JP3752169B2 - Ilsのグライドパスのgp進入コース予測方法及びilsのグライドパスのgp進入コース予測装置 - Google Patents

Ilsのグライドパスのgp進入コース予測方法及びilsのグライドパスのgp進入コース予測装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、積雪時の計器着陸装置(以下、ILSと記す)におけるグライドパス(以下、GPと記す)のGP進入コース予測方法及びその装置に関し、特に、GP反射面の積雪の誘電率及び雪深によるパス角変化を求めてGP進入コースを予測する方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ILSは、視界不良の場合に使用する着陸システムであり、垂直方向の進入コース情報を与えるGPと、水平方向の進入コース情報を与えるローカライザと、空港からの距離情報を与える3つのマーカとにより構成されている。
【0003】
そのうちGPは、その進入コースの作成に地面からの反射波を利用している。従って、地面反射の反射率が変われば、GP進入コースも変わることとなるので、降雪地域にある空港では、GP反射面に積もった雪により、反射率が変動し、それにつれてGP進入コースが変化する。
【0004】
そして、図17に示すように、GP進入コース90は、GPアンテナの前方300mまでのフレネル反射面83上に設定された3つの反射点(図示せず)からの反射波を利用して形成されるが、フレネル反射面83に雪が積もると反射点が変化するとともに、積雪層内では透過した電波が多重反射する等の理由により、GP進入コース90は複雑に変化する。
【0005】
一方、ILSのGPの監視に関するものとしては、フィールドモニタ80がある。このフィールドモニタ80では、GPアンテナ81の前方75mの位置に、フィールドモニタアンテナ82を設置して、モニタ信号を受信して、GPのパス角(3度)の変化、変調度および電界強度を監視している。このように、このフィールドモニタ80では、GP送信装置(図示せず)が故障していないか否かを監視しているものであり、フレネル反射面83上の雪の影響は考慮されておらず、フレネル反射面83上の積雪によるGP進入コース90の変化は全く監視されていない。
【0006】
即ち、GPのフィールドモニタ80では、地面反射係数の季節変動を一定にするため、GPアンテナ81とフィールドモニタアンテナ82間に電波反射用の金網(図示せず)を敷設するとともに、この金網上に5cm厚のアスファルト舗装を敷いたモニタ反射板84を設置している。しかし、このモニタ反射板84上に積もった雪が融雪するときには、広開口のGPアンテナ81とフィールドモニタアンテナ82との近接位相効果による相乗効果により、モニタ指示値にシステム停止に至る大きな変動が生じるることがある。このためフィールドモニタ80ではモニタ反射板84の除雪を頻繁にし、雪の影響を排除している。88は滑走路中心線である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
実際の積雪によるGP進入コースの変化は、飛行検査以外に監視する方法がないのが実情であるが、その飛行検査も、冬季の気象条件では、視界が悪く、有視界飛行で、即ち、目視での飛行をしなくてはならない飛行検査の実施は、困難であるという問題点がある。
【0008】
このため、降雪地の空港ではその対処法として、300mに渡ってフレネル反射面83上の積雪を圧雪したり、除雪したりして、その雪深が30cm以下となるようにし、この30cm領域85aの圧雪面85から傾斜させた傾斜面86から自然積雪面87へと連設した階段状積雪構造にして、GP進入コースが基準値からずれるのを防止するように努めている。しかしながら、冬季の降雪時には、降雪量は時々刻々変化し、その雪深が変動する。そのため、30cm領域85aの圧雪や除雪作業に伴う費用や人手がかさみ、又、飛行検査の結果では、傾斜面76領域においてGP電波が反射して、二重反射が発生し、進入コースのパス幅が広がるという問題がある。
【0009】
このように、積雪によるGP進入コースの変化を監視する方法は未だ有効なものは確立されていない。さらに、降雪地の空港では、現状のILSを高度運用するニーズが増大してきている。以上のことを勘案すれば、積雪によるGP進入コースの予測技術の開発が急務となっている。
【0010】
そこで、発明者等は、積雪時のGP進入コースの変化を予測する予測システムを提供することを課題とし、この課題を解決する手段としてフレネル反射面83等の積雪の誘電率及びその時の雪深によるパス角変化を求めて高精度のGP進入コースを予測することの出来る方法及びその装置に関する発明をした。
【0011】
【問題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ILSのグライドパスのGP進入コースに影響する積雪の反射面は、フレネル反射面を形成する一定雪深の圧雪面から傾斜面を介して自然積雪面へと連設する階段状積雪構造のGP反射面とこのGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形反射面とからなり、GP反射面と前方地形反射面の各雪深を、雪深測定装置で測定し、階段状積雪構造を表す形状データを、階段状積雪形状データ発生部で作成し、この作成した形状データをデータファイルに格納し、GP反射面の前方に位置する前方地形の前方地形データを、前方地形データ発生部で作成し、この作成した前方地形データをデータファイルに格納し、階段状積雪構造をなす積雪の代表的な誘電率を、誘電率発生装置により計測し、この計測した誘電率をデータファイル格納するとともに、このデータファイルに格納されている各誘電率のそれぞれ測定時における各雪深を、雪深測定装置により測定し、グライドパスのGPアンテナの高さデータを予測計算装置に入力し、それぞれ求めた形状データと前方地形データと代表的な誘電率とこの時の雪深とを、データファイルから読み出して予測計算装置に入力し、この予測計算装置において、階段状積雪構造の圧雪面及び傾斜面における反射係数を、GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各反射係数からそれぞれ反射波の電界強度を求め、同様にして前方地形による電波の回折波を、順次求めるとともに、これらの求めた各回折波の電界強度を求め、さらに、受信点における直接波を、GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各直接波の電界強度を求め、予測計算装置において、GPアンテナの高さデータとこのGPアンテナから受信点迄の距離を変えて求めた各反射波と各直接波と各回折波のそれぞれ各電界強度を求め、パス角の変化とパス幅の変化とを求めてグライドパスのGP進入コースを予測するようにしたILSのグライドパスのGP進入コース予測方法である。
【0012】
請求項2に係る発明は、ILSのグライドパスのGP進入コースに影響する積雪の反射面は、フレネル反射面を形成する一定雪深の圧雪面から傾斜面を介して自然積雪面へと連設する階段状積雪構造のGP反射面とこのGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形反射面とからなり、このGP反射面と前方地形反射面の各雪深を、雪深測定装置で測定し、圧雪面と傾斜面の傾斜角度とから階段状積雪構造を表す形状データを発生する階段状積雪形状データ発生部と、GP反射面の前方に位置する前方地形の傾斜角度から前方地形データを発生する前方地形データ発生部と、階段状積雪構造をなす積雪の代表的な誘電率を測定する誘電率測定装置と、誘電率を測定した時の雪深を求める雪深測定装置と、少なくともそれぞれ求めた形状データと前方地形データと代表的な誘電率とこの誘電率を測定した時の雪深とを格納するデータファイルと、下記(イ)〜(ニ)に記載する機能を有する予測計算装置と、(イ)階段状積雪構造の圧雪面及び傾斜面における反射係数を、GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各反射係数からそれぞれ反射波の電界強度を求める機能と、(ロ)同様にして前方地形による電波の回折波を、順次求めるとともに、これらの求めた各回折波の電界強度を求める機能と、(ハ)受信点における直接波を、GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各直接波の電界強度を求める機能と、(ニ)GPアンテナの高さデータとこのGPアンテナから受信点迄の距離を変えて求めた各反射波と各直接波と各回折波のそれぞれ各電界強度の和によって受信点の受信信号を求め、この受信信号をILS受信機内部と等価な振幅変調の復調処理を施すことにより、パス角の変化とパス幅の変化とを求めてグライドパスGP進入コースを予測する機能とを備えたILSのグライドパスのGP進入コース予測装置である。
【0013】
請求項3に係わる発明では、誘電率測定装置は、地面に設置され、電波が透過可能な透過ボードと、この透過ボードの上方及び下方(地下)に対向して配置した送信用及び受信用アンテナと、受信された透過波の透過特性を測定するネットワークアナライザとを有し、測定した透過特性から透過係数を求め、この透過係数から積雪の誘電率を求める機能とを有する透過法による誘電率測定装置を用いたILSのグライドパスのGP進入コース予測装置である。
【0014】
請求項4に係わる発明は、誘電率測定装置は、それぞれ電気的特性及び形状が同一で、積雪に電波を照射する測定用送信アンテナと積雪からの反射波を受信する測定用受信アンテナとからなる測定用アンテナと、この測定用アンテナとそれぞれ電気的特性及び形状が同一で、測定機器の校正時に電波を照射する校正用送信アンテナとその反射波を受信する校正用受信アンテナとからなる校正用アンテナと、反射特性を測定するネットワークアナライザに接続され、校正系及び測定系同軸ケーブルによりそれぞれ校正用アンテナと測定用アンテナとに接続されているとともに、校正用アンテナと校正系同軸ケーブルとを有する校正系と測定用アンテナと測定系同軸ケーブルとを有する測定系とを切り換える手段を有する同軸切換器と、この同軸切換器を介して校正系と前記測定系とに接続されているとともに、校正系からの反射波と測定系からの反射波との反射特性をそれぞれ測定するネットワークアナライザと、このネットワークアナライザでそれぞれ求めた校正系からの反射特性と測定系からの反射特性とに基づいて積雪の誘電率を算出する機能と、を有する反射法による誘電率測定装置を用いたILSのグライドパスのGP進入コース予測装置である。
【0015】
請求項5に係わる発明は、電気的特性及び形状の等しい測定用送信アンテナと測定用受信アンテナとからなる測定用アンテナと、この測定用アンテナを同軸切換器に接続する同軸ケーブルと測定用アンテナとを有する測定系が構成され、この測定系の電気的特性と等しい電気的特性を有し、同軸切換器に接続されたスルーの校正用伝送ケーブルと、ネットワークアナライザに接続され、校正用伝送ケーブルと測定系とを切り換える手段を有する同軸切換器と、この同軸切換器を介して校正用伝送ケーブルと測定系とに接続されているとともに、校正用伝送ケーブル及び測定系からの校正特性と測定系からの反射特性及びアンテナ間結合特性を測定するネットワークアナライザと、反射特性、校正特性からそれぞれ校正係数、反射係数、結合係数を算出する機能と、測定機器校正値の初期値を求める機能と、これらの値を保存する機能と、測定した積雪の反射係数から積雪の誘電率を算出する機能と、を有する反射法による誘電率測定装置を用いたILSのグライドパスのGP進入コース予測装置である。
【0016】
請求項6に係わる発明は、誘電率測定装置は、電波の周波数帯において求めた積雪の誘電率を、VHF〜マイクロ波帯において導出されている実験式に基づいて、外挿法により測定に使用した電波の周波数帯から他の周波数帯に換算する機能を有するILSのグライドパスのGP進入コース予測装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、発明者等は、我が国で最も降雪量の多い青森空港において、積雪がGP進入コースに与える影響について解析した。一方、積雪がGP進入コースへ与える影響について飛行検査を行った。この検査結果によれば、積雪の影響はパス角の変化みならず、パス幅が広がり偏位感度も低下することが判明した。そこで、発明者等はGP進入コースの変化を積雪の誘電率をもとに数値解析により検討した。以下、これについて説明する。
【0018】
青森空港において、図17に示すように、GPアンテナ81の前方、300m迄フレネル反射面83として圧雪、除雪して圧雪面85を形成し、それより先を除雪しない自然積雪領域とした。青森空港の場合、この自然積雪領域の雪深は、1〜1.6mにもなる。
【0019】
このため、この発明では、図1に示すように、GP進入コース8に影響を与える地形図の全体の積雪面1の形状は、図2に示すフレネル反射面2を形成する一定雪深の圧雪面3から傾斜面4を介して自然積雪面5へと連設した階段状積雪構造のGP反射面6と、このGP反射面6の前方に位置する前方地形7とで形成されている。9は空港へ進入する航空機で、GP信号の受信点である。10、11はそれぞれ前方地形7内に存在する丘と谷である。12は滑走路である。なお、図2に示すように、前方に丘や谷等のような地形ではなく、平坦な地形の場合には、GP反射面6は、フレネル反射面2と一致する。
【0020】
そして、発明者等は、図3、図4に示すように、積雪の誘電率とパス角の変化を解析した。まず、図3はフレネル反射面2の積雪の雪深をD=0.15m、0.25mとして雪質変化による25nm遠方のパス角の変化を示している。この結果から判断すると、D=0.25m、誘電率の実数部ε’が1.5から2.5に変化すると、遠方のGP進入コース8が10μAから50μAに偏位することを示している。又、図4は積雪の雪深をD=0〜0.5mにした時のパス角の変化を示しており、なお、直線は積雪面を地面に置き換えた場合のパス角の変化を示している。積雪の波状変化は、誘電率の増加につれて直線的に近似することが判明した。このように、その結果は実験データと対称性の良いことが確認された。従って、GP反射面上の積雪の誘電率が測定できれば、GP進入コース8を高精度に予測できるとの判断に至った。
【0021】
一方、GP進入コース8の予測を精度良く行うには、実際の積雪状態における誘電率を精度良く測定する必要がある。しかしながら、フレネル反射面2に堆積する積雪は、外気温の変化、降雪量等により積雪の雪深が変化するとともに、その積雪断面は誘電率の異なる層構造に堆積する性質があり、既存の方法では、そのような積雪の誘電率、特に、GP周波数帯(330MHz帯)の誘電率を精度良く測定する方法はなかった。
【0022】
そこで、発明者等は、積雪の誘電率を正確に測定することの出来る3種類の誘電率測定装置(それぞれ実施例1〜実施例3として後述する)14(14a、14b、14c)を用いて、この誘電率測定装置14から求めた空港の進入点付近の誘電率を入力データとして、積雪時におけるGP進入コース8を予測するシステムを発明した。そこで、まず、以下にこの発明の各実施例に共通な事項について詳細に説明する。
【0023】
図5は、この発明の第1〜第3の実施例を示すもので、積雪時のGP進入コース予測装置13を示すシステム構成図、図6は第1の実施例で、透過法を用いた誘電率測定装置14aを示し、図7は、この発明の第2の実施例で、反射法を用いた誘電率測定装置14bを示し、図8〜図9は、この発明の第3の実施例で、実施例2と同様に、反射法を用いた誘電率測定装置14cを示している。図11はこの発明のシステムブロック図である。
【0024】
図5において、13はこの発明によるGP進入コース予測装置で、積雪時における航空機9のGP進入コース8を予測する。GPアンテナ81近傍のGP反射面6(フレネル反射面2を含む)の積雪形状を示す地形断面図6aは、図2に示す地形図と同様に、積雪の雪深が30cmに圧雪された圧雪面3から傾斜をつけて傾斜面4を形成し、自然積雪面5へと連設した階段状積雪構造を表している。わが国で最も積雪量が多い青森空港を例にとれば、GPアンテナ81までの300mをフレネル反射面2とし、このフレネル反射面2を30cm以下に圧雪するか、又は、除雪して平坦にして圧雪面3を形成している。それ以上遠方の領域は、経済的な理由から傾斜をつけて傾斜面4を形成し、圧雪も除雪もしない自然の積雪領域に連続させて自然積雪面5としている。この自然積雪領域の雪深は、1〜1.6mにもなるため、GP反射面6全体の積雪面の形状は、図2に示すように、階段状積雪構造となる。
【0025】
誘電率発生装置14は、積雪の誘電率を求めるもので、フレネル反射面2とフレネル反射面2に続く自然積雪領域の積雪の誘電率が自動計測される。なお、計測された誘電率は後述するデータファイルに誘電率データとして格納されている。この誘電率測定装置14には、実施例1〜実施例3においてそれぞれ詳述するように、従来型の透過法を用いる装置14aと、発明者等が発明(すでに出願した)した反射法を用いる2つのタイプの装置14b、14cとが用いられる。この発明の各実施例では、この誘電率測定装置14はフレネル反射面とその先の自然積雪面5領域に各1台ずつ設置し、両領域の誘電率を測定している。
【0026】
15は雪深測定装置で、GP反射面6の地形断面図6aから明らかであるように、階段状積雪構造における各領域の積雪の雪深を測定するもので、各実施例1〜3では、フレネル反射面2の領域、即ち、圧雪面3には5台、自然積雪面5の領域には1台設置されており、誘電率発生装置14で自動計測された誘電率の時の雪深を自動計測している。そして、フレネル反射面2に設置されている5台の雪深測定装置15からのそれぞれ測定値は、通常はばらついているので、フレネル反射面2領域の積雪を平坦と仮定し、5台の雪深測定装置で測定した各測定値の平均値を求めた。又、自然積雪面5の領域では、雪深の測量を2〜3点行い、その平均値を自然積雪面5領域の雪深としている。さらに、傾斜面4の領域では、一定の傾斜角度となるように、フレネル反射面の圧雪、除雪時にブルドーザーで、均一にした。数点の測量を行い、最小自乗法により傾斜面4の傾斜角度を算出している。これらの雪深データは、誘電率データと同様に、データファイル60に格納されている。
【0027】
16は階段状積雪形状データ発生部で、図2に示す階段状積雪構造のGP反射面(フレネル反射面2を含む)6の積雪形状を示す形状データを発生する。この発明による実施例では、図2に示す階段状積雪構造の傾斜面4の領域は、一定角度の斜面となるように、ブルドーザーで圧雪して均一に形成した後、傾斜面4の数点を測量して、最小自乗法によって傾斜面4の傾斜角度を算出し、平坦な圧雪面3と傾斜面4の傾斜角度等の値から図2に示す階段状積雪構造の地形断面図6a全体の輪郭を示す形状データが作成される。全体の形状データが作成され、後述するデータファイル60(図11)にデータ列として格納される。なお、この階段状積雪構造のGP反射面6が除雪、圧雪、降雪等によりその形状が変化する毎にこの形状を示す形状データを発生し、その度にデータファイル60のデータ列は更新される。なお、いずれの実施例の場合も、形状データのデータ列は、5m間隔のデータ列として格納されている。
【0028】
17は前方地形データ発生部で、滑走路12の前方に位置する丘10や谷11等の存在する前方地形7の地形データを発生するもので、上記階段状積雪形状データ発生部16において作成したと同様にして丘10や谷11等の地形の傾斜角度からこの地形の輪郭を示すデータ列が作成され、同様に予測計算装置18のデータファイル60に格納される。なお、データ列は平坦な面では、荒く読み込んでも良いが、いずれの実施例も25m間隔の地形の高低を読み込んでいる。
【0029】
18は予測計算装置で、各種のデータから積雪時におけるGP進入コース8の変化やパス幅の変化を算出するもので、詳細は、動作説明の項において詳述する。
【0030】
19は表示部で、データ画面及び解析結果出力画面とが表示され、GP反射面の積雪形状と前方地形データ等をグラフ表示し、且つ積雪の誘電率と雪深データをも表示される。又、この実施例の場合には、GP進入コース8に従って空港へ進入する航空機9迄の距離を横軸に、DDMを縦軸にして表示されるように構成されている。
【0031】
【実施例1】
次に、第1の実施例では、誘電率測定装置14としては、従来用いられていた透過法による積雪の誘電率測定装置14aを使用した場合の実施例について説明する。
【0032】
この透過法による積雪の誘電率測定装置14aは、図6に示すように、地面20に電波21が透過可能な透過ボード22が敷設され、この透過ボード22の下方(地下)には、電波21を透過ボード22面に向けて照射する送信用ホーンアンテナ23が設置されている。そして、透過ボード22の上方(地上)には、電波21(透過波)を受信する同様な形状の受信用ホーンアンテナ24が、支柱26に支持されて送信用ホーンアンテナ23に対向配置されている。そして、受信用ホーンアンテナ24には、透過波の透過特性を測定するネットワークアナライザ(図示せず)が接続されている。
【0033】
このような構成で、透過ボード22上の積雪25に向けて電波21を照射すると、電波21は、積雪25と透過ボード22とを透過し、受信用ホーンアンテナ24で受信される。この受信された透過は、その透過特性がネットワークアナライザ(図示せず)により測定され、この透過特性から透過係数を算出し、積雪25の複素誘電率が求められる。
【0034】
上記のようにして算出された積雪25の誘電率は、Cバンドの周波数帯で測定された結果であるので、VHF〜マイクロ波帯における特定周波数で測定され実験的に導出されている下記実験式に基づいて、外挿法により空港に設置されているグライドパスの周波数帯に換算した誘電率が算出する。以下、特定周波数(VHF〜マイクロ波帯)で測定された積雪複素誘電率を任意周波数における誘電率に換算する換算法について説明する。
【0035】
水分を含む積雪の分散特性がDebyの式で与えられる水の分散特性に対応して表現出来ると仮定して、周波数fにおける積雪誘電率虚数部ε"s(f)及び積雪誘電率実数部ε's(f)の増分Δε's(f)は、それぞれ下記の式(1)及び式(2)式を用いる。
【0036】
Figure 0003752169
【0037】
Figure 0003752169
【0038】
ここで、ε"sは積雪誘電率虚数部、Δε'sは積雪水分による積雪誘電率実数部ε'sの増分で、ε's=ε'd+Δε'sである。(但し、ε'dは水の占有体積を空気で置き換え乾雪とした時の誘電率実数部)である。又、fは純水の誘電緩和周波数で、f=8.84(GHz)であり、tan δwは純水の誘電正接(損失係数)で、温度0℃では、下記式(3)式となる。
【0039】
Figure 0003752169
【0040】
ここで、周波数fにおける複素誘電率の実数部及び虚数部の測定値を、それぞれε's(f)、ε"s(f)とすれば、任意の周波数fにおける積雪3の複素誘電率の虚数部は、式(1)を用いると、下記式(4)式で表される。
【0041】
Figure 0003752169
【0042】
次いで、積雪25の複素誘電率の実数部は、上記ε's=ε'd+Δε'sから式(1)、(2)、(3)式を用いて、下記式(5)式で表される。
【0043】
Figure 0003752169
【0044】
ここで、発明者等は、3〜37(GHz)のマイクロ波帯の周波数で報告されているHallikainmenn等の実験式が、3(GHz)以下の周波数帯に対しても有効であると仮定し、0〜5(GHz)の帯域で、体積含水率0〜12(%)、密度0.25(g/cm3)の積雪の誘電率を計算した結果を、図2、図3に実線で示した。このデータで、f=5(GHz)における複素誘電率を既知の測定値と仮定し、式(4)、(5)式から新たにf<5(GHz)の周波数について複素誘電率を算出した結果をマーカプロットした。この結果から明らかであるように、両者は良く一致していることが判明した。
【0045】
このようにして透過型の誘電率測定装置14aにより求められた積雪25の誘電率は、GP進入コース予測装置13の予測計算装置18に入力される。以後詳細は、後述する。
【0046】
【実施例2】
次に、第2の実施例では、誘電率測定装置14としては、発明者等が発明し、別件として特許出願した反射法による積雪の誘電率測定装置14bを使用した場合の実施例について説明する。上記実施例1と同様に、電波21の測定周波数帯域はCバンドで、測定用及び校正用アンテナとしてはホーンアンテナを用い、測定系の反射板30上に降り積もった積雪25の誘電率を測定する。なお、同一のものは、同一番号及びその名称を用いる。
【0047】
第2の実施例は、ネットワークアナライザや同軸ケーブルなどの測定機器を校正するための一対の校正用アンテナを含む校正系と一対の測定用アンテナを含む測定系との2系統を構成するとともに、この2系統はいずれも電気的特性が同一となるように、アンテナ、同軸ケーブルのケーブル長、損失及びアンテナ高、形状等すべて等しくなるように構成し、ネットワークアナライザで被測定物の反射特性を測定して、この反射特性から反射係数を算出し被測定物の誘電率εを算出するようにした実施例を示すもので、以下、図7に基づいて説明する。
【0048】
互いに電気的特性及び形状が同一の測定用アンテナ31(31a、31b)は、信号源(図示せず)からの電波21を、地面20(フレネル反射面)に設置されている金属製の反射板30上の積雪25へ照射する測定用送信アンテナ31aと積雪25からの反射波32を受信する測定用受信アンテナ31bとにより構成されており、この実施例の場合にはホーンアンテナが用いられている。
【0049】
互いに電気的特性及び形状が同一の校正用アンテナ35(35a、35b)は、測定用アンテナ31とも電気的特性及び形状が同一である。この校正用アンテナ35(35a、35b)は、地面20に設置されている金属製の反射板38に向けて電波21を照射する校正用送信アンテナ35aと反射板38からの反射波を受信する校正用受信アンテナ35bとにより構成されている。
【0050】
反射板30、38は、校正系側及び測定系側とも地面20に設置されている。なお、この実施例の場合には、校正系に設置されている反射板38には、加熱装置(図示せず)が接続されており、雪の降る季節には、常時加熱して反射板38の表面に雪が積もらないように構成されている。測定系の反射板30には、自然な積雪が形成される。
【0051】
測定用アンテナ31と校正用アンテナ35とは、いずれも2本の支柱39、40に掛け渡されたポール41の中心線から等距離の位置に水平方向に可動可能に取り付けられている。その際、測定用アンテナ31は、積雪25の上方に取り付けられているとともに、測定用送信アンテナ31aと測定用受信アンテナ31bとの設置角度は、測定用送信アンテナ31aから放射された電波がすべて被測定物3で反射して測定用受信アンテナ31bで受信され、直接波34aが受信されないように設置されている。
【0052】
同様に、校正用アンテナ35は、反射板38の上方に取り付けられており、校正用送信アンテナ35aと校正用受信アンテナ35bとの設置角度は、上記測定用アンテナ31と同様に校正用送信アンテナ35aから放射された電波21がすべて反射板38で反射して校正用受信アンテナ35bで受信され、直接波34aが受信されないように設置されている。
【0053】
42は同軸切換器で、ネットワークアナライザ45に接続されているとともに、測定系と校正系とを切り換える手段を有し、測定系同軸ケーブル43及び校正系同軸ケーブル44を介して測定用及び校正用アンテナ31、35に接続されている。なお、測定系は、測定系同軸ケーブル43、測定用アンテナ31等により構成されており、校正系は、校正系同軸ケーブル44、校正用アンテナ35等により構成されている。
【0054】
ネットワークアナライザ45は、反射波の反射特性を測定するもので、同軸切換器42により測定系と校正系とを切り換え、それぞれ測定用受信アンテナ31b及び校正用受信アンテナ35bで受信された積雪25及び反射板38からの反射波の反射特性がそれぞれ測定されている。46はパソコンで、ネットワークアナライザ45で測定された測定系及び校正系における反射特性の測定結果から、それぞれ反射係数が算出され、次いで、この求めた反射係数から積雪25の誘電率εが算出される。
【0055】
次に、実際に測定系の反射板30上に自然に降り積もった積雪25の誘電率εを求める場合について説明する。
ここで、測定系の反射板37上には、自然に雪が降り積もり積雪25が形成されており、校正系の反射板38は常時加熱されており、従って、反射板38上には積雪25はない状態であるとする。そこで、測定系の反射板30上に積もった積雪25の誘電率εを求めるためには、上記の装置を用いて積雪25の反射特性を測定し、この反射特性から反射係数を求め、この反射係数から誘電率を算出しなければならない。
【0056】
先ず、上記実施例1と同様に、気象条件や温度変化等によりネットワークアナライザ45や測定系同軸ケーブル43、校正系同軸ケーブル44の伸縮等により測定機器の電気的特性が変動するため、これら測定機器の校正が行われる。この場合、校正系における反射板38上には、積雪がない状態で行われる。この実施例の場合には、校正系の反射板38は常時加熱されているので、表面に積雪はない。そこで、同軸切換器42を校正系に切り換えて電波21を校正用送信アンテナ35aから照射すると、反射板38からの反射波は、校正用受信アンテナ35bで受信され、ネットワークアナライザ45でその反射特性が測定される。校正時において測定された反射特性から反射係数が求められ、これによりネットワークアナライザ45や測定系同軸ケーブル43及び校正系同軸ケーブル44等の測定機器が校正される。
【0057】
次いで、同軸切換器42を測定系に切り換え、測定用送信アンテナ31aから電波21を反射板37上の積雪25面に照射して、その反射波を同様にして測定用受信アンテナ31bで受信し、ネットワークアナライザ45により反射特性が測定される。このように、測定された反射特性から、同様に積雪時における反射係数が求められる。この反射係数から積雪25の誘電率が算出される。このように、測定時には反射特性を測定し、この反射特性から反射係数が求められる。校正時には同軸切換器42により校正用アンテナ35に切り換えて時間経過・外気温の変化による測定系のドリフトをその都度校正し、次いで、同軸切換器42を測定系に切り換えて、測定時における反射特性を測定し、この反射特性から反射係数が求められ、長期的に積雪25の誘電率の変化を測定することが出来る。
【0058】
【実施例3】
第3の実施例では、誘電率測定装置14cは、図7に示す校正用アンテナ35と反射板38との代わりに、校正系にスルーした同軸ケーブル(以下、校正用伝送ケーブル50と記す)を用いたもので、以下、図8に基づいて詳細に説明する。なお、上記実施例1及び実施例2と同一のものは同一符号及び同一名称を用いるとともに、その説明を省略する。
【0059】
測定用アンテナ31は、実施例1と同様に、測定用送信アンテナ31aと測定用受信アンテナ31bとにより構成されており、同軸切換器42と測定用アンテナ31とを接続する測定系同軸ケーブル43と測定用アンテナ31等とにより測定系が構成されている。
【0060】
校正系を構成する校正用伝送ケーブル50は、実施例2における校正用アンテナ35と反射板38及び校正用アンテナ35と同軸切換器42とを接続する校正系同軸ケーブル44の代わりに、測定系の電気的特性と全く等しい電気的特性を有する直線状のスルーの同軸ケーブルで形成されている。なお、反射効率を改善するために設置されている反射板としては、実施例2における測定用の反射板37のみが使用される。その他は上記実施例2と同様である。
【0061】
この第3の実施例では、図9に示すように、同軸切換器42はネットワークアナライザ45と2本の同軸伝送線路51、52で接続されており、校正用伝送ケーブル50と測定系とを切り換える手段を有しており、測定用アンテナ31の近傍に設置されている。
【0062】
又、図9に示すように、校正用伝送ケーブル50と、測定用送信アンテナ31aと同軸切換器42とを接続する同軸ケーブル53と、測定用受信アンテナ31bと同軸切換器42とを接続する同軸ケーブル53bとは、同種の線材のケーブルを用いるとともに、同軸ケーブル53aと同軸ケーブル53bとの電気長の和が、校正用伝送ケーブル50の電気長に等しく、線路長も短いほうが望ましい。
【0063】
図8、図9に基づいて、実際に反射板37上に降り積もった積雪25の誘電率εを求める場合について説明する。
先ず、この第3の実施例の概略を述べると以下の通りである。
即ち、温度変化によるネットワークアナライザ45の変動や同軸ケーブル部分の伸縮等による測定誤差を排除するために、まず、積雪25の無い状態の時に測定用アンテナ31で測定したネットワークアナライザ校正係数から、校正用伝送ケーブル50側に切り換えて得られるネットワークアナライザ校正係数を差し引いたアンテナ間透過係数を求める。さらに、同様の手順で、測定用送信アンテナ1aと測定用受信アンテナ1bの相対位置を変えず天空方向を向けた状態でのアンテナ間結合係数を測定して、前記のアンテナ間透過係数からベクトル的に減算する。これは、基本的にはアンテナ間の結合と同軸ケーブル部分の影響を除いた測定機器校正値を測定したことになり、この値を測定機器校正値の初期値としてパソコン46に保存しておく。そして、この測定機器校正値(初期値)は、測定用アンテナ31のアンテナ特性が変動しないがぎり、固有の値である。
【0064】
次に、積雪状態において、同軸ケーブル部分の校正値を測定し、保存されている測定機器校正値(初期値)に加算して新たな測定機器校正値(積雪時における校正値)とする方法で、測定用送信アンテナ31aから測定用受信アンテナ31bへの直接波成分による測定誤差、測定時における温度変化によるネットワークアナライザ45の変動や同軸ケーブル部分の伸縮等による校正値誤差をなくし、反射板7と測定用アンテナ31からなる空間開放型の校正系における不安定要素を解消することが出来る。以下、さらに詳細に説明する。
【0065】
まず、積雪のない状態におけるネットワークアナライザ45の校正法(上記初期値を求める方法)について説明する。この測定では、積雪のない季節に実行され、長期測定時のために取得しておくデータが得られる。
まず、上記初期値を保存する手順は、以下のような手順で実行されて求められる。
同軸切換器42を測定用アンテナ31側に切り換えて、レスポンススルー校正を行う。測定用受信アンテナ31bで受信した反射波からネットワークアナライザ45で校正特性を測定し、この校正特性から求めた校正係数C#1(複素数)のデータをパソコンに保存する。
次に、同軸切換器42を校正用伝送ケーブル50側に切り換えて、レスポンススルー校正を行う。同様にしてネットワークアナライザ45で校正特性を測定し、この校正特性から求めた校正係数C#2(複素数)のデータをパソコンに保存する。
ここで、校正係数C♯1=|S♯1|εj 1、校正係数C♯2=|S♯2|εj ♯2とすると、測定用送信アンテナ31a及び測定用受信アンテナ31bのコネクタ端からみた透過係数は、下記式(6)で表される。
Figure 0003752169
従って、透過係数S 21は、校正係数C 1及び校正係数C 2から算出出来るがアンテナ間結合を含むのでこれを補正する。
まず、アンテナ間の相対位置を固定したまま、反射板30が存在しない状態(例えば真上の天空方向に2つのアンテナ開口を向けた状態)で、▲1▼〜▲3▼の手順を実行して、アンテナ間の結合係数S 21を測定し保存しておく。この結果、透過係数S 21からアンテナ間の結合係数S 21をベクトル的に引くことで結合を含まない送受信アンテナ間透過係数S 21が求められる。つまり、S 21=S 21−S 21は固有の値であり、測定用アンテナ1の特性(結合度、利得、コネクタ反射特性)が変わらない限り、気温変動によりケーブル長が変化した状態で実行して、送受信アンテナ間透過係数S 21値を求めても変動することは無い。従って、これを測定時における測定機器校正値の初期値としてパソコン46に保存しておく。
【0066】
次いで、積雪時における測定は、以下の手順で実行される。
同軸切換器42を校正用伝送ケーブル50側に切り換え、レスポンスルー校正を行う。この時ネットワークアナライザ45で校正特性を測定し、この校正特性から求めた校正係数C#2 データを取得する。
校正係数C#2 =|S♯2 |ε φ2 とし、保存してある透過係数S21 との積を求めると、下記式(7)となる。
Figure 0003752169
この積S21 が、積雪時における新たなレスポンス校正係数として、ネットワークアナライザ45へ転送される。
次いで、現在の測定データを追跡する。この値が、積雪時に測定した時の実際の測定値となる。
【0067】
このようにして、積雪時における実際の透過係数S21を求め、この値から反射法により積雪25の透過誘電率εを求める。
この積雪3の透過誘電率εを求めるためには、TE波が積雪面に入射した時の積雪面反射係数ΓTEを精度良く測定する必要がある。以下、積雪面反射係数ΓTEの測定について説明する。
【0068】
ここで、図10に示すように、測定用アンテナ31の送信アンテナ31a及び受信アンテナ31bの両アンテナ高さH、アンテナ指向性利得G、両アンテナ間の間隔をSとする。図10は、校正用の完全反射面を無限大とし、反射板30面上に厚さdの積雪25(誘電率εr=εs-jεs)がある状態を示している。
【0069】
測定用送信アンテナ31aから送信電界Etで照射された電波21は、積雪25面で反射し、測定用受信アンテナ31bで受信される。ここで、両アンテナ31a、31bのアンテナ軸Pa、Pは、完全反射面上の反射点Pに向いているものとする。又、送信球面波に対する積雪面反射係数は、平面波入射時の反射係数ΓTEで近似出来る(積雪層内では平面波伝搬と見なす)ものと仮定し、両アンテナ31a、31b間結合(直接波)やアンテナ−積雪面間の多重反射の影響は無視出来るものとする。
【0070】
積雪の無いときの受信電界強度Ermは、下記の式(9)のように示される。
【0071】
Figure 0003752169
【0072】
は自由空間中の伝搬定数、測定に用いた電波のλは波長である。測定用送信及び受信アンテナ利得は、いずれもGとする。積雪25の深さdにおける受信電界Ersは、ΓTEを用いて下記の式(10)で表す。
【0073】
Figure 0003752169
【0074】
従って、無積雪時の受信電界強度Ermを基準とした積雪3の深さdにおける受信電界Ers、即ち測定された伝達特性(反射係数を求めるためのもの)S21は、
【0075】
Figure 0003752169
となる。
【0076】
ここで、式(11)において、r/rは金属面反射時と積雪面反射時の伝搬線路長差であり、送信球面波の拡散にともなう伝搬損失の比を表し、アンテナ高Hが積雪25の深さdに較べて充分長い距離であれば1と見なせる。G(θ)/G(θ)は、金属反射面での入射角度の違いによるアンテナ利得変動比である。これらの2つの項は、1と見なせない場合には、ΓTEの振幅誤差となる。e−j2k(2kD(rs−r)は、伝搬経路長さに伴う位相差分である。測定されたS21は、これらの係数を補正しているので、誘電率を求めるための精度の良い反射係数が得られる。
【0077】
上記のようにして算出された積雪25の誘電率は、Cバンドの周波数帯で測定された結果であるので、VHF〜マイクロ波帯における特定周波数で測定された実験的に導出されている実験式に基づいて、外挿法により空港に設置されているグライドパスの周波数帯に換算して誘電率を算出する。この換算法については、すでに、実施例2において説明したので、その説明を省略する。
【0078】
このようにして実施例1〜実施例3に述べたいずれかの誘電率測定装置14(14a、14b、14c)を用いて誘電率が求められ、雪深測定装置15により、その時の雪深が求められる。さらに、形状データ、地形データなどの各種のデータに基づいて、GP進入コース8及びパス幅の変化が予測される。以下、これについて図11に示すシステムブロック図も参照して、詳細に説明する。
【0079】
先ず、基本データとして、誘電率測定装置14により測定されたフレネル反射面2の代表的な積雪の誘電率が、又、雪深測定装置15により、この誘電率の時の雪深がそれぞれデータファイル60から読み出されて、適宜GP進入コース予測装置1の予測計算装置18に入力される(ステップ61)。
【0080】
次いで、この予測計算装置18には、データファイル60に格納されている前方地形データが読み込まれる(ステップ62)。同様に、データファイル60に5m間隔のデータ列として格納されている階段状積雪構造の形状データが読み込まれ、2次の補間公式を示す下記式(12)により、式(13)に示す微少間隔のデータ列(1m間隔のデータ列)に変換される(ステップ63)。
【0081】
Figure 0003752169
【0082】
又、3素子のアンテナがオフセットされ、滑走路12からのGPアンテナ81がオフセットされる(ステップ62)。又、GPアンテナ81素子の高さデータが予測計算装置18に入力される(ステップ64)。
【0083】
次いで、直接波、反射波、回折波の計算がそれぞれ行われる。以下、これらの計算方法について、順次説明する(ステップ65)。
ここで、図12はGP進入コース8のパス形成概念図を示しており、航空機9においては、GPアンテナ81からの直接波、階段状積雪構造からの地面反射波、前方地形7の丘10などからの回折波の3種類の電波がそれぞれ電界強度の和として受信点で受信される。そして、GPの周波数は、330MHz、偏波面は水平偏波、GP反射面6への入射角Φ(Φ=Vin)(図13参照)は、3°≦Φ<6°である。
【0084】
まず、階段状積雪構造のGP反射面6における圧雪面3の反射波の解析について説明する。
図13に示すように、階段状積雪構造の圧雪面領域、即ち、雪質が一様、積雪の厚さtが一定の圧雪面3における電波の反射・透過モデルを示している。なお、R01は圧雪面3の表面反射、R10は圧雪面3の表面からの再反射、T01は圧雪面3から積雪内に透過した透過波、T10は積雪から自由空間への透過波、Vinは入射角である。
【0085】
積雪の複素誘電率εをε=ε’−jε”とすると、圧雪面3の反射係数Rは図14に示すRef1に相当する。送受信点が決まれば下記式(14)に示す反射係数より、反射波が求められる。
【0086】
Figure 0003752169
【0087】
なお、図13は積雪が最も単純な場合である。雪質が異なる積雪層が堆積している場合、各層の厚さと誘電率がわかれば解析することが出来る。誘電率測定装置14により求められる誘電率は、各層の平均値になるので、図13の反射・透過モデルより解析することが出来る。
【0088】
次に、階段状積雪構造における傾斜面4の反射波について解析する(ステップ65)。
発明者等の行った飛行検査では、図14に示す階段状積雪構造の傾斜面4の先に位置する自然積雪面5の雪深が1m以上になると、パス角よりも、パス幅の感度が顕著に広がってしまい、運用規定値を越えるという自体が発生した。これは、一定角度で立ち上がる傾斜面4で、図14に示すように、1回反射のref−2と圧雪面3で反射した後に傾斜面4でさらに反射する2重反射ref−12のような反射波が発生するためと考えられる。
【0089】
ここで、階段状積雪構造の傾斜面4の形状条件について検討すると、以下の通りである。
積雪の雪深tは、GPアンテナ81の高さを下から順次、H、H、Hとすると、H=4.4m、H=8.4m、H=12.5mに対して、0<t≦1mになり、H≫tが成立する。
階段状積雪構造のGP反射面6の形状は、浮体としてのメガロフロート(海上空港)と同様に上下の変形が緩やかである。傾斜面4の長さを数十mとすると、変形の周期は約Lλ=4×50=200mになり、Lλ≫Dが成立する。
以上の条件により、傾斜面4による反射波を求めるには、浮体としてのメガロフロートが波浪動揺により動的に弾性変形をするので、その解析法として発明者等が発明した以下に述べる折れ線近似による反射波解析法で解析することが出来る。
【0090】
以下、折れ線近似による反射波の解析法について図15に基づいて説明する。図11に示すデータファイル60から雪深データを読み込み、2次の補間式(12)により、微少間隔の座標列{……、(x、y)を求める。
微少間隔の座標の2点から接線を引き、その接線に線対称になるようにGPアンテナ81の座標変換をすると、イメージアンテナの座標(x、y)が、下記式(15)に示すように、求められる。
=−x,y=−yat+2y (15)
イメージアンテナの座標(x、y)と受信点を結ぶ直線を y=ax+bとして、その直線と任意の浮体上の座標(x、y)との距離mを求め、上記の▲1▼と▲2▼の処理を繰り返し、mの最小値(xf−2、yf−2)を算出する。GPアンテナ81のアンテナ素子からGP反射面6の入射角をΦとすると、曲面上の反射波Eは、下記式(16)より求められる。
【0091】
Figure 0003752169
ここで、反射波の反射係数は、下記式(17)により求められる。
【0092】
Figure 0003752169
ここで、εはGP反射面6の複素誘電率である。
【0093】
このようにして、予測計算装置18のデータファイル60に格納されている誘電率データ、その時の雪深データ及び形状データとからGP反射面6の反射係数が算出される(ステップ65)。
【0094】
次に、前方地形7における丘10や谷11等による回折波の算出について説明する。図1及び図16に示すように、前方地形7にある丘10や谷11等による回析波の解析では、丘10から航空機(図示せず)方向に発生する経路1の回折波と丘10で発生した回折波の一部が谷11で反射してから航空機の受信方向に反射する経路2の伝搬経路の異なる2種類の回折波を計算する(ステップ65)。
【0095】
ここで、前方地形データ発生部17で作成され、データファイル60に格納されている地形データのデータ列は、25m間隔である。そこで、2次の補間式(12)を用いて25m間隔のデータを補間して、微少間隔のデータ列に変換する(ステップ62)。特に、図16に示すように、経路2の場合には、地面の形状が曲面になるので、受信点の方向に反射点の位置を決定し、受信点における回折波の電界強度を計算する(ステップ65)。
【0096】
このようにして、直接波、反射波、回折波をGPアンテナ81から受信点までの距離を変えて、次々と計算する(ステップ66)。
【0097】
このようにして、直接波、反射波、回折の和によって受信点の受信信号を求め、この受信信号をILS受信機内部と等価な振幅変調の復調処理を施すことにより、GP進入コースやパス幅の変化が求められ(ステップ67)、GP進入コースが予測される。以下、GP進入コースの予測計算の基本計算式について説明する。
【0098】
ここで、わが国では、GPアンテナ81は、2周波3素子GPアンテナが標準方式として採用されている。このGPアンテナ81は、8kHz離れている2つのUHF帯(329〜335MHz)の搬送波を使用しており、低仰角の感度の低下を補強したアンテナ系である。
【0099】
一方、予測計算装置18には、GPアンテナ81の高さに関するデータ、H=4.4m、H=8.4m、H=12.5mが入力されている(ステップ64)。
【0100】
GPアンテナ81は開口面の大きい縦型空中線列で、rはアンテナ中心から航空機9迄の距離、θをアンテナ中心から航空機9迄のなす角、Φをアンテナ中心から航空機9迄の仰角の関数とすると、GP進入コースの予測式F(r,θ,φ)は、下記式(18)となる。
【0101】
Figure 0003752169
【0102】
ここで、Andはアンテナ素子のアンテナ電流、Lndはアンテナ素子から航空機9迄の距離、Angはイメージアンテナ素子のアンテナ電流、Lngはイメージアンテナ素子から航空機9迄の距離である。予測式(18)において、nはアンテナ素子数で、n=3になる。また、地面構造による反射係数で、地面が積雪面であれば、式(17)により積雪面の反射係数が求められる。予測式(18)のカッコの第3項目のD(Φ、Φ、ldiff)は回析成分である。前方の丘10による回折波を計算する場合、図16に示す経路1と経路2より、k=2となる。Φ、Φ及びldiff回折ポイントの境界条件である。
【0103】
ここで、航空機9で受信されるGP信号は、UHF帯の連続波を等振幅の90Hzと150Hzとで振幅変調した場合のデレクショナル系の搬送波成分Ecar、同じUHF波を90Hzと150Hzとで平衡変調した場合のデレクショナル系の側波帯成分Esbよりなる。クリアランス系は、8KHz異なるUHF波を150Hzで振幅変調した搬送波成分Eclからなり、それぞれ下記式(19)で表すことが出来る。
【0104】
Figure 0003752169
【0105】
ここで、Fcar、FsbはそれぞれGPアンテナ81のデレクショナル系の搬送波成分の指向性及びデレクショナル系の側波帯成分の指向性、FclはGPアンテナ81のクリアランス系の搬送波成分の指向性である。指数項の角周波数(ω0t+φ)とω0tの差分φの周波数が8kHzである。又、m、mはデレクショナル系の搬送波成分の変調度、デレクショナル系の側波帯成分の変調度で、共に、0.4に設定されている。又、Mclはクリアランス系の搬送波成分で、0.8に設定されている。但し、mの符号は、進入する航空機9から見てパスの下側では、150Hzの変調成分が優勢に、上側では90Hz変調成分が優勢になるように設定される。又、90Hz変調周波数の角周波数は、ρ=2π・90とρ=2π・150になり、搬送波の角周波数は、ω=2π・fになる。fはGPの搬送波で、その周波数範囲はf=328〜336MHzで、kは伝搬定数である。
【0106】
ここで、航空機9側で受信される2周波数、90Hzと150Hz信号の復調方法について説明する。
降下中の航空機9で受信される受信信号は、デレクショナル系とクリアランス系の搬送波と側帯波との和となり、式(20)で表される。
【0107】
Figure 0003752169
【0108】
上記式(20)の右辺の最初の{}内が、90Hz変調成分がm90、次の{}内が150Hzの変調成分がm150である。受信機では90Hzと150HzのフィルタをDC変換するが、それらは、式(21)により表すことが出来る。
【0109】
Figure 0003752169
【0110】1
ここで、90Hz変調成分はデレクショナル系のみであるが、150Hz変調成分には、デレクショナル系とクリアランス系の復調係数であるdR/dEcarとdR/dEclが含まれている。dR/dEcar復調係数は、下記式(22)によって求められる(ステップ67)。
【0111】
Figure 0003752169
【0112】
ここで、E(k)は第2種の完全楕円積分、K(k)は第1種の完全楕円積分で求められる係数である。90Hz変調成分はデレクショナル系のみ、150Hz変調成分はデレクショナル系とクリアランス系の両成分が含まれている。最終的に求める航空機9上の指示値DDMは、下記式(23)から求められる(ステップ67)。
【0113】
DDM=|m90|〜|m150| (23)
となる。以上が予測計算の基本計算式である。
【0114】
このようにして求めた結果は、データ画面及び回析結果出力画面としてそれぞれ表示部19に表示される(ステップ68)。データ画面では、入力したファイルの中身が図形表示され、階段状積雪構造の形状データや前方地形データ等がグラフ表示され、さらに、誘電率や雪深データが表示される。
【0115】
次いで、発明者等は、解析1の計算を行った。解析1は、現状の積雪状況の時の進入コース特性を計算する場合である。航空機9が3度のアプローチ飛行した時の進入コース特性と1250フィートのレベル飛行をした時の計算を行い、その結果である3度のパスストラクチャーとパス幅特性が表示される。
【0116】
次に、解析2の計算を行った。解析2は、豪雪予報が発令された時の積雪後の状態を想定して、予め実施するモードで、除雪対策を決定するために、不可欠である。フレネル反射面の積雪に降雪分を見込んで、パスストラクチャーとパス幅特性を計算した。
【0117】
さらに、解析3の計算を行った。解析3は、上記の解析2の計算をしたが、規定を外れる可能性が生じた場合である。このモードでは、傾斜面4の位置移動と傾斜角度及び自然積雪面5の領域における雪深を変えて、パスストラクチャーとパス幅特性を計算した。これらのデータは、運用を継続できる階段状積雪構造を決定し、除雪等等の次の作業を出来るようにするための判断データとしている。以上求めたデータ及び結果は、表示部19に表示される(ステップ68)。
【0118】
【発明の効果】
請求項1及び請求項2に係わる発明によれば、降雪地にある空港において、正確に求められた積雪の誘電率やGP反射面の地形及びこの前方に存在する前方地形をデータとしてGP進入コースを予測することが出来る。そして、この予測したGP進入コースに基づいて、フレネル反射面上の許容され得る積雪などのデータを入手することが出来る。又、GP進入コースに最も影響のある階段状積雪構造の傾斜面領域における傾斜角度や位置をずらす等のシュミレーションを行うことによって、GP進入コースの上下偏位を許容値内に維持することも出来る。
【0119】
請求項3〜請求項5に係わる発明によれば、請求項1及び請求項2に記載の発明の効果に加えて、積雪の正確な誘電率が得られるから、それだけGP進入コースの予測が正確となる。
【0120】
さらに、請求項4に係わる発明によれば、請求項1及び請求項2に記載の発明の効果に加えて、反射型の誘電率測定装置を利用して誘電率を求めているので、積雪に人為的な作業が施されることがないので、自然の積雪状態における誘電率を測定することが出来るとともに、測定機器の校正時における反射板上の積雪を除去する必要は全くなく、常にリアルタイムで誘電率をより正確に測定することが出来るから、より正確な誘電率のデータを利用して、GP進入コースの予測をすることが出来る。
【0121】
又、請求項5に係わる発明は、請求項4に係わる発明の効果に加えて、さらに測定用アンテナや同軸ケーブル等の測定データに影響を与える測定機器を屋外に設置し、長期間の測定の場合にも、周囲の環境温度変化による同軸ケーブル等の伸縮や風圧振動等による測定用アンテナと反射板との間隔の相対的な位置の変動に対しても全く考慮する必要がなく、従って、校正系と測定系との電気的特性が相違することもなくなり、より正確な誘電率が得られるから、このより正確な誘電率のデータを利用して、GP進入コースをより正確に予測することが出来る。
【0122】
請求項6に係わる発明によれば、測定用アンテナの形状を小型化出来る周波数帯(例えば、Cバンド)を用いて測定し、これを求める周波数帯(例えば、ILSのグライドパス周波数)に換算することが出来るので、形状の大きなアンテナ等を用いる必要がない。従って、従来のように、風圧の影響によるアンテナの振動や外来波により測定値の変動、又、測定用アンテナの高さ等の問題を除去することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1〜3を示すもので、GP進入コースに影響を与える地形図である。
【図2】この発明の実施例1〜3を示すもので、階段状積雪構造を示すGP反射面の地形断面図である。
【図3】この発明の実施例1〜3を示すもので、積雪の誘電率とパス角の変化を示す図である。
【図4】この発明の実施例1〜3を示すもので、積雪の雪深とパス角変化を示す図である。
【図5】この発明の実施例1〜3を示すシステム構成図である。
【図6】この発明の第1の実施例を示すもので、透過法による誘電率測定装置を示す図である。
【図7】この発明の第2の実施例を示すもので、反射法よる誘電率測定装置を示す図である。
【図8】この発明の第3の実施例を示すもので、反射法よる誘電率測定装置を示す図である。
【図9】この発明の第3の実施例を示すもので、反射法よる誘電率測定装置の説明図である。
【図10】この発明の第3の実施例を示すもので、反射法よる誘電率測定装置の説明図である。
【図11】この発明の実施例1〜3を示すシステムブロック図である。
【図12】GP進入コースの形成概念図ある。
【図13】階段状積雪構造の圧雪面の反射モデルである。
【図14】階段状積雪構造の傾斜面の反射モデルである。
【図15】折れ線近似による曲面上の反射点の算出法概念図である。
【図16】 丘10による回折波の説明図である。
【図17】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 フレネル反射面
3 圧雪面
4 傾斜面
5 自然積雪面
6 GP反射面
7 前方地形
8 GP進入コース
9 航空機
13 GP進入コース予測装置
14 誘電率測定装置
15 雪深測定装置
16 階段状積雪形状データ発生部
17 前方地形データ発生部
18 予測計算装置
19 表示部

Claims (6)

  1. ILSのグライドパスのGP進入コースに影響する積雪の反射面は、フレネル反射面を形成する一定雪深の圧雪面から傾斜面を介して自然積雪面へと連設する階段状積雪構造のGP反射面と、このGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形反射面とからなり、
    前記GP反射面と前記前方地形反射面の各雪深を、雪深測定装置で測定し、
    前記階段状積雪構造を表す形状データを、階段状積雪形状データ発生部で作成し、この作成した形状データをデータファイルに格納し、
    前記GP反射面の前方に位置する前方地形の前方地形データを、前方地形データ発生部で作成し、この作成した前方地形データをデータファイルに格納し、
    前記階段状積雪構造をなす積雪の代表的な誘電率を、誘電率発生装置により計測し、この計測した誘電率をデータファイル格納するとともに、このデータファイルに格納されている前記各誘電率のそれぞれ測定時における各雪深を、雪深測定装置により測定し、
    グライドパスのGPアンテナの高さデータを予測計算装置に入力し、
    それぞれ求めた前記形状データと前記前方地形データと前記代表的な誘電率とこの時の前記雪深とを、前記データファイルから読み出して前記予測計算装置に入力し、
    この予測計算装置において、前記階段状積雪構造の圧雪面及び傾斜面における反射係数を、前記GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各反射係数からそれぞれ反射波の電界強度を求め、同様にして前記前方地形による電波の回折波を、順次求めるとともに、これらの求めた各回折波の電界強度を求め、さらに、前記受信点における直接波を、前記GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各直接波の電界強度を求め、
    前記予測計算装置において、前記GPアンテナの高さデータとこのGPアンテナから受信点迄の距離を変えて求めた前記各反射波と前記各直接波と前記各回折波のそれぞれ前記各電界強度とから、パス角の変化とパス幅の変化とを求めてグライドパスのGP進入コースを予測すること
    を特徴とするILSのグライドパスのGP進入コース予測方法。
  2. ILSのグライドパスのGP進入コースに影響する積雪の反射面は、フレネル反射面を形成する一定雪深の圧雪面から傾斜面を介して自然積雪面へと連設する階段状積雪構造のGP反射面とこのGP反射面の前方に位置する前方地形が形成する前方地形反射面とからなり、
    前記GP反射面と前記前方地形反射面の各雪深を、雪深測定装置で測定し、
    前記圧雪面と前記傾斜面の傾斜角度とから前記階段状積雪構造を表す形状データを発生する階段状積雪形状データ発生部と、
    前記GP反射面の前方に位置する前方地形の傾斜角度から前方地形データを発生する前方地形データ発生部と、
    前記階段状積雪構造をなす積雪の代表的な誘電率を測定する誘電率測定装置と、
    前記フレネル反射面に設置されており、前記誘電率を測定した時の雪深を求める前記雪深測定装置と、
    少なくともそれぞれ求めた前記形状データと前記前方地形データと前記代表的な誘電率とこの誘電率を測定した時の前記雪深とを格納するデータファイルと、
    下記(イ)〜(ニ)に記載する機能を有する予測計算装置と、
    (イ)前記階段状積雪構造の圧雪面及び傾斜面における反射係数を、前記GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各反射係数からそれぞれ反射波の電界強度を求める機能と、
    (ロ)同様にして前記前方地形による電波の回折波を、順次求めるとともに、これらの求めた各回折波の電界強度を求める機能と、
    (ハ)前記受信点における直接波を、前記GPアンテナから受信点迄の距離を変えて順次求めるとともに、これらの求めた各直接波の電界強度を求める機能と、
    (ニ)前記GPアンテナの高さデータとこのGPアンテナから受信点迄の距離を変えて求めた前記各反射波と前記各直接波と前記各回折波のそれぞれ前記各電界強度の和によって受信点の受信信号を求め、この受信信号をILS受信機内部と等価な振幅変調の復調処理を施すことにより、パス角の変化とパス幅の変化とを求めてグライドパスのGP進入コースを予測する機能と
    を備えたことを特徴とするILSのグライドパスのGP進入コース予測装置。
  3. 前記誘電率測定装置は、地面に設置され、電波が透過可能な透過ボードと、この透過ボードの上方及び下方(地下)に対向して配置した送信用及び受信用アンテナと、受信された透過波の透過特性を測定するネットワークアナライザとを有し、前記測定した前記透過特性から透過係数を求め、この透過係数から前記積雪の誘電率を求める機能とを有する透過法による誘電率測定装置を用いたこと
    を特徴とする請求項2に記載のILSのグライドパスのGP進入コース予測装置。
  4. 前記誘電率測定装置は、それぞれ電気的特性及び形状が同一で、前記積雪に電波を照射する測定用送信アンテナと前記積雪からの反射波を受信する測定用受信アンテナとからなる測定用アンテナと、
    この測定用アンテナとそれぞれ電気的特性及び形状が同一で、測定機器の校正時に電波を照射する校正用送信アンテナとその反射波を受信する校正用受信アンテナとからなる校正用アンテナと、
    反射特性を測定するネットワークアナライザに接続され、校正系及び測定系同軸ケーブルによりそれぞれ前記校正用アンテナと前記測定用アンテナとに接続されているとともに、前記校正用アンテナと前記校正系同軸ケーブルとを有する校正系と前記測定用アンテナと前記測定系同軸ケーブルとを有する測定系とを切り換える手段を有する同軸切換器と、
    この同軸切換器を介して前記校正系と前記測定系とに接続されているとともに、前記校正系からの反射波と前記測定系からの反射波との反射特性をそれぞれ測定する前記ネットワークアナライザと、
    このネットワークアナライザでそれぞれ求めた前記校正系からの反射特性と前記測定系からの反射特性とに基づいて前記積雪の誘電率を算出する機能と、
    を有する反射法による誘電率測定装置を用いたこと
    を特徴とする請求項2に記載のILSのグライドパスのGP進入コース予測装置。
  5. 電気的特性及び形状の等しい測定用送信アンテナと測定用受信アンテナとからなる測定用アンテナと、
    この測定用アンテナを同軸切換器に接続する同軸ケーブルと前記測定用アンテナとを有する測定系が構成され、
    この測定系の電気的特性と等しい電気的特性を有し、前記同軸切換器に接続されたスルーの校正用伝送ケーブルと、
    ネットワークアナライザに接続され、前記校正用伝送ケーブルと前記測定系とを切り換える手段を有する前記同軸切換器と、
    この同軸切換器を介して前記校正用伝送ケーブルと前記測定系とに接続されているとともに、前記校正用伝送ケーブル及び測定系からの校正特性と前記測定系からの反射特性及びアンテナ間結合特性を測定する前記ネットワークアナライザと、
    前記反射特性、前記校正特性からそれぞれ校正係数、反射係数、結合係数を算出する機能と、前記測定機器校正値の初期値を求める機能と、これらの値を保存する機能と、測定した前記積雪の反射係数から前記積雪の誘電率を算出する機能と、
    を有する反射法による誘電率測定装置を用いたこと
    を特徴とする請求項2に記載のILSのグライドパスのGP進入コース予測装置。
  6. 前記誘電率測定装置は、前記電波の周波数帯において求めた前記積雪の誘電率を、VHF〜マイクロ波帯において導出されている実験式に基づいて、外挿法により測定に使用した電波の周波数帯から他の周波数帯に換算する機能を有すること
    を特徴とする請求項3〜請求項5にそれぞれ記載のILSのグライドパスのGP進入コース予測装置。
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