JP3743749B2 - ガラス成形体の製造方法、プレス成形用プリフォームの製造方法、プレス成形品の製造方法、及び光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス成形体の製造方法、プレス成形用プリフォームの製造方法、プレス成形品の製造方法、及び光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、品質の高さが要求される光学ガラスなどのガラスの流出技術及び成形技術、並びにこれらの技術によりプレス成形のためのプリフォームを作製する方法、このプリフォームを用いたプレス成形品の製造方法、さらに上記ガラスからなる光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
成形用の溶融ガラスをノズルから流出させ、所定量の溶融ガラス塊とし、この溶融ガラス塊から光学ガラス製品を製造する方法が知られている。
この方法では、溶融ガラスをノズルから流出させる際に、ノズルの外周部にガラス融液が濡れ上がる現象があり、この濡れ上がり現象は、光学ガラス製品の脈理や失透の原因となる。そこで、濡れ上がり現象を防止し、脈理や失透のないガラス成形品を得る技術がいくつか提案されている(特開2000−154025号公報、特開平9―202623号公報、及び、特開平8−73229号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−154025号公報では、ガラスの濡れが比較的少ないAu材料に注目し、流出ノズルの外周部分にAuを使用してガラス融液の濡れ上がりを防止している。しかし、この方法は流出温度がAuの融点により制約されるため、比較的失透温度の低いガラスにしか適用できない。また、Auを使用したノズルでは、ノズルから流出した後のガラスの変質を防止する効果は無く、ノズル部分に付着したガラスや流出後のガラスの変質を抑制することは出来ない。
【0004】
特開平9―202623号公報には先端構造を二重化したノズルを用いるガラス変質防止方法が開示されている。この方法では、ノズル先端部分を二重構造にしたノズル下面に設けたガス吹き出し出口穴よりガスを放出させ、放出ガスにより流出ガラスを被い、ガラスの失透を防止している。しかし上記ノズルは先端構造を二重化したため、ノズル下面にあるガス吹き出し面が広く、ガラス流出を停止した時にガラスがノズル下面に広範囲に付着し、ガラス流出再開時にガラス除去が困難であるという問題がある。また、ガス吹き出し穴周辺のガラスが完全に取れきれないと、この部分のガラスが失透してしまうと言う問題が起こる。
【0005】
特開平8−73229号公報には、ノズル塗れ上がり防止方法が開示されている。この方法はノズル先端をマッフル状に覆い、その中に非酸化性のガスを導入して濡れ上がりを防止する方法である。しかし、この方法では、高屈折高分散ガラスのような失透温度の高い硼酸−ランタン系ガラスや、弗燐酸ガラスのような反応性に富む弗素含有ガラス組成のガラス表面の変質は防止することはできない。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、流出ノズルへの溶融ガラスの濡れを防止するとともに、ガラスの変質を防止することができる溶融ガラス塊の製造方法を提供することを目的とする。
加えて、本発明は、上記方法を用いてガラスの変質を低減したプレス成形用プリフォームを製造する方法、前記方法によって作製されたプリフォームを用いて高品質のプレス成形品を製造する方法、並びに光学素子を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以下、上記課題を解決するための手段について説明する。
(請求項1)
乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から溶融ガラスを流出させ、流出した溶融ガラスから溶融ガラス塊を作成し、次いで該溶融ガラス塊からガラス成形体を作成するか、または流出した溶融ガラスからガラス成形体を作成する、ガラス成形体の製造方法。
(請求項2) 前記溶融ガラス塊の作成を、流出した溶融ガラスを下型上に受けることで行い、かつ前記ガラス成形体の作成を、前記溶融ガラス塊が軟化状態にあるうちに前記下型と、該下型に対向する成形面を有する上型とを用いて前記溶融ガラス塊をプレス成形してプレス成形品を得ることで行う、請求項1に記載の製造方法。
(請求項3) ガラス成形体が板状であり、かつ流出した溶融ガラスからのガラス成形体の作成を、溶融ガラスを成形型に該成形型の一方の端から連続的に流し込み、かつ上記成形型で板状に成形されたガラス成形体を該成形型の他方の端から連続的に取り出すことで行う請求項1に記載の製造方法。
(請求項4) 前記溶融ガラスの流出から溶融ガラス塊またはガラス成形体を作成するまでの間も、溶融ガラス及び溶融ガラス塊は乾燥ガス雰囲気下に置かれる請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項5)液体窒素、又は液体窒素及び液体酸素を沸騰させて得られる乾燥ガスを少なくとも前記流出口付近に供給することで、前記乾燥ガス雰囲気を形成する請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項6) 前記乾燥ガスが、水分含有量が400ppm以下のガス、又は露点が−30℃以下のガスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
(請求項7) ガラス成形体がプレス成形用ガラスプリフォームである請求項1または2に記載の製造方法。
(請求項8) 請求項3に記載の方法により板状のガラス成形体を製造し、得られた板状のガラス成形体を切断してガラス片とし、得られたガラス片をバレル研磨してプリフォームを得るプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
(請求項9) 請求項6または7に記載の方法により製造されたプリフォームを加熱する工程、及び加熱されたプリフォームをプレス成形してプレス成形品を得る工程を含むプレス成形品の製造方法。
(請求項10) 請求項2または9に記載の方法により製造されたガラス成形品を研削、研磨加工して光学素子を作製する工程を含む光学素子の製造方法。
(請求項11) 請求項6または7に記載の方法により製造されたプリフォームを加熱する工程、及び加熱されたプリフォームを精密プレス成形して光学素子を得る工程を含む光学素子の製造方法。
【0008】
以下、好ましい形態を挙げる。
(好ましい形態1)
ノズル流出口付近に供給される乾燥ガスの温度を流出するガラスの軟化点以上にすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法。
(好ましい形態2)
流出したガラスの表面、例えば、溶融ガラス塊の表面が晒される乾燥雰囲気が、水分含有量400ppm以下の雰囲気、又は露点が−30℃以下のガスからなる雰囲気であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
(好ましい形態3)
乾燥ガスとして、液化ガスから得られたガスを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法。
液化ガスとしては、液体窒素、液体酸素、液体炭酸ガスなどが好ましい。液化ガスを沸騰させて得られるガスは、水分含有量が極めて少なく、乾燥ガスとして好ましい。液化ガスを沸騰して得られる乾燥ガスは、水蒸気が混入しないよう、密閉された流路によってノズル流出口またはガラスの表面へと導くことが好ましい。
(好ましい形態4)
請求項1または好ましい形態3において、液化ガスから得られたガスをガラスの軟化点以上、より好ましくはガラスの流出温度に加熱して前記乾燥ガスとして用いるガラス成形体の製造方法。
(好ましい形態5)
好ましい形態4において、液化ガスから得られたガスを加熱して前記乾燥雰囲気として用いるガラス成形体の製造方法。
(好ましい形態6)
乾燥ガスは、窒素ガス、炭酸ガス、不活性ガス、水素ガス、酸素ガス又はこれらの混合ガスである請求項1〜7のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法。中でも、窒素ガス、炭酸ガス、又はその混合ガス、窒素ガスと酸素ガスの混合ガス、炭酸ガスと酸素ガスの混合ガス、窒素ガスと炭酸ガスと酸素ガスの混合ガスが好ましく、窒素ガス、又は窒素ガスと酸素ガスの混合ガスがより好ましい。窒素ガスは、液体窒素から得られたもの、炭酸ガスは液体炭酸ガスから得られたものが好ましい。尚、液体炭酸ガスは、高圧下で、炭酸ガスを液化したものである。
(好ましい形態7)
請求項1〜7のいずれかに記載されたガラス成形体の製造方法、又は好ましい形態1〜6のいずれかの形態において、B23、K2O、N2O、Li2O、P25、弗素化合物からなる群より選ばれる一種又は複数種の成分を含むガラスを成形するガラス成形体の製造方法。
(好ましい形態8)
請求項1〜7のいずれかに記載されたガラス成形体の製造方法、又は好ましい形態1〜7のいずれかの形態において、ノズル流出口が白金又は白金合金によって形成された流出口を備えたノズルを用いて溶融ガラスの流出を行うことを特徴とするガラス成形体の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態について説明する。
溶融ガラスを流出させる成形用の流出用ノズル先端のガラス流出口のガラス濡れ上がりを防止しすると共に、流出ガラスの変質を防止して均質な成形品を提供するため、ノズルの材料である白金、あるいは白金合金とガラスの関係において、白金、白金合金とガラスを覆う雰囲気ガス種と雰囲気ガス種中の水蒸気の影響に付いて誠意研究を重ねた結果下記のことが明らかとなった。
1)ノズルにおけるガラスの濡れ上がりを促進する物質は酸素ガスの他に雰囲気中の水分であり、濡れ上がる程度は、雰囲気中の水分量に依存する。
2)窒素ガスなどの非酸化性ガスであってもガス中に水分が含まれているとその影響によって、濡れ上り防止効果が得られない。
3)水分量が同じ場合、濡れ上がりは純酸素雰囲気下よりも純窒素雰囲気下のほうが少ない。
4)ガラス変質量は完全な窒素、不活性ガスなどの非酸化性ガス雰囲気よりも、酸素を適度混合したガスの方がガラスの変質量が少ない場合が有る。
【0010】
本発明は上記研究結果に基づき導き出されたもので、溶融ガラスを流出させる流出用ノズル先端のガラス流出口と流出ガラスの雰囲気を実質的に水分含まない乾燥ガスとするガラス成形体の製造方法を提供する。特に本発明は、流出ガラスの雰囲気中に含まれる水蒸気とガラス組成中の反応性に富む成分(B23、K2O、Na2O、Li2O、P25、及び弗素化合物)が水蒸気と反応する事を抑制し、高品質な成形品を得ることができるガラス成形体の製造方法を提供する。
【0011】
まず、溶融ガラスからガラスを成形する場合、成形されたガラスの品質を低下させる要因には、以下の要因がある。
第1の要因は、ノズル流出口のまわりに溶融ガラスが濡れ上がり、この部分でガラスが変質し、その影響がノズルから連続して流出されるガラスの品質に悪影響を及ぼすというもの。
第2の要因は、流出した高温のガラス表面が変質し、ガラスの品質を低下させるというものである。
第1の要因では、雰囲気中の水蒸気が濡れ上がりを助長し、第2の要因では、雰囲気中の水蒸気がガラス表面を変質させている。このように、第1、第2の要因とも雰囲気中の水分量を低減することによって成形されるガラスの品質を改善することができる。
【0012】
第1の要因によるガラス品質の低下を防ぐには、少なくともノズル流出口が乾燥雰囲気下に置かれた状態で、溶融ガラスの流出を行う。溶融ガラスのノズルに対する濡れ性は乾燥雰囲気中において減少するため、このような雰囲気を用いることによって、濡れ上がりによるガラス品質の低下を防ぐことができる。ところで、先に説明したように、従来、ガラス流出時の雰囲気を不活性ガスとすることは知られていたが、そのガスをどのようなソースから供給するべきかという点については何ら注意が払われていなかった。例えば、窒素ガスを雰囲気に使用する場合、入手しやすい市販の高圧窒素ボンベ中のガスをそのまま使用していた。しかし、このようなボンベには、外部から水分が混入し、その水分によりガラスの品質が低下してしまうことが、本発明者の検討で明らかになった。
【0013】
そこで本発明のガラス成形体の製造方法では、乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から溶融ガラスを流出させる。乾燥ガス雰囲気を構成する乾燥ガスは、例えば、水分含有量が400ppm以下、又は露点が−30℃以下のガスであることが好ましい。乾燥ガス雰囲気を構成する乾燥ガスの水分含有量は、好ましくは380ppm以下である。乾燥ガスの水分含有量の下限には特に制限はなく、理想的には0ppmであるが、実際上入手できる乾燥ガスの水分含有量は100ppm以上のものである。また、乾燥ガス雰囲気を構成する乾燥ガスの露点は、好ましくは−30℃以下である。乾燥ガスの露点の下限には特に制限はないが、実際上入手できるガスの露点の下限は、−80℃程度である。
【0014】
上記水分含有量または露点を有する乾燥ガスは、例えば、液体ガスを沸騰させて得られるガスであることができる。液体ガスとしては、例えば、液体窒素、液体酸素を挙げることができる。また、乾燥ガスとして高圧ガスを使用する事もできる。例えば、高圧ヘリウムガス、高圧アルゴンガスを使用する場合は、露点が−60℃のグレードや、超高純度グレード(露点が−80℃)を指定すればよい。従って、これらの高圧ガスからガスを乾燥ガスとして利用することもできる。但し、高圧ガスは容器の保存状況によっては、露点が上昇することが有るので、十分に管理された高圧ガス容器からのガスを使用することが好ましい。
また、水分含有量または露点が上記範囲に入らないガスであっても、合成ゼオライト等の乾燥剤を充填したカラムを通過させて、水分含有量または露点が所定の値になったガスを乾燥ガスとして使用することはできる。
【0015】
乾燥雰囲気ガスとしては、窒素ガス、不活性ガス、炭酸ガス、水素ガス、酸素と窒素ガス及び/又は不活性ガスの混合ガスなどを用いることが好ましい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン等を例示できる。
雰囲気中の水分量が同じ場合、ガラスの濡れ性は窒素雰囲気よりも酸素を含む雰囲気のほうが大きくなる傾向がある。したがって、ガラスの濡れ性を小さくする上では、窒素ガスを用いるほうが有利である。しかし、変質しやすいガラスの成形では、酸素を適度に混合した雰囲気のほうが、変質防止の効果が高い。したがって、このようなガラスでは、酸素と窒素ガスの混合ガスを使用することが好ましい。窒素ガスの代わりにヘリウム、アルゴンなども用いる場合にも同様である。
【0016】
酸素と窒素ガスの混合ガスの使用が好ましいガラスとしては、▲1▼アルカリ(K2O,Na2Oなど)を含み且つTiO2及び/又はNb2O5のいずれかを含む組成、▲2▼リン酸を主成分(ガラス成分のうち含有量が最も多い成分か、2番目に多い成分)とし、TiO2及び/又はNb2O5を含む組成、▲3▼硼酸を含み、尚かつLa, Ta, Y, Zr, Nb, Ga, RO(Rはアルカリ土類金属元素、Znなどの2価金属成分)からなる成分の1種又は複数種を含む組成などを例示することができる。雰囲気中の酸素分圧は、流出ガラスの組成種と流出ガラス温度、その時の粘性により適時変更する事が望ましいが、体積比率で混合酸素濃度は10%以下で十分であり、好ましくは5%〜0.1%である。
【0017】
次に、第2の要因およびこの要因によるガラスの品質低下を防止する方法について詳述する。高温状態のガラスを開放状態で大気中に曝し、注意深く観察すると、青白い揮発物質がガラス表面から立ち上るのが肉眼で認められる。この観察される状態は、ガラスそれ自身の蒸気圧の問題と、そのガラスがおかれた環境状態によっても異なる。特にガラスが反応性に富む成分が含有していると、その成分が大気中の水分と反応してガラスの変質が促進される。中でも弗燐酸ガラス中の弗素は大気中の水分と反応し刺激臭のある、HFガスを生成し、硼酸―ランタン系もしくはアルカリを含むガラス(硼酸、ランタンを含むガラス又はアルカリを含むガラス)のB23成分もしくはアルカリ成分は大気中の水分と反応しHBO2, NaOH, KOH成分などを生成する。このような反応により、ガラス成分が大気中の水分と反応し、ガラス表面の組成が変化しガラスの変質がおこる。このような反応を防止するため、流出したガラスの表面が晒される雰囲気を乾燥雰囲気とすることが望ましい。そこで、本発明では、溶融ガラスの流出から溶融ガラス塊またはガラス成形体を作成するまでの間も、溶融ガラス及び溶融ガラス塊は乾燥ガス雰囲気下に置かれることが好ましい。
【0018】
溶融ガラス及び溶融ガラス塊が置かれる乾燥ガス雰囲気は、上記で説明した乾燥ガス雰囲気度同様である。即ち、雰囲気ガス中の水分含有量を400ppm程度以下、又は露点が−30℃程度以下となるように雰囲気制御を行うことが好ましい。流出したガラス表面が晒される雰囲気についても、変質しやすいガラスの成形では、酸素を含む雰囲気のほうが、窒素ガス単体に比べて変質防止の効果が高い場合が有る。雰囲気中の酸素分圧は、流出ガラスの組成種と流出ガラス温度、その時の粘性、流出したガラスの温度(特に表面温度)により適時変更する事が望ましいが、体積比率で混合酸素濃度は10%以下で十分であり、好ましくは5%〜0.1%である。
【0019】
ノズル流出口周辺の雰囲気と流出したガラス表面が晒される雰囲気は別個にしてもよいが、成形装置への負担、操作性などを考慮すると、2つの雰囲気を同じものとすることが好ましい。
【0020】
次に、乾燥ガス雰囲気の温度、すなわちノズル流出口付近や流出したガラス表面付近に供給される乾燥ガスの温度について説明する。流出用ノズルの表面を加熱又は保温してノズルへの揮発成分の付着を防止するため、乾燥ガス雰囲気の温度の温度は、成形するガラスの軟化温度以上にすることが好ましく、流出ガラス温度にすることがより好ましい。また、成形中の成形品の熱対流が過剰に発生することを防止するために、流出したガラスの表面が晒される乾燥ガス雰囲気の温度を成形するガラスの軟化温度以上にすることが好ましく、流出ガラス温度にすることがより好ましい。乾燥ガス雰囲気の加熱は、いずれの場合も、直接または間接に行う事ができる。両者の乾燥ガス雰囲気は、別々に制御してもよいし、これらの乾燥雰囲気に仕切りを設けず互いに交じり合うようにしてもよい。
【0021】
ノズル流出口近傍への乾燥ガスの供給例としては、図2に示すようにノズル外周を取り囲むように乾燥ガスの流路を設け、その流路からノズル先端の流出口を突出するようにし、溶融ガラスの流出方向に平行になるよう、また、ノズルの全周に均等で一定の流量になるように乾燥ガスを流す方法を挙げることができる。図2の装置については後述する。このようにすることによって、ノズル流出口周辺で乾燥ガスの層流が形成され、流出口を含むガラス流出経路が乾燥ガスによってパージされ、乾燥雰囲気中で溶融ガラスの流出を行うことができる。なお、乾燥ガスにより空気や水分を含んだガスをパージすることによって、大掛かりなチャンバーなどを使用しなくても、大気下でガラスを変質させずに成形することができる。
【0022】
ノズルからの溶融ガラスの流出は、溶融ガラスからなるガラス滴を滴下するものであってもよいし、溶融ガラス流を連続して流出するものであってもよい。即ち、本発明のガラス成形体の製造方法では、乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から流出した溶融ガラスから溶融ガラス塊を作成し、次いで該溶融ガラス塊からガラス成形体を作成することができ、あるいは、乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から流出した溶融ガラスから直接ガラス成形体を作成することもできる。
溶融ガラス流の連続流出では、所定の間隔で流出した溶融ガラス流の先端部を溶融ガラス流から分離、切断して、その先端部を順次、成形するようにしてもよいし、溶融ガラス流を分離、切断せず、比較的、大きな成形体を連続的に成形してもよい。
【0023】
溶融ガラス流出用のノズルとしては、白金製のもの、又は白金合金製のものが好ましい。白金合金としては白金と金の合金が好ましい。白金―金合金製ノズルを使用する場合は、耐熱性、低い濡れ性が得られることを考慮し、金の含有量が5%程度のものを使用することが望ましい。乾燥ガス雰囲気下のノズル流出口より溶融ガラスを流出することにより、濡れ上がりそのものを低減することができるが、さらに濡れ上がった高温状態のガラスが変質し、失透するのを防止することもできる。
【0024】
(ダイレクトプレス成形)
本発明の成形体の製造方法は、流出した溶融ガラスを下型上に受けることで溶融ガラス塊の作成を行い、次いで、作成された溶融ガラス塊が軟化状態にあるうちに前記下型と、該下型に対向する成形面を有する上型とを用いて前記溶融ガラス塊をプレス成形してプレス成形品を得ることを含むことができる。このプレス成形品は、例えば、プリフォームであることができる。
流出したガラスからの成形体の製造方法を、プリフォーム成形を例に、以下に、説明する。
【0025】
図1は溶融ガラスをダイレクトプレス成形する装置の概略説明図を示したものである。溶融ガラスは溶融ガラス供給部1の上部に設けられたガラス溶解炉で溶解、清澄、均質化され、溶融ガラス供給部1へと導かれる。溶融ガラス供給部1の下端には溶融ガラスを流出する流出パイプ2(流出ノズル)が取付けられており、その下端の流出口から溶融ガラス3を連続流出する。ガラスの流出量が一定になるように、流出パイプ2を含む溶融ガラス供給部は調温されているが、調温機構は図示していない。
【0026】
流出口から流下する溶融ガラス流は、シアと呼ばれる切断刃20によって切断され、一定重量の溶融ガラスが流出口下方に待機している下型成形面上に供給される(キャストという)。一定重量の溶融ガラス(ゴブ)を受け取った下型11は、プレス成形を行う位置へ移送され、そこで、下型と下型に対向する上型とによってプレス成形され、成形後、成形品は下型上から取出される(テイクアウトという)。複数の下型をターンテーブル上に配置し、ターンテーブルをインデックス回転させて、下型を循環して、各下型を用いたキャスト、プレス、テイクアウトの一連の工程を順次繰返して行う。
【0027】
この一連の工程を繰返して行う間、溶融ガラス流出口付近は、例えば、乾燥した窒素ガスによって満たされている。多量の液体窒素から得られる窒素ガスをマスフローコントローラ7へと導き、流量を一定にする。窒素ガスはさらに配管6により溶融ガラス供給部1へと導かれる。
【0028】
図2は溶融ガラス供給部1の下部断面を示したものであり、配管6で導かれた窒素ガスは、流出パイプの全周に設けられた流路10a、10b、10cへと導かれ、流出パイプ2の流出口全周から均等な流量で鉛直下方に向けて噴出する。なお、窒素ガスに外気が混入して水分含有量が増大しないよう、液体窒素貯蔵容器からガスが噴出するまでの間の窒素ガス流路は密閉状態とする。
このように乾燥窒素ガスを噴出することにより、流出パイプの流出口付近は乾燥ガスで満たされ、大気中の水蒸気が流出口付近の侵入するのを防止できる。なお、液体窒素から得られる窒素ガスは低温なので、窒素ガスが流出パイプに触れる前に加熱することが好ましい。
噴出した窒素ガスはキャスト位置にある下型11方面に向かって流れ、キャストされたガラスの表面が大気に晒されるのを低減する働きをすることもできる。
【0029】
以上、窒素ガスを乾燥ガスとして用いる場合について説明したが、上述したように硝種によっては、酸素ガスと窒素ガスの混合ガスやその他のガスを使うこともできる。その場合も、液体窒素から乾燥窒素ガスを得るのと同様にして、液体酸素から乾燥酸素ガスを得、窒素ガスと一定の混合率で混合し、流路10cから噴出すればよい。
なお、下型上にキャストされたガラスには、別途、ガラスが過度に冷却しない温度、流量の乾燥ガスを吹き付けてもよい。このガスは、流路10cから噴出するものと同じにすることが好ましい。
【0030】
(ガラス板の成形)
本発明の成形体の製造方法は、ガラス成形体が板状であり、かつ流出した溶融ガラスからのガラス成形体の作成を、溶融ガラスを成形型に該成形型の一方の端から連続的に流し込み、かつ上記成形型で板状に成形されたガラス成形体を該成形型の他方の端から連続的に取り出すことで行う態様も含む。以下、この態様についてさらに説明する。
【0031】
図3は、溶融ガラスからガラス板を連続成形する装置の平面図である。図4は、この装置の垂直断面図である。
図3では、オリフィス4(ノズル)から一定スピードで連続して流出する溶融ガラス3を鋳型1に流し込み、ガラス板が連続成形される。鋳型1は溶融ガラスを受ける底板11と、2つの対向する側板12及び13、そしてストッパー板14からなる。ストッパー板14に対向する方向に鋳型は開放されており、底板と2つの側板によって一定厚、一定幅の板状に成形されたガラスは、鋳型開放端からアニール炉へと移送され、アニールされた長尺のガラス板が成形される。
【0032】
オリフィス4を含む、溶融ガラス供給部は、上述したダイレクトプレス成形の際に用いたものと同様である。オリフィス4の全周からは乾燥ガスが吹き出され、オリフィスの流出口近傍と流出したガラス表面を覆う。これにより、大気が直接、流出口や流出したばかりの溶融ガラスに触れるのを防ぐことができる。乾燥ガスの選択も硝種により窒素ガスを用いるか、窒素と酸素の混合ガスを用いるか適宜決定できる。
【0033】
本発明は、上記の方法により板状のガラス成形体を製造し、得られた板状のガラス成形体を切断してガラス片とし、得られたガラス片をバレル研磨してプリフォームを得るプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法を包含する。
ガラス板を賽の目状に所定幅で切断し、カットピースと呼ばれるガラス片を得た後、これにバレル研磨を施して、プレス成形用プリフォームとすることができる。ここでプレス成形用プリフォームとは、精密プレス成形用であるかどうかを問わず、加熱軟化して、プレス成形されるために供されるプレス成形用素材を意味する。尚、上記の方法により成形されたガラス板の用途は様々であるが、プレス成形用素材を作るための母材としての用途はその一例示である。
【0034】
(精密プレス成形用プリフォームの成形)
本発明の成形体の製造方法は、溶融ガラスからプリフォームを直接得る方法も包含する。この方法には、例えば、(1)ノズルより所定量の溶融ガラス滴を滴下して、これを受け型、あるいは液体で受け、ガラス成形体を成形する方法、(2)ノズルから流出する溶融ガラス流の先端部を受け型で受け、先端部が所定量になったときに溶融ガラス流の流出速度よりも十分大きな速度で受け型をノズル流出口から離すことによって、所定量の溶融ガラスを受け型に受け取り、ガラス成形体に成形する方法、(3)同じく溶融ガラス流の先端部を受け型で受け、先端部が所定量になったときに溶融ガラス流に生じる「くびれ部分」で先端部が分離し、これを受け型でガラス成形体に成形する方法などがある。
【0035】
図5は、溶融ガラスから精密プレス成形用プリフォームを成形する装置の概略説明図である。図5は、ノズル2から所定重量のガラス滴9を滴下して、受け型8で受け、球状のプリフォームを成形する様子を示している。溶融ガラス供給部1の構造は概ね、上述のダイレクトプレス成形及びガラス板の成形に使用されたもの(図2に示したもの)と同じである。但し、図6に下部断面を示すように、ノズル先端4aがガラスの滴下に適した形状(基部よりも先端部を細くしている)になっている。そして、一定流量の乾燥ガスを流路11から鉛直下方に向けてノズル全周にわたって均等に噴出させる。乾燥ガス噴出は、ノズルの流出口が大気に晒されるのを防止する働きをすると同時に、ノズル先端の液滴状のガラス融液に鉛直下方に風圧を加える働きもする。このような風圧を加えることで、より微量なガラス融液の滴下が可能になり微小プリフォームを成形することもできる。滴下するガラスを受けた受け型は、ノズル下方から搬出され、空の受け型がノズル下方に搬入されて、次のガラス滴を受ける。このようにして次々をプリフォームが成形されていく。
【0036】
なお、受け型8底部には溶融ガラス滴9を受け型上で浮上回転させるためのガスを噴出する孔が設けられ、乾燥ガスを噴出している。このガスもノズル先端に沿って吹き出す乾燥ガスと同様のものにすることが望ましい。
乾燥ガスの選択も硝種により窒素ガスを用いるか、窒素と酸素の混合ガスを用いるか決めればよい。
図5に示した方法は、プリフォーム成形の一例であって、目的とするプリフォームの重量、形状、硝種によって、公知の方法に本発明の方法を適用して良好な成形を行うことができる。
【0037】
(プリフォームを用いた再加熱プレス成形)
本発明は、上記の方法により製造されたプリフォームを加熱する工程、及び加熱されたプリフォームをプレス成形してプレス成形品を得る工程を含むプレス成形品の製造方法を包含する。
上記方法で作製されたプリフォームは、加熱、軟化して、プレス成形型によりプレス成形して成形品を得ることができる。精密プレス成形では各種レンズなどの最終製品を得ることができる。また、光学素子ブランクをプレス成形する方法では、作製したブランクに研削、研磨加工を施して各種レンズなどの光学製品を作製することができる。プリフォームの加熱軟化法、プレス成形型によるプレス成形法はいずれも公知の方法であり、本発明でも公知の方法を適宜使用できる。
【0038】
流出ガラスを上記のように受け型で受けて成形する場合、あるいは鋳型に鋳込んで成形する場合、成形されるガラスの表面に乾燥ガスを吹き付ける、あるいは、上述したノズル近傍を流れる乾燥ガスを成形を行う部分に導き、流出ガラスの表面を乾燥雰囲気で覆うようにすることもできる。なお、乾燥雰囲気の水分量をより少なくするため、乾燥ガスの流路に覆いを設けることもできる。ただし。作業性を考慮すると、ガラスの流出、成形は密閉空間で行うよりも、開放空間で行うことが好ましい。開放空間で行う場合であっても、乾燥ガスの流量を一定以上に保てば、乾燥ガス雰囲気を形成する事はできる。この場合の乾燥ガスの流量は、ノズルや受け型の構造や寸法等により適宜決定できる。例えば、ノズル流出口周辺への乾燥ガスの流量は、例えば、圧力3kgf(約300kPa)で100リットル/分とすることができる。
【0039】
上記本発明の方法で作製されたプリフォームでは、ガラスの変質が低減されているので、光学素子成形といった極めて高い品質が要求される場合でも高い良品率を得ることができる。このような方法でプリフォームを成形することにより、成形品の良品率、最終製品である光学素子の良品率も高めることができる。
【0040】
なお、従来の方法、すなわち、大気中の水分量と同等の水分を含む不活性ガスの雰囲気中で、溶融ガラスの流出を行った結果、本発明の方法では認められなかった脈理、成形ガラス表面の変色、失透などの変質が成形されたガラスに見られた。特に、燐酸ガラス、弗燐酸ガラス、弗化物ガラス、硼酸含有ガラス、Si−Ti−アルカリ(Na, K, Liなど)含有ガラスなどのガラスでこのような変質が顕著であった。このような変質を含むガラスをレンズなどの高品質が要求される光学素子に使用することはできない。
それに対し、乾燥雰囲気中で流出、成形を行った場合では、燐酸ガラス、弗燐酸ガラス、弗化物ガラス、硼酸含有ガラスなどのガラスでも変質は見られず、良好なプリフォーム、プレス成形品、光学素子を作製することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1及び2に示す装置を用いて、ノズル流出口近傍に乾燥窒素ガスを流すとともに、SiO2−アルカリ金属酸化物系光学ガラスが得られる溶融ガラスを一定速度で流出しながら大気中にてダイレクトプレス成形によりレンズブランクを成形した。窒素ガスは工業用高純度液体窒素を沸騰させて得られたものであり、露点は−70〜−55℃の範囲となっている。このようにして、上記光学ガラスからなるレンズブランクを得る。レンズブランクには、流出時のガラス濡れ上がりなどによる変質は見られなかった。さらに、レンズブランクをアニールした後、研削、研磨を施してレンズに仕上げた。
【0042】
(実施例2)
図3及び4に示す装置を用いて、ノズル流出口近傍に乾燥窒素と乾燥酸素を混合した乾燥混合ガスを流しながら、燐酸ガラスが得られる溶融ガラスを流出して、前述したガラス板の成形を行った。混合ガスの露点は、−70〜−55℃の範囲となっている。なお、混合ガス中の酸素ガスの占める割合を10%(体積比率)とした。
作成されたガラス板に変質は認められなかった。アニール後、ガラス板を分割切断し、複数のカットピースと呼ばれるガラス片を作った。これらのガラス片にバレル研磨を施して重量調整し、プレス成形用素材を作った。次いで、大気中にて加熱、軟化されたガラス素材をプレス成形型でプレス成形した。成形されたレンズブランクをアニールした後、研削、研磨を施してレンズに仕上げた。
【0043】
(実施例3)
図5及び6に示す装置を用いて、ノズル流出口近傍に乾燥窒素ガスを流すとともに、SiO2−アルカリ金属酸化物系光学ガラスが得られる溶融ガラスを一定速度で流出しながら、溶融ガラスをノズルから滴下して所定重量の精密プレス成形用プリフォームの成形を行った。窒素ガスは工業用高純度液体窒素を沸騰させて得られたものであり、露点は−70〜−55℃の範囲となっている。なお、溶融ガラス滴を受ける受け型からも露点が−70〜−55℃の乾燥窒素ガスが上向きに噴出されている。この受け型から噴出するガスの風圧によって溶融ガラス滴は回転しながら球状のプリフォームに成形される。
このようにして成形された、上記光学ガラスからなるプリフォームに変質は見られなかった。このプリフォームを加熱、軟化して窒素ガス雰囲気中においてプレス成形型を用いて精密プレス成形した。このようにして精密プレス成形により非球面レンズを得た。
【0044】
(実施例4)
切断機を外し、溶融ガラスを受ける型を、溶融ガラスを受ける凹部を備え、その凹部にガスを噴出する複数の細孔が設けられた受け型と交換した以外は、図1に示す装置と同様の装置を用いて、ノズル流出口付近に乾燥窒素ガスを流すとともに、SiO2−TiO2−Nb25−アルカリ金属酸化物系光学ガラスが得られる溶融ガラスを一定速度で流しながらガラス塊の成形を行った。この受け型は、ノズル流出口付近に近づけられた位置で溶融ガラス流の先端を受ける。それから流出速度よりも早い速度で受け型が降下され、切断機を使わずに所要量の溶融ガラスを凹部に受け取り、ガラス塊に成形する。溶融ガラスを受ける受け型の細孔からは、上向きのガスが噴出しており、この噴出ガスによる風圧によって、受け型上で溶融ガラス塊は略浮上しながらマーブル状のガラスゴブに成形される。ノズル流出口近傍に流す窒素ガスおよび受け型から噴出するガスはともに露点が−70〜−55℃の範囲の乾燥窒素ガスである。ガラスゴブはガラスの濡れ上がりによる変質は見られなかった。ガラスゴブはアニールされた後にバレル研磨され、プレス成形用素材となる。プレス成形用素材は加熱、軟化され、大気中でプレス成形型によりプレス成形されてレンズブランクとなる。レンズブランクはアニールされた後に研削、研磨加工を施されてレンズになる。
【0045】
各実施例にて得られたレンズには必要に応じて反射防止膜などの光学薄膜を形成してもよい。また、レンズの他、光学フィルタ用基板、プリズムなどの光学素子の作成も同様に行うことができる。
また、窒素ガス以外に炭酸ガス、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガス、水素ガスも用いることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、流出ノズルへの溶融ガラスの濡れを防止するとともに、ガラスの変質を防止することができる溶融ガラス塊の製造方法を提供することができる。この方法によれば、成形用流出ノズルでガラスを流出成形する方法により、高品質なガラス成形体、例えばプレス成形用のプリフォームあるいはプリフォーム母材を作製することができる。さらに、このような方法で作製されたプリフォームを用いてプレス成形することにより、高品質な成形品を製造することができるとともに、レンズなどの光学素子等の極めて高い品質が要求されるガラス製品を安定して供給することができる。
また、本発明によれば、特に、燐酸ガラス、弗化物ガラス、弗燐酸ガラス、硼酸−ランタン系ガラス、シリカ−チタン−アルカリ系ガラスを用いて、より安定的に又高品質に成形品を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融ガラスをダイレクトプレス成形する装置の概略説明図。
【図2】図1に示す装置の溶融ガラス供給部1の下部断面図。
【図3】溶融ガラスからガラス板を連続成形する装置の平面図。
【図4】溶融ガラスからガラス板を連続成形する装置の垂直断面図。
【図5】溶融ガラスから精密プレス成形用プリフォームを成形する装置の概略説明図。
【図6】図5に示す装置の溶融ガラス供給部1の下部断面図。

Claims (13)

  1. ノズル流出口から溶融ガラスを流出させ、流出した溶融ガラスから溶融ガラス塊を作成し、次いで該溶融ガラス塊からガラス成形体を作成するか、または流出した溶融ガラスからガラス成形体を作成する、ガラス成形体の製造方法であって、前記溶融ガラスの流出を乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から行うとともに、液体窒素、又は液体窒素及び液体酸素を沸騰させて得られる乾燥ガスを少なくとも前記流出口付近に供給することで、前記乾燥ガス雰囲気を形成することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. ノズル流出口から溶融ガラスを流出させ、流出した溶融ガラスから溶融ガラス塊を作成し、次いで該溶融ガラス塊からガラス成形体を作成するか、または流出した溶融ガラスからガラス成形体を作成する、ガラス成形体の製造方法であって、前記溶融ガラスの流出を乾燥ガス雰囲気下にあるノズル流出口から行うとともに、前記乾燥ガス雰囲気を、水分含有量が 400 ppm以下、又は露点が− 30 ℃以下となるように雰囲気制御することで形成することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  3. ガラス成形体が、弗燐酸ガラスまたは硼酸−ランタン系ガラスからなる請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記溶融ガラスの流出から溶融ガラス塊またはガラス成形体を作成するまでの間も、溶融ガラス及び溶融ガラス塊を水分含有量が 400 ppm以下、又は露点が− 30 ℃以下となるように雰囲気制御した乾燥ガス雰囲気下に置く、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. ガラス成形体が、燐酸ガラスからなり、かつ
    前記溶融ガラスの流出から溶融ガラス塊またはガラス成形体を作成するまでの間も、溶融ガラス及び溶融ガラス塊を水分含有量が 400 ppm以下、又は露点が− 30 ℃以下となるように雰囲気制御した乾燥ガス雰囲気下に置く、請求項1または2に記載の製造方法。
  6. 前記溶融ガラス塊の作成を、流出した溶融ガラスを下型上に受けることで行い、かつ前記ガラス成形体の作成を、前記溶融ガラス塊が軟化状態にあるうちに前記下型と、該下型に対向する成形面を有する上型とを用いて前記溶融ガラス塊をプレス成形してプレス成形品を得ることで行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. ガラス成形体が板状であり、かつ流出した溶融ガラスからのガラス成形体の作成を、溶融ガラスを成形型に該成形型の一方の端から連続的に流し込み、かつ上記成形型で板状に成形されたガラス成形体を該成形型の他方の端から連続的に取り出すことで行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 液体窒素、又は液体窒素及び液体酸素を沸騰させて得られる乾燥ガスを少なくとも前記流出口付近に供給することで、前記乾燥ガス雰囲気を形成する、請求項2〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. ガラス成形体がプレス成形用ガラスプリフォームである請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 請求項に記載の方法により板状のガラス成形体を製造し、得られた板状のガラス成形体を切断してガラス片とし、得られたガラス片をバレル研磨してプリフォームを得るプレス成形用ガラスプリフォームの製造方法。
  11. 請求項に記載の方法により製造されたプリフォームを加熱する工程、及び加熱されたプリフォームをプレス成形してプレス成形品を得る工程を含むプレス成形品の製造方法。
  12. 請求項6または11に記載の方法により製造されたガラス成形品を研削、研磨加工して光学素子を作製する工程を含む光学素子の製造方法。
  13. 請求項に記載の方法により製造されたプリフォームを加熱する工程、及び加熱されたプリフォームを精密プレス成形して光学素子を得る工程を含む光学素子の製造方法。
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