JP3739901B2 - 異方性導電体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小さな電子部品、プリント配線板等の端子間を相互に電気的に接続するコネクタとして用いられる異方性導電体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
異方性導電体とは、ある一定の方向(上下方向であることが多い)にのみ電気的に導通があり、この導通のある方向と直交する方向には導通がないものをいう。かかる異方性導電体としては、グラファイトを主体とした導電体部と、弾力性を有するシリコーンゴム等の絶縁体部とを交互に配置させたものがある。
【0003】
この異方性導電体は、比較的小さな電子部品と、プリント配線板等とを相互に電気的に接続させる手段として用いられている。例えば、液晶表示の電子腕時計の内部において、異方性導電体は、比較的小さな電子部品としての液晶表示部のガラスの下面側縁部に所定のピッチで設けられている端子と、この端子と呼応するように液晶表示部の下部側に設けられている液晶駆動用LSI搭載プリント配線板のLSI側端子とを相互に電気的に接続するのに使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の異方性導電体は、導電体部のピッチが0.5〜1mm程度であり、これ以上狭いピッチのものは形成しづらかった。また、微少電力の接続にしか使用できなかった。かかる中、最近、電子部品は次第に小さくなってきており、例えば、その端子のピッチは100ミクロン程度となってきた。そのため、これらの電子部品間を接続する手段として、導電体部幅が50ミクロン以下の異方性導電体の実現が望まれている。
【0005】
本発明の目的は、狭ピッチ化と導電性能力の向上が図れる異方性導電体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る異方性導電体の製造方法は、絶縁被覆付微細金属線を筒状体に複数回巻きつけてリング状にするリング形成工程と、リング状にされた絶縁被覆付微細金属線を前記筒状体から取り外し、リングが潰される方向に2つ折りの束にする折り工程と、弾力性と絶縁性とを備えた熱硬化性接着剤からなる層と前記束の層とを交互に積層する積層工程と、この積層工程後に加熱処理を施して前記熱硬化性接着剤を硬化させる硬化工程と、この硬化工程後に出来た硬化物をスライスするスライス工程とを有している。
【0007】
この場合は、本発明に係る異方性導電体の製造方法で製造された異方性導電体は、その導電体部が絶縁被覆付微細金属線であるため、導電体部の狭ピッチ化が図れるともに、導電性能力も高い。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る異方性導電体の実施の形態について図1〜図4を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法によって製造された異方性導電体を示す概略的図面で、(A)は部分平面図〔ただし、製造時(図3の状態で)はこの面は正面側に位置されている。〕、(B)は(A)のB−B線断面図、図2はスライス工程前の異方性導電体の状態を示す概略的斜視図図3は本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法に用いられる製造用型枠を示す概略的斜視図、図4は本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法によって製造された異方性導電体の使用例を示す概略的断面図である。
【0009】
異方性導電体200は、図1に示されるように、弾力性と絶縁性とを備えた熱硬化性接着剤を硬化させてなる絶縁部250と、この絶縁部250の中に略一方向に略所定の間隔で離散的に複数配置された絶縁被覆付微細金属線による導電体部210とを有し、且つその導電体部210の両端が前記絶縁部250の端部に露出されている。絶縁部の熱硬化性接着剤は、例えば、シリコーン樹脂250αである。また、絶縁被覆付微細金属線は、市販のウレタン被覆銅線である。
【0010】
異方性導電体200の製造方法は、以下の通り、リング形成工程と、折り工程と、積層工程と、硬化工程と、スライス工程とを有する。
【0011】
先ず、リング形成工程は、絶縁被覆付微細金属線としての例えば直径15ミクロンのウレタン被覆銅線を、図示しない例えば直径20mmの筒状体に、例えば数十回巻きつけてリング状にする。
【0012】
次に、折り工程として、リング状にされたウレタン被覆銅線を前記筒状体から取り外し、リングが潰される方向に2つ折りの束にする。この束は、つまり、約30mmの長さ毎にウレタン被覆銅線を数十回×2回折り曲げたものに相当する。このような、束を多数作る。尚、このようなリング形成工程と折り工程とを採用することにより、極めて微細で切れやすいため取り扱いが困難な微細なウレタン被覆銅線を、切れないように所定の長さ(この場合約30mm)の折り線とできる。
【0013】
次に、積層工程として、図3と同様の形状の異方性導電体製造用型枠501をテフロン板によって準備する。ただし、凹部511は、図3において前後方向に開口し、例えば、その幅5mm、奥行き25mm、高さ10mmに形成する。この異方性導電体製造用型枠501の凹部511の底面側に、前記2つ折りの束にシリコーン樹脂250αを塗布したものを積載する。この際、2つ折りの束の折れ曲がり部には、シリコーン樹脂250αを塗布しなくてもよい。また、2つ折りの束の折れ曲がり部は、異方性導電体製造用型枠501の凹部511の両縁部よりはみ出すように配置する。
【0014】
このような2つ折りの束にシリコーン樹脂250αを塗布したものを積載する作業を繰り返し行い、十数回積み重ねる毎に、厚さ4mm・幅4.5mm・長さ25mmのテフロン板による押え板(図示省略)を凹部511の上方から置く。この押え板の荷重により、余分に塗布されたシリコーン樹脂250αと、この塗布段階で入り込んだ気泡とを、図3における凹部511の前後方向から排出させる。このようにしながら、2つ折りの束にシリコーン樹脂250αを塗布したものを積み重ねていき、例えば、その高さが7mmに達したらこの積層工程を終了する。
【0015】
次に、硬化工程として、上記でその高さが7mmに達した2つ折りの束とシリコーン樹脂250αの積層物の上に前記押え板を積載し且つこの押え板の上に更に20gの荷重を与えながら、異方性導電体製造用型枠501ごと、電気炉に入れ、150°Cにて1時間 加熱する。したがって、熱硬化性接着剤であるシリコーン樹脂250αは、加熱によって硬化され、絶縁部250となる。よって、複数のウレタン被覆銅線が絶縁部250中に略所定の間隔を開けて、積層固定されている。この状態が例えば図2の状態である。ウレタン被覆銅線は、このように、斜めに押し倒されたように積層固定されている場合と、図示しないが、押し倒されていないように積層固定されている場合とがある。
【0016】
次に、スライス工程として、異方性導電体製造用型枠501からはみ出した絶縁部150と絶縁被覆付微細金属線の両端部側とを切り落とす。そして、凹部511の上で硬化しているものを、図3の前後方向に例えば1mmの厚さでスライスしていくと、1mm(導通方向の厚み)×5mm×5mmの異方性導電体200が25個できる。このスライス工程では、異方性導電体200の最終仕上げサイズに応じてスライスするのは言うまでもない。
【0017】
以上のように製造された異方性導電体200の使用例を図4を参照しつつ説明する。上側プリント配線板600には、端子611、612、613、614が等ピッチで設けられている。下側プリント配線板700には、前記端子611、612、613、614に対応した位置に端子711、712、713、714が等ピッチで設けられている。
【0018】
上側プリント配線板600と、下側プリント配線板700との間に、異方性導電体200を挟むと、端子611と端子711との間には、異方性導電体200の導電体部210が2本接続されている状態となる。端子612と端子712との間、端子613と端子713との間、および、端子614と端子714との間も異方性導電体200の導電体部210がそれぞれ2本ずつ接続されている状態となる。
【0019】
ここで、例えば、導電体部210の幅が15ミクロンであって、この導電体部210、210間に挟まれている絶縁部250の幅が15ミクロンであれば、上側プリント配線板600(または下側プリント配線板700)の端子間ピッチは、120ミクロンとなる。また、導電体部210の幅が(ウレタン被覆銅線の市販品で現在最小の)13ミクロンであって、この導電体部210、210間に挟まれている絶縁部250の幅が5ミクロンであれば、上側プリント配線板600(または下側プリント配線板700)の端子間ピッチは、72ミクロンとなる。このように、異方性導電体200は、導電体部210の幅と絶縁部250の幅とを調整することにより、上記微細端子間ピッチに適した対応を取れる。
【0020】
尚、上記において、端子1個(例えば端子614)当たり導電体部210が2本接続されるようにしたが、電力量の関係等で1本にできる場合は、上記の端子間ピッチは半分にできる。
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る異方性導電体の製造方法は、絶縁被覆付微細金属線を筒状体に複数回巻きつけてリング状にするリング形成工程と、リング状にされた絶縁被覆付微細金属線を前記筒状体から取り外し、リングが潰される方向に2つ折りの束にする折り工程と、弾力性と絶縁性とを備えた熱硬化性接着剤からなる層と前記束の層とを交互に積層する積層工程と、この積層工程後に加熱処理を施して前記熱硬化性接着剤を硬化させる硬化工程と、この硬化工程後に出来た硬化物をスライスするスライス工程とからなる。
【0022】
このような本発明に係る異方性導電体の製造方法で製造された異方性導電体は、その導電体部が絶縁被覆付微細金属線であるため、導電体部の狭ピッチ化が図れると共に、導電性能力も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法によって製造された異方性導電体を示す概略的図面で、(A)は部分平面図〔ただし、製造時(図3の状態で)はこの面は正面側に位置されている。〕、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】 スライス工程前の異方性導電体の状態を示す概略的斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法に用いられる製造用型枠を示す概略的斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る異方性導電体の製造方法によって製造された異方性導電体の使用例を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
200 異方性導電体
210 導電体部
250 絶縁部
Claims (1)
- 絶縁被覆付微細金属線を筒状体に複数回巻きつけてリング状にするリング形成工程と、リング状にされた絶縁被覆付微細金属線を前記筒状体から取り外し、リングが潰される方向に2つ折りの束にする折り工程と、弾力性と絶縁性とを備えた熱硬化性接着剤からなる層と前記束の層とを交互に積層する積層工程と、この積層工程後に加熱処理を施して前記熱硬化性接着剤を硬化させる硬化工程と、この硬化工程後に出来た硬化物をスライスするスライス工程とを有することを特徴とした異方性導電体の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP21257897A JP3739901B2 (ja) | 1997-07-22 | 1997-07-22 | 異方性導電体の製造方法 |
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JPH1140226A JPH1140226A (ja) | 1999-02-12 |
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ID=16625030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3739901B2 (ja) |
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1997
- 1997-07-22 JP JP21257897A patent/JP3739901B2/ja not_active Expired - Fee Related
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