JP3749656B2

JP3749656B2 - Steel material with excellent toughness

Info

Publication number: JP3749656B2
Application number: JP2000283617A
Authority: JP
Inventors: 琢哉 ▲高▼知; 護長尾; 浩家口
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 2000-09-19
Filing date: 2000-09-19
Publication date: 2006-03-01
Anticipated expiration: 2020-09-19
Also published as: JP2002097543A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸送機械や建築構造物等の機械構造物に用いられる鋼材に関し、特にばねやボルトの素材に適した高強度で高靭性の鋼材に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、輸送機械や建築構造物等に使用される機械構造物用鋼材は、軽量化および長寿命化という目的から、より一層の高強度化が要求されている。こうした高強度化を達成することは、例えば自動車における燃費や排ガス低減が図れ、その結果として環境への負荷の低減が図れるのである。
【０００３】
上記の様な高強度機械構造用鋼材としては、焼入れ・焼戻し処理によって組織をマルテンサイト化した鋼（マルテンサイト鋼）が主に用いられており、その強度レベルはロックウェルＣ硬さ（ＨＲＣ）で４５以上、好ましくはＨＲＣ５０以上が必要とされている。しかしながら、鋼材の高強度化を図ることは靭性の劣化を招くという弊害が生じることになる。こうしたことから、高強度化を図ると共に、遅れ破壊感受性や腐食疲労特性等の靭性をも良好にすることが現在の重要な課題とされている。
【０００４】
高強度と良好な靭性を兼ね備えた鋼材の開発を目指してこれまでにも様々な技術が提案されており、例えば特公昭６０−３０７３６号には、冷間成形コイルばねの靭性向上を目標として、高周波加熱焼入れによってマルテンサイト組織を微細化する技術が提案されている。但し、この技術では、急速加熱処理によってオーステナイト組織を微細化し、間接的にマルテンサイト組織を微細化するものであるので、靭性向上の程度も十分に満足できるものではなく、更なる高靭性化の技術の開発が望まれている。
【０００５】
また、特開平６−１１６６３７号には、成分組成としてＮｉを多量（８．０〜１１．０％程度）に含有させると共に、昇温中に剪断型逆変態オーステナイト相を生成させ、転位密度の高い未変態オーステナイトから焼入れることによって、マルテンサイト鋼の靭性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、Ｎｉは積極的に多量添加するには高価な元素であるという欠点がある。
【０００６】
更に、特開平７−２２４３５５号には、マルテンサイト鋼に１回の伸線加工を施して鋼材表層に<１１０>集合組織を形成させることによって、マルテンサイト鋼の旧オーステナイト粒界における割れを防止して靭性を向上させる方法が開示されている。しかしながらこの技術は、ＰＣ(prestressed concrete)鋼棒に適用されることを想定してなされたものであるので、こうした用途で要求される特性が重視されており、またマルテンサイト鋼の強度を決定する添加Ｃ量も０．１〜０．４％と低く設定されており、ばねやボルト用鋼として適用するには強度および靭性ともに要求水準を満足するものではかった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、ＨＲＣ４５以上の高強度が要求される構造部材として用いても十分な強度を有すると共に、靭性にも優れた鋼材を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の鋼材とは、Ｃ：０．３〜１．２％、Ｍｎ：０．１５〜２．０％を夫々含有する他、（１）Ｃｒ：３％以下（０％を含まない）、Ｍｏ：２％以下（０％を含まない）、Ｎｉ：１０％以下（０％を含まない）およびＣｕ：１％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素、（２）Ｓｉ：３．０％以下（０％を含まない）および／またはＡｌ：１．５％以下（０％を含まない）、（３）Ｔｉ：０．３０％以下（０％を含まない）、Ｎｂ：０．３％以下（０％を含まない）、Ｖ：０．３％以下（０％を含まない）およびＺｒ：０．３％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素、を含有し、Ｐ：０．０２％以下（０％を含む）およびＳ：０．０２％以下（０％を含む）に夫々抑制し、残部がＦｅおよび不可避的不純物からなるものであり、マルテンサイト組織を主体とし、且つロックウェルＣ硬さ（ＨＲＣ）が４５〜６４、Ｘ線回折におけるα−Ｆｅ（２００）ピークの半価幅ＨＷ_{α（２００）}が下記（１）式、望ましくは下記（２）式を満足する点に要旨を有するものである。
ＨＷ_{α（２００）}＞−０．９４＋３．９４×１０^−２×ＨＲＣ ……（１）
ＨＷ_{α（２００）}＞−０．９０＋３．９４×１０^−２×ＨＲＣ ……（２）
【００１０】
【発明の実施の形態】
マルテンサイト鋼の最高到達硬さは、炭素含有量によってほぼ決定されることが知られている。これは、マルテンサイト鋼の強度レベルを決定する各種強化機構の中で、Ｃの固溶強化と析出強化を含む時効再配列等による寄与が、格子欠陥による強化に比べて大きいからである。従って、マルテンサイト鋼の高強度化には、Ｃ含有量を増加させることや炭化物形成元素の添加等が有効となる。しかしながら、Ｃ含有量を増加させることにより高強度化を図った場合には、靭性の確保が非常に困難になる。
【００１１】
一方、強度と靭性を両立させる強化手段として、結晶粒の微細化を図ることが有効であることも良く知られている。しかしながら、現状のレベルよりも更に結晶粒微細化を図ることは、現在のところ非常に困難である。また、結晶粒微細化以外の強化機構については、靭性に及ぼす影響が明らかにされている訳ではない。
【００１２】
上記の様な状況の下で本発明者らは、結晶粒微細化以外の手段で鋼材の強度と靭性を両立させる強化機構について様々な角度から検討を重ねた。その結果、格子欠陥の導入による強化機構においては、靭性劣化への影響が非常に小さいことが判明した。そして、こうした知見に基づいて更に検討を重ねたところ、鋼材に多量の格子欠陥を導入して全強度に対する格子欠陥の寄与をできるだけ増大させてやれば、高強度と高靭性を兼ね備えた鋼材が実現できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明で規定する各要件について説明する。
【００１３】
まず本発明の鋼材は、基本的にＣ：０．３〜１．２％、Ｍｎ：０．１５〜２．０％を夫々含有すると共に、Ｐ：０．０２％以下（０％を含む）およびＳ：０．０２％以下（０％を含む）に夫々抑制したものであるが、これらの元素の範囲限定理由は下記の通りである。
【００１４】
Ｃ：０．３〜１．２％
本発明の鋼材に目標とする強度・靭性レベルを確保させるためには、Ｃは少なくとも０．３％含有させる必要がある。鋼材は、Ｃ含有量の増加に伴って高強度化が達成されることになる。また、Ｃ含有量を増加することによって、焼入れ後のマルテンサイト鋼中の欠陥密度が高くなるので、高欠陥密度による靭性向上を図る本発明においては、Ｃ含有量はできるだけ高い方が有利である。しかしながら、Ｃ含有量が過剰になって１．２％を超えると、焼割れが生じ易くなる。尚、Ｃ含有量の好ましい下限は０．３％程度であり、好ましい上限は０．８％程度である。
【００１５】
Ｍｎ：０．１５〜２．０％
Ｍｎは、焼入れ性向上元素として添加されるが、その効果を発揮させるためには０．１５％以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が過剰になると、冷間成形性や靭性の低下を招くので、上限を２．０％とする。尚、Ｍｎ含有量の好ましい下限は０．２％であり、好ましい上限は１．０％である。
【００１６】
Ｐ：０．０２％以下（０％を含む）、Ｓ：０．０２％以下（０％を含む）
ＰとＳが鋼材中に過度に存在すると、オーステナイト結晶粒界に偏析して粒界破壊を助長して靭性を低下させるので、できるだけ少ない方が良いが、いずれも０．０２％以下に抑制すればこうした不都合を回避することができる。尚、これらの元素は、いずれも０．０１％以下に抑制することが好ましい。
【００１７】
本発明の鋼材における基本的な化学成分組成は上記の通りであるが、その他、（１）Ｃｒ：３％以下（０％を含まない）、Ｍｏ：２％以下（０％を含まない）、Ｎｉ：１０％以下（０％を含まない）およびＣｕ：１％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素、（２）Ｓｉ：３．０％以下（０％を含まない）および／またはＡｌ：１．５％以下（０％を含まない）、（３）Ｔｉ：０．３０％以下（０％を含まない）、Ｎｂ：０．３％以下（０％を含まない）、Ｖ：０．３％以下（０％を含まない）およびＺｒ：０．３％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素、等を含有し、残部はＦｅおよび不可避的不純物からなるものである。これらの元素の範囲限定理由は、下記の通りである。尚、これらの成分以外にも、本発明の鋼材には、その特性を阻害しない範囲の微量成分（例えば、Ｂ，Ｍｇ，Ｔａ，Ｃｏ，Ｓｂ，Ｗ，希土類元素等）も含み得るものであり、こうした鋼材も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【００１８】
Ｃｒ：３％以下（０％を含まない）、Ｍｏ：２％以下（０％を含まない）、Ｎｉ：１０％以下（０％を含まない）およびＣｕ：１％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素
Ｃｒ、Ｍｏ、ＮｉおよびＣｕは、耐食性を向上させるのに有効な元素であるが、過剰に含有させると焼入れ性が高くなり過ぎ、ボルト成形時等における冷間成形性を劣化させる。また、これらの元素は高価であるので、増量による特性向上とコスト増加との兼ね合いから、上限を夫々上記の様に設定した。尚、これらの元素による上記効果は、上記範囲内でその含有量を増加させるにつれて大きくなるが、上記効果を発揮させる為には、いずれも０．１％以上含有させることが好ましい。
【００１９】
Ｓｉ：３．０％以下（０％を含まない）および／またはＡｌ：１．５％以下（０％を含まない）
ＳｉおよびＡｌは、ばね鋼として要求される耐へたり性を向上させるのに有効な元素であるが、過剰に含有させると熱処理時の脱炭や鋳造時の凝固割れ等の問題が起こるので、上限を夫々上記の様に設定した。尚、上記の様な効果を有効に発揮させるためには、Ｓｉで０．５％以上、Ａｌで０．２％以上含有させることが好ましい。
【００２０】
Ｔｉ：０．３０％以下（０％を含まない）、Ｎｂ：０．３％以下（０％を含まない）、Ｖ：０．３％以下（０％を含まない）およびＺｒ：０．３％以下（０％を含まない）よりなる群から選ばれる１種以上の元素
Ｔｉ、Ｎｂ、ＶおよびＺｒは、微量の添加で微細析出物を形成し、析出強化をもたらすと共に、鋼材組織の粗大化抑制および微細化等に寄与し、靭性を向上させるのに有効な元素である。これらの効果は、その含有量が増加するにつれて大きくなるが、過剰に含有させると析出物が粗大化し加工性が悪くなるので、上限を夫々上記の様に設定した。尚、上記の様な効果を有効に発揮させるためには、いずれも０．０５％以上含有させることが好ましい。
【００２１】
本発明の鋼材は、前述の如くマルテンサイト組織を主体とするものである。焼入れ後や焼戻し後の組織には、未変態のオーステナイト（残留オーステナイト）を含む場合があるが、本発明におけるマルテンサイト組織とは、焼入れ・焼戻し後の残留オーステナイトを除く組織を指す。また、「マルテンサイト組織を主体とする」とは、マルテンサイト組織が９０体積％程度以上であることを意味し、この体積割合は例えばＸ線回折法によって求められる残留オーステナイト量から計算することができる。この様に、マルテンサイト組織を主体とする組織とすることによって、前記Ｃ含有量と相俟って、鋼材の強度をロックウェルＣ硬さＨＲＣで４５〜６４とすることができる。
【００２２】
但し、上記の要件（化学成分および組織）を満足するだけでは、本発明で目的とする高靭性を達成することができない。本発明では格子欠陥密度の評価パラメータの一つであるＸ線回折におけるα−Ｆｅ（２００）ピークの半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎を用いて、本発明の意図する高靭性を達成する為の指標となる格子欠陥密度を限定したのである。
【００２３】
即ち、本発明においては、マルテンサイトのα−Ｆｅ（２００）ピークの半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎が、上記ＨＲＣとの関係で上記（１）式［好ましくは上記（２）式］を満足すれば、本発明で意図する優れた高靭性が発揮されるためである。尚、前記半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎は、湿式切断した鋼材の圧延方向横断面に切断加工歪み影響部を除去するのための湿式研磨や電界研磨を施して測定面とし、Ｘ線回折法によって求められるものである。
【００２４】
上記の様な要件を満足する本発明のマルテンサイト鋼は、高強度および高靭性の両特性を具備したものとなり、高強度ばねや高強度ボルトの素材として好適である。この様なマルテンサイト鋼を製造するに当たっては、鋼材中の欠陥密度を高めるという観点から、例えば後記実施例の製造パターンＡの条件に示す如く、マルテンサイト鋼の製造プロセスである焼入れ・焼戻し処理において、焼入れ後および焼戻し後の夫々において、総減面率が２０％以上となる様な冷間加工を１回以上施せば良い。
【００２５】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【００２６】
【実施例】
下記表１に示す化学成分組成を有する各種鋼材（Ｎｏ．１〜１８）を、溶製、形状加工し、直径：１８ｍｍの棒材を得た。
【００２７】
【表１】

【００２８】
次に、下記表２に示す３つの製造パターンＡ〜Ｃによって、マルテンサイト鋼を作製した。この製造プロセスは、▲１▼焼入れ処理、▲２▼中間加工処理、▲３▼焼戻し処理、▲４▼後加工処理および▲５▼ブルーイング処理の５つの処理工程からなり、下記表２には各工程の処理条件範囲を示してある（但し、「−」は処理無しであることを意味する）。
【００２９】
【表２】

【００３０】
焼入れ処理については、後の冷間加工時の加工性を確保する為に昇温速度および処理時間を制御し、加熱温度はＡｃ₃〜Ａｃ₃＋２００℃とした。但し、製造パターンＡについては、高いレベルでの特性実現の為に、製造パターンＢ，Ｃと比べて各焼入れ処理条件を更に制限した。また、焼入れ時の冷却については、冷却速度が臨界冷却速度以上となる様に水冷で行なった。
【００３１】
焼入れ後、製造パターンＡ，Ｂでは、中間加工処理として室温にて伸線加工を行なった。この伸線加工は、前述の如く、鋼中の欠陥密度を高める目的で行なうものであり、内部まで加工される様に、総減面率が２０％以上となる様に行なった。これに対して、製造パターンＣでは、中間加工は行なわなかった。尚、この実施例では、加工方法として伸線を選択したけれども、欠陥密度を高めるための手段としての加工方法はこれに限定されるものではなく、例えば圧延、転造、ショットピーニング等、その他の方法も採用することができる。
【００３２】
焼戻し処理については、必要な強度レベルに調整する様に条件を設定した。焼戻し処理時に欠陥密度は回復によって減少するので、鋼材における最終的な欠陥密度を高める為には、できるだけ（ａ）昇温速度を大きく、（ｂ）加熱温度を低く、（ｃ）処理時間を短くした方が良い。こうした観点から、上記製造パターンＡ〜Ｃのいずれにおいても、３０℃／ｓｅｃ以上という比較的大きな昇温速度にしているが、特に製造パターンＡでは条件を更に制限し、昇温速度を１００℃／ｓｅｃ以上とした。
【００３３】
焼戻し後、製造パターンＡ，Ｃでは、後加工処理として室温で伸線加工を施した。この後加工処理では、前述した中間加工処理と同様、鋼材中の欠陥密度を高める為に行なうものであり、内部まで加工される様に、総減面率が２０％以上となる様に行なった。この後加工処理においても、前記中間加工処理と同様に、圧延その他の方法を採用することができる。
【００３４】
後加工した後は、いくつかの試料においては、更に強度を高めることを目的としてブルーイング処理を行なった。加工した鋼材に熱処理を施すと、固溶Ｃが再配列することによって、強度が上昇する。ブルーイング処理は、処理中に欠陥密度が低下し過ぎない様に、比較的低温の３００℃×１０分とした（製造パターンＡ，Ｃ）。
【００３５】
尚、各熱処理時の温度は、試料作成工程において、試料表面に熱電対を溶接して表面温度を測定し、測定温度から昇温速度を算出した。
【００３６】
焼戻し、後加工およびブルーイング後の鋼材の強度評価として、ロックウェルＣ硬さ（ＨＲＣ）を求めた。このとき、圧延方向横断面を測定面とする為に、湿式切断、♯８０および♯１５０のエミリー紙を用いて湿式研磨後、Ｄ／４（Ｄ：直径）位置の硬さを４点測定し、その平均値を求めた。
【００３７】
また、靭性評価特性値として、４点曲げ−陰極チャージ試験における破断寿命を採用した。例えば、ＣＡＭＰ−ＩＳＩＪ，１１（１９９８），４９５において、４点曲げ−陰極チャージ試験の破断寿命が、破断靭性値Ｋ_ICと良い相関を得ることが報告されており、本発明においてもこうした試験方法を靭性評価の試験方法として採用した。本発明で採用したこの試験方法の概要は、下記の通りである。
【００３８】
［４点曲げ−陰極チャージ試験］
まず、焼戻し後の試料から、放電処理によって長さ：６０ｍｍ，幅：１５ｍｍ，厚さ：１．５ｍｍの板状試験片を切り出し、図１に示す治具によって曲げ応力１４００ＭＰａで４点にて拘束した。そして、この拘束した試験片を装着した治具を、０．５ｍｏｌ／ｌ硫酸および０．０１ｍｏｌ／ｌのＫＳＣＮの混合液に浸し、陽極に白金電極を用いて、陰極電位−７００ｍＶを付加することで、試験片に電気化学的に水素を供給した。電位付与後、曲げ応力を与えた試験片が破断するまでの時間で測定した。そして、寿命が１０００ｓｅｃを超えるものが、実用に適する靭性を有することから、寿命が１０００ｓｅｃを合否の判断基準とした。
【００３９】
また、鋼材中の欠陥密度の評価基準となる前記半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎は、下記の手順によって求めた。
【００４０】
［半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎の測定条件］
ターゲットとしてＣｏを用い、モノクロメータによりＣｏ−Ｋαに単色化した。また、配向の異方性を除くため試料に回転と振動をかけながら測定を行なった。測定条件は、ターゲット電圧：４０ｋＶ，ターゲット電流：２００ｍＡ，発散スリット：１°，受光スリット：０．１５ｍｍ，モノクロメータ受光スリット：０．６ｍｍ，サンプリング幅：０．０２０°，走査速度：０．０８０°／ｍｉｎ，測定範囲：７４．５〜８１．０°として、α−Ｆｅ（２００）ピークデータを測定し、半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎を算出した。
【００４１】
前記表１に示した鋼材を、表２に示した製造パターンで製造した試料における特性を測定した結果を、詳細な製造条件と共に下記表３に示す。尚、下記表３における記号は、例えば表１の鋼材１を表２の製造パターンＡで製造したときには、「１−Ａ」と表記してある。また、下記表３における「１７−Ａ」のものは、焼入れ後の脱炭が許容外のものであり、また１８−Ａは中間加工処理の際に断線が生じたものであるので、いずれもその後の評価は行なわなかった。
【００４２】
【表３】

【００４３】
表３の結果に基づき、ＨＲＣとＸ線半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎の関係を図２に示す。製造パターンＡで作製した試料では、製造パターンＢ，Ｃで作成した試料に比べてＸ線半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎が大きくなっており、このＸ線半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎はＨＲＣとの間で前記（１）式の関係を満足していることが分かる。
【００４４】
図３に、４点曲げ−陰極チャージ試験の結果を示す。Ｘ線回折の結果から、本発明で規定する成分を満足し、半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎とＨＲＣが前記（１）式の間系を満足するものでは、いずれも寿命が１０００ｓｅｃを上回っており、良好な靭性が発揮されていた。更に、前記（２）式を満足するものでは、いずれも１２００ｓｅｃを上回る優れた靭性を示していた。しかしながら、化学成分組成が本発明で規定する範囲を外れている鋼材Ｎｏ．１４〜１６を用いたものでは、製造パターンＡで製造し、且つ半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎が前記（１）式の関係を満足していても、靭性が低下しており、本発明の効果が発揮されていないことがわかる。
【００４５】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、ばねやボルトの素材として十分な強度を有すると共に、靭性にも優れたマルテンサイト鋼材が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図１】４点曲げ−陰極チャージ試験で用いた治具を示す概略説明図である。
【図２】ＨＲＣとＸ線半価幅ＨＷα₍₂₀₀₎の関係を示すグラフである。
【図３】４点曲げ−陰極チャージ試験の結果を示すグラフである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a steel material used for a mechanical structure such as a transport machine or a building structure, and particularly to a high-strength and high-toughness steel material suitable for a spring or bolt material.
[0002]
[Prior art]
In recent years, steel materials for machine structures used for transportation machines, building structures, and the like have been required to have higher strength for the purpose of weight reduction and longer life. Achieving such high strength can reduce fuel consumption and exhaust gas in automobiles, for example, and as a result, reduce environmental burden.
[0003]
As the steel materials for high-strength mechanical structures as described above, steel with martensitic structure (martensite steel) is mainly used by quenching and tempering, and its strength level is Rockwell C hardness (HRC). Is 45 or more, preferably HRC50 or more. However, increasing the strength of a steel material has the adverse effect of causing toughness deterioration. For these reasons, increasing the strength and improving the toughness such as delayed fracture susceptibility and corrosion fatigue properties are currently considered important issues.
[0004]
Various technologies have been proposed so far with the aim of developing a steel material having both high strength and good toughness. For example, Japanese Patent Publication No. 60-30736 aims to improve the toughness of cold-formed coil springs. A technique for refining the martensite structure by induction heating and quenching has been proposed. However, with this technique, the austenite structure is refined by rapid heat treatment, and the martensite structure is refined indirectly, so the degree of toughness improvement is not fully satisfactory, and further toughening Technology development is desired.
[0005]
Japanese Patent Laid-Open No. 6-116637 contains a large amount (about 8.0 to 11.0%) of Ni as a component composition, and generates a sheared reverse transformation austenite phase during temperature rise. A technique for improving the toughness of martensitic steel by quenching from high untransformed austenite has been proposed. However, Ni has a drawback that it is an expensive element to actively add a large amount.
[0006]
Furthermore, Japanese Patent Laid-Open No. 7-224355 discloses that martensite steel is subjected to a single drawing process to form a <110> texture in the steel surface layer, thereby preventing martensitic steel from cracking at the prior austenite grain boundaries. Thus, a method for improving toughness is disclosed. However, since this technology was made assuming that it is applied to PC (prestressed concrete) steel bars, the characteristics required for such applications are emphasized, and the strength of martensitic steel is determined. The amount of added C was also set to a low value of 0.1 to 0.4%, and the strength and toughness did not satisfy the required levels for application as spring or bolt steel.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made under such circumstances, and an object thereof is to provide a steel material having sufficient strength and excellent toughness even when used as a structural member requiring high strength of HRC45 or higher. There is.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The steel material of the present invention capable of achieving the above object includes C: 0.3 to 1.2% and Mn: 0.15 to 2.0%, respectively (1) Cr: 3% or less ( Selected from the group consisting of Mo: 2% or less (not including 0%), Ni: 10% or less (not including 0%) and Cu: 1% or less (not including 0%) (2) Si: 3.0% or less (not including 0%) and / or Al: 1.5% or less (not including 0%), (3) Ti: 0.30 % Or less (excluding 0%), Nb: 0.3% or less (not including 0%), V: 0.3% or less (not including 0%), and Zr: 0.3% or less (0% One or more elements selected from the group consisting of P: 0.02% or less (including 0%) and S: 0.02% or less (including 0%). The balance is composed of Fe and inevitable impurities, is mainly composed of a martensite structure, has a Rockwell C hardness (HRC) of 45 to 64, and a half value of the α-Fe (200) peak in X-ray diffraction. The gist is that the width HW _{α (200)} satisfies the following formula (1), preferably the following formula (2).
HW _{α (200)} > − 0.94 + 3.94 × 10 ⁻² × HRC (1)
HW _{α (200)} > −0.90 + 3.94 × 10 ⁻² × HRC (2)
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
It is known that the ultimate hardness of martensitic steel is almost determined by the carbon content. This is because, among various strengthening mechanisms that determine the strength level of martensitic steel, the contribution due to aging rearrangement including solid solution strengthening and precipitation strengthening of C is greater than that due to lattice defects. Therefore, to increase the strength of martensitic steel, increasing the C content, adding carbide-forming elements, and the like are effective. However, when the strength is increased by increasing the C content, it is very difficult to ensure toughness.
[0011]
On the other hand, it is also well known that it is effective to make crystal grains fine as a strengthening means for achieving both strength and toughness. However, at present, it is very difficult to further refine the crystal grain than the current level. In addition, regarding the strengthening mechanism other than grain refinement, the effect on toughness has not been clarified.
[0012]
Under the circumstances as described above, the present inventors have studied from various angles a strengthening mechanism that achieves both strength and toughness of a steel material by means other than crystal grain refinement. As a result, it was found that the strengthening mechanism by the introduction of lattice defects has a very small influence on toughness degradation. As a result of further studies based on these findings, steel materials that have both high strength and high toughness can be realized if a large amount of lattice defects are introduced into the steel to increase the contribution of lattice defects to the total strength as much as possible. The present invention has been completed by finding out what can be done. Hereinafter, each requirement prescribed | regulated by this invention is demonstrated.
[0013]
First, the steel material of the present invention basically contains C: 0.3 to 1.2%, Mn: 0.15 to 2.0%, and P: 0.02% or less (including 0%). And S: 0.02% or less (including 0%), respectively. The reasons for limiting the ranges of these elements are as follows.
[0014]
C: 0.3-1.2%
In order to ensure the target strength and toughness level in the steel material of the present invention, it is necessary to contain C at least 0.3%. The steel material achieves higher strength as the C content increases. Further, since the defect density in the martensitic steel after quenching is increased by increasing the C content, in the present invention for improving toughness due to the high defect density, it is advantageous that the C content is as high as possible. . However, if the C content becomes excessive and exceeds 1.2%, fire cracks are likely to occur. In addition, the preferable minimum of C content is about 0.3%, and a preferable upper limit is about 0.8%.
[0015]
Mn: 0.15 to 2.0%
Mn is added as a hardenability improving element, but in order to exert its effect, it is necessary to contain 0.15% or more. However, if the content is excessive, the cold formability and toughness are reduced, so the upper limit is made 2.0%. In addition, the minimum with preferable Mn content is 0.2%, and a preferable upper limit is 1.0%.
[0016]
P: 0.02% or less (including 0%), S: 0.02% or less (including 0%)
If P and S are excessively present in the steel material, they segregate at the austenite grain boundaries to promote intergranular fracture and reduce toughness, so it is better to have as little as possible, but both are suppressed to 0.02% or less. Such inconvenience can be avoided. In addition, it is preferable to suppress these elements to 0.01% or less.
[0017]
The basic chemical composition of the steel material of the present invention is as described above. In addition, (1) Cr: 3% or less (not including 0%), Mo: 2% or less (not including 0%), One or more elements selected from the group consisting of Ni: 10% or less (not including 0%) and Cu: 1% or less (not including 0%), (2) Si: 3.0% or less (0% And / or Al: 1.5% or less (not including 0%), (3) Ti: 0.30% or less (not including 0%), Nb: 0.3% or less (0% 1) or more elements selected from the group consisting of V: 0.3% or less (not including 0%) and Zr: 0.3% or less (not including 0%), etc. The balance consists of Fe and inevitable impurities. The reasons for limiting the ranges of these elements are as follows. In addition to these components, the steel material of the present invention can also contain trace components (for example, B, Mg, Ta, Co, Sb, W, rare earth elements, etc.) in a range that does not impede its properties. Such steel materials are also included in the technical scope of the present invention.
[0018]
Cr: 3% or less (not including 0%), Mo: 2% or less (not including 0%), Ni: 10% or less (not including 0%), and Cu: 1% or less (not including 0%) ) One or more elements selected from the group consisting of Cr, Mo, Ni, and Cu are effective elements for improving the corrosion resistance. Degradation of cold formability in Moreover, since these elements are expensive, the upper limit is set as described above in consideration of the improvement in characteristics due to the increase in quantity and the increase in cost. In addition, although the said effect by these elements becomes large as the content increases within the said range, in order to exhibit the said effect, it is preferable to contain all 0.1% or more.
[0019]
Si: 3.0% or less (not including 0%) and / or Al: 1.5% or less (not including 0%)
Si and Al are effective elements for improving the sag resistance required for spring steel, but excessive inclusion causes problems such as decarburization during heat treatment and solidification cracking during casting. The upper limit was set as described above. In order to effectively exhibit the above effects, it is preferable to contain 0.5% or more of Si and 0.2% or more of Al.
[0020]
Ti: 0.30% or less (not including 0%), Nb: 0.3% or less (not including 0%), V: 0.3% or less (not including 0%), and Zr: 0.3 % Or more of elements Ti, Nb, V and Zr selected from the group consisting of not more than% (not including 0%) form fine precipitates with a small amount of addition, resulting in precipitation strengthening and coarse steel structure It is an element that contributes to suppression of refinement and refinement and is effective in improving toughness. These effects increase as the content increases. However, if excessively contained, precipitates become coarse and workability deteriorates, so the upper limit was set as described above. In addition, in order to exhibit the above effects effectively, it is preferable to contain 0.05% or more in any case.
[0021]
As described above, the steel material of the present invention is mainly composed of a martensite structure. Although the structure after quenching or tempering may contain untransformed austenite (residual austenite), the martensite structure in the present invention refers to a structure excluding the retained austenite after quenching and tempering. Further, “mainly composed of a martensite structure” means that the martensite structure is about 90% by volume or more, and this volume ratio can be calculated from, for example, the amount of retained austenite obtained by an X-ray diffraction method. it can. In this way, by making the structure mainly composed of a martensite structure, the strength of the steel material can be set to 45 to 64 in terms of Rockwell C hardness HRC in combination with the C content.
[0022]
However, the high toughness intended in the present invention cannot be achieved only by satisfying the above requirements (chemical components and structure). In the present invention, an index for achieving the high toughness intended by the present invention using the half-value width HWα ₍₂₀₀₎ of the α-Fe (200) peak in X-ray diffraction, which is one of the evaluation parameters of the lattice defect density. This limited the lattice defect density.
[0023]
That is, in the present invention, the half-value width HWα ₍₂₀₀₎ of the α-Fe (200) peak of martensite satisfies the above formula (1) [preferably the above formula (2)] in relation to the above HRC. This is because the excellent high toughness intended in the present invention is exhibited. The half width HWα ₍₂₀₀₎ is obtained by subjecting the wet cut steel material to a measurement surface by performing wet polishing or electropolishing to remove the cutting strain-affected zone on the transverse cross section in the rolling direction. It is required.
[0024]
The martensitic steel of the present invention that satisfies the above requirements has both high strength and high toughness, and is suitable as a material for high strength springs and high strength bolts. In manufacturing such martensitic steel, from the viewpoint of increasing the defect density in the steel material, for example, in the quenching and tempering process that is a manufacturing process of martensitic steel, as shown in the conditions of manufacturing pattern A in the examples described later. In each of the cases after quenching and tempering, cold working may be performed once or more so that the total area reduction rate is 20% or more.
[0025]
Hereinafter, the present invention will be described in more detail by way of examples. However, the following examples are not intended to limit the present invention, and any design changes in accordance with the gist of the preceding and following descriptions are technical aspects of the present invention. It is included in the range.
[0026]
【Example】
Various steel materials (Nos. 1 to 18) having chemical composition shown in Table 1 below were melted and shaped to obtain a bar material having a diameter of 18 mm.
[0027]
[Table 1]

[0028]
Next, martensitic steel was produced by three production patterns A to C shown in Table 2 below. This manufacturing process consists of five processing steps: (1) quenching process, (2) intermediate processing process, (3) tempering process, (4) post-processing process and (5) bluing process. The processing condition range of each step is shown (however, “-” means no processing).
[0029]
[Table 2]

[0030]
As for the quenching treatment, the heating rate and the treatment time were controlled in order to ensure the workability during the subsequent cold working, and the heating temperature was set to Ac ₃ to Ac ₃ + 200 ° C. However, with respect to the manufacturing pattern A, each quenching process condition was further limited as compared with the manufacturing patterns B and C in order to realize characteristics at a high level. In addition, the cooling at the time of quenching was performed by water cooling so that the cooling rate was equal to or higher than the critical cooling rate.
[0031]
After the quenching, the production patterns A and B were drawn at room temperature as an intermediate processing. As described above, this wire drawing is performed for the purpose of increasing the defect density in the steel, and was performed so that the total area reduction rate was 20% or more so that the inside was processed. On the other hand, in the manufacturing pattern C, intermediate processing was not performed. In this embodiment, although wire drawing is selected as the processing method, the processing method as a means for increasing the defect density is not limited to this, and other methods such as rolling, rolling, shot peening, etc. A method can also be employed.
[0032]
For tempering, conditions were set to adjust to the required strength level. Since the defect density is reduced by the recovery during the tempering process, in order to increase the final defect density in the steel material, (a) the heating rate is increased as much as possible, (b) the heating temperature is decreased, and (c) the processing time is decreased. Better to do. From such a viewpoint, in any of the production patterns A to C, a relatively large temperature increase rate of 30 ° C./sec or more is used. However, in the production pattern A, the conditions are further limited, and the temperature increase rate is set to 100 ° C. / More than sec.
[0033]
After tempering, the production patterns A and C were subjected to wire drawing at room temperature as post-processing. This post-processing treatment is performed in order to increase the defect density in the steel material in the same manner as the above-described intermediate processing treatment, and is performed so that the total area reduction rate is 20% or more so as to be processed to the inside. . Also in this post-processing, the rolling and other methods can be adopted as in the intermediate processing.
[0034]
After post-processing, some samples were subjected to blueing treatment for the purpose of further increasing the strength. When the processed steel material is subjected to heat treatment, the solid solution C rearranges to increase the strength. The blueing treatment was performed at a relatively low temperature of 300 ° C. × 10 minutes (manufacturing patterns A and C) so that the defect density did not decrease too much during the treatment.
[0035]
In addition, the temperature at the time of each heat processing measured the surface temperature by welding a thermocouple to the sample surface in the sample preparation process, and calculated the temperature increase rate from the measured temperature.
[0036]
Rockwell C hardness (HRC) was determined as a strength evaluation of the steel material after tempering, post-processing, and brewing. At this time, in order to use the cross section in the rolling direction as the measurement surface, wet cutting was performed using # 80 and # 150 emily paper, and the hardness at the D / 4 (D: diameter) position was measured at four points. The average value was obtained.
[0037]
Moreover, the fracture life in the 4-point bending-cathode charge test was adopted as the toughness evaluation characteristic value. For example, in CAMP-ISIJ, 11 (1998), 495, it has been reported that the fracture life of the four-point bending-cathode charge test has a good correlation with the fracture toughness value K _IC. Was adopted as a test method for toughness evaluation. The outline of this test method employed in the present invention is as follows.
[0038]
[4-point bending-cathode charge test]
First, a plate-like test piece having a length of 60 mm, a width of 15 mm, and a thickness of 1.5 mm was cut out from the tempered sample by electric discharge treatment, and restrained at 4 points with a bending stress of 1400 MPa by the jig shown in FIG. did. Then, immerse the jig equipped with the restrained test piece in a mixed solution of 0.5 mol / l sulfuric acid and 0.01 mol / l KSCN, and apply a cathode potential of −700 mV using a platinum electrode as the anode. Then, hydrogen was electrochemically supplied to the test piece. After applying the potential, the time was measured until the test piece to which bending stress was applied was broken. And what has a lifetime exceeding 1000 sec has toughness suitable for practical use, so that the lifetime was 1000 sec.
[0039]
Further, the half width HWα _{(200), which} is an evaluation standard of the defect density in the steel material, was determined by the following procedure.
[0040]
[Measurement conditions for half-width HWα ₍₂₀₀₎ ]
Co was used as a target, and it was monochromatized to Co-Kα by a monochromator. In addition, the measurement was performed while rotating and vibrating the sample in order to remove the orientation anisotropy. The measurement conditions are: target voltage: 40 kV, target current: 200 mA, divergence slit: 1 °, light receiving slit: 0.15 mm, monochromator light receiving slit: 0.6 mm, sampling width: 0.020 °, scanning speed: 0.080 The α-Fe (200) peak data was measured at ° / min, measurement range: 74.5 to 81.0 °, and the half width HWα ₍₂₀₀₎ was calculated.
[0041]
Table 3 below shows the results of measuring the characteristics of the steel materials shown in Table 1 measured with the production patterns shown in Table 2 together with the detailed production conditions. In addition, the symbol in following Table 3 is described as "1-A" when the steel material 1 of Table 1 is manufactured with the manufacturing pattern A of Table 2, for example. Moreover, since the thing of "17-A" in following Table 3 is a thing in which the decarburization after hardening is not accept | permitted, and 18-A is what a disconnection generate | occur | produced in the intermediate processing, all are Subsequent evaluation was not performed.
[0042]
[Table 3]

[0043]
Based on the results of Table 3, the relationship between HRC and X-ray half width HWα ₍₂₀₀₎ is shown in FIG. In the sample produced with the production pattern A, the X-ray half-value width HWα ₍₂₀₀₎ is larger than the samples produced with the production patterns B and C, and this X-ray half-value width HWα ₍₂₀₀₎ is the same as that of the HRC. It can be seen that the relationship of the expression (1) is satisfied.
[0044]
FIG. 3 shows the results of a four-point bending-cathode charge test. From the results of X-ray diffraction, the components specified in the present invention are satisfied, and the half-value width HWα ₍₂₀₀₎ and HRC satisfy the system between the above formulas (1), both have a lifetime exceeding 1000 sec. Good toughness was exhibited. Furthermore, all satisfying the formula (2) exhibited excellent toughness exceeding 1200 sec. However, the steel material No. whose chemical composition is outside the range defined in the present invention. In the case of using 14 to 16, the toughness is lowered even when the half-width HWα ₍₂₀₀₎ satisfies the relationship of the formula (1), and the toughness is reduced. It can be seen that is not exhibited.
[0045]
【The invention's effect】
The present invention is configured as described above, and a martensitic steel material having sufficient strength as a material for springs and bolts and excellent in toughness has been realized.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic explanatory view showing a jig used in a four-point bending-cathode charge test.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between HRC and X-ray half width HWα ₍₂₀₀₎ .
FIG. 3 is a graph showing the results of a four-point bending-cathode charge test.

Claims

C: 0.3 to 1.2% (meaning mass%, hereinafter the same), Mn: 0.15 to 2.0% , respectively (1) Cr: 3% or less (0% not included) ), Mo: 2% or less (not including 0%), Ni: 10% or less (not including 0%) and Cu: 1% or less (not including 0%) Element, (2) Si: 3.0% or less (not including 0%) and / or Al: 1.5% or less (not including 0%), (3) Ti: 0.30% or less (0% Nb: 0.3% or less (not including 0%), V: 0.3% or less (not including 0%), and Zr: 0.3% or less (not including 0%) Containing at least one element selected from the group consisting of P: 0.02% or less (including 0%) and S: 0.02% or less (including 0%), respectively, It consists of Fe and inevitable impurities, is mainly composed of martensite, has a Rockwell C hardness (HRC) of 45 to 64, and a half-value width HW _α of α-Fe (200) peak in X-ray diffraction _{( 200)} a steel material excellent in toughness characterized by satisfying the following formula (1).
HW _{α (200)} > − 0.94 + 3.94 × 10 ⁻² × HRC (1)