JP3744942B6 - 電動式燃料ポンプのインペラ - Google Patents
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Description
[技術分野]
本発明は、電動式燃料ポンプのインペラに関する。
[背景技術]
燃料タンク内に設けられるインタンク式の電動式燃料ポンプを図1に示す。
図1に示す電動式燃料ポンプは、円筒状に形成されたハウジング3に組み込まれたモータ部1及びポンプ部2により構成されている。ハウジング3の上端部及び下端部にはモータカバー4及びポンプカバー5が取り付けられている。
軸8の上端部及び下端部をモータカバー4及びポンプカバー5にそれぞれ軸受9及び10を介して支持することによって、アーマチュア7がモータ室6内に回転可能に配置されている。アーマチュア7には、コイルと接続され、銅や銀を主成分とする複数のコンミュテータセグメント12が互いに絶縁されて配設されている。ハウジング3の内壁面には、マグネット11が配設されている。モータカバー4には、アーマチュア7のコンミュテータセグメント12と摺接するブラシ13及びブラシ13を付勢するスプリング14が組み込まれている。ブラシ13は、チョークコイル15を介して外部接続端子と接続されている。
モータカバー4に設けた吐出口16は、チェックバルブ17が組み込まれており、燃料供給パイプが接続される。
ポンプカバー5の下側には、ポンプボデー18がハウジング3の下端部にかしめつけによって取り付けられている。ポンプボデー18には燃料の入口穴19が設けられ、ポンプカバー5には燃料の出口穴20が設けられている。この入口穴19と出口穴20は、ポンプボデー18とポンプカバー5により形成されるポンプ室の円周方向に距離を隔てた位置に設けられている。ポンプボデー18とポンプカバー5により形成されるポンプ室には、多数の羽根溝22が円周方向に上下に形成された円板状のインペラ21が配設されている。このインペラ21は、樹脂等により形成され、アーマチュア7の軸8に嵌合によって連結されている。
このような構成の電動式燃料ポンプは、モータ部1に通電してアーマチュア軸8を回転させると、インペラ21が回転駆動される。これにより、燃料タンク内の燃料は、入口穴19より汲み上げられ、出口穴20からモータ室6に入り、吐出口16から燃料供給パイプに吐出される。
従来、特開平7−54726号公報に記載されているようなインペラが知られている。この従来のインペラを図2〜図4に示す。なお、図2はインペラの斜視図、図3は図2のIII部の拡大図、図4は図3のIV−IV線断面図(半径方向断面図)、図5は図3のV−V線断面図(周方向断面図)である。インペラ21の両面の外周部には円周方向に沿って羽根23が設けられており、この羽根23の間には羽根溝22が形成されている。ポンプカバー5とポンプボデー18には、インペラ21の羽根溝22に対応する部位にそれぞれ流路溝35が形成されており、この流路溝35によって入口穴19より出口穴20に至る流路36が形成されている。羽根溝22は、半径方向断面でみると、図4に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図5に示すようにインペラの面と平行な直線形状に形成され、かつ回転方向前側の羽根23の端面24及び回転方向後側の羽根23の端面25との結合部26がピン角、すなわち角形状に形成されている。羽根溝22の開口部は、図3に示すように回転方向後側の半径方向の開口縁部28が直線形状に形成されているとともに、この開口縁部28と周方向の開口縁部29及び30との結合部31及び32がピン角に形成されている。
このような従来のインペラ21では、燃料が入口穴19から出口穴に流れる際に、図4の矢印で示すようにインペラ21の羽根溝22に沿って半径方向外方へ流れて流路36の半径方向壁面に突き当たり、流路溝35に沿って半径方向内方に流れて再び羽根溝22に沿って半径方向外方に流れる循環旋回渦流が発生する。この旋回渦流の周方向の速度はインペラ21の周速度より遅いため、流路溝36に沿って半径方向内方に流れた燃料は、回転方向後側の羽根溝22に流入する。この時、円周方向でみると羽根溝22と羽根23の端面24、25との結合部がピン角に形成されているため、このピン角の結合部26での流体抵抗によって旋回渦流の周方向の速度が減速され、ポンプ効率が良くなかった。
また、特開平6−299983号公報に記載されているように羽根を回転方向に傾斜させたインペラや、特開平7−189973号公報に記載されているように羽根に面取りを設けたインペラ等が提案されている。
しかしながら、羽根を回転方向に傾斜させたインペラや羽根に面取りを設けたインペラは、インペラの形状が複雑になるためインペラを形成する樹脂材料が限定されてしまう。特に、熱硬化性樹脂で成形するのが困難となる。熱硬化性樹脂は強度及び対ガソリン防潤性等が熱可塑性樹脂等に比べて高いため、熱可塑性樹脂等の熱硬化性樹脂以外の樹脂でインペラを形成した場合、信頼性に問題がある。また、図3に示す羽根溝22の開口部の回転方向後側の半径方向の開口縁部28が直線形状に形成され、この開口縁部28と半径方向外側の周方向の開口縁部29及び半径方向内側の周方向の開口縁部30との結合部31及び32がピン角に形成されているため、羽根溝22から流れ出る旋回渦流の周方向の速度が減速され、羽根溝22内への燃料の流入がスムーズでない。このため、ポンプ効率が良くない。また、ポンプカバー5あるいはポンプボデー18の一方の流路溝35に羽根溝22内のベーパ(気泡)を排出するためのベーパ排出口37が配設されているが、ベーパ排出口37が配設されている側と反対側の羽根溝22内のベーパはベーパ排出口37から速やかに排出することができない。このため、ポンプ効率が良くない。また、出口穴20はインペラ21の上下両面の一方側(図1では上面側)に配設されるため、出口穴20が配設されている側と反対側の羽根溝22内の燃料は出口穴21側へ流れ難い。このため、ポンプ効率が良くない。
本発明の目的は、簡単な形状あるいは構造でポンプ効率を向上させることができる電動式燃料ポンプのインペラを提供することである。
[発明の開示]
本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝とを備える電動式燃料ポンプのインペラであって、前記羽根溝は、半径方向断面でみると曲線形状に形成され、周方向断面でみると前記羽根溝と回転方向後側の羽根の端面との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記結合部の曲線形状が円形形状である電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝は周方向断面でみると回転方向前側から前記結合部に向けて傾斜して形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向内側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、羽根溝の開口部は、半径方向外側が半径方向内側よりも回転方向前側となるように、半径方向に対して傾斜して形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
以上の構成を備えることにより、羽根溝の流体抵抗を低減することができるため、燃料がスムーズに流入し、また羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルをもたせることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の半径方向に跨って形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向前側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向後側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が形成され、また、出口側に面する羽根溝を入口側に面する羽根溝に対して回転方向後側にずらせて形成した電動式燃料ポンプのインペラである。
以上の構成を備えることにより、羽根溝内のベーパの排出能力を向上させることができ、あるいは羽根溝内の燃料の排出能力を向上させることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
さらに、簡単な構造であるため、熱硬化性樹脂等でも形成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、電動式燃料ポンプの概略図である。
図2は、従来のインペラの斜視図である。
図3は、図2のIII部の拡大図である。
図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図5は、図3のV−V線断面図である。
図6は、第1の実施の形態のインペラの部分断面図である。
図7は、図6のVII−VII線断面図である。
図8は、図6のVIII−VIII線断面図である。
図9は、第2の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図10は、第3の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図11は、第4の実施の形態のインペラの開口部を示す図である。
図12は、従来のインペラの開口部を示す図である。
図13は、第5の実施の形態のインペラの部分断面図である。
図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
図15は、図13のXV−XV線断面図である。
図16は、第5の実施の形態のインペラの平面図である。
図17は、第5の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図18は、第6の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図19は、第6の実施の形態のインペラの平面図である。
図20は、第6の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図21は、第7の実施の形態のインペラの平面図である。
図22は、第7の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図23は、第8の実施の形態のインペラの平面図である。
図24は、第8及び第9の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図25は、第10の実施の形態のインペラの入口穴側の平面図である。
図26は、第10の実施の形態のインペラの出口穴側の平面図である。
図27は、第10の実施の形態の周方向断面図である。
図28は、第11の実施の形態のインペラの入口穴側の平面図である。
図29は、第11の実施の形態のインペラの出口穴側の平面図である。
図30は、第11の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図31は、羽根溝の開口部の形状及び連通穴の配置位置とポンプ効率との関係を示す図である。
図32は、連通穴幅/羽根溝幅とポンプ効率との関係を示す図である。
図33は、羽根溝面積/羽根面積とポンプ効率との関係を示す図である。
図34は、羽根溝面積とポンプ効率との関係を示す図である。
図35は、インペラ外径/羽根枚数とポンプ効率との関係を示す図である。
図36は、溝深さ比とポンプ効率との関係を示す図である。
図37は、羽根溝の楕円比とポンプ効率との関係を示す図である。
[発明を実施するための最良の形態]
まず、本発明のインペラの第1の実施の形態を図6〜図8に示す。なお、図6は羽根及び羽根溝部分を示すための部分断面図であり、図7は図6のVII−VII線断面図(半径方向断面図)であり、図8は図6のVIII−VIII線断面図(周方向断面図)である。
インペラ41の両面の外周には周方向に沿って羽根43が設けられており、羽根43の間には羽根溝42が形成されている。羽根溝42は、半径方向断面でみると、図7に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図8に示すように羽根溝42と回転方向後側の羽根43の端面44との結合部45が曲線形状、例えば円形形状や楕円形状に形成され、さらに回転方向前側から結合部45に向けて曲線形状、例えば円形形状に傾斜して形成されている。
周方向断面でみて羽根溝42と羽根43の端面44との結合部45を曲線形状に形成することにより、周方向の流体抵抗を低く抑えることができ、回転方向前側の羽根溝から流入した旋回渦流の周方向の速度を増加させることができる。
また、従来のインペラでは、図5に示すように羽根溝22と回転方向前側の羽根23の端面24との結合部の部分Gによどみが発生して効率が良くなかった。本実施の形態では、羽根溝42を、周方向断面でみると回転方向前側から結合部45に向けて曲線形状に傾斜して形成することにより、回転方向前側と結合部間の流体抵抗を低く抑えることができ、よどみが発生するのを防止することができる。これらにより、ポンプ効率が向上する。また、羽根溝42の構造が簡単であるため、インペラを熱硬化性樹脂で成形することができ、信頼性が向上する。
なお、羽根溝の形状は、羽根溝を周方向断面でみて少なくとも回転方向後側の羽根の端面との結合部が曲線形状に形成されていればよい。
羽根溝の周方向の断面形状を変更した第2の実施の形態を図9に示す。図9に示す羽根溝54は、周方向断面でみると回転方向前側から回転方向後側に向けて直線形状に傾斜して形成され、回転方向後側の羽根51の端面53との結合部55及び回転方向前側の羽根51の端面52との結合部56が曲線形状、例えば円形形状に形成されている。なお、回転方向前側の羽根51の端面52を省略することもできる。この実施の形態は、図8に示した実施の形態と同様に、周方向の流体抵抗を低く抑えることができ、また回転方向前側と結合部55間の流体抵抗を低く抑えることができる。
また、羽根溝の周方向の断面形状を変更した第3の実施の形態を図10に示す。図10に示す羽根溝57は、周方向断面でみてインペラの面とほぼ平行な直線形状に形成され、回転方向後側の羽根の端面との結合部58及び回転方向前側の羽根の端面との結合部59が曲線形状、例えば円形形状に形成されている。この実施の形態は、図8に示した実施の形態と同様に、周方向の流体抵抗を低く抑えることができる。
以上は羽根溝の周方向の断面形状の変更によってポンプ効率を向上させる場合を説明したが、羽根溝の開口部の形状の変更によってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部の形状を変更した第4の実施の形態を図11に示す。図11において、羽根溝の開口部は、回転方向前側の半径方向の開口縁部61、回転方向後側の半径方向の開口縁部62、半径方向外側の周方向の開口縁部63、半径方向内側の周方向の開口縁部64により形成されている。そして開口縁部62と開口縁部63との結合部65、開口縁部62と開口縁部64との結合部66、開口縁部62を曲線形状、例えば円形形状に形成する。
従来のインペラでは、図12に示すように羽根溝の開口部が回転方向後側の半径方向の開口縁部202と半径方向内側の周方向の開口縁部204との結合部206が角形状に形成されているため、旋回渦流に対して矢印H方向に逆流が発生し、ポンプ効率が良くない。また、回転方向後側の半径方向の開口縁部202と半径方向外側の周方向の開口縁部203との結合部が角形状に形成されているため、羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルが発生しにくく、ポンプ効率が良くない。本実施の形態では、開口縁部62と開口縁部64との結合部66が曲線形状に形成されているため、燃料が羽根溝内にスムーズに流入し、逆流の発生を防止することができる。また、開口縁部62が曲線形状に形成されているため、旋回渦流の向きがスムーズに変更され、周方向の速度ベクトルが発生しやすい。また、開口縁部62と開口縁部63との結合部65が曲線形状に形成されているため、羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルが発生する。このような構成により、ポンプ効率が向上する。なお、開口縁部61と開口縁部63及び64との結合部67及び68を曲線形状に形成することによっても流体抵抗を低減することができ、ポンプ効率が向上する。
一方、燃料の温度が高くなるとベーパ(気泡)が発生する。このベーパが入口穴19から流路36内に流入して羽根溝内に入り込むとポンプ効率が低下するため、従来の電動式燃料ポンプでは、ポンプカバー5あるいはポンプボデー18の一方の流路溝35等に羽根溝内のベーパを排出するためのベーパ排出口37が設けられている。しかしながら、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側の羽根溝内のベーパは速やかにベーパ排出口37に排出されない。羽根溝内のベーパの排出能力を向上させ、もってポンプ効率を向上させた第5の実施の形態を図13〜図15に示す。なお、図13は羽根及び羽根溝部分を示すための部分断面図であり、図14は図13のXIV−XIV線断面図(半径方向断面図)であり、図15は図13のXV−XV線断面図(周方向断面図)である。インペラ71の両面の外周に周方向に沿って設けられた羽根溝72は、半径方向断面でみると図14に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図15に示すように羽根溝72と羽根73の回転方向後側の端面74との結合部75が曲線形状、例えば円形形状に形成され、さらに回転方向前側から結合部75に向けて曲線形状、例えば円形形状に形成されている。羽根溝72内の旋回渦流は回転方向後側で発生するため、羽根溝72内の回転方向前側の圧力が低下する。したがって、羽根溝72内のベーパは回転方向前側に集まる。そこで、羽根溝72内の回転方向前側に、インペラ71の両面に設けられている羽根溝72を連通する連通穴76を形成する。羽根溝72を連通する連通穴76を形成したインペラの平面図を図16に示し、羽根及び羽根溝を示す部分拡大図を図17に示す。連通穴76の周方向の幅Wは適宜設定することができるが、羽根溝72の周方向の幅Bの2/3以下とするのが好ましい。また、連通穴76の半径方向の長さLは適宜設定することができる。なお、羽根溝72の形状は、図7〜図11に示した形状を含め種々変更可能である。
羽根溝72を連通する連通穴76を羽根溝内の回転方向前側に設けることにより、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側に形成されている羽根溝72内のベーパは、連通穴76を介してベーパ排出口37が設けられている側に形成されている羽根溝72内に導かれ、さらにベーパ排出口37から排出される。したがって、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側の羽根溝内のベーパの排出能力が向上し、ポンプ効率が向上する。
ところで、図1に示すように、入口穴19はポンプボデー18側に設けられ、出口穴20はポンプカバー5側に設けられることが多い。このため、出口穴20が設けられている側と反対側、図1ではポンプボデー18側に形成されている羽根溝内の燃料が出口穴20側に抜けにくい。そこで、羽根溝内の燃料の排出能力を向上させることによりポンプ効率を向上させた第6の実施の形態を図18〜図20に示す。なお、図18は周方向断面図、図19はインペラの平面図、図20は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、インペラ100の両面に設けられる羽根溝101を連通する連通穴102を羽根溝101の回転方向後側に設けている。連通穴102の周方向の幅W、半径方向の長さLは適宜設定することができる。連通穴102の周方向の幅Wは、羽根溝の周方向の幅Bに対して3/4・B以下となるように設定するのが好ましい。
羽根溝101内の旋回渦流は回転方向後側で発生するため、羽根溝101内の回転方向後ろ側の圧力が高くなる。このため、羽根溝101が出口穴20の位置に達した時、図18の矢印Jに示すように、出口穴20が設けられている側と反対側に形成されている羽根溝101内の燃料が連通穴101を介して出口穴20に抜けやすくい。これにより、ポンプ効率が向上する。
連通穴の半径方向の長さを変えた第7の実施の形態を図21、図22に示す。なお、図21はインペラの平面図、図22は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、連通穴112を羽根溝111を半径方向に跨るように形成している。
また、羽根溝の開口部の開口縁部間の結合部を湾曲形状や曲線形状に形成することによってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部を湾曲形状あるいは曲線形状に形成した第8の実施の形態を図23、図24に示す。なお、図23はインペラの平面図、図24は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、羽根溝の開口部の回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部125を回転方向に対して湾曲形状、例えば半径Rの円形形状に形成している。なお、半径Rは、インペラの板厚をSとした場合、2/3・S〜1/4・Sの範囲に設定するのが好ましい。また、本実施の形態では、羽根溝の開口部の回転方向前側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部126も回転方向に対して湾曲形状、例えば半径rの円形形状に形成している。他の結合部については、図11のような形状に形成する。なお、回転方向に対して湾曲形状に形成する結合部はいずれか1方のみでもよいし、また湾曲形状は楕円形状等の曲線形状でもよい。このように羽根溝部の開口縁部の結合部を湾曲形状に形成することにより、流体抵抗を低く抑えることができるため、旋回渦流の周方向の速度を増加させることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
また、羽根溝の開口部を、半径方向外側が半径方向内側よりも回転方向前側となるように、半径方向に対して傾斜させることによってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部を半径方向に対して傾斜させた第9の実施の形態を図24に示す。本実施の形態は、図24に2点鎖線で示すように、半径方向の直線Pに対して回転方向前側に所定角度θだけ回転させて形成する。なお、開口部の傾斜方法や傾斜角度θは適宜設定することができる。この場合にも、流体抵抗を低く抑えることができ、ポンプ効率を向上させることができる。
以上は、連通穴をインペラの両面の羽根溝に対して同じ位置に設けたが、羽根溝に対する連通穴の配設位置をインペラの両面の羽根溝に対して異ならせる、すなわちインペラの両面の羽根溝に対する位置をずらせて配設することによっても、ポンプ効率を向上させることができる。この第10の実施の形態を図25〜図27に示す。ここで、図25はインペラ130の入口穴側(入口側に面する)の平面図であり、図26はインペラの出口穴側(出口側に面する)の平面図であり、図27はインペラの周方向の断面図である。本実施の形態では、入口穴側の羽根溝131には回転方向後側に、出口穴側の羽根溝133には回転方向前側に連通穴が配設されるように、出口穴側の羽根溝133を入口穴側の羽根溝131に対して回転方向後側にずらせて形成している。このように出口穴側の羽根溝133を入口穴側の羽根溝131に対して回転方向後側にずらせて形成することにより、入口穴側の羽根溝131がポンプボデーによって仕切られた時に入口穴側の羽根溝131内の燃料が連通穴132、出口穴側の羽根溝133を介して出口穴に排出される。これにより、出口穴が設けられている側と反対側の羽根溝131内の燃料が出口穴に抜けやすくなり、ポンプ効率が向上する。さらに、羽根の位置がインペラの両面でずれているため、羽根の仕切りで発生する衝撃が分散され、高周波の衝撃音が低減する。
入口側の羽根溝と出口側の羽根溝とのずれ量は適宜変更することができる。連通穴が入口穴側の羽根溝の中央に設けられるように入口穴側の羽根溝と出口穴側の羽根溝のずれ量を設定した第11の実施の形態を図28〜図30に示す。本実施の形態においても入口穴側の羽根溝141から連通穴142、出口穴側の羽根溝143を介して出口穴に抜けやすいため、ポンプ効率が向上する。
羽根溝の形状、大きさ、連通穴の配置位置等を変えた場合のポンプ効率の変化状態を図31〜図37に示す。なお、ポンプ効率は、ポンプ効率=g×(P×Q)/(T×N)により求める。ここで、gは重力加速度、Tはモータのトルク、Nはモータの回転数、Pは燃料の圧力、Qは燃料の流量である。また、図31〜図37に示す測定値は、インペラ外周径Eが33mm、インペラ外径Tが31mm、インペラ板厚Sが3.8mm、羽根枚数が43枚のインペラについて測定したものである。インペラ外周径E、インペラ外径T、インペラ板厚Sは図36を参照。
羽根溝の開口部の形状及び連通穴の配置位置とポンプ効率との関係を図31に示す。ここで、「ストレート」は、例えば羽根溝の開口部の形状を図17に示すような形状に形成し、連通穴を羽根溝の回転方向前側に設けるとともに、連通穴の半径方向の長さを羽根溝の半径方向の長さより短くしたものである。「ストレート、穴拡大」は、羽根溝の開口部の形状はストレートと同じであるが、連通穴を羽根溝の半径方向に跨って設けたものである。「湾曲」は、図24に示すように、羽根溝の開口部121の回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部125及び回転方向前側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部126が回転方向に対して湾曲して形成され、連通穴は回転方向前側に羽根溝の半径方向に跨って設けたものである。「羽根傾斜+連通穴後方」は、図24に示すように、羽根溝の開口部123を半径方向に対して傾斜させて形成するとともに、連通穴を羽根溝の回転方向後側に設けたものである。「湾曲+連通穴後方」は、羽根溝の開口部を湾曲形状に形成するとともに、連通穴を羽根溝の回転方向後側に設けたものである。図31に示されているように、羽根溝の開口部の形状、連通穴の配置等によってポンプ効率は異なっているが、従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率(約25%)よりはポンプ効率が向上している。
連通穴幅/羽根溝幅とポンプ効率との関係を図32に示す。ここで、羽根溝は羽根溝の周方向の長さBであり、連通穴幅は連通穴の中央部の周方向の長さWである。連通穴幅/羽根溝幅の比を0.2〜0.9の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプ効率より向上するが、0.3〜0.6の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝面積/羽根面積とポンプ効率との関係を図33に示す。ここで、羽根溝面積は羽根溝の開口部の面積Xであり、羽根面積は羽根溝間に設けられる羽根の面積Yである。なお、図33に示す測定値は、羽根面積Yを1.36mm一定とし、羽根溝面積を変えた場合のものである。羽根溝面積/羽根面積の比を2.0〜4.5の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、2.2〜4.2の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝面積とポンプ効率との関係を図34に示す。羽根溝面積を3.2〜6.3mm2に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、3.5〜6mm2の範囲に設定するのが好ましい。
インペラ外径/羽根枚数とポンプ効率との関係を図35に示す。ここで、インペラ外径Tは羽根溝の半径方向外側の周方向の開口縁部間の半径方向の距離であり(外周壁の幅tは含まない)、羽根枚数はインペラに設けた羽根の枚数である。なお、インペラ外周径Eは、E=T+2tである。なお、図35に示す測定値は、インペラ外径Tを30mm一定とし、羽根枚数を変えた場合のものである。インペラ外径/羽根枚数の比を0.5〜0.9の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、0.55〜0.85の範囲に設定するのが好ましい。
溝深さ比とポンプ効率との関係を図36に示す。ここで、溝深さ比は、流路溝の最も深い所の深さMと羽根溝の最も深い所の深さNとの比M/Nである。溝深さ比を0.36〜0.76の範囲に設定すればポンプ効率を従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上させることができるが、0.4〜0.75の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝の溝楕円比とポンプ効率との関係を図37に示す。ここで、溝楕円比は、流路溝の最も深い所の深さMと羽根溝の最も深いところの深さNとの和と羽根溝の半径方向の長さKとの比(M+N)/Kである。羽根溝の楕円比を0.75〜1.1の範囲に設定すればポンプ効率を従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上させることができるが、0.8〜0.97の範囲に設定するのが好ましい。
以上の実施の形態では、羽根溝の開口部の形状(湾曲、傾き等)の変更、連通穴の配置、連通穴の配置位置や大きさの変更それぞれによってポンプ効率を向上させることができることを説明したが、勿論それらを組み合わせて用いることもできる。
本発明は、電動式燃料ポンプのインペラに関する。
[背景技術]
燃料タンク内に設けられるインタンク式の電動式燃料ポンプを図1に示す。
図1に示す電動式燃料ポンプは、円筒状に形成されたハウジング3に組み込まれたモータ部1及びポンプ部2により構成されている。ハウジング3の上端部及び下端部にはモータカバー4及びポンプカバー5が取り付けられている。
軸8の上端部及び下端部をモータカバー4及びポンプカバー5にそれぞれ軸受9及び10を介して支持することによって、アーマチュア7がモータ室6内に回転可能に配置されている。アーマチュア7には、コイルと接続され、銅や銀を主成分とする複数のコンミュテータセグメント12が互いに絶縁されて配設されている。ハウジング3の内壁面には、マグネット11が配設されている。モータカバー4には、アーマチュア7のコンミュテータセグメント12と摺接するブラシ13及びブラシ13を付勢するスプリング14が組み込まれている。ブラシ13は、チョークコイル15を介して外部接続端子と接続されている。
モータカバー4に設けた吐出口16は、チェックバルブ17が組み込まれており、燃料供給パイプが接続される。
ポンプカバー5の下側には、ポンプボデー18がハウジング3の下端部にかしめつけによって取り付けられている。ポンプボデー18には燃料の入口穴19が設けられ、ポンプカバー5には燃料の出口穴20が設けられている。この入口穴19と出口穴20は、ポンプボデー18とポンプカバー5により形成されるポンプ室の円周方向に距離を隔てた位置に設けられている。ポンプボデー18とポンプカバー5により形成されるポンプ室には、多数の羽根溝22が円周方向に上下に形成された円板状のインペラ21が配設されている。このインペラ21は、樹脂等により形成され、アーマチュア7の軸8に嵌合によって連結されている。
このような構成の電動式燃料ポンプは、モータ部1に通電してアーマチュア軸8を回転させると、インペラ21が回転駆動される。これにより、燃料タンク内の燃料は、入口穴19より汲み上げられ、出口穴20からモータ室6に入り、吐出口16から燃料供給パイプに吐出される。
従来、特開平7−54726号公報に記載されているようなインペラが知られている。この従来のインペラを図2〜図4に示す。なお、図2はインペラの斜視図、図3は図2のIII部の拡大図、図4は図3のIV−IV線断面図(半径方向断面図)、図5は図3のV−V線断面図(周方向断面図)である。インペラ21の両面の外周部には円周方向に沿って羽根23が設けられており、この羽根23の間には羽根溝22が形成されている。ポンプカバー5とポンプボデー18には、インペラ21の羽根溝22に対応する部位にそれぞれ流路溝35が形成されており、この流路溝35によって入口穴19より出口穴20に至る流路36が形成されている。羽根溝22は、半径方向断面でみると、図4に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図5に示すようにインペラの面と平行な直線形状に形成され、かつ回転方向前側の羽根23の端面24及び回転方向後側の羽根23の端面25との結合部26がピン角、すなわち角形状に形成されている。羽根溝22の開口部は、図3に示すように回転方向後側の半径方向の開口縁部28が直線形状に形成されているとともに、この開口縁部28と周方向の開口縁部29及び30との結合部31及び32がピン角に形成されている。
このような従来のインペラ21では、燃料が入口穴19から出口穴に流れる際に、図4の矢印で示すようにインペラ21の羽根溝22に沿って半径方向外方へ流れて流路36の半径方向壁面に突き当たり、流路溝35に沿って半径方向内方に流れて再び羽根溝22に沿って半径方向外方に流れる循環旋回渦流が発生する。この旋回渦流の周方向の速度はインペラ21の周速度より遅いため、流路溝36に沿って半径方向内方に流れた燃料は、回転方向後側の羽根溝22に流入する。この時、円周方向でみると羽根溝22と羽根23の端面24、25との結合部がピン角に形成されているため、このピン角の結合部26での流体抵抗によって旋回渦流の周方向の速度が減速され、ポンプ効率が良くなかった。
また、特開平6−299983号公報に記載されているように羽根を回転方向に傾斜させたインペラや、特開平7−189973号公報に記載されているように羽根に面取りを設けたインペラ等が提案されている。
しかしながら、羽根を回転方向に傾斜させたインペラや羽根に面取りを設けたインペラは、インペラの形状が複雑になるためインペラを形成する樹脂材料が限定されてしまう。特に、熱硬化性樹脂で成形するのが困難となる。熱硬化性樹脂は強度及び対ガソリン防潤性等が熱可塑性樹脂等に比べて高いため、熱可塑性樹脂等の熱硬化性樹脂以外の樹脂でインペラを形成した場合、信頼性に問題がある。また、図3に示す羽根溝22の開口部の回転方向後側の半径方向の開口縁部28が直線形状に形成され、この開口縁部28と半径方向外側の周方向の開口縁部29及び半径方向内側の周方向の開口縁部30との結合部31及び32がピン角に形成されているため、羽根溝22から流れ出る旋回渦流の周方向の速度が減速され、羽根溝22内への燃料の流入がスムーズでない。このため、ポンプ効率が良くない。また、ポンプカバー5あるいはポンプボデー18の一方の流路溝35に羽根溝22内のベーパ(気泡)を排出するためのベーパ排出口37が配設されているが、ベーパ排出口37が配設されている側と反対側の羽根溝22内のベーパはベーパ排出口37から速やかに排出することができない。このため、ポンプ効率が良くない。また、出口穴20はインペラ21の上下両面の一方側(図1では上面側)に配設されるため、出口穴20が配設されている側と反対側の羽根溝22内の燃料は出口穴21側へ流れ難い。このため、ポンプ効率が良くない。
本発明の目的は、簡単な形状あるいは構造でポンプ効率を向上させることができる電動式燃料ポンプのインペラを提供することである。
[発明の開示]
本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝とを備える電動式燃料ポンプのインペラであって、前記羽根溝は、半径方向断面でみると曲線形状に形成され、周方向断面でみると前記羽根溝と回転方向後側の羽根の端面との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記結合部の曲線形状が円形形状である電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝は周方向断面でみると回転方向前側から前記結合部に向けて傾斜して形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向内側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、羽根溝の開口部は、半径方向外側が半径方向内側よりも回転方向前側となるように、半径方向に対して傾斜して形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
以上の構成を備えることにより、羽根溝の流体抵抗を低減することができるため、燃料がスムーズに流入し、また羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルをもたせることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の半径方向に跨って形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向前側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向後側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラである。
また、本発明は、周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が形成され、また、出口側に面する羽根溝を入口側に面する羽根溝に対して回転方向後側にずらせて形成した電動式燃料ポンプのインペラである。
以上の構成を備えることにより、羽根溝内のベーパの排出能力を向上させることができ、あるいは羽根溝内の燃料の排出能力を向上させることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
さらに、簡単な構造であるため、熱硬化性樹脂等でも形成することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、電動式燃料ポンプの概略図である。
図2は、従来のインペラの斜視図である。
図3は、図2のIII部の拡大図である。
図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図5は、図3のV−V線断面図である。
図6は、第1の実施の形態のインペラの部分断面図である。
図7は、図6のVII−VII線断面図である。
図8は、図6のVIII−VIII線断面図である。
図9は、第2の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図10は、第3の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図11は、第4の実施の形態のインペラの開口部を示す図である。
図12は、従来のインペラの開口部を示す図である。
図13は、第5の実施の形態のインペラの部分断面図である。
図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
図15は、図13のXV−XV線断面図である。
図16は、第5の実施の形態のインペラの平面図である。
図17は、第5の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図18は、第6の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図19は、第6の実施の形態のインペラの平面図である。
図20は、第6の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図21は、第7の実施の形態のインペラの平面図である。
図22は、第7の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図23は、第8の実施の形態のインペラの平面図である。
図24は、第8及び第9の実施の形態のインペラの部分拡大図である。
図25は、第10の実施の形態のインペラの入口穴側の平面図である。
図26は、第10の実施の形態のインペラの出口穴側の平面図である。
図27は、第10の実施の形態の周方向断面図である。
図28は、第11の実施の形態のインペラの入口穴側の平面図である。
図29は、第11の実施の形態のインペラの出口穴側の平面図である。
図30は、第11の実施の形態のインペラの周方向断面図である。
図31は、羽根溝の開口部の形状及び連通穴の配置位置とポンプ効率との関係を示す図である。
図32は、連通穴幅/羽根溝幅とポンプ効率との関係を示す図である。
図33は、羽根溝面積/羽根面積とポンプ効率との関係を示す図である。
図34は、羽根溝面積とポンプ効率との関係を示す図である。
図35は、インペラ外径/羽根枚数とポンプ効率との関係を示す図である。
図36は、溝深さ比とポンプ効率との関係を示す図である。
図37は、羽根溝の楕円比とポンプ効率との関係を示す図である。
[発明を実施するための最良の形態]
まず、本発明のインペラの第1の実施の形態を図6〜図8に示す。なお、図6は羽根及び羽根溝部分を示すための部分断面図であり、図7は図6のVII−VII線断面図(半径方向断面図)であり、図8は図6のVIII−VIII線断面図(周方向断面図)である。
インペラ41の両面の外周には周方向に沿って羽根43が設けられており、羽根43の間には羽根溝42が形成されている。羽根溝42は、半径方向断面でみると、図7に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図8に示すように羽根溝42と回転方向後側の羽根43の端面44との結合部45が曲線形状、例えば円形形状や楕円形状に形成され、さらに回転方向前側から結合部45に向けて曲線形状、例えば円形形状に傾斜して形成されている。
周方向断面でみて羽根溝42と羽根43の端面44との結合部45を曲線形状に形成することにより、周方向の流体抵抗を低く抑えることができ、回転方向前側の羽根溝から流入した旋回渦流の周方向の速度を増加させることができる。
また、従来のインペラでは、図5に示すように羽根溝22と回転方向前側の羽根23の端面24との結合部の部分Gによどみが発生して効率が良くなかった。本実施の形態では、羽根溝42を、周方向断面でみると回転方向前側から結合部45に向けて曲線形状に傾斜して形成することにより、回転方向前側と結合部間の流体抵抗を低く抑えることができ、よどみが発生するのを防止することができる。これらにより、ポンプ効率が向上する。また、羽根溝42の構造が簡単であるため、インペラを熱硬化性樹脂で成形することができ、信頼性が向上する。
なお、羽根溝の形状は、羽根溝を周方向断面でみて少なくとも回転方向後側の羽根の端面との結合部が曲線形状に形成されていればよい。
羽根溝の周方向の断面形状を変更した第2の実施の形態を図9に示す。図9に示す羽根溝54は、周方向断面でみると回転方向前側から回転方向後側に向けて直線形状に傾斜して形成され、回転方向後側の羽根51の端面53との結合部55及び回転方向前側の羽根51の端面52との結合部56が曲線形状、例えば円形形状に形成されている。なお、回転方向前側の羽根51の端面52を省略することもできる。この実施の形態は、図8に示した実施の形態と同様に、周方向の流体抵抗を低く抑えることができ、また回転方向前側と結合部55間の流体抵抗を低く抑えることができる。
また、羽根溝の周方向の断面形状を変更した第3の実施の形態を図10に示す。図10に示す羽根溝57は、周方向断面でみてインペラの面とほぼ平行な直線形状に形成され、回転方向後側の羽根の端面との結合部58及び回転方向前側の羽根の端面との結合部59が曲線形状、例えば円形形状に形成されている。この実施の形態は、図8に示した実施の形態と同様に、周方向の流体抵抗を低く抑えることができる。
以上は羽根溝の周方向の断面形状の変更によってポンプ効率を向上させる場合を説明したが、羽根溝の開口部の形状の変更によってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部の形状を変更した第4の実施の形態を図11に示す。図11において、羽根溝の開口部は、回転方向前側の半径方向の開口縁部61、回転方向後側の半径方向の開口縁部62、半径方向外側の周方向の開口縁部63、半径方向内側の周方向の開口縁部64により形成されている。そして開口縁部62と開口縁部63との結合部65、開口縁部62と開口縁部64との結合部66、開口縁部62を曲線形状、例えば円形形状に形成する。
従来のインペラでは、図12に示すように羽根溝の開口部が回転方向後側の半径方向の開口縁部202と半径方向内側の周方向の開口縁部204との結合部206が角形状に形成されているため、旋回渦流に対して矢印H方向に逆流が発生し、ポンプ効率が良くない。また、回転方向後側の半径方向の開口縁部202と半径方向外側の周方向の開口縁部203との結合部が角形状に形成されているため、羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルが発生しにくく、ポンプ効率が良くない。本実施の形態では、開口縁部62と開口縁部64との結合部66が曲線形状に形成されているため、燃料が羽根溝内にスムーズに流入し、逆流の発生を防止することができる。また、開口縁部62が曲線形状に形成されているため、旋回渦流の向きがスムーズに変更され、周方向の速度ベクトルが発生しやすい。また、開口縁部62と開口縁部63との結合部65が曲線形状に形成されているため、羽根溝内から流れ出る旋回渦流に周方向の速度ベクトルが発生する。このような構成により、ポンプ効率が向上する。なお、開口縁部61と開口縁部63及び64との結合部67及び68を曲線形状に形成することによっても流体抵抗を低減することができ、ポンプ効率が向上する。
一方、燃料の温度が高くなるとベーパ(気泡)が発生する。このベーパが入口穴19から流路36内に流入して羽根溝内に入り込むとポンプ効率が低下するため、従来の電動式燃料ポンプでは、ポンプカバー5あるいはポンプボデー18の一方の流路溝35等に羽根溝内のベーパを排出するためのベーパ排出口37が設けられている。しかしながら、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側の羽根溝内のベーパは速やかにベーパ排出口37に排出されない。羽根溝内のベーパの排出能力を向上させ、もってポンプ効率を向上させた第5の実施の形態を図13〜図15に示す。なお、図13は羽根及び羽根溝部分を示すための部分断面図であり、図14は図13のXIV−XIV線断面図(半径方向断面図)であり、図15は図13のXV−XV線断面図(周方向断面図)である。インペラ71の両面の外周に周方向に沿って設けられた羽根溝72は、半径方向断面でみると図14に示すように曲線形状に形成されている。また、周方向断面でみると、図15に示すように羽根溝72と羽根73の回転方向後側の端面74との結合部75が曲線形状、例えば円形形状に形成され、さらに回転方向前側から結合部75に向けて曲線形状、例えば円形形状に形成されている。羽根溝72内の旋回渦流は回転方向後側で発生するため、羽根溝72内の回転方向前側の圧力が低下する。したがって、羽根溝72内のベーパは回転方向前側に集まる。そこで、羽根溝72内の回転方向前側に、インペラ71の両面に設けられている羽根溝72を連通する連通穴76を形成する。羽根溝72を連通する連通穴76を形成したインペラの平面図を図16に示し、羽根及び羽根溝を示す部分拡大図を図17に示す。連通穴76の周方向の幅Wは適宜設定することができるが、羽根溝72の周方向の幅Bの2/3以下とするのが好ましい。また、連通穴76の半径方向の長さLは適宜設定することができる。なお、羽根溝72の形状は、図7〜図11に示した形状を含め種々変更可能である。
羽根溝72を連通する連通穴76を羽根溝内の回転方向前側に設けることにより、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側に形成されている羽根溝72内のベーパは、連通穴76を介してベーパ排出口37が設けられている側に形成されている羽根溝72内に導かれ、さらにベーパ排出口37から排出される。したがって、ベーパ排出口37が設けられている側と反対側の羽根溝内のベーパの排出能力が向上し、ポンプ効率が向上する。
ところで、図1に示すように、入口穴19はポンプボデー18側に設けられ、出口穴20はポンプカバー5側に設けられることが多い。このため、出口穴20が設けられている側と反対側、図1ではポンプボデー18側に形成されている羽根溝内の燃料が出口穴20側に抜けにくい。そこで、羽根溝内の燃料の排出能力を向上させることによりポンプ効率を向上させた第6の実施の形態を図18〜図20に示す。なお、図18は周方向断面図、図19はインペラの平面図、図20は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、インペラ100の両面に設けられる羽根溝101を連通する連通穴102を羽根溝101の回転方向後側に設けている。連通穴102の周方向の幅W、半径方向の長さLは適宜設定することができる。連通穴102の周方向の幅Wは、羽根溝の周方向の幅Bに対して3/4・B以下となるように設定するのが好ましい。
羽根溝101内の旋回渦流は回転方向後側で発生するため、羽根溝101内の回転方向後ろ側の圧力が高くなる。このため、羽根溝101が出口穴20の位置に達した時、図18の矢印Jに示すように、出口穴20が設けられている側と反対側に形成されている羽根溝101内の燃料が連通穴101を介して出口穴20に抜けやすくい。これにより、ポンプ効率が向上する。
連通穴の半径方向の長さを変えた第7の実施の形態を図21、図22に示す。なお、図21はインペラの平面図、図22は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、連通穴112を羽根溝111を半径方向に跨るように形成している。
また、羽根溝の開口部の開口縁部間の結合部を湾曲形状や曲線形状に形成することによってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部を湾曲形状あるいは曲線形状に形成した第8の実施の形態を図23、図24に示す。なお、図23はインペラの平面図、図24は羽根及び羽根溝を示す部分拡大図である。本実施の形態では、羽根溝の開口部の回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部125を回転方向に対して湾曲形状、例えば半径Rの円形形状に形成している。なお、半径Rは、インペラの板厚をSとした場合、2/3・S〜1/4・Sの範囲に設定するのが好ましい。また、本実施の形態では、羽根溝の開口部の回転方向前側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部126も回転方向に対して湾曲形状、例えば半径rの円形形状に形成している。他の結合部については、図11のような形状に形成する。なお、回転方向に対して湾曲形状に形成する結合部はいずれか1方のみでもよいし、また湾曲形状は楕円形状等の曲線形状でもよい。このように羽根溝部の開口縁部の結合部を湾曲形状に形成することにより、流体抵抗を低く抑えることができるため、旋回渦流の周方向の速度を増加させることができる。これにより、ポンプ効率を向上させることができる。
また、羽根溝の開口部を、半径方向外側が半径方向内側よりも回転方向前側となるように、半径方向に対して傾斜させることによってもポンプ効率を向上させることができる。羽根溝の開口部を半径方向に対して傾斜させた第9の実施の形態を図24に示す。本実施の形態は、図24に2点鎖線で示すように、半径方向の直線Pに対して回転方向前側に所定角度θだけ回転させて形成する。なお、開口部の傾斜方法や傾斜角度θは適宜設定することができる。この場合にも、流体抵抗を低く抑えることができ、ポンプ効率を向上させることができる。
以上は、連通穴をインペラの両面の羽根溝に対して同じ位置に設けたが、羽根溝に対する連通穴の配設位置をインペラの両面の羽根溝に対して異ならせる、すなわちインペラの両面の羽根溝に対する位置をずらせて配設することによっても、ポンプ効率を向上させることができる。この第10の実施の形態を図25〜図27に示す。ここで、図25はインペラ130の入口穴側(入口側に面する)の平面図であり、図26はインペラの出口穴側(出口側に面する)の平面図であり、図27はインペラの周方向の断面図である。本実施の形態では、入口穴側の羽根溝131には回転方向後側に、出口穴側の羽根溝133には回転方向前側に連通穴が配設されるように、出口穴側の羽根溝133を入口穴側の羽根溝131に対して回転方向後側にずらせて形成している。このように出口穴側の羽根溝133を入口穴側の羽根溝131に対して回転方向後側にずらせて形成することにより、入口穴側の羽根溝131がポンプボデーによって仕切られた時に入口穴側の羽根溝131内の燃料が連通穴132、出口穴側の羽根溝133を介して出口穴に排出される。これにより、出口穴が設けられている側と反対側の羽根溝131内の燃料が出口穴に抜けやすくなり、ポンプ効率が向上する。さらに、羽根の位置がインペラの両面でずれているため、羽根の仕切りで発生する衝撃が分散され、高周波の衝撃音が低減する。
入口側の羽根溝と出口側の羽根溝とのずれ量は適宜変更することができる。連通穴が入口穴側の羽根溝の中央に設けられるように入口穴側の羽根溝と出口穴側の羽根溝のずれ量を設定した第11の実施の形態を図28〜図30に示す。本実施の形態においても入口穴側の羽根溝141から連通穴142、出口穴側の羽根溝143を介して出口穴に抜けやすいため、ポンプ効率が向上する。
羽根溝の形状、大きさ、連通穴の配置位置等を変えた場合のポンプ効率の変化状態を図31〜図37に示す。なお、ポンプ効率は、ポンプ効率=g×(P×Q)/(T×N)により求める。ここで、gは重力加速度、Tはモータのトルク、Nはモータの回転数、Pは燃料の圧力、Qは燃料の流量である。また、図31〜図37に示す測定値は、インペラ外周径Eが33mm、インペラ外径Tが31mm、インペラ板厚Sが3.8mm、羽根枚数が43枚のインペラについて測定したものである。インペラ外周径E、インペラ外径T、インペラ板厚Sは図36を参照。
羽根溝の開口部の形状及び連通穴の配置位置とポンプ効率との関係を図31に示す。ここで、「ストレート」は、例えば羽根溝の開口部の形状を図17に示すような形状に形成し、連通穴を羽根溝の回転方向前側に設けるとともに、連通穴の半径方向の長さを羽根溝の半径方向の長さより短くしたものである。「ストレート、穴拡大」は、羽根溝の開口部の形状はストレートと同じであるが、連通穴を羽根溝の半径方向に跨って設けたものである。「湾曲」は、図24に示すように、羽根溝の開口部121の回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部125及び回転方向前側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部126が回転方向に対して湾曲して形成され、連通穴は回転方向前側に羽根溝の半径方向に跨って設けたものである。「羽根傾斜+連通穴後方」は、図24に示すように、羽根溝の開口部123を半径方向に対して傾斜させて形成するとともに、連通穴を羽根溝の回転方向後側に設けたものである。「湾曲+連通穴後方」は、羽根溝の開口部を湾曲形状に形成するとともに、連通穴を羽根溝の回転方向後側に設けたものである。図31に示されているように、羽根溝の開口部の形状、連通穴の配置等によってポンプ効率は異なっているが、従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率(約25%)よりはポンプ効率が向上している。
連通穴幅/羽根溝幅とポンプ効率との関係を図32に示す。ここで、羽根溝は羽根溝の周方向の長さBであり、連通穴幅は連通穴の中央部の周方向の長さWである。連通穴幅/羽根溝幅の比を0.2〜0.9の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプ効率より向上するが、0.3〜0.6の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝面積/羽根面積とポンプ効率との関係を図33に示す。ここで、羽根溝面積は羽根溝の開口部の面積Xであり、羽根面積は羽根溝間に設けられる羽根の面積Yである。なお、図33に示す測定値は、羽根面積Yを1.36mm一定とし、羽根溝面積を変えた場合のものである。羽根溝面積/羽根面積の比を2.0〜4.5の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、2.2〜4.2の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝面積とポンプ効率との関係を図34に示す。羽根溝面積を3.2〜6.3mm2に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、3.5〜6mm2の範囲に設定するのが好ましい。
インペラ外径/羽根枚数とポンプ効率との関係を図35に示す。ここで、インペラ外径Tは羽根溝の半径方向外側の周方向の開口縁部間の半径方向の距離であり(外周壁の幅tは含まない)、羽根枚数はインペラに設けた羽根の枚数である。なお、インペラ外周径Eは、E=T+2tである。なお、図35に示す測定値は、インペラ外径Tを30mm一定とし、羽根枚数を変えた場合のものである。インペラ外径/羽根枚数の比を0.5〜0.9の範囲に設定すればポンプ効率は従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上するが、0.55〜0.85の範囲に設定するのが好ましい。
溝深さ比とポンプ効率との関係を図36に示す。ここで、溝深さ比は、流路溝の最も深い所の深さMと羽根溝の最も深い所の深さNとの比M/Nである。溝深さ比を0.36〜0.76の範囲に設定すればポンプ効率を従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上させることができるが、0.4〜0.75の範囲に設定するのが好ましい。
羽根溝の溝楕円比とポンプ効率との関係を図37に示す。ここで、溝楕円比は、流路溝の最も深い所の深さMと羽根溝の最も深いところの深さNとの和と羽根溝の半径方向の長さKとの比(M+N)/Kである。羽根溝の楕円比を0.75〜1.1の範囲に設定すればポンプ効率を従来の電動式燃料ポンプのポンプ効率より向上させることができるが、0.8〜0.97の範囲に設定するのが好ましい。
以上の実施の形態では、羽根溝の開口部の形状(湾曲、傾き等)の変更、連通穴の配置、連通穴の配置位置や大きさの変更それぞれによってポンプ効率を向上させることができることを説明したが、勿論それらを組み合わせて用いることもできる。
Claims (11)
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を備える電動式燃料ポンプのインペラであって、前記羽根溝は、半径方向断面でみると曲線形状に形成され、周方向断面でみると前記羽根溝と回転方向後側の羽根の端面との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 前記結合部の曲線形状が円形形状である請求項1に記載の電動式燃料ポンプのインペラ。
- 前記羽根溝は周方向断面でみると回転方向前側から前記結合部に向けて傾斜して形成されている請求項1に記載の電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を備える電動式燃料ポンプのインペラであって、前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向外側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部が曲線形状に形成されている請求項4に記載の電動式燃料ポンプのインペラ。
- 前記羽根溝の開口部は回転方向後側の半径方向の開口縁部と半径方向内側の周方向の開口縁部との結合部が曲線形状に形成されている請求項4に記載の電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を備える電動式燃料ポンプのインペラであって、前記羽根溝の開口部は、半径方向外側が半径方向内側よりも回転方向前側となるように、半径方向に対して傾斜して形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の半径方向に跨って形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向前側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が前記羽根溝の回転方向後側に形成されている電動式燃料ポンプのインペラ。
- 周方向に沿って設けられた羽根と羽根溝を両面に備える電動式燃料ポンプのインペラであって、両面の羽根溝間を連通する連通穴が形成され、また、出口側に面する羽根溝を入口側に面する羽根溝に対して回転方向後側にずらせて形成した電動式燃料ポンプのインペラ。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21354097 | 1997-08-07 | ||
JP1997213540 | 1997-08-07 | ||
PCT/JP1998/002657 WO1999007990A1 (fr) | 1997-08-07 | 1998-06-15 | Roue a aubes de pompe a carburant actionnee par moteur |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3744942B2 JP3744942B2 (ja) | 2006-02-15 |
JP3744942B6 true JP3744942B6 (ja) | 2006-04-19 |
Family
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