置1の構成において、ディスク2としては、データを1回のみ書き込み可能なDVD−R、あるいはデータを繰り返し書き換え可能なDVD−RWを用いることができる。装着されたディスク2は回転駆動されつつ、光ピックアップ10によりレーザビームを照射され、記録トラックからの反射光がディテクタで受光され受光信号が出力される。光ピックアップ10からの受光信号は、再生信号生成部11に入力され、ピットの有無に応じてレベルが変化する再生信号が生成される。例えば、光ピックアップ10のディテクタが4分割形状であれば、4つの領域からの受光信号の和をとることにより再生信号が得られる。
ここで、図7の上側には、図5に示すようなディスク2のリンキング領域を含むデータ部分を再生した場合の再生信号の波形パターンを示している。図7に示される再生信号は、リンキング領域通過前のデータAの部分と、リンキング領域通過後のデータBの部分では、いずれもレベルが安定しているのに対し、リンキング領域に合致するデータAとデータBの接続部分では、再生信号のレベルが乱れていることがわかる。これは、追記データを記録する際に記録済みデータとの境界部分で前後のデータが不確定になるため、データ再生の同期が失われることに起因する。よって、本実施形態では、リンキング領域の近辺において以下に述べる構成によりデータ再生の同期を確保する。
次に、2値スライス部12は、再生信号生成部11から出力される再生信号を、所定のレベルでスライスして2値化し、ディスク1の記録データのデータパターンに対応する2値化信号を生成する。そして、シンク検出部13は、2値スライス部12からの2値化信号に基づいて、通常のシンクパターンSY0〜SY7又はリンキング領域に含まれるシンクパターンSYX、SYYをそれぞれ区別可能に検出する。シンク検出部13からは、リンキング領域のシンクパターンSYXが検出されるタイミングを判別するためのSYX検出信号が出力される。図7に示すように、SYX検出信号は、2値化信号に含まれるデータパターンにおいてシンクパターンSYXの検出タイミングt0から短時間ハイとなるパルス信号である。
一方、PLL14は、2値スライス部12からの2値化信号を入力し、再生データに同期するクロックを抽出するクロック抽出手段としての機能する。PLL14は発振回路を内蔵し、2値化信号に連動してレベルが変化するPLLエラー信号により発信周波数及び位相が制御される。PLL14において動作開始から所定の引き込み時間が経過するとロック状態となり、それ以降は安定なクロックが出力される。PLL14から出力されるクロックは、情報記録再生装置の各部に供給されるとともに、シンク検出部13に供給されてシンクコードSYXの検出動作時の同期基準として用いられる。
ホールド信号発生部15は、シンク検出部13から出力されるSYX検出信号に基づいてPLL14に供給するためのホールド信号を生成する。このホールド信号は上記PLLエラー信号の状態を制御する信号であり、SYX検出信号によりシンクコードSYXが検出されたことが判別されたとき、リンキング領域においてPLLエラー信号のレベルを保持すべき所定の期間を判別するための信号である。
ここで、図7に上記ホールド信号の波形パターンを示している。図7に示されるホールド信号は、上記SYX検出信号の立ち下がりタイミングt1で立ち上がるとともに、一定のホールド時間Taが経過するまでハイレベルを保持した後、タイミングt2で立ち下がる波形パターンを有している。そして、このホールド信号はPLL14に供給されるので、図7の下側に示すように、ホールド時間Taの間、PLLエラー信号が一定値に保たれる。
一方、タイミングt1以前は、PLL14の制御状態に応じてPLLエラー信号の波形が変化する。そして、タイミングt2ではPLL14のロックが外れた状態となっているので、タイミングt2から所定の引き込み時間Tbが経過するタイミングt3までPLL14の新たな引き込み動作が行われ、タイミングt2以降は再びPLL14の制御状態に応じてPLLエラー信号の波形が変化する。なお、引き込み動作時においてもPLL14の周波数は適切に設定されているので、引き込み時間Tbは、PLL14の位相を合わせるのに必要な時間となる。
次に、データ読取部16は、シンク検出部13によって検出されたシンクコードにより区別されるシンクフレームに対し、シンクコードに後続するデータ部分を読取って再生データとして出力する。データ読取り部16においては、データの読取りに必要なエラー訂正処理等の各種信号処理が施される。
図7に示すリンキング領域付近の各波形パターンによれば、タイミング条件としてリンキング領域の終端位置がタイミングt3経過前となるように設定する必要がある。まず、ホールド時間Taは、少なくとも再生信号において上述のように波形が乱れた部分を避けることができる程度の時間に設定される。また、引き込み時間Tbは、PLL14の帯域などの特性に基づいて定まる。従って、ホールド時間TaとPLL14の引き込み時間Tbを考慮して、リンキング領域の長さを設定する必要がある。具体的には、リンキング領域の長さを1シンクフレームに設定すると、一般には引き込み時間Tbが短縮されてPLL14の帯域が広くなり過ぎるため、リンキング領域の長さを2シンクフレーム以上に設定することが望ましい。しかし、PLL14の特性が確保されるのであれば、リンキング領域を1シンクフレームとすることも可能である。一方、リンキング領域の長さを必要以上に長く設定する場合は、ディスク1の記憶容量を圧迫するので、3シンクフレーム分以内に設定することが望ましい。
次に、本実施形態の変形例として、上記のリンキング領域を再生専用のDVD−ROMに適用した場合の構成を説明する。この変形例においては、DVD−ROMに対し本発明を適用することにより、上記の記録可能なDVD−RW/DVD−RとDVD−ROMの互換性を確保することを目的とする。
図8は、上記変形例のDVD−ROMにおいて、上記のリンキング領域を含むデータ部分を図5と同様のデータ配列に従って表した図である。図8において、図5と異なる点は、特定の役割を担うサブコードが記録されたサブコード領域としてリンキング領域を利用することである。なお、それ以外の点については、図5の場合と同様であり、更に図2〜4のデータ構造についても基本的に共通であるが、リンキング領域に含まれる2つのシンクフレームのデータ部分には、ダミーデータの代わりに上述のサブコードが書き込まれる。
上記DVD−ROMのサブコード領域には、本来のデータは記録されないため冗長な領域であるが、再生制御に必要な各種制御情報をサブコードとして記録することができる。例えば、記録データに施すべきスクランブルの初期値をサブコードとして書き込んでもよい。すなわち、一般にはスクランブルの初期値は記録データの記録位置に基づいて求められるが、予めサブコードとして記録されていればスクランブルの初期値を簡易に決定することができる。このように各種制御情報をサブコード領域に記録する場合、DVD−ROMの再生動作時にサブコード領域を通常通り読み取る必要があるが、シンクコードSYX(又はSYY)を検出することにより所望のサブコードであることが識別できる。
なお、上記の変形例に対応するDVD−ROMを再生する情報再生装置は、図3と同様に構成により上記のようにリンキング領域を検出することができる。なお、DVD−ROMの再生時に常に適正なクロック抽出が保証される場合は、シンクコードSYXを検出するだけで、ホールド信号発生部15は特に設けなくてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る情報記録再生装置によれば、リンキング領域をECCブロックに加えた領域を考慮して予めアドレス情報が記録されているディスク2への記録時において、各ECCブロックの境界部に、2シンクフレーム分のリンキング領域を挿入し、特別なパターンを有するシンクコードSYX、SYYを付加するとともに、ディスク再生時にシンクコードSYXを検出してリンキング領域の位置を判別し、PLL14に対しリンキング領域でホールド状態とし、後続のデータ部分で新たに引き込み動作を行うように構成される。かかる構成により、ECCブロック内部にリンキング領域が形成されないので、エラー訂正能力の劣化が抑えられ、また、ECCブロックの全体がデータ記録に使用できなくなることもない。そして、ECCブロックに比べ十分に小さいデータ部分をリンキング領域として用いるため、エラー訂正能力の劣化を回避してデータの信頼性を向上させつつ、ディスク容量の無駄が少なくして記憶容量の有効活用を図ることが可能となる。また、再生時には、シンクコードSXYを検出することにより確実にリンキング領域の位置を判別でき、リンキング領域の位置を反映してPLL14を適切に制御するので、安定なクロック抽出を行うなど再生データの信頼性を高めることができる。また、DVD−R、DVD−RWなどの記録可能なディスクと、DVD−ROMなどの再生専用のディスクとの互換性を確保することも可能であり利便性が高い。
なお、上記実施形態では、DVDフォーマットに対応する情報記録再生装置等に対し本発明を適用する場合を説明したが、これに限られず上述のリンキング領域を設けることが可能な記録フォーマットに対応する情報記録再生装置に対し広く本発明を適用することができる。