JP3747948B2 - 高炉出銑口 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高炉において溶銑および、または溶滓を流出させるための高炉の出銑口に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉の出銑口は一般に珪酸塩耐火材およびまたは高アルミナ材に炭化珪素材およびまたは窒化珪素材や炭素質材が配合されたマッド材と称される練土状の不定形耐火物を閉塞機(マッドガン)を用いて圧入充填することにより閉塞される。そして出銑時には開口機により出銑口を閉塞しているマッド材中に鉄棒を打ち込むことにより穿孔開口して出銑を行なっている。
【0003】
近年、高炉の操業は羽口から熱風と共に重油,ピッチや微粉炭等の燃料を共に炉内に吹き込むことにより、燃費の引き下げや出銑量の増加等高生産性となり、非出銑時間が短くなり、出銑のための出銑口の開閉作業が頻繁となる。そして高熱下での作業の度合が高まって来た。また従来のマッド材では出銑時に溶銑及び溶滓による浸食や損耗が大きく、出銑口径の拡大のために安定した操業が出来ず、また溶銑と溶滓との混合度が高くなり品質的にも悪影響をおよぼす結果となっている。尚現在の出銑所要時間は一般に約3〜4時間で1日当りほぼ5〜6回の程度の出銑回数となっている。又出銑口の開閉作業は高温且つ悪環境下での作業であるため、此の作業の増加は環境衛生および操業の安全上問題が多いばかりではなく、安定した出銑が行えず、溶銑の湯道となる主樋,スキンマー部,溶銑樋およびスラグ樋等の使用条件が過酷となりその損傷が激しいので前記の如く珪酸塩材およびまたは高アルミナ材を主材とし、これに炭素質材,炭素珪素質材や窒化珪素質材の少なくとも一者以上を配合した練土状の不定形耐火物,マッド材が使用されているが、いまだ上記諸問題を解決する迄には至っていない。またこれらの問題点を解決するために特開平2−205610号公報には出銑口に円筒形の耐火物を装着した出銑口を形成する方法(以下先行技術と云う)が開示されているが、出銑口を形成する円筒形の耐火物によって出銑時における出銑口の損傷拡大が抑制され、長時間の出銑が可能となり、出銑口の開閉回数の減少を図ることが出来るとしているが、これに用いられる円筒状の耐火物の使用条件より熱間での強度および粘性が高く高温下での耐摩耗性に秀いでており、溶銑や溶滓に対する反応性が小さいことかつ熱応力に対する抵抗性が高く、割れにくい性質を具備することが必要とされるが、これらの要求を満足させ得る耐火物が得られず、この方法でも現在初期の目的を達成する迄に至ってないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの現状に鑑み、前述した諸問題を解決し得る円筒状耐火物として溶銑,溶滓に対する化学的反応性が小さく熱間強度,粘性が高くて高温下での耐摩耗性に秀ぐれかつ熱応力に対する抵抗性が高くて割れにくい特性を具備して使用中の出銑口の拡大が小さく、長時間の安定した出銑を可能とし、出銑回数を減少することの出来る高炉出銑口用円筒形状の耐火物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前述した諸問題を解決すべく鋭意研究をかさねた結果、高炉出銑口の使用条件より
▲1▼ 熱間での強度および粘性が高く高温下での耐摩耗性が高いこと。
▲2▼ 溶銑および溶滓に対する反応性が小さく溶損が少ないこと。
▲3▼ 熱応力に対する抵抗性が高く割れにくいこと。
等々が求められることに着目し、前記3項に対する満足すべき耐火材料として炭化珪素質材およびAl2390%以上を含有する高アルミナ質材やアルミナ質材による複合耐火物が最も適合する耐火材構成であることを種々基礎試験の結果見い出した。その耐火物の素材構成は炭化珪素質材50〜95重量%,アルミナ質材5〜50重量%としてSiCとAl23を必須成分として含有し、この2者SiCとAl23の合量が90%以上でありかつ気孔率が15%以下であることを特徴とするものである。
【0006】
次に本発明の円筒形状の耐火物の限定した理由を示す。
▲1▼炭化珪素質材50〜95重量%については
SiCは熱間強度および熱間耐摩耗性を高めかつ高熱伝導性材であるため溶損が少なくかつ有害な亀裂,割れの発生を抑制することが出来るが95重量%以上となると組織の結合力が弱くなり、熱間耐摩耗性が劣化する。又50重量%以下となると組織の結合力が弱くなり、強度が低くかつ熱伝導率の低下を招き、耐損傷性,耐亀裂割れ性が劣化し耐用寿命が短かくなるためである。
▲2▼アルミナ(Al23)質材5〜50重量%については
Al23は耐食性および強度を高めるが含有量が5重量%未満となると組織の結合力の向上結果が小さく、又50重量%を超えると耐熱スポーリング性が低くなり、割れが発生し易くなるためである。
▲3▼SiC成分とAl23成分の合量が90%以上の理由は
混入する素材によっては異なるが一般に多成分系となり、耐熱性,耐食性および熱間での強度および耐熱衝撃性の低下を招き、耐用寿命の低下を来す等の問題が生ずるためである。
▲4▼気孔率が15%以上となると耐溶損性,耐熱間摩耗性が低くなるため15%以下と限定する。
【0007】
【実施例】
次に本発明の円筒状耐火物の実施例を示す。
実施例に用いる耐火材の化学成分値例を表1に、表2に円筒形状耐火物の粒度構成を、表3に素材配合比をそれぞれ示す。
【0008】
【表1】
Figure 0003747948
【0009】
【表2】
Figure 0003747948
【0010】
【表3】
Figure 0003747948
【0011】
表1に示した各種耐火材料を表3に記されているように本発明品▲1▼〜▲4▼と比較品1〜5の配合比とし、かつ表2に示すような粒度構成となした配合物で本発明品▲1▼〜▲5▼と比較品1〜2はSiO2系無機質バインダーを2%と水4.5%とを添加して混練した後、この混練物を吸水性鋳型を振動させながらこの型内に徐々に投入しながら充填し保形出来る程度に硬化させた後、脱型乾燥し、最高温度1550℃、総時間65時間で焼成して製出した。尚比較品3〜5は水10%を添加混練後、この混練物を押し出し機で押し出し成形したものを乾燥後、同条件で焼成して製出した。この試料の品質特性値を表4に示す。
【0012】
【表4】
Figure 0003747948
【0013】
表4に示すようにアルミナ質材を添加していない比較品1とアルミナ質材を配合しているが本発明の範囲を外れて多量に含有している比較品2は何れも圧縮強さ並びに室温および1400℃における曲げ強さが低くなっている。
現在使用されている比較品3〜5も同様な結果となった。
以上の結果よりこれらの内より本発明品▲1▼と▲3▼並びに比較品1と4を供試材として実炉試験を行なった。この実炉での実用実施例を表5に示す。
【0014】
【表5】
Figure 0003747948
【0015】
供試材として本発明品▲1▼,▲3▼と比較品1は前述した製造方法により内径φ50mm,外径φ120mm×長さ500mmの円筒形耐火物を成形し、最高温度1550℃で焼成し、高炉出銑口用耐火物を製出する。この円筒形の出銑口用耐火物を2本継ぎセットして実炉使用を行う。また比較品4は従来通り不定形耐火物マッド材とし出銑口開口部に、閉塞機を用いて直接圧入施工を行い、同様実用に供する。実施条件は次の通りである。
1.高炉の炉容量 2828m3
2.出銑時の溶湯温度 1550〜1570℃
3.溶湯の通過量 4〜5ton/分
【0016】
【発明の効果】
以上の実施例実用試験結果は表5に示されるように現在一般に主として行われている比較品4に比べ、本発明品▲1▼,▲3▼の耐用はそれぞれ271%,298%と成る。また亀裂発生による溝状の異状損傷と片べりする傾向も改善され、安定した安全な操業ができ、その上連続出銑操業が出来ると共に長寿命化が計れる出銑口の開閉度数が少なくない悪環境下での過酷な炉前作業が従来の約1/2となり、作業面,コスト面及び溶湯の品質の向上、バラツキの減少につながり作業面および生製費の低減と高い耐用寿命と高品質の溶湯を得ることが出来てその効果は絶大なるものがある。

Claims (1)

  1. 高炉出銑口において、炭化珪素質材50〜95重量%,アルミナ質材5〜50重量%の耐火材料にて構成され、SiCとAl 2者の合計で90%以上含有し、且つ気孔率が15%以下である円筒状耐火物を装着することを特徴とする高炉出銑口。
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