JP3737807B2 - 無線タグシステム制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の無線タグシステムを使用する場合において、無線タグの情報を読取るためにアンテナが発信される無線電磁波の干渉を回避するようにした無線タグシステム制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線タグのメモリに記憶された情報を無線を利用して読取り処理する無線タグシステムとしては、従来、CD(コンパクト・ディスク)や書籍等を販売する小売店で使用されている万引き防止用無線タグシステムがある。この無線タグシステムは、各商品にそれぞれ所定周波数の無線電磁波に同調してメモリに記憶した情報を無線電磁波で発信する商品用無線タグを付すとともに、顧客が買上げる商品の代金を精算する精算場所に前記商品用無線タグのメモリ情報を精算済の情報に書換える装置を設置する。また、店の出口近傍に、商品用無線タグのメモリ情報を読取り可能な無線タグリーダのアンテナを設置する。そして、出口から店外に出ようとする顧客が所持している商品に付された商品用無線タグのメモリ情報を無線タグリーダで読取り、メモリ情報が精算済情報に書換えられていないことを検知すると、未清算の商品を持ち出そうとしていると判断して警告を発するようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、同じく小売店向けの無線タグシステムとして、来店時サービス用無線タグシステムも知られている。この無線タグシステムは、ポイント会員等の会員になった各顧客に対して発行される会員カードにそれぞれその顧客を識別するための顧客コード等の顧客情報を記憶した顧客用無線タグを付すとともに、店の入口近傍に、顧客用無線タグのメモリ情報を読取り可能な無線タグリーダのアンテナを設置する。そして、入口から店内に入ろうとする顧客が所持している会員カードに付された顧客用無線タグのメモリ情報,つまりは顧客情報を読取ると、例えばその顧客の携帯電話にお買得情報等を送信したり、来店するだけで与えられるポイントを付与したりするサービスを実行するようにしたものである(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−030150
【0005】
【特許文献2】
特開2000−276656
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のこの種の無線タグシステムにおいては、無線タグリーダのアンテナから発信される無線電磁波が到達し得る領域、いわゆる無線タグ読取り領域内に無線タグを持った顧客がいつ入るか分からないので、常にアンテナから無線電磁波を出していた。このため、例えば2つの異なる無線タグシステムを併用する場合において、お互いの無線タグリーダの無線タグ読取り領域が少なくとも一部で重複する場合には、電磁波の干渉を回避するために、アンテナ間を鉄板等の電磁波を通さない材質のスペーサで仕切らなければならないという面倒があった。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、少なくとも2種類の無線タグシステムを併用する場合において、お互いの無線タグリーダの無線タグ読取り領域が少なくとも一部で重複する場合でも、格別な設備の必要なく電磁波の干渉を回避できる無線タグシステム制御装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の無線タグシステム制御装置は、各無線タグシステムにそれぞれ対応して、その対応する無線タグシステムの無線タグ読取り領域内に入る物体を検知する複数の物体検知手段と、その対応する無線タグシステムで無線タグから情報を読取るのに要する時間を計時するようにタイムアウト値がそれぞれ設定された複数のタイマカウンタとを設ける。そして、各無線タグシステムが無線タグ情報読取動作中でないとき物体検知手段により物体が検知されるのを待機する。この待機中にいずれかの物体検知手段により物体が検知されると、その物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を開始させるとともに当該無線タグシステムに対応して設けられているタイマカウンタをスタートさせる。ここで、カンウト動作中のタイマカウンタがタイムアウトする前にいずれかの物体検知手段により物体が検知されると、その物体検知手段が無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムに対応したものか否かを判断する。その結果、無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムに対応した物体検知手段により物体が検知されたと判断されると、カンウト動作中のタイマカウンタを再スタートさせる。これに対し無線タグ情報読取動作中でない無線タグシステムに対応した物体検知手段により物体が検知されたと判断された場合には、その物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を待機させる。カウント動作中のタイマカウンタがタイムアウトすると、そのタイマカウンタに対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を停止させた後、無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム有無を確認する。そして、無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム無しが確認されると、物体待機手段による待機状態に戻り、無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム有りが確認されると、その無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を開始させるとともに当該無線タグシステムに対応して設けられているタイマカウンタをスタートさせるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、周知の万引防止用無線タグシステムと来店時サービス用無線タグシステムとを併用する小売店に本発明を適用した場合である。
【0011】
図1は本実施の形態の全体構成を示す模式図であり、本発明に関わる無線タグシステム制御装置本体1に、万引防止用無線タグシステム2と来店時サービス用無線タグシステム3とをそれぞれ通信回線で接続している。
【0012】
万引防止用無線タグシステム2は、商品Gに付された商品用無線タグT1のメモリ情報を読取り可能な無線タグリーダ21を接続している。そして、この無線タグリーダ21のアンテナ22を店の出口に設け、該出口より店外に出ようとする顧客C1が持っている商品Gに付された商品用無線タグT1のメモリ情報を読取り、そのメモリ情報が精算済情報に書換えられていないことを検知した場合に万引警告を発するものである。
【0013】
来店時サービス用無線タグシステム3は、各顧客毎にそれぞれ設定された顧客コード等の顧客情報を記憶した顧客用無線タグT2のメモリ情報を読取り可能な無線タグリーダ31を接続している。そして、この無線タグリーダ31のアンテナ32を店の入口に設け、該入口より店内に入ろうとする顧客C2が携帯する顧客用無線タグT2のメモリ情報である顧客情報を読取り、その顧客情報に基づいてその顧客の携帯電話にお買得情報等を送信したり、来店するだけで与えられるポイントを付与したりするサービスを実行するものである。
【0014】
図示するように、万引防止用無線タグシステム2に接続された無線タグリーダ21のアンテナ22から発信される無線電磁波が到達し得る無線タグ読取り領域A1と、来店時サービス用無線タグシステム3に接続された無線タグリーダ31のアンテナ32から発信される無線電磁波が到達し得る無線タグ読取り領域A2とはその一部で重複しており、お互いのアンテナ22,32から同時に無線電磁波が発信されると干渉しあって、無線タグリーダ21,31が誤動作するおそれがある。そこで本実施の形態では、お互いのアンテナ22,32から同時に無線電磁波が発信されないようにして、無線電磁波の干渉を回避するようにしたものである。
【0015】
具体的には、万引防止用無線タグシステム2に接続された無線タグリーダ21のアンテナ22が設置されている店出口の手前(店内)側床面に、該出口に近づく顧客C1を検知する物体センサの1種として重量センサ4を設けるとともに、この重量センサ4によって検知された顧客C1の店出口からの退出を阻止する出口ゲート5を設けている。また、来店時サービス用無線タグシステム3に接続された無線タグリーダ31のアンテナ32が設置されている店入口の手前(店外)側床面に、該入口に近づく顧客C2を検知する物体センサの1種として重量センサ6を設けるとともに、この重量センサ6によって検知された顧客C2の店入口からの入店を阻止する入口ゲート7を設けている。そして、出口側重量センサ4及び入口側重量センサ6の検知信号を無線タグシステム制御装置本体1に入力するようにしている。また、出口ゲート5及び入口ゲート7の開閉を無線タグシステム制御装置本体1から制御するようにしている。
【0016】
なお、各重量センサ4,6は、所定の重さ、例えば10キログラム以上の加重を検知すると、無線タグシステム制御装置本体1に対してON信号を一定時間出力するように設定している。また、各ゲート5,7は、無線タグシステム制御装置本体1から閉信号が入力されると閉状態となって人の通過を阻止し、開信号が入力されると開状態となって人1人が通過可能となる。
【0017】
図2は無線タグシステム制御装置本体1の要部構成を示すブロック図である。この装置本体1は、前記出口側重量センサ4の検知信号を入力するセンサ信号入力ポート11と、前記出口ゲート5の開閉を制御するゲート信号を出力するゲート信号出力ポート12と、前記入口側重量センサ6の検知信号を入力するセンサ信号入力ポート13と、前記入口ゲート7の開閉を制御するゲート信号を出力するゲート信号出力ポート14とを備えている。また、第1の無線タグシステムとして設定された来店時サービス用無線タグシステム3に接続されデータを送受信する第1の無線タグシステムインタフェース15と、第2の無線タグシステムとして設定された万引防止用無線タグシステム2に接続されデータを送受信する第2の無線タグシステムインタフェース16とを備えている。そして、マイクロプロセッサで構成したコントローラ17により、前記各入出力ポート11〜14やインタフェース15,16を制御するようにしている。
【0018】
また装置本体1は、該コントローラ17が処理で使用するメモリエリアとして、図3に示すように、第1のシステム側タイマカウンタ181、第2のシステム側タイマカウンタ182及び待機フラグメモリ183等が形成されたメモリ18を備えている。第1のシステム側タイマカウンタ181は、第1の無線タグシステムとして設定された来店時サービス用無線タグシステム3の無線タグリーダ31で顧客用無線タグT2のメモリ情報を読取るのに要する充分な時間を計時するようにタイムアウト値が設定されたものである。第2のシステム側タイマカウンタ182は、第2の無線タグシステムとして設定された万引防止用無線タグシステム2の無線タグリーダ21で商品用無線タグT1のメモリ情報を読取るのに要する充分な時間を計時するようにタイムアウト値が設定されたものである。
【0019】
コントローラ17は、図4及び図5の流れ図に示す手順で各部を制御する。先ず、コントローラ17は、ST(ステップ)1として第1の無線タグシステム側のゲート、すなわち入口ゲート7に対してゲート閉信号を出力する。また、ST2として第2の無線タグシステム側のゲート、すなわち出口ゲート5に対してゲート閉信号を出力する。
【0020】
次に、コントローラ17は、ST3としていずれかの重量センサ4,6からON信号が入力されるのを待機する。そしてON信号が入力されると、ST4としてこのON信号が第1の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち入口側重量センサ6から入力されたのか、第2の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち出口側重量センサ4から入力されたのかを判断する。
【0021】
ここで、ON信号が入口側重量センサ6から入力された場合には、コントローラ17は、ST5として第1の無線タグシステムインタフェース15を介して来店時サービス用無線タグシステム3に無線タグ読取り指令を送信する。また、ST6として入口ゲート7に対してゲート開信号を出力する。さらに、ST7として第1システム側タイマカウンタ181をスタートさせる。そして、ST8としてこの第1システム側タイマカウンタ181がタイムアウトするのを待機する。
【0022】
このタイムアウト待機状態において、ST9としていずれかの重量センサ4,6からON信号が入力されると、コントローラ17は、ST10としてこのON信号が入口側重量センサ6から入力されたのか、出口側重量センサ4から入力されたのかを判断する。ここで、ON信号が第1の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち入口側重量センサ6から入力された場合にはST7に戻り、第1システム側タイマカウンタ181を一旦リセットして再スタートさせる。そして、この第1システム側タイマカウンタ181がタイムアウトするのを待機する。
【0023】
これに対し、ON信号が第2の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち出口側重量センサ4から入力された場合には、待機フラグメモリ183に待機フラグをセットする。そして、第1システム側タイマカウンタ181がタイムアウトするのを待機する。
【0024】
第1システム側タイマカウンタ181がタイムアウトすると、コントローラ17は、ST12として第1の無線タグシステムインタフェース15を介して来店時サービス用無線タグシステム3に無線タグ読取り停止指令を送信する。また、ST13として入口ゲート7に対してゲート閉信号を出力する。しかる後、コントローラ17は、ST14として待機フラグメモリ183に待機フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、待機フラグがセットされていない場合にはST3に戻り、再びいずれかの重量センサ4,6からON信号が入力されるのを待機する。
【0025】
これに対し、待機フラグがセットされていた場合には、コントローラ17は、ST15として待機フラグをリセットした後、ST16の処理に進む。また、コントローラ17は、ST4にてON信号が出口側重量センサ4から入力された場合もST16の処理に進む。
【0026】
ST16に処理が進むと、コントローラ17は、第2の無線タグシステムインタフェース16を介して万引防止用無線タグシステム2に無線タグ読取り指令を送信する。また、ST17として出口ゲート5に対してゲート開信号を出力する。さらに、ST18として第2システム側タイマカウンタ182をスタートさせる。そして、ST19としてこの第2システム側タイマカウンタ182がタイムアウトするのを待機する。
【0027】
このタイムアウト待機状態において、ST20としていずれかの重量センサ4,6からON信号が入力されると、コントローラ17は、ST21としてこのON信号が入口側重量センサ6から入力されたのか、出口側重量センサ4から入力されたのかを判断する。ここで、ON信号が第2の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち出口側重量センサ4から入力された場合にはST18に戻り、第2システム側タイマカウンタ182を一旦リセットして再スタートさせる。そして、この第2システム側タイマカウンタ182がタイムアウトするのを待機する。
【0028】
これに対し、ON信号が第1の無線タグシステム側の重量センサ、すなわち入口側重量センサ6から入力された場合には、待機フラグメモリ183に待機フラグをセットする。そして、第2システム側タイマカウンタ182がタイムアウトするのを待機する。
【0029】
第2システム側タイマカウンタ182がタイムアウトすると、コントローラ17は、ST23として第2の無線タグシステムインタフェース16を介して万引防止用無線タグシステム2に無線タグ読取り停止指令を送信する。また、ST24として出口ゲート5に対してゲート閉信号を出力する。しかる後、コントローラ17は、ST25として待機フラグメモリ183に待機フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、待機フラグがセットされていない場合にはST3に戻り、再びいずれかの重量センサ4,6からON信号が入力されるのを待機する。
【0030】
これに対し、待機フラグがセットされていた場合には、コントローラ17は、ST26として待機フラグをリセットした後、ST5の処理に進み、来店時サービス用無線タグシステム3に無線タグ読取り指令を送信するものとなっている。
【0031】
なお、万引防止用無線タグシステム2及び来店時サービス用無線タグシステム3は、いずれも図6に示すように、無線タグシステム制御装置本体1のコントローラ17から無線タグ読取り指令を受信すると(ST31)、無線タグリーダ21,31によるタグ読取り動作を開始する(ST32)。そして、無線タグT1,T2のメモリ情報が読取られると(ST33)、そのタグのメモリ情報に応じた処理を実行する(ST34)。その後、無線タグシステム制御装置本体1のコントローラ17から無線タグ読取り停止指令を受信すると(ST35)、無線タグリーダ21,31によるタグ読取り動作を停止して(ST36)、再び無線タグ読取り指令を受信するのを待機するものとなっている。
【0032】
このように構成された本実施の形態においては、初期状態として、店の入口に設けられた入口ゲート7と出口に設けられた出口ゲート5はいずれも閉じており、人が通過できないようになっている。
【0033】
この状態で、例えば店外の顧客C2が店に入ろうとして入口ゲート7手前の床面に立つと、入口側重量センサ6からON信号が出力される。そうすると、来店時サービス用無線タグシステム3の無線タグリーダ31がタグ読取り動作を開始し、アンテナ32から無線電磁波が発信される。また、入口ゲート7が開放する。これにより、顧客C2が入口ゲート7を通って店内に入ると、この顧客C2が携帯している顧客用無線タグT2のメモリ情報、すなわち顧客情報が無線電磁波を利用して無線タグリーダ31で読取られ、来店時サービス用無線タグシステム3に取込まれる。その結果、当該顧客C2の携帯電話にお買得情報が送信されたり、来店ポイントが付与されたりする。
【0034】
ここで、顧客用無線タグT2のメモリ情報が無線タグリーダ31で読取られるのに充分な時間、つまり第1システム側タイマカウンタ181の設定時間が経過するまでは、他方の無線タグシステム、すなわち万引防止用無線タグシステム2に接続された無線タグリーダ21のアンテナ22から無線電磁波は発信されない。したがって、お互いの無線電磁波が干渉して無線タグリーダ31が誤動作することはない。また、この間は出口ゲート5にゲート開信号が出力されないので出口ゲート5は開放されない。したがって、顧客は誰も出口ゲート5を通って店の外に出られないので、万引防止機能を損なうこともない。
【0035】
一方、顧客用無線タグT2のメモリ情報が無線タグリーダ31で読取られるのに充分な時間が経過すると、無線タグリーダ31のタグ読取り動作が停止し、アンテナ32から発信されていた無線電磁波が止まる。また、入口ゲート7が閉じて初期状態に戻る。
【0036】
次に、店内の顧客C1が店を出ようとして出口ゲート5手前の床面に立つと、出口側重量センサ4からON信号が出力される。そうすると、万引防止用無線タグシステム2の無線タグリーダ21がタグ読取り動作を開始し、アンテナ22から無線電磁波が発信される。また、出口ゲート5が開放する。これにより、顧客C1が店外に出ると、この顧客C1が持っている商品Gに付された商品用無線タグT1のメモリ情報が無線電磁波を利用して無線タグリーダ21で読取られ、万引防止用無線タグシステム2に取込まれる。その結果、メモリ情報が精算済情報に書換えられていないことが検知されると、万引警告が発せられる。
【0037】
ここで、商品用無線タグT1のメモリ情報が無線タグリーダ21で読取られるのに充分な時間、つまり第2システム側タイマカウンタ182の設定時間が経過するまでは、他方の無線タグシステム、すなわち来店時サービス用無線タグシステム3に接続された無線タグリーダ31のアンテナ32から無線電磁波は発信されない。したがって、お互いの無線電磁波が干渉して無線タグリーダ21が誤動作することはない。また、この間は入口ゲート7にゲート開信号が出力されないので入口ゲート7は開放されない。したがって、顧客は誰も店の中に入れないので、来店時の顧客サービス機能を損なうこともない。
【0038】
ところで、本実施の形態では、店の入口と出口に略同時に顧客C1,C2が着いた場合、若干でも先に重量センサがONした方の無線タグシステムを動作させて対応するゲートを開放する。そして、この無線タグシステムの無線タグ読取り動作が終了すると、他方の無線タグシステムを動作させて対応するゲートを開放するようにしている。したがって、店の入口と出口に略同時に顧客C1,C2が着いた場合でも、お互いの無線電磁波が干渉して無線タグリーダが誤動作することはない。また、無線タグシステムの無線タグ読取り動作は、通常、ごく短時間で終了するので、第1システム側タイマカウンタ181及び第2システム側タイマカウンタ182のタイムアウト値は数秒程度のごく短いものである。したがって、ゲートが開かず待機させられた顧客も短時間のうちにゲートが開くので、顧客の動きが滞って顧客が不満に感じることもない。
【0039】
しかも、各無線タグシステム2,3は、無線タグT1,T2が無線タグ読取り領域A1,A2内にあるときだけ無線電磁波を発信して無線タグT1,T2のメモリ情報を横取るので、不要な電磁波を放出しなくなる。したがって、使用電力を削減できる効果も奏する。
【0040】
なお、この実施の形態では、一方の無線タグシステムの無線タグリーダが読取り動作している最中は、その動作が終了するまで他方の無線タグシステムにおける無線タグリーダの読取り動作を禁止したが、無線タグシステムに優先度を設定し、優先度が高い方のシステムを優先させることも可能である。
【0041】
そこで次に、本発明の第2の実施の形態として、第1の無線タグシステムとして設定された来店時サービス用無線タグシステム3を、第2の無線タグシステムとして設定された万引防止用無線タグシステム2よりも優先度が高い場合について説明する。
【0042】
この第2の実施の形態は、第1の実施の形態におけるコントローラ17の第2の無線通信システムに設定された側の物体検知時における処理手順を示す図5の部分を、図7の流れ図に示す処理手順に置き換えることにより可能となる。なお、図5と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
すなわちコントローラ17は、万引防止用無線タグシステム2に無線タグ読取り指令を送信し、第2システム側タイマカウンタ182をスタートさせた状態で、入口側重量センサ6からON信号が入力されたことを検知すると(ST21のYES)、ST25として出口ゲート5に対してゲート閉信号を出力する。また、ST26として待機フラグをセットする。しかる後、ST27として第2の無線タグシステムインタフェース16を介して万引防止用無線タグシステム2に無線タグ読取り停止指令を送信したならば、コントローラ17は、図4のST5の処理に進み、来店時サービス用無線タグシステム3に無線タグ読取り指令を送信する。以後、第1の実施の形態と同様にST6以降の処理を実行する。
【0044】
この第2の実施の形態においては、店内の顧客C1が店を出ようとして出口ゲート5手前の床面に立ち、出口側重量センサ4からON信号が出力されて出口ゲート5が開放されても、その直後に店外の顧客C2が店に入ろうとして入口ゲート7手前の床面に立ち、入口側重量センサ6からON信号が出力されると、出口ゲート5が瞬時に閉じて顧客C1の退出が阻止される。そして、入口ゲート7が開くとともに来店時サービス用無線タグシステム3の無線タグリーダ31がタグ読取り動作を開始して、入口ゲート7より入店した顧客C2が携帯する顧客用無線タグT2のメモリ情報が読取られる。しかる後、ごく短時間のうちに出口ゲート5が開放されて万引防止サービス用無線タグシステム2の無線タグリーダ31がタグ読取り動作を開始する。したがって、顧客C1は出口ゲート5を通って速やかに店外に退出することができる。
【0045】
因みに、この第2の実施の形態において、万引防止用無線タグシステム2の方を来店時サービス用無線タグシステム3よりも優先度を高くする場合には、万引防止用無線タグシステム2を第1のシステムに設定し、来店時サービス用無線タグシステム3を第2のシステムに設定すればよい。
【0046】
なお、本発明は前記第1及び第2実施の形態に限定されるものではない。
例えば前記第1及び第2の実施の形態では、万引防止用無線タグシステム2と来店時サービス用無線タグシステム3とを制御する場合を示したが、本発明の無線タグシステム制御装置の制御対象となる無線タグシステムは上記のものに限定されるものではなく、お互いの無線タグ読取り領域の少なくとも一部が重なるために無線電磁波の干渉を回避する必要がある無線タグシステムであれば制御対象となり得るものである。また、制御対象となる無線タグシステムの数は2つに限定されるものではなく、3つ以上を制御対象とし、各々に対応する無線タグシステムの無線タグ読取り領域内に入る物体を検知する複数の物体検知手段を設けて、いずれかの物体検知手段により物体が検知されると、その物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムが無線を利用した無線タグ情報読取り動作を行ない、他の無線タグシステムが無線タグ読取り動作を行なわないように制御してもよい。こうすることにより、複数の無線タグシステムを、アンテナ間を鉄板で仕切るというような格別な設備の必要なく、無線電磁波が干渉を起こさずに近接した場所に設置することが可能となる。
【0047】
物体検知手段としては、重量センサ4,6に限定されるものではなく、フォトセンサ,タッチセンサ等の検知手段であってもよい。また、出口ゲート5や入口ゲート7のように、対応する無線タグシステムの無線タグ読取り領域内に物体が入るのを阻止するゲート手段は、本発明において必ずしも必要とするものではないが、ゲート手段を設けることによって無線タグ読取り動作が行なわれていない無線タグ読取り領域内を、無線タグを所持した人が通過してしまうのを防ぐことができる。
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、少なくとも2種類の無線タグシステムを併用する場合において、お互いの無線タグリーダの無線タグ読取り領域が少なくとも一部で重複する場合でも、鉄板等の無線電磁波を通さない材質のスペーサでアンテナ間を仕切る等の格別な設備の必要なく電磁波の干渉を回避でき、各無線タグシステムで安定した無線タグ読取り動作を実現できる上、使用電力も削減できる無線タグ読取装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の全体構成を示す模式図。
【図2】 同実施の形態における無線タグシステム制御装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】 同無線タグシステム制御装置のメモリに形成する主要なメモリエリアを示す模式図。
【図4】 同無線タグシステム制御装置のコントローラが実行する処理手順のうち、特に第1の無線通信システムに設定された側の物体検知時における主要な処理手順を示す流れ図。
【図5】 同無線タグシステム制御装置のコントローラが実行する処理手順のうち、特に第2の無線通信システムに設定された側の物体検知時における主要な処理手順を示す流れ図。
【図6】 同無線タグシステム制御装置の制御対象である無線タグシステムの主要な動作を説明するための流れ図。
【図7】 本発明の他の実施の形態において、無線タグシステム制御装置のコントローラが実行する処理手順のうち、特に第2の無線通信システムに設定された側の物体検知時における主要な処理手順を示す流れ図。
【符号の説明】
1…無線タグシステム制御装置本体、2…万引防止用無線タグシステム、3…来店時サービス用無線タグシステム、4…出口側重量センサ、5…出口ゲート、6…入口側重量センサ、7…入口ゲート、17…コントローラ、21,31…無線タグリーダ、22,32…アンテナ。
Claims (3)
- それぞれ無線タグの記憶部に記憶された情報を無線を利用して読取り処理する複数の無線タグシステムを制御する無線タグシステム制御装置において、
各無線タグシステムにそれぞれ対応して設けられ、対応する無線タグシステムの無線タグ読取り領域内に入る物体を検知する複数の物体検知手段と、
各無線タグシステムにそれぞれ対応して設けられ、対応する無線タグシステムで無線タグから情報を読取るのに要する時間を計時するようにタイムアウト値がそれぞれ設定された複数のタイマカウンタと、
前記各無線タグシステムが無線タグ情報読取動作中でないとき前記物体検知手段により物体が検知されるのを待機する物体待機手段と、
この物体待機手段による待機中にいずれかの前記物体検知手段により物体が検知されると、その物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を開始させるとともに当該無線タグシステムに対応して設けられている前記タイマカウンタをスタートさせる読取開始制御手段と、
カンウト動作中の前記タイマカウンタがタイムアウトする前にいずれかの前記物体検知手段により物体が検知されると、その物体検知手段が無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムに対応したものか否かを判断する物体検知判断手段と、
無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムに対応した物体検知手段により物体が検知されたと判断されると、カンウト動作中の前記タイマカウンタを再スタートさせるタイマ再スタート手段と、
無線タグ情報読取動作中でない無線タグシステムに対応した物体検知手段により物体が検知されたと判断されると、その物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を待機させる読取動作待機手段と、
カウント動作中の前記タイマカウンタがタイムアウトすると、そのタイマカウンタに対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を停止させた後、無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム有無を確認する停止制御手段と、
無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム無しが確認されると、前記物体待機手段による待機状態に戻り、無線タグ情報読取動作待機中の無線タグシステム有りが確認されると、その無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を開始させるとともに当該無線タグシステムに対応して設けられている前記タイマカウンタをスタートさせる停止後処理手段と、
を具備したことを特徴とする無線タグシステム制御装置。 - 前記読取動作待機手段は、物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムが無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムより優先度が低い場合のみ作用し、
物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムが無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムより優先度が高い場合には、無線タグ情報読取動作中の無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を停止させ待機中とした後、物体を検知した物体検知手段に対応する無線タグシステムの無線タグ情報読取動作を開始させるとともに当該無線タグシステムに対応して設けられている前記タイマカウンタをスタートさせることを特徴とする請求項1記載の無線タグシステム制御装置。 - 各無線タグシステムにそれぞれ対応して設けられ、対応する無線タグシステムの無線タグ読取り領域内に物体が入るのを阻止する複数のゲート手段をさらに具備し、
無線タグ情報読取り動作を行なう無線タグシステムに対応して設けられた前記ゲート手段を開状態にし、無線タグ情報読取動作を行なわない無線タグシステムに対応して設けられた前記ゲート手段を閉状態にすることを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグシステム制御装置。
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