JP3746930B2 - 高さ調節機構付き脚 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高さ調節機構付き脚に関し、例えば、システムキッチン等の設置空間に食器洗浄機やフロアキャビネット等の被支持物を設置するとき、被支持物の高さを調節することにより被支持物を該設置空間に適合させる高さ調節機構付き脚に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の高さ調節機構付き脚は、例えば、食器洗浄機やフロアキャビネット等の被支持物の底部に複数設けられ、システムキッチンの設置空間にこれらの被支持物を設置するときに、被支持物の高さを調節して設置空間に合わせることができるようになっている。
【0003】
従来、この種の高さ調節機構付き脚としては、被支持物の底部に形成された螺子孔を介して螺合される脚軸部を備えるものが知られている。該高さ調節機構付き脚によれば、脚軸部を回転させることにより、該脚軸部を所望の長さに伸縮させることができ、被支持物を所望の高さに調節することができる。
【0004】
しかし、システムキッチンのワークトップの高さ寸法は一般に約800mm〜約850mmであることから被支持物の高さ調節幅は約50mmと比較的大きい。このため、被支持物を所望の高さに調節するためには、脚軸部を数十回転させなければならず、被支持物をシステムキッチンの設置空間に設置する際の作業効率が低下する不都合がある。
【0005】
また、特開平10−323316号公報に見られるように、食器洗浄機の底部に設けられて、システムキッチンの設置空間に合わせて該食器洗浄機の高さを2段階に調節可能とする脚が知られている。
【0006】
該脚には、脚軸部の外周に突出する突起部が形成されている。前記食器洗浄機の下部には、前記脚軸部が水平方向から挿入される凹部が形成され、該凹部には、前記突起部が係合する一対の受入部が、上下方向に50mmの間隔寸法を存して設けられている。そして、上方の受入部に突起部を係合させたときには、ワークトップの高さ寸法が800mmのシステムキッチンの設置空間に食器洗浄機の高さを合わせることができ、下方の受入部に突起部を係合させたときには、ワークトップの高さ寸法が850mmのシステムキッチンの設置空間に食器洗浄機の高さを合わせることができる。なお、前記突起部はナット状に形成されて脚軸部に螺着されており、何れかの受入部に該突起部を係合させた後に、該突起部を回転させることで高さ寸法の微調節が行えるようになっている。
【0007】
しかし、前記公報のものは、一対の受入部によってシステムキッチンのワークトップの高さ寸法が800mmと850mmの2種にのみ対応する構成とされており、高さ寸法が800mmと850mmの2種以外のシステムキッチンに対応させるためには、脚軸部に螺着された突起部を多数回転させなければならず、高さ調節作業が煩わしい不都合がある。
【0008】
また、前記公報のものは、食器洗浄機の下部に、前記凹部及び各受入部といった比較的複雑な構成部分を設けておく必要があるために、食器洗浄機の製造工数が増加し、コスト高となる不都合がある。
【0009】
更に、前記食器洗浄機に設けられる前記凹部及び各受入部は、前記食器洗浄機の側方に向かって開放させておき、前記脚軸部の水平方向からの着脱を可能とする一方、システムキッチンの設置空間への設置作業時には前記脚軸部が凹部から脱落し易い。そのため、前記脚軸部の凹部からの脱落を防止するストッパー等を前記凹部に設ける必要があり、それによって一層構造が複雑となる不都合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
かかる不都合を解消して、本発明は、被支持物の高さ調節作業を軽減することができ、しかも、構造簡単で安価な高さ調節機構付き脚を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、被支持物の底部に複数設けられて被支持物を床上に支持すると共に、被支持物の高さを調節可能とする高さ調節機構付き脚において、被支持物の底部に形成された挿着孔に垂直方向に進退自在に挿着された第1脚軸部と、該第1脚軸部の軸線方向に沿って所定間隔を存して設けられた複数の係合部と、前記被支持物の底部から露出する前記各係合部に係脱自在であり、各係合部の何れかに係合させて該第1脚軸部に沿った被支持物の下降を規制する規制部材と、前記第1脚軸部の下端部に螺合される調節螺子部を介して該第1脚軸部に連結され、該第1脚軸部の軸線廻りに回転させることによって該第1脚軸部の軸線方向に沿って伸縮される第2脚軸部とを備え、前記第1脚軸部は角柱状に形成されており、前記被支持物の底部の挿着孔は、該第1脚軸部に対応する形状に形成されて該第1脚軸部を回転不能な状態で挿着保持することを特徴とする。
【0012】
本発明の高さ調節機構付き脚によって前記被支持物の高さを調節する場合には、該被支持物の底部に形成された挿着孔に挿着された前記第1脚軸部を、該挿着孔から所望の高さ寸法に合わせて引出し或いは押し込み、被支持物の底部から露出する最上端の前記係合部に前記規制部材を係合させる。これにより、該規制部材によって被支持物の下降が規制され、被支持物の高さを所望の高さに合わせることができる。
このように、本発明によれば、被支持物には前記第1脚軸部が進退可能な挿着孔を設けておくだけでよく、しかも、脚の高さ調節は複数の係合部の何れかに前記規制部材を係合させるだけでよいので、構造簡単であって安価に構成することができると共に、高さ調節作業を極めて容易且つ迅速に行うことができる。
【0013】
前記第2脚軸部を設けたことにより、被支持物の高さを調節する際には、先ず、前記第1脚軸部の係合部に前記規制部材を係合して第1の高さ調節を行い、次いで、第2脚軸部を回転させて調節螺子部の進退による第2の高さ調節を行う。これにより、第1の高さ調節において誤差が生じた場合にも、第2の高さ調節により第2脚軸部を伸長或いは収縮させて誤差を解消させることができ、精度の高い高さ調節が可能となる。
そして、前記第1脚軸部が角柱状に形成されており、前記被支持物の底部の挿着孔を、該第1脚軸部に対応する形状に形成されていることで、該第1脚軸部は回転不能とされているので、第2脚軸部による高さ調節時に、第1脚軸部の回転を確実に防止して、調節螺子部による高精度な高さ調節を容易に行うことができる。
【0014】
更に、各係合部間の間隔寸法を小として、より多くの係合部を形成しておくことにより、被支持物を規制する高さをより細かく選択して調節精度を高めることが可能となる。
また、例えば、各係合部を前記係合溝によって形成した場合に、各係合溝間の間隔寸法を過剰に小とすると、各係合溝間が肉薄となって、被支持物の荷重に対する強度が低下するおそれがある。このような場合にも、前記第2脚軸部が設けられていることにより、各係合部間の間隔寸法を十分に強度が得られる寸法として、調節螺子部の進退による正確な高さ調節を行うことができる。
【0015】
また、本発明の一態様として、各係合部は、夫々前記第1脚軸部の周壁の両側に軸線に直交する方向に互いに平行に延びる一対の係合溝により構成され、前記規制部材は、両係合溝に対応する一対の係合片を一体に備えて第1脚軸部の周壁に装着される平面視略コ字形の板材であることを特徴とする。
【0016】
前記係合部を前記係合溝とすることにより、被支持物の底部から露出する係合溝の数から、調節する被支持物の高さ寸法の目安を外観で確認することが容易に行え、調節ミスの発生を低減することができる。
【0017】
更に、前記規制部材を平面視略コ字形の板材とすることにより、製造が極めて容易であり安価に構成することができる。
【0018】
また、この態様において、各係合部のうち、所定の位置にある係合溝は、他の係合溝の延設方向と異なる方向に延設されていることを特徴とする。
【0019】
即ち、例えば、被支持物が予め定められた2種の高さ寸法の設置空間に設置されることが考えられるとき、一方の高さ寸法の設置空間に対応する位置の係合溝と、他方の高さ寸法の設置空間に対応する位置の係合溝とを、互いに異なる方向に延設する。これにより、被支持物を設置するときの各設置空間の高さ寸法に合わせて、前記規制部材を係合する係合部を迅速に選択することができ、設置作業を軽減することができる。
【0020】
また、本発明において、各係合部は、夫々前記第1脚軸部の周壁の全周に形成された係合溝により構成され、前記規制部材は、該係合溝に水平方向から係脱自在であって互いに対向する一対の係合片を一体に備えて第1脚軸部の周壁に装着される平面視略コ字形の板材であることを特徴とする。各係合部の係合溝は、第1脚軸部の全周に設けられているので、何れの方向からでも前記規制部材を水平に係合させることができる。これにより、被支持物の高さを調節する際に、前記規制部材を係合し易い方向を選択して係合溝に係合させることができ、高さ調節作業を容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明において、各係合部には、前記規制部材を係合したときに調節される夫々の高さ寸法の目安となる表示が施されていることを特徴とする。これにより、高さ調節作業時に、目安となる表示を確認しつつ係合部に規制部材を係合させることができ、高さ調節作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態の高さ調節機構付き脚を備える食器洗浄機の説明的側面図、図2は図1の要部の説明的縦断面図、図3は高さ調節機構付き脚の構成を示す説明的斜視図、図4及び図5は夫々他の実施形態の脚軸部を示す斜視図である。
【0027】
図1において、1はシステムキッチンのワークトップ、2は床、3はワークトップ1と床2との間に形成された設置空間に設置された食器洗浄機である。該食器洗浄機3の底部4の四隅部には4つの(図示は2つ)高さ調節機構付き脚5が設けられている。該脚5は、食器洗浄機3を床2上に支持すると共に、該食器洗浄機3が前記設置空間に合致するように該食器洗浄機3の高さ寸法を調節する。
【0028】
次に、該脚5の構成について説明する。図2に示すように、該脚5は、四角柱状の第1脚軸部6と、該第1脚軸部6の軸心に沿って形成された螺子孔7を介して螺合された第2脚軸部8とによって構成されている。
【0029】
図2に示すように、前記第1脚軸部6は、前記食器洗浄機3の底部4に形成された挿着孔9を介して該底部4に上下方向に進退自在に挿着されている。該挿着孔9には、底板4の上方に向かって延設された挿着案内部9aが設けられており、該挿着案内部9aの案内によって前記第1脚軸部6はガタ付き無く挿着孔9に挿着される。また、該第1脚軸部6の側壁には、複数の係合部10が形成されている。各係合部10は、図3に示すように、第1脚軸部6の対向側壁に水平方向に平行に延設された一対の係合溝10a,10bによって構成されている。各係合部10を構成する係合溝10a,10bには、略コ字形に形成された板状の規制部材11が係合される。なお、上下に隣り合う各係合溝10a,10bのピッチは5mmに設定されている。更に、該第1脚軸部6の側壁の後端部には該第1脚軸部6の軸線方向に延びる複数の溝6aが形成されている。該溝6aによって、前記挿着案内部9aの案内による挿着孔9への挿着時に、第1脚軸部6の側壁と挿着孔9及び挿着案内部9aとの摩擦抵抗を軽減することができる。
【0030】
該規制部材11は、図3に示すように、両係合溝10a,10bに係合する一対の係合片11a,11bと、両係合片11a,11bを一方端において連結する連結部11cとからなる。図2に示すように、該規制部材11は、何れかの係合部10に係合され、食器洗浄機3の底部4を支持して該食器洗浄機3の下降を規制する。なお、図2に示すように、食器洗浄機3の底部4には、規制部材11を係合部10への係合方向に案内し且つ該規制部材11を介して第1脚軸部6の下降を規制する一対の案内部材12を設けておくことが好ましい。
【0031】
前記第2脚軸部8は、前記第1脚軸部6の螺子孔7に螺合する調節螺子部13と、該調節螺子部13の下端に連結された床面当接板14とによって構成されている。該第2脚軸部8は、調節螺子部13の回転によって上下方向に伸縮される。
【0032】
以上の構成からなる脚5により、食器洗浄機3の高さを調節する場合には、図3に示すように、システムキッチンのワークトップ1(図1参照)の高さに適合する係合部10に規制部材11を係合させる。次いで、第2脚軸部8の調節螺子部13を回転させて微調節を行い食器洗浄機3の高さをシステムキッチンの設置空間の高さ(図1において床2上面からワークトップ1の下面までの距離)に正確に合致させる。このとき、食器洗浄機3の底部4の四隅部にある全ての脚5について第2脚軸部8の調節螺子部13を回転させる高さ調節を行い、食器洗浄機3の水平度も調節する。その後、図1に示すように、食器洗浄機3を設置空間内に移動し、システムキッチンと一体化させる。
【0033】
このように、食器洗浄機3の高さ調節は、ワークトップ1の高さに応じて選択された係合部10に規制部材11を係合させるだけでよく、床2の状態等の影響による誤差が生じている場合には、調節螺子部13を回転させるだけで高精度な調節を行うことができる。
【0034】
また、食器洗浄機3の底部4には、第1脚軸部6に対応する挿着孔9を設けておくだけでよいので、食器洗浄機3の製造コストを増加させることなく、脚5を安価に設けることができる。
【0035】
このように、前記食器洗浄機3に本発明の高さ調節機構付き脚5を採用すれば、システムキッチンのワークトップ1の高さ寸法が如何なるものであっても迅速に食器洗浄機3の高さ寸法を調節して設置空間に対応させることができるが、前記システムキッチンのワークトップ1の高さ寸法は、国内では主に800mmと850mmであり、それに伴って、システムキッチンに設けられる食器洗浄機3の設置空間もその高さが大小2種とされているのが一般的である。
【0036】
このように、予め食器洗浄機3を設置する空間の高さが判明している場合には、例えば、図示しないが、第1脚軸部6の800mmと850mmとに適合する夫々の係合部10にその旨を視認させる表示を施すことによって、高さ調節時の作業をより軽減させることができる。
【0037】
また、図4に示すように、第1脚軸部6の下側に位置する係合部10の係合溝10a,10bの延設方向と、上側に位置する係合部10の係合溝10a,10bの延設方向とを異ならせて設けておくことにより、調節する高さの度合いが(大小2種の場合)、前記規制部材11の係合方向によって容易に確認することができ、調節作業時の係合部10の選択ミスを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態においては、図3に示すように、前記係合部10を一対の係合溝10a,10bによって構成したものを示したが、それに限るものではなく、例えば、図5に示すように、各係合部10を第1脚軸部6の周壁の全周に形成された係合溝10cとしてもよい。これによって、各係合部10に対して前記規制部材11を何れの方向からも係合させることができ、高さの調節作業時には各係合部10の最も係合し易い方向から規制部材11を係合させることにより、高さの調節作業を円滑に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態においては、図2に示すように、前記第1脚軸部6を四角柱状として挿着孔9に回転不能に挿着させ、前記第2脚軸部8の調節螺子部13を回転させるときの第1脚軸部6の追従回転を防止して、微調節を容易に行なえるようにしている。
【0041】
更に、本実施形態においては、高さ調節機構付き脚5を食器洗浄機3に採用した例を示したが、本発明の高さ調節機構付き脚5は、図示しないが、システムキッチンにおけるフロアキャビネットの脚としても好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の高さ調節機構付き脚を備える食器洗浄機の説明的側面図。
【図2】図1の要部の説明的縦断面図。
【図3】本実施形態の高さ調節機構付き脚の構成を示す説明的斜視図。
【図4】他の実施形態の脚軸部を示す斜視図。
【図5】他の実施形態の脚軸部を示す斜視図。
【符号の説明】
2…床、3…食器洗浄機(被支持物)、4…底部、5…高さ調節機構付き脚、6…第1脚軸部、8…第2脚軸部、9…挿着孔、10…係合部、10a,10b,10c…係合溝、11…規制部材、11a,11b…係合片、13…調節螺子部。
Claims (5)
- 被支持物の底部に複数設けられて被支持物を床上に支持すると共に、被支持物の高さを調節可能とする高さ調節機構付き脚において、
被支持物の底部に形成された挿着孔に垂直方向に進退自在に挿着された第1脚軸部と、
該第1脚軸部の軸線方向に沿って所定間隔を存して設けられた複数の係合部と、
前記被支持物の底部から露出する前記各係合部に係脱自在であり、各係合部の何れかに係合させて該第1脚軸部に沿った被支持物の下降を規制する規制部材と、
前記第1脚軸部の下端部に螺合される調節螺子部を介して該第1脚軸部に連結され、該第1脚軸部の軸線廻りに回転させることによって該第1脚軸部の軸線方向に沿って伸縮される第2脚軸部とを備え、
前記第1脚軸部は角柱状に形成されており、
前記被支持物の底部の挿着孔は、該第1脚軸部に対応する形状に形成されて該第1脚軸部を回転不能な状態で挿着保持することを特徴とする高さ調節機構付き脚。 - 各係合部は、夫々前記第1脚軸部の周壁の両側に軸線に直交する方向に互いに平行に延びる一対の係合溝により構成され、
前記規制部材は、両係合溝に対応する一対の係合片を一体に備えて第1脚軸部の周壁に装着される平面視略コ字形の板材であることを特徴とする請求項1記載の高さ調節機構付き脚。 - 各係合部のうち、所定の位置にある係合溝は、他の係合溝の延設方向と異なる方向に延設されていることを特徴とする請求項2記載の高さ調節機構付き脚。
- 各係合部は、夫々前記第1脚軸部の周壁の全周に形成された係合溝により構成され、
前記規制部材は、該係合溝に水平方向から係脱自在であって互いに対向する一対の係合片を一体に備えて第1脚軸部の周壁に装着される平面視略コ字形の板材であることを特徴とする請求項1記載の高さ調節機構付き脚。 - 各係合部には、前記規制部材を係合したときに調節される夫々の高さ寸法の目安となる表示が施されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の高さ調節機構付き脚。
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