JP3749963B2 - 組み電池の過放電保護装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、組み電池の保護技術に関し、特にその過放電保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、組み電池の過放電検出は、端子電圧を各電池セルごとに、または互いに直列接続された数個の電池セルごとに検出し、検出した端子電圧の少なくとも一つが所定のしきい値を下回る場合に過放電と判定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
組み電池における過放電の検出はその耐久性や信頼性確保などの点で非常に重要であった。
しかし、従来では、CPUで過放電判定するためには、組み電池を構成する各電池セルから検出した多数の端子電圧をそれぞれデジタル信号に変換し、かつ、これら多数のデジタル端子電圧をCPUでの処理のために時間順次の信号に変換せねばならず、回路負担も大きく、更にこれらの回路に故障や誤動作が生じると過放電判定の信頼性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
回路負担を軽減するために、互いに縦続接続された電池セルでそれぞれ構成される複数の電池モジュールの端子電圧を検出して過放電判定することもできるが、この場合には、どうしても判定精度が劣化しがちであった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、組み電池における過放電判定の信頼性を向上可能な組み電池の過放電保護装置を提供することを、その目的としている。
【0005】
また、本発明は、装置構成の追加を抑止しつつ過放電判定の信頼性を向上可能な組み電池の過放電保護装置を提供することを、他の目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明の組み電池の過放電保護装置によれば、放電時における短期的な電池温度上昇率が所定のしきい値を超える場合に過放電と判定するので、端子電圧判定による過放電判定の信頼性にかかわらず、確実に過放電を検出することができる。特に、電池温度の検出、判定に関する回路機構自体は、電気自動車などの組み電池ではあらかじめ汲み込まれているのが通常であるので、ほとんど装置規模を増大することなく、過放電判定性能を向上することができる。
【0007】
更に、絶対温度の高低ではなく短期的な温度上昇率の大小により過放電の判定を行なっているので、緩慢な周囲温度の変化による誤判定が生じることがなく、判定信頼性を向上することができる。
請求項2記載構成によれば請求項1記載の組み電池の電池の過放電保護装置において更に、電圧式過放電判定手段も備え、この電圧式過放電判定手段の判定結果にかかわらず、温度式過放電判定手段が過放電と判定する場合には、最終的に過放電と判定する。
【0008】
このようにすれば、電圧式過放電判定手段が誤判定したとしても、過放電による障害を防止することができ、また温度式過放電判定手段が過放電を判定しなくても、電圧式過放電判定手段が過放電と判定すれば、最終的に過放電と判定する。したがって、本構成によれば、両過放電判定手段の一方が正常であれば、電池の過放電保護を実現することができる。
【0009】
請求項3記載の構成によれば請求項1記載の組み電池の電池の過放電保護装置において更に、温度式過放電判定手段はその大部分の構成を、充電における温度式異常(たとえば過充電)を判定する手段と共用するので、装置規模の増大を抑止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の組み電池の過放電保護装置の好適な態様を以下の実施例により具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
この実施例の装置を図1に示すブロック図を参照して説明する。
1は、組み電池であり、多数の電池モジュール2を直列に接続して構成されている。なお、この実施例では、各電池モジュール2は複数の円筒型単電池を直列接続して構成されている。組み電池1は、図示しない充電制御回路を通じてその充電を制御され、図示しない放電制御回路を通じてその放電を制御される。これら充電制御回路や放電制御回路自体は本実施例の要ぶではなく、かつ周知でもあるので図示、説明を省略する。
【0012】
3は、それぞれ温度センサであり、組み電池1を構成する各円筒型単電池2の周壁に接着されて、各単電池2の温度を検出して電圧信号として出力するサーミスタからなる。なお、この実施例において温度センサ3は各電池モジュール2にそれぞれ設けられるが、一部の電池モジュール2にだけ設けることも可能である。
【0013】
4は、各温度センサ3から出力される温度信号すなわち電圧信号をA/D変換するA/Dコンバータと、A/D変換されたデジタル温度信号を時間順次信号に変換するマルチプレクサとを含む温度前処理回路である。
5は、各単電池2の端子電圧をA/D変換するA/Dコンバータと、A/D変換されたデジタル端子電圧を時間順次信号に変換するマルチプレクサとを含む端子電圧前処理回路である。
【0014】
6は、組み電池1の充放電電流を検出する電流センサであり、この電流センサ6は内部に検出した電流をA/D変換するA/Dコンバータを内蔵している。
7は、これらA/D変換された温度、端子電圧及び電流を読み込んで組み電池1の過放電判定を行なう過放電検出部(過放電判定手段)である。なお、過放電検出部7は、通常の充放電制御や過電圧検出や異常温度検出など、その他の電池制御機能とともに、マイクロコンピュータ装置により実現される。
【0015】
この過放電検出部7の動作を図2に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
まず、電流センサ6の信号に基づいて、単位時間当たりの充放電量を計算し、単位時間当たりに放電がなされたかどうかを調べ(S101)、放電中でなければS107にジャンプし、放電中であれば単位時間当たりの電池温度変化すなわち温度上昇率dT/dtを各温度センサごとに算出する(S102)。
【0016】
次に、読み込んだ各端子電圧と電流との関係から、電池を使うシステムが必要とする最大の電流、あるいは、電力で放電した場合の電圧VB0を推定し、この推定電圧VB0の一つでも所定の過放電しきい値電圧Vthより小さいかどうかを調べ(S103)、もし小さければ、S105に進んで過放電の警報を出力し、
過放電状態を示すフラグfragを立てる。そうでなければ、S102にて算出した各温度上昇率dT/dtの一つでも、所定のしきい値Sthより大きいかどうかを調べ(S104)、同様に、S105で過放電警報の出力およびs106にて放電規制指令を発する。
次にS107にて、現在過放電警報を出力中かどうかを調べ、出力されている場合にはS108にて過放電警報出力後に充電が十分になされているかどうかを判断し、なされていればフラグfragをおろし、警報を解除する(S109)。
以上説明した本実施例の過放電保護機能をもつ組み電池によれば、どれかの単電池2が放電中に過放電状態となって高抵抗状態となり、その内部発熱が増大すれば、それをこの単電池2に設けられた温度センサ3を通じて速やかに検出して、過放電判定することができるため、電圧センサ数を減らしても優れた信頼性を有する過放電判定システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の組み電池の過放電保護装置のブロック図である。
【図2】 図1に示す過放電保護装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1は組み電池、2は単電池(電池モジュール)、3は温度センサ、6は過放電検出部(温度式過放電判定手段(S106、S112)、短期的電池温度上昇率算出手段(S104)過放電規制用信号出力手段(S108、S114)、電圧式過放電判定手段(S102)

Claims (3)

  1. 多数の単電池を直列接続してなる組み電池の温度を測定する温度センサと、
    前記組み電池の放電時に前記温度センサで検出した短期的電池温度上昇率を算出する短期的電池温度上昇率算出手段と、
    算出した前記短期的電池温度上昇率が所定のしきい値を超える場合に過放電と判定する温度式過放電判定手段と、
    前記過放電と判定した場合に前記過放電を規制するための信号を出力する過放電規制用信号出力手段と、
    を備えることを特徴とする組み電池の過放電保護装置。
  2. 請求項1記載の組み電池の電池の過放電保護装置において、
    前記組み電池を構成する複数の電池モジュールの端子電圧の一つが所定値未満に低下した場合に過放電と判定する電圧式過放電判定手段を有し、
    前記過放電規制用信号出力手段は、前記組み電池の放電時に前記電圧式過放電判定手段が過放電と判定しなくても、前記温度式過放電判定手段が過放電と判定すれば、前記過放電を規制するための信号を出力することを特徴とする組み電池の過放電保護装置。
  3. 請求項1記載の組み電池の電池の過放電保護装置において、
    前記組み電池の充電時に前記温度センサで検出した温度に関連する信号が所定のしきい値を超える場合に、前記充電を規制するための信号を出力する充電規制用信号出力手段を備えることを特徴とする組み電池の過放電保護装置。
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