JP3738207B2 - 多種質量フィルタ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、多種プラズマの粒子をそれらの粒子の質量−電荷比に応じて分離するのに有用な装置および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は処理される多種プラズマの衝突密度よりも低いプラズマ密度で作動するプラズマ質量フィルタに関する。本発明は特に、しかし制限はしないが、多種プラズマから2つ以上の異なる部分に帯電粒子を分離および隔離するフィルタとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
複合材料をその成分元素に分離することが望まれる多くの理由がある。多くのそのような理由があるように、それを達成できる多くのやり方および方法がある。その1つに、幾つかの複合または組み合わせ材料は、ふるい、振り分け器および偏向器(ダイバータ)のような手段によって機械的に分離できることは十分に周知である。さらに、複合材料を別々の部分に分離するのに化学的処理がしばしば有用であることは周知である。しかしながら、幾つかの複合材料は処理するのが極めて困難であり、それ故に、より一般的な処理方法に容易に任せることができない。特に、核廃棄物はこのような複合材料である。
【0003】
最近、それらの材料をまず蒸発させ、その後、蒸発した成分元素を互いに分離することでそれらの材料を処理するために、努力が行われている。そのような1つの処理はプラズマ遠心分離機の使用を必要とする。プラズマ遠心分離では、プラズマ中の帯電粒子は共通軸線のまわりに回転され、その回転時に互いに衝突するようにされる。そのような衝突の結果、重たい質量粒子は軽い質量粒子よりも回転軸線から遠くへ移動する。従って、粒子はそれらのそれぞれの質量に応じて分離される。しかしながら、より最近になって、プラズマ・フィルタが開発され、そのフィルタはプラズマ遠心分離が依存する物理的原理よりも格段に難しい物理的原理に依存する。
【0004】
プラズマ・フィルタの例およびその作動方法は、「プラズマ質量フィルタ」と題する発明に関するオーカワ氏に付与された米国特許第6096220号に記載されており、その発明は本発明と同じ譲受人に譲渡されている。特にプラズマ遠心分離と相違して、プラズマ・フィルタは衝突密度よりも小さいプラズマ密度で作動することが重要である。定義によれば、また本明細書で使用されるように、衝突周波数に対するサイクロトロン角度周波数の比が1よりも大きい(すなわち、ωc/ν>1)ときに衝突密度が生じる。別な表現をすれば、その衝突密度よりも小さい密度を有するプラズマ中では、帯電粒子がプラズマ中の他の帯電粒子と衝突するまえに、少なくとも1つの軌道回転を経験する可能性は高い。従って、プラズマ遠心分離とは非常に異なって、プラズマ・フィルタは帯電粒子間の衝突を回避する。プラズマ・フィルタをプラズマ遠心分離と区別する他の概念は、軌道運動する帯電粒子の軌道を選択的に拘束するために交差する電界および磁界がプラズマ・フィルタに使用できることである。特に、上述したオーカワ氏によるプラズマ質量フィルタに関して開示されたように、決定可能な分離質量Mcよりも小さい質量−電荷比を有する帯電粒子は、回転軸線と、その回転軸線から半径方向距離「a」の位置との間の空間内で拘束される。円筒形のプラズマ質量フィルタのチャンバに関してはオーカワ氏により既に開示されているように、Mc=ea2B2/(8Vctr)であり、この式には半径「a」、均一な軸線方向の磁界「B」、および中心電圧「Vctr」を有するパラボラ形状の半径方向の電圧プロフィルがあり、円筒部材の壁は接地されている。分離すべき重いイオンの電荷は「e」である。
【0005】
複合材料を2部分よりも多くの部分に分離することが望まれ、または必要とされることが起こり得る。例えば、核廃棄物を3以上の成分部分に分離することが望まれ得る。例えば、1つの部分は、最大限に注意を要する環境のもとで廃棄しなければならない放射性の有害な原子核成分とされる。これとは反対に、複合材料の他の部分は他のさまざまな処理に有用とされ得る。さらに他の部分は、より一般的な通常の手段によって廃棄できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述に照らして本発明の目的は、多種プラズマを2部分よりも多い成分部分に分離できる多種質量フィルタを提供することである。本発明の他の目的は、異なる質量−電荷比の帯電粒子をそれぞれの異なる領域へ導く軌道に効果的に拘束して分けて集めるようにする多種質量フィルタを提供することである。本発明のさらに他の目的は、比較的簡単に製造でき、使用が容易で、比較的に費用効果の良好な多種質量フィルタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
粒子を分離するための本発明による多種質量フィルタは、軸線を定めるチャンバを含み、そのチャンバ内に特に形成された交差する電界および磁界(E×B)を有する。本発明では、チャンバの軸線に沿って正電圧Vctrを有すると共に、その軸線からチャンバの壁での接地へ向かって半径方向に広がるように配向された線形的に強まる電界(E)が形成される。これに対して磁界(B)はチャンバ内を軸線と一般に平行に延在するように形成される。
【0008】
上述したことに留意して、記号「az」は軸線上の任意の「z」位置における前記軸線からの半径方向距離を表す。同様に、記号「Bz」は軸線上の同じく任意の「z」位置での磁界の強さを表している。正イオン電荷を表す「e」を用いて分離質量の式はMcz=eaz 2Bz 2/(8Vctr)となり、半径0と半径a2との間の半径による電圧に二次式の関係を有し、壁における電圧は壁が接地しているので0となる。Mczを数式で示すことができるので、Mczよりも小さい質量−電荷比を有する粒子はチャンバ内の交差する電界および磁界によって、軸線と、その軸線から半径距離azの位置との間で拘束される。これと反対に、Mczよりも大きい質量−電荷比を有する粒子は、軸線から半径距離azの位置を超えて排出されることになる。本発明で意図するように、粒子がチャンバの軸線のまわりを軌道運動できるようになされる条件のもとで、交差する電界および磁界と相互に作用するように多種プラズマがチャンバに導入される。特に、本発明の目的のために、この多種プラズマは比較的小さな質量−電荷比の粒子(M1)、中間的な質量−電荷比の粒子(M2)、および比較的大きい質量−電荷比の粒子(M3)を含むことが意図されている。さらに、この多種プラズマは、前記チャンバ内で所定の衝突密度よりも小さな密度を有することが意図される。本発明では、衝突密度は全ての粒子M1,M2,M3がチャンバ内で衝突周波数νcolを有すると考えることで定められる。それらの粒子はまた、交差する電界および磁界(E×B)に応じてそれぞれのサイクロトロン周波数ωm1,ωm2,ωm3を有する。従って、本明細書で定めるように、ωm1>ωm2>ωm3>νcolであるときは常に衝突密度が生じる。別な表現をすれば、所定の衝突密度は、ωm3と衝突周波数との比が1よりも大きい(すなわち、ωm3/νcol>1)、好ましくは1よりも非常に大きいときに定められる。
【0009】
本発明の結果として、交差する電界および磁界(E×B)が形成されて、粒子(M1)の各々に関する第1の軌道、粒子(M2)の各々に関する第2の軌道、および粒子(M3)の各々に関する第3の軌道がそれぞれ確立される。さらに、交差する電界および磁界(E×B)は各々の粒子M1,M2,M3をそれぞれの軌道に沿ってそれぞれ第1、第2、第3の領域へ向かわせて、粒子(M1,M2,M3)を質量−電荷比に応じて分離する。
【0010】
本発明の1実施例では、磁界(B)は軸線に沿って変化される。この実施例では、チャンバおよび磁界Bはいずれもチャンバ軸線に沿ってチャンバを通過する磁束の保存を維持するように形成される。特にこの実施例では、そのチャンバを多種プラズマが通過する間にそのプラズマが移動する軸線に沿った方向においてチャンバ壁は軸線から距離を隔てられる。しかしながら磁束の保存がなされるべきために、項「az 2Bz」はMczの式において実質的に一定に保持されねばならない。従って、この実施例のチャンバの横断面の変化(すなわち、「az」の変化)により、磁界Bzも変化しなければならない。本発明では、軸線に対して実質的に直角な平面内に配置され、チャンバを取り囲む磁気コイルを使用することによって達成できる。これらのコイルは、軸線に沿って必要とされる磁界の強さを確立するように制御される。本発明によれば、「az」が増大するときにaz 2Bzを一定に保持するために、Bzは減少される。従ってこの実施例では、Mc3よりも大きい粒子M3は第3の領域へ排出され、Mc2よりも大きい粒子M2は第2の領域へ排出される(a2>a3およびB2<B3)。
【0011】
本発明の他の実施例では、チャンバ内の磁界(B)は軸線に沿って実質的に一定となるように保持される。しかしながら電界(E)は、特定の形状に確立される。特に電界は、軸線から半径方向外方へ向かって第1の比率で線形に強まる。この第1の比率の強さの増大は半径方向距離a2に亘って生じ、第1の領域を定める。これはまた、分離質量Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を確立し(ここで、V2はa2(r2)における電圧である)、Mc2よりも大きいM3,M2はいずれも第1の領域から排出される。しかしながら軸線から半径方向距離a2(r2)の位置で電界は強さを減少され、その後第2の小さな比率で半径方向外方へ向かって線形に強さが増大する。a2(r2)と、半径方向距離a3(r3)との間に、第2の小さな比率での電界の強さの増大は分離質量Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)を確立し、ここでV3はa3(r3)における電圧であり、一般に0である。M3はMc3よりも大きく、M2はMc3よりも小さいので、粒子M3は第2の領域から第3の領域へ排出されるが、M2は排出されない。この実施例では、第3の領域はチャンバの壁であることが好ましい。しかしながら第1および第2の領域はチャンバから軸線方向に延在する。本発明で意図されるように、この実施例における電界(E)の特定の形状は同芯の電極リングまたは螺旋電極を使用して確立できる。それらの電極は軸線に対して実質的に直角に配向されて平面内に配置される。
【0012】
本発明の新規な特徴ならびに本発明そのものは、いずれも構造およびその作動について以下の説明に関連して添付図面から最もよく理解されるであろう。図中、同じ符号は同じ部分を示している。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1をまず参照すれば、本発明によるプラズマ多種質量フィルタの1実施例が示されており、全体に符号10を付されている。示すように、フィルタ10はチャンバ12を含み、チャンバ12は壁14で囲まれている。チャンバ12は端部16と端部18とを有し、全体として長手方向軸線20を定めており、その軸線20はチャンバ12の長さに沿ってその中心を延在している。フィルタ10はまた複数の磁気コイル22も含み、コイル22a,22b,22cはその例示である。示すようにコイルは軸線20に対して直角な互いに平行なそれぞれの平面内で配向されている。この構造により、磁界(B)がチャンバ12内に確立され、これは一般に軸線20の方向に延在する。リング電極または螺旋電極(図1には示されていない)を含み得る電気ユニットがチャンバ12内に半径方向に配向された電界(E)を確立し、それ故にチャンバ12内に交差した電界および磁界(E×B)を確立する。
【0014】
本発明のために意図するように、フィルタ10は少なくとも3種の粒子を含む多種プラズマ24を処理することに使用される。これらの粒子はそれぞれの質量−電荷比によって区別される。図示したように、比較的小さい質量−電荷比の帯電粒子はM1を付されている。中間的な質量−電荷比の帯電粒子はM2を、また比較的大きい質量−電荷比の帯電粒子はM3を付されている。交差した電界および磁界(E×B)が粒子M1,M2,M3をチャンバ12内でどのようにして移動させるかという巧妙さは、図1および図2を対照することで最もよく認識されるであろう。
【0015】
図1および図2はいずれも、本発明の1実施例に関しての軸線20から壁14に至る半径方向距離(図中「a」を付されている)がフィルタ10の長さに沿って変化することを示している。従ってチャンバ12の形状は、端部18における半径方向距離「a」が端部16における半径方向距離「a」よりも大きくされている。さらに説明するために、軸線20に沿う位置を示すために小文字「z」を使用して考える。この表示方法により、zが2として示されるべき位置では、その位置での半径方向距離はaz=a2(r2)となり、磁界の強さはBz=B2となる。zが3として示されるべき位置では、az=a3(r3)、Bz=B3となる。図2に示すように、チャンバ12の形状は、a2(r2)がa3(r3)よりも大きい。これと反対に、磁界の強さは半径補距離が増大するにつれて弱まる。従ってzが3で示される位置での磁界の強さB3は、zが2で示される位置での磁界の強さB2よりも大きい。重要なことは、この関係がフィルタ10の軸線20に沿って保持され、磁束(az 2Bz)がチャンバ12内で実質的に一定に保持されることである(例えば、a2 2B2=a3 2B3)。
【0016】
壁14の形状を予め定め、またチャンバ12内の磁界の強さを制御することにより、上述した分離質量の式はチャンバ12を3つの別々の領域に効果的に分けるように定めることができる。詳しくは、軸線20に沿う特定の「z」位置におけるMczとして所定の値を定めることにより、多種プラズマ24中の粒子M1は、それらの粒子が第1の領域26で捕集されるようにチャンバ12を完全に通過させる軌道上に拘束される。これは、粒子M1が壁14に衝突しないようにすることで実行することができる。図1および図2に示すように、フィルタ10の1実施例では、第1の領域26はフィルタ10の端部18を超えた位置に配置される。
【0017】
上述で説明されるように、チャンバ12内での粒子M1の拘束は、チャンバ12内に特定の条件を確立することで達成される(例えば、Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))およびMc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2))。M1<Mc2<Mc3であるので、Mc2およびMc3に関する条件は、粒子M1がチャンバ12の壁14に至ることを防止するような粒子M1の軌道を確立する。これに対してMc2<M2<Mc3であるので、多種プラズマ24中の粒子M2は、粒子M2を第2の領域28へ導く軌道に従って移動する。さらに、Mc2<Mc3<M3であるので、粒子M3は第2の領域28へ進入する前にそれらの粒子M3を第3の領域30へ導く軌道に従って移動する。今説明した条件に関して、チャンバ12内に実質的に一定した磁束が形成されることを想起されたい。それ故に、磁界は端部16から端部18へと軸線20に沿って移動するように広がる磁力線32を有することになる。図2に示された磁力線32a〜32cは単なる例示である。
【0018】
本発明によるフィルタの他の実施例が図3に示されており、全体を符号40で示されている。示すように、フィルタ40は実質的に円筒形のチャンバ42を有しており、このチャンバは長手方向軸線20上に芯出しされ、壁44で画成されている。さらに、複数の磁気コイル46(磁気コイル46a,46bは単なる例示である)を含み、これらの磁気コイルが実質的に均一な磁界Bを確立し、その磁界はチャンバ42を通って軸線20とほぼ平行な方向へ延在している。電界Eが磁界Bと交差してチャンバ内に形成されて、チャンバ42内に交差した電界および磁界(E×B)を確立している。本発明で意図されるように、電極リング48または螺旋電極50のいずれかを使用する関連技術分野で周知の方法により電界Eを形成することができる。電界Eの特徴はおそらく図4を参照することで最もよく認識されるであろう。
【0019】
図4で、接地された壁44と軸線20に沿って延在する正電圧Vctrとの間に電界Eが確立されることが分かるであろう。本発明によれば、電界Eはチャンバ42内において半径方向距離「a2」(r2)に沿って軸線20から外方へ向かって変化率52で増大するプロフィルを有する。半径方向距離「a2」(r2)の位置で電界Eは断続的に減少し、その後半径方向距離「a2」(r2)の位置から半径方向距離「a3」(r3)の位置まで外方へ向かって変化率54で連続して増大する。示すように、変化率52は変化率54よりも大きい。
【0020】
再び述べるが上述した分離質量の式、すなわちMcz=eaz 2Bz 2/(8Vctr)を使用して、チャンバ42(図3および図4)はチャンバ12(図1および図2)のように3つの別々の領域に効果的に分けることができる。しかしながら、チャンバ42の例では、これは電界Eの構成による結果となる。E/r比は一定であるが内側領域と外側領域との間で強さが変化するので、この例の分離質量は変更されねばならない。すなわち、Mc2=eB2/(4*(E2/r))=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))であり、平均半径はr=r2/2、軸線とr2との間の平均電界はE2=(Vctr−V2)/r2、またMc3=eB2/(4*(E3/r))=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)であり、外側領域の平均半径はr=(r3+r2)/2、r2とr3との間の平均電界はV3=0であるのでE3=V2/(r3−r2)である。軸線上の電圧Vctrおよびr2におけるV2はそれぞれの分離質量を選定するために外部から制御される。
【0021】
図4を参照すれば、式Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を満たすことにより、M1<Mc2<Mc3であれば、粒子M1は軸線20から距離「a2」(r2)を超えて半径方向へ移動しないチャンバ42内の軌道上を移動するように拘束される。従って、粒子M1はチャンバ42から一般に軸線20に沿って延在する第1の領域56へ排出される。これと反対に、粒子M2,M3はそのように拘束されず、第1の領域56を取り囲む第2の領域58へそれらの粒子を導く軌道を有することになる。特に、第2の領域58は軸線20から距離「a2」(r2)を超えて第1の領域56の外側に位置する。
【0022】
チャンバ42内の電界Eの形状により、分離質量の式Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)は粒子M2を第2の領域58に拘束するのに使用できるが、粒子M3は拘束できない。その代わりに、粒子M3は第3の領域への軌道に従って移動することができる。この場合、第3の領域は、実際には壁44である。従って図4に示すように、多種プラズマ24がチャンバ42に導入されると、粒子M1fチャンバ42内で拘束されてそこから第1の領域56へ排出される。これと反対に粒子M2は第1の領域56を超えて粒子M3と共に処理されるようになされる。さらに粒子M2はチャンバ42内で拘束され、そこから第2の領域58へ排出される。しかしながら粒子M3は第1の領域56または第2の領域58のいずれでも拘束されず、その代わりに壁44に直接に衝突する。粒子M1,M2,M3はその後それぞれの領域から収集される。
【0023】
本明細書で詳細に図示し説明した多種質量の粒子フィルタは先に述べた目的を達成して利点を得ることが完全にできるが、これは本発明の現在好ましいと考えられる実施例の単なる説明であること、および特許請求の範囲に記載された以外の本明細書で示した構造およびデザインの細部に限定することは意図されていないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ・フィルタのチャンバの1実施例の斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿って見たプラズマ・フィルタのチャンバの実施例の横断面図である。
【図3】本発明によるプラズマ・フィルタのチャンバの代替実施例の斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿って見たプラズマ・フィルタのチャンバの代替実施例の横断面図である。
【符号の説明】
10 フィルタ
12 チャンバ
14 壁
16,18 端部
20 軸線
22a〜22c 磁気コイル
24 多種プラズマ
26 第1の領域
28 第2の領域
30 第3の領域
32a〜32c 磁力線
40 フィルタ
42 チャンバ
44 壁
46a,46b 磁気コイル
50 螺旋電極
52,54 変化率
56 第1の領域
58 第2の領域
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に、多種プラズマの粒子をそれらの粒子の質量−電荷比に応じて分離するのに有用な装置および方法に関する。さらに詳しくは、本発明は処理される多種プラズマの衝突密度よりも低いプラズマ密度で作動するプラズマ質量フィルタに関する。本発明は特に、しかし制限はしないが、多種プラズマから2つ以上の異なる部分に帯電粒子を分離および隔離するフィルタとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
複合材料をその成分元素に分離することが望まれる多くの理由がある。多くのそのような理由があるように、それを達成できる多くのやり方および方法がある。その1つに、幾つかの複合または組み合わせ材料は、ふるい、振り分け器および偏向器(ダイバータ)のような手段によって機械的に分離できることは十分に周知である。さらに、複合材料を別々の部分に分離するのに化学的処理がしばしば有用であることは周知である。しかしながら、幾つかの複合材料は処理するのが極めて困難であり、それ故に、より一般的な処理方法に容易に任せることができない。特に、核廃棄物はこのような複合材料である。
【0003】
最近、それらの材料をまず蒸発させ、その後、蒸発した成分元素を互いに分離することでそれらの材料を処理するために、努力が行われている。そのような1つの処理はプラズマ遠心分離機の使用を必要とする。プラズマ遠心分離では、プラズマ中の帯電粒子は共通軸線のまわりに回転され、その回転時に互いに衝突するようにされる。そのような衝突の結果、重たい質量粒子は軽い質量粒子よりも回転軸線から遠くへ移動する。従って、粒子はそれらのそれぞれの質量に応じて分離される。しかしながら、より最近になって、プラズマ・フィルタが開発され、そのフィルタはプラズマ遠心分離が依存する物理的原理よりも格段に難しい物理的原理に依存する。
【0004】
プラズマ・フィルタの例およびその作動方法は、「プラズマ質量フィルタ」と題する発明に関するオーカワ氏に付与された米国特許第6096220号に記載されており、その発明は本発明と同じ譲受人に譲渡されている。特にプラズマ遠心分離と相違して、プラズマ・フィルタは衝突密度よりも小さいプラズマ密度で作動することが重要である。定義によれば、また本明細書で使用されるように、衝突周波数に対するサイクロトロン角度周波数の比が1よりも大きい(すなわち、ωc/ν>1)ときに衝突密度が生じる。別な表現をすれば、その衝突密度よりも小さい密度を有するプラズマ中では、帯電粒子がプラズマ中の他の帯電粒子と衝突するまえに、少なくとも1つの軌道回転を経験する可能性は高い。従って、プラズマ遠心分離とは非常に異なって、プラズマ・フィルタは帯電粒子間の衝突を回避する。プラズマ・フィルタをプラズマ遠心分離と区別する他の概念は、軌道運動する帯電粒子の軌道を選択的に拘束するために交差する電界および磁界がプラズマ・フィルタに使用できることである。特に、上述したオーカワ氏によるプラズマ質量フィルタに関して開示されたように、決定可能な分離質量Mcよりも小さい質量−電荷比を有する帯電粒子は、回転軸線と、その回転軸線から半径方向距離「a」の位置との間の空間内で拘束される。円筒形のプラズマ質量フィルタのチャンバに関してはオーカワ氏により既に開示されているように、Mc=ea2B2/(8Vctr)であり、この式には半径「a」、均一な軸線方向の磁界「B」、および中心電圧「Vctr」を有するパラボラ形状の半径方向の電圧プロフィルがあり、円筒部材の壁は接地されている。分離すべき重いイオンの電荷は「e」である。
【0005】
複合材料を2部分よりも多くの部分に分離することが望まれ、または必要とされることが起こり得る。例えば、核廃棄物を3以上の成分部分に分離することが望まれ得る。例えば、1つの部分は、最大限に注意を要する環境のもとで廃棄しなければならない放射性の有害な原子核成分とされる。これとは反対に、複合材料の他の部分は他のさまざまな処理に有用とされ得る。さらに他の部分は、より一般的な通常の手段によって廃棄できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述に照らして本発明の目的は、多種プラズマを2部分よりも多い成分部分に分離できる多種質量フィルタを提供することである。本発明の他の目的は、異なる質量−電荷比の帯電粒子をそれぞれの異なる領域へ導く軌道に効果的に拘束して分けて集めるようにする多種質量フィルタを提供することである。本発明のさらに他の目的は、比較的簡単に製造でき、使用が容易で、比較的に費用効果の良好な多種質量フィルタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
粒子を分離するための本発明による多種質量フィルタは、軸線を定めるチャンバを含み、そのチャンバ内に特に形成された交差する電界および磁界(E×B)を有する。本発明では、チャンバの軸線に沿って正電圧Vctrを有すると共に、その軸線からチャンバの壁での接地へ向かって半径方向に広がるように配向された線形的に強まる電界(E)が形成される。これに対して磁界(B)はチャンバ内を軸線と一般に平行に延在するように形成される。
【0008】
上述したことに留意して、記号「az」は軸線上の任意の「z」位置における前記軸線からの半径方向距離を表す。同様に、記号「Bz」は軸線上の同じく任意の「z」位置での磁界の強さを表している。正イオン電荷を表す「e」を用いて分離質量の式はMcz=eaz 2Bz 2/(8Vctr)となり、半径0と半径a2との間の半径による電圧に二次式の関係を有し、壁における電圧は壁が接地しているので0となる。Mczを数式で示すことができるので、Mczよりも小さい質量−電荷比を有する粒子はチャンバ内の交差する電界および磁界によって、軸線と、その軸線から半径距離azの位置との間で拘束される。これと反対に、Mczよりも大きい質量−電荷比を有する粒子は、軸線から半径距離azの位置を超えて排出されることになる。本発明で意図するように、粒子がチャンバの軸線のまわりを軌道運動できるようになされる条件のもとで、交差する電界および磁界と相互に作用するように多種プラズマがチャンバに導入される。特に、本発明の目的のために、この多種プラズマは比較的小さな質量−電荷比の粒子(M1)、中間的な質量−電荷比の粒子(M2)、および比較的大きい質量−電荷比の粒子(M3)を含むことが意図されている。さらに、この多種プラズマは、前記チャンバ内で所定の衝突密度よりも小さな密度を有することが意図される。本発明では、衝突密度は全ての粒子M1,M2,M3がチャンバ内で衝突周波数νcolを有すると考えることで定められる。それらの粒子はまた、交差する電界および磁界(E×B)に応じてそれぞれのサイクロトロン周波数ωm1,ωm2,ωm3を有する。従って、本明細書で定めるように、ωm1>ωm2>ωm3>νcolであるときは常に衝突密度が生じる。別な表現をすれば、所定の衝突密度は、ωm3と衝突周波数との比が1よりも大きい(すなわち、ωm3/νcol>1)、好ましくは1よりも非常に大きいときに定められる。
【0009】
本発明の結果として、交差する電界および磁界(E×B)が形成されて、粒子(M1)の各々に関する第1の軌道、粒子(M2)の各々に関する第2の軌道、および粒子(M3)の各々に関する第3の軌道がそれぞれ確立される。さらに、交差する電界および磁界(E×B)は各々の粒子M1,M2,M3をそれぞれの軌道に沿ってそれぞれ第1、第2、第3の領域へ向かわせて、粒子(M1,M2,M3)を質量−電荷比に応じて分離する。
【0010】
本発明の1実施例では、磁界(B)は軸線に沿って変化される。この実施例では、チャンバおよび磁界Bはいずれもチャンバ軸線に沿ってチャンバを通過する磁束の保存を維持するように形成される。特にこの実施例では、そのチャンバを多種プラズマが通過する間にそのプラズマが移動する軸線に沿った方向においてチャンバ壁は軸線から距離を隔てられる。しかしながら磁束の保存がなされるべきために、項「az 2Bz」はMczの式において実質的に一定に保持されねばならない。従って、この実施例のチャンバの横断面の変化(すなわち、「az」の変化)により、磁界Bzも変化しなければならない。本発明では、軸線に対して実質的に直角な平面内に配置され、チャンバを取り囲む磁気コイルを使用することによって達成できる。これらのコイルは、軸線に沿って必要とされる磁界の強さを確立するように制御される。本発明によれば、「az」が増大するときにaz 2Bzを一定に保持するために、Bzは減少される。従ってこの実施例では、Mc3よりも大きい粒子M3は第3の領域へ排出され、Mc2よりも大きい粒子M2は第2の領域へ排出される(a2>a3およびB2<B3)。
【0011】
本発明の他の実施例では、チャンバ内の磁界(B)は軸線に沿って実質的に一定となるように保持される。しかしながら電界(E)は、特定の形状に確立される。特に電界は、軸線から半径方向外方へ向かって第1の比率で線形に強まる。この第1の比率の強さの増大は半径方向距離a2に亘って生じ、第1の領域を定める。これはまた、分離質量Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を確立し(ここで、V2はa2(r2)における電圧である)、Mc2よりも大きいM3,M2はいずれも第1の領域から排出される。しかしながら軸線から半径方向距離a2(r2)の位置で電界は強さを減少され、その後第2の小さな比率で半径方向外方へ向かって線形に強さが増大する。a2(r2)と、半径方向距離a3(r3)との間に、第2の小さな比率での電界の強さの増大は分離質量Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)を確立し、ここでV3はa3(r3)における電圧であり、一般に0である。M3はMc3よりも大きく、M2はMc3よりも小さいので、粒子M3は第2の領域から第3の領域へ排出されるが、M2は排出されない。この実施例では、第3の領域はチャンバの壁であることが好ましい。しかしながら第1および第2の領域はチャンバから軸線方向に延在する。本発明で意図されるように、この実施例における電界(E)の特定の形状は同芯の電極リングまたは螺旋電極を使用して確立できる。それらの電極は軸線に対して実質的に直角に配向されて平面内に配置される。
【0012】
本発明の新規な特徴ならびに本発明そのものは、いずれも構造およびその作動について以下の説明に関連して添付図面から最もよく理解されるであろう。図中、同じ符号は同じ部分を示している。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1をまず参照すれば、本発明によるプラズマ多種質量フィルタの1実施例が示されており、全体に符号10を付されている。示すように、フィルタ10はチャンバ12を含み、チャンバ12は壁14で囲まれている。チャンバ12は端部16と端部18とを有し、全体として長手方向軸線20を定めており、その軸線20はチャンバ12の長さに沿ってその中心を延在している。フィルタ10はまた複数の磁気コイル22も含み、コイル22a,22b,22cはその例示である。示すようにコイルは軸線20に対して直角な互いに平行なそれぞれの平面内で配向されている。この構造により、磁界(B)がチャンバ12内に確立され、これは一般に軸線20の方向に延在する。リング電極または螺旋電極(図1には示されていない)を含み得る電気ユニットがチャンバ12内に半径方向に配向された電界(E)を確立し、それ故にチャンバ12内に交差した電界および磁界(E×B)を確立する。
【0014】
本発明のために意図するように、フィルタ10は少なくとも3種の粒子を含む多種プラズマ24を処理することに使用される。これらの粒子はそれぞれの質量−電荷比によって区別される。図示したように、比較的小さい質量−電荷比の帯電粒子はM1を付されている。中間的な質量−電荷比の帯電粒子はM2を、また比較的大きい質量−電荷比の帯電粒子はM3を付されている。交差した電界および磁界(E×B)が粒子M1,M2,M3をチャンバ12内でどのようにして移動させるかという巧妙さは、図1および図2を対照することで最もよく認識されるであろう。
【0015】
図1および図2はいずれも、本発明の1実施例に関しての軸線20から壁14に至る半径方向距離(図中「a」を付されている)がフィルタ10の長さに沿って変化することを示している。従ってチャンバ12の形状は、端部18における半径方向距離「a」が端部16における半径方向距離「a」よりも大きくされている。さらに説明するために、軸線20に沿う位置を示すために小文字「z」を使用して考える。この表示方法により、zが2として示されるべき位置では、その位置での半径方向距離はaz=a2(r2)となり、磁界の強さはBz=B2となる。zが3として示されるべき位置では、az=a3(r3)、Bz=B3となる。図2に示すように、チャンバ12の形状は、a2(r2)がa3(r3)よりも大きい。これと反対に、磁界の強さは半径補距離が増大するにつれて弱まる。従ってzが3で示される位置での磁界の強さB3は、zが2で示される位置での磁界の強さB2よりも大きい。重要なことは、この関係がフィルタ10の軸線20に沿って保持され、磁束(az 2Bz)がチャンバ12内で実質的に一定に保持されることである(例えば、a2 2B2=a3 2B3)。
【0016】
壁14の形状を予め定め、またチャンバ12内の磁界の強さを制御することにより、上述した分離質量の式はチャンバ12を3つの別々の領域に効果的に分けるように定めることができる。詳しくは、軸線20に沿う特定の「z」位置におけるMczとして所定の値を定めることにより、多種プラズマ24中の粒子M1は、それらの粒子が第1の領域26で捕集されるようにチャンバ12を完全に通過させる軌道上に拘束される。これは、粒子M1が壁14に衝突しないようにすることで実行することができる。図1および図2に示すように、フィルタ10の1実施例では、第1の領域26はフィルタ10の端部18を超えた位置に配置される。
【0017】
上述で説明されるように、チャンバ12内での粒子M1の拘束は、チャンバ12内に特定の条件を確立することで達成される(例えば、Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))およびMc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2))。M1<Mc2<Mc3であるので、Mc2およびMc3に関する条件は、粒子M1がチャンバ12の壁14に至ることを防止するような粒子M1の軌道を確立する。これに対してMc2<M2<Mc3であるので、多種プラズマ24中の粒子M2は、粒子M2を第2の領域28へ導く軌道に従って移動する。さらに、Mc2<Mc3<M3であるので、粒子M3は第2の領域28へ進入する前にそれらの粒子M3を第3の領域30へ導く軌道に従って移動する。今説明した条件に関して、チャンバ12内に実質的に一定した磁束が形成されることを想起されたい。それ故に、磁界は端部16から端部18へと軸線20に沿って移動するように広がる磁力線32を有することになる。図2に示された磁力線32a〜32cは単なる例示である。
【0018】
本発明によるフィルタの他の実施例が図3に示されており、全体を符号40で示されている。示すように、フィルタ40は実質的に円筒形のチャンバ42を有しており、このチャンバは長手方向軸線20上に芯出しされ、壁44で画成されている。さらに、複数の磁気コイル46(磁気コイル46a,46bは単なる例示である)を含み、これらの磁気コイルが実質的に均一な磁界Bを確立し、その磁界はチャンバ42を通って軸線20とほぼ平行な方向へ延在している。電界Eが磁界Bと交差してチャンバ内に形成されて、チャンバ42内に交差した電界および磁界(E×B)を確立している。本発明で意図されるように、電極リング48または螺旋電極50のいずれかを使用する関連技術分野で周知の方法により電界Eを形成することができる。電界Eの特徴はおそらく図4を参照することで最もよく認識されるであろう。
【0019】
図4で、接地された壁44と軸線20に沿って延在する正電圧Vctrとの間に電界Eが確立されることが分かるであろう。本発明によれば、電界Eはチャンバ42内において半径方向距離「a2」(r2)に沿って軸線20から外方へ向かって変化率52で増大するプロフィルを有する。半径方向距離「a2」(r2)の位置で電界Eは断続的に減少し、その後半径方向距離「a2」(r2)の位置から半径方向距離「a3」(r3)の位置まで外方へ向かって変化率54で連続して増大する。示すように、変化率52は変化率54よりも大きい。
【0020】
再び述べるが上述した分離質量の式、すなわちMcz=eaz 2Bz 2/(8Vctr)を使用して、チャンバ42(図3および図4)はチャンバ12(図1および図2)のように3つの別々の領域に効果的に分けることができる。しかしながら、チャンバ42の例では、これは電界Eの構成による結果となる。E/r比は一定であるが内側領域と外側領域との間で強さが変化するので、この例の分離質量は変更されねばならない。すなわち、Mc2=eB2/(4*(E2/r))=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))であり、平均半径はr=r2/2、軸線とr2との間の平均電界はE2=(Vctr−V2)/r2、またMc3=eB2/(4*(E3/r))=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)であり、外側領域の平均半径はr=(r3+r2)/2、r2とr3との間の平均電界はV3=0であるのでE3=V2/(r3−r2)である。軸線上の電圧Vctrおよびr2におけるV2はそれぞれの分離質量を選定するために外部から制御される。
【0021】
図4を参照すれば、式Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を満たすことにより、M1<Mc2<Mc3であれば、粒子M1は軸線20から距離「a2」(r2)を超えて半径方向へ移動しないチャンバ42内の軌道上を移動するように拘束される。従って、粒子M1はチャンバ42から一般に軸線20に沿って延在する第1の領域56へ排出される。これと反対に、粒子M2,M3はそのように拘束されず、第1の領域56を取り囲む第2の領域58へそれらの粒子を導く軌道を有することになる。特に、第2の領域58は軸線20から距離「a2」(r2)を超えて第1の領域56の外側に位置する。
【0022】
チャンバ42内の電界Eの形状により、分離質量の式Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)は粒子M2を第2の領域58に拘束するのに使用できるが、粒子M3は拘束できない。その代わりに、粒子M3は第3の領域への軌道に従って移動することができる。この場合、第3の領域は、実際には壁44である。従って図4に示すように、多種プラズマ24がチャンバ42に導入されると、粒子M1fチャンバ42内で拘束されてそこから第1の領域56へ排出される。これと反対に粒子M2は第1の領域56を超えて粒子M3と共に処理されるようになされる。さらに粒子M2はチャンバ42内で拘束され、そこから第2の領域58へ排出される。しかしながら粒子M3は第1の領域56または第2の領域58のいずれでも拘束されず、その代わりに壁44に直接に衝突する。粒子M1,M2,M3はその後それぞれの領域から収集される。
【0023】
本明細書で詳細に図示し説明した多種質量の粒子フィルタは先に述べた目的を達成して利点を得ることが完全にできるが、これは本発明の現在好ましいと考えられる実施例の単なる説明であること、および特許請求の範囲に記載された以外の本明細書で示した構造およびデザインの細部に限定することは意図されていないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ・フィルタのチャンバの1実施例の斜視図である。
【図2】図1の線2−2に沿って見たプラズマ・フィルタのチャンバの実施例の横断面図である。
【図3】本発明によるプラズマ・フィルタのチャンバの代替実施例の斜視図である。
【図4】図3の線4−4に沿って見たプラズマ・フィルタのチャンバの代替実施例の横断面図である。
【符号の説明】
10 フィルタ
12 チャンバ
14 壁
16,18 端部
20 軸線
22a〜22c 磁気コイル
24 多種プラズマ
26 第1の領域
28 第2の領域
30 第3の領域
32a〜32c 磁力線
40 フィルタ
42 チャンバ
44 壁
46a,46b 磁気コイル
50 螺旋電極
52,54 変化率
56 第1の領域
58 第2の領域
Claims (4)
- 質量に応じて粒子を分離する多種質量フィルタであって、
チャンバと、
比較的小さな質量−電荷比の粒子(M1)、中間的な質量−電荷比の粒子(M2)、および比較的大きい質量−電荷比の粒子(M3)を含み、前記チャンバ内で所定の衝突密度よりも小さな密度を有する多種プラズマを与える手段と、
前記粒子(M1)の各々に関する第1の軌道、前記粒子(M2)の各々に関する第2の軌道、および前記粒子(M3)の各々に関する第3の軌道をそれぞれ確立するために、また前記第1の軌道上の前記粒子(M1)の各々を前記チャンバから第1の領域へ、前記第2の軌道上の前記粒子(M2)の各々を前記チャンバから第2の領域へ、および前記第3の軌道上の前記粒子(M3)の各々を前記チャンバから第3の領域へそれぞれ向かわせて、前記粒子(M1,M2,M3)を質量−電荷比に応じて分離するために、前記チャンバ内で磁界と交差する電界(E×B)を形成する手段とを含む多種質量フィルタ。 - 前記チャンバは軸線を定めており、前記電界(E)は前記軸線から半径方向へ向かって強まり、また前記軸線に沿って正電圧Vctrを有し、前記電界(E)が前記軸線から実質的に半径方向に広がるように形成されており、「az」は軸線方向の「z」位置での前記軸線からの半径方向距離を表し、「Bz」は軸線方向の「z」位置での磁界の強さを表し、「e」は正イオン電荷を表しており、また前記形成する手段が、
第1の磁気手段と、
第2の磁気手段と、
前記軸線に沿ってaz 2Bzを実質的に一定に保持するために前記第1の磁気手段および前記第2の磁気手段を作動させる制御手段とを含み、前記第1の磁気手段は分離質量Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)を定め、実質的に前記M3だけを前記チャンバから前記第3の領域へ排出するためにM3はMc3よりも大きくされており、また前記第2の磁気手段は分離質量Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を定めており、実質的に前記M2だけを前記チャンバから前記第2の領域へ排出するためにM2はMc2よりも大きい請求項1に記載されたフィルタ。 - 前記チャンバは軸線を定めており、前記磁界(B)は前記軸線に沿って実質的に一定していて、前記軸線に実質的に平行に配向されており、前記電界(E)は前記軸線に沿って正電圧Vctrを有し、前記電界(E)が前記軸線から実質的に半径方向に広がるように形成されており、「e」は正イオン電荷を表しており、また前記形成する手段が、
前記軸線と半径方向距離a2(r2)の位置との間に半径方向外方へ向かって第1の比率で強まる電界を形成して前記第1の領域を定め、分離質量Mc2=er2 2B2/(8*(Vctr−V2))を定めており、粒子M3およびM2を前記第1の領域から前記第2の領域へ排出するためにM3およびM2はMc2よりも大きい第1の電気手段と、
前記半径方向距離a2(r2)の位置と半径方向距離a3(r3)の位置との間に半径方向外方へ向かって第2の比率で強まる電界を形成して、分離質量Mc3=e(r3 2−r2 2)B2/(8*V2)を定めており、粒子M3を前記第2の領域から前記第3の領域へ排出するためにM3はMc3よりも大きい第2の電気手段とを含んでいる請求項1に記載された多種質量フィルタ。 - 質量に応じて粒子を分離する多種質量フィルタであって、
チャンバと、
比較的小さな質量−電荷比の粒子(M1)、中間的な質量−電荷比の粒子(M2)、および比較的大きい質量−電荷比の粒子(M3)を含み、前記チャンバ内で所定の衝突密度よりも小さな密度を有する多種プラズマを与える手段と、
前記チャンバ内で前記粒子(M1,M2,M3)をそれぞれの軌道上で移動させるために、前記チャンバ内に磁界と交差する電界(E×B)を確立する手段と、前記チャンバの第1の近傍に前記粒子M1,M2を拘束するために(E×B)を形成する第1の形成手段と、
前記チャンバの第2の近傍に前記粒子M2を拘束するために(E×B)を形成する第2の形成手段と含む多種質量フィルタ。
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