JP3751903B2 - Process for producing modified ethylene-vinyl alcohol copolymer - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法に関する。また本発明はバリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性に優れる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体及びそれからなるバリア材に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)は透明性及びガスバリア性に優れているが、延伸性及び耐屈曲性に欠ける欠点がある。この欠点を改善するために、EVOHにエチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−プロピレン共重合体等の柔軟な樹脂をブレンドする方法が知られている。しかし、この方法では、透明性が大きく低下する欠点がある。
【0003】
また、耐ストレスクラッキング性、耐極性溶剤性、耐水性に優れ、かつ良好な酸素等のガスバリア性と優れた成形性、特に延伸性を併せ持った、エチレン含有量25〜60モル%、けん化度95モル%以上、ケイ素含有量0.0005〜0.2モル%のケイ素含有EVOHからなる溶融成形材料が知られている(特開昭60−144304号公報参照)。
【0004】
特開昭50−12186号公報には、エチレン含有率が20〜90モル%でありかつケン化度が95%以上であるEVOH100重量部に対して0.01〜0.8重量部の多価のエポキシ化合物を反応させることを特徴とする、成形加工性の改良されたEVOH変性物の製造方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の技術では、EVOHが有する延伸性及び耐屈曲性がいずれにおいても必ずしも十分とはいえなかった。さらに、EVOHの延伸性及び耐屈曲性と、透明性とを同時に満足するものではなかった。
【0006】
特開昭50−12186号公報には、成形加工性の改良として、EVOHをT−ダイによりフィルムに成形するときのネックイン(製品巾がダイス・スリット巾より狭くなる現象)の改良が記載されているが、本発明の目的である延伸性及び耐屈曲性の改良については、全く記載されていない。また、上記公報に記載されている、多価のエポキシ化合物を特定量反応させたEVOHでは、延伸性及び耐屈曲性の改善効果が得られない。さらに、多価のエポキシ化合物を用いた場合は、本願発明で特定する、エポキシ化合物による変性量が、特定の範囲内であるEVOHを製造することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、バリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性に優れる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体及びそれからなるバリア材を提供しようとするものである。また、そのような変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)とを、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒(D)の存在下に押出機中で溶融混練することを特徴とする変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法を提供することによって解決される。
【0009】
好適な実施態様では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量が5〜55モル%で、ケン化度が90%以上である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。また、好適な実施態様では、一価エポキシ化合物(B)が炭素数2〜8のエポキシ化合物である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0010】
好適な実施態様では、触媒(D)が、亜鉛イオンを含む変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。また、好適な実施態様では、触媒(D)が、スルホン酸イオンを含む変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0011】
好適な実施態様では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して一価エポキシ化合物(B)1〜50重量部を溶融混練する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。また、好適な実施態様では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の重量に対する金属イオンのモル数で0.1〜20μmol/gの触媒(D)を存在させる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0012】
好適な実施態様では、溶融状態のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対して、一価エポキシ化合物(B)と触媒(D)の混合物を添加する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0013】
好適な実施態様では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と一価エポキシ化合物(B)とを触媒(D)の存在下に溶融混練した後に、触媒失活剤(E)を添加して更に溶融混練する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。より好適な実施態様では、触媒失活剤(E)がキレート化剤である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0014】
好適な実施態様では、触媒(D)に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤(E)のモル数の比(E/D)が0.2〜10である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。また、好適な実施態様では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、触媒(D)の存在下に溶融混練し、未反応の一価エポキシ化合物(B)を除去した後に触媒失活剤(E)を添加する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法である。
【0015】
また、本発明が解決しようとする課題は、下記構造単位(I)を0.3〜40モル%含有し、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを0.1〜20μmol/g含有する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を提供することによっても達成される。
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。R1、R2、R3及びR4は同じ基でも良いし、異なっていても良い。R3とR4とは結合していてもよい。またR1、R2、R3及びR4は水酸基、カルボキシル基又はハロゲン原子を有していてもよい。)
【0018】
好適な実施態様では、スルホン酸イオンを含有する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)である。より好適な実施態様では、アルカリ金属イオンの含有量がスルホン酸イオンの含有量の1〜50倍(モル比)である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)である。
【0019】
好適な実施態様では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、バリア材として用いられる。好適な実施態様では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は成形品として用いられる。また好適な実施態様では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を少なくとも1層含む多層構造体として用いられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、EVOH(A)と分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)とを、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒(D)の存在下に押出機中で溶融混練することを特徴とする変性EVOH(C)の製造方法である。
【0021】
本発明に用いられるEVOH(A)としては、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られるものが好ましい。EVOHの製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、本発明の目的が阻害されない範囲であれば、他の共単量体、例えば、プロピレン、ブチレン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸又はそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物;不飽和スルホン酸又はその塩;アルキルチオール類;N−ビニルピロリドンなどのビニルピロリドン等を共重合することもできる。
【0022】
EVOH(A)として、共重合成分としてビニルシラン化合物を共重合したEVOHを用いる場合、共重合量として0.0002〜0.2モル%を含有することが好ましい。かかる範囲でビニルシラン化合物を共重合成分として有することにより、共押出成形を行う際の、基材樹脂と変性EVOH(C)との溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押出多層フィルム成形物の製造が可能となる場合がある。特に、溶融粘度の高い基材樹脂を用いる場合、均質な共押出多層フィルム成形物を得ることが容易となる。ここで、ビニルシラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0023】
本発明に用いられるEVOH(A)のエチレン含有量は5〜55モル%であることが好ましい。本発明の変性EVOH(C)が、良好な延伸性及び耐屈曲性を得る観点からは、EVOH(A)のエチレン含有量の下限はより好適には10モル%以上であり、さらに好適には20モル%以上であり、特に好適には25モル%以上であり、さらに好適には31モル%以上である。一方、本発明の変性EVOH(C)のガスバリア性の観点からは、EVOH(A)のエチレン含有量の上限はより好適には50モル%以下であり、さらに好適には45モル%以下である。エチレン含有量が5モル%未満の場合は溶融成形性が悪化する虞があり、55モル%を超えるとガスバリア性が不足する虞がある。
【0024】
なおここで、EVOH(A)がエチレン含有量の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をエチレン含有量とする。
【0025】
さらに、本発明に用いられるEVOH(A)のビニルエステル成分のケン化度は好ましくは90%以上である。ビニルエステル成分のケン化度は、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上であり、最適には99%以上である。ケン化度が90%未満では、ガスバリア性、特に高湿度時のガスバリア性が低下する虞があるだけでなく、熱安定性が不十分となり、成形物にゲル・ブツが発生しやすくなる虞がある。
【0026】
なおここで、EVOH(A)がケン化度の異なる2種類以上のEVOHの配合物からなる場合には、配合重量比から算出される平均値をケン化度とする。
【0027】
なお、EVOH(A)のエチレン含有量及びケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。
【0028】
さらに、EVOH(A)として、本発明の目的を阻害しない範囲内で、ホウ素化合物をブレンドしたEVOHを用いることもできる。ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。
【0029】
EVOH(A)として、ホウ素化合物をブレンドしたEVOHを用いる場合、ホウ素化合物の含有量は好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。この範囲内でホウ素化合物をブレンドすることで加熱溶融時のトルク変動が抑制されたEVOHを得ることができる。20ppm未満ではそのような効果が小さく、2000ppmを超えるとゲル化しやすく、成形性不良となる場合がある。
【0030】
また、EVOH(A)として、リン酸化合物を配合したEVOHを用いてもよいが、リン酸塩は触媒を失活させるのでできるだけ少ないことが好ましい。これにより樹脂の品質(着色等)を安定させることができる。本発明に用いられるリン酸化合物としては特に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第一リン酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩のいずれの形で含まれていても良いが、第一リン酸塩が好ましい。そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。これらの中でもリン酸二水素ナトリウム及びリン酸二水素カリウムが好ましい。
【0031】
本発明に用いられるEVOH(A)の、リン酸化合物の含有量は、好適にはリン酸根換算で200ppm以下であり、より好適には100ppm以下であり、最適には50ppm以下である。
【0032】
また、後述する通り、本発明の変性EVOH(C)は、好適にはEVOH(A)と分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)との反応を、押出機内で行わせることによって得られるが、その際に、EVOHは加熱条件下に晒される。この時に、EVOH(A)が過剰にアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を含有していると、本発明の触媒(D)を失活させるため、それらの添加量はできるだけ少ないことが好ましい。また、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の含有量が多すぎると、得られる変性EVOH(C)に着色が生じる虞や、溶融粘度低下によって成形性が悪化する虞もある。
【0033】
上記の問題を回避するためには、EVOH(A)が含有するアルカリ金属塩が金属元素換算値で50ppm以下であることが好ましい。より好ましい実施態様では、EVOH(A)が含有するアルカリ金属塩が金属元素換算値で30ppm以下であり、さらに好ましくは20ppm以下である。また、同様な観点から、EVOH(A)が含有するアルカリ土類金属塩が金属元素換算値で20ppm以下であることが好ましく、10ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましく、EVOH(A)にアルカリ土類金属塩が実質的に含まれていないことが最も好ましい。
【0034】
また、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、EVOH(A)として、熱安定剤、酸化防止剤を配合したものを用いることもできる。
【0035】
本発明に用いられるEVOH(A)の固有粘度は0.06L/g以上であることが好ましい。EVOH(A)の固有粘度はより好ましくは0.07〜0.2L/gの範囲内であり、さらに好ましくは0.075〜0.15L/gであり、特に好ましくは0.080〜0.12L/gである。EVOH(A)の固有粘度が0.06L/g未満の場合、延伸性、柔軟性及び耐屈曲性が低下する虞がある。また、EVOH(A)の固有粘度が0.2L/gを越える場合、変性EVOH(C)からなる成形物においてゲル・ブツが発生しやすくなる虞がある。
【0036】
本発明に用いられるEVOH(A)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。MFRの異なる2種以上のEVOHを混合して用いることもできる。
【0037】
本発明に用いられる分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)は、一価のエポキシ化合物であることが必須である。すなわち、分子内にエポキシ基を一つだけ有するエポキシ化合物でなければならない。二価又はそれ以上の、多価のエポキシ化合物を用いた場合は、本発明の効果を奏することができない。ただし、一価エポキシ化合物の製造工程において、ごく微量に多価エポキシ化合物が含まれることがある。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ごく微量の多価エポキシ化合物が含まれる一価のエポキシ化合物を、本発明における分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)として使用することも可能である。
【0038】
本発明に用いられる分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)は特に限定されない。具体的には、下記式(III)〜(IX)で示される化合物が、好適に用いられる。
【0039】
【化3】
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】
【0043】
【化7】
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
【0046】
(式中、R5、R6、R7、R8及びR9は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基又はアルケニル基など)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(フェニル基など)を表す。また、i、j、k、l及びmは、1〜8の整数を表す。)
【0047】
上記式(III)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、エポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、2,3−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−1,2−エポキシペンタン、4−メチル−2,3−エポキシペンタン、3−エチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−エチル−1,2−エポキシヘキサン、3−プロピル−1,2−エポキシヘキサン、4−エチル−1,2−エポキシヘキサン、5−メチル−1,2−エポキシヘキサン、4−メチル−2,3−エポキシヘキサン、4−エチル−2,3−エポキシヘキサン、2−メチル−3,4−エポキシヘキサン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−1,2−エポキシへプタン、5−メチル−1,2−エポキシへプタン、6−メチル−1,2−エポキシへプタン、3−エチル−1,2−エポキシへプタン、3−プロピル−1,2−エポキシへプタン、3−ブチル−1,2−エポキシへプタン、4−エチル−1,2−エポキシへプタン、4−プロピル−1,2−エポキシへプタン、5−エチル−1,2−エポキシへプタン、4−メチル−2,3−エポキシへプタン、4−エチル−2,3−エポキシへプタン、4−プロピル−2,3−エポキシへプタン、2−メチル−3,4−エポキシへプタン、5−メチル−3,4−エポキシへプタン、5−エチル−3,4−エポキシへプタン、2,5−ジメチル−3,4−エポキシへプタン、2−メチル−5−エチル−3,4−エポキシへプタン、1,2−エポキシヘプタン、2,3−エポキシヘプタン、3,4−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、3,4−エポキシオクタン、4,5−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、3,4−エポキシノナン、4,5−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、2,3−エポキシデカン、3,4−エポキシデカン、4,5−エポキシデカン、5,6−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、2,3−エポキシウンデカン、3,4−エポキシウンデカン、4,5−エポキシウンデカン、5,6−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、2,3−エポキシドデカン、3,4−エポキシドデカン、4,5−エポキシドデカン、5,6−エポキシドデカン、6,7−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−エポキシプロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン、1−フェニル−1,2−エポキシブタン、3−フェニル−1,2−エポキシブタン、4−フェニル−1,2−エポキシブタン、1−フェニル−1,2−エポキシペンタン、3−フェニル−1,2−エポキシペンタン、4−フェニル−1,2−エポキシペンタン、5−フェニル−1,2−エポキシペンタン、1−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、3−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、4−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、5−フェニル−1,2−エポキシヘキサン、6−フェニル−1,2−エポキシヘキサン等が挙げられる。
【0048】
上記式(IV)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−3−ペンチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ヘキシルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ヘプチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−オクチルオキシプロパン、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、1,2−エポキシ−3−ベンジルオキシプロパン、1,2−エポキシ−4−メトキシブタン、1,2−エポキシ−4−エトキシブタン、1,2−エポキシ−4−プロポキシブタン、1,2−エポキシ−4−ブトキシブタン、1,2−エポキシ−4−ペンチルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−ヘキシルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−ヘプチルオキシブタン、1,2−エポキシ−4−フェノキシブタン、1,2−エポキシ−4−ベンジルオキシブタン、1,2−エポキシ−5−メトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−エトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−プロポキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ブトキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ペンチルオキシペンタン、1,2−エポキシ−5−ヘキシルオキシペンタン、1,2−エポキシ−5−フェノキシペンタン、1,2−エポキシ−6−メトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−エトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−プロポキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−ブトキシヘキサン、1,2−エポキシ−6−ヘプチルオキシヘキサン、1,2−エポキシ−7−メトキシへプタン、1,2−エポキシ−7−エトキシへプタン、1,2−エポキシ−7−プロポキシへプタン、1,2−エポキシ−7−ブチルオキシへプタン、1,2−エポキシ−8−メトキシへプタン、1,2−エポキシ−8−エトキシへプタン、1,2−エポキシ−8−ブトキシへプタン、グリシドール、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−ペンタノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、6,7−エポキシ−1−へプタノール、7,8−エポキシ−1−オクタノール、8,9−エポキシ−1−ノナノール、9,10−エポキシ−1−デカノール、10,11−エポキシ−1−ウンデカノール等が挙げられる。
【0049】
上記式(V)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロパンジオールモノグリシジルエーテル、ブタンジオールモノグリシジルエーテル、へプタンジオールモノグリシジルエーテル、ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、へプタンジオールモノグリシジルエーテル、オクタンジオールモノグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0050】
上記式(VI)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、3−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−プロペン、4−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ブテン、5−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ペンテン、6−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ヘキセン、7−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−ヘプテン、8−(2,3−エポキシ)プロポキシ−1−オクテン等が挙げられる。
【0051】
上記式(VII)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、3,4−エポキシ−2−ブタノール、2,3−エポキシ−1−ブタノール、3,4−エポキシ−2−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ペンタノール、1,2−エポキシ−3−ペンタノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,3−エポキシ−1−ヘキサノール、3,4−エポキシ−2−ヘキサノール、4,5−エポキシ−3−ヘキサノール、1,2−エポキシ−3−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−エチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジメチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4,4−ジエチル−1−ヘキサノール、2,3−エポキシ−4−メチル−4−エチル−1−ヘキサノール、3,4−エポキシ−5−メチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−5,5−ジメチル−2−ヘキサノール、3,4−エポキシ−2−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−ヘプタノール、4,5−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−4−ヘプタノール、1,2−エポキシ−3−ヘプタノール、2,3−エポキシ−1−オクタノール、3,4−エポキシ−2−オクタノール、4,5−エポキシ−3−オクタノール、5,6−エポキシ−4−オクタノール、2,3−エポキシ−4−オクタノール、1,2−エポキシ−3−オクタノール、2,3−エポキシ−1−ノナノール、3,4−エポキシ−2−ノナノール、4,5−エポキシ−3−ノナノール、5,6−エポキシ−4−ノナノール、3,4−エポキシ−5−ノナノール、2,3−エポキシ−4−ノナノール、1,2−エポキシ−3−ノナノール、2,3−エポキシ−1−デカノール、3,4−エポキシ−2−デカノール、4,5−エポキシ−3−デカノール、5,6−エポキシ−4−デカノール、6,7−エポキシ−5−デカノール、3,4−エポキシ−5−デカノール、2,3−エポキシ−4−デカノール、1,2−エポキシ−3−デカノール等が挙げられる。
【0052】
上記式(VIII)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロヘプタン、1,2−エポキシシクロオクタン、1,2−エポキシシクロノナン、1,2−エポキシシクロデカン、1,2−エポキシシクロウンデカン、1,2−エポキシシクロドデカン等が挙げられる。
【0053】
上記式(IX)で表される分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、3,4−エポキシシクロペンテン、3,4−エポキシシクロヘキセン、3,4−エポキシシクロヘプテン、3,4−エポキシシクロオクテン、3,4−エポキシシクロノネン、1,2−エポキシシクロデセン、1,2−エポキシシクロウンデセン、1,2−エポキシシクロドデセン等が挙げられる。
【0054】
本発明に用いられる分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としては、炭素数が2〜8のエポキシ化合物が特に好ましい。化合物の取り扱いの容易さ、及びEVOH(A)との反応性の観点からは、一価エポキシ化合物(B)の炭素数は好適には2〜6であり、より好適には2〜4である。また、一価エポキシ化合物(B)が、上記式(III)又は(IV)で表される化合物であることが好ましい。EVOH(A)との反応性、及び得られる変性EVOH(C)のガスバリア性の観点からは、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタン及びグリシドールが特に好ましく、中でもエポキシプロパン及びグリシドールが好ましい。食品包装用途、飲料包装用途、医薬品包装用途などの、衛生性を要求される用途では、エポキシ化合物(B)として1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン及びエポキシエタンを用いることが好ましく、特にエポキシプロパンを用いることが好ましい。
【0055】
一価エポキシ化合物(B)の好適な混合量は、EVOH(A)100重量部に対して1〜50重量部であり、さらに好適には2〜40重量部であり、特に好適には5〜35重量部である。
【0056】
本発明の製造方法では、上記EVOH(A)と上記一価エポキシ化合物(B)とを押出機中で溶融混練して反応させることによって変性EVOH(C)を製造する。押出機中で溶融混練する以外の方法としては、溶液反応による製造法も考えられ、EVOH(A)の溶液に触媒存在下で一価エポキシ化合物(B)を反応させることによっても、変性EVOH(C)を得ることはできる。しかしながら、以下に述べるような理由から押出機内で溶融混練してEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させる方が好適である。
【0057】
押出機内で反応させる製造法と、溶液反応による製造法を比較した場合、溶液反応の場合は、EVOH(A)を溶解させる溶媒が必要であり、反応終了後に該溶媒を反応系から回収・除去する必要があり、工程が煩雑なものとなる。また、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応性を高めるためには、反応系を加熱及び/又は加圧条件下に維持することが好ましいが、溶液反応の場合と比較して、押出機内での反応ではかかる反応系の加熱及び/又は加圧条件の維持が容易であり、その観点からも押出機内での反応のメリットは大きい。
【0058】
さらに、溶液反応によってEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応を行った場合、反応の制御が必ずしも容易ではなく、過剰に反応が進行してしまう虞がある。すなわち、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応の結果、下記構造単位(I)を有する変性EVOH(C)が得られるが、前記構造単位(I)に含まれる水酸基に、さらに一価エポキシ化合物(B)が反応することにより、本発明で特定する構造単位とは異なるものが得られる虞があった。
【0059】
【化10】
【0060】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基又はアルケニル基など)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(フェニル基など)を表す。R1、R2、R3及びR4は同じ基でもよいし、異なっていても良い。また、R3とR4とは結合していてもよい(ただし、R3及びR4がともに水素原子の場合は除かれる)。また上記のR1、R2、R3及びR4は他の基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子などを有していてもよい。)
【0061】
具体的には、一価エポキシ化合物(B)がエチレンオキサイドである場合、上述した過剰な反応の進行により、下記に示す構造単位(II)を含有するEVOHが生じることになる。
【0062】
【化11】
【0063】
(式中、nは1以上の自然数を表す。)
【0064】
本発明者らが検討を行った結果、上記構造単位(I)とは異なる、上記構造単位(II)を含有する割合が多くなることにより、得られる変性EVOH(C)のガスバリア性が低下することが明らかになった。さらに、押出機内でEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応を行った場合は、このような副反応の発生を効果的に抑制できることを見出した。かかる観点からも、押出機内でEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応を行うことにより、変性EVOH(C)を製造する方法が好ましい。
【0065】
また、本発明で用いられる分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)は、必ずしも沸点の高いものばかりではないため、溶液反応による製造法では、反応系を加熱した場合、系外に一価エポキシ化合物(B)が揮散する虞がある。しかしながら、押出機内でEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させることにより、一価エポキシ化合物(B)の系外への揮散を抑制することが可能である。特に、押出機内に一価エポキシ化合物(B)を添加する際に、加圧下で圧入することにより、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応性を高め、かつ一価エポキシ化合物(B)の系外への揮散を顕著に抑制することが可能である。
【0066】
本発明の製造方法では、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒(D)の存在下に押出機中で溶融混練する。周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒(D)を存在させることによって、より低い温度で溶融混練しても効率良くEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させることができる。すなわち、比較的低温での溶融混練によっても、変性量の大きい変性EVOH(C)を容易に得ることができる。EVOHは高温での溶融安定性が必ずしも良好な樹脂ではないことから、このように低温で溶融混練できることは、樹脂の劣化を防止できる点から好ましい。触媒(D)を使用せずにEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させた場合には、得られる変性EVOH(C)のMFRが原料のEVOH(A)のMFRよりも低下する傾向があるが、触媒(D)を使用した場合には、MFRはほとんど変化しない。
【0067】
本発明で使用される触媒(D)は、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含むものである。触媒(D)に使用される金属イオンとして最も重要なことは適度のルイス酸性を有することであり、この点から周期律表第3〜12族に属する金属のイオンが使用される。これらの中でも、周期律表第3族又は第12族に属する金属のイオンが適度なルイス酸性を有していて好適であり、亜鉛、イットリウム及びガドリニウムのイオンがより好適なものとして挙げられる。中でも、亜鉛のイオンを含む触媒(D)が、触媒活性が極めて高く、かつ得られる変性EVOH(C)の熱安定性が優れていて、最適である。
【0068】
周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの添加量はEVOH(A)の重量に対する金属イオンのモル数で0.1〜20μmol/gであることが好適である。多すぎる場合には、溶融混練中にEVOHがゲル化する虞があり、より好適には10μmol/g以下である。一方、少なすぎる場合には、触媒(D)の添加効果が十分に奏されない虞があり、より好適には0.5μmol/g以上である。なお、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの好適な添加量は、使用する金属の種類や後述のアニオンの種類によっても変動するので、それらの点も考慮した上で、適宜調整されるべきものである。
【0069】
周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを含む触媒(D)のアニオン種は特に限定されるものではないが、その共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含むことが好ましい。共役酸が強酸であるアニオンは、通常求核性が低いので一価エポキシ化合物(B)と反応しにくく、求核反応によってアニオン種が消費されて、触媒活性が失われることを防止できるからである。また、そのようなアニオンを対イオンに有することで、触媒(D)のルイス酸性が向上して触媒活性が向上するからである。
【0070】
共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンとしては、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン;塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン;過塩素酸イオン;テトラフルオロボレートイオン(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF6 −)、ヘキサフルオロアルシネートイオン(AsF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネートイオン等の4個以上のフッ素原子を持つアニオン;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のテトラフェニルボレート誘導体イオン;テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト(III)イオン、ビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄(III)イオン等のカルボラン誘導体イオンなどが例示される。
【0071】
上記例示したアニオン種のうち、ヘキサフルオロホスフェートやテトラフルオロボレート等のアニオン種を含む触媒(D)を使用した場合には、アニオン種そのものは熱的に安定で求核性も非常に低いものの、当該アニオン種がEVOH中の水酸基と反応してフッ化水素が発生し、樹脂の熱安定性に悪影響を与える虞がある。また、コバルトのカルボラン誘導体イオン等はEVOHと反応することがなく、アニオン種自体も熱的に安定ではあるが、非常に高価である。
【0072】
EVOHと反応することがなく、アニオン種自体も熱的に安定であり、かつ価格も適切なものであることから、触媒(D)のアニオン種としてはスルホン酸イオンが好ましい。好適なスルホン酸イオンとしては、メタンスルホン酸イオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオンが例示され、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが最適である。
【0073】
触媒(D)のカチオン種として亜鉛イオンを、アニオン種としてトリフルオロメタンスルホン酸イオンをそれぞれ使用した場合の、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応の推定メカニズムを下記式(X)に示す。
【0074】
【化12】
【0075】
すなわち、EVOHの水酸基と金属アルコキシドの形で結合した亜鉛イオンに一価エポキシ化合物(B)のエポキシ基の酸素原子が配位し、6員環遷移状態を経て、エポキシ基が開環すると推定している。ここで、遷移状態における亜鉛イオンの対イオンであるトリフルオロメタンスルホン酸イオンの共役酸が強酸であることによって、亜鉛イオンのルイス酸性が大きくなり、触媒活性が向上する。一方、対イオンとして存在するトリフルオロメタンスルホン酸イオン自体は、EVOHの水酸基あるいは一価エポキシ化合物(B)のエポキシ基と反応することがなく、それ自体熱的に安定であるから、副反応を生じることなく円滑に開環反応が進行する。
【0076】
上述のように、本発明で使用される触媒(D)はその共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含むものであることが好適であるが、触媒(D)中の全てのアニオン種が同一のアニオン種である必要はない。むしろ、その共役酸が弱酸であるアニオンを同時に含有するものであることが好ましい。前記式(X)で示されたような反応メカニズムであれば、EVOHが触媒(D)と反応して金属アルコキシドを形成する際にアニオンの一つが共役酸として系内に遊離する。これが強酸であった場合には、一価エポキシ化合物(B)と反応する虞があるとともに、EVOHの溶融安定性にも悪影響を及ぼす虞がある。
【0077】
共役酸が弱酸であるアニオンの例としては、アルキルアニオン、アリールアニオン、アルコキシド、アリールオキシアニオン、カルボキシレート並びにアセチルアセトナート及びその誘導体が例示される。中でもアルコキシド、カルボキシレート並びにアセチルアセトナート及びその誘導体が好適に使用される。
【0078】
触媒(D)中の金属イオンのモル数に対する、共役酸が硫酸と同等以上の強酸であるアニオンのモル数は、0.2〜1.5倍であることが好ましい。上記モル比が0.2倍未満である場合には触媒活性が不十分となる虞があり、より好適には0.3倍以上であり、さらに好適には0.4倍以上である。一方、上記モル比が1.5倍を超えるとEVOHがゲル化する虞があり、より好適には1.2倍以下である。前記モル比は最適には1倍である。なお、原料のEVOH(A)が酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩を含む場合には、それと中和されて消費される分だけ、共役酸が硫酸と同等以上の強酸であるアニオンのモル数を増やしておくことができる。
【0079】
触媒(D)の調製方法は特に限定されるものではないが、好適な方法として、周期律表第3〜12族に属する金属の化合物を溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液又は懸濁液に、共役酸が硫酸と同等以上の強酸(スルホン酸等)を添加する方法が挙げられる。原料として用いる周期律表第3〜12族に属する金属の化合物としては、アルキル金属、アリール金属、金属アルコキシド、金属アリールオキシド、金属カルボキシレート、金属アセチルアセトナート等が挙げられる。ここで、周期律表第3〜12族に属する金属の化合物の溶液又は懸濁液に、強酸を加える際には、少量ずつ添加することが好ましい。こうして得られた触媒(D)を含有する溶液は押出機に直接導入することができる。
【0080】
周期律表第3〜12族に属する金属の化合物を溶解又は分散させる溶媒としては有機溶媒、特にエーテル系溶媒が好ましい。押出機内の温度でも反応しにくく、金属化合物の溶解性も良好だからである。エーテル系溶媒の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が例示される。使用される溶媒としては、金属化合物の溶解性に優れ、沸点が比較的低くて押出機のベントでほぼ完全に除去可能なものが好ましい。その点においてジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン及びテトラヒドロフランが特に好ましい。
【0081】
また、上述の触媒(D)の調整方法において、添加する強酸の代わりに強酸のエステル(スルホン酸エステル等)を用いても良い。強酸のエステルは、通常強酸そのものより反応性が低いために、常温では金属化合物と反応しないことがあるが、200℃前後に保った高温の押出機内に投入することにより、押出機内において活性を有する触媒(D)を生成することができる。
【0082】
触媒(D)の調製方法としては、以下に説明する別法も採用可能である。まず、水溶性の周期律表第3〜12族に属する金属の化合物と、共役酸が硫酸と同等以上の強酸(スルホン酸等)とを、水溶液中で混合して触媒水溶液を調製する。なおこのとき、当該水溶液が適量のアルコールを含んでいても構わない。得られた触媒水溶液をEVOH(A)と接触させた後、乾燥することによって触媒(D)が配合されたEVOH(A)を得ることができる。具体的には、EVOH(A)ペレット、特に多孔質の含水ペレットを前記触媒水溶液に浸漬する方法が好適なものとして挙げられる。この場合には、このようにして得られた乾燥ペレットを押出機に導入することができる。
【0083】
本発明の製造方法では、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、触媒(D)の存在下に押出機中で溶融混練する。使用する押出機としては特に制限はないが、一軸押出機、二軸押出機又は二軸以上の多軸押出機を使用することが好ましい。二軸押出機又は二軸以上の多軸押出機を用いた場合、スクリュー構成の変更により、反応部の圧力を高めることが容易であり、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応を効率的に行えるようになる。一軸押出機では2台以上の押出機を連結し、その間の樹脂流路にバルブを配置することにより、反応部の圧力を高めることが可能である。また同様に二軸押出機又は二軸以上の多軸押出機を2台以上連結して製造してもよい。
【0084】
押出機内で溶融混練する際の、EVOH(A)及び一価エポキシ化合物(B)の混合方法は特に限定されない。押出機にフィードする前のEVOH(A)に一価エポキシ化合物(B)をスプレー吹き付け等する方法や、押出機にEVOH(A)をフィードし、押出機内で一価エポキシ化合物(B)と接触させる方法などが好適なものとして例示される。この中でも、一価エポキシ化合物(B)の系外への揮散を抑制できる観点から、押出機にEVOH(A)をフィードした後、押出機内で一価エポキシ化合物(B)と接触させる方法が好ましい。また、押出機内への一価エポキシ化合物(B)の添加位置も任意であるが、EVOH(A)とエポキシ化合物(B)との反応性の観点からは、溶融したEVOH(A)に対して一価エポキシ化合物(B)を添加することが好ましい。
【0085】
また、前述の通り、一価エポキシ化合物(B)の添加工程においては、一価エポキシ化合物(B)を加圧下で圧入することが好ましい。この際に、この圧力が不十分な場合、反応率が下がり、吐出量が変動する等の問題が発生する。必要な圧力は一価エポキシ化合物(B)の沸点や押出温度によって大きく異なるが、通常0.5〜30MPaの範囲が好ましく、1〜20MPaの範囲がより好ましい。
【0086】
押出機内の温度は180〜250℃とすることが好ましい。本発明においてはEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)を反応させる際に触媒(D)が存在するために、比較的低温で溶融混練しても、効率良くEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)の反応を進行させることができる。温度が250℃を超える場合にはEVOHが劣化する虞があり、より好適には240℃以下である。一方、温度が180℃未満の場合にはEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)の反応が十分に進行しない虞があり、より好適には190℃以上である。
【0087】
EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)を反応させる際に触媒(D)を存在させる方法は特に限定されない。好適な方法として、触媒(D)の溶液を調製し、その溶液を押出機内に添加する方法が挙げられる。触媒(D)の溶液の調製方法は前述したとおりである。この方法によれば、後述の別法に比べて生産性が高く、触媒(D)を安定的に供給できるために製品の品質を安定化することもできる。触媒(D)の溶液を押出機に導入する位置は特に限定されないが、EVOH(A)が完全に溶融している場所で添加することが、均一に配合できて好ましい。特に、一価エポキシ化合物(B)を添加する場所と同じ場所又はその近傍で添加することが好ましい。触媒(D)と一価エポキシ化合物(B)をほぼ同時に配合することにより、ルイス酸である触媒(D)の影響によるEVOH(A)の劣化を最小限に抑制することができるとともに、十分な反応時間を確保できるからである。したがって、触媒(D)の溶液と一価エポキシ化合物(B)とを混合した液を予め作成しておいて、それを一箇所から押出機中に添加することが最適である。
【0088】
溶融混練時に触媒(D)を存在させる別の方法として、EVOH(A)の含水ペレットを触媒(D)の溶液に浸漬した後、乾燥させる方法が挙げられる。この方法については、触媒(D)の調製方法の別法として前述したとおりである。この場合には、得られた乾燥ペレットがホッパーから押出機内に導入されることになる。但し、高価な触媒が廃液として処理されることになりコストアップに繋がりやすい点が問題である。また更に別の方法としては、乾燥後のペレットに、液体状態の触媒を含浸させるか、固体状態の触媒を混合するかした後、必要に応じて乾燥させる方法が挙げられる。この方法においては、工程数が増えることからコストアップに繋がりやすい点が問題であるとともに、触媒を均一に配合することも必ずしも容易ではない。また、上記いずれの別法においても、一価エポキシ化合物(B)が存在せず、ルイス酸である触媒(D)のみが存在する状態で溶融混練される際に、EVOH(A)が劣化する虞がある。
【0089】
本発明の製造方法では、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、触媒(D)の存在下に押出機中で溶融混練するが、その後で触媒失活剤(E)を添加して更に溶融混練することが好ましい。触媒(D)を失活させなかった場合には、得られる変性EVOH(C)の熱安定性が悪くなる虞があり、用途によっては使用に問題をきたす可能性がある。
【0090】
使用される触媒失活剤(E)は、触媒(D)のルイス酸としての働きを低下させるものであればよく、その種類は特に限定されない。好適にはアルカリ金属塩が使用される。その共役酸が硫酸と同等以上の強酸である1価のアニオンを含む触媒(D)を失活させるには、当該アニオンの共役酸よりも弱い酸のアニオンのアルカリ金属塩を使用することが必要である。こうすることによって、触媒(D)を構成する周期律表第3〜12族に属する金属のイオンの対イオンが弱い酸のアニオンに交換され、結果として触媒(D)のルイス酸性が低下するからである。触媒失活剤(E)に使用されるアルカリ金属塩のカチオン種は特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩が好適なものとして例示される。またアニオン種も特に限定されず、カルボン酸塩、リン酸塩及びホスホン酸塩が好適なものとして例示される。
【0091】
触媒失活剤(E)として、例えば酢酸ナトリウムやリン酸一水素二カリウムのような塩を使用しても熱安定性はかなり改善されるが、用途によっては未だ不十分である場合がある。この原因は、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンにルイス酸としての働きがある程度残存しているため、変性EVOH(C)の分解及びゲル化に対して触媒として働くためであると考えられる。この点をさらに改善する方法として、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンに強く配位するキレート化剤を添加することが好ましい。このようなキレート化剤は当該金属のイオンに強く配位できる結果、そのルイス酸性をほぼ完全に失わせることができ、熱安定性に優れた変性EVOH(C)を与えることができる。また、当該キレート化剤がアルカリ金属塩であることによって、前述のように触媒(D)に含まれるアニオンの共役酸である強酸を中和することもできる。
【0092】
触媒失活剤(E)として使用されるキレート化剤として、好適なものとしては、オキシカルボン酸塩、アミノカルボン酸塩、アミノホスホン酸塩などが挙げられる。具体的には、オキシカルボン酸塩としては、クエン酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、リンゴ酸二ナトリウム等が例示される。アミノカルボン酸塩としては、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三カリウム、ジエチレントリアミン五酢酸三ナトリウム、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン二酢酸一ナトリウム、N−(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸一ナトリウム等が例示される。アミノホスホン酸塩としては、ニトリロトリスメチレンホスホン酸六ナトリウム、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)八ナトリウム等が例示される。中でもポリアミノポリカルボン酸が好適であり、性能やコストの面からエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩が最適である。エチレンジアミン四酢酸三ナトリウムを使用した場合の推定反応メカニズムを下記式(XI)に示す。
【0093】
【化13】
【0094】
触媒失活剤(E)の添加量は特に限定されず、触媒(D)に含まれる金属イオンの種類や、キレート剤の配位座の数等により適宜調整されるが、触媒(D)に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤(E)のモル数の比(E/D)が0.2〜10となるようにすることが好適である。比(E/D)が0.2未満の場合には、触媒(D)が十分に失活されない虞があり、より好適には0.5以上、さらに好適には1以上である。一方、比(E/D)が10を超える場合には、得られる変性EVOH(C)が着色する虞があるとともに、製造コストが上昇する虞があり、より好適には5以下であり、さらに好適には3以下である。
【0095】
触媒失活剤(E)を押出機へ導入する方法は特に限定されないが、均一に分散させるためには、溶融状態の変性EVOH(C)に対して、触媒失活剤(E)の溶液として導入することが好ましい。触媒失活剤(E)の溶解性や、周辺環境への影響などを考慮すれば、水溶液として添加することが好ましい。
【0096】
触媒失活剤(E)の押出機への添加位置は、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、触媒(D)の存在下に溶融混練した後であればよい。しかしながら、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と一価エポキシ化合物(B)とを、触媒(D)の存在下に溶融混練し、未反応の一価エポキシ化合物(B)を除去した後に触媒失活剤(E)を添加することが好ましい。前述のように、触媒失活剤(E)を水溶液として添加する場合には、未反応の一価エポキシ化合物(B)を除去する前に触媒失活剤(E)を添加したのでは、ベント等で除去して回収使用する一価エポキシ化合物(B)の中に水が混入することになり、分離操作に手間がかかるからである。なお、触媒失活剤(E)の水溶液を添加した後で、ベント等によって水分を除去することも好ましい。
【0097】
本発明の製造方法において、触媒失活剤(E)を使用する場合の好適な製造プロセスとしては、
(1)EVOH(A)の溶融工程;
(2)一価エポキシ化合物(B)と触媒(D)の混合物の添加工程;
(3)未反応の一価エポキシ化合物(B)の除去工程;
(4)触媒失活剤(E)水溶液の添加工程;
(5)水分の減圧除去工程;
の各工程からなるものが例示される。
【0098】
反応を円滑に行う観点からは、系内から水分及び酸素を除去することが好適である。このため、押出機内へ一価エポキシ化合物(B)を添加するより前に、ベント等を用いて水分及び酸素を除去しても良い。
【0099】
また、本発明の課題は下記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を提供することによっても達成される。当該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、好適には、上述の製造方法によって製造されるものである。
【0100】
すわなち、本発明は、下記構造単位(I)を0.3〜40モル%含有し、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを0.1〜20μmol/g含有する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)である。
【0101】
【化14】
【0102】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基又はアルケニル基など)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(フェニル基など)を表す。R1、R2、R3及びR4は同じ基でもよいし、異なっていても良い。また、R3とR4とは結合していてもよい(ただし、R3及びR4がともに水素原子の場合は除かれる)。また上記のR1、R2、R3及びR4は他の基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子などを有していてもよい。)
【0103】
より好適な実施態様では、前記R1及びR2がともに水素原子である。さらに好適な実施態様では、前記R1及びR2がともに水素原子であり、前記R3及びR4のうち、一方が炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基であって、かつ他方が水素原子である。好適には、前記脂肪族炭化水素基がアルキル基又はアルケニル基である。変性EVOH(C)をバリア材として使用する際のガスバリア性を特に重視する観点からは、前記R3及びR4のうち、一方がメチル基又はエチル基であり、他方が水素原子であることがより好ましい。
【0104】
また、変性EVOH(C)をバリア材として使用する際のガスバリア性の観点からは、前記R3及びR4のうち、一方が(CH2)iOHで表される置換基(ただし、i=1〜8の整数)であり、他方が水素原子であることも好ましい。バリア材としてのガスバリア性を特に重視する場合は、前記の(CH2)iOHで表される置換基において、i=1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
【0105】
本発明の変性EVOH(C)に含まれる上述の構造単位(I)の量は0.3〜40モル%の範囲内であることが必要である。構造単位(I)の量の下限は、0.5モル%以上であることが好ましく、1モル%以上であることがより好ましく、2モル%以上であることがさらに好ましい。一方、構造単位(I)の量の上限は、35モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがさらに好ましい。含まれる構造単位(I)の量が上記の範囲内にあることで、ガスバリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性を兼ね備えた変性EVOH(C)を得ることができる。
【0106】
本発明の変性EVOH(C)のエチレン含有量は5〜55モル%であることが好ましい。本発明の変性EVOH(C)が、良好な延伸性及び耐屈曲性を得る観点からは、変性EVOH(C)のエチレン含有量の下限はより好適には10モル%以上であり、さらに好適には20モル%以上であり、特に好適には25モル%以上であり、さらに好適には31モル%以上である。一方、本発明の変性EVOH(C)のガスバリア性の観点からは、変性EVOH(C)のエチレン含有量の上限はより好適には50モル%以下であり、さらに好適には45モル%以下である。エチレン含有量が5モル%未満の場合は溶融成形性が悪化する虞があり、55モル%を超えるとガスバリア性が不足する虞がある。
【0107】
本発明の変性EVOH(C)を構成する、上記構造単位(I)及びエチレン単位以外の構成成分は、主としてビニルアルコール単位である。このビニルアルコール単位は原料のEVOH(A)に含まれるビニルアルコール単位のうち、一価エポキシ化合物(B)と反応しなかったビニルアルコール単位である。また、EVOH(A)に含まれることがある未ケン化の酢酸ビニル単位は、通常そのまま変性EVOH(C)に含有される。変性EVOH(C)は、これらの構成成分を含有するランダム共重合体であることが、NMRの測定や融点の測定結果からわかった。さらに、本発明の目的を阻害しない範囲内で、その他の構成成分を含むこともできる。
【0108】
本発明の変性EVOH(C)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
【0109】
本発明の変性EVOH(C)は、周期律表第3〜12族に属する金属のイオンを0.1〜20μmol/g含有する。かかる金属のイオンは、前述の製造方法において触媒(D)を使用した際の触媒残渣として含有され得るものであり、その好適な金属のイオンの種類については、前述の触媒(D)の説明のところで述べたとおりである。より好適には0.5μmol/g以上である。また、より好適には10μmol/g以下である。
【0110】
また、本発明の変性EVOH(C)は、スルホン酸イオンを含有することが好適である。かかるスルホン酸イオンは、前述の製造方法において触媒(D)を使用した際の触媒残渣として含有され得るものであり、その好適なスルホン酸イオンの種類については、前述の触媒(D)の説明のところで述べたとおりである。スルホン酸イオンの含有量は0.1〜20μmol/gであることが好適である。より好適には0.5μmol/g以上である。また、より好適には10μmol/g以下である。
【0111】
さらに、変性EVOH(C)中のアルカリ金属イオンの含有量がスルホン酸イオンの含有量の1〜50倍(モル比)であることが好適である。アルカリ金属イオンは、前述の製造方法において触媒失活剤(E)を使用した際の残渣として含有され得るとともに、原料のEVOH(A)に由来して含有され得るものである。当該アルカリ金属イオンの含有量がスルホン酸イオンの含有量の1倍未満である場合には、製造工程において、触媒(D)の失活が十分に行われておらず、変性EVOH(C)の熱安定性に問題を生じる場合があり、より好適には2倍以上である。一方、アルカリ金属イオンの含有量がスルホン酸イオンの含有量の50倍を超える場合には、変性EVOH(C)が着色する虞があり、好適には30倍以下である。
【0112】
本発明の変性EVOH(C)には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、カルボン酸及びリン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応によって変性EVOH(C)が得られた後に添加することもできる。一般に、接着性の改善や着色の抑制など、EVOHの各種物性を改善するために、EVOHには必要に応じてアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、カルボン酸及びリン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が添加されることが多い。しかしながら、上記に示した各種化合物の添加は、前述の通り、押出機によるEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応の際に、着色や粘度低下等の原因となる虞がある。このため、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応後に、残存する一価エポキシ化合物(B)をベントで除去した後、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、カルボン酸及びリン酸化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を、得られた変性EVOH(C)に添加することが好ましい。この添加方法を採用することにより、着色や粘度低下等の問題を生じることなく、本発明の変性EVOH(C)が得られる。
【0113】
本発明の変性EVOH(C)には、必要に応じて各種の添加剤を配合することもできる。このような添加剤の例としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、あるいは他の高分子化合物を挙げることができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範囲でブレンドすることができる。添加剤の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
【0114】
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
【0115】
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0116】
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
【0117】
また、他の多くの高分子化合物を本発明の作用効果が阻害されない程度にブレンドすることもできる。
【0118】
また、本発明の変性EVOH(C)には、溶融安定性等を改善するために、本発明の作用効果が阻害されない程度に、ハイドロタルサイト化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種又は二種以上を変性EVOH(C)に対し本発明の作用効果が阻害されない程度(0.01〜1重量%)添加することもできる。
【0119】
本発明の変性EVOH(C)は、20℃、65%RHにおける酸素透過速度が100cc・20μm/m2・day・atm以下であることが好ましい。酸素透過速度の上限は、50cc・20μm/m2・day・atm以下であることがより好ましく、20cc・20μm/m2・day・atm以下であることがさらに好ましく、10cc・20μm/m2・day・atm以下であることが特に好ましい。このような低い酸素透過速度を有する樹脂であることから、本発明の変性EVOH(C)はバリア材として好適に使用され、食品包装用の容器として特に好適に使用される。
【0120】
また、本発明の変性EVOH(C)は、20℃、65%RHにおける炭酸ガス透過速度が500cc・20μm/m2・day・atm以下であることが好ましい。炭酸ガス透過速度の上限は、200cc・20μm/m2・day・atm以下であることがより好ましく、100cc・20μm/m2・day・atm以下であることがさらに好ましく、50cc・20μm/m2・day・atm以下であることが特に好ましい。このような低い炭酸ガス透過速度を有する樹脂であることから、本発明の変性EVOH(C)はバリア材として好適に使用され、炭酸飲料の容器として特に好適に使用される。
【0121】
本発明の変性EVOH(C)は、好適には溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、ホース、繊維等、各種の成形体に成形される。これらの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸又は二軸延伸することも可能である。溶融成形法としては押出成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が可能である。溶融温度は変性EVOH(C)の融点等により異なるが120〜270℃程度が好ましい。
【0122】
本発明の変性EVOH(C)は、好適には押出成形品として用いられる。押出成形品の製造方法は特に限定されないが、フィルム押出キャスト成形、シート押出キャスト成形、パイプ押出成形、ホース押出成形、異形押出成形、押出ブロー成形、インフレーション押出成形等が好適なものとして例示される。また、これらの成形方法によって得られた押出成形品を、一軸又は二軸延伸、若しくは熱成形などの二次加工に供することも可能である。
【0123】
上述の通り、従来のEVOHは透明性及びガスバリア性に優れているが、延伸性及び耐屈曲性に欠ける欠点があった。このため、耐衝撃性を要求されるボトルなどの用途や、耐屈曲性を要求されるフィルム又はフレキシブル包装容器などの用途にEVOHを用いる場合は、EVOHと他の樹脂とを積層する必要があることが多かった。しかしながら、本発明の変性EVOH(C)は、バリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性のいずれにおいても優れた性能を有するため、耐衝撃性及び/又は耐屈曲性を要求されるような用途においても、単層の成形品として用いることが可能である。かかる実施形態の拡大をもたらした観点からも、本発明の意義は大きい。
【0124】
バリア性、耐衝撃性及び耐屈曲性に優れる本発明の変性EVOH(C)を効果的に活用する観点からは、変性EVOH(C)からなる単層成形品としては、フィルム、押出ブロー成形品(好適にはボトルなど)、フレキシブル包装容器(好適には、フレキシブルチューブ又はフレキシブルパウチなど)、パイプ、ホース及び異形成形品などが好ましい。
【0125】
また、前記フィルムとしては、延伸性に優れるという本発明の変性EVOH(C)の特性を生かせる観点から、特に延伸フィルムが好ましい。中でも、少なくとも一軸方向に2倍以上延伸されてなる延伸フィルムが好ましい。さらに、前記延伸フィルムを、熱収縮フィルムとして用いることも好ましい。
【0126】
本発明の変性EVOH(C)は、上述の通り、単層の成形物としても実用に供せられるが、変性EVOH(C)と、前記変性EVOH(C)以外の樹脂とを積層してなる多層構造体として用いることも好ましい。該多層構造体の層構成としては、バリア材として使用されることの多い本発明の変性EVOH(C)をBarrier、接着性樹脂をAd、前記バリア材以外の樹脂をR、スクラップ回収層をRegで表わすと、Barrier/R、R/Barrier/R、Barrier/Ad/R、Reg/Barrier/R、R/Ad/Barrier/Ad/R、R/Reg/Ad/Barrier/Ad/Reg/R等が挙げられるが、これに限定されない。また、変性EVOH(C)からなる層の両面に、変性EVOH(C)以外の樹脂を設ける場合は、異なった種類のものでもよいし、同じものでもよい。さらに、回収樹脂を変性EVOH(C)以外の樹脂にブレンドしてもよい。それぞれの層は単層であってもよいし、場合によっては多層であってもよい。
【0127】
上記に示す多層構造体を製造する方法は特に限定されない。例えば、変性EVOH(C)からなる成形物(フィルム、シート等)に他の樹脂を溶融押出する方法、逆に樹脂等の基材に変性EVOH(C)を溶融押出する方法、変性EVOH(C)と他の樹脂とを共押出成形する方法、更には本発明の変性EVOH(C)より得られた成形物と他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等が挙げられる。これらの中でも変性EVOH(C)と他の樹脂とを共押出成形する方法が好ましく用いられる。
【0128】
本発明の変性EVOH(C)と積層される樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、熱可塑性ポリウレタン及びポリカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。これらの中でも、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステル及び熱可塑性ポリウレタンが好ましく用いられる。
【0129】
本発明に用いられるポリオレフィンは特に限定されるものではない。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又はその共重合体が挙げられる。これらα−オレフィン以外の共重合成分としては、ジオレフィン、N−ビニルカルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、などのビニル化合物、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステル及びその酸無水物あるいはこれらにヒドロキシル基又はエポキシ基を付加したものなどがあげられる。例えばグラフト可能なモノマーとポリオレフィンとの共重合体やα−オレフィン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体とイオン性金属化合物との反応物であるアイオノマー樹脂などの各種の共重合体などを用いることもできる。また、ポリオレフィンとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどを使用することもできる。これらのポリオレフィン系樹脂はそれぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。また、上記に例示した中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましく用いられる。
【0130】
上述の通り、本発明の変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体は、好適には変性EVOH(C)と他の樹脂との共押出成形によって製造される。この際、変性EVOH(C)と積層される樹脂の種類によっては、変性EVOH(C)と他の樹脂とを、接着性樹脂を介して積層することがある。この場合の接着性樹脂としてはカルボン酸変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂が好ましい。ここでカルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を化学的(たとえば付加反応、グラフト反応により)に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体のことをいう。また、ここでオレフィン系重合体とはポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテンなどのポリオレフィン、オレフィンと該オレフィンとを共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体などを意味する。このうち直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチルエステルの含有量8〜35重量%)が好適であり、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好適である。エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物とはエチレン性不飽和モノカルボン酸、そのエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸、そのモノ又はジエステル、その無水物があげられ、このうちエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好適である。具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステルなどが挙げられ、なかんずく、無水マレイン酸が好適である。
【0131】
エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加量又はグラフト量(変性度)はオレフィン系重合体に対し0.0001〜15重量%、好ましくは0.001〜10重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加反応、グラフト反応は、たとえば溶媒(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合法などにより得られる。このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンの190℃、2160g荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.2〜30g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/10 分である。これらの接着性樹脂は単独で用いてもよいし、また二種以上を混合して用いることもできる。
【0132】
本発明の変性EVOH(C)と他の樹脂とを共押出成形する場合、通常のEVOHと比較して、以下に示すようなメリットがある。メリットの一つは、本発明の変性EVOH(C)が優れたバリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性を有するため、変性EVOH(C)からなる層を含む多層成形物にも、かかる優れた物性を付与できることである。
【0133】
もう一つのメリットは、本発明の変性EVOH(C)は、通常のEVOHと比較して、低融点であることに起因するメリットである。変性EVOH(C)の融点は、上述の構造単位(I)の含有量によって異なるが、通常の未変性EVOHよりも、前記構造単位(I)を含有する変性EVOH(C)の融点は低くなる。
【0134】
EVOHは、しばしばポリオレフィンとの積層体として用いられるが、前記積層体は、共押出成形によって製造されることが多い。しかしながら、一般に、エチレン含有量5〜55モル%のEVOHは、ポリオレフィンなどよりも高融点の樹脂であるため、EVOH及びポリオレフィンを共押出成形によって溶融成形する際には、EVOHの融点より高い温度で成形する必要があった。すなわち、ポリオレフィンの成形温度としては、必ずしも最適ではない成形温度で共押出成形が行われていた。
【0135】
ところが、本発明の変性EVOH(C)を用いることにより、ポリオレフィンの最適成形温度により近い成形温度で共押出成形が行うことが可能となった。このように、共押出成形を行う際の成形温度の幅が広がったことにより、ポリオレフィンと変性EVOH(C)との粘度マッチングの調整を行うことがより容易になり、より好ましい運転条件で共押出成形物を得られるようになった。かかる観点からも、本発明の意義は大きい。
【0136】
本発明の変性EVOH(C)と、他の樹脂とを共押出成形する方法は特に限定されない。例えば、マルチマニホールド法、フィードブロック法、マルチスロットダイ法などが好適なものとして例示される。このような成形法により、多層フィルム、多層シート、多層パイプ、多層ホース、多層異形成形品などが成形される。また、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法などからも、多層フィルムや多層ボトルを得ることができる。
【0137】
このようにして得られた共押出多層構造体を二次加工することにより、各種成形品(フィルム、シート、チューブ、ボトルなど)を得ることができ、たとえば以下のようなものが挙げられる。
(1)多層構造体(シート又はフィルムなど)を一軸又は二軸方向に延伸、又は二軸方向に延伸、熱処理することによる多層共延伸シート又はフィルム
(2)多層構造体(シート又はフィルムなど)を圧延することによる多層圧延シート又はフィルム
(3)多層構造体(シート又はフィルムなど)真空成形、圧空成形、真空圧空成形、等熱成形加工することによる多層トレーカップ状容器
(4)多層構造体(パイプなど)からのストレッチブロー成形等によるボトル、カップ状容器
このような二次加工法には特に制限はなく、上記以外の公知の二次加工法(ブロー成形など)も採用できる。
【0138】
本発明の変性EVOH(C)は、バリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性のいずれにおいても優れているため、本発明の変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体は、さまざまな用途に用いることができる。例えば、フレキシブルフィルム、フレキシブル包装材、熱成形容器、ブロー成形物(多層共押出ブロー成形容器、多層共射出ブロー成形容器など)、熱収縮性フィルム(スキンパックフィルムなど)、ホース又はバルーンなどに用いることが好ましい。上記の中でも、耐屈曲性の効果を十分に奏することができる用途としては、フレキシブル包装材(フレキシブルパウチ、チューブなど)及びフレキシブルフィルムなどが好適なものとして例示される。
【0139】
また、本発明の変性EVOH(C)、及び変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体は、壁紙または化粧版として用いることも好ましい。EVOHは優れた防汚性及び可塑剤に対するバリア性を有するため、EVOH層を含む多層構造体は、壁紙として好適に用いられる。しかしながら壁紙は、輸送中や倉庫内での保管時など、しばしばロール状に巻かれた状態で保存される。輸送を何度も繰り返す場合など、折り曲げの頻度が増えることにより、該EVOH層に折り皺が生じたり、程度が酷い場合は白化が生じたりすることがあり、外観が不良になることがあった。ところが、本発明の変性EVOH(C)は、優れた可塑剤に対するバリア性を維持しながらも、優れた柔軟性及び耐屈曲性を有するため、かかる用途に非常に適している。
【0140】
また、本発明の変性EVOH(C)からなるフレキシブルフィルムは、上述の通り、防汚性、柔軟性及び対屈曲性に優れているため、例えば人工皮革などと積層することにより、ブックカバーなどに用いることも好ましい。書籍の表紙や、手帳などのカバーなどに用いることも好ましい。
【0141】
また、本発明の変性EVOH(C)を、前記変性EVOH(C)からなる層を含む多層パイプとして用いることにより、耐クラック性に優れた多層パイプが得られる。好適な実施態様では、多層パイプが、変性EVOH(C)からなる中間層と、ポリオレフィンからなる内外層を有する積層体でなる多層パイプである。多層パイプとしては、特に燃料パイプ又は温水循環用パイプとして用いることが好ましい。燃料パイプは、自動車用の燃料パイプなどの他、油田などから燃料を輸送する、いわゆるフューエルラインとしても使用可能である。これらの多層パイプは、通常、パイプ同士を接合具を用いて接合して用いられる。このような多層パイプ同士を接合具を用いて接合するにあたっては、パイプを特殊な拡大治具にてまずパイプ端部の径を数回に分けてゆっくりと拡大することが多い。
【0142】
かかる工程において、通常のEVOHを中間層とする従来の多層パイプでは、前記多層パイプの径が拡大された部分において、EVOHにクラックが生じることがあった。特に、床暖房パイプが敷設される地域など、外気温が非常に低い環境下での作業の際には、EVOHからなる層に大きなクラックが生じるケースがある。このクラックにより、多層パイプの接合部分における酸素バリア性が低下することがあった。しかしながら、本発明の変性EVOH(C)は柔軟性に優れているため、このようなパイプ同士の接合工程においても、変性EVOH(C)からなる層のクラックの発生を、効果的に抑制可能である。
【0143】
一方、多層パイプは燃料パイプとしても好適に用いられる。この場合、前記燃料パイプは特に好適には自動車用の燃料パイプとして用いられ、燃料タンクからエンジンへ燃料を供給する燃料パイプとして用いられる。このような実施形態では、エンジンによる振動や、自動車の走行時における振動などが燃料パイプに負荷を与え続けるため、バリア層にクラック等が生じやすくなる。しかしながら、本発明の変性EVOH(C)は柔軟性に優れているため、燃料パイプとして用いた場合も、変性EVOH(C)からなる層のクラックの発生を、効果的に抑制可能である。
【0144】
以上のような観点から、本発明の変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体を、多層パイプとして用いることは非常に有益であり、特に、燃料パイプ又は温水循環用パイプとして用いることが好ましい。また、本発明の変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体を、多層ホースとして用いることも好ましい。ホースはパイプよりも柔軟なものであるために、柔軟性に優れた本発明の変性EVOH(C)を使用することのメリットが大きい。特に好適には燃料ホースとして使用される。
【0145】
また、本発明の変性EVOH(C)からなる層を含む多層構造体を、多層ブロー成形物として用いることにより、耐衝撃性に優れた多層ブロー成形物が得られる。多層ブロー成形物としては、多層共押出ブロー成形容器が好ましい。多層ブロー成形容器としては、変性EVOH(C)を中間層とし、ポリオレフィンを内外層とするものが好ましい。特に、ポリオレフィンとして、ポリエチレン又はポリプロピレンを用いることが好ましい。
【0146】
また、前記多層ブロー成形容器は、自動車用燃料容器又はオートバイ用燃料容器として用いることが好ましい。多層共押出ブロー成形容器を燃料容器として用いる場合は、ポリオレフィンとして、高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。高密度ポリエチレンは通常市販品の中から適宜選択して使用することができるが、中でも剛性、耐衝撃性、成形性、耐ドローダウン性、耐ガソリン性等の観点から、高密度ポリエチレンの密度は0.95〜0.98g/cm3であることが好ましく、さらに好ましくは0.96〜0.98g/cm3である。また、多層燃料容器の内外層として用いられる高密度ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、0.01〜0.5g/10分(190℃−2160g荷重下)であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.1g/10分(190℃−2160g荷重下)である。
【0147】
【実施例】
以下、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。EVOH(A)及び変性EVOH(C)に関する分析は以下の方法に従って行った。
【0148】
(1)EVOH(A)のエチレン含有量及びケン化度
重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした1H−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)により得られたスペクトルから算出した。
【0149】
(2)EVOH(A)の固有粘度
試料とする乾燥EVOH(A)からなる乾燥ペレット0.20gを精秤し、これを含水フェノール(水/フェノール=15/85:重量比)40mlに60℃にて3〜4時間加熱溶解させ、温度30℃にて、オストワルド型粘度計にて測定し(t0=90秒)、下式により固有粘度[η]を求めた。
[η]=(2×(ηsp−lnηrel))1/2/C (L/g)
ηsp= t/ t0−1 (specific viscosity)
ηrel= t/ t0 (relative viscosity)
C ;EVOH濃度(g/L)
t0:ブランク(含水フェノール)が粘度計を通過する時間
t:サンプルを溶解させた含水フェノール溶液が粘度計を通過する時間
【0150】
(3)EVOH(A)中の酢酸の含有量の定量
試料とするEVOH(A)の乾燥ペレット20gをイオン交換水100mlに投入し、95℃で6時間加熱抽出した。抽出液をフェノールフタレインを指示薬として、1/50規定のNaOHで中和滴定し、酢酸の含有量を定量した。
【0151】
(4)EVOH(A)及び変性EVOH(C)中のNaイオン、Kイオン、Mgイオン及びCaイオンの定量
試料とするEVOH(A)又は変性EVOH(C)の乾燥ペレット10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、Na、K、Mg、Caイオンの量を定量した。カラムは、(株)横河電機製のICS−C25を使用し、溶離液は5.0mMの酒石酸と1.0mMの2,6−ピリジンジカルボン酸を含む水溶液とした。なお、定量に際してはそれぞれ塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液及び塩化カルシウム水溶液で作成した検量線を用いた。
【0152】
(5)EVOH(A)及び変性EVOH(C)中のリン酸イオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンの定量
試料とするEVOH(A)又は変性EVOH(C)の乾燥ペレット10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をイオンクロマトグラフィーを用いて定量分析し、リン酸イオン及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンの量を定量した。カラムは、(株)横河電機製のICS−A23を使用し、溶離液は2.5mMの炭酸ナトリウムと1.0mMの炭酸水素ナトリウムを含む水溶液とした。なお、定量に際してはリン酸二水素ナトリウム水溶液及びトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム水溶液で作成した検量線を用いた。
【0153】
(6)変性EVOH(C)中の亜鉛イオン及びイットリウムイオンの定量
試料とする変性EVOH(C)乾燥ペレット10gを0.01規定の塩酸水溶液50mlに投入し、95℃で6時間撹拌した。撹拌後の水溶液をICP発光分析により分析した。装置はパーキンエルマー社のOptima4300DVを用いた。測定波長は亜鉛イオンの測定においては206.20nmを、イットリウムイオンの測定においては360.07nmをそれぞれ用いた。なお、定量に際しては市販の亜鉛標準液及びイットリウム標準液をそれぞれ使用して作成した検量線を用いた。
【0154】
(7)EVOH(A)及び変性EVOH(C)の融点
EVOH(A)及び変性EVOH(C)の融点は、セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計(DSC)RDC220/SSC5200H型を用い、JIS K7121に基づいて測定した。但し、温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。
【0155】
実施例1
亜鉛アセチルアセトナート一水和物28重量部を、1,2−ジメトキシエタン957重量部と混合し、混合溶液を得た。得られた前記混合液に、攪拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸15重量部を添加し、触媒(D)を含む溶液を得た。すなわち、亜鉛アセチルアセトナート一水和物1モルに対して、トリフルオロメタンスルホン酸1モルを混合した溶液を調製した。
【0156】
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、固有粘度0.0882L/gのエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる含水ペレット(含水率:130%(ドライベース))100重量部を、酢酸0.1g/L、リン酸二水素カリウム0.044g/Lを含有する水溶液370重量部に、25℃で6時間浸漬・攪拌した。得られたペレットを105℃で20時間乾燥し、乾燥EVOHペレットを得た。前記乾燥EVOHペレットのカリウム含有量は8ppm(金属元素換算)、酢酸含有量は53ppm、リン酸化合物含有量は20ppm(リン酸根換算値)であり、アルカリ土類金属塩(Mg塩又はCa塩)含有量は0ppmであった。また、前記乾燥ぺレットのMFRは8g/10分(190℃、2160g荷重下)であった。このようにして得られたEVOHを、EVOH(A)として用いた。また、分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)としてエポキシプロパンを用いた。
【0157】
東芝機械社製TEM−35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5)を使用し、図1に示すようにスクリュー構成及びベント及び圧入口を設置した。バレルC1を水冷し、バレルC2〜C15を200℃に設定し、スクリュー回転数250rpmで運転した。C1の樹脂フィード口から上記EVOH(A)を11kg/hrの割合で添加し、ベント1を内圧60mmHgに減圧し、C8の圧入口1からエポキシプロパンが1.5kg/hrの割合で、また上記の方法で作製した触媒(D)溶液が0.22kg/hrの割合で添加されるように、両者を混合してからフィードした(フィード時の圧力:3MPa)。次いで、ベント2から、常圧で未反応のエポキシプロパンを除去した後、触媒失活剤(E)として、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム三水和物8.2重量%水溶液を、C13の圧入口2から0.11kg/hrの割合で添加した。
【0158】
上記溶融混練操作における、一価エポキシ化合物(B)の混合割合は、EVOH(A)100重量部に対して13.6重量部であった。EVOH(A)の重量に対する金属イオンのモル数で2μmol/gの触媒(D)が添加された。触媒(D)に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤(E)のモル数の比(E/D)は1であった。
【0159】
ベント3を内圧20mmHgに減圧し、水分を除去して、変性EVOH(C)を得た。得られた変性EVOH(C)のMFRは7g/10分(190℃、2160g荷重下)であり、融点は132℃であった。また、亜鉛イオン含有量は120ppm(1.9μmol/g)であり、アルカリ金属塩含有量は金属元素換算で138ppm(5.9μmol/g)[ナトリウム:130ppm(5.7μmol/g)、カリウム:8ppm(0.2μmol/g)]であり、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量は280ppm(1.9μmol/g)であった。アルカリ金属イオンの含有量は、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量の3.1倍(モル比)であった。
【0160】
こうして得られた、エポキシプロパンで変性された変性EVOH(C)の化学構造については、以下の手順に従って変性EVOH(C)をトリフルオロアセチル化した後にNMR測定を行うことによって求めた。
【0161】
上記作製した変性EVOH(C)を粒子径0.2mm以下に粉砕した後、この粉末1gを100mlナスフラスコに入れ、塩化メチレン20g及び無水トリフルオロ酢酸10gを添加し、室温で攪拌した。攪拌開始から1時間後、前記変性EVOH(C)は完全に溶解した。前記変性EVOH(C)が完全に溶解してからさらに1時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。得られたトリフルオロアセチル化された変性EVOH(C)を2g/Lの濃度で重クロロホルムと無水トリフルオロ酢酸の混合溶媒(重クロロホルム/無水トリフルオロ酢酸=2/1(重量比))に溶解し、テトラメチルシランを内部標準として500MHz1H-NMRを測定した。NMR測定チャートを図2に示す。
【0162】
エポキシプロパン変性された変性EVOH(C)中の化学構造について、以下の各構造単位の含有量を求めた。
w:エチレン含有量(モル%)
x:未変性のビニルアルコール単位の含有量(モル%)
y:下記式(XII)で表される構造単位(モル%)
z:下記式(XIII)で表される構造単位(モル%)
【0163】
【化15】
【0164】
【化16】
【0165】
上記w〜zの間で、下記式(1)〜(4)で示される関係が成り立つ。
4w+2x+5y+5z=A (1)
3y+2z=B (2)
2z=C (3)
x+y=D (4)
【0166】
ただし、上記式(1)〜(4)中、A〜Dは、それぞれ変性EVOH(C)の1H-NMR測定における下記範囲のシグナルの積分値である。
A:δ1.1〜2.5ppmのシグナルの積分値
B:δ3.1〜4ppmのシグナルの積分値
C:δ4.1〜4.6ppmのシグナルの積分値
D:δ4.8〜5.6ppmのシグナルの積分値
【0167】
上記式(1)〜(4)から、変性EVOH(C)のエチレン含有量が以下のように求められる。
変性EVOH(C)のエチレン含有量(モル%)
={w/(w+x+y+z)}×100
={(2A−2B−3C−4D)/(2A−2B+C+4D)}×100
【0168】
同様に、変性EVOH(C)の構造単位(I)の含有量が以下のように求められる。
変性EVOH(C)の構造単位(I)の含有量(モル%)
={(y+z)/(w+x+y+z)}×100
={(8B+4C)/(6A−6B+3C+12D)}×100
【0169】
上記実施例1で作製した変性EVOH(C)のエチレン含有量は32モル%であり、構造単位(I)の含有量は5.5モル%であった。
【0170】
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、40φ押出機(プラスチック工学研究所製PLABOR GT−40−A)とTダイからなる製膜機を用いて、下記押出条件で製膜し、厚み25μmの単層フィルムを得た。
形式: 単軸押出機(ノンベントタイプ)
L/D: 24
口径: 40mmφ
スクリュー: 一条フルフライトタイプ、表面窒化鋼
スクリュー回転数:40rpm
ダイス: 550mm幅コートハンガーダイ
リップ間隙: 0.3mm
シリンダー、ダイ温度設定:C1/C2/C3/アダプター/ダイ=180/200/210/210/210(℃)
【0171】
上記のようにして作成した単層フィルムを用い、以下に示す方法に従って、酸素透過速度及びヘイズを測定し、耐屈曲性試験を行った。
【0172】
酸素透過速度の測定
上記作製した単層フィルムを、20℃−65%RHで5日間調湿した。調湿済みの単層フィルムのサンプルを2枚使用して、モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃−65%RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、酸素透過速度を測定し、その平均値を求めた。酸素透過速度は1.5cc・20μm/m2・day・atmであり、良好なバリア性を示した。
【0173】
ヘイズの測定
上記作製した単層フィルムを用いて、日本精密光学(株)製積分式H.T.Rメーターを使用し、JIS D8741に準じてヘイズの測定を行った。ヘイズは0.1%であり、極めて良好な透明性を示した。
【0174】
耐屈曲性の評価
21cm×30cmにカットされた、上記作製した単層フィルムを50枚作製し、それぞれのフィルムを20℃−65%RHで5日間調湿した後、ASTM F 392−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを使用し、屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピンホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。その結果Np1は160回であり、極めて優れた耐屈曲性を示した。
【0175】
延伸性の評価
次に、得られた変性EVOH(C)を用いて下記3種5層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で多層シート(アイオノマー樹脂層/接着性樹脂層/変性EVOH(C)層/接着性樹脂層/アイオノマー樹脂層)を作製した。シートの構成は、両最外層のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製「ハイミラン1652」)層が各250μm、また接着性樹脂(三井化学製「アドマーNF500」)層が各30μm、さらに変性EVOH(C)層が90μmである。
【0176】
共押出条件は以下のとおりである。
層構成:
アイオノマー樹脂/接着性樹脂/変性EVOH(C)/接着性樹脂/アイオノマー樹脂
(厚み250/30/90/30/250:単位はμm)
各樹脂の押出温度:
C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
各樹脂の押出機仕様:
アイオノマー樹脂;
32φ押出機 GT−32−A型(株式会社プラスチック工学研究所製)
接着性樹脂;
25φ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
変性EVOH(C);
20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:
300mm幅3種5層用 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
【0177】
得られた多層シートを東洋精機製パンタグラフ式二軸延伸装置にかけ、60℃で4×4倍の延伸倍率において同時二軸延伸を行った。
延伸後のフィルム外観を以下の評価基準により評価した。
判定:基準
A:ムラ及び局部的偏肉なし。
B:微少なムラはあるが局部的偏肉なし。
C:微少なムラ及び微少な局部的偏肉があるが、実用には耐えうる。
D:大きなムラ及び大きな局部的偏肉あり。
E:フィルムに破れが生じた。
本実施例の延伸後のフィルムにはムラ及び局部的偏肉はなく、判定はAであった。
【0178】
変性EVOH(C)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0179】
実施例2
エチレン含量44モル%、ケン化度99.8%、固有粘度0.096L/g、MFR=5g/10分(190℃、2160g荷重下)のEVOH{酢酸含有量53ppm、ナトリウム含有量1ppm(金属元素換算)、カリウム含有量8ppm(金属元素換算)、リン酸化合物含有量20ppm(リン酸根換算値)}のペレット5kgをポリエチレン製袋に入れた。そして、酢酸亜鉛二水和物27.44g(0.125mol)及びトリフルオロメタンスルホン酸15g(0.1mol)を水500gに溶解させて水溶液を調製し、前記水溶液を袋の中のEVOHに添加した。以上のようにして触媒溶液が添加されたEVOHを、時々、振り混ぜながら袋の口を閉じた状態で90℃で5時間加熱し、EVOHに触媒溶液を含浸させた。得られたEVOHを、90℃で真空乾燥することにより、亜鉛イオンを含む触媒(D)を含有するEVOHを得た。
【0180】
EVOH(A)として、エチレン含量44モル%、ケン化度99.8%、固有粘度0.096L/g、MFR=5g/10分(190℃、2160g荷重下)のEVOH{酢酸含有量53ppm、ナトリウム含有量1ppm(金属元素換算)、カリウム含有量8ppm(金属元素換算)、リン酸化合物含有量20ppm(リン酸根換算値)}のEVOH90重量部に、前記亜鉛イオンを含む触媒(D)を含有するEVOH10重量部をドライブレンドしたものを用いた。また、分子量500以下の一価エポキシ化合物(B)として1,2−エポキシブタンを用いた。
【0181】
東芝機械社製TEM−35BS押出機(37mmφ、L/D=52.5)を使用し、図1に示すようにスクリュー構成及びベント及び圧入口を設置した。バレルC1を水冷し、バレルC2〜C3を200℃、C4〜C15を220℃に設定し、スクリュー回転数200rpmで運転した。C1の樹脂フィード口から、ドライブレンドされた混合物からなり触媒(D)を含有する上記EVOH(A)を11kg/hrの割合でフィードし、ベント1を内圧60mmHgに減圧し、C8の圧入口1からエポキシブタンを2.5kg/hrの割合でフィードした(フィード時の圧力:3.5MPa)。ベント2を内圧200mmHgに減圧し、未反応のエポキシブタンを除去し、C13の圧入口2から0.14kg/hrの割合でエチレンジアミン4酢酸3ナトリウム3水和物8.2重量%水溶液を添加した。
【0182】
上記溶融混練操作における、一価エポキシ化合物(B)の混合割合は、EVOH(A)100重量部に対して22.7重量部であった。EVOH(A)の重量に対する金属イオンのモル数で2.5μmol/gの触媒(D)が添加された。触媒(D)に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤(E)のモル数の比(E/D)は1であった。
【0183】
ベント3を内圧20mmHgに減圧し、水分を除去して、変性EVOH(C)を得た。前記変性EVOH(C)のMFRは5g/10分(190℃、2160g荷重下)であり、融点は109℃であった。また、亜鉛イオン含有量は150ppm(2.3μmol/g)であり、アルカリ金属塩含有量は金属元素換算で168ppm(7.1μmol/g)[ナトリウム:160ppm(6.9μmol/g)、カリウム:8ppm(0.2μmol/g)]であり、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量は270ppm(1.8μmol/g)であった。アルカリ金属イオンの含有量は、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量の3.9倍(モル比)であった。
【0184】
こうして得られた、エポキシブタンで変性された変性EVOH(C)の化学構造については、以下の手順に従って変性EVOH(C)をトリフルオロアセチル化した後にNMR測定を行うことによって求めた。
【0185】
上記作製した変性EVOH(C)を粒子径0.2mm以下に粉砕した後、この粉末1gを100mlナスフラスコに入れ、塩化メチレン20g及び無水トリフルオロ酢酸10gを添加し、室温で攪拌した。攪拌開始から1時間後、前記変性EVOH(C)は完全に溶解した。前記変性EVOH(C)が完全に溶解してからさらに1時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去した。得られたトリフルオロアセチル化された変性EVOH(C)を2g/Lの濃度で重クロロホルムと無水トリフルオロ酢酸の混合溶媒(重クロロホルム/無水トリフルオロ酢酸=2/1(重量比))に溶解し、テトラメチルシランを内部標準として500MHz1H-NMRを測定した。
【0186】
エポキシブタン変性された変性EVOH(C)中の化学構造について、以下の各構造単位の含有量を求めた。
w:エチレン含有量(モル%)
x:未変性のビニルアルコール単位の含有量(モル%)
y:下記式(XIV)で表される構造単位(モル%)
z:下記式(XV)で表される構造単位(モル%)
【0187】
【化17】
【0188】
【化18】
【0189】
上記w〜zの間で、下記式(5)〜(8)で示される関係が成り立つ。
4w+2x+4y+4z=A (5)
3y+2z=B (6)
2z=C (7)
x+y=D (8)
【0190】
ただし、上記式(5)〜(8)中、A〜Dは、それぞれ変性EVOH(C)の1H-NMR測定における下記範囲のシグナルの積分値である。
A:δ1.1〜2.4ppmのシグナルの積分値
B:δ3.1〜3.8ppmのシグナルの積分値
C:δ4.1〜4.5ppmのシグナルの積分値
D:δ4.8〜5.5ppmのシグナルの積分値
【0191】
上記式(5)〜(8)から、変性EVOH(C)のエチレン含有量が以下のように求められる。
変性EVOH(C)のエチレン含有量(モル%)
={w/(w+x+y+z)}×100
={(3A−2B−4C−6D)/(3A−2B+2C+6D)}×100
【0192】
同様に、変性EVOH(C)の構造単位(I)の含有量が以下のように求められる。
変性EVOH(C)の構造単位(I)の含有量(モル%)
={(y+z)/(w+x+y+z)}×100
={(4B+2C)/(3A−2B+2C+6D)}×100
【0193】
実施例2で作製した変性EVOH(C)のエチレン含有量は44モル%であり、構造単位(I)の含有量は7モル%であった。
【0194】
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、耐屈曲性及び延伸性を評価した。変性EVOH(C)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0195】
実施例3
実施例2において、酢酸亜鉛二水和物27.44g(0.125mol)の代わりに、酢酸イットリウム4水和物42.26g(0.125mol)を用い、その他は同様な操作を行い、イットリウムイオンを含む触媒を含有するEVOHを得た。
【0196】
実施例2において、上記方法で作製したイットリウムイオンを含む触媒を含有するEVOHを用いた以外は、実施例2と同様にして変性EVOH(C)を得た。このとき、一価エポキシ化合物(B)の混合割合は、EVOH(A)100重量部に対して22.7重量部であった。EVOH(A)の重量に対する金属イオンのモル数で2.5μmol/gの触媒(D)が添加された。触媒(D)に含まれる金属イオンのモル数に対する触媒失活剤(E)のモル数の比(E/D)は1であった。
【0197】
前記変性EVOH(C)のMFRは6g/10分(190℃、2160g荷重下)であり、融点は147℃であった。また、イットリウムイオン含有量は210ppm(2.4μmol/g)であり、アルカリ金属塩含有量は金属元素換算で178ppm(7.5μmol/g)[ナトリウム:170ppm(7.3μmol/g)、カリウム:8ppm(0.2μmol/g)]であり、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量は290ppm(1.9μmol/g)であった。アルカリ金属イオンの含有量は、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量の3.9倍(モル比)であった。また、前記変性EVOH(C)のエチレン含有量は44モル%であり、構造単位(I)の含有量は2.3モル%であった。
【0198】
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、耐屈曲性及び延伸性を評価した。変性EVOH(C)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0199】
比較例1
実施例1において、触媒(D)溶液及び触媒失活剤(E)水溶液のフィードを止めた以外は、実施例1と同様に実施して、変性EVOH(C)を得た。前記変性EVOH(C)のMFRは3.7g/10分(190℃、2160g荷重下)であり、亜鉛イオン含有量は0ppmであり、アルカリ金属塩含有量は金属元素換算で8ppm(すべてカリウム)であり、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量は0ppmであった。得られた変性EVOH(C)のエチレン含有量は32モル%であり、構造単位(I)の含有量は1.8モル%だった。
【0200】
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、耐屈曲性及び延伸性を評価した。変性EVOH(C)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0201】
比較例2
実施例2において、触媒(D)及び触媒失活剤(E)を用いなかった以外は、実施例2と同様に実施して、変性EVOH(C)を得た。前記変性EVOH(C)のMFRは1.8g/10分(190℃、2160g荷重下)であり、亜鉛イオン含有量は0ppmであり、アルカリ金属塩含有量(金属元素換算値)は15ppm(ナトリウム:5ppm、カリウム:10ppm)であり、トリフルオロメタンスルホン酸イオンの含有量は0ppmであった。得られた変性EVOH(C)のエチレン含有量は44モル%であり、構造単位(I)の含有量は1.5モル%だった。
【0202】
こうして得られた変性EVOH(C)を用いて、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、耐屈曲性及び延伸性を評価した。変性EVOH(C)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0203】
比較例3
エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%、固有粘度0.0959L/gのEVOHからなる含水ペレット(含水率:130%(ドライベース))100重量部を、酢酸0.1g/L、リン酸二水素カリウム0.044g/Lを含有する水溶液370重量部に、25℃で6時間浸漬・攪拌した。得られたペレットを105℃で20時間乾燥し、乾燥EVOHペレットを得た。前記乾燥EVOHペレットのカリウム含有量は8ppm(金属元素換算)、酢酸含有量は53ppm、リン酸化合物含有量は20ppm(リン酸根換算値)であり、アルカリ土類金属塩含有量は0ppmであった。また、前記乾燥ぺレットのMFRは4.5g/10分(190℃、2160g荷重下)であった。
【0204】
実施例1で使用した変性EVOH(C)の替わりに上記未変性のEVOH(A)を用いた以外は、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、延伸性を評価した。
【0205】
また、耐屈曲性については以下のようにして評価した。上記未変性のEVOH(A)ペレットを使い、40φ押出機とTダイからなる製膜機を用いて、押出温度180〜210℃、Tダイ温度210℃で製膜し、厚み25μmのフィルムを得た。続いて、21cm×30cmにカットされた、上記作製したEVOHからなる単層フィルムを40枚作製し、それぞれのフィルムを20℃−65%RHで5日間調湿した後、ASTM F 392−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを使用し、屈曲回数25回、30回、35回、40回、50回、60回、80回及び100回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピンホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により求めた。本比較例のフィルムのNp1は34回であった。
【0206】
EVOH(A)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0207】
比較例4
エチレン含有量44モル%、ケン化度99.6%、固有粘度0.0948L/gのEVOHからなる含水ペレット(含水率:130%(ドライベース))100重量部を、酢酸0.12g/L、リン酸二水素カリウム0.044g/Lを含有する水溶液370重量部に、25℃で6時間浸漬・攪拌した。得られたペレットを105℃で20時間乾燥し、乾燥EVOHペレットを得た。前記乾燥EVOHペレットのカリウム含有量は8ppm(金属元素換算)、酢酸含有量は62ppm、リン酸化合物含有量は20ppm(リン酸根換算値)であり、アルカリ土類金属塩含有量は0ppmであった。また、前記乾燥ぺレットのMFRは5.5g/10分(190℃、2160g荷重下)であった。
【0208】
実施例1で使用した変性EVOH(C)の替わりに上記未変性のEVOH(A)を用いた以外は、実施例1と同様にして単層フィルム及び多層フィルムを製造し、酸素透過速度及びヘイズを測定し、延伸性を評価した。また、比較例3と同様にして耐屈曲性を評価した。EVOH(A)の物性等に関しては表1に、フィルムの評価結果等については表2にそれぞれまとめて示した。
【0209】
【表1】
【0210】
【表2】
【0211】
触媒(D)を使用した実施例1〜3では、200〜220℃という比較的低温で溶融混練しても効率よくEVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させることができ、構造単位(I)の含有量の多い変性EVOH(C)を得ることができた。このとき、変性EVOH(C)のMFRは原料のEVOH(A)のMFRに比べてほとんど変化していない。EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)との反応を促進させる効果は、イットリウムイオンを含有する触媒(D)(実施例3)よりも亜鉛イオンを含有する触媒(D)(実施例1及び2)の方が大きい。
【0212】
これに対し、触媒(D)を使用しなかった比較例1及び2では、上記実施例1〜3に比べると構造単位(I)の含有量の少ない変性EVOH(C)しか得られなかった。また、得られた変性EVOH(C)のMFRが、原料のEVOH(A)のMFRに比べて低下していた。
【0213】
構造単位(I)を含有する変性EVOH(C)(実施例1〜3)は、未変性のEVOH(A)(比較例3、4)に比べて、酸素透過速度はある程度増加するものの、透明性、耐屈曲性、延伸性が大きく改善されている。また、融点も低下していることからより低温での溶融成形が可能である。構造単位(I)の含有量が多くなるほど、耐屈曲性、延伸性が改善され、融点も低下することから、酸素透過速度とのバランスを考慮して用途ごとに適当な構造単位(I)の含有量を設定することが必要である。本発明の変性EVOH(C)の製造方法によれば、比較的低温で溶融混練して、構造単位(I)の含有量を幅広く設定することが可能である。
【0214】
【発明の効果】
本発明の変性EVOH(C)は、バリア性、透明性、延伸性及び耐屈曲性に優れており、バリア材として好適に使用される。また、各種の成形品や多層構造体にも好適に使用することができる。このような変性EVOH(C)を製造する際に、本発明の製造方法によれば、押出機を用いて、比較的低温で効率良く、EVOH(A)と一価エポキシ化合物(B)とを反応させて変性EVOH(C)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において変性EVOH(C)を製造するために使用した押出機の構成の模式図である。
【図2】実施例1で得られた変性EVOH(C)の1H−NMRチャートを示す図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer. The present invention also relates to a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer excellent in barrier properties, transparency, stretchability and bending resistance, and a barrier material comprising the same.
[0002]
[Prior art]
An ethylene-vinyl alcohol copolymer (hereinafter sometimes abbreviated as EVOH) is excellent in transparency and gas barrier properties, but has a drawback of lack of stretchability and bending resistance. In order to improve this defect, a method of blending EVOH with a flexible resin such as ethylene-vinyl acetate copolymer or ethylene-propylene copolymer is known. However, this method has a drawback that the transparency is greatly reduced.
[0003]
It has excellent stress cracking resistance, polar solvent resistance, water resistance, good gas barrier properties such as oxygen, and excellent moldability, particularly stretchability, ethylene content of 25 to 60 mol%, saponification degree of 95 There is known a melt-molding material composed of silicon-containing EVOH having a mol content of at least mol% and a silicon content of 0.0005 to 0.2 mol% (see JP-A-60-144304).
[0004]
JP-A-50-12186 discloses a polyvalent amount of 0.01 to 0.8 parts by weight with respect to 100 parts by weight of EVOH having an ethylene content of 20 to 90 mol% and a saponification degree of 95% or more. A method for producing an EVOH-modified product with improved molding processability, characterized by reacting an epoxy compound of
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-described conventional technique, the stretchability and bending resistance of EVOH are not always sufficient. Furthermore, the stretchability and bending resistance of EVOH and transparency were not satisfied at the same time.
[0006]
Japanese Patent Laid-Open No. 50-12186 describes an improvement in neck-in (a phenomenon in which the product width becomes narrower than the die / slit width) when EVOH is formed into a film by a T-die as an improvement in molding processability. However, the improvement of stretchability and bending resistance, which is the object of the present invention, is not described at all. In addition, EVOH obtained by reacting a specific amount of a polyvalent epoxy compound described in the above publication does not provide an effect of improving stretchability and flex resistance. Furthermore, when a polyvalent epoxy compound is used, it is difficult to produce EVOH, which is specified in the present invention and whose modification amount by the epoxy compound is within a specific range.
[0007]
An object of the present invention is to provide a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer excellent in barrier properties, transparency, stretchability and bending resistance, and a barrier material comprising the same. Moreover, the manufacturing method of such a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer is provided.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The above-mentioned problem is the presence of a catalyst (D) comprising an ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) and a monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less and a metal ion belonging to Group 3-12 of the periodic table. This can be solved by providing a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C), characterized in that it is melt-kneaded in an extruder below.
[0009]
In a preferred embodiment, the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) has an ethylene content of 5 to 55 mol% and a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) having a saponification degree of 90% or more. Is the method. Moreover, in a suitable embodiment, it is a manufacturing method of the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) whose monovalent | monohydric epoxy compound (B) is a C2-C8 epoxy compound.
[0010]
In a preferred embodiment, the catalyst (D) is a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) containing zinc ions. In a preferred embodiment, the catalyst (D) is a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) containing a sulfonate ion.
[0011]
In a preferred embodiment, the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) in which 1 to 50 parts by weight of the monovalent epoxy compound (B) is melt-kneaded with respect to 100 parts by weight of the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A). It is a manufacturing method. In a preferred embodiment, a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer in which 0.1 to 20 μmol / g of catalyst (D) is present in terms of moles of metal ions relative to the weight of ethylene-vinyl alcohol copolymer (A). It is a manufacturing method of (C).
[0012]
In a preferred embodiment, a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) in which a mixture of a monovalent epoxy compound (B) and a catalyst (D) is added to a molten ethylene-vinyl alcohol copolymer (A). ) Manufacturing method.
[0013]
In a preferred embodiment, after the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) and the monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in the presence of the catalyst (D), the catalyst deactivator (E) is added. Further, it is a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) to be melt kneaded. In a more preferred embodiment, it is a method for producing a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) in which the catalyst deactivator (E) is a chelating agent.
[0014]
In a preferred embodiment, the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer in which the ratio (E / D) of the number of moles of the catalyst deactivator (E) to the number of moles of metal ions contained in the catalyst (D) is 0.2-10. It is a manufacturing method of a polymer (C). In a preferred embodiment, the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) and the monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in the presence of the catalyst (D), and an unreacted monovalent epoxy compound (B ) Is removed, and then the catalyst deactivator (E) is added to the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C).
[0015]
Further, the problem to be solved by the present invention is that the following structural unit (I) is contained in an amount of 0.3 to 40 mol%, and metal ions belonging to
[0016]
[Chemical formula 2]
[0017]
(Wherein R1, R2, R3And R4Represents a hydrogen atom, an aliphatic hydrocarbon group having 1 to 10 carbon atoms, an alicyclic hydrocarbon group having 3 to 10 carbon atoms, or an aromatic hydrocarbon group having 6 to 10 carbon atoms. R1, R2, R3And R4May be the same group or different. RThreeAnd RFourAnd may be combined. Also R1, R2, R3And R4May have a hydroxyl group, a carboxyl group or a halogen atom. )
[0018]
In a preferred embodiment, it is a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) containing sulfonate ions. In a more preferred embodiment, it is a modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) in which the content of alkali metal ions is 1 to 50 times (molar ratio) of the content of sulfonate ions.
[0019]
In a preferred embodiment, the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is used as a barrier material. In a preferred embodiment, the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is used as a molded article. In a preferred embodiment, the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is used as a multilayer structure including at least one layer composed of the modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C).
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention relates to EVOH (A) and a monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less in an extruder in the presence of a catalyst (D) containing a metal ion belonging to Groups 3-12 of the periodic table. A method for producing modified EVOH (C), characterized by melt-kneading.
[0021]
EVOH (A) used in the present invention is preferably one obtained by saponifying an ethylene-vinyl ester copolymer. A typical vinyl ester used in the production of EVOH is vinyl acetate, but other fatty acid vinyl esters (such as vinyl propionate and vinyl pivalate) can also be used. In addition, other comonomer, for example, α-olefin such as propylene, butylene, isobutene, 4-methyl-1-pentene, 1-hexene, 1-octene, etc., as long as the object of the present invention is not hindered; Unsaturated carboxylic acids such as (meth) acrylic acid, methyl (meth) acrylate, and ethyl (meth) acrylate or esters thereof; vinylsilane compounds such as vinyltrimethoxysilane; unsaturated sulfonic acids or salts thereof; alkylthiols A vinyl pyrrolidone such as N-vinyl pyrrolidone can also be copolymerized.
[0022]
As EVOH (A), when EVOH copolymerized with a vinylsilane compound is used as a copolymerization component, it is preferable to contain 0.0002 to 0.2 mol% as a copolymerization amount. By having a vinylsilane compound as a copolymerization component within such a range, the consistency of the melt viscosity between the base resin and the modified EVOH (C) during coextrusion molding is improved, and a homogeneous coextrusion multilayer film molding is obtained. May be possible. In particular, when a base resin having a high melt viscosity is used, it becomes easy to obtain a homogeneous coextruded multilayer film molded product. Here, examples of the vinylsilane compound include vinyltrimethoxysilane, vinyltriethoxysilane, vinyltri (β-methoxy-ethoxy) silane, and γ-methacryloxypropylmethoxysilane. Of these, vinyltrimethoxysilane and vinyltriethoxysilane are preferably used.
[0023]
The ethylene content of EVOH (A) used in the present invention is preferably 5 to 55 mol%. From the viewpoint of obtaining good stretchability and flex resistance of the modified EVOH (C) of the present invention, the lower limit of the ethylene content of EVOH (A) is more preferably 10 mol% or more, and even more preferably. It is 20 mol% or more, particularly preferably 25 mol% or more, and further preferably 31 mol% or more. On the other hand, from the viewpoint of gas barrier properties of the modified EVOH (C) of the present invention, the upper limit of the ethylene content of EVOH (A) is more preferably 50 mol% or less, and even more preferably 45 mol% or less. . If the ethylene content is less than 5 mol%, the melt moldability may be deteriorated, and if it exceeds 55 mol%, the gas barrier property may be insufficient.
[0024]
Here, when EVOH (A) is composed of a blend of two or more types of EVOH having different ethylene contents, the average value calculated from the blending weight ratio is taken as the ethylene content.
[0025]
Furthermore, the saponification degree of the vinyl ester component of EVOH (A) used in the present invention is preferably 90% or more. The saponification degree of the vinyl ester component is more preferably 95% or more, still more preferably 98% or more, and optimally 99% or more. If the degree of saponification is less than 90%, not only the gas barrier property, particularly the gas barrier property at high humidity, may be lowered, but the thermal stability may be insufficient, and the molded product may be prone to gels and blisters. is there.
[0026]
Here, when EVOH (A) is composed of a blend of two or more types of EVOH having different saponification degrees, the average value calculated from the blending weight ratio is defined as the saponification degree.
[0027]
In addition, the ethylene content and saponification degree of EVOH (A) can be obtained by a nuclear magnetic resonance (NMR) method.
[0028]
Furthermore, EVOH blended with a boron compound may be used as EVOH (A) within a range that does not impair the object of the present invention. Examples of the boron compound include boric acids, boric acid esters, borates, and borohydrides. Specific examples of boric acids include orthoboric acid, metaboric acid, and tetraboric acid. Examples of boric acid esters include triethyl borate and trimethyl borate. Examples include alkali metal salts of acids, alkaline earth metal salts, and borax. Among these compounds, orthoboric acid (hereinafter sometimes simply referred to as boric acid) is preferable.
[0029]
When EVOH blended with a boron compound is used as EVOH (A), the content of the boron compound is preferably 20 to 2000 ppm, more preferably 50 to 1000 ppm in terms of boron element. By blending the boron compound within this range, it is possible to obtain EVOH in which torque fluctuation during heating and melting is suppressed. If it is less than 20 ppm, such an effect is small, and if it exceeds 2000 ppm, gelation tends to occur and moldability may be deteriorated.
[0030]
EVOH (A) may be EVOH mixed with a phosphoric acid compound, but it is preferable that the phosphate is as little as possible because it deactivates the catalyst. Thereby, the quality (coloring, etc.) of the resin can be stabilized. It does not specifically limit as a phosphoric acid compound used for this invention, Various acids, such as phosphoric acid and phosphorous acid, its salt, etc. can be used. The phosphate may be contained in any form of primary phosphate, secondary phosphate, and tertiary phosphate, but primary phosphate is preferred. The cationic species is not particularly limited, but is preferably an alkali metal salt. Among these, sodium dihydrogen phosphate and potassium dihydrogen phosphate are preferable.
[0031]
The content of the phosphoric acid compound of EVOH (A) used in the present invention is preferably 200 ppm or less, more preferably 100 ppm or less, and most preferably 50 ppm or less in terms of phosphate radical.
[0032]
Further, as described later, the modified EVOH (C) of the present invention is preferably obtained by allowing the reaction of EVOH (A) and a monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less to be carried out in an extruder. In this case, EVOH is exposed to heating conditions. At this time, if EVOH (A) contains an excessive amount of an alkali metal salt and / or an alkaline earth metal salt, the catalyst (D) of the present invention is deactivated. preferable. Moreover, when there is too much content of an alkali metal salt and / or alkaline-earth metal salt, there exists a possibility that coloring may arise in the modified EVOH (C) obtained, and there exists a possibility that a moldability may deteriorate by melt viscosity fall.
[0033]
In order to avoid the above problems, the alkali metal salt contained in EVOH (A) is preferably 50 ppm or less in terms of metal element. In a more preferred embodiment, the alkali metal salt contained in EVOH (A) is 30 ppm or less, more preferably 20 ppm or less in terms of metal element. From the same viewpoint, the alkaline earth metal salt contained in EVOH (A) is preferably 20 ppm or less, more preferably 10 ppm or less, and further preferably 5 ppm or less in terms of metal element. It is most preferable that the alkaline earth metal salt is not substantially contained in EVOH (A).
[0034]
Moreover, as long as it is in the range which does not inhibit the objective of this invention, what mix | blended the heat stabilizer and antioxidant can also be used as EVOH (A).
[0035]
The intrinsic viscosity of EVOH (A) used in the present invention is preferably 0.06 L / g or more. The intrinsic viscosity of EVOH (A) is more preferably in the range of 0.07 to 0.2 L / g, still more preferably 0.075 to 0.15 L / g, and particularly preferably 0.080 to 0.00. 12 L / g. When the intrinsic viscosity of EVOH (A) is less than 0.06 L / g, stretchability, flexibility, and bending resistance may be reduced. Moreover, when the intrinsic viscosity of EVOH (A) exceeds 0.2 L / g, there is a possibility that gels and blisters are likely to occur in a molded product made of modified EVOH (C).
[0036]
EVOH (A) used in the present invention has a preferred melt flow rate (MFR) (at 190 ° C. under a load of 2160 g) of 0.1 to 30 g / 10 minutes, more preferably 0.3 to 25 g / 10 minutes. More preferably, it is 0.5 to 20 g / 10 min. However, those having a melting point near 190 ° C or exceeding 190 ° C were measured under a load of 2160 g at a plurality of temperatures higher than the melting point, and a semilogarithmic graph plots the reciprocal absolute temperature on the horizontal axis and the logarithm of MFR on the vertical axis, The value is extrapolated to 190 ° C. Two or more types of EVOH having different MFRs can also be mixed and used.
[0037]
It is essential that the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less used in the present invention is a monovalent epoxy compound. That is, it must be an epoxy compound having only one epoxy group in the molecule. When a divalent or higher polyvalent epoxy compound is used, the effects of the present invention cannot be achieved. However, in the production process of the monovalent epoxy compound, a very small amount of the polyvalent epoxy compound may be contained. As long as the effect of the present invention is not impaired, a monovalent epoxy compound containing a very small amount of a polyvalent epoxy compound can be used as the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less in the present invention. is there.
[0038]
The monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less used in the present invention is not particularly limited. Specifically, compounds represented by the following formulas (III) to (IX) are preferably used.
[0039]
[Chemical Formula 3]
[0040]
[Formula 4]
[0041]
[Chemical formula 5]
[0042]
[Chemical 6]
[0043]
[Chemical 7]
[0044]
[Chemical 8]
[0045]
[Chemical 9]
[0046]
(Wherein RFive, R6, R7, R8And R9Is a hydrogen atom, an aliphatic hydrocarbon group having 1 to 10 carbon atoms (such as an alkyl group or an alkenyl group), an alicyclic hydrocarbon group having 3 to 10 carbon atoms (such as a cycloalkyl group or a cycloalkenyl group), and the number of carbon atoms 6-10 aromatic hydrocarbon groups (phenyl group etc.) are represented. I, j, k, l, and m represent integers of 1 to 8. )
[0047]
Examples of the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (III) include epoxy ethane (ethylene oxide), epoxy propane, 1,2-epoxybutane, 2,3-epoxybutane, and 3-methyl. -1,2-epoxybutane, 1,2-epoxypentane, 2,3-epoxypentane, 3-methyl-1,2-epoxypentane, 4-methyl-1,2-epoxypentane, 4-methyl-2, 3-epoxypentane, 3-ethyl-1,2-epoxypentane, 1,2-epoxyhexane, 2,3-epoxyhexane, 3,4-epoxyhexane, 3-methyl-1,2-epoxyhexane, 4- Methyl-1,2-epoxyhexane, 5-methyl-1,2-epoxyhexane, 3-ethyl-1,2-epoxyhexane, 3-propyl-1, -Epoxyhexane, 4-ethyl-1,2-epoxyhexane, 5-methyl-1,2-epoxyhexane, 4-methyl-2,3-epoxyhexane, 4-ethyl-2,3-epoxyhexane, 2- Methyl-3,4-epoxyhexane, 2,5-dimethyl-3,4-epoxyhexane, 3-methyl-1,2-epoxyheptane, 4-methyl-1,2-epoxyheptane, 5-methyl- 1,2-epoxyheptane, 6-methyl-1,2-epoxyheptane, 3-ethyl-1,2-epoxyheptane, 3-propyl-1,2-epoxyheptane, 3-butyl-1, 2-epoxyheptane, 4-ethyl-1,2-epoxyheptane, 4-propyl-1,2-epoxyheptane, 5-ethyl-1,2-epoxyheptane, 4-methyl-2,3- Epoch Heptane, 4-ethyl-2,3-epoxyheptane, 4-propyl-2,3-epoxyheptane, 2-methyl-3,4-epoxyheptane, 5-methyl-3,4-epoxyheptane 5-ethyl-3,4-epoxyheptane, 2,5-dimethyl-3,4-epoxyheptane, 2-methyl-5-ethyl-3,4-epoxyheptane, 1,2-epoxyheptane, 2,3-epoxyheptane, 3,4-epoxyheptane, 1,2-epoxyoctane, 2,3-epoxyoctane, 3,4-epoxyoctane, 4,5-epoxyoctane, 1,2-epoxynonane, 2 , 3-epoxynonane, 3,4-epoxynonane, 4,5-epoxynonane, 1,2-epoxydecane, 2,3-epoxydecane, 3,4-epoxydecane, 4,5-epoxydecane 5,6-epoxydecane, 1,2-epoxyundecane, 2,3-epoxyundecane, 3,4-epoxyundecane, 4,5-epoxyundecane, 5,6-epoxyundecane, 1,2-epoxydodecane 2,3-epoxydodecane, 3,4-epoxydodecane, 4,5-epoxydodecane, 5,6-epoxydodecane, 6,7-epoxydodecane, epoxyethylbenzene, 1-phenyl-1,2-epoxypropane, 3-phenyl-1,2-epoxypropane, 1-phenyl-1,2-epoxybutane, 3-phenyl-1,2-epoxybutane, 4-phenyl-1,2-epoxybutane, 1-phenyl-1, 2-epoxypentane, 3-phenyl-1,2-epoxypentane, 4-phenyl-1,2-epoxypentane, 5- Phenyl-1,2-epoxypentane, 1-phenyl-1,2-epoxyhexane, 3-phenyl-1,2-epoxyhexane, 4-phenyl-1,2-epoxyhexane, 5-phenyl-1,2- Examples thereof include epoxy hexane and 6-phenyl-1,2-epoxy hexane.
[0048]
As the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (IV), methyl glycidyl ether, ethyl glycidyl ether, n-propyl glycidyl ether, isopropyl glycidyl ether, n-butyl glycidyl ether, isobutyl glycidyl ether Tert-butyl glycidyl ether, 1,2-epoxy-3-pentyloxypropane, 1,2-epoxy-3-hexyloxypropane, 1,2-epoxy-3-heptyloxypropane, 1,2-epoxy-3 -Octyloxypropane, 1,2-epoxy-3-phenoxypropane, 1,2-epoxy-3-benzyloxypropane, 1,2-epoxy-4-methoxybutane, 1,2-epoxy-4-ethoxybutane, 1,2-epoxy-4-propoxy 1,2-epoxy-4-butoxybutane, 1,2-epoxy-4-pentyloxybutane, 1,2-epoxy-4-hexyloxybutane, 1,2-epoxy-4-heptyloxybutane, , 2-epoxy-4-phenoxybutane, 1,2-epoxy-4-benzyloxybutane, 1,2-epoxy-5-methoxypentane, 1,2-epoxy-5-ethoxypentane, 1,2-epoxy- 5-propoxypentane, 1,2-epoxy-5-butoxypentane, 1,2-epoxy-5-pentyloxypentane, 1,2-epoxy-5-hexyloxypentane, 1,2-epoxy-5-phenoxypentane 1,2-epoxy-6-methoxyhexane, 1,2-epoxy-6-ethoxyhexane, 1,2-epoxy-6-propoxy Cyhexane, 1,2-epoxy-6-butoxyhexane, 1,2-epoxy-6-heptyloxyhexane, 1,2-epoxy-7-methoxyheptane, 1,2-epoxy-7-ethoxyheptane, , 2-epoxy-7-propoxyheptane, 1,2-epoxy-7-butyloxyheptane, 1,2-epoxy-8-methoxyheptane, 1,2-epoxy-8-ethoxyheptane, 1,2 -Epoxy-8-butoxyheptane, glycidol, 3,4-epoxy-1-butanol, 4,5-epoxy-1-pentanol, 5,6-epoxy-1-hexanol, 6,7-epoxy-1- Heptanol, 7,8-epoxy-1-octanol, 8,9-epoxy-1-nonanol, 9,10-epoxy-1-decanol, 10,11-epoxy Undecanol, and the like.
[0049]
The monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (V) includes ethylene glycol monoglycidyl ether, propanediol monoglycidyl ether, butanediol monoglycidyl ether, heptanediol monoglycidyl ether, hexanediol. Examples thereof include monoglycidyl ether, heptanediol monoglycidyl ether, and octanediol monoglycidyl ether.
[0050]
Examples of the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (VI) include 3- (2,3-epoxy) propoxy-1-propene and 4- (2,3-epoxy) propoxy-1 -Butene, 5- (2,3-epoxy) propoxy-1-pentene, 6- (2,3-epoxy) propoxy-1-hexene, 7- (2,3-epoxy) propoxy-1-heptene, 8- (2,3-epoxy) propoxy-1-octene and the like.
[0051]
Examples of the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (VII) include 3,4-epoxy-2-butanol, 2,3-epoxy-1-butanol, and 3,4-epoxy-2. -Pentanol, 2,3-epoxy-1-pentanol, 1,2-epoxy-3-pentanol, 2,3-epoxy-4-methyl-1-pentanol, 2,3-epoxy-4,4 -Dimethyl-1-pentanol, 2,3-epoxy-1-hexanol, 3,4-epoxy-2-hexanol, 4,5-epoxy-3-hexanol, 1,2-epoxy-3-hexanol, 2, 3-epoxy-4-methyl-1-hexanol, 2,3-epoxy-4-ethyl-1-hexanol, 2,3-epoxy-4,4-dimethyl-1-hexanol, 2,3-epoxy-4 4-diethyl-1-hexanol, 2,3-epoxy-4-methyl-4-ethyl-1-hexanol, 3,4-epoxy-5-methyl-2-hexanol, 3,4-epoxy-5,5- Dimethyl-2-hexanol, 3,4-epoxy-2-heptanol, 2,3-epoxy-1-heptanol, 4,5-epoxy-3-heptanol, 2,3-epoxy-4-heptanol, 1,2- Epoxy-3-heptanol, 2,3-epoxy-1-octanol, 3,4-epoxy-2-octanol, 4,5-epoxy-3-octanol, 5,6-epoxy-4-octanol, 2,3- Epoxy-4-octanol, 1,2-epoxy-3-octanol, 2,3-epoxy-1-nonanol, 3,4-epoxy-2-nonanol, 4,5 Epoxy-3-nonanol, 5,6-epoxy-4-nonanol, 3,4-epoxy-5-nonanol, 2,3-epoxy-4-nonanol, 1,2-epoxy-3-nonanol, 2,3- Epoxy-1-decanol, 3,4-epoxy-2-decanol, 4,5-epoxy-3-decanol, 5,6-epoxy-4-decanol, 6,7-epoxy-5-decanol, 3,4- Examples include epoxy-5-decanol, 2,3-epoxy-4-decanol, and 1,2-epoxy-3-decanol.
[0052]
Examples of the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (VIII) include 1,2-epoxycyclopentane, 1,2-epoxycyclohexane, 1,2-epoxycycloheptane, 1,2- Examples thereof include epoxycyclooctane, 1,2-epoxycyclononane, 1,2-epoxycyclodecane, 1,2-epoxycycloundecane, 1,2-epoxycyclododecane and the like.
[0053]
Examples of the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less represented by the above formula (IX) include 3,4-epoxycyclopentene, 3,4-epoxycyclohexene, 3,4-epoxycycloheptene, 3,4- Examples thereof include epoxycyclooctene, 3,4-epoxycyclononene, 1,2-epoxycyclodecene, 1,2-epoxycycloundecene, 1,2-epoxycyclododecene and the like.
[0054]
The monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less used in the present invention is particularly preferably an epoxy compound having 2 to 8 carbon atoms. From the viewpoint of easy handling of the compound and reactivity with EVOH (A), the monovalent epoxy compound (B) preferably has 2 to 6 carbon atoms, more preferably 2 to 4 carbon atoms. . The monovalent epoxy compound (B) is preferably a compound represented by the above formula (III) or (IV). From the viewpoint of reactivity with EVOH (A) and gas barrier properties of the resulting modified EVOH (C), 1,2-epoxybutane, 2,3-epoxybutane, epoxypropane, epoxyethane and glycidol are particularly preferred. Of these, epoxypropane and glycidol are preferable. In applications requiring sanitary properties such as food packaging applications, beverage packaging applications, and pharmaceutical packaging applications, 1,2-epoxybutane, 2,3-epoxybutane, epoxypropane, and epoxyethane are used as the epoxy compound (B). It is particularly preferable to use epoxypropane.
[0055]
A suitable mixing amount of the monovalent epoxy compound (B) is 1 to 50 parts by weight with respect to 100 parts by weight of EVOH (A), more preferably 2 to 40 parts by weight, and particularly preferably 5 to 5 parts by weight. 35 parts by weight.
[0056]
In the production method of the present invention, the modified EVOH (C) is produced by melt-kneading and reacting the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) in an extruder. As a method other than melt kneading in an extruder, a production method by solution reaction is also conceivable, and a modified EVOH (B) can also be reacted with a solution of EVOH (A) in the presence of a catalyst. C) can be obtained. However, it is preferable to react EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) by melting and kneading in an extruder for the following reasons.
[0057]
When the production method that reacts in the extruder and the production method by solution reaction are compared, in the case of solution reaction, a solvent that dissolves EVOH (A) is required, and the solvent is recovered and removed from the reaction system after the reaction is completed. And the process becomes complicated. In order to increase the reactivity between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B), it is preferable to maintain the reaction system under heating and / or pressure conditions, but compared with the case of solution reaction. In the reaction in the extruder, it is easy to heat and / or maintain the pressure condition of the reaction system, and the merit of the reaction in the extruder is great from that viewpoint.
[0058]
Furthermore, when the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) is performed by a solution reaction, the control of the reaction is not always easy, and the reaction may proceed excessively. That is, as a result of the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B), a modified EVOH (C) having the following structural unit (I) is obtained. The hydroxyl group contained in the structural unit (I) Furthermore, when the monovalent epoxy compound (B) reacts, there is a possibility that a product different from the structural unit specified in the present invention may be obtained.
[0059]
Embedded image
[0060]
(Wherein R1, R2, R3And R4Is a hydrogen atom, an aliphatic hydrocarbon group having 1 to 10 carbon atoms (such as an alkyl group or an alkenyl group), an alicyclic hydrocarbon group having 3 to 10 carbon atoms (such as a cycloalkyl group or a cycloalkenyl group), and the number of carbon atoms 6-10 aromatic hydrocarbon groups (phenyl group etc.) are represented. R1, R2, R3And R4May be the same group or different. RThreeAnd RFourAnd may be bonded (however, RThreeAnd RFourIs excluded when both are hydrogen atoms). The above R1, R2, R3And R4May have other groups such as a hydroxyl group, a carboxyl group, and a halogen atom. )
[0061]
Specifically, when the monovalent epoxy compound (B) is ethylene oxide, EVOH containing the structural unit (II) shown below is generated by the above-described excessive reaction.
[0062]
Embedded image
[0063]
(In the formula, n represents a natural number of 1 or more.)
[0064]
As a result of studies by the present inventors, the ratio of the structural unit (II) that is different from the structural unit (I) is increased, so that the gas barrier property of the obtained modified EVOH (C) is lowered. It became clear. Furthermore, it discovered that generation | occurrence | production of such a side reaction can be effectively suppressed when reaction of EVOH (A) and a monovalent | monohydric epoxy compound (B) is performed within an extruder. Also from this viewpoint, a method of producing modified EVOH (C) by reacting EVOH (A) with a monovalent epoxy compound (B) in an extruder is preferable.
[0065]
In addition, since the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less used in the present invention is not necessarily high in boiling point, in the production method by solution reaction, when the reaction system is heated, the monovalent epoxy compound outside the system is used. There is a possibility that the compound (B) volatilizes. However, volatilization of the monovalent epoxy compound (B) out of the system can be suppressed by reacting EVOH (A) with the monovalent epoxy compound (B) in the extruder. In particular, when the monovalent epoxy compound (B) is added to the extruder, the reactivity between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) is increased by press-fitting under pressure, and the monovalent epoxy compound It is possible to remarkably suppress volatilization of (B) out of the system.
[0066]
In the production method of the present invention, EVOH (A) and monovalent epoxy compound (B) are melted in an extruder in the presence of a catalyst (D) containing ions of metals belonging to
[0067]
The catalyst (D) used in the present invention contains ions of metals belonging to Groups 3-12 of the periodic table. What is most important as the metal ion used for the catalyst (D) is that it has moderate Lewis acidity. From this point, ions of metals belonging to
[0068]
The addition amount of metal ions belonging to
[0069]
The anion species of the catalyst (D) containing a metal ion belonging to
[0070]
Monovalent anions in which the conjugate acid is a strong acid equivalent to or higher than sulfuric acid include sulfonate ions such as methanesulfonate ion, ethanesulfonate ion, trifluoromethanesulfonate ion, benzenesulfonate ion, toluenesulfonate ion; chlorine Halogen ions such as ions, bromine ions and iodine ions; perchlorate ions; tetrafluoroborate ions (BF4 −), Hexafluorophosphate ion (PF)6 −), Hexafluoroarsinate ion (AsF)6 −), Anions having four or more fluorine atoms such as hexafluoroantimonate ion; tetraphenylborate derivative ions such as tetrakis (pentafluorophenyl) borate ion; tetrakis (3,5-bis (trifluoromethyl) phenyl) borate And carborane derivative ions such as bis (undecahydride-7,8-dicarbaundecaborate) cobalt (III) ion, bis (undecahydride-7,8-dicarbaundecaborate) iron (III) ion, etc. Is done.
[0071]
Among the anionic species exemplified above, when a catalyst (D) containing an anionic species such as hexafluorophosphate or tetrafluoroborate is used, the anionic species itself is thermally stable and very low in nucleophilicity, The anionic species react with a hydroxyl group in EVOH to generate hydrogen fluoride, which may adversely affect the thermal stability of the resin. In addition, cobalt carborane derivative ions do not react with EVOH, and the anion species itself is thermally stable, but is very expensive.
[0072]
Since it does not react with EVOH, the anion species itself is thermally stable, and the price is appropriate, a sulfonate ion is preferable as the anion species of the catalyst (D). Examples of suitable sulfonate ions include methanesulfonate ions, trifluoromethanesulfonate ions, benzenesulfonate ions, and toluenesulfonate ions, with trifluoromethanesulfonate ions being most suitable.
[0073]
The estimation mechanism of the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) when zinc ion is used as the cation species of the catalyst (D) and trifluoromethanesulfonate ion is used as the anion species is represented by the following formula (X ).
[0074]
Embedded image
[0075]
That is, it is presumed that the oxygen atom of the epoxy group of the monovalent epoxy compound (B) is coordinated to the zinc ion bonded in the form of metal alkoxide with the hydroxyl group of EVOH, and the epoxy group is opened through a 6-membered transition state. ing. Here, when the conjugate acid of the trifluoromethanesulfonic acid ion, which is the counter ion of the zinc ion in the transition state, is a strong acid, the Lewis acidity of the zinc ion is increased and the catalytic activity is improved. On the other hand, the trifluoromethanesulfonic acid ion present as a counter ion itself does not react with the hydroxyl group of EVOH or the epoxy group of the monovalent epoxy compound (B) and is itself thermally stable, and thus causes a side reaction. The ring-opening reaction proceeds smoothly without any problems.
[0076]
As described above, the catalyst (D) used in the present invention preferably contains a monovalent anion whose conjugate acid is a strong acid equivalent to or higher than sulfuric acid. The anionic species need not be the same anionic species. Rather, it is preferable that the conjugate acid simultaneously contains an anion which is a weak acid. If the reaction mechanism is as shown by the formula (X), one of the anions is released into the system as a conjugate acid when EVOH reacts with the catalyst (D) to form a metal alkoxide. When this is a strong acid, it may react with the monovalent epoxy compound (B) and may adversely affect the melt stability of EVOH.
[0077]
Examples of anions in which the conjugate acid is a weak acid include alkyl anions, aryl anions, alkoxides, aryloxy anions, carboxylates, and acetylacetonates and derivatives thereof. Of these, alkoxide, carboxylate, acetylacetonate and derivatives thereof are preferably used.
[0078]
The number of moles of an anion in which the conjugate acid is a strong acid equivalent to or higher than that of sulfuric acid is preferably 0.2 to 1.5 times the number of moles of metal ions in the catalyst (D). When the molar ratio is less than 0.2 times, the catalytic activity may be insufficient, more preferably 0.3 times or more, and even more preferably 0.4 times or more. On the other hand, if the molar ratio exceeds 1.5 times, EVOH may be gelled, and more preferably 1.2 times or less. The molar ratio is optimally 1 time. In addition, when EVOH (A) as a raw material contains an alkali metal salt such as sodium acetate, the number of moles of anions in which the conjugate acid is a strong acid equal to or higher than sulfuric acid is increased by the amount that is neutralized and consumed. I can keep it.
[0079]
The method for preparing the catalyst (D) is not particularly limited, but as a suitable method, a solution or suspension obtained by dissolving or dispersing a metal compound belonging to Group 3-12 of the periodic table in a solvent. An example is a method in which a strong acid (sulfonic acid or the like) whose conjugate acid is equal to or higher than sulfuric acid is added to the liquid. Examples of the metal compound belonging to Group 3-12 of the periodic table used as a raw material include alkyl metals, aryl metals, metal alkoxides, metal aryloxides, metal carboxylates, metal acetylacetonates and the like. Here, when a strong acid is added to a solution or suspension of a metal compound belonging to
[0080]
As a solvent for dissolving or dispersing a metal compound belonging to
[0081]
Further, in the method for adjusting the catalyst (D) described above, an ester of a strong acid (such as a sulfonic acid ester) may be used instead of the strong acid to be added. Since esters of strong acids are usually less reactive than strong acids themselves, they may not react with metal compounds at room temperature, but they are active in an extruder when placed in a high-temperature extruder maintained at around 200 ° C. A catalyst (D) can be produced.
[0082]
As a method for preparing the catalyst (D), other methods described below can be employed. First, an aqueous catalyst solution is prepared by mixing, in an aqueous solution, a metal compound belonging to
[0083]
In the production method of the present invention, EVOH (A) and a monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in an extruder in the presence of a catalyst (D). Although there is no restriction | limiting in particular as an extruder to be used, It is preferable to use a single screw extruder, a twin screw extruder, or a multi-screw extruder more than two screws. When a twin screw extruder or a multi-screw extruder having two or more screws is used, it is easy to increase the pressure in the reaction part by changing the screw configuration, and the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) The reaction can be performed efficiently. In the single screw extruder, it is possible to increase the pressure in the reaction section by connecting two or more extruders and arranging a valve in the resin flow path therebetween. Similarly, two or more twin-screw extruders or two or more multi-screw extruders may be connected and manufactured.
[0084]
The method for mixing EVOH (A) and monovalent epoxy compound (B) when melt-kneading in the extruder is not particularly limited. A method of spraying the monovalent epoxy compound (B) on the EVOH (A) before feeding to the extruder, or a method of feeding the EVOH (A) to the extruder and contacting the monovalent epoxy compound (B) in the extruder The method of making it etc. is illustrated as a suitable thing. Among these, from the viewpoint of suppressing volatilization of the monovalent epoxy compound (B) to the outside of the system, a method of feeding EVOH (A) to the extruder and then contacting the monovalent epoxy compound (B) in the extruder is preferable. . Moreover, although the addition position of the monovalent | monohydric epoxy compound (B) in an extruder is also arbitrary, from a reactive viewpoint of EVOH (A) and an epoxy compound (B), it is with respect to molten EVOH (A). It is preferable to add a monovalent epoxy compound (B).
[0085]
Further, as described above, in the step of adding the monovalent epoxy compound (B), it is preferable to press-fit the monovalent epoxy compound (B) under pressure. At this time, if this pressure is insufficient, problems such as a decrease in the reaction rate and fluctuation in the discharge amount occur. The required pressure varies greatly depending on the boiling point of the monovalent epoxy compound (B) and the extrusion temperature, but is usually preferably in the range of 0.5 to 30 MPa, more preferably in the range of 1 to 20 MPa.
[0086]
The temperature in the extruder is preferably 180 to 250 ° C. In the present invention, since the catalyst (D) is present when the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) are reacted, even if melt-kneaded at a relatively low temperature, the EVOH (A) and the monovalent Reaction of an epoxy compound (B) can be advanced. When the temperature exceeds 250 ° C, EVOH may be deteriorated, and more preferably 240 ° C or less. On the other hand, when the temperature is lower than 180 ° C., there is a possibility that the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) does not proceed sufficiently, more preferably 190 ° C. or higher.
[0087]
The method for allowing the catalyst (D) to exist when the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) are reacted is not particularly limited. As a suitable method, a method of preparing a solution of the catalyst (D) and adding the solution into the extruder can be mentioned. The method for preparing the catalyst (D) solution is as described above. According to this method, the productivity is higher than that of an alternative method described later, and the catalyst (D) can be stably supplied, so that the quality of the product can be stabilized. The position where the solution of the catalyst (D) is introduced into the extruder is not particularly limited, but it is preferable to add it at a place where EVOH (A) is completely melted because uniform mixing is possible. In particular, it is preferable to add at the same location as the location where the monovalent epoxy compound (B) is added or in the vicinity thereof. By blending the catalyst (D) and the monovalent epoxy compound (B) almost simultaneously, deterioration of EVOH (A) due to the influence of the catalyst (D) which is a Lewis acid can be suppressed to a minimum, and sufficient This is because the reaction time can be secured. Therefore, it is optimal to prepare a liquid in which the solution of the catalyst (D) and the monovalent epoxy compound (B) are prepared in advance and add it from one place into the extruder.
[0088]
As another method for causing the catalyst (D) to exist during the melt-kneading, there is a method in which EVOH (A) hydrous pellets are immersed in the catalyst (D) solution and then dried. This method is as described above as another method for preparing the catalyst (D). In this case, the obtained dry pellets are introduced into the extruder from the hopper. However, there is a problem that an expensive catalyst is treated as a waste liquid, which tends to increase the cost. Still another method includes a method in which the dried pellets are impregnated with a liquid catalyst or mixed with a solid catalyst and then dried as necessary. In this method, since the number of steps increases, it tends to increase the cost, and it is not always easy to mix the catalyst uniformly. In any of the above alternative methods, EVOH (A) deteriorates when melt-kneaded in the presence of the monovalent epoxy compound (B) and only the Lewis acid catalyst (D). There is a fear.
[0089]
In the production method of the present invention, EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in the extruder in the presence of the catalyst (D), and then the catalyst deactivator (E) is added. Further, it is preferable to further melt-knead. If the catalyst (D) is not deactivated, the thermal stability of the resulting modified EVOH (C) may be deteriorated, which may cause problems in use depending on the application.
[0090]
The catalyst deactivator (E) used is not particularly limited as long as it reduces the function of the catalyst (D) as a Lewis acid. Alkali metal salts are preferably used. In order to deactivate the catalyst (D) containing a monovalent anion whose conjugate acid is a strong acid equal to or higher than sulfuric acid, it is necessary to use an alkali metal salt of an anion of an acid weaker than the conjugate acid of the anion. It is. By doing so, the counter ion of the metal ion belonging to
[0091]
Even if a salt such as sodium acetate or dipotassium monohydrogen phosphate is used as the catalyst deactivator (E), the thermal stability is considerably improved, but it may still be insufficient depending on the application. This is because metal ions belonging to
[0092]
Suitable chelating agents used as the catalyst deactivator (E) include oxycarboxylates, aminocarboxylates, aminophosphonates and the like. Specifically, examples of the oxycarboxylate include disodium citrate, disodium tartrate, and disodium malate. Aminocarboxylates include nitrilotriacetic acid trisodium, ethylenediaminetetraacetic acid disodium, ethylenediaminetetraacetic acid trisodium, ethylenediaminetetraacetic acid tripotassium, diethylenetriaminepentaacetic acid trisodium, 1,2-cyclohexanediamine tetraacetic acid trisodium, ethylenediamine diacetate Illustrative examples include monosodium acetate and monosodium N- (hydroxyethyl) iminodiacetic acid. Examples of aminophosphonates include nitrilotrismethylenephosphonic acid hexasodium, ethylenediaminetetra (methylenephosphonic acid) octasodium, and the like. Of these, polyaminopolycarboxylic acid is preferred, and an alkali metal salt of ethylenediaminetetraacetic acid is most preferred in terms of performance and cost. The presumed reaction mechanism when using ethylenediaminetetraacetic acid trisodium salt is shown in the following formula (XI).
[0093]
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[0094]
The addition amount of the catalyst deactivator (E) is not particularly limited, and is appropriately adjusted depending on the type of metal ion contained in the catalyst (D), the number of coordination sites of the chelating agent, etc. It is preferable that the ratio (E / D) of the number of moles of the catalyst deactivator (E) to the number of moles of metal ions contained is 0.2 to 10. When the ratio (E / D) is less than 0.2, the catalyst (D) may not be sufficiently deactivated, more preferably 0.5 or more, and even more preferably 1 or more. On the other hand, when the ratio (E / D) exceeds 10, the obtained modified EVOH (C) may be colored, and the production cost may increase, more preferably 5 or less, Preferably it is 3 or less.
[0095]
The method for introducing the catalyst deactivator (E) into the extruder is not particularly limited, but in order to uniformly disperse the catalyst deactivator (E) as a solution with respect to the modified EVOH (C) in the molten state. It is preferable to introduce. In consideration of the solubility of the catalyst deactivator (E) and the influence on the surrounding environment, it is preferable to add it as an aqueous solution.
[0096]
The addition position of the catalyst deactivator (E) to the extruder may be after the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in the presence of the catalyst (D). However, after the ethylene-vinyl alcohol copolymer (A) and the monovalent epoxy compound (B) are melt-kneaded in the presence of the catalyst (D) to remove the unreacted monovalent epoxy compound (B), the catalyst It is preferable to add a deactivator (E). As described above, when the catalyst deactivator (E) is added as an aqueous solution, if the catalyst deactivator (E) is added before the unreacted monovalent epoxy compound (B) is removed, the vent This is because water is mixed into the monovalent epoxy compound (B) that is removed and recovered by use of the above, and the separation operation is time-consuming. In addition, after adding the aqueous solution of a catalyst deactivator (E), it is also preferable to remove moisture by a vent or the like.
[0097]
In the production method of the present invention, as a suitable production process when using the catalyst deactivator (E),
(1) EVOH (A) melting step;
(2) Step of adding a mixture of the monovalent epoxy compound (B) and the catalyst (D);
(3) Step of removing unreacted monovalent epoxy compound (B);
(4) Step of adding catalyst deactivator (E) aqueous solution;
(5) a step of removing moisture under reduced pressure;
What consists of each of these processes is illustrated.
[0098]
From the viewpoint of carrying out the reaction smoothly, it is preferable to remove moisture and oxygen from the system. For this reason, you may remove a water | moisture content and oxygen using a vent etc. before adding a monovalent | monohydric epoxy compound (B) in an extruder.
[0099]
The object of the present invention can also be achieved by providing the following modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C). The modified ethylene-vinyl alcohol copolymer (C) is preferably produced by the production method described above.
[0100]
That is, the present invention includes a modified ethylene containing 0.3 to 40 mol% of the following structural unit (I) and 0.1 to 20 μmol / g of a metal ion belonging to
[0101]
Embedded image
[0102]
(Wherein R1, R2, R3And R4Is a hydrogen atom, an aliphatic hydrocarbon group having 1 to 10 carbon atoms (such as an alkyl group or an alkenyl group), an alicyclic hydrocarbon group having 3 to 10 carbon atoms (such as a cycloalkyl group or a cycloalkenyl group), and the number of carbon atoms 6-10 aromatic hydrocarbon groups (phenyl group etc.) are represented. R1, R2, R3And R4May be the same group or different. RThreeAnd RFourAnd may be bonded (however, RThreeAnd RFourIs excluded when both are hydrogen atoms). The above R1, R2, R3And R4May have other groups such as a hydroxyl group, a carboxyl group, and a halogen atom. )
[0103]
In a more preferred embodiment, the R1And R2Are both hydrogen atoms. In a further preferred embodiment, the R1And R2Are hydrogen atoms, and R3And R4Of these, one is an aliphatic hydrocarbon group having 1 to 10 carbon atoms, and the other is a hydrogen atom. Preferably, the aliphatic hydrocarbon group is an alkyl group or an alkenyl group. From the viewpoint of particularly emphasizing gas barrier properties when using the modified EVOH (C) as a barrier material, the R3And R4Among these, it is more preferable that one is a methyl group or an ethyl group and the other is a hydrogen atom.
[0104]
From the viewpoint of gas barrier properties when using modified EVOH (C) as a barrier material, the R3And R4One of them is (CH2)iIt is also preferable that it is a substituent represented by OH (where i is an integer of 1 to 8), and the other is a hydrogen atom. When the gas barrier property as a barrier material is particularly important, the above (CH2)iIn the substituent represented by OH, i is preferably an integer of 1 to 4, more preferably 1 or 2, and still more preferably 1.
[0105]
The amount of the structural unit (I) contained in the modified EVOH (C) of the present invention needs to be in the range of 0.3 to 40 mol%. The lower limit of the amount of the structural unit (I) is preferably 0.5 mol% or more, more preferably 1 mol% or more, and further preferably 2 mol% or more. On the other hand, the upper limit of the amount of the structural unit (I) is preferably 35 mol% or less, more preferably 30 mol% or less, and further preferably 25 mol% or less. When the amount of the structural unit (I) contained is within the above range, a modified EVOH (C) having gas barrier properties, transparency, stretchability and bending resistance can be obtained.
[0106]
The ethylene content of the modified EVOH (C) of the present invention is preferably 5 to 55 mol%. From the viewpoint of obtaining good stretchability and flex resistance of the modified EVOH (C) of the present invention, the lower limit of the ethylene content of the modified EVOH (C) is more preferably 10 mol% or more, and even more preferably. Is 20 mol% or more, particularly preferably 25 mol% or more, and further preferably 31 mol% or more. On the other hand, from the viewpoint of gas barrier properties of the modified EVOH (C) of the present invention, the upper limit of the ethylene content of the modified EVOH (C) is more preferably 50 mol% or less, and even more preferably 45 mol% or less. is there. If the ethylene content is less than 5 mol%, the melt moldability may be deteriorated, and if it exceeds 55 mol%, the gas barrier property may be insufficient.
[0107]
The constituent components other than the structural unit (I) and the ethylene unit constituting the modified EVOH (C) of the present invention are mainly vinyl alcohol units. This vinyl alcohol unit is a vinyl alcohol unit that has not reacted with the monovalent epoxy compound (B) among the vinyl alcohol units contained in the raw material EVOH (A). Moreover, the unsaponified vinyl acetate unit that may be contained in EVOH (A) is usually contained as it is in modified EVOH (C). It was found from the measurement results of NMR and the melting point that the modified EVOH (C) is a random copolymer containing these components. Furthermore, other components can be included within the range not impairing the object of the present invention.
[0108]
A suitable melt flow rate (MFR) (under 190 ° C. and 2160 g load) of the modified EVOH (C) of the present invention is 0.1 to 30 g / 10 min, more preferably 0.3 to 25 g / 10 min. More preferably, it is 0.5-20 g / 10min. However, those having a melting point near 190 ° C or exceeding 190 ° C were measured under a load of 2160 g at a plurality of temperatures higher than the melting point, and a semilogarithmic graph plots the reciprocal absolute temperature on the horizontal axis and the logarithm of MFR on the vertical axis, The value is extrapolated to 190 ° C.
[0109]
The modified EVOH (C) of the present invention contains 0.1 to 20 μmol / g of metal ions belonging to
[0110]
Further, the modified EVOH (C) of the present invention preferably contains a sulfonate ion. Such a sulfonate ion can be contained as a catalyst residue when the catalyst (D) is used in the above-described production method, and a suitable sulfonate ion type is described in the description of the catalyst (D). As described above. The content of sulfonate ions is preferably 0.1 to 20 μmol / g. More preferably, it is 0.5 μmol / g or more. More preferably, it is 10 μmol / g or less.
[0111]
Furthermore, it is preferable that the content of alkali metal ions in the modified EVOH (C) is 1 to 50 times (molar ratio) the content of sulfonate ions. The alkali metal ion can be contained as a residue when the catalyst deactivator (E) is used in the above-described production method, and can be contained from the raw material EVOH (A). When the content of the alkali metal ion is less than 1 time the content of the sulfonate ion, the catalyst (D) is not sufficiently deactivated in the production process, and the modified EVOH (C) A problem may arise in thermal stability, and it is more preferably twice or more. On the other hand, when the content of alkali metal ions exceeds 50 times the content of sulfonate ions, the modified EVOH (C) may be colored, and is preferably 30 times or less.
[0112]
The modified EVOH (C) of the present invention includes at least one selected from the group consisting of alkali metal salts, alkaline earth metal salts, carboxylic acids and phosphoric acid compounds, EVOH (A) and monovalent epoxy compound (B). It can also be added after the modified EVOH (C) is obtained by the above reaction. In general, EVOH is selected from the group consisting of alkali metal salts, alkaline earth metal salts, carboxylic acids and phosphoric acid compounds as necessary to improve various physical properties of EVOH, such as improvement of adhesion and suppression of coloring. Often, at least one of these is added. However, as described above, the addition of the various compounds shown above may cause coloring or a decrease in viscosity during the reaction of EVOH (A) with the monovalent epoxy compound (B) using an extruder. . Therefore, after the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B), the remaining monovalent epoxy compound (B) is removed by a vent, and then alkali metal salt, alkaline earth metal salt, carboxylic acid and phosphorus are removed. It is preferable to add at least one selected from the group consisting of acid compounds to the obtained modified EVOH (C). By adopting this addition method, the modified EVOH (C) of the present invention can be obtained without causing problems such as coloring and viscosity reduction.
[0113]
Various additives may be added to the modified EVOH (C) of the present invention as necessary. Examples of such additives include antioxidants, plasticizers, heat stabilizers, UV absorbers, antistatic agents, lubricants, colorants, fillers, or other polymer compounds, It can blend in the range which does not inhibit the effect of this invention. Specific examples of the additive include the following.
[0114]
Antioxidant: 2,5-di-t-butylhydroquinone, 2,6-di-t-butyl-p-cresol, 4,4′-thiobis- (6-t-butylphenol), 2,2′-methylene -Bis- (4-methyl-6-tert-butylphenol), octadecyl-3- (3 ', 5'-di-tert-butyl-4'-hydroxyphenyl) propionate, 4,4'-thiobis- (6- t-butylphenol) and the like.
[0115]
UV absorber: ethylene-2-cyano-3,3′-diphenyl acrylate, 2- (2′-hydroxy-5′-methylphenyl) benzotriazole, 2- (2′-hydroxy-5′-methylphenyl) benzo Triazole, 2- (2′-hydroxy-5′-methylphenyl) benzotriazole, 2- (2′-hydroxy-3′-t-butyl-5′-methylphenyl) 5-chlorobenzotriazole, 2-hydroxy- 4-methoxybenzophenone, 2,2′-dihydroxy-4-methoxybenzophenone, and the like.
[0116]
Plasticizer: dimethyl phthalate, diethyl phthalate, dioctyl phthalate, wax, liquid paraffin, phosphate ester, etc.
Antistatic agents: pentaerythritol monostearate, sorbitan monopalmitate, sulfated polyolefins, polyethylene oxide, carbowax and the like.
Lubricant: ethylene bisstearamide, butyl stearate, etc.
Colorant: Carbon black, phthalocyanine, quinacridone, indoline, azo pigment, Bengala, etc.
Filler: glass fiber, asbestos, ballastite, calcium silicate, etc.
[0117]
Also, many other polymer compounds can be blended to such an extent that the effects of the present invention are not inhibited.
[0118]
In addition, the modified EVOH (C) of the present invention has a hydrotalcite compound, a hindered phenol-based, a hindered amine-based heat stabilizer, to the extent that the effects of the present invention are not inhibited in order to improve the melt stability and the like. To the extent that the effect of the present invention is not inhibited with respect to modified EVOH (C) by using one or more of higher aliphatic carboxylic acid metal salts (for example, calcium stearate, magnesium stearate, etc.) (0.01 to 1% by weight) ) Can also be added.
[0119]
The modified EVOH (C) of the present invention has an oxygen transmission rate of 100 cc · 20 μm / m at 20 ° C. and 65% RH.2-It is preferable that it is below day * atm. The upper limit of the oxygen transmission rate is 50cc · 20μm / m2More preferably less than day · atm, 20 cc · 20 μm / m2More preferably less than day · atm, 10 cc · 20 μm / m2It is particularly preferable that it is not more than day · atm. Since it is a resin having such a low oxygen transmission rate, the modified EVOH (C) of the present invention is preferably used as a barrier material and particularly preferably as a container for food packaging.
[0120]
Further, the modified EVOH (C) of the present invention has a carbon dioxide gas permeation rate of 500 cc · 20 μm / m at 20 ° C. and 65% RH.2-It is preferable that it is below day * atm. The upper limit of carbon dioxide gas permeation rate is 200cc · 20μm / m2More preferably less than day · atm, 100 cc · 20 μm / m2More preferably less than day · atm, 50 cc · 20 μm / m2It is particularly preferable that it is not more than day · atm. Since it is a resin having such a low carbon dioxide gas permeation rate, the modified EVOH (C) of the present invention is preferably used as a barrier material, and particularly preferably used as a carbonated beverage container.
[0121]
The modified EVOH (C) of the present invention is preferably formed into various molded articles such as films, sheets, containers, pipes, hoses, fibers and the like by melt molding. These molded products can be pulverized and molded again for reuse. It is also possible to uniaxially or biaxially stretch films, sheets, fibers, and the like. As the melt molding method, extrusion molding, melt spinning, injection molding, injection blow molding and the like are possible. The melting temperature varies depending on the melting point of the modified EVOH (C), but is preferably about 120 to 270 ° C.
[0122]
The modified EVOH (C) of the present invention is preferably used as an extruded product. The production method of the extrusion molded product is not particularly limited, but film extrusion cast molding, sheet extrusion cast molding, pipe extrusion molding, hose extrusion molding, profile extrusion molding, extrusion blow molding, inflation extrusion molding and the like are exemplified as suitable ones. . Moreover, it is also possible to use the extrusion molded product obtained by these shaping | molding methods for secondary processes, such as uniaxial or biaxial stretching, or thermoforming.
[0123]
As described above, the conventional EVOH is excellent in transparency and gas barrier properties, but has a defect of lack of stretchability and bending resistance. For this reason, when EVOH is used for applications such as bottles that require impact resistance, and films or flexible packaging containers that require flex resistance, it is necessary to laminate EVOH and other resins. There were many things. However, the modified EVOH (C) of the present invention has excellent performance in any of barrier properties, transparency, stretchability, and bending resistance, so that impact resistance and / or bending resistance is required. Also in use, it can be used as a single-layer molded product. The significance of the present invention is also significant from the viewpoint of expanding the embodiment.
[0124]
From the viewpoint of effectively utilizing the modified EVOH (C) of the present invention which is excellent in barrier properties, impact resistance and flex resistance, as a single layer molded product comprising the modified EVOH (C), a film, an extrusion blow molded product (Preferably a bottle etc.), a flexible packaging container (preferably a flexible tube or a flexible pouch etc.), a pipe, a hose, a deformed product, etc. are preferable.
[0125]
The film is particularly preferably a stretched film from the viewpoint of taking advantage of the modified EVOH (C) of the present invention that is excellent in stretchability. Among them, a stretched film that is stretched at least twice in a uniaxial direction is preferable. Furthermore, it is also preferable to use the stretched film as a heat shrink film.
[0126]
The modified EVOH (C) of the present invention is practically used as a single-layer molded product as described above, but is formed by laminating the modified EVOH (C) and a resin other than the modified EVOH (C). It is also preferable to use it as a multilayer structure. As the layer structure of the multilayer structure, the modified EVOH (C) of the present invention which is often used as a barrier material is Barrier, the adhesive resin is Ad, the resin other than the barrier material is R, and the scrap recovery layer is Reg. Barrier / R, R / Barrier / R, Barrier / Ad / R, Reg / Barrier / R, R / Ad / Barrier / Ad / R, R / Reg / Ad / Barrier / Ad / Reg / R, etc. However, it is not limited to this. Moreover, when providing resin other than modified EVOH (C) on both surfaces of the layer which consists of modified EVOH (C), a different thing may be sufficient and the same thing may be sufficient. Further, the recovered resin may be blended with a resin other than the modified EVOH (C). Each layer may be a single layer or may be a multilayer according to circumstances.
[0127]
The method for producing the multilayer structure shown above is not particularly limited. For example, a method of melt-extruding another resin to a molded product (film, sheet, etc.) made of modified EVOH (C), conversely, a method of melt-extruding modified EVOH (C) to a substrate such as a resin, modified EVOH (C ) And other resins are co-extrusion molded, and the molded product obtained from the modified EVOH (C) of the present invention and a film or sheet of another substrate are combined with an organic titanium compound, an isocyanate compound, or a polyester compound. The method of laminating | stacking using well-known adhesive agents etc. is mentioned. Among these, a method of co-extrusion molding of modified EVOH (C) and another resin is preferably used.
[0128]
The resin laminated with the modified EVOH (C) of the present invention is at least one selected from the group consisting of polyolefin, polyamide, polyester, polystyrene, polyvinylidene chloride, polyvinyl chloride, polyacrylonitrile, thermoplastic polyurethane and polycarbonate. Resins are preferred. Among these, polyolefin, polyamide, polystyrene, polyester, and thermoplastic polyurethane are preferably used.
[0129]
The polyolefin used in the present invention is not particularly limited. For example, linear low density polyethylene, low density polyethylene, medium density polyethylene, high density polyethylene, ethylene-vinyl acetate copolymer, ethylene-propylene copolymer, polypropylene, propylene-α-olefin copolymer (
[0130]
As described above, the multilayer structure including a layer composed of the modified EVOH (C) of the present invention is preferably produced by coextrusion molding of the modified EVOH (C) and another resin. At this time, depending on the type of resin laminated with the modified EVOH (C), the modified EVOH (C) and another resin may be laminated via an adhesive resin. The adhesive resin in this case is preferably an adhesive resin made of carboxylic acid-modified polyolefin. Here, the carboxylic acid-modified polyolefin is a modified olefin type containing a carboxyl group obtained by chemically (for example, addition reaction or graft reaction) bonding an ethylenically unsaturated carboxylic acid or its anhydride to an olefin polymer. Refers to a polymer. In addition, the olefin polymer is a polyethylene (low pressure, medium pressure, high pressure), a polyolefin such as linear low density polyethylene, polypropylene, boribten, or the like, a comonomer (vinyl ester, non-polymer) capable of copolymerizing the olefin and the olefin. It means a copolymer with a saturated carboxylic acid ester etc.), for example, ethylene-vinyl acetate copolymer, ethylene-acrylic acid ethyl ester copolymer and the like. Of these, linear low density polyethylene, ethylene-vinyl acetate copolymer (vinyl acetate content 5-55 wt%), ethylene-acrylic acid ethyl ester copolymer (acrylic acid ethyl ester content 8-35 wt. %), Linear low density polyethylene and ethylene-vinyl acetate copolymers are particularly preferred. Examples of the ethylenically unsaturated carboxylic acid or its anhydride include ethylenically unsaturated monocarboxylic acid, its ester, ethylenically unsaturated dicarboxylic acid, its mono or diester, and its anhydride. Among these, ethylenically unsaturated dicarboxylic acid Anhydrides are preferred. Specific examples include maleic acid, fumaric acid, itaconic acid, maleic anhydride, itaconic anhydride, maleic acid monomethyl ester, maleic acid monoethyl ester, maleic acid diethyl ester, and fumaric acid monomethyl ester. Acid is preferred.
[0131]
The addition amount or graft amount (modification degree) of the ethylenically unsaturated carboxylic acid or its anhydride to the olefin polymer is 0.0001 to 15% by weight, preferably 0.001 to 10% by weight, based on the olefin polymer. It is. The addition reaction and grafting reaction of the ethylenically unsaturated carboxylic acid or its anhydride to the olefin polymer can be obtained, for example, by radical polymerization in the presence of a solvent (such as xylene) or a catalyst (such as a peroxide). The melt flow rate (MFR) measured at 190 ° C. under a load of 2160 g of the carboxylic acid-modified polyolefin thus obtained is preferably 0.2 to 30 g / 10 minutes, more preferably 0.5 to 10 g. / 10 minutes. These adhesive resins may be used alone or in combination of two or more.
[0132]
When co-extrusion molding of the modified EVOH (C) of the present invention and another resin, there are the following merits as compared with ordinary EVOH. One of the merits is that the modified EVOH (C) of the present invention has excellent barrier properties, transparency, stretchability, and bending resistance, so that it also affects a multilayer molded article including a layer made of the modified EVOH (C). Excellent physical properties can be imparted.
[0133]
Another merit is that the modified EVOH (C) of the present invention has a lower melting point than ordinary EVOH. The melting point of the modified EVOH (C) varies depending on the content of the structural unit (I), but the melting point of the modified EVOH (C) containing the structural unit (I) is lower than that of the normal unmodified EVOH. .
[0134]
EVOH is often used as a laminate with polyolefins, but the laminate is often produced by coextrusion. However, in general, EVOH having an ethylene content of 5 to 55 mol% is a resin having a higher melting point than polyolefin and the like. Therefore, when melt-forming EVOH and polyolefin by coextrusion molding, the temperature is higher than the melting point of EVOH. There was a need to mold. That is, coextrusion molding is performed at a molding temperature that is not necessarily optimum as the molding temperature of the polyolefin.
[0135]
However, by using the modified EVOH (C) of the present invention, it has become possible to perform coextrusion molding at a molding temperature that is closer to the optimum molding temperature of polyolefin. As described above, since the range of the molding temperature at the time of coextrusion molding is expanded, it becomes easier to adjust the viscosity matching between the polyolefin and the modified EVOH (C), and the coextrusion is performed under more preferable operating conditions. Molded products can be obtained. From this viewpoint, the significance of the present invention is great.
[0136]
The method for coextrusion molding of the modified EVOH (C) of the present invention and another resin is not particularly limited. For example, a multi-manifold method, a feed block method, a multi-slot die method and the like are illustrated as suitable examples. By such a molding method, a multilayer film, a multilayer sheet, a multilayer pipe, a multilayer hose, a multilayer deformed product, and the like are molded. A multilayer film or a multilayer bottle can also be obtained from a coextrusion inflation molding method, a coextrusion blow molding method, or the like.
[0137]
By subjecting the co-extruded multilayer structure thus obtained to secondary processing, various molded articles (films, sheets, tubes, bottles, etc.) can be obtained. Examples thereof include the following.
(1) A multilayer co-stretched sheet or film obtained by stretching a multilayer structure (such as a sheet or film) in a uniaxial or biaxial direction, or stretching and heat-treating in a biaxial direction.
(2) A multilayer rolled sheet or film obtained by rolling a multilayer structure (such as a sheet or film)
(3) Multilayer tray cup-shaped container by thermoforming such as multilayer structure (sheet or film) vacuum forming, pressure forming, vacuum pressure forming, etc.
(4) Bottles and cup-shaped containers by stretch blow molding from multi-layer structures (pipe, etc.)
There is no restriction | limiting in particular in such a secondary processing method, Well-known secondary processing methods (blow molding etc.) other than the above are also employable.
[0138]
Since the modified EVOH (C) of the present invention is excellent in all of barrier properties, transparency, stretchability, and bending resistance, various multilayer structures including a layer made of the modified EVOH (C) of the present invention are various. Can be used for various purposes. For example, it is used for flexible films, flexible packaging materials, thermoformed containers, blow molded products (multilayer coextrusion blow molded containers, multilayer co-injection blow molded containers, etc.), heat shrinkable films (skin pack films, etc.), hoses or balloons, etc. It is preferable. Among the above, flexible packaging materials (flexible pouches, tubes, etc.), flexible films, and the like are preferred as applications that can sufficiently exhibit the effect of bending resistance.
[0139]
Moreover, it is also preferable to use the multilayer structure containing the layer which consists of modified EVOH (C) and modified EVOH (C) of this invention as a wallpaper or a decorative plate. Since EVOH has excellent antifouling properties and barrier properties against plasticizers, a multilayer structure including an EVOH layer is suitably used as wallpaper. However, wallpaper is often stored in a rolled state, such as during transportation or storage in a warehouse. When the frequency of folding is increased, such as when transport is repeated many times, the EVOH layer may be creased or, if the degree is severe, whitening may occur, resulting in a poor appearance. . However, the modified EVOH (C) of the present invention has excellent flexibility and flex resistance while maintaining excellent barrier properties against plasticizers, and thus is very suitable for such applications.
[0140]
Further, as described above, the flexible film made of the modified EVOH (C) of the present invention is excellent in antifouling property, flexibility and flexibility, and thus, for example, by laminating with artificial leather or the like, it can be used as a book cover. It is also preferable to use it. It is also preferable to use it for a cover of a book, a cover such as a notebook.
[0141]
Moreover, the multilayer pipe excellent in crack resistance can be obtained by using the modified EVOH (C) of the present invention as a multilayer pipe including a layer made of the modified EVOH (C). In a preferred embodiment, the multilayer pipe is a multilayer pipe comprising a laminate having an intermediate layer made of modified EVOH (C) and an inner and outer layer made of polyolefin. The multilayer pipe is particularly preferably used as a fuel pipe or a hot water circulation pipe. The fuel pipe can be used not only as a fuel pipe for automobiles but also as a so-called fuel line for transporting fuel from an oil field or the like. These multilayer pipes are usually used by joining the pipes together using a joining tool. When joining such multi-layer pipes using a joining tool, the pipes are often slowly enlarged by dividing the pipe end diameter into several times with a special enlargement jig.
[0142]
In such a process, in a conventional multilayer pipe having normal EVOH as an intermediate layer, cracks may be generated in the EVOH at a portion where the diameter of the multilayer pipe is enlarged. In particular, when working in an environment where the outside air temperature is very low, such as in an area where floor heating pipes are laid, there is a case where a large crack occurs in the layer made of EVOH. Due to this crack, the oxygen barrier property at the joint portion of the multilayer pipe may be lowered. However, since the modified EVOH (C) of the present invention is excellent in flexibility, it is possible to effectively suppress the occurrence of cracks in the layer composed of the modified EVOH (C) even in such a joining process between pipes. is there.
[0143]
On the other hand, the multilayer pipe is also preferably used as a fuel pipe. In this case, the fuel pipe is particularly preferably used as a fuel pipe for an automobile, and is used as a fuel pipe for supplying fuel from a fuel tank to the engine. In such an embodiment, vibrations caused by the engine, vibrations during traveling of the automobile, and the like continue to apply a load to the fuel pipe, so that cracks and the like are likely to occur in the barrier layer. However, since the modified EVOH (C) of the present invention is excellent in flexibility, even when used as a fuel pipe, the generation of cracks in the layer made of the modified EVOH (C) can be effectively suppressed.
[0144]
From the above viewpoint, it is very useful to use a multilayer structure including a layer made of the modified EVOH (C) of the present invention as a multilayer pipe, and particularly, as a fuel pipe or a hot water circulation pipe. preferable. Moreover, it is also preferable to use the multilayer structure containing the layer which consists of modified EVOH (C) of this invention as a multilayer hose. Since the hose is more flexible than the pipe, the merit of using the modified EVOH (C) of the present invention, which is excellent in flexibility, is great. It is particularly preferably used as a fuel hose.
[0145]
Moreover, the multilayer blow molded product excellent in impact resistance can be obtained by using the multilayer structure including the layer made of the modified EVOH (C) of the present invention as the multilayer blow molded product. As the multilayer blow molded product, a multilayer coextrusion blow molded container is preferable. As the multilayer blow-molded container, one having modified EVOH (C) as an intermediate layer and polyolefin as an inner and outer layer is preferable. In particular, it is preferable to use polyethylene or polypropylene as the polyolefin.
[0146]
The multilayer blow molded container is preferably used as an automobile fuel container or a motorcycle fuel container. When a multilayer coextrusion blow molded container is used as a fuel container, it is preferable to use high density polyethylene as the polyolefin. High-density polyethylene can be used by appropriately selecting from commercially available products, but from the viewpoint of rigidity, impact resistance, moldability, drawdown resistance, gasoline resistance, etc., the density of high-density polyethylene is 0.95-0.98 g / cm3And more preferably 0.96 to 0.98 g / cm.3It is. The melt flow rate (MFR) of the high-density polyethylene used as the inner and outer layers of the multilayer fuel container is preferably 0.01 to 0.5 g / 10 min (under a load of 190 ° C. to 2160 g), more preferably 0.01 to 0.1 g / 10 min (under a load of 190 ° C. to 2160 g).
[0147]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention further in detail, this invention is not limited at all by these Examples. Analysis on EVOH (A) and modified EVOH (C) was performed according to the following method.
[0148]
(1) Ethylene content and saponification degree of EVOH (A)
Deuterated dimethyl sulfoxide as solvent1It calculated from the spectrum obtained by the H-NMR (nuclear magnetic resonance) measurement (JEOL Co., Ltd. "JNM-GX-500 type" was used).
[0149]
(2) Intrinsic viscosity of EVOH (A)
0.20 g of dry pellets consisting of dry EVOH (A) as a sample is precisely weighed and dissolved in 40 ml of hydrous phenol (water / phenol = 15/85: weight ratio) at 60 ° C. for 3 to 4 hours, The viscosity was measured with an Ostwald viscometer at a temperature of 30 ° C. (t0 = 90 seconds), and the intrinsic viscosity [η] was determined by the following equation.
[Η] = (2 × (ηsp−lnηrel))1/2/ C (L / g)
ηsp = t / t0-1 (specific viscosity)
ηrel = t / t0 (relative viscosity)
C: EVOH concentration (g / L)
t0: Time for blank (hydrous phenol) to pass through viscometer
t: Time for the aqueous phenol solution in which the sample is dissolved to pass through the viscometer
[0150]
(3) Determination of acetic acid content in EVOH (A)
20 g of dry pellets of EVOH (A) as a sample were put into 100 ml of ion-exchanged water, and extracted by heating at 95 ° C. for 6 hours. The extract was neutralized and titrated with 1/50 N NaOH using phenolphthalein as an indicator, and the acetic acid content was quantified.
[0151]
(4) Determination of Na ion, K ion, Mg ion and Ca ion in EVOH (A) and modified EVOH (C)
10 g of dry pellets of EVOH (A) or modified EVOH (C) as a sample were put into 50 ml of 0.01 N hydrochloric acid aqueous solution and stirred at 95 ° C. for 6 hours. The aqueous solution after stirring was quantitatively analyzed using ion chromatography, and the amounts of Na, K, Mg, and Ca ions were quantified. The column used was ICS-C25 manufactured by Yokogawa Electric Corporation, and the eluent was an aqueous solution containing 5.0 mM tartaric acid and 1.0 mM 2,6-pyridinedicarboxylic acid. For the determination, calibration curves prepared with a sodium chloride aqueous solution, a potassium chloride aqueous solution, a magnesium chloride aqueous solution and a calcium chloride aqueous solution were used.
[0152]
(5) Determination of phosphate ion and trifluoromethanesulfonate ion in EVOH (A) and modified EVOH (C)
10 g of dry pellets of EVOH (A) or modified EVOH (C) as a sample were put into 50 ml of 0.01 N hydrochloric acid aqueous solution and stirred at 95 ° C. for 6 hours. The aqueous solution after stirring was quantitatively analyzed using ion chromatography, and the amounts of phosphate ions and trifluoromethanesulfonate ions were determined. The column used was ICS-A23 manufactured by Yokogawa Electric Corporation, and the eluent was an aqueous solution containing 2.5 mM sodium carbonate and 1.0 mM sodium bicarbonate. In the determination, a calibration curve prepared with an aqueous sodium dihydrogen phosphate solution and an aqueous sodium trifluoromethanesulfonate solution was used.
[0153]
(6) Determination of zinc ion and yttrium ion in modified EVOH (C)
10 g of modified EVOH (C) dry pellets as a sample was put into 50 ml of 0.01 N aqueous hydrochloric acid and stirred at 95 ° C. for 6 hours. The aqueous solution after stirring was analyzed by ICP emission spectrometry. The apparatus used was an Optima 4300 DV from PerkinElmer. The measurement wavelength was 206.20 nm for zinc ion measurement and 360.07 nm for yttrium ion measurement. In the determination, calibration curves prepared using commercially available zinc standard solution and yttrium standard solution were used.
[0154]
(7) Melting point of EVOH (A) and modified EVOH (C)
The melting points of EVOH (A) and modified EVOH (C) were measured based on JIS K7121 using a differential scanning calorimeter (DSC) RDC220 / SSC5200H manufactured by Seiko Denshi Kogyo Co., Ltd. However, indium and lead were used for temperature calibration.
[0155]
Example 1
28 parts by weight of zinc acetylacetonate monohydrate was mixed with 957 parts by weight of 1,2-dimethoxyethane to obtain a mixed solution. To the obtained mixed solution, 15 parts by weight of trifluoromethanesulfonic acid was added with stirring to obtain a solution containing the catalyst (D). That is, a solution in which 1 mol of trifluoromethanesulfonic acid was mixed with 1 mol of zinc acetylacetonate monohydrate was prepared.
[0156]
100 parts by weight of water-containing pellets (water content: 130% (dry base)) made of an ethylene-vinyl alcohol copolymer having an ethylene content of 32 mol%, a saponification degree of 99.6%, and an intrinsic viscosity of 0.0882 L / g, It was immersed in 370 parts by weight of an aqueous solution containing acetic acid 0.1 g / L and potassium dihydrogen phosphate 0.044 g / L at 25 ° C. for 6 hours and stirred. The obtained pellets were dried at 105 ° C. for 20 hours to obtain dry EVOH pellets. The dry EVOH pellets have a potassium content of 8 ppm (in terms of metal element), an acetic acid content of 53 ppm, a phosphate compound content of 20 ppm (in terms of phosphate radical), and an alkaline earth metal salt (Mg salt or Ca salt). The content was 0 ppm. Further, the MFR of the dry pellet was 8 g / 10 min (190 ° C., under 2160 g load). The EVOH thus obtained was used as EVOH (A). Epoxypropane was used as the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less.
[0157]
A TEM-35BS extruder (37 mmφ, L / D = 52.5) manufactured by Toshiba Machine Co., Ltd. was used, and the screw configuration, vent and pressure inlet were installed as shown in FIG. The barrel C1 was water-cooled, the barrels C2 to C15 were set to 200 ° C., and the operation was performed at a screw rotation speed of 250 rpm. The EVOH (A) is added from the C1 resin feed port at a rate of 11 kg / hr, the vent 1 is depressurized to an internal pressure of 60 mmHg, and the epoxypropane is fed from the C8 pressure port 1 at a rate of 1.5 kg / hr. Both were mixed and then fed so that the catalyst (D) solution produced by the above method was added at a rate of 0.22 kg / hr (feed pressure: 3 MPa). Next, after removing unreacted epoxypropane at normal pressure from the vent 2, an 8.2 wt% aqueous solution of ethylenediaminetetraacetic acid trisodium trihydrate was added as a catalyst deactivator (E) to the inlet 13 of C13. To 0.11 kg / hr.
[0158]
The mixing ratio of the monovalent epoxy compound (B) in the melt kneading operation was 13.6 parts by weight with respect to 100 parts by weight of EVOH (A). 2 μmol / g of catalyst (D) in terms of moles of metal ions relative to the weight of EVOH (A) was added. The ratio (E / D) of the number of moles of the catalyst deactivator (E) to the number of moles of metal ions contained in the catalyst (D) was 1.
[0159]
The
[0160]
The chemical structure of the modified EVOH (C) modified with epoxypropane thus obtained was determined by conducting NMR measurement after trifluoroacetylation of the modified EVOH (C) according to the following procedure.
[0161]
After the modified EVOH (C) produced above was pulverized to a particle size of 0.2 mm or less, 1 g of this powder was placed in a 100 ml eggplant flask, 20 g of methylene chloride and 10 g of trifluoroacetic anhydride were added, and the mixture was stirred at room temperature. One hour after the start of stirring, the modified EVOH (C) was completely dissolved. After the modified EVOH (C) was completely dissolved, the mixture was further stirred for 1 hour, and then the solvent was removed by a rotary evaporator. The obtained trifluoroacetylated modified EVOH (C) was dissolved in a mixed solvent of deuterated chloroform and trifluoroacetic anhydride (deuterated chloroform / trifluoroacetic anhydride = 2/1 (weight ratio)) at a concentration of 2 g / L. 500MHz with tetramethylsilane as internal standard11 H-NMR was measured. An NMR measurement chart is shown in FIG.
[0162]
Regarding the chemical structure in the modified EVOH (C) modified with epoxypropane, the content of each structural unit below was determined.
w: ethylene content (mol%)
x: Content of unmodified vinyl alcohol unit (mol%)
y: Structural unit represented by the following formula (XII) (mol%)
z: Structural unit represented by the following formula (XIII) (mol%)
[0163]
Embedded image
[0164]
Embedded image
[0165]
The relationship shown by the following formulas (1) to (4) is established between the above w to z.
4w + 2x + 5y + 5z = A (1)
3y + 2z = B (2)
2z = C (3)
x + y = D (4)
[0166]
However, in said formula (1)-(4), AD is respectively modified EVOH (C).1It is an integrated value of signals in the following range in H-NMR measurement.
A: Integral value of signal of δ 1.1 to 2.5 ppm
B: Integral value of signal of δ 3.1-4 ppm
C: Integral value of δ 4.1 to 4.6 ppm signal
D: integrated value of signal of δ 4.8 to 5.6 ppm
[0167]
From the above formulas (1) to (4), the ethylene content of the modified EVOH (C) is determined as follows.
Ethylene content of modified EVOH (C) (mol%)
= {W / (w + x + y + z)} × 100
= {(2A-2B-3C-4D) / (2A-2B + C + 4D)} * 100
[0168]
Similarly, the content of the structural unit (I) of the modified EVOH (C) is determined as follows.
Content (mol%) of structural unit (I) of modified EVOH (C)
= {(Y + z) / (w + x + y + z)} × 100
= {(8B + 4C) / (6A-6B + 3C + 12D)} × 100
[0169]
The ethylene content of the modified EVOH (C) produced in Example 1 was 32 mol%, and the content of the structural unit (I) was 5.5 mol%.
[0170]
Using the modified EVOH (C) thus obtained, a 40φ extruder (PLABOR GT-40-A manufactured by Plastics Engineering Laboratory) and a T-die film forming machine were used to form a film under the following extrusion conditions. A single layer film of 25 μm was obtained.
Type: Single screw extruder (non-vent type)
L / D: 24
Diameter: 40mmφ
Screw: single-flight full flight type, surface nitrided steel
Screw rotation speed: 40rpm
Dice: 550mm wide coat hanger die
Lip gap: 0.3mm
Cylinder, die temperature setting: C1 / C2 / C3 / adapter / die = 180/200/210/210/210 (° C.)
[0171]
Using the single-layer film prepared as described above, the oxygen transmission rate and haze were measured according to the method described below, and a bending resistance test was performed.
[0172]
Measurement of oxygen transmission rate
The produced single layer film was conditioned at 20 ° C.-65% RH for 5 days. Using two samples of humidity-controlled single-layer film, using MOCON OX-TRAN 2/20 model manufactured by Modern Control Co., Ltd. under the method described in JIS K7126 (isobaric method) under 20 ° C.-65% RH condition Similarly, the oxygen transmission rate was measured and the average value was obtained. Oxygen permeation rate is 1.5cc ・ 20μm / m2Day / atm, indicating good barrier properties.
[0173]
Haze measurement
Using the single-layer film produced as described above, an integral H.264 manufactured by Nippon Seimitsu Optical Co., Ltd. T.A. Using an R meter, haze was measured according to JIS D8741. The haze was 0.1%, indicating extremely good transparency.
[0174]
Evaluation of bending resistance
50 sheets of the above-prepared single layer films cut to 21 cm × 30 cm were prepared, and each film was conditioned at 20 ° C.-65% RH for 5 days, and then Rigaku Kogyo (according to ASTM F 392-74) Using a gelboflex tester manufactured by Co., Ltd., bending the pinhole 50 times, 75 times, 100 times, 125 times, 150 times, 175 times, 200 times, 225 times, 250 times, 300 times, Number was measured. In each bending number, the measurement was performed 5 times, and the average value was defined as the number of pinholes. Taking the number of bends (P) on the horizontal axis and the number of pinholes (N) on the vertical axis, plotting the above measurement results, and obtaining the number of bends (Np1) when the number of pinholes is one by extrapolation. Two digits were used. As a result, Np1 was 160 times, showing extremely excellent bending resistance.
[0175]
Evaluation of stretchability
Next, using the obtained modified EVOH (C), a multilayer sheet (ionomer resin layer / adhesive resin layer / modified EVOH (C) layer) under the following coextrusion molding conditions using the following three types of five-layer coextrusion apparatuses / Adhesive resin layer / ionomer resin layer). The sheet is composed of the outermost ionomer resin (“Hi-Milan 1652” made by Mitsui DuPont Polychemical) each 250 μm, the adhesive resin (“Admer NF500” made by Mitsui Chemicals) each 30 μm, and a modified EVOH (C ) The layer is 90 μm.
[0176]
The coextrusion conditions are as follows.
Layer structure:
Ionomer resin / adhesive resin / modified EVOH (C) / adhesive resin / ionomer resin
(Thickness 250/30/90/30/250: Unit is μm)
Extrusion temperature of each resin:
C1 / C2 / C3 / die = 170/170/220/220 ° C.
Extruder specifications for each resin:
Ionomer resin;
32φ extruder GT-32-A type (Plastic Engineering Laboratory Co., Ltd.)
Adhesive resin;
25φ extruder P25-18AC (manufactured by Osaka Seiki Machine Co., Ltd.)
Modified EVOH (C);
20φ Extruder Lab Machine ME Type CO-EXT (Toyo Seiki Co., Ltd.)
T-die specification:
Cooling roll temperature: 50 ° C
Pickup speed: 4m / min
[0177]
The obtained multilayer sheet was subjected to a pantograph type biaxial stretching apparatus manufactured by Toyo Seiki, and simultaneously biaxially stretched at 60 ° C. and a stretching ratio of 4 × 4.
The film appearance after stretching was evaluated according to the following evaluation criteria.
Judgment: Standard
A: There is no unevenness and local uneven thickness.
B: Although there is slight unevenness, there is no local unevenness.
C: Although there is a slight unevenness and a slight local unevenness, it can withstand practical use.
D: There is a large unevenness and a large local uneven thickness.
E: The film was torn.
The stretched film of this example had no unevenness or local unevenness, and the determination was A.
[0178]
The physical properties of the modified EVOH (C) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0179]
Example 2
EVOH having an ethylene content of 44 mol%, a saponification degree of 99.8%, an intrinsic viscosity of 0.096 L / g, MFR = 5 g / 10 minutes (under 190 ° C. and 2160 g load) {acetic acid content 53 ppm, sodium content 1 ppm (metal) Element conversion), potassium content 8 ppm (metal element conversion), phosphate compound content 20 ppm (phosphate radical conversion value)} 5 kg of pellets was put in a polyethylene bag. Then, 27.44 g (0.125 mol) of zinc acetate dihydrate and 15 g (0.1 mol) of trifluoromethanesulfonic acid were dissolved in 500 g of water to prepare an aqueous solution, and the aqueous solution was added to EVOH in the bag. . The EVOH to which the catalyst solution was added as described above was heated at 90 ° C. for 5 hours with the bag mouth closed with occasional shaking to impregnate the EVOH with the catalyst solution. The obtained EVOH was vacuum-dried at 90 ° C. to obtain EVOH containing a catalyst (D) containing zinc ions.
[0180]
As EVOH (A), an EVOH having an ethylene content of 44 mol%, a saponification degree of 99.8%, an intrinsic viscosity of 0.096 L / g, MFR = 5 g / 10 minutes (under 190 ° C. and 2160 g load) (acetic acid content of 53 ppm, The catalyst (D) containing zinc ions is contained in 90 parts by weight of EVOH having a sodium content of 1 ppm (converted to metal elements), a potassium content of 8 ppm (converted to metal elements), and a phosphate compound content of 20 ppm (converted phosphate groups)} A dry blend of 10 parts by weight of EVOH was used. Further, 1,2-epoxybutane was used as the monovalent epoxy compound (B) having a molecular weight of 500 or less.
[0181]
A TEM-35BS extruder (37 mmφ, L / D = 52.5) manufactured by Toshiba Machine Co., Ltd. was used, and the screw configuration, vent and pressure inlet were installed as shown in FIG. The barrel C1 was water-cooled, the barrels C2 to C3 were set to 200 ° C., the C4 to C15 were set to 220 ° C., and the operation was performed at a screw speed of 200 rpm. From the C1 resin feed port, the EVOH (A) comprising a dry blended mixture and containing the catalyst (D) is fed at a rate of 11 kg / hr, the vent 1 is decompressed to an internal pressure of 60 mmHg, and the C8 pressure inlet 1 From this, epoxy butane was fed at a rate of 2.5 kg / hr (pressure during feeding: 3.5 MPa). The vent 2 was depressurized to an internal pressure of 200 mmHg, unreacted epoxybutane was removed, and an aqueous solution of 8.2 wt% ethylenediaminetetraacetic acid trisodium trihydrate was added at a rate of 0.14 kg / hr from the C13 inlet 2. .
[0182]
The mixing ratio of the monovalent epoxy compound (B) in the melt kneading operation was 22.7 parts by weight with respect to 100 parts by weight of EVOH (A). 2.5 μmol / g of catalyst (D) in terms of moles of metal ions relative to the weight of EVOH (A) was added. The ratio (E / D) of the number of moles of the catalyst deactivator (E) to the number of moles of metal ions contained in the catalyst (D) was 1.
[0183]
The
[0184]
The chemical structure of the modified EVOH (C) modified with epoxybutane thus obtained was determined by performing NMR measurement after trifluoroacetylation of the modified EVOH (C) according to the following procedure.
[0185]
After the modified EVOH (C) produced above was pulverized to a particle size of 0.2 mm or less, 1 g of this powder was placed in a 100 ml eggplant flask, 20 g of methylene chloride and 10 g of trifluoroacetic anhydride were added, and the mixture was stirred at room temperature. One hour after the start of stirring, the modified EVOH (C) was completely dissolved. After the modified EVOH (C) was completely dissolved, the mixture was further stirred for 1 hour, and then the solvent was removed by a rotary evaporator. The obtained trifluoroacetylated modified EVOH (C) was dissolved in a mixed solvent of deuterated chloroform and trifluoroacetic anhydride (deuterated chloroform / trifluoroacetic anhydride = 2/1 (weight ratio)) at a concentration of 2 g / L. 500MHz with tetramethylsilane as internal standard11 H-NMR was measured.
[0186]
Regarding the chemical structure in the modified EVOH (C) modified with epoxybutane, the contents of the following structural units were determined.
w: ethylene content (mol%)
x: Content of unmodified vinyl alcohol unit (mol%)
y: Structural unit represented by the following formula (XIV) (mol%)
z: Structural unit represented by the following formula (XV) (mol%)
[0187]
Embedded image
[0188]
Embedded image
[0189]
The relationship shown by the following formulas (5) to (8) is established between the above w to z.
4w + 2x + 4y + 4z = A (5)
3y + 2z = B (6)
2z = C (7)
x + y = D (8)
[0190]
However, in said formula (5)-(8), AD is respectively modified EVOH (C).1It is an integrated value of signals in the following range in H-NMR measurement.
A: Integral value of δ 1.1 to 2.4 ppm signal
B: Integral value of signal of δ 3.1-3.8 ppm
C: Integral value of δ 4.1 to 4.5 ppm signal
D: integrated value of signal of δ 4.8 to 5.5 ppm
[0191]
From the above formulas (5) to (8), the ethylene content of the modified EVOH (C) is determined as follows.
Ethylene content of modified EVOH (C) (mol%)
= {W / (w + x + y + z)} × 100
= {(3A-2B-4C-6D) / (3A-2B + 2C + 6D)} × 100
[0192]
Similarly, the content of the structural unit (I) of the modified EVOH (C) is determined as follows.
Content (mol%) of structural unit (I) of modified EVOH (C)
= {(Y + z) / (w + x + y + z)} × 100
= {(4B + 2C) / (3A-2B + 2C + 6D)} × 100
[0193]
The modified EVOH (C) produced in Example 2 had an ethylene content of 44 mol% and a structural unit (I) content of 7 mol%.
[0194]
Using the modified EVOH (C) thus obtained, single-layer films and multilayer films were produced in the same manner as in Example 1, the oxygen transmission rate and haze were measured, and the bending resistance and stretchability were evaluated. The physical properties of the modified EVOH (C) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0195]
Example 3
In Example 2, 42.26 g (0.125 mol) of yttrium acetate tetrahydrate was used instead of 27.44 g (0.125 mol) of zinc acetate dihydrate, and the other operations were performed in the same manner. EVOH containing a catalyst containing was obtained.
[0196]
In Example 2, modified EVOH (C) was obtained in the same manner as in Example 2 except that EVOH containing a catalyst containing yttrium ions prepared by the above method was used. At this time, the mixing ratio of the monovalent epoxy compound (B) was 22.7 parts by weight with respect to 100 parts by weight of EVOH (A). 2.5 μmol / g of catalyst (D) in terms of moles of metal ions relative to the weight of EVOH (A) was added. The ratio (E / D) of the number of moles of the catalyst deactivator (E) to the number of moles of metal ions contained in the catalyst (D) was 1.
[0197]
The MFR of the modified EVOH (C) was 6 g / 10 min (under 190 ° C. and 2160 g load), and the melting point was 147 ° C. The yttrium ion content is 210 ppm (2.4 μmol / g), the alkali metal salt content is 178 ppm (7.5 μmol / g) [sodium: 170 ppm (7.3 μmol / g), potassium: 8 ppm (0.2 μmol / g)], and the content of trifluoromethanesulfonate ions was 290 ppm (1.9 μmol / g). The content of alkali metal ions was 3.9 times (molar ratio) the content of trifluoromethanesulfonate ions. The modified EVOH (C) had an ethylene content of 44 mol% and a structural unit (I) content of 2.3 mol%.
[0198]
Using the modified EVOH (C) thus obtained, single-layer films and multilayer films were produced in the same manner as in Example 1, the oxygen transmission rate and haze were measured, and the bending resistance and stretchability were evaluated. The physical properties of the modified EVOH (C) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0199]
Comparative Example 1
The modified EVOH (C) was obtained in the same manner as in Example 1 except that the feed of the catalyst (D) solution and the catalyst deactivator (E) aqueous solution was stopped. The MFR of the modified EVOH (C) is 3.7 g / 10 min (under 190 ° C. and 2160 g load), the zinc ion content is 0 ppm, and the alkali metal salt content is 8 ppm (all potassium) in terms of metal elements. The trifluoromethanesulfonate ion content was 0 ppm. The obtained modified EVOH (C) had an ethylene content of 32 mol% and a structural unit (I) content of 1.8 mol%.
[0200]
Using the modified EVOH (C) thus obtained, single-layer films and multilayer films were produced in the same manner as in Example 1, the oxygen transmission rate and haze were measured, and the bending resistance and stretchability were evaluated. The physical properties of the modified EVOH (C) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0201]
Comparative Example 2
The modified EVOH (C) was obtained in the same manner as in Example 2 except that the catalyst (D) and the catalyst deactivator (E) were not used. The modified EVOH (C) has an MFR of 1.8 g / 10 min (at 190 ° C. under a load of 2160 g), a zinc ion content of 0 ppm, and an alkali metal salt content (metal element conversion value) of 15 ppm (sodium) : 5 ppm, potassium: 10 ppm), and the content of trifluoromethanesulfonate ions was 0 ppm. The resulting modified EVOH (C) had an ethylene content of 44 mol% and a structural unit (I) content of 1.5 mol%.
[0202]
Using the modified EVOH (C) thus obtained, single-layer films and multilayer films were produced in the same manner as in Example 1, the oxygen transmission rate and haze were measured, and the bending resistance and stretchability were evaluated. The physical properties of the modified EVOH (C) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0203]
Comparative Example 3
100 parts by weight of water-containing pellets (water content: 130% (dry base)) consisting of EVOH having an ethylene content of 32 mol%, a saponification degree of 99.6% and an intrinsic viscosity of 0.0959 L / g were added to 0.1 g / L of acetic acid. Then, the mixture was immersed and stirred in 370 parts by weight of an aqueous solution containing 0.044 g / L of potassium dihydrogen phosphate at 25 ° C. for 6 hours. The obtained pellets were dried at 105 ° C. for 20 hours to obtain dry EVOH pellets. The dry EVOH pellets had a potassium content of 8 ppm (in terms of metal elements), an acetic acid content of 53 ppm, a phosphoric acid compound content of 20 ppm (phosphate group equivalent), and an alkaline earth metal salt content of 0 ppm. . Further, the MFR of the dry pellet was 4.5 g / 10 min (190 ° C., 2160 g load).
[0204]
A monolayer film and a multilayer film were produced in the same manner as in Example 1 except that the unmodified EVOH (A) was used in place of the modified EVOH (C) used in Example 1, and the oxygen transmission rate and haze were obtained. Was measured and the stretchability was evaluated.
[0205]
Further, the bending resistance was evaluated as follows. Using the above-mentioned unmodified EVOH (A) pellets, a film forming machine comprising a 40φ extruder and a T die was used to form a film having an extrusion temperature of 180 to 210 ° C. and a T die temperature of 210 ° C. to obtain a film having a thickness of 25 μm. It was. Subsequently, 40 single-layer films made of the above-mentioned EVOH cut to 21 cm × 30 cm were prepared. Each film was conditioned at 20 ° C.-65% RH for 5 days, and then ASTM F 392-74. Similarly, using a gelbo flex tester manufactured by Rigaku Kogyo Co., Ltd., bending the pin hole 25 times, 30 times, 35 times, 40 times, 50 times, 60 times, 80 times and 100 times, Number was measured. In each bending number, the measurement was performed 5 times, and the average value was defined as the number of pinholes. The number of bends (P) is plotted on the horizontal axis and the number of pinholes (N) is plotted on the vertical axis. The measurement results are plotted, and the number of bends (Np1) when the number of pinholes is one is obtained by extrapolation. Np1 of the film of this comparative example was 34 times.
[0206]
The physical properties of EVOH (A) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0207]
Comparative Example 4
100 parts by weight of water-containing pellets (water content: 130% (dry base)) made of EVOH having an ethylene content of 44 mol%, a saponification degree of 99.6%, and an intrinsic viscosity of 0.0948 L / g were mixed with 0.12 g / L of acetic acid. Then, the mixture was immersed and stirred in 370 parts by weight of an aqueous solution containing 0.044 g / L of potassium dihydrogen phosphate at 25 ° C. for 6 hours. The obtained pellets were dried at 105 ° C. for 20 hours to obtain dry EVOH pellets. The dry EVOH pellets had a potassium content of 8 ppm (in terms of metal element), an acetic acid content of 62 ppm, a phosphoric acid compound content of 20 ppm (phosphate radical equivalent), and an alkaline earth metal salt content of 0 ppm. . The dry pellet had an MFR of 5.5 g / 10 min (190 ° C., 2160 g load).
[0208]
A monolayer film and a multilayer film were produced in the same manner as in Example 1 except that the unmodified EVOH (A) was used in place of the modified EVOH (C) used in Example 1, and the oxygen transmission rate and haze were obtained. Was measured and the stretchability was evaluated. Further, the bending resistance was evaluated in the same manner as in Comparative Example 3. The physical properties of EVOH (A) are summarized in Table 1, and the evaluation results of the film are summarized in Table 2.
[0209]
[Table 1]
[0210]
[Table 2]
[0211]
In Examples 1 to 3 using the catalyst (D), EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) can be efficiently reacted even when melt-kneaded at a relatively low temperature of 200 to 220 ° C., A modified EVOH (C) having a high content of the structural unit (I) could be obtained. At this time, the MFR of the modified EVOH (C) hardly changes compared to the MFR of the raw material EVOH (A). The effect of promoting the reaction between EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) is that the catalyst (D) containing zinc ions rather than the catalyst (D) containing yttrium ions (Example 3) (Example 1). And 2) are larger.
[0212]
On the other hand, in Comparative Examples 1 and 2 in which the catalyst (D) was not used, only modified EVOH (C) having a lower content of the structural unit (I) was obtained than in Examples 1 to 3 above. Further, the MFR of the obtained modified EVOH (C) was lower than the MFR of the raw EVOH (A).
[0213]
The modified EVOH (C) (Examples 1 to 3) containing the structural unit (I) is transparent although the oxygen transmission rate is increased to some extent as compared with the unmodified EVOH (A) (Comparative Examples 3 and 4). , Flex resistance and stretchability are greatly improved. Further, since the melting point is also lowered, melt molding at a lower temperature is possible. As the content of the structural unit (I) increases, the bending resistance and stretchability are improved, and the melting point is also lowered. Therefore, considering the balance with the oxygen transmission rate, the appropriate structural unit (I) It is necessary to set the content. According to the method for producing modified EVOH (C) of the present invention, the content of the structural unit (I) can be set widely by melt-kneading at a relatively low temperature.
[0214]
【The invention's effect】
The modified EVOH (C) of the present invention is excellent in barrier properties, transparency, stretchability and bending resistance, and is suitably used as a barrier material. Moreover, it can be used suitably also for various molded articles and multilayer structures. When producing such a modified EVOH (C), according to the production method of the present invention, the EVOH (A) and the monovalent epoxy compound (B) are efficiently produced at a relatively low temperature using an extruder. By reacting, modified EVOH (C) can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram of a configuration of an extruder used for producing modified EVOH (C) in Example 1. FIG.
FIG. 2 shows the modified EVOH (C) obtained in Example 1.1It is a figure which shows a H-NMR chart.
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