JP3750535B2 - 自動分離抽出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動分離抽出装置に係り、特に医学・農学・理学・薬学等のさまざまな分野で、例えば抗体、抗原等の免疫物質、遺伝子物質(DNA、RNA、mRNA等)、細菌、その他の医療薬品等の有用物質または目的物質の分離、抽出または回収を行うために、それに関連する反応、分注、単離、濃縮、攪拌、清澄、懸濁、希釈等の処理または作業を含めて、マイクロプレート等の容器に対して、一貫して自動的に大量且つ迅速に行うことが可能な医療、検査、診断、治療、研究、定量、定性、測定等に適用する自動分離抽出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動分離抽出装置には、特開2000−121511に開示されているように、目的物質であるプラスミド、或いはその他の免疫物質等を遠心装置を利用して分離するものがある。目的物質を遠心分離により得るためには、種々の工程が必要であり、例えばプラスミドを抽出するには、先ず、大腸菌培養液から集菌する工程が必要である。更に集菌された大腸菌を溶解するために、アルカリ塩や、酢酸塩を加える等の試薬を分注する工程が必要となる。更に、抽出されたプラスミドを上清中に分離したり、更に種々の試薬を分注することによって、上清を除去してプラスミドを沈殿物として得る工程が必要になるほか、攪拌などの工程も必要としていた。
【0003】
これらの工程を処理するため自動分離抽出装置は、多数のウエルを有するマイクロプレートの載置される回転駆動自在な円環状のターンテーブルと、ターンテーブル上のマイクロプレートを各工程における必要位置まで移動させるためのロボットハンドから成る搬送装置と、搬送装置により移送されたマイクロプレートを加振することで試料等を攪拌するための攪拌装置と、マイクロプレート内に試薬等を分注するため一列8本のディスポーザブルチップを着脱自在な第一の分注機と、搬送装置により搬入されるマイクロプレートに保持された試料を分離するための遠心分離装置と、遠心分離装置、ターンテーブル、搬送装置、攪拌装置、抽出処理装置の操作及び制御を行う操作制御装置とから構成されている。また、この自動分離抽出装置には、遠心分離後のマイクロプレートから上清を廃棄処理するための第二の分注機と、遠心分離後のマイクロプレートから抽出した上清を他のマイクロプレートに抽出するための第三の分注機とが配置されている。
【0004】
このような自動分離抽出装置によるプラスミドDNA等の遺伝子物質の分離/抽出には、上述したように種々の工程があるが、以下に攪拌工程を行うための攪拌機構について説明する。マイクロプレートに試薬を分注した後、進退機構が振動源、伝達機構、振動ピン等を持ち上げて振動ピンがマイクロプレートの底面に当接し、更に押し上げて保持枠でマイクロプレートを受け止める。次に振動源を駆動してマイクロプレートを振動させる攪拌動作を行う。攪拌動作後は、進退機構が振動源、伝達機構、振動ピン等を下げて、振動ピンがターンテーブルの下に潜り込むように動作する。この時、ターンテーブルに固定された4個のL字状留め具を利用して、ターンテーブルに載置する時にマイクロプレートの位置決めがなされるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の攪拌機構は、攪拌時、進退機構により攪拌部全体を上げマイクロプレートを保持枠で固定し、攪拌後は攪拌部全体を下げL字状留め具に載置してマイクロプレートを位置決めしていたため、大掛かりで複雑な機構であることから結果的に高価な攪拌機構になってしまうという不具合があった。また、マイクロプレートは、メーカーによって若干形状が異なることから、胴回りの側面などは違いが顕著である。これらの不具合を解消するためには、例えばソレノイドで駆動される位置決めピンをマイクロプレートに押し当てる構成などが考えられるが、ソレノイド等の駆動源、そしてそれらを取り付ける部材などが新たに必要になってしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解消し、形状の異なるマイクロプレートを攪拌部にセットすることのできるシンプル且つ安価な自動分離抽出装置を提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、攪拌動作後、マイクロプレートの位置出しを確実に行える自動分離抽出装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、多数のウエルを有するマイクロプレートと、マイクロプレートに振動を与える攪拌部と、マイクロプレートを把持するハンドを有する搬送手段と、攪拌部及び搬送手段の操作及び制御を行う操作制御部とを有する自動分離抽出装置において、攪拌部にマイクロプレートを保持するため、搬送手段により操作されるロック手段を設けることにより達成される。
【0009】
上記目的は、多数のウエルを有するマイクロプレートと、マイクロプレートを把持するハンドを有する搬送手段と、搬送手段の操作及び制御を行う操作制御部とを有する自動分離抽出装置において、マイクロプレートを載置する平らなテーブルを設け、搬送手段によりマイクロプレートをテーブルに載置した後、搬送手段のハンドによりマイクロプレートを略90度の異なる2方向から掴むよう動作することにより達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本実施例における自動分離抽出装置を図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施例における自動分離抽出装置1を示す平面図、図2は本実施例における攪拌部3の攪拌テーブル3cを示す外観斜視図である。自動分離抽出装置1は、分注液処理部2、攪拌部3、遠心分離部4、搬送手段5、受け渡し部10、棚11、操作/制御部6などから構成されており、複数個のウェルが設けられた略直方体の形状を成すマイクロプレート7を用いて様々な工程を経てDNAなどを抽出するための装置である。分注液処理部2は、マイクロプレート7に試薬などを注入したり、ウェル内の液体の一部を排除する等の動作を実行している。この分注液処理部2には、チップの着脱可能な分注ヘッド2aが有り、分注テーブル2bをX−Y方向に移動させてマイクロプレート7を分注ヘッド2aの下方に位置決めし、分注ヘッド2a及び図示しないシリンジが上下動して分注動作を行う。分注液処理部2への試薬の供給方法は、ポンプ8を駆動しチューブ(図示せず)を通りノズル9から試薬入れ容器に注入される。攪拌部3はマイクロプレート7を保持して、所望の時間だけ振動させてウェル内の液体の攪拌を行っている。遠心分離部4は、図示しないハンドリング装置(図示せず)を備えており、受け渡し部10に置かれたマイクロプレート7をハンドリング装置で掴んでスウィング式ロータにセットし、所望の時間回転させて遠心力により液体の分離を行う。搬送手段5は、棚11、テーブル12、分注液処理部2、攪拌部3、受け渡し部10などの各機器間を、ハンド5aでマイクロプレート7を把持して搬送する。搬送手段5は、例えばX−Y−Zの3軸ロボットの先端にハンド5aを設け、このハンド5aの旋回及び開閉動作を行うハンドリングロボットである。操作/制御部6は分注液処理部2、攪拌部3、遠心分離部4、搬送手段5、受け渡し部10などを動作させるための操作及びこれらの制御を実行する。
【0011】
図2に示すように、攪拌部3の攪拌テーブル3cには、マイクロプレート7を保持するためのロック手段3aを備えており、このロック手段3aは支点からの長さL1、L2が異なる複数の作用バー3b1、3b2を有している。第1の作用バー3b1は、例えばマイクロプレート7の胴回りが太い物を保持する時に使用し、第2の作用バー3b2はマイクロプレート7の胴回りが細い物を保持する時に使用する。作用バー3b1、3b2の先端には滑りやすいようにローラ3gを設けており、バネ3fで引っ張られている保持バー3eを作用バー3b1又は3b2の先端のローラ3gが押して、保持バー3eに設けられた凹部3e1にローラ3gが入りロックされる。この時、保持バー3eと弾性体3iとでマイクロプレート7を挟み込むようにして保持する。ロック手段3aには上方へ突き出た操作レバー3dが設けられており、この操作レバー3dを搬送手段5のハンド5aで左右に操作して、ロック及びロック解除する。
【0012】
上記した機器等から構成される自動分離抽出装置1で、例えば試薬分注後の攪拌工程について図1及び図2を用いて説明する。先ず初期状態として、作業者はサンプルの入ったマイクロプレート7を棚11にセットし、作業内容及び手順は操作/制御部6に予め教示させておく。作業者が操作/制御部6の図示しないスタートスイッチを押すと、搬送手段5が棚11に載置されたマイクロプレート7を把持して分注液処理部2の破線で示した分注プレート置き場2cへ置く。分注液処理部2は、前述した手法で、試薬の供給、チップ内へ試薬の吸引、分注プレート置き場2cへ置かれたマイクロプレート7への吐出の動作を実行する。分注動作後は、搬送手段5が分注プレート置き場2cへ置かれたマイクロプレート7を把持して攪拌部3の攪拌プレート置き場3hへ移送する。次に、搬送手段5のハンド5aで、マイクロプレート7の胴回りが太い物の場合は操作レバー3dを左へ動かしてロックし、マイクロプレート7を保持させる。マイクロプレート7の胴回りが細い物の場合は操作レバー3dを右へ動かしてロックする。なお、マイクロプレート7の胴回りが太いか細いかは、操作/制御部6に予め教示させておいても良いし、ハンド5aが把持した時にセンサで検知しても良い。ロック動作終了後、攪拌部3は、予め設定された攪拌時間分振動して、マイクロプレート7の液体の攪拌を行う。攪拌の時間が経過すると、搬送手段5のハンド5aでロック動作と逆の向きに操作レバー3dを移動させてロック解除動作を実行する。この時、マイクロプレート7は、攪拌プレート置き場3hへ載置された時の位置と比べ数mm程ずれている。続いて、搬送手段5のハンド5aが攪拌プレート置き場3hのマイクロプレート7を把持する。この時ハンド5aはずれ分を考慮した開き動作をすれば良い。把持したマイクロプレート7はテーブル12に載置される。テーブル12は平らでマイクロプレート7の底面よりも少し大きい。搬送手段5は、テーブル12に載置されたマイクロプレート7を、X軸の方向からハンド5aで掴む動作をして一度開き、次にハンド5aを略90度旋回させてY軸の方向から掴む動作をする。この動作を行うことにより、ハンド5aの中心へ互いの指が動くため、直方体状に形成されたマイクロプレート7の位置出しが確実になされる。よって、搬送手段5により次の工程の機器へマイクロプレート7を搬送することができ、また棚11の元の位置へ戻すことができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、複数個のウエルが設けられた略直方体状のマイクロプレートを振動させる攪拌部に、マイクロプレートを保持するロック手段を設け、ハンドを有した搬送手段でロック手段を操作してマイクロプレートを保持するようにしたので、機構がシンプルで且つ安価な攪拌部とすることができる。更に支点からの長さが異なる複数の作用バーをロック手段に備えることにより、形状の異なるマイクロプレートでも保持することができ、攪拌動作を可能とすることができる。
【0014】
また本発明によれば、マイクロプレートを載置できる平らなテーブルを設け、搬送手段によりマイクロプレートをテーブルに載置した後、搬送手段のハンドでマイクロプレートを略90度の異なる2方向から掴むように構成することで、攪拌動作後のマイクロプレートの位置出しを確実に実行する自動分離抽出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明になる自動分離抽出装置を示す平面図である。
【図2】 本発明になる攪拌部の攪拌テーブルを示す外観斜視図である。
【符号の説明】
1は自動分離抽出装置、2は分注液処理部、3は攪拌部、3aはロック手段、3b1及び3b2は作用バー、4は遠心分離部、5は搬送手段、5aはハンド、6は操作/制御部、7はマイクロプレート、10は受け渡し部、12はテーブルである。
Claims (3)
- 多数のウエルを有するマイクロプレートと、該マイクロプレートに振動を与える攪拌部と、前記マイクロプレートを把持するハンドを有する搬送手段と、前記攪拌部及び前記搬送手段の操作及び制御を行う操作制御部とを有する自動分離抽出装置において、前記攪拌部に前記マイクロプレートを保持するため、前記搬送手段のハンドにより操作されるロック手段を設けることを特徴とする自動分離抽出装置。
- 前記ロック手段は、支点からの長さが異なる複数の作用バーを有することを特徴とする請求項1記載の自動分離抽出装置。
- 前記作用バーは、その先端部にローラを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の自動分離抽出装置。
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