JP3739829B2 - グラフィックス装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、コンピュータによるグラフィックス装置に関し、特に、三次元グラフィックスの高速描画方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータによる三次元グラフィックスは、その目的により大きく二つに区別される。一つは、時間はある程度かかることを許容し、高画質の画像出力を目的とするもの、もう一つは、画質が多少落ちても高速な画像出力を目的とするものである。
【0003】
前者は、主に一枚の絵として眺めるように使用する為に、あるいは何枚もの絵をオフラインでビデオ等の記憶装置に記憶させ、それを再生することで映画のように使用する為に用いられる。一方、後者はリアルタイムに動かすことのできるインタラクティブな動画像を描写するのに用いられる。本発明は、このうち後者を対象とする。
【0004】
近年では、コンピュータシステムもかなり高速かつ低価格になり、高速三次元グラフィックスを容易に利用できるようになってきた。しかし、ある程度複雑な三次元構造だと、その計算と出力に相当の時間がかかり、三次元グラフィックスの動画像をリアルタイムに得るのは困難である。
これを解決する一つの方法に、専用のコンピュータシステムを利用するというハードウェア的な解決方法が挙げられる。しかし、そのようなシステムはかなり高価であり一般にはほとんど利用不可能な状態である。
【0005】
もう一つの解決方法として、必要な計算を出来るだけ減らす、あるいは出来るだけ単純な計算で済ませるといったソフトウェア的解決方法が挙げられる。この方法は、特に高価なシステムを必要とせずある程度の高速性が得られる為、ほとんどの高速三次元グラフィックス装置で用いられている方法である。
三次元グラフィックスを行なうには、画像の元になる三次元構造データがまず必要となる。そして、この三次元構造データに基づいて複雑な計算を行なうことにより、その三次元構造データにより表わされるオブジェクトをある視点位置、視線方向から見た時の二次元画像を生成し、その二次元画像を出力することで三次元グラフィックス画像を得ている。
【0006】
図20は、三次元グラフィックス画像を得るための、従来の基本的な手法を示す図である。
描画要求を受けると、視点位置決定手段1により、視点位置情報が格納されている視点位置格納部に対し視点位置情報を渡すよう要求が出され、視点位置格納部から視点位置情報を得て視点位置が決定される。
【0007】
また、これと同様に、視線方向決定手段2により、視線方向情報が格納されている視線方向格納部に対し、視線方向情報を渡すよう要求が出され、視線位置格納部から視線方向情報を得て視線方向が決定される。
次に、三次元位置決定手段3により、オブジェクトの構造を表わす三次元構造データが格納されている三次元構造データ格納部に対し三次元構造データを渡すよう要求が出され、三次元構造データ格納部から三次元構造データを得てそのオブジェクトの三次元構造が決定されるとともに、視線位置決定手段1により決定された視線位置から、視線方向決定手段2により決定された視線方向を眺めたときの、そのオブジェクトの三次元的な位置が決定される。次いで、二次元画像生成手段4により、三次元構造データに基づいて、そのオブジェクトがその位置にあるときの二次元画像が生成される。
【0008】
三次元位置決定手段3による、オブジェクトの位置の決定、および二次元画像生成手段4による二次元画像の生成は、描画されるオブジェクトの数だけ繰り返される。その後、画像描画手段5により、描画されるオブジェクトの数に対応した数の二次元画像が1つの画面を構成するように描画されてディスプレイに出力され、ディスプレイ画面上にその全体としての二次元画像が表示される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、従来、三次元位置決定手段3によるオブジェクトの位置の決定、および二次元画像生成手段4による二次元画像の生成の過程において、視点位置から遠くに位置するオブジェクトについては、形状を簡素化した二次元画像を生成し、視点位置からさらに遠くに位置するオブジェクトについては、二次元画像の生成自体を省略して非表示とすることにより、三次元構造データから二次元画像を生成するのに必要とされる計算時間を短縮化し画像出力の高速化を図っている。
【0010】
ところが、このような手段により高速化を図ると、例えばあるオブジェクトから視点位置が順次遠ざかったときに、ある距離まで遠ざかった時点で、それまで精密に描画されていたオブジェクトが急に粗い描画に変化し、あるいは、視点位置が、あるオブジェクトから遠く離れた位置から順次近づいたときに、視点位置がある距離まで近づいた時点でそれまで非表示であったオブジェクトが画面内に急に出現することになり、それら描画の精密さが変化した時点や、表示/非表示の切換えの時点で、そのグラフィック画像を観察している者に大きな違和感を与えてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、描画の精密さの変化の時点、あるいは表示/非表示の切替えの時点における違和感の低減が図られたグラフィックス装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1のグラフィックス装置は、オブジェクトの構造を表わす三次元構造データに基づいて、指定された視点位置から指定された視線方向に該オブジェクトを眺めたときの二次元画像を生成して出力するグラフィックス装置において、
視点位置に対し、視線方向遠方側に位置するオブジェクトをぼかす演算に相当する半透明板の配置位置を決定する半透明板位置決定手段と、
上記視点位置から上記視線方向を眺めたときに、半透明板位置決定手段により配置位置が決定された半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分に対応する二次元画像もしくは二次元画像の部分をぼかす演算を行なう画像ぼかし手段とを備え、
上記視点位置から上記視線方向を眺めたときに、半透明板位置決定手段により配置位置が決定された半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分に対応する二次元画像もしくは二次元画像の部分を、二次元画像を二次元的に配列された複数の領域に分割したときの該複数の領域のうちの分散配置された複数の領域について消去するものであってもよい。この場合に、上記画像ぼかし手段が、消去した複数の領域に背景色を当て嵌める手段を含むものであることが好ましい。
【0014】
また、上記本発明の第1のグラフィックス装置において、上記半透明板位置決定手段が、視点位置の移動に伴って上記半透明板を移動させる手段を含むものであることが好ましく、また、上記半透明板位置決定手段が、視線方向の変化に伴って半透明板を回転させる手段を含むものであることも好ましい態様である。
さらに、本発明の第1のグラフィックス装置において、上記半透明板の寸法を、クリッピング枠に合わせて設定するクリッピング領域算出手段を備えることも好ましい態様であり、あるいは、上記半透明板の寸法を、上記視点位置から上記視線方向を眺めたときに、半透明板位置決定手段により配置位置が決定された半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分の視角に合わせて設定するオブジェクト寸法算出手段を備えることも好ましい態様である。
【0015】
また、上記目的を達成する本発明の第2のグラフィックス装置は、オブジェクトの構造を表わす三次元構造データに基づいて、指定された視点位置から指定された視線方向に該オブジェクトを眺めたときの二次元画像を生成して出力するグラフィックス装置において、
上記オブジェクトの位置を、上記視線方向に交わる所定方向に、上記視点位置とそのオブジェクトとの間の距離に応じた量だけずらすオブジェクト位置補正手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、上記目的を達成する本発明の第3のグラフィックス装置は、オブジェクトの構造を表わす三次元構造データに基づいて、指定された視点位置から指定された視線方向に該オブジェクトを眺めたときの二次元画像を生成して出力するグラフィックス装置において、
上記オブジェクトの色を、上記視点位置とそのオブジェクトとの間の距離に応じた混合比率で背景色を混合した色に変更するオブジェクト色決定手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
さらに、上記目的を達成する本発明の第4のグラフィックス装置は、オブジェクトの構造を表わす三次元構造データに基づいて、指定された視点位置から指定された視線方向に該オブジェクトを眺めたときの二次元画像を生成して出力するグラフィックス装置において、
上記オブジェクトと上記視点位置との間の距離に応じて、そのオブジェクトに対応する二次元画像を出力するか否かを判断する表示・非表示判断手段と、
上記オブジェクトを、上記視点位置の移動に応じて表示から非表示に変更し、及び/又は、非表示から表示に変更する際に、そのオブジェクトに演出を行なわせる演出手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
【作用】
本発明の第1のグラフィックス装置は、半透明板を配置位置を定め、その半透明板の後方に位置するオブジェクト(ないし、オブジェクトの、半透明板の後方に位置する部分)を、例えば、あたかも本物の半透明板ないし薄い曇ガラスを透して眺めたかのようにぼかす演算を行なうものであるため、そのようにぼかされたオブジェクトの描画の精密さが視点位置からの距離に応じて急に変化したり、表示/非表示間で状態が遷移しても目立たず、違和感の少ないグラフィック画像を得ることができる。
【0019】
ここで、本発明の第1のグラフィックス装置において、上記画像ぼかし手段は、半透明板よりも後方のオブジェクトを、二次元画像を二次元的に配列された複数の領域に分割したときの該複数の領域のうちの分散配置された複数の領域について消去することにより、そのオブジェクトをぼかすことができる。その場合に、その消去した複数の領域に背景色を当て嵌めると、違和感が一層低減されたぼかし画像を得ることができる。
【0020】
さらに、本発明の第1のグラフィックス装置において、視点位置の移動に伴って半透明板を移動させ、あるいは視線方向の変化に伴って半透明板を回転させることにより、より自然なグラフィックス画像を得ることができる。
また、本発明の第1のグラフィックス装置において、半透明板の寸法を、ディスプレイ画面の画角で定まるクリッピング枠に合わせて設定すると、半透明板の配置による演算における、ディスプレイ画面外に対応する無駄な演算を省くことができる。また、半透明板の寸法を、半透明板の後方に位置するオブジェクト(ないしその部分)の視角に合わせて設定すると、半透明板の配置による演算量を最小限にまで低減することができる。
【0021】
本発明の第2のグラフィックス装置は、オブジェクトの位置を、視線方向に交わる所定方向に、視点位置とそのオブジェクトとの間の距離に応じた量だけずらすオブジェクト位置補正手段を備えたものであるため、視点位置から離れた位置にあるオブジェクトほど大きくずらしそのオブジェクトが画面内に一部しか現われないようにすることにより、視点位置からの距離に応じて、オブジェクトの描画の精密さが急激に変化したり、表示、非表示の間で状態が遷移しても目立たず、違和感の少ないグラフィックス画像となる。
【0022】
また、本発明の第3のグラフィックス装置は、オブジェクトの色を、視点位置とそのオブジェクトとの間の距離に応じた混合比率で背景色を混合した色に変更するオブジェクト色決定手段を備えたため、視点位置から離れた位置にあるオブジェクトほど背景色の混合比率を高めて背景色に近づけることにより、視点位置からの距離に応じて、オブジェクトの描画の精密さが急激に変化したり、表示、非表示の間で状態が遷移しても目立たず、違和感の少ないグラフィックス画像となる。
【0023】
さらに、本発明の第4のグラフィックス装置は、オブジェクトを、表示、非表示の間で遷移させる際に、そのオブジェクトに演出を行なわせ、そのグラフィック画像の観察者に、表示、非表示の間で遷移が生じることをむしろ目立たせることにより、オブジェクトの出現、消去が生じることが認識され、むしろ違和感の低減が図られる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の第1のグラフィックス装置の第1実施例を示すブロック図である。図20に示す従来例の要素と対応する要素には、図20に付した符号と同一の符号を付して示し、相違点のみについて説明する。
【0025】
また図2は、半透明板の例を示す模式図、図3は、視点位置から視線方向を眺めたときの、半透明板配置後の視界を表わす模式図である。
図2には、視点位置から視線方向を眺めたときの前方に半透明板100が配置されていることが示されている。その半透明板100は、図2に一部を拡大して示すように、透明色と壁色とでモザイク的に塗り分けられており、それらの面積比率により透明度が決定される。
【0026】
図3には、視点位置からの距離が互いに異なる三つの位置に、それぞれ各半透明板100A,100B,100Cが配置されている。このように、半透明板を複数枚配置してもよく、半透明板を複数枚配置することにより、視点位置からみて遠方ほど透明度が低下し、遠くの方が徐々に霞んでいくように見えるようになる。
【0027】
図1に示す第1実施例には、図20に示す各手段1〜5に加え、半透明板構造決定手段6と、半透明板位置決定手段7と、二次元画像生成手段8とが備えられている。この二次元画像生成手段8は、本発明にいう画像ぼかし手段の一例に相当する。
半透明板構造決定手段6は、半透明板に関するデータが格納されている半透明板データ格納部に対して半透明板に関するデータを要求し、半透明板データ格納部から半透明板に関するデータを受け取り、半透明板構造決定手段6では、そのデータに基づいて、図2に示すような、半透明板のモザイク構造を決定する。
【0028】
また、半透明板位置決定手段7では、半透明板構造決定手段6により構造が決定された半透明板の配置位置を決定する。半透明板の配置位置は、後述する実施例に示すように、視点位置決定手段1で決定された視点位置、もしくは視線方向決定手段2で決定された視線方向に基づいて定めてもよいが、この図1に示す第1実施例では、半透明板は、視点位置および視線方向には無関係に、あらかじめ定められた三次元的位置に配置される。例えば視点位置や視線方向が大きくは変化しない場合等には、半透明板の配置位置を固定的に定めておいてもよい。
【0029】
また、二次元画像生成手段8では、半透明板構造決定手段6で取得した半透明板データに基づいて、視点位置決定手段1で決定された視点位置から、視線方向決定手段2で決定された視線方向を眺めたときに、半透明板位置決定手段7で決定された配置位置にある半透明板よりも後方側に位置する画像部分をモザイク的に消去してその消去した部分に背景色を当て嵌めるぼかし処理を行なう。
【0030】
半透明板構造決定手段6による半透明板の構造の決定、半透明板位置決定手段7による半透明板の位置の決定、および二次元画像生成手段8によるぼかし処理は、半透明板の枚数だけ繰り返される。
このようなぼかし処理を行なったグラフィック画像を表示すると、その半透明板の配置位置よりも遠方は霞みがかかったような感じの画像となり、そのような霞みがかかったような状態の中でオブジェクトの描写の精密度が変化したり、表示、非表示の間の遷移が生じても違和感の少ない画像となる。
【0031】
図4は、本発明の第1のグラフィックス装置の第2実施例を示すブロック図、図5は、半透明板の移動を表わす模式図である。図4において、図1に示す第1実施例の要素と対応する要素には、図1に付した符号と同一の符号を付して示し、相違点のみについて説明する。
図4に示す第2実施例には、図1に示す第1実施例における半透明板位置決定手段7に代わり、半透明板移動手段7Aが備えられている。この半透明板移動手段7Aも、本発明にいう半透明板位置決定手段の一態様であり、この半透明板移動手段7Aでは、視点位置決定手段1により決定される視点位置が移動すると、それに伴って、図5に示すように、各半透明板100A,100B,100Cを、視点の移動距離(dx,dy,dz)と同じ距離だけ、視点位置の移動方向と同じ方向に移動させた位置に配置し直す。
【0032】
二次元画像生成手段8では、半透明板が移動されると、その移動後の半透明板の配置位置よりも後方のオブジェクトについてぼかし処理が行なわれる。
図6は、本発明の第1のグラフィックス装置の第3実施例を示すブロック図、図7は、半透明板の回転を表わす模式図である。図5に示す第2実施例との相違点のみについて説明する。
【0033】
図6に示す第3実施例には、図1に示す第1実施例における半透明板位置決定手段7に代わり、図4に示す第2実施例と同じ半透明板移動手段7Aとともに、新たに半透明板回転手段7Bが備えられている。この第3実施例では、半透明板移動手段7Aと半透明板回転手段7Bとを合わせた構成が、本発明にいう半透明板位置決定手段に対応する。
【0034】
半透明板回転手段7Bでは、視線方向決定手段2により決定される視線方向が回転すると、これに伴って、図7に示すように、各半透明板100A,100B,100Cを、視線の回転角度と同じ角度だけ、視線方向の回転方向と同じ回転方向に回転させた位置に配置し直す。二次元画像生成手段8では、半透明板が回転されると、その回転後の半透明板の配置位置よりも後方のオブジェクトについてぼかし処理が行なわれる。
【0035】
図8は、本発明の第1のグラフィックス装置の第4実施例を示すブロック図である。図6に示す第3実施例との相違点のみについて説明する。
図8に示す第4実施例には、図6に示す第3実施例に加え、半透明板色決定手段9が備えられている。
半透明板色決定手段9は、背景色格納部に対し背景色の情報を要求し、背景色格納部から背景色の情報を得、図2に示す、半透明板の壁色として背景色を使用することに決定する。このように半透明板の壁色として背景色を使用すると、一層、違和感の少ない、自然な感じのグラフィック画像が得られる。
【0036】
図9は、本発明の第1のグラフィックス装置の第5実施例を示すブロック図、図10は、半透明板の寸法を設定する手法の説明図である。図8に示す第4実施例との相違点のみについて説明する。
図9に示す第5実施例には、図8に示す第4実施例に加え、クリッピング領域算出手段10が備えられている。
【0037】
クリッピング領域算出手段10では、図10に示すように、半透明板100の寸法を、視点位置から眺めた際に、ディスプレイ画面の画面枠で制限されるクリップ面と同じ視野角に制限する。
具体的には、半透明板100の寸法を、視点位置と半透明板との間の距離をdとしたとき
半透明板の幅w=2×d×tan{(左右視野角)/2}
半透明板の高さh=2×d×tan{(上下視野角)/2} ……(1)
で計算される寸法に制限する。
【0038】
半透明板100の寸法をこのように定めることにより、画面枠外の部分に相互する無駄なぼかし処理演算が行なわれることが防止される。
図11は、本発明の第1のグラフィックス装置の第6実施例を示すブロック図である。図9に示す第5実施例との相違点のみについて説明する。
図11に示す第6実施例には、図9に示す第5実施例におけるクリッピング領域算出手段10に代わり、オブジェクト寸法算出手段11を備えている。
【0039】
オブジェクト寸法算出手段11では視点位置から見て半透明板100の後方に位置するオブジェクトの寸法を算出し、視点位置からそのオブジェクトを眺めたときの視野角と同一の視野角となるように半透明板100の寸法を制限する。こうすることにより、ぼかし処理演算を最小限で済ますことができる。半透明板100の寸法を、ぼかし処理を行なうべきオブジェクトの視野角と同一の視野角となるように制限するには、図10に示すクリップ面をそのオブジェクトに変更して、(1)式と同様の計算を行なえばよい。
【0040】
図12は、本発明の第2のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図、図13、図14はそれぞれオブジェクトの位置をずらす前、ずらした後の例を示す構成図である。図13、図14において、(A)は視線方向に対し横方向からみた図、(B)は、視点位置から視線方向を眺めた図である。
図20に示す従来例の要素と対応する要素には、図20に付した符号と同一の符号を付して示し、相違点のみについて説明する。
【0041】
図12に示す実施例には、図20に示す従来例と比較し、距離測定手段21とオブジェクト位置補正手段22が付加されている。
距離測定手段21では、視点位置とオブジェクトの位置との間の距離が求められ、オブジェクト位置補正手段22では、本来、図13に示す位置に配置されるオブジェクトのうち、視点位置からある閾値距離d以上の距離を有するオブジェクトについて、図14に示すように、ある定数をaとしたとき、
−a×(視点位置とそのオブジェクトとの間の距離)+a×d
で定まる高さにオブジェクトを平行移動させる。こうすることにより、距離dより遠いオブジェクトは、距離が大きくなるに従って地平線の下にずれていく。こうすることにより、視点位置からある距離離れた位置でオブジェクトの描写の精密度が変化したり、ある距離で、オブジェクトに、表示と非表示との間での遷移が生じても、その距離では、オブジェクトの一部しか地平線に現われておらず、あるいは既に地平線下に沈んでいるように閾値距離d等を設定することにより、そのような描写の精度の変化や表示/非表示の変化があっても違和感が低減される。
【0042】
図15は、本発明の第3のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図、図16は、色混合指定領域を示す模式図である。図20に示す従来例との相違点について説明する。
図15に示す実施例には、図20に示す従来例と比較し、距離測定手段31、背景色決定手段32、およびオブジェクト色決定手段33が備えられている。
【0043】
距離測定手段31では、視点位置とオブジェクトの位置との間の距離が求められる。背景色決定手段32は、背景色格納部に対し背景色の情報を要求し、背景色格納部から背景色の情報を得て背景色を決定する。オブジェクト色決定手段34では、以下のようにしてオブジェクトの色を決定する。
色の階調を(R,G,B)で示し、それぞれ0〜255の256段階あるとする。
【0044】
今、本来のオブジェクトの色を(RO ,GO ,BO )とし、背景色を(RB ,GB ,BB )とする。
図16に示すように、距離によってオブジェクトの色をそのまま使用する領域(d1)と、背景色と混合する領域(d2)を設定する。
視点からの距離dが0〜d1の時はオブジェクトの色をそのまま使用し、d1〜d1+d2の時は、オブジェクトの本来の色と背景色とを混合して使用する。
【0045】
混合色の決め方は、R,G,Bそれぞれに対し、変化のレンジをまず調べる。今の例では、
R:RB −RO ,G:GB −GO ,B:BB −BO
である。次に距離に対する変化率を調べる。これは、変化のレンジをd2で割ることで定まる。
【0046】
R:(RB −RO )/d2,G:(GB −GO )/d2,B:(BB −BO )/d2
後は、d1からの距離に比例してこの変化率を使用すれば混合色を求めることができる。すなわち、視点から距離dのオブジェクトの場合、そのオブジェクトの色は、
R:RO +{(RB −RO )×(d−d1)}/d2,
G:GO +{(GB −GO )×(d−d1)}/d2,
B:BO +{(BB −BO )×(d−d1)}/d2
で求まる。
【0047】
このようにして、図15に示す実施例では、距離d1〜d1+d2の間で、オブジェクトの色を距離が大きくるほど背景色に近づけるようにしたため、その途中でオブジェクトの描画の精密さに変化が生じても目立たたず、違和感の少ないグラフィック画像が得られる。
図17は、本発明の第4のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図、図18は演出の例を示す模式図、図19は演出処理の流れを示す模式図である。図20に示す従来例との相違点について説明する。
【0048】
図17に示す実施例は、図20に示す従来例と比較し、距離測定手段41、表示・非表示判断手段42、表示・非表示変更判断手段43、演出手段44、および前表示・非表示判断結果格納手段45が付加されている。ただし、距離測定手段41および表示・非表示判断手段42は、明示的には図17に示す実施例にのみ示されているが、他の実施例においても、明示はされていないが、二次元画像生成手段4において、二次元画像を生成するか否かの判定を行なう際に行なわれている演算である。
【0049】
距離測定手段41では、視点位置とオブジェクトの位置との間の距離が求められ、表示・非表示判断手段42では、その求められた距離に基づいて、ある閾値距離よりも近いか遠いかにより、それぞれ、そのオブジェクトを表示するか否かが判断され、その判断結果は、表示・非表示判断結果格納部に格納される。また、その判断結果は、初回の場合のみ、本来、一回前の表示・非表示の判断結果が格納される前表示・非表示判断結果格納部にも格納される。また、その判断結果に応じて、そのオブジェクトを表示する場合は、二次元画像生成手段4によりそのオブジェクトに対応した二次元画像を生成した後、そのオブジェクトを表示しない場合は、そのオブジェクトに対応した二次元画像を生成することなく、次のオブジェクトの処理に移行する。
【0050】
表示・非表示変更判断手段43では、表示・非表示判断結果格納部に格納された、そのオブジェクトについての表示/非表示の情報と、前表示・非表示判断結果格納部に格納された、そのオブジェクトについての表示/非表示の情報とを比較し、そのオブジェクトに対し、表示から非表示への変更、もしくは非表示から表示への変更があったか否かが判断される。その判断の結果、変更があった場合、演出手段44による、以下の演出が実行され、変更がなかった場合、次のオブジェクトの処理に移行する。
【0051】
演出手段44による演出処理の例について、図18,図19を参照して説明する。
ここでは演出の例としてアニメーションを使用する。
図18に示す演出無し時の例のように、何もないところにいきなりオブジェクトが現れるのではなく、ここでは、現れる前に、アニメーションを表示する。ここでは、図18に示す演出有り時の例のように、小さなオブジェクトが段々大きくなって現れるようなアニメーションを行なう。
【0052】
オブジェクトが前回の描画時に非表示で、今回の描画時に表示になった場合、グラフィック画像内の、そのオブジェクトの領域を二次元画像生成時に調べておく。
次に、図19に示すように、二次元画像からその領域を抽出し、3段階にx−y両軸方向に縮小した画像を生成する。
【0053】
そしてもっとも縮小された画像から順番に、元の画像の中心座標に縮小された画像の中心を合わせて描画していく。そして最後に、生成された二次元画像を表示する。
表示から非表示に移行するときは、上記とは逆に、順次小さく縮小された画像を表示し、最後に非表示に移行する。
【0054】
図17に示す演出手段44で、以上のような演出を行った後、前表示・非表示判断結果格納手段45で、今回変更された後の表示/非表示の判断結果が前表示・非表示判断結果格納部に格納され、次のオブジェクトの処理に移行する。
このように、図17に示す実施例では、表示から非表示への移行時、ないし非表示から表示への移行時に演出を行ない、その移行をむしろ目立たせることにより、かえって違和感の少ないグラフィック画像を得ることができる。尚、ここに示した演出は一例に過ぎず、本発明は、特定の演出に限定されるものではない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、三次元グラフィックスの高速描画のための、描画の精密さの変化に伴う違和感、あるいは表示/非表示の切替えに伴う違和感の低減化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1のグラフィックス装置の第1実施例を示すブロック図である。
【図2】半透明板の例を示す模式図である。
【図3】視点位置から視線方向を眺めたときの、半透明板配置後の視界を表わす模式図である。
【図4】本発明の第1のグラフィックス装置の第2実施例を示すブロック図である。
【図5】半透明板の移動を表わす模式図である。
【図6】本発明の第1のグラフィックス装置の第3実施例を示すブロック図である。
【図7】半透明板の回転を表わす模式図である。
【図8】本発明の第1のグラフィックス装置の第4実施例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1のグラフィックス装置の第5実施例を示すブロック図である。
【図10】半透明板の寸法を設定する手法の説明図である。
【図11】本発明の第1のグラフィックス装置の第6実施例を示すブロック図である。
【図12】本発明の第2のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図である。
【図13】オブジェクトの位置をずらす前の例を示す構成図である。
【図14】オブジェクトの位置をずらした後の例を示す構成図である。
【図15】本発明の第3のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図である。
【図16】色混合指定領域を示す模式図である。
【図17】本発明の第4のグラフィックス装置の一実施例を示すブロック図である。
【図18】演出の例を示す模式図である。
【図19】演出処理の流れを示す模式図である。
【図20】三次元グラフィックス画像を得るための、従来の基本的な手法を示す図である。
【符号の説明】
1 視点位置決定手段
2 視線方向決定手段
3 三次元位置決定手段
4 二次元画像生成手段
5 画像描画手段
6 半透明板構造決定手段
7 半透明板位置決定手段
7A 半透明板移動手段
7B 半透明板回転手段
8 二次元画像生成手段
9 半透明板色決定手段
10 クリッピング領域算出手段
11 オブジェクト寸法算出手段
21 距離測定手段
22 オブジェクト位置補正手段
31 距離測定手段
32 背景色決定手段
33 オブジェクト色決定手段
41 距離測定手段
42 表示・非表示判断手段
43 表示・非表示変更手段
44 演出手段
45 前表示・非表示判断結果格納手段
Claims (6)
- オブジェクトの構造を表わす三次元構造データに基づいて、指定された視点位置から指定された視線方向に該オブジェクトを眺めたときの二次元画像を生成して出力するグラフィックス装置において、
視点位置に対し、視線方向遠方側に位置するオブジェクトをぼかす演算に相当する半透明板の配置位置を決定する半透明板位置決定手段と、
前記視点位置から前記視線方向を眺めたときに、前記半透明板位置決定手段により配置位置が決定された前記半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分に対応する二次元画像もしくは二次元画像の部分をぼかす演算を行なう画像ぼかし手段とを備え、
前記画像ぼかし手段が、前記視点位置から前記視線方向を眺めたときに、前記半透明板位置決定手段により配置位置が決定された前記半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分に対応する二次元画像もしくは二次元画像の部分を、二次元画像を二次元的に配列された複数の領域に分割したときの該複数の領域のうちの分散配置された複数の領域について消去するものであることを特徴とするグラフィックス装置。 - 前記画像ぼかし手段が、前記消去した複数の領域に背景色を当て嵌める手段を含むものであることを特徴とする請求項1記載のグラフィックス装置。
- 前記半透明板位置決定手段が、前記視点位置の移動に伴って前記半透明板を移動させる手段を含むものであることを特徴とする請求項1記載のグラフィックス装置。
- 前記半透明板位置決定手段が、前記視線方向の変化に伴って前記半透明板を回転させる手段を含むものであることを特徴とする請求項1記載のグラフィックス装置。
- 前記半透明板の寸法を、クリッピング枠に合わせて設定するクリッピング領域算出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のグラフィックス装置。
- 前記半透明板の寸法を、前記視点位置から前記視線方向を眺めたときに、前記半透明板位置決定手段により配置位置が決定された前記半透明板の後方に位置する、オブジェクトもしくはオブジェクトの部分の視角に合わせて設定するオブジェクト寸法算出手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のグラフィックス装置。
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