JP3744921B2 - 光素子集積モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、合波器、分波器等の光受動素子、及び光変調器等の光能動素子を集積することによって形成される、光素子集積モジュールであって、特に光時分割多重通信における光パルス信号を多重化するモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
光時分割多重通信(OTDM: Optical time division multiplex)とは、並列に光パルス信号(光パルス列を光変調して電気パルス信号を光パルス信号に変換したもの)を生成(以後「コーディング」ともいう。)し、それを時間軸上で多重化して(光MUX)送信し、受信側で送信側とは逆操作であるゲート信号によって光信号を分離(以後「ゲーティング)ともいう。)することにより元の並列光パルス信号に戻す(光DEMUX)方式を採る通信である。
【0003】
以後、光パルス信号との表現は、光パルス列を光変調して電気パルス信号を光パルス信号に変換して得られる、2値デジタル電気信号を反映した光パルス列を意味する場合のみに使用するものとする。一方、光パルス列との表現は、規則正しい一定の間隔(ビットレートに相当する周波数の逆数に相当する時間間隔)で光パルスが並ぶ光パルス列を差すものとして用いる他、特に混乱が生じない範囲で、上述の光パルス信号の意味にも用いることもある。
【0004】
光ファイバ通信において、OTDMは、市場において要求されるコーディングやゲーティングに関する処理速度が、電子回路によるこれらの処理速度の限界を超えていることから、この市場が要求する処理速度で動作する光通信装置を、できるだけ低コストで実現する技術として期待されている。
【0005】
光ファイバ通信において、光ファイバ通信網等の光通信資源を有効に利用できるようにするためには、通信速度をできるだけ高めることが必要である。ここで、通信速度とは、単位時間当り何ビットの情報を送受信できるかを示す速度であり、ビットレートとも言われる。また単位時間当り何ビットの情報を送受信できるかを示す速度を周波数で表現する場合、この周波数をクロック周波数と呼ぶ。
【0006】
ビットレートを高めるためにとられる手段の一つとして、ビットインターリーブという手法がある。この手法は、二つの光パルス信号を、その一方の光パルス信号の光パルス列の隣接する光パルスの間に、もう一方の光パルス信号の光パルス列の光パルスが入り込むように合波して、両者の光パルス信号のビットレートの和となるビットレートの光パルス信号を得る方法である。すなわち、OTDMにおける光パルス信号を多重化する手法の一つである。
【0007】
例えば、ビットレートが40Gb/sの光パルス信号と、同じくビットレートが40Gb/sの光パルス信号とをビットインターリーブして多重化すれば、両者のビットレートの和に相当する80Gb/sのビットレートの光パルス信号として、送信することができる。このようにして送信された光パルス信号は、受信装置において光DEMUXされて、再びビットレートが40Gb/sの光パルス信号と、同じくビットレートが40Gb/sの光パルス信号となり、それぞれの光パルス信号が分離され再生される。
【0008】
以後、このように、40Gb/sの光パルス信号と40Gb/sの光パルス信号とをビットインターリーブして2倍のビットレートを有する光パルス信号を得ることを、ビットレートを2逓倍すると言う。一般にビットインターリーブして、N=2n倍(nは自然数である。)のビットレートを有する光パルス信号を得ることを、ビットレートをN逓倍するという。
【0009】
既に、この発明の発明者らは、ハーフミラー、全反射ミラー、電界吸収型光変調器(EAM: Electro-Absorption Modulator)を集積させて構成される上述の光MUX(ここでは、ビットインターリーブするための装置をいう。)のための光素子集積モジュールを開発してきた。
【0010】
例えば、20GHzの光パルス列を、平面型光導波路とレンズを用いてこの光パルス列を二つの光経路に分割して、この二つの光経路にそれぞれ挿入されている反射型EAMでそれぞれの光パルス列を変調することに成功した。そして、再び同一の光回路をたどって、時間軸上で上記光パルス列を半ビットずらして合波する(二つの光パルス信号を、その一方の光パルス信号の光パルス列の間にもう一方の光パルス信号の光パルス列が入り込むように合波する)ことで、40Gb/sの光パルス信号を生成する実験に成功している(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
また、レンズとEAMとを一体化させて構成したモジュラーEAMを試作して、40Gb/sの光パルス信号と40Gb/sの光パルス信号とをビットインターリーブして80Gb/sのビットレートを有する光パルス信号を生成することにも成功している(例えば、非特許文献2参照)。
【0012】
【非特許文献1】
山田弘美、尾関幸宏、山形俊和、長井 清:1999年電子情報通信学会通信ソサエティ大会予稿集227ページ
【非特許文献2】
賀川昌俊、村井 仁、山田弘美、高崎 茂、藤井浩三:信学技報Vol.101, No.448, 89ページ〜92ページ
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、非特許文献1に開示されている光パルス信号を2逓倍する装置と同様の設計手法により、更に多重度の大きい4逓倍以上の多重化を行なう光素子集積モジュールを設計すると、その構造が複雑になり、実用的ではない。また非特許文献2に開示されている光パルス信号の2逓倍の装置は、EAM素子、反射器(ミラー)、レンズ、合波器あるいは分波器(ハーフミラー)等の光素子の配置に対称性を欠いているため、装置を製造するための工程が複雑になるという問題があった。
【0014】
ここで、光素子の配置の対称性とは、能動素子を基準に、その能動素子に対して配置される受動素子から能動素子に至るまでの距離が等しく配置されており、かつ機能を同じくする複数の能動素子を基準にして、その能動素子に対する受動素子の配置パターンが合同であるように受動素子が配置されている場合に、光素子の配置に対称性があるというものとする。すなわち受動素子と能動素子との配置パターンが合同である配置パターンを、複数組み合わせて構成された光素子の配置を、対象性のよい配置というものとする。
【0015】
そこで、この発明の目的は、4逓倍以上の逓倍を行なう装置を構成する場合にあっても、その構造が複雑にならないための光素子の配置を実現することにある。すなわち、光パルス信号を2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に制作でできる逓倍のための光素子集積モジュールを提供することにある。例えば、4逓倍を行なう装置は、二つの合同な2逓倍を行なう装置を組み合わせて構成することができる。また、2逓倍を行なう装置は、光変調器をそれぞれ含む第1の光路とこの第1の光路と合同な第2の光路とを組み合わせて構成される。
【0016】
また、この発明の他の目的は、EAMや反射器(ミラー)、レンズ、光合分波器(ハーフミラー)等の光素子の仕様を統一して光素子を対称に配置する構成とすることで、簡単な製造工程によって製造できる光素子集積モジュールを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の目的の達成を図るため、この発明に係る光素子集積モジュールは、分波器、合波器、第1光変調器、第2光変調器及び遅延微調器を具えて構成される。分波器は、第1光路を伝播する光パルス列と第2光路を伝播する光パルス列とに光パルス列を分波する。合波器はこの第1光路と該第2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する。一方、この第1光路中には第1光変調器を挿入してあり及びこの第2光路中には第2光変調器と遅延微調器とを挿入してある。
【0018】
また、この発明に係る光素子集積モジュールは、上述した光素子集積モジュールと同様の機能を有する分波器、合波器、第1光変調器、第2光変調器及び遅延微調器を具えて構成され、この第1光路中に遅延微調器と第1光変調器とを挿入しこの第2光路中に第2光変調器を挿入した構成としてもよい。
【0019】
このようにいずれかの構成とすることによって、非特許文献1に開示されている光パルス信号の2逓倍の装置とは、その光素子の配置方法についての技術思想が異なり、4逓倍以上の逓倍を行なう装置を構成する場合でも、その構成が複雑になることはない。また、このように構成することによって、第1光路と第2光路とを、遅延微調器を除き、光素子を対称に配置することができる。
【0020】
遅延微調器を光路中に挿入することによって、上述したいずれの光素子集積モジュールに入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差が生み出される。後述するようにこの光路差は、7.5mm程度であり、すなわち、遅延微調器を挿入することによっては、ほとんど光素子の配置に関する幾何学的対称性が損なわれることはなく、分波器、合波器、第1光変調器、第2光変調器及び遅延微調器を配置すべき位置の調整等、光素子集積モジュールの製造工程上においては、障害とならない。
【0021】
また、上述した光素子集積モジュールにおいて、この第1光路中には第1光変調器を挿入し、この第2光路中には第2光変調器と遅延微調器とを挿入して構成される光素子集積モジュールとした場合には、次の構成とすることが好適である。
【0022】
すなわち、
(1)遅延微調器を第2光変調器と合波器との間に挿入し、分波器から第1光変調器までの光路長と、分波器から第2光変調器までの光路長と、第1光変調器から合波器までの光路長とが等しく、かつ第1光変調器から合波器までの光路長と第2光変調器から合波器までの光路長との差が、分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に、等しくなるように構成する。
【0023】
(2)または、遅延微調器を分波器と第2光変調器との間に挿入し、この分波器から第1光変調器までの光路長と、第1光変調器から合波器までの光路長と、第2光変調器から合波器までの光路長が等しく、かつ分波器から第1光変調器までの光路長と分波器から第2光変調器までの光路長との差が、分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に、等しくなるように構成してもよい。
【0024】
また、上述した光素子集積モジュールにおいて、この第1光路中には第1光変調器と遅延微調器とを挿入し、この第2光路中には第2光変調器を挿入して構成される光素子集積モジュールとした場合には、次の構成とすることが好適である。
【0025】
すなわち、
(3)遅延微調器を分波器と第1光変調器との間に挿入し、分波器から第2光変調器までの光路長と、第1光変調器から合波器間での光路長と、第2光変調器から合波器までの光路長とが等しく、かつ分波器から第1光変調器までの光路長と分波器から第2光変調器までの光路長との差が、分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に、等しくなるように構成する。
【0026】
(4)または、遅延微調器を第1光変調器と合波器との間に挿入し、分波器から第2光変調器までの光路長と、第2光変調器から合波器間での光路長と、分波器から第1光変調器までの光路長が等しく、かつ第1光変調器から合波器までの光路長と第2光変調器から合波器までの光路長との差が、分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に、等しくなるように構成してもよい。
【0027】
このように、上述した(1)から(4)のいずれかの構成とすることによって、分波器から第1光変調器までの光路長と、分波器から第2光変調器までの光路長と、第1光変調器から合波器までの光路長と、第2光変調器から合波器までの光路長とが等しいので、第1光変調器や第2光変調器に光パルス列を入射させるために使うレンズ等の光素子を共通化できる(遅延微調器を挿入することによっては、ほとんど光素子の配置に関する幾何学的対称性は損なわれない。)。また、第1または第2光路中に遅延微調器を挿入したとしても、それによって光路長は、光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差しか長くならない。この程度の光路長の差では、第1光変調器や第2光変調器に光パルス列を入射させるために使うレンズ等の光素子として同一の仕様のものを用いることができる。
【0028】
すなわち、この発明の光素子集積モジュールを構成するためには、上述のレンズ等の光素子の仕様を共通化できるので、部品の量産化が可能であり、また、この光素子集積モジュールを製造する工程において、これら光素子のアライメント作業を共通化できるため工程を単純化できる利点がある。
【0029】
また、上述したように、4逓倍以上の逓倍を行なう装置を構成する場合であっても、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、構成できる光素子集積モジュールとするためには、以下に記述する構成とすればよい。
【0030】
すなわち、この発明の光素子集積モジュールは、第N分波器と、第N合波器と、第1のN/2逓倍器と、第2のN/2逓倍器と第N遅延微調器とを具えて構成される。第N分波器は、第N1光路を伝播する光パルス列と第N2光路を伝播する光パルス列とに光パルス列を分波する。第N合波器は、この第N1光路とこの第N2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する。そして、この第N1光路中には第1のN/2逓倍器を具え、この第N2光路中には第2のN/2逓倍器と第N遅延微調器とを具えて構成される。
【0031】
また、この発明の光素子集積モジュールは、上述同様の、第N分波器と、第N合波器と、第1のN/2逓倍器と、第2のN/2逓倍器と第N遅延微調器とを具えて構成される。そして、この第N2光路中には第2のN/2逓倍器を具え、この第N1光路中に第N遅延微調器と第1のN/2逓倍器とを具えて、かつ第N2光路中には第2のN/2逓倍器を具えて構成してもよい。ここにおいて、N=2n であり、nは2以上の自然数である。
【0032】
このような構成とすれば、2n(=N)逓倍器を構成する場合には、2n-1(=N/2)逓倍器二つを組み合わせて構成することができる。したがって、2逓倍器が構成できれば、この2逓倍器を基本的な構成要素として組み合わせていくことで、nが幾つであろうとも、2n逓倍器を構成することができる。すなわち、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に2n逓倍を行うことができる2n逓倍のための光素子集積モジュールを提供することができる。
【0033】
また、上述した光素子集積モジュールにおいて、この第N1光路中には第1のN/2逓倍器を挿入し、この第N2光路中には第2のN/2逓倍器と第N遅延微調器とを挿入して構成される光素子集積モジュールとした場合には、次の構成とすることが好適である。
【0034】
すなわち、
(5)第N遅延微調器を第2のN/2逓倍器と第N合波器との間に挿入し、第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長と、第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長と、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長とを等しく構成する。一方、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長との差が第N分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の1/Nに相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成とする。
【0035】
(6)または、第N遅延微調器を第N分波器と第2のN/2逓倍器との間に挿入し、この第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長と、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と、第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長を等しく構成する。一方、第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長と第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長の差が、第N分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の1/Nに相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成としてもよい。
【0036】
また、上述した光素子集積モジュールにおいて、この第N1光路中には第N遅延微調器と第1のN/2逓倍器を挿入し、この第N2光路中には第2のN/2逓倍器を挿入して構成される光素子集積モジュールとした場合には、次の構成とすることが好適である。
【0037】
すなわち、
(7)第N遅延微調器を第N分波器と第1のN/2逓倍器との間に挿入し、この第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長と、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と、第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長とを等しく構成する。一方、第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長と第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長との差が第N分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の1/Nに相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成とする。
【0038】
(8)または、第N遅延微調器を第1のN/2逓倍器と第N合波器との間に挿入し、第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長と、第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と、第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長を等しく構成する。一方、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長との差が第N分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の1/Nに相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成としてもよい。ここにおいて、N=2n であり、nは2以上の自然数である。
【0039】
このように、上述した(5)から(8)のいずれかの構成とすれば、上述したように、4逓倍以上の逓倍を行なう装置を構成する場合でも、その構成が複雑になることはない。また、このように構成することによって、光素子を対称形に配置することができる。すなわち、レンズ等の光素子を共通化できるので、部品の量産化が可能であり、また、この光素子集積モジュールを製造する工程において、これら光素子のアライメント作業を共通化できるため工程を単純化できる利点がある。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図6を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、何らこれらに限定されない。また、各図において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
【0041】
以下に示す図において、光ファイバ等の光信号の経路を太線で示し、電気信号の経路を細線で示してある。またこれら太線および細線に付された番号および記号は、それぞれ光信号あるいは電気信号を意味する。
【0042】
<電界吸収型光変調器(EAM)モジュール>
図1を参照して、この発明の光素子集積モジュールを構成する光能動素子であるEAMモジュールについて説明する。
【0043】
EAMモジュール(このモジュールの筐体を10とする。)は、EAM素子20、レンズ12a及び12b、高速の電気信号用に作られている電気コネクタ26、EAM素子20にバイアス電圧を印加するための直流電源18、及び直流電源18とEAM素子20とを結ぶ電気抵抗16を具えて構成される。また、EAM素子20には、電気ケーブル24及び電気コネクタ26を介して電気パルス信号供給装置22から電気パルス信号が供給される。電気コネクタ26及び電気ケーブル24は、高速電気信号用に設計されたものを用いる。例えば、電気ケーブル24は同軸ケーブルを、また電気コネクタ26には、Vコネクタ等が用いられる。
【0044】
EAM素子20は、半導体素子であって、光導波路を具えている。この光導波路を伝播する光は、EAM素子20に印加される電圧によって、導波されたり導波されなかったりする。すなわち、この光導波路を伝播する光パルス列は、このEAM素子20に電気パルス信号供給装置22から供給される電気パルス信号によって光パルス信号に変調される。EAM素子20に印加される電圧は、バイアス電圧を加えるための直流電源18及び、電気ケーブル24及び電気コネクタ26を介して、電気パルス信号供給装置22から供給される。このうち、光パルス列を変調するために電気パルス信号を供給する電気パルス信号供給装置とEAM素子とは直流的にはコンデンサー(図示せず)によって切断されている。
【0045】
図1に示したEAMモジュールは、EAMモジュールの筐体10に光を透過する窓28a及び28bを具えており、例えば、この図1の右側から光パルス列14aが入射すると、この光パルス列は、EAM素子20の光導波路(図示せず)にレンズ12aによって集光されて入射される。EAM素子20の光導波路を導波した光パルス列は変調を受けて光パルス信号となって、EAM素子20の光導波路から出射してレンズ12bを介して、光パルス信号14bとなってEAMモジュールの窓28bから出射する。
【0046】
レンズ12bは、光パルス信号14bがこのEAMモジュールを出射後に入射する光素子に対して、所望の位置に光強度が最大となるように集光できるように、EAM素子20の光導波路からの出射光(光パルス信号)の等位相波面を調整する働きをする。
【0047】
<第1の実施の形態>
図2を参照して、この発明の第1の実施の形態である光素子集積モジュールの構成及びその各部の機能を説明する。この発明の光素子集積モジュールは、その筐体30(第1の実施の形態の光素子集積モジュールそのものを指す場合にも光素子集積モジュール30と表記することもある。)に、EAMモジュール、レンズ、反射器(ミラー)、合分波器(ハーフミラー)等を配置して構成される。EAMモジュールは、第1光変調器及び第2光変調器として利用される。
【0048】
この発明の光素子集積モジュール30の入射側は、光ファイバ端子32aを具えて構成され、光ファイバ端子32aを介して入射する光パルス列33は、分波器34に入射する構成となっている。なお、後述するように光ファイバ端子32aは、光ファイバの先端を固定する構造となっているほか、レンズを内蔵しており、このレンズによって、後述するEAMモジュールを構成しているEAM素子の光導波路の入射端に、この光ファイバの先端の実像を結像するようにそのレンズ位置が調整されて配置されている。
【0049】
分波器34に入射した光パルス列33は、この分波器34によって光パルス列35aと35bとに分波される。光パルス列35aは、分波器34を出射して第1光変調器であるEAMモジュール40aに入射して変調されて光パルス信号41となり第1反射器38aで反射されて合波器36に入射する。以後において説明する実施の形態においても、反射器としてミラーを用い、合波器としてハーフミラーを用いる。ここで、分波器34から出発して、EAMモジュール40aを通り第1反射器38aで反射されて合波器36に至る経路を第1光路と呼ぶ。
【0050】
一方、光パルス列35bは、分波器34を出射して第2反射器38bで反射されて光変調器であるEAMモジュール40bに入射し、ここで変調されて光パルス信号43になり遅延微調器48を通過して合波器36に到達する。ここで、分波器34から出発して、第2反射器38bで反射されてEAMモジュール40b及び遅延微調器48を通過して合波器36に至る経路を第2光路と呼ぶ。
【0051】
この遅延微調器48は、遅延微調器48に入射する光パルス信号にこの光パルス信号のパルス間隔の半分に相当する時間遅れが生じるように、この第2光路に光路長を付加する役割を果たす。この結果、第1光変調器であるEAMモジュール40aから合波器36までの光路長と第2光変調器であるEAMモジュール40bから合波器36までの光路長との差が、分波器34に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に等しくなる。すなわち、遅延微調器48によって、分波器34に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に相当する光路長が第2光路に付加される。
【0052】
ここで、光パルス列あるいは光パルス信号の伝播モード(伝播形態)である光線束の中心位置を連ねる直線を、光パルス列あるいは光パルス信号の伝播軸と呼ぶことにする。また、分波器34から光変調器40aあるいは40bまでの距離とは、光パルス列あるいは光パルス信号の伝播軸と分波器34の光を分波する分波面との交点から、光変調器40aあるいは40bの光導波路の入射端面(図示せず)までの光路長を意味するものとする。また、光変調器40aあるいは40bから合波器36までの距離とは、光変調器40aあるいは40bの光導波路の出射端面(図示せず)から光パルス列あるいは光パルス信号の伝播軸と合波器36の光を合波する合波面との交点までの光路長を意味するものとする。
【0053】
遅延微調器48は、例えば、二枚の平行平板ガラスを組み合わせて、これら二枚の平行平板ガラスを光パルス列の伝播軸に対して傾けることにより、光パルス列の光線束がこれら二枚の平行平板ガラスを通過する距離を調整することができるように構成されたものである。伝播軸に対して垂直に光線束が入射した場合、これら平行平板ガラスを通過する距離は、平行平板ガラスの厚みそのものとなる。伝播軸に対して平行平板ガラスの面の法線を角度θだけ傾ければ、光線束が平行平板ガラスを通過する距離は、平行平板ガラスの厚みの(1/cosθ)倍となり、傾ければ傾ける程光線束が平行平板ガラスを通過する距離を長くすることができる。このようにして第2光路に付加する光路長を調整することができる。
【0054】
なお、遅延微調器48を二枚の平行平板ガラスを組み合わせて構成する理由は、一枚の平行平板ガラスを第2光路中に挿入して、光路長を調整するために、この平行平板ガラスを傾けると、光パルス信号の伝播軸が平行にずれてしまうという事態を回避するためである。すなわち、二枚の平行平板ガラスを組み合わせて、一方の平行平板ガラスの法線を伝播軸に対して角度+θだけ傾け、もう一方の平行平板ガラスの法線を伝播軸に対して角度-θだけ傾けることによって、光パルス信号の伝播軸が平行にずれてしまうという事態を回避することができる。
【0055】
分波器34に入射した光パルス列33を、分波器34によって光パルス列35aと35bとに分波し、EAMモジュール40aによって変調して光パルス信号41を得るためには、光パルス列の伝播モードである光線束を、EAMモジュール40aを構成しているEAM素子の光導波路に入射させなければならない。このためには、光ファイバ端子32aに固定されている光ファイバ端の実像を、EAMモジュール40aを構成しているEAM素子の光導波路の入射端に結像させる必要がある。このために、光ファイバ端子32aに固定されている光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間にレンズによる結像系を設置しなければならない。
【0056】
図3(A)及び(B)を参照して、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズによる結像系について説明する。
【0057】
光ファイバ端子52a及び52bは、光ファイバ50a及び50bを固定すると共に、レンズ58a及び58bを内蔵している。一方、EAMモジュール54a及び54bは、EAM素子62a及び62bとレンズ60a及び60bとを具えて構成されている。図3(A)及び(B)において、EAM素子62a及び62bについては、光ファイバ端56a及び56bとEAM素子の光導波路66a及び66bの入射端64a及び64bとの間に設置されるレンズによる結像系についての説明に必要な部分以外は省略して描いてある。また、レンズ60a及び60bは、図1に示したEAMモジュールでは、レンズ12aに対応する。
【0058】
図3(A)は、光ファイバ端56aから出射する光が光ファイバ通信で特徴的な、ガウス・ビームとして、光ファイバ端56aから出射した光線束を平行光線束となるようにレンズ58aを配置した場合を描いたものである。しかし、この発明に係る光素子集積モジュールを製作する工程について発明者が検討した結果、光ファイバ端56aから出射する光がガウス・ビームとして、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズ系を、いわゆるコリメータ光学系として形成しても、好ましい結果が得られないことが判明した。
【0059】
すなわち、レンズ58a及び60aをコリメータレンズとして配置した場合、図3(A)に示すように、光ファイバ端56aからの出射光のエネルギーのほとんどが、EAM素子62aの光導波路66aの入射端64aには届かず、光導波路66aへは入射しないことが判明した。光ファイバ端56aの位置をレンズ58aの前側焦点位置となるように設定した場合、光ファイバ端56aからの出射光が、図3(A)に示すように、平行光束とすることができなかった。このことは、この発明の光素子集積モジュールを形成する上で、光ファイバ端56aから出射する光が点光源ではなくガウス・ビームであることを無視できないことを示している。
【0060】
したがって、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズ系を、いわゆるコリメータ光学系として形成するのではなく、結像系として形成しなければならないことを意味している。
【0061】
一般に、光ファイバ通信に使われる光ファイバのコア系や、光変調器の導波路端面のサイズは同一であり、したがって、光ファイバ通信に使われる光素子集積モジュールの設計において、上述した、光ファイバ端と光変調素子の光導波路の入射端(あるいは出射端)との間に設置されるレンズ系を結像系として形成しなければならない、という技術的課題は共通する。
【0062】
図3(B)を参照して、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置される結像系について説明する。この結像系はレンズ58b及び60bによって構成される。レンズ58bは、光ファイバ端子52bに内蔵されている。一方、レンズ60bはEAMモジュール54bに内蔵されている。レンズ58b及び60bによって構成される結像系は、レンズ間の中心位置(L/2)の位置にビームウエスト(光線束のくびれ)が形成される機能を有する。これを点光源で言えば、レンズ間の中心位置(L/2)の位置に焦点を結ぶ、結像系といえる。
【0063】
したがって、レンズ58bとレンズ60bとの距離Lが、あらかじめ決まっていれば、レンズ58bとファイバ端56bまでの距離、及びレンズ60bとEAMの導波路端64bまでの距離は一義的に確定する。また、光ファイバ50b及びEAM素子62bの光導波路66bの開口比と、レンズ58b及び60bの開口比とを等しくすることが、光ファイバ端56bからの出射光のエネルギーを最も効率よくEAM素子62bの光導波路66bに入射させるための条件である。レンズ58b及び60bの焦点距離は、また、上述の開口比に関する条件の他に、光ファイバ端子52bやEAMモジュール54bを最もコンパクトに構成するための条件等を勘案して、決められる。
【0064】
以上説明した、光ファイバ端子32aとEAMモジュール40a及び40bの光導波路の入射端との間に設置される結像系に関係する、レンズ58bとレンズ60bとの距離Lについての事情は、EAMモジュール40a及び40bの光導波路の出射端と、光ファイバ端子32bとの間に設置される結像系においても、同様である。
【0065】
また、例えば、光ファイバ端子32aと第2光変調器であるEAMモジュール40bとの間には分波器34及び第2反射器38bが挿入されているが、この場合に、レンズ58bとレンズ60bとの距離Lとは、光ファイバ端子に内蔵されたレンズの位置から分波器までの光路長と、分波器から第2反射器までの光路長と、第2反射器からEAMモジュールに内蔵されているレンズの位置までの光路長の和を意味することは明らかである。
【0066】
また、同様に、第1光変調器であるEAMモジュール40aと光ファイバ端子32bとの間にも、第1反射器38aと合波器36が挿入されているが、この場合も、第1光変調器であるEAMモジュール40aのEAM素子の光導波路の出力端側のレンズの位置から、第1反射器38a及び合波器36を介して光ファイバ端子32bに内蔵されているレンズの位置に達するまでの光路長が、レンズ間距離Lとなることは明らかである。
【0067】
以上説明したように、この発明のクロック周波数2逓倍装置である光素子集積モジュール30は、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズ系あるいは、EAM素子の光導波路の出射端と光ファイバ端との間に設置するレンズ系を、結像系で構成しなければならないことから、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との距離、あるいはEAM素子の光導波路の出射端と光ファイバ端との距離は、一定であれば、レンズ位置を確定するアライメント作業を同一の光学系で行うことができる。
【0068】
すなわち、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズ系あるいは、EAM素子の光導波路の出射端と光ファイバ端との間に設置するレンズ系として、コリメータ系を用いることができない。このことにより、この発明の光素子集積モジュール30を構成するに当っては、モジュール30の内部でのレンズ系のレンズ間距離Lが等しいことが重要となるので、EAMモジュールの配置の自由度が小さいといえる。
【0069】
したがって、分波器34から出発して、EAMモジュール40aを通り第1反射器38aで反射されて合波器36に至る経路を第1光路とし、及び分波器34から出発して、第2反射器38b反射されてEAMモジュール40b及び遅延微調器48を通過して合波器36に至る経路を第2光路とする場合、第1光路の光路長と第2光路の光路長が等しくなるようにすることが必要となる。また、分波器34から第1ないし第2光変調器までの光路長と第1ないし第2光変調器から合波器36までの光路長とが等しくなるようにすることが必要となる。言い換えると、合波器、分波器、EAMモジュール等の光素子を対称に配置することが必要となる。
【0070】
光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズ系あるいはEAM素子の光導波路の出射端と光ファイバ端との間に設置するレンズ系を構成するレンズは、結像性能を高くするために非球面レンズが使われる。光ファイバ通信に用いられる非球面レンズは、用途毎にほぼ決まっている。しかしながら、結像させる光路長が異なると、非球面レンズの位置を確定させるアライメント系をその光路長に合わせてセッティングする必要があり、多くの工数が必要となる。
【0071】
したがって、合波器、分波器、EAMモジュール等の光素子を対称に配置して構成することができる光素子集積モジュール30は、その構成光素子の仕様を共通化できることから、使われる光素子の量産化を可能とし、また、アライメント工程の共通化が図られることにより、低コストで量産できる利点を有する。
【0072】
ここでこの発明の光素子集積モジュール30が、2チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の2逓倍を実現するモジュールであることを説明するために、クロック周波数が20GHzの光パルス列をこの光素子集積モジュール30に入射させる場合を想定する。なお、以下において行なう説明の内容は、クロック周波数が20GHzの光パルス列をこの光素子集積モジュール30に入射させる場合に限らず、いかなるクロック周波数の光パルス列に対しても成り立つことは、明らかである。
【0073】
以後、クロック周波数が20GHzの光パルス列を単に20GHzの光パルス列ということもある。また、クロック周波数が20GHzの光パルス列は、20Gb/sの伝送速度で情報を送れる能力を潜在しているので、ビットレートが20Gb/sの光パルス列ということもある。
【0074】
光ファイバ端子32aから光素子集積モジュール30に入射した20GHzの光パルス列は、分波器34で分割され、それぞれ光パルス列35a及び35bとなる。
【0075】
光パルス列35aは、第1光変調器であるEAMモジュール40aに入射する。EAMモジュール40aには、電気パルス信号供給装置42aから電気ケーブル44aを通じてVコネクタ46aを介して、第1チャンネルとして送信するデータが2値デジタル電気信号として供給されている。EAMモジュール40aに入射した光パルス列35aは、電気パルス信号供給装置42aからEAMモジュール40aに供給されている2値デジタル電気信号によって、この2値デジタル電気信号に反映された第1チャンネルとして送信するデータに相当する光パルス信号41に変調されて、出力される。光パルス信号41は、第1反射器38aを介して合波器36に入射する。
【0076】
一方、光パルス列35b、第2反射器38bを介して第2変調器であるEAMモジュール40bに入射する。EAMモジュール40bには、電気パルス信号供給装置42bから電気ケーブル44b通じてVコネクタ46bを介して、第2ャンネルとして送信するデータが2値デジタル電気信号として供給されている。EAMモジュール40bに入射した光パルス列35bは、電気パルス信号供給装置42bからEAMモジュール40b供給されている2値デジタル電気信号によって、この2値デジタル電気信号に反映された第2ャンネルとして送信するデータに相当する光パルス信号43に変調されて、遅延微調器48に入射する。光パルス信号43は、遅延微調器48において、光パルス列33のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に等しい光路差が付加された光パルス信号45となって、合波器36に入射する。
【0077】
図2において、Vコネクタ46a及び46bは、それぞれEAMモジュール40a及び40bに対して、図2の紙面に平行の方向に接続されている。すなわち、Vコネクタ46a及び46bは、このモジュールの光経路(光パルス列の伝播軸)を含む平面に対して平行の方向に接続されている。しかし、図2において、Vコネクタ46a及び46bを、それぞれEAMモジュール40a及び40bに対して、破線の円形で描いた位置に、このモジュールの光経路(光パルス列の伝播軸)を含む平面に対して垂直の方向に接続してもよい。むしろ、Vコネクタを、このモジュールの光経路(光パルス列の伝播軸)を含む平面に対して垂直の方向に接続する方が、後述するように好適である場合がある。
【0078】
遅延微調器48において、光パルス信号43に付加される光路差は、次の通りである。光パルス列33のパルス幅は、40Gb/sの光パルス信号を生成するために必要とされるパルス幅として十分に狭く、例えば、半値全幅が12ps程度である。また、光パルス列33のパルス間隔の半分に相当する時間差は、光パルス列33のクロック周波数が20GHzであるから、25psである。この25psの間に光が進む距離は7.5mm程度である。したがって、第2光変調器40bから合波器36までの経路において遅延微調器48を挿入することによって付加される光路長、すなわち光パルス信号43に付加される光路差は、7.5mm程度である。
【0079】
第1光路から合波器36に到達する光パルス信号41と、第2光路から合波器36に到達する光パルス信号45とは、合波器36において重ね合わせられる。光パルス信号41に対して光パルス信号45は、20Gb/sの光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間遅れが遅延微調器48によって与えられているので、時間軸上で光パルス信号41の隣接する光パルスが存在するその丁度中間に、光パルス信号45の一つの光パルスが存在できるように、光パルス信号41と光パルス信号45とは、合波器36において重ね合わせられる。
【0080】
光パルス信号41と光パルス信号45とが重ね合わせられて得られた光パルス信号37のクロック周波数は、以上において説明したことから明らかなように、40GHzとなる。すなわち、図2に示した光素子集積モジュール30は、2チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の2逓倍を実現するモジュールであることが分かる。
【0081】
<第2の実施の形態>
この発明の第2の実施の形態である光素子集積モジュールの構成及びその各部の機能を説明する。第2の実施の形態である光素子集積モジュールは、Nチャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数のN逓倍を実現するモジュールである。ここで、N=2nであって、nは2以上の自然数である。
【0082】
一般に、n=3、N=8である場合に相当する8逓倍を実現する光素子集積モジュールを構成するには、4逓倍を実現する光素子集積モジュールを2つ用いれば構成できる。すなわち、2n(=N)逓倍を実現する光素子集積モジュールを構成するには、2n-1(=N/2)逓倍を実現する光素子集積モジュールを2個用いれば構成できる。したがって、4逓倍を実現する光素子集積モジュールを構成する手法が確立されれば、これと全く同じ手法で、2n-1(=N/2)逓倍を実現する光素子集積モジュールを2個用い、2n(=N)逓倍を実現する光素子集積モジュールを構成することができる。
【0083】
言い換えると、この発明の第2の実施の形態である光素子集積モジュールは、合同な2n-1逓倍を実現する光素子集積モジュールを2個用いて構成される2n逓倍光素子集積モジュールであるから、この2n逓倍光素子集積モジュールは、対称性に優れたモジュールであるということができる。したがって、部品として使われる光素子の仕様を統一でき、また製造する際のアライメント工程を共通化できるという利点が生ずる。
【0084】
また、第2の実施の形態である光素子集積モジュールは、上述した第1の実施の形態である光素子集積モジュールを構成する、例えば、光ファイバ端子、合波器、分波器及び光変調モジュールと、共通の光素子が用いられる。光ファイバ端子に内蔵されているレンズの焦点距離等、設計的事項に係る差異はあっても、その基本的な構成については同一であるので、これらの光素子に関する構造やその機能等の説明は省略する。
【0085】
図4を参照して、4チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の4逓倍を実現する光素子集積モジュールについて説明する。すなわち、n=2、N=4である場合に相当する、光素子集積モジュールである。このN=4(n=2)である場合について、すなわち、4チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の4逓倍を実現するモジュールが実現できれば、nが3以上である場合について、すなわち、2n(=N)チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の2n(=N)逓倍を実現する光素子集積モジュールは、2n-1(=N/2)逓倍を実現する光素子集積モジュールを2つ用いて、同様にして構成することができる。
【0086】
この発明の第2の実施の形態であるクロック周波数の4逓倍を実現する光素子集積モジュールは、筐体100(第2の実施の形態の光素子集積モジュールそのものを指す場合にも光素子集積モジュール100と表記することがある。)に、光パルス列が入射するための光ファイバ端子102、4チャンネルの情報が光MUXされた光パルス信号を出力するための光ファイバ端子154を具えて構成される。また、光変調器であるEAMモジュール、分波器、合波器及び遅延微調器、を具えて構成される。
【0087】
まず、第2の実施の形態である光素子集積モジュールが、2逓倍を実現する光素子集積モジュールを2つ用いて構成される、クロック周波数の4逓倍を実現する光素子集積モジュールであることを説明する。
【0088】
一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール180は、第4分波器104で分波された光パルス列105aを第21光路を伝播する光パルス列111aと第22光路を伝播する光パルス列111bとに分波する第2分波器110aと、第21光路と第22光路とをそれぞれ伝播した光パルス列131aと131bとを合波する第2合波器110bと、第21光路中に第21光変調器130aを具え、第22光路中に第22光変調器130bと第2遅延微調器150とを具えて、構成される。
【0089】
また、第21光路中および第22光路中には、ミラーによって構成される第2反射器120a及び120bが挿入される。第2反射器120aは、第21光変調器130aから出力される光パルス信号131aの光路を第2合波器110bに向かう方向に変更するために挿入される。一方、第2反射器120bは、第2分波器110aから反射される光パルス信号111bの光路を第22光変調器130bに向かう方向に変更するために挿入される。
【0090】
ここで、分波器104を第4としたのは、4逓倍を実現する光素子集積モジュールに使われる分波器であることを明示するためである。また、第21光路及び第22光路と表現した21及び22という数字、また、光変調器130a及び光変調器130bのそれぞれに第21及び第22とした数字21及び22の意味は、十の位の2が2逓倍を実現する光素子集積モジュール内の光路あるいは光素子であることを意味し、一の位の1及び2は二つ存在する光路あるいは光素子を識別するための符号である。
【0091】
同様に、分波器110a及び合波器110bのそれぞれを第2としたのは、これらが、2逓倍を実現する光素子集積モジュールに使われる分波器及び合波器であることを明示するためである。すなわち、第NM等の2桁の数値をその識別番号として付してある場合は、十の位のNがN逓倍の意味、一の位のMが同一の光素子集積モジュール内での識別のために付されたものであることを意味する。また、第N等の1桁の数値をその識別番号として付してある場合は、NがN逓倍を意味するものとする。以後の説明においても、この原則を踏襲するものとする。
【0092】
以上説明したように、一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール180は、第1の実施の形態である2逓倍を実現する光素子集積モジュールと同一の構成である。したがって、光素子集積モジュール180は、既に説明したように、光パルス信号のクロックパルスを2逓倍するという、第1の実施の形態である2逓倍を実現する光素子集積モジュールと同一の機能を有する。
【0093】
また、例えば、一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール180を、第2分波器110a、第2合波器110b、第21光変調器130a、第22光変調器130b及び第2遅延微調器150を具えて構成し、この第21光路中に第2遅延微調器150と第21光変調器130aとを挿入しこの第22光路中に第22光変調器130bを挿入して、上述の光素子集積モジュール180の構成を変形してもよい。この種の構成の変形が許される理由は、2逓倍を実現する光素子集積モジュールの構成及びその機能の説明を行なった際に示したのと同一の理由である。
【0094】
また、第21光路あるいは第22光路に第2遅延微調器150を挿入することによって、一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュールを構成する光素子の配置に関する幾何学的対称性が損なわれないことも、第1の実施の形態である2逓倍を実現する光素子集積モジュールに対する場合と同様に結論できる。一般に、第21光路あるいは第22光路に第2遅延微調器150を挿入する場合に限らず、遅延微調器を光路に挿入することによって、光素子集積モジュールを構成する光素子の配置に関する幾何学的対称性は損なわれない。
【0095】
以上説明した変形形態については、以下で説明する二つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール190においても、同様に成立することは明らかであるので、その説明は繰り返さずに省略する。
【0096】
二つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール190は、第4分波器104で分波された光パルス列105bを第21光路を伝播する光パルス列115aと第22光路を伝播する光パルス列115bとに分波する第2分波器114aと、第21光路と第22光路とをそれぞれ伝播した光パルス列141aと141bとを合波する第2合波器114bと、第21光路中に第21光変調器140aを具え、第22光路中に第22光変調器140bと第2遅延微調器160とを具えて、構成される。
【0097】
また、第21光路中および第22光路中には、ミラーによって構成される第2反射器124a及び124bが挿入される。第2反射器124aは、第21光変調器140aから出力される光パルス信号141aの光路を第2合波器114bに向かう方向に変更するために挿入される。一方、第2反射器124bは、第2分波器114aを透過した光パルス信号115bの光路を第22光変調器140bに向かう方向に変更するために挿入される。
【0098】
以上説明したように、4チャンネルの情報を光MUXする機能を有する、クロック周波数の4逓倍を実現する光素子集積モジュール100は、第1の2逓倍器として一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール180及び第2の2逓倍器として二つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール190を用いて構成される。
【0099】
光素子集積モジュール100に光ファイバ端子102を介して入射される光パルス列103は、第4分波器104によって、光パルス列105a及び105bに分割され、それぞれ2逓倍を実現する光素子集積モジュール180と2逓倍を実現する光素子集積モジュール190とに供給される。
【0100】
光パルス列105aは、一つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール180に供給され第1チャンネルの光パルス信号と第2チャンネルの光パルス信号とを合波した光パルス信号、従って2逓倍された光パルス信号、としてこの光素子集積モジュール180から出力され、第4反射器108を介して第4合波器106に供給される。ここで、第4分波器104から光素子集積モジュール180を経由して第4合波器106にいたるまでの経路を第41光路と呼ぶ。
【0101】
一方、光パルス列105bは、二つ目の2逓倍を実現する光素子集積モジュール190に供給され第3ャンネルの光パルス信号と第4ャンネルの光パルス信号とを合波した2逓倍された光パルス信号としてこの光素子集積モジュール190から出力され、第4遅延微調器170を介して第4合波器106に供給される。ここで、第4分波器104から光素子集積モジュール190を経由して第4合波器106にいたるまでの経路を第42光路と呼ぶ。
【0102】
第1の2逓倍器としての光素子集積モジュール180では、第21光変調器130aによって第1チャンネルとして光パルス信号131aを生成し、第22光変調器130bによって第2チャンネルとしての光パルス信号131bが生成される。第1チャンネルの光パルス信号131aと第2チャンネルの光パルス信号とは第2合波器110bで合波され、第1チャンネルと第2チャンネルとの光パルス信号が光MUXされ2逓倍された光パルス信号111として出力される。
【0103】
一方、第2の2逓倍器としての光素子集積モジュール190では、第21光変調器140aによって第3チャンネルとして光パルス信号141aを生成し、第22光変調器140bによって第4チャンネルとしての光パルス信号141bが生成される。第3チャンネルの光パルス信号141aと第4チャンネルの光パルス信号とは第2合波器114bで合波され、第3チャンネルと第4チャンネルとの光パルス信号が光MUXされ2逓倍された光パルス信号115として出力される。
【0104】
光パルス信号115は、第4遅延微調器170によって、第4分波器104に入射する光パルス列103のパルス間隔の1/4に相当する時間差を生じさせる光路差に相当する光路長を付加されて光パルス信号171として出力され、第4合波器106に入射する。
【0105】
光パルス信号171が、第4遅延微調器170によって、第4分波器104に入射する光パルス列103のパルス間隔の1/4に相当する時間差を生じさせる光路差に相当する光路長を付加されているので、光パルス信号111と光パルス信号171とを合波すると、時間軸上で光パルス信号111の隣接する光パルスの存在位置の丁度中間に光パルス信号171の光パルスの一つが挿入される。
【0106】
したがって、第4合波器106では、第1チャンネルと第2チャンネルとの光パルス信号が光MUXされ2逓倍された光パルス信号111と、第3チャンネルと第4チャンネルとの光パルス信号が光MUXされ2逓倍された光パルス信号171とが合波されて、第1ないし第4チャンネルの光パルス信号が光MUXされ4逓倍された光パルス信号107として出力され、光ファイバ端子154を介して外部に出力される。
【0107】
このような構成とすれば、4逓倍器を構成する場合には、2逓倍器二つを組み合わせて構成することができる。したがって、2逓倍器が構成できれば、この2逓倍器を基本的な構成要素として組み合わせることで、4逓倍器を構成することができる。すなわち、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に4逓倍を行うことができる4逓倍のための光素子集積モジュールを提供することができる。
【0108】
一般に、このような構成とすれば、2n(=N)逓倍器を構成する場合には、2n-1(=N/2)逓倍器二つを組み合わせて構成することができる。したがって、2逓倍器が構成できれば、この2逓倍器を基本的な構成要素として組み合わせていくことで、nが幾つであろうとも、2n(=N)逓倍器を構成することができる。すなわち、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に2n逓倍のための光素子集積モジュールを提供することができる。
【0109】
ここで、また、上述した4逓倍を実現する光素子集積モジュール100において、次の構成とすることが好適である。すなわち、第4遅延微調器170を第2の2逓倍器190と第4合波器106との間に挿入し、この第4分波器104から第1の2逓倍器180までの光路長と、第4分波器104から第2の2逓倍器190までの光路長と、第1の2逓倍器180から第4合波器106間での光路長とを等しく構成する。一方、第1の2逓倍器180から第4合波器106までの光路長と第2の2逓倍器190から第4合波器106までの光路長との差が第4分波器104に入射する光パルス列のパルス間隔の1/4に相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成とする。
【0110】
ここで、この第4分波器104から第1の2逓倍器180までの光路長とは、光パルス列の伝播軸と第4分波器104の光を分波する分波面との交点から、光パルス列の伝播軸と第2分波器110aの光を分波する分波面との交点までの光路長を意味するものとする。
【0111】
第4分波器104から第2の2逓倍器190までの光路長とは、光パルス列の伝播軸と第4分波器104の光を分波する分波面との交点から、光パルス列の伝播軸と第2分波器114aの光を分波する分波面との交点までの光路長を意味するものとする。
【0112】
第1の2逓倍器180から第4合波器106までの光路長とは、光パルス信号の伝播軸と第2合波器110bの光を合波する合波面との交点から、第4反射器108を経由して光パルス信号の伝播軸と第4合波器106の光を合波する合波面との交点までの光路長を意味するものとする。
【0113】
第2の2逓倍器190から第4合波器106までの光路長とは、光パルス信号の伝播軸と第2合波器114bの光を合波する合波面との交点から、第4遅延微調器170を経由して光パルス信号の伝播軸と第4合波器106の光を合波する合波面との交点までの光路長を意味するものとする。
【0114】
一般に、第N遅延微調器を第2のN/2逓倍器と第N合波器との間に挿入し、第N分波器から第1のN/2逓倍器までの光路長と、第N分波器から第2のN/2逓倍器までの光路長と、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長とを等しく構成する。
【0115】
一方、第1のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長と第2のN/2逓倍器から第N合波器までの光路長との差が第N分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の1/Nに相当する時間差を生じさせる光路差に等しい構成とする。
【0116】
また、第N遅延微調器を第2のN/2逓倍器と第N合波器との間に挿入するか、第N分波器と第2のN/2逓倍器との間に挿入するか、第N分波器と第1のN/2逓倍器との間に挿入するか、第1のN/2逓倍器と第N合波器との間に挿入するかについては、設計事項の範囲に属する事柄である。いずれの構成をとっても、本質的には等価である。
【0117】
このように構成することで、光素子を対称に配置することができる。すなわち、レンズ等の光素子を共通化できるので、部品の量産化が可能であり、また、この光素子集積モジュールを製造する工程において、これら光素子のアライメント作業を共通化できるため工程を単純化できる利点がある。
【0118】
次に、図5(A)及び(B)を参照して、光変調器へ電気信号を供給するために使われる電気接続端子の配置について説明する。図5(A)は、光素子が配置される基板200aの面204aに光変調器202aが配置されており、この基板の面204a対して、光変調器202aに電気信号を供給するために使われる電気接続端子210が、その電気接続端子210の軸方向208aが平行になるように構成されている場合を示す。一方、図5(B)は、光素子が配置される基板200bの面204bに光変調器202bが配置されており、この基板の面204b対して、光変調器202bに電気信号を供給するために使われる電気接続端子212が、その電気接続端子212の軸方向208bが垂直になるように構成されている場合を示す。
【0119】
また、電気接続端子210及び電気接続端子212は、それぞれ電気ケーブル206a及び206bを光変調器202a及び光変調器202bに接続するために設けられている。
【0120】
図2に示した第1の実施の形態である光素子集積モジュール30を構成する場合には、光変調器へ電気信号を供給するために使われる電気接続端子は、図5(A)及び(B)に示すいずれの構成を用いても、構成可能である。図2において、光変調素子40a及び40bに接続される電気接続端子46a及び46bを光素子が配置されている基板面に電気接続端子の軸方向が平行になるように構成されている場合を図示した。図2において、光変調素子40a及び40bに破線で示す円形の部分に電気接続端子46a及び46bを接続することによって、電気接続端子46a及び46bを光素子が配置されている基板面に電気接続端子46a及び46bの軸方向が垂直になるように構成することもできることを示した。
【0121】
しかし、図4に示した第2の実施の形態である光素子集積モジュール100を構成する場合には、光変調器へ電気信号を供給するために使われる電気接続端子を図5(B)に示すような、光素子が配置される基板の面に対してその電気接続端子の軸方向が垂直になるような構成を用いなければ構成できない。
【0122】
これは、図4を参照すれば明らかなように、光素子が配置された基板には多くの光素子が2次元的に配置されているので、この中の一部を構成している光変調素子に電気信号を供給するためのケーブルも配置するには、光経路の一部と交差させて配置しなければならない。すなわち、光経路の一部と電気信号を供給するためのケーブルとが交差するために、この光経路を伝播する光束の一部がさえぎられてしまうという不都合が生じるからである。
【0123】
したがって、光パルス信号のクロック周波数の4逓倍以上の高逓倍を実現する光素子集積モジュールは、図5(B)に示すような、光素子が配置される基板の面に対してその電気接続端子の軸方向が垂直になるような構成を用いなければ構成できない。
【0124】
一般に、平面上に配置される光素子の数が多く、これら光素子を結ぶ光路が高密度である場合には、これら光素子のうちの能動光素子に電気信号を供給する電気ケーブルを配置するには、光素子が配置されている平面に対して、電気信号を供給する電気ケーブルを接続するための電気接続端子の軸方向を、平行方向からずらして、できれば垂直に近い方向になるように構成することが好適である。
【0125】
また一般的に、光変調素子等の光能動素子に供給される電気信号は高速に変調された電気信号である。この電気信号は、直流成分をカットするためのコンデンサーや、また直流成分をこれら光能動素子に供給するためのコイル等の電気素子や、電気増幅器等を介して供給される。
【0126】
さらに、光素子が配置されている基板と同一の基板に、光能動素子に供給する電気信号を生成する電気回路素子を配置すると、この電気回路素子をこの基板に装着する際にこの基板に歪を生じさせることがある。また、この基板に配置されている光能動素子に同一の基板に配置されている電気回路素子から直接に電気ケーブルを接続すると、この光能動素子の電気信号入力端子に歪を生じさせることがある。これらが原因となって、この光能動素子の動作不良が生じたり、光路が影響を受けて光パルス信号が光能動素子に供給できなくなったりする障害が生じる。
【0127】
図6を参照して、上述した問題を解決するための手法を説明する。図6は、電気回路素子と光能動素子とをフレキシブルケーブルで接続した構成のモジュールの一例である。なお、この図6は、電気回路素子と光能動素子とをフレキシブルケーブルで接続するという技術的思想を説明するために必要な部分のみを描いてあり、電気回路素子や光能動素子の形状やそれらの配置等は簡略化してある。
【0128】
光素子配置基板220には光素子が配置されており、この光素子の内で、電気信号の供給を受ける光能動素子に電気接続端子230a、230b、230c及び230dが作り付けられている。一方、電気回路素子配置基板224には、電気回路素子226a、226b、226c及び226dと、電気回路素子228a、228b、228c及び228dとが配置されている。ここでは、電気回路素子226aと228aとが接続されており、電気回路素子226bと228bとが接続されており、電気回路素子226cと228cとが接続されており、電気回路素子226dと228dとが接続されている場合を示している。これら電気回路素子同士の接続については本質的な問題ではなく、電気回路素子が多数、しかも高密度で同一の基板に配置されている点が重要である。
【0129】
このように、電気回路素子が多数しかもそれらが高密度に接続されて総重量が大きい場合、これら電気回路素子と光素子とを同一基板に配置して接続すると、上述したように、この光能動素子の動作不良が生じたり、光路が影響を受けて光パルス信号が光能動素子に供給できなくなったりする障害が生じる。
【0130】
そこで、図6に示すように、フレキシブルケーブル234a、234b、234c及び234dを用いて、それぞれ、電気回路素子228aと電気接続端子230a、電気回路素子228bと電気接続端子230b、電気回路素子228cと電気接続端子230c、及び電気回路素子228dと電気接続端子230d、とを結ぶ構成とする。このような構成とすれば、フレキシブルケーブル234a、234b、234c及び234dによって、電気回路素子から光能動素子に加わる応力が吸収され、光能動素子に加わる歪を低減できる。
【0131】
第1及び第2の実施の形態である光素子集積モジュールの構成に関する技術的思想は、EAM素子、反射器(ミラー)、レンズ、合波器あるいは分波器(ハーフミラー)等の光素子を対称に配置することにある。すなわち、EAM素子等の能動素子を基準に、その能動素子に対して配置される受動素子の能動素子に対する距離を等しく配置し、かつ機能を同じくする複数の能動素子を基準にして、それぞれの受動素子に対する配置パターンが合同であるように受動素子を配置することによって、光素子の配置に対称性を持たせることにある。
【0132】
したがって、上記第1及び第2の実施の形態の基本となるこの発明の技術的思想は、N逓倍を実現する光MUXモジュールに限定されることはなく、N逓倍された光パルス信号からここのチャンネルの光パルス信号を分離する光DeMUXモジュールにも適用できることは、明らかである。
【0133】
また、この発明の実施の形態においては、光変調器としてEAM素子を用いたが、電気パルス信号を光パルス信号に変換できる機能を有する、例えばLiNbO3を用いた光変調器等であっても利用できることは明らかである。
【0134】
また、この発明の実施の形態においては、レンズや反射器等を用いて光路を形成することで構成する、いわゆる空間結合方式によって光素子集積モジュールを構成したが、この光路を光ファイバで同様の光素子集積モジュールが構成できる。光路を光ファイバで構成する場合でも、この発明の特徴である、2逓倍器が構成できれば、この2逓倍器を基本的な構成要素として組み合わせていくことで、nが幾つであろうとも、2n逓倍器を構成することができるという、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に2n逓倍を行うことができる2n逓倍のための光素子集積モジュールを提供することができることはいうまでもない。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の光素子集積モジュールによれば、2n(=N)逓倍器を構成する場合には、2n-1(=N/2)逓倍器二つを組み合わせて構成することができる。したがって、2逓倍器が構成できれば、この2逓倍器を基本的な構成要素として組み合わせていくことで、nが幾つであろうとも、2n逓倍器を構成することができる。すなわち、光パルス信号の2逓倍する装置の構成に対する技術思想を維持しつつ、容易に2n(=N)逓倍を行うことができる2n逓倍のための光素子集積モジュールを提供することができるという設計上の利点がある。
【0136】
また、4逓倍以上の逓倍を行なう装置を構成する場合でも、その構成が複雑になることはない。また、このように構成することによって、光素子を対称形に配置することができる。すなわち、レンズ等の光素子を共通化できるので、部品の量産化が可能であり、また、この光素子集積モジュールを製造する工程において、これら光素子のアライメント作業を共通化できるため工程を単純化できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 EAMモジュールの概略図である。
【図2】第1の実施の形態の光素子集積モジュールの構成図である。
【図3】 (A)及び(B)は、光ファイバ端とEAM素子の光導波路の入射端との間に設置されるレンズによる結像系の説明に供する図である。
【図4】第2の実施の形態の光素子集積モジュールの構成図である。
【図5】 (A)及び(B)は、光変調器への電気信号を供給するための電気接続端子の配置の説明に供する図である。
【図6】電気回路素子と光能動素子とをフレキシブルケーブルで接続した一例の説明に供する図である。
【符号の説明】
10:EAMモジュールの筐体
12a、12b:レンズ
16:電気抵抗
18:直流電源
20:EAM素子
22、42a、42b:電気パルス信号供給装置
26:電気コネクタ
28a、28b:窓
30、100:光素子集積モジュールの筐体
32a、32b、52a、52b、102、154:光ファイバ端子
34:分波器
36:合波器
38a:第1反射器
38b:第2反射器
40a、40b、54a、54b:EAMモジュール
46a、46b:Vコネクタ
48:遅延微調器
50a、50b:光ファイバ
56a、56b:光ファイバ端
58a、58b、60a、60b::レンズ
62a、62b:EAM素子
64a、64b:EAM素子の光導波路の入射端
66a、66b:EAM素子の光導波路
104:第4分波器
106:第4合波器
108:第4反射器
110a、114a:第2分波器
110b、114b:第2合波器
120a、120b、124a、124b:第2反射器
130a、140a、第21光変調器
130b、140b:第22光変調器
150、160:第2遅延微調器
170:第4遅延微調器
180、190:光素子集積モジュール
200a、200b:光素子が配置される基板
202a、202b:光変調器
206a、206b:電気ケーブル
210、212:電気接続端子
220:光素子配置基板
224:電気回路素子配置基板
226a、226b、226c、226d、228a、228b、228c、228d:電気回路素子
230a、230b、230c、230d:電気接続端子
234a、234b、234c、234d:フレキシブルケーブル
Claims (4)
- レンズを内蔵した入力側及び出力側に設置された光ファイバ端子と、
光パルス列を、第1光路を伝播する光パルス列と第2光路を伝播する光パルス列とに分波する分波器と、
該第1光路と該第2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する合波器と、
該第1光路中に設けられたレンズを内蔵した第1光変調器と、
該第2光路中に設けられたレンズを内蔵した第2光変調器及び遅延微調器とを具え、
前記分波器から前記第 1 光変調器までの光路長と、前記分波器から前記第 2 光変調器までの光路長と、前記第 1 光変調器から前記合波器までの光路長とが等しく、かつ前記第 1 光変調器から前記合波器までの光路長と前記第 2 光変調器から前記合波器までの光路長との差が、前記分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に等しく設定されており、
前記入力側の光ファイバ端子に固定された光ファイバの先端の実像が、前記第 1 及び第 2 光変調器の光導波路のそれぞれの入射端に結像されるように形成されており、
前記第 1 及び第 2 光変調器の光導波路のそれぞれの出射端の実像が、前記出力側の光ファイバ端子に固定された光ファイバの先端に結像されるように形成されている
ことを特徴とする光素子集積モジュール。 - レンズを内蔵した入力側及び出力側に設置された光ファイバ端子と、
光パルス列を、第1光路を伝播する光パルス列と第2光路を伝播する光パルス列とに分波する分波器と、
該第1光路と該第2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する合波器と、
該第1光路中に設けられた遅延微調器及びレンズを内蔵した第1光変調器と、
該第2光路中に設けられたレンズを内蔵した第2光変調器とを具え、
前記分波器から前記第 2 光変調器までの光路長と、前記第 1 光変調器から前記合波器までの光路長と、前記第 2 光変調器から前記合波器までの光路長とが等しく、かつ前記分波器から前記第 1 光変調器までの光路長と前記分波器から前記第 2 光変調器までの光路長との差が、前記分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の半分に相当する時間差を生じさせる光路差に等しく設定されており、
前記入力側の光ファイバ端子に固定された光ファイバの先端の実像が、前記第 1 及び第 2 光変調器の光導波路のそれぞれの入射端に結像されるように形成されており、
前記第 1 及び第 2 光変調器の光導波路のそれぞれの出射端の実像が、前記出力側の光ファイバ端子に固定された光ファイバの先端に結像されるように形成されている
ことを特徴とする光素子集積モジュール。 - 光パルス列を、第N1光路を伝播する光パルス列と第N2光路を伝播する光パルス列とに分波する第N分波器と、
該第N1光路と該第N2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する第N合波器と、
該第N1光路中に設けられた、第1のN/2逓倍器と、
該第N2光路中にそれぞれ設けられた、第2のN/2逓倍器、及び第N遅延微調器とを具え、
前記第 1 の N/2 逓倍器は、分波器、合波器及び光変調器を具えた N/2 逓倍を実現する光素子集積モジュールであって、
前記第 2 の N/2 逓倍器は、分波器、合波器及び光変調器を具えた N/2 逓倍を実現する光素子集積モジュールであって、
前記第 N 分波器から前記第 1 の N/2 逓倍器までの光路長と、前記第 N 分波器から前記第 2 の N/2 逓倍器までの光路長と、前記第 1 の N/2 逓倍器から前記第 N 合波器までの光路長とが等しく、かつ前記第 1 の N/2 逓倍器から前記第 N 合波器までの光路長と前記第 2 の N/2 逓倍器から前記第 N 合波器までの光路長との差が、前記第 N 分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の 1/N に相当する時間差を生じさせる光路差に等しく設定されており、
前記光変調器へ電気信号を供給するために使われる電気接続端子を、光学素子が配置される基板の面に対して、該電気接続端子の軸方向が垂直になるように構成されている
ことを特徴とする光素子集積モジュール。
ここにおいて、N=2n であり、nは2以上の自然数である。 - 光パルス列を、第N1光路を伝播する光パルス列と第N2光路を伝播する光パルス列とに分波する第N分波器と、
該第N1光路と該第N2光路とをそれぞれ伝播した光パルス列を合波する第N合波器と、
該第N1光路中にそれぞれ設けられた第N遅延微調器及び第1のN/2逓倍器と、
該第N2光路中に設けられた第2のN/2逓倍器とを具え、
前記第 1 の N/2 逓倍器は、分波器、合波器及び光変調器を具えた N/2 逓倍を実現する光素子集積モジュールであって、
前記第 2 の N/2 逓倍器は、分波器、合波器及び光変調器を具えた N/2 逓倍を実現する光素子集積モジュールであって、
前記第 N 分波器から前記第 2 の N/2 逓倍器までの光路長と、前記第 1 の N/2 逓倍器から前記第 N 合波器までの光路長と、前記第 2 の N/2 逓倍器から前記第 N 合波器までの光路長とが等しく、かつ前記第 N 分波器から第 1 の N/2 逓倍器までの光路長と前記第 N 分波器から前記第 2 の N/2 逓倍器間での光路長との差が、前記第 N 分波器に入射する光パルス列のパルス間隔の 1/N に相当する時間差を生じさせる光路差に等しく設定されており、
前記光変調器へ電気信号を供給するために使われる電気接続端子を、光学素子が配置される基板の面に対して、該電気接続端子の軸方向が垂直になるように構成されている
ことを特徴とする光素子集積モジュール。
ここにおいて、N=2n であり、nは2以上の自然数である。
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