JP3745720B2 - パケット通信品質測定方法およびシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信品質測定方法に関し、特にパケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置で試験パケットを送受信し、その送受信状況に基づき両品質測定装置間におけるパケット通信品質を測定するパケット通信品質測定方法およびシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パケット通信網の通信品質測定方法として測度変換型品質測定法が提案されている(例えば、非特許文献1〜3、特願2002−082770参照。)。この測度変換型品質測定法で遅延分布を得る場合、パケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置間で、これら品質測定装置間を結ぶパケット通信網を介して、間欠的に一方の品質測定装置から他方の品質測定装置へ試験パケットを送信し、これら両品質測定装置で送受信された試験パケットに関する送受信時刻に基づき当該試験パケットに関する遅延を算出するとともに、品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所で所望の一測定方向へ流れた所定期間の測定対象パケットの計数値に応じて、通信品質に対して重み付けを行い、複数の試験パケット毎に算出され重み付けされた各遅延値から品質測定装置間における測定対象パケットの遅延分布を算出する。なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0003】
【非特許文献1】
石橋、金澤、会田,「アクティブ/パッシブ測定の連携による測度変換型品質測定技術の提案」,信学技報,電子情報通信学会,2001年9月,IN2001-72
【非特許文献2】
会田、三好,「Passive/Active測定を組み合わせた測度変換型品質測定技術の特性と定式化について」,信学技報,電子情報通信学会,2002年6月,IN2002-17
【非特許文献3】
M.Aida,K.Ishibashi,T.kanazawa, "CoMPACT-Monitor: Change-of-measure based passive/active monitoring - weighted active sampling scheme to infer QoS", Proc. of IEEE SAINT 2002 Workshop (on Measurement Technology for the Internet Applications), Nara Japan, 2002, p.119-125
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の測度変換型品質測定法では、所定の条件を満たすパケットのみを計数するパケット計数部において、パケットの計数値を算出する際に計数対象の判定処理がネックとなるのを避けるために判定処理をパケット通過レートに合わせて行う必要があった。このため、パケット通信網が単位時間あたりの通過パケット数が多い高速回線である場合、パケット計数部に高速処理可能な装置を要するという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、比較的低速な処理のみで測度変換型品質測定を実現する測定方法および測定システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明にかかるパケット通信品質測定方法は、パケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置間で、一方の品質測定装置から他方の品質測定装置へパケット通信網を介して試験パケットを送信し、これら両品質測定装置で送受信された試験パケットに関する送受信状況に基づき当該試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、所定期間内に品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所で所望の一方向へ流れたパケットの計数値に応じて、通信品質に対して重み付けを行い、複数の試験パケット毎に算出され重み付けされた各通信品質から品質測定装置間におけるパケット通信品質を算出するパケット通信品質測定方法において、品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所と接続されたパケット取得装置と、このパケット取得装置と接続されたパケット計数装置とを設け、計数値は、パケット取得装置によって経路上の所定の箇所を通るパケットを取得し、取得したパケットのうち所定の抽出条件を満たすパケットを抽出し、このパケットの所定部分をパケット計数装置に送信する第1のステップと、パケット計数装置によってパケットの所定部分を受信し、この所定部分が所定の計数条件を満たすときに計数値を増加させる第2のステップとにより求めるようにしたものである。
【0006】
このパケット通信品質測定方法は、送受信状況が、試験パケットの送信時刻および受信時刻、またはこれら時刻差を含み、パケット通信品質が、各試験パケットの送受信状況から得られた各試験パケットに関する測定遅延時間に基づき算出される、品質測定装置間における測定対象パケットの遅延分布であるようにしてもよい。
また、このパケット通信品質測定方法は、パケット取得装置における抽出条件を、経路上の所定の箇所で試験パケットが検知された時刻の前後、一定時間内に取得されることであることとしてもよい。この場合、抽出条件は試験パケットが検知された時刻を含む所定範囲内であればよく、例えば試験パケットが検知される一定時間前の時刻から試験パケットが検知された時刻までとしたり、試験パケットが検知された時刻からその一定時間後の時刻までとしてもよい。
【0007】
また、本発明にかかるパケット通信品質測定システムは、パケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置と、品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所と接続されたパケット取得装置と、このパケット取得装置と接続されたパケット計数装置と、品質測定装置およびパケット計数装置と接続されたパケット通信品質算出装置とを備え、一方の品質測定装置は、試験パケットをパケット通信網を介して他方の前記品質測定装置へ送信し、他方の品質測定装置は、一方の品質測定装置から受信した試験パケットに関する送受信状況をパケット通信品質算出装置へ通知し、パケット取得装置は、経路の所定の箇所を通るパケットを取得し、パケットのうち所定の抽出条件を満たすパケットを抽出し、このパケットの所定部分をパケット計数装置へ送信し、パケット計数装置は、パケット取得装置の送信したパケットの所定部分を受信し、この所定部分が所定の計数条件を満たすときにパケット計数値を増加させるとともに、パケット計数値をパケット通信品質算出装置へ通知し、パケット通信品質算出装置は、他方の品質測定装置から通知された送受信状況に基づき、当該試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、パケット計数装置から通知されたパケット計数値に基づき、通信品質に対してそのパケット計数値に応じた重み付けを行い、複数の試験パケットごとに算出され重み付けされた各通信品質から品質測定装置間におけるパケット通信品質を算出するようにしたものである。
【0008】
このパケット通信品質測定システムは、送受信状況が、試験パケットの送信時刻および受信時刻、またはこれら時刻差を含み、パケット通信品質が、各試験パケットの送受信状況から得られた各試験パケットに関する測定遅延時間に基づき算出される、品質測定装置間における測定対象パケットの遅延分布であるようにしてもよい。
また、このパケット通信品質測定システムは、パケット取得装置における抽出条件を、経路上の所定の箇所で試験パケットが検知された時刻の前後、一定時間内に取得されることであることとしてもよい。この場合、抽出条件は試験パケットが検知された時刻を含む所定範囲内であればよく、例えば試験パケットが検知される一定時間前の時刻から試験パケットが検知された時刻までとしたり、試験パケットが検知された時刻からその一定時間後の時刻までとしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの構成を示すブロック図である。このパケット通信品質測定システム10には、複数の品質測定装置1,2、パケット取得装置3、パケット計数装置4およびパケット通信品質算出装置5が設けられており、各品質測定装置1,2は測定対象となるパケット通信網6にそれぞれ接続されている。この場合、パケット通信網6は複数のIP(internet protocol)ルータ7,8とこれらを接続するリンク9とを有するIP網であり、一方の品質測定装置1が一方のIPルータ7に接続され、他方の品質測定装置2が他方のIPルータ8に接続されている。
【0010】
また、パケット取得装置3は、一方のIPルータ7と他方のIPルータ8とを接続するリンク9の所定箇所に接続されており、この所定箇所を通るパケットを取得する。これは、例えばリンク9に物理レイヤでの分岐装置(図示せず)を接続し、すべての経由パケットをパケット取得装置3へ引き込む方法などにより実現できる。パケット取得装置3とパケット計数装置4との間、パケット計数装置4とパケット通信品質算出装置5との間、およびパケット通信品質算出装置5と各品質測定装置1,2の間は、それぞれ所定の通信網を介して接続されており、パケット通信品質の測定に必要な各種情報がやり取りされる。
【0011】
ここで、品質測定装置1,2は、当該品質測定装置と対となる他方の品質測定装置へパケット通信網6を介して所定の試験パケットを送信する機能と、他方の品質測定装置から受信した試験パケットに関する受信状況を受信通知によりパケット通信品質算出装置5へ通知する機能とを有し、これらの機能を切り替えて品質測定を行う。この場合、品質測定装置1,2が送信するパケットには、当該パケットが試験パケットであることを示す識別子(以後、IDと記す)が付与されており、このIDにより他のユーザパケットと区別して検出される。IDとしては、パケットヘッダ内の空きフィールドに特定の値を書く方法、パケットペイロードの特定の位置に特定の値を書く方法、等が挙げられる。品質測定装置1,2、パケット取得装置3およびパケット計数装置4は、この試験パケットのIDが識別できる。
【0012】
また、品質測定装置1,2は、パケット計数装置4およびパケット通信品質算出装置5と共通のID−時刻対応表を有し、この表によりIDと試験パケット送信時刻の関係を算出することができる。ID−時刻対応表は、試験パケットに付与するIDと試験パケット送信時刻の対が所定数記録されたデータテーブルであり、品質測定装置1,2内の記憶装置に格納されている。各IDは送信する試験パケットをそれぞれ識別可能とするため、試験パケット送信時刻毎に異なるデータを有する。試験パケット送信時刻は、一定間隔であってもよいし、例えば指数分布に従う擬似乱数で定めた間隔であってもよい。なお、この実施の形態においては、試験パケット送信時刻の間隔を最大でも数秒程度としたが、これに限られるものではない。
【0013】
この品質測定装置1,2は、ID−時刻対応表を参照し、試験パケット送信時刻になると、この試験パケット送信時刻と対になるIDを付加した試験パケットを対となる他方の品質測定装置へ送信する。また、試験パケットを受信すると、受信した試験パケットのIDを受信時刻と対にして受信状況として記憶装置に記録しておき、所定の測定期間終了後に記録しておいた試験パケットのIDと受信時刻の対の列を受信通知としてパケット通信品質算出装置5に送信する。
【0014】
パケット取得装置3は、IPルータ7,8間を接続するリンク9の所定箇所を通るパケットを取得するとともに、取得したパケットのうち所定の抽出条件を満たすパケットを抽出し、このパケットの所定部分を取得時刻とともに通過パケット情報としてパケット計数装置4へ送信する機能を有する。この場合、パケット取得装置3は一時記憶装置(図示せず)をパケットの流れる方向ごとに備えており、リンク9の所定箇所を通るパケットを取得すると取得したパケットの流れる方向を識別し取得時刻とともに流れる方向に対応する一時記憶装置に記録する。
【0015】
パケットの流れる方向を識別する手段は、リンク9の種類によって異なる。例えば、リンク9がEthernet(登録商標)の場合、パケットヘッダのMAC(Media Access Control)アドレスによって宛先のIPルータ7,8を識別することにより、パケットの流れる方向を知ることができる。また、リンク9が光ファイバケーブルの場合、IPルータ7へ流れるパケットとIPルータ8へ流れるパケットは、それぞれ異なる光ファイバケーブルを通過するので、光ファイバケーブルの接続先によりパケットの流れる方向を知ることができる。
【0016】
また、このパケット取得装置3は、取得したパケットが試験パケットか否かを判定し、試験パケットを検知すると試験パケットの所定部分とその取得時刻をパケット計数装置4へ送信した後、試験パケットと同じ方向に流れるパケットを記録した一時記憶装置から抽出条件を満たすパケットとその取得時刻を読み出し、当該パケットの所定部分とその取得時刻とを順次パケット計数装置4へ送信する。この実施の形態では、抽出条件として、試験パケットが検知された時刻の前後、一定時間内に取得されることが設定されており、試験パケットを検知すると、試験パケットの所定部分とその取得時刻を先頭にこの範囲内の試験パケットと同じ方向に流れるパケットの所定部分とその取得時刻とを順次パケット計数装置4へ送信する。
【0017】
ここで、抽出条件は試験パケットが検知された時刻を含む所定範囲内であればよく、例えば試験パケットが検知される一定時間前の時刻から試験パケットが検知された時刻までとしたり、試験パケットが検知された時刻からその一定時間後の時刻までとしてもよい。また、試験パケットが検知された時刻の前後の時間は、検知前と検知後で異なっていてもよい。パケットの所定部分は、例えば、送信元のIPアドレスと試験パケットか否かを示す試験パケットIDとを含むパケットヘッダー部分のみとしてもよいし、当該パケットの全体としてもよい。
【0018】
この実施の形態では、一時記憶装置に記録されているパケットとその取得時刻は、抽出条件を満たさなくなると消去される。なお、パケット取得装置3において、パケットの流れる方向ごとに一時記憶装置を備えるようにしたが、これに限られるものではない。例えば、1つの一時記憶装置に取得したパケットを記録しておき、パケット計数装置4へ通過パケット情報を送信する際に抽出条件とパケットの流れる方向とによるフィルタリングを行うようにしてもよい。
【0019】
パケット計数装置4は、パケット取得装置3の送信した通過パケット情報を受信し、この通過パケット情報が所定の計数条件を満たすときに直近の試験パケットIDと関連づけたパケット計数値を増加させる機能と、試験パケットIDと関連づけたパケット計数値を試験パケットIDと計数値の対で記憶しておき、所定の測定期間終了後に計数通知としてパケット通信品質算出装置5へ通知する機能とを有する。この場合、パケット計数装置4は記憶装置を備えており、所定の測定期間中に所定の計数条件を満たすパケットの数(計数値)を試験パケットIDと対応づけて対で記憶装置に記録し、測定期間終了後に、記録した試験パケットIDと計数値の対を読み出し計数通知としてパケット通信品質算出装置5へ通知する。
【0020】
所定の計数条件としては、測定対象パケットのみが満たすものが適する。例えば、リンク9のパケット通信品質を求める場合は、計数条件を取得時刻が試験パケットの取得時刻の近傍で、かつ試験パケットと同じ方向に流れる試験パケットIDを含まないパケットとすればよい。また、特定端末が送信したパケットの品質を測定する場合、前述の計数条件に送信元アドレスが特定端末のアドレスであることを加えればよい。通過パケット情報が試験パケットのものである場合、その後増加させる計数値は該試験パケットのIDに関連づけたものとする。
【0021】
パケット通信品質算出装置5は、品質測定装置1,2からの受信通知に基づき、試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、パケット計数装置4から通知されたパケット計数値に基づき、通信品質に対してそのパケット計数値に応じた重み付けを行い、複数の試験パケットごとに算出され重み付けされた各通信品質から品質測定装置1,2間におけるパケット通信品質を算出(推定)する機能を有する。
【0022】
この場合、パケット通信品質算出装置5は、受信通知に含まれる試験パケットのIDをキーにしてID−時刻対応表を検索し取得する、当該IDを有する試験パケットの送信時刻と、受信通知に含まれる当該IDの受信時刻とにより送受信状況としての試験パケットの送信時刻及び受信時刻を得た後、この送信時刻と受信時刻との差を計算して時刻差を求めることにより、試験パケットに関する通信品質として試験パケットの遅延時間を算出する。
【0023】
さらに、パケット通信品質算出装置5は、パケット通信品質として以下に示すように片道遅延分布を算出する。例えば、i番目(iは正整数)の試験パケットに対する重みをw(i)と記すとともに、i番目までの各重みの和をW(i)と記して、W(i)=w(1)+…+w(i)とする。なお、重みw(i)として対応するパケット数をそのまま用いてもよい。そして、i回目の測定遅延時間をd(i)とした場合、i回測定後において測定遅延がx以下の割合を示す遅延分布関数Fi(x)は、式(1)のように表される。なお、初期状態としてすべてのxにおいてF0(x)=0とする。
【0024】
【数1】
【0025】
この実施の形態では、このようにパケット通信品質測定システム10を構成することにより、パケット取得装置3で品質測定装置1,2間を結ぶ経路(リンク)を流れる各パケットを取得し、抽出条件を満たすパケットの所定部分とその取得時刻とを通過パケット情報としてパケット計数装置4へ送信し、パケット計数装置4で計数条件を満たすパケット情報のみを実際に計数することによりその経路における計数条件を満たすパケットのトラフィック量を把握し、そのトラフィック量(ここではパケット計数値)を考慮して、各試験パケットから個別の通信品質を得るとともに、これら通信品質から品質測定装置1,2間の計数条件を満たすパケットの通信品質をパケット通信品質算出装置5で算出するようにしたものである。
【0026】
これら、品質測定装置1,2、パケット取得装置3、パケット計数装置4およびパケット通信品質算出装置5には、専用装置を用いてもよく、パケット通信機能を有するパーソナルコンピュータやサーバー装置を用いてもよい。また、品質測定装置1とIPルータ7の間の接続、および品質測定装置2とIPルータ8との間の接続は、それぞれノイズの小さな場所でEthernet(登録商標)で直結することにより、品質劣化が無視できる程度のリンクを使用する。
【0027】
次に、IPルータ7,8および測定対象リンク9を介して接続された品質測定装置1から品質測定装置2へ向かう方向についてのパケット通信品質、すなわち片道遅延分布を測定する場合を例に、図1と図2を参照して、この実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの動作手順を説明する。図2は、この実施の形態にかかる図1のパケット通信品質測定システムの動作手順を示す図である。ここでは、パケットの流れる方向は、IPルータ7からIPルータ8へ向かう方向とIPルータ8からIPルータ7へ向かう方向の2通りであり、パケット通信品質として、IPルータ7からIPルータ8へ向かう方向について、特定端末(図示せず)が送信したパケットの片道遅延分布を測定するものとする。また、パケットの送受信時刻から測定遅延時間を測定することから、少なくとも品質測定装置1,2は、例えばGPSからの情報を用いて相互に時刻同期を取ることが望ましい。
【0028】
まず、パケット取得装置3が測定開始に応じて測定対象リンク9を通る各パケットの取得を開始する。この場合、パケット取得装置3はパケットを検知するたびにこのパケットを取得し、パケットの流れる方向を識別した後、取得時刻と対にしてパケットの流れる方向に対応した一時記憶装置に記録する。次に、所定時間経過後、品質測定装置1が試験パケットを品質測定装置2へ向けて送信する処理を開始する。この場合、品質測定装置1はID−時刻対応表を参照し、試験パケット送信時刻になると、この試験パケット送信時刻と対になるIDを付加した試験パケット111を品質測定装置2へ送信する。品質測定装置1が試験パケット111を品質測定装置2へ向けて送信すると、品質測定装置2は試験パケット111を受信し、この試験パケットのIDと受信時刻を対にして記憶装置に記録する。
【0029】
一方、パケット取得装置3は品質測定装置1から品質測定装置2へ向けて送信された試験パケット111を検知し取得すると、試験パケットの所定部分(IDを含む)とその取得時刻とを通過パケット情報121としてパケット計数装置4へ送る。さらに、パケット取得装置3は試験パケット111と同じ方向に流れるパケットを記録した一時記憶装置から試験パケット取得時刻の一定時間前の時刻から試験パケット検知時刻までの間に取得し記録したパケットとその取得時刻とを読み出し、パケットの所定部分とその取得時刻とを通過パケット情報122としてパケット計数装置4へ送るとともに、試験パケット取得時刻から一定時間後の時刻となるまで、試験パケット111と同じ方向に流れるパケットの所定部分とその取得時刻とを通過パケット情報123としてパケット計数装置4へ送る。
【0030】
パケット計数装置4は、パケット取得装置3から送られた通過パケット情報が所定の計数条件を満たすか否かを判定し、条件を満たす場合は直近の試験パケットIDと関連づけた計数値を1増加させる。この場合、パケット計数装置4は、試験パケットIDと試験パケットIDに関連づけた計数値を対にして記憶装置に記録する。ここでは、特定端末が送信したパケットの品質を測定するので、計数条件を試験パケットと同じ方向に流れる試験パケットIDを含まない送信元アドレスが特定端末のアドレスであるパケットであり、かつ取得時刻が試験パケットの取得時刻の近傍であることとする。これにより、試験パケットが取得された時刻の前後、一定時間内にリンク9を通過した送信元アドレスが特定端末のアドレスで試験パケットと同じ方向に流れるユーザパケットの数が計数値として求められる。
【0031】
このようにして、1つの試験パケットについて試験パケットの通信品質算出処理を行い(ステップ101)、これをあらかじめ定められた所定期間、品質測定装置1から間欠的に送信される試験パケット毎に複数回(N回)繰り返して実行する(ステップ102〜10N)。所定期間、試験パケット送信とそれに伴う処理が行われた後、品質測定装置2は記憶装置に記録していた試験パケットIDと受信時刻の対の列を受信通知201としてパケット通信品質算出装置5に送信する。また、パケット計数装置4は記憶装置に記録していた試験パケットIDと計数値の対の列を計数通知202としてパケット通信品質算出装置5に送信する。
【0032】
パケット通信品質算出装置5は、受信通知201と計数通知202とを受信し、品質算出203を行う。この場合、パケット通信品質算出装置5は、受信通知201を受信するとID−時刻対応表を参照し、各試験パケットのIDから各試験パケットの送信時刻を求め、それぞれの受信時刻との差を計算して各試験パケットの遅延を算出する。さらに、計数通知202を受信し、先に算出した各試験パケットの遅延に各試験パケットのIDと対の計数値による重みを付与して前述した式(1)により遅延分布を計算する。
【0033】
この実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムは、パケット取得装置で抽出条件に基づく計数対象パケットの絞り込みを行い、パケット計数装置で計数条件に基づく詳細な計数を行うようにしたため、従来のパケット通信品質測定システムのパケット計数装置に比べて、パケット計数装置が受け取るパケット情報が少ないためパケット計数装置の処理負荷が軽くなる。さらに、パケットの計数処理を、例えば、通過パケット情報を一旦記憶し、計数通知時に計数するなど、試験パケットと関係ないタイミングで行うことが可能となるので、測定対象が高速なパケット通信網であっても、低速な処理系で測定が可能になる。また、パケット取得装置3は計数対象を絞り込むのみで済むので、処理負荷が軽く、実装が容易になる。
【0034】
この実施の形態では、試験パケットに関する送受信状況として、品質測定装置1,2が求めた受信時刻と、パケット通信品質算出装置5がID−時刻対応表に基づいて求めた送信時刻とを用い、この送受信状況からパケット通信品質算出装置5が時刻差を算出し、試験パケットに関する通信品質とする例について説明したが、送受信状況は送信時刻と受信時刻とに限られるものではない。例えば、品質測定装置1,2において、受信時刻のみならず、所定の測定期間終了後に記録しておいた試験パケットのIDをキーとしてID−時刻対応表を検索して送信時刻を求め、試験パケットのIDと送信時刻と受信時刻との組の列を受信通知としてパケット通信品質算出装置5に送信し、パケット通信品質算出装置5において送信時刻と受信時刻との時刻差を算出するようにしてもよい。
【0035】
また、品質測定装置1,2において、前述のように受信時刻および送信時刻を求めた後、送信時刻と受信時刻との時刻差を算出し、試験パケットのIDと時刻差の対の列を受信通知としてパケット通信品質算出装置5に送信し、パケット通信品質算出装置5においては、時刻差(遅延時間)を通信品質とし、パケット計数装置4から通知されたパケット計数値に基づき、通信品質に対してそのパケット計数値に応じた重み付けを行い、複数の試験パケットごとに算出され重み付けされた各通信品質から品質測定装置1,2間におけるパケット通信品質を算出(推定)するようにしてもよい。
【0036】
次に第2の実施の形態について説明する。この実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの構成は、図1で示した第1の実施の形態と同じである。この実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムが前述した第1の実施の形態のパケット通信品質測定システムと異なる点は、第1の実施の形態では、測定対象パケット(ユーザパケット)の計数条件が1つであり、パケット計数値は試験パケット毎に1つだけであったのに対し、この実施の形態では、測定対象パケットの計数条件が複数あり、パケット計数値が試験パケット毎に複数あって、複数の計数条件毎に測定対象パケットの品質を測定することである。
【0037】
ここで、品質測定装置1,2とパケット取得装置3の動作は第1の実施の形態と同様である。パケット計数装置4は、複数の計数条件と、それに対応する計数値を有し、通過パケット情報を受信すると、計数条件毎に満たすか否かの判定を行い、それぞれ条件を満たした場合に対応する計数値を1増加させる。このように、各試験パケットにおいて、すべての通過パケット情報がすべての計数条件毎に満たすか否かの判定が行われ、計数条件毎に対応した計数値が算出されて、試験パケットIDと複数の計数値との組が記憶装置に記録される。計数通知に当たっては、記録されていた試験パケットIDと複数の計数値との組の列を、パケット通信品質算出装置5に送信する。
【0038】
パケット通信品質算出装置5は、品質測定装置2から送られた受信通知に基づいて第1の実施の形態と同様に各試験パケットの遅延を算出する。さらに、パケット計数装置4から送られた計数通知に基づいてパケット計数装置4におけるある計数条件に対応する計数値毎に、算出した各試験パケットの遅延に重み付けを行い、前述の式(1)により遅延分布を計算する。すなわち、パケット計数装置4における計数条件の数と同じだけ、遅延分布が算出される。これにより、複数の計数条件として、例えば、複数の送信元アドレスを割り当てることにより、1回の測定期間で複数端末のパケット通信品質を測定することができる。
【0039】
このように、この実施の形態では、パケット計数装置4で複数の条件判断を行い、パケット通信品質算出装置5で複数の遅延分布を算出するようにしたため、1回の測定で複数の測定対象の遅延分布を求めることができる。条件判断が増すことにより、パケット計数装置4の処理負荷が増大するものの、パケット計数装置4の計数処理は、例えば、通過パケット情報を一旦記憶し、計数通知時に計数するといった、試験パケットと関係ないタイミングで行うことが可能であるため、低速な処理系でも測定が可能である。
【0040】
次に第3の実施の形態について説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの構成を示すブロック図である。この実施の形態にかかるパケット通信品質測定システム11が図1で示した第1の実施の形態にかかるパケット通信品質測定システム10と異なる点は、1対の品質測定装置1a,2a,1b,2bと品質測定装置間のリンクに接続したパケット取得装置3a,3bとがパケット通信網6に分散して複数配置され、各パケット取得装置3a,3bとパケット計数装置4との間およびパケット通信品質算出装置5と各品質測定装置1a,2a,1b,2bとの間がそれぞれ所定の通信網を介して接続されていることである。
【0041】
ここで、品質測定装置1a,2a,1b,2bとパケット取得装置3a,3bの動作は第1の実施の形態と同様である。また、パケット計数装置4とパケット通信品質算出装置5は、パケット取得装置3a,3b毎に独立した処理を行うことを除き、第1の実施の形態と同様の動作を行う。このように、パケット通信網6内に複数のパケット取得装置3a,3bを分散配置することにより、パケット通信網6内の複数箇所の通信品質を、1台ずつのパケット計数装置4とパケット通信品質算出装置5とで測定することが可能となる。複数箇所の通信品質を同時に測定する際には、パケット計数装置4およびパケット通信品質算出装置5の処理負荷が大きくなるが、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様、低速処理を行うことによる測定値への影響がないため、低速な処理系で測定可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、一方の品質測定装置から試験パケットをパケット通信網を介して他方の品質測定装置へ送信して他方の品質測定装置で受信し、これら両品質測定装置で送受信された試験パケットに関する送受信状況に基づき当該試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所で所望の一方向へ流れたパケットの計数値に応じて、通信品質に対して重み付けを行い、複数の試験パケットごとに算出され重み付けされた各通信品質から品質測定装置間におけるパケット通信品質を算出する際に、計数対象の判断をパケット取得装置とパケット計数装置の2段階で行うようにしたものである。これにより、処理負荷が分散されるとともに、パケットの計数対象の判定処理をパケット通過レートに合わせて行う必要がなくなるので、高速のパケット通信網においても低速な装置でパケット通信品質の測定を実現することができる。よって、パケット通信網における測度変換型品質測定を容易かつ安価に行うことが可能となる。
【0043】
また、パケット通信網内に分散配置した複数のパケット取得装置を1つのパケット計数装置で扱う場合や、複数の計数条件を扱う場合、パケット計数装置の処理負荷は大きくなるが、パケット計数装置は試験パケットとは無関係な時間で計算できるため、複数のパケット通信品質測定を同時に行う場合であっても低速な装置を用いることができる。さらに、パケット取得装置で計数対象を絞り込んでいるため、パケット取得装置とパケット計数装置の間で通信されるデータ量が少なくて済むので測定システム内の通信網にかかる負荷を抑えることができる。よって、測定システムをより安価に構築する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のパケット通信品質測定システムの動作手順を示す図である。
【図3】 本発明の第3の実施の形態にかかるパケット通信品質測定システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2…品質測定装置、3…パケット取得装置、4…パケット計数装置、5…パケット通信品質算出装置、6…パケット通信網、7,8…IPルータ、9…リンク、10,11…パケット通信品質測定システム。
Claims (6)
- パケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置間で、一方の品質測定装置から他方の品質測定装置へ前記パケット通信網を介して試験パケットを送信し、これら両品質測定装置で送受信された前記試験パケットに関する送受信状況に基づき当該試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、所定期間内に前記品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所で所望の一方向へ流れたパケットの計数値に応じて、前記通信品質に対して重み付けを行い、複数の試験パケット毎に算出され重み付けされた各通信品質から前記品質測定装置間におけるパケット通信品質を算出するパケット通信品質測定方法において、
前記品質測定装置間を結ぶ経路上の前記所定の箇所と接続されたパケット取得装置と、このパケット取得装置と接続されたパケット計数装置とを設け、
前記計数値は、
前記パケット取得装置によって前記経路上の前記所定の箇所を通るパケットを取得し、取得したパケットのうち所定の抽出条件を満たすパケットを抽出し、このパケットの所定部分を前記パケット計数装置に送信する第1のステップと、
前記パケット計数装置によって前記パケットの所定部分を受信し、この所定部分が所定の計数条件を満たすときに前記計数値を増加させる第2のステップと
により求めることを特徴とするパケット通信品質測定方法。 - 請求項1記載のパケット通信品質測定方法において、
前記送受信状況は、
前記試験パケットの送信時刻および受信時刻、またはこれら時刻差を含み、
前記パケット通信品質は、
前記各試験パケットの前記送受信状況から得られた前記各試験パケットに関する測定遅延時間に基づき算出される、前記品質測定装置間における測定対象パケットの遅延分布である
ことを特徴とするパケット通信品質測定方法。 - 請求項1または請求項2記載のパケット通信品質測定方法において、
前記抽出条件は、
前記経路上の前記所定の箇所で前記試験パケットが検知された時刻の前後、一定時間内に取得されることである
ことを特徴とするパケット通信品質測定方法。 - パケット通信網を介して接続された2つの品質測定装置と、
前記品質測定装置間を結ぶ経路上の所定の箇所と接続されたパケット取得装置と、
このパケット取得装置と接続されたパケット計数装置と、
前記品質測定装置および前記パケット計数装置と接続されたパケット通信品質算出装置とを備え、
一方の前記品質測定装置は、試験パケットを前記パケット通信網を介して他方の前記品質測定装置へ送信し、
他方の前記品質測定装置は、一方の前記品質測定装置から受信した試験パケットに関する送受信状況を前記パケット通信品質算出装置へ通知し、
前記パケット取得装置は、前記経路の前記所定の箇所を通るパケットを取得し、前記パケットのうち所定の抽出条件を満たすパケットを抽出し、このパケットの所定部分を前記パケット計数装置へ送信し、
前記パケット計数装置は、前記パケット取得装置の送信した前記パケットの前記所定部分を受信し、この所定部分が所定の計数条件を満たすときにパケット計数値を増加させるとともに、前記パケット計数値を前記パケット通信品質算出装置へ通知し、
前記パケット通信品質算出装置は、他方の前記品質測定装置から通知された前記送受信状況に基づき、当該試験パケットに関する通信品質を算出するとともに、前記パケット計数装置から通知された前記パケット計数値に基づき、前記通信品質に対してそのパケット計数値に応じた重み付けを行い、複数の試験パケットごとに算出され重み付けされた各通信品質から前記品質測定装置間におけるパケット通信品質を算出する
ことを特徴とするパケット通信品質測定システム。 - 請求項4記載のパケット通信品質測定システムにおいて、
前記送受信状況は、
前記試験パケットの送信時刻および受信時刻、またはこれら時刻差を含み、
前記パケット通信品質は、
前記各試験パケットの前記送受信状況から得られた前記各試験パケットに関する測定遅延時間に基づき算出される、前記品質測定装置間における測定対象パケットの遅延分布である
ことを特徴とするパケット通信品質測定システム。 - 請求項4または5記載のパケット通信品質測定システムにおいて、
前記抽出条件は、
前記経路上の前記所定の箇所で前記試験パケットが検知された時刻の前後、一定時間内に取得されることである
ことを特徴とするパケット通信品質測定システム。
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