JP3737499B2 - フッ素化による光学用高分子材料成形品の表面親水化方法 - Google Patents

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Description

本発明は光学用に用いる高分子材料の成形品の表面親水化方法に関する。
光学材料には優れた光透過性に加えて屈折率の制御性が最も重要な特性として求められている。特に透明性に優れた高分子としてはポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。これらの高分子は低コスト、柔軟性、軽量といった高分子特有の優れた特徴を有しているため、レンズ、光学フィルタ、窓等の種々の光学製品に用いられている。また、光通信の分野において、これらの高分子材料は光ファイバ、光導波路、光フィルタを初めとした種々の光学部品用材料として用いることが検討されている。
特に光ファイバや光導波路に用いる高分子材料には光の導波特性を制御するために精密な屈折率制御性が要求される。光導波路において光をコアに閉じ込めるためにはクラッドの屈折率をコアの屈折率より小さくする必要がある。そのため、クラッド材料は低屈折率であることが必要である。
埋め込み型のステップインデックス(SI)型光導波路においては光の導波モードを一定に保つために、コアとクラッドの屈折率差を精密に制御する必要がある。したがって、光導波路のコア材料とクラッド材料には精密な屈折率制御性が要求される。
高密度の光導波路配線を行うには曲率の小さい曲がり光導波路が必要であり、このためには低屈折率のクラッド材料が必要である。また光カプラ、スプリッタ、光合分波器等の光学部品は種々の曲率の曲がり導波路で構成されるので、このような光学部品の材料には幅広い範囲での屈折率制御性が要求される。また石英系光ファイバに接続する光学部品用材料は、接続界面での光の反射を少なくするために石英の屈折率(1.46)に近いことが必要だが、一般に光学用高分子材料の屈折率は石英の屈折率より大きいので、これら高分子材料の屈折率を低減する必要がある。
高分子材料の屈折率を低減する方法としては分子構造中にフッ素を導入する方法が一般に用いられている。例えばエポキシ樹脂の屈折率低減は、特許文献1に開示されているように、エポキシ樹脂の硬化剤に多フッ素置換基を導入することにより、これまでのエポキシ樹脂の中で最も低い屈折率を達成した。また、特許文献2に開示されているように、耐熱性に優れた光学用高分子材料である含フッ素ポリイミドの屈折率制御は、フッ素含有率の高いポリイミドとフッ素含有率の低いポリイミドを共重合することでその屈折率を制御することが可能である。
このように光学部品用高分子材料において、その材料の屈折率を低減すること、および屈折率を精密に制御することは極めて重要であり、その具体的な方法としては高分子材料の分子中にフッ素を導入することが効果的である。しかし従来の方法では、フッ素試薬を用いて高分子の分子中にフッ素を導入した原料を合成し、これを用いて高分子材料を製造しなければならないため、原料の価格が高く、また、材料の製造工程が複雑になるという問題があった。
特開昭61−44969号公報 特許第2640553号公報 特開平8−302039号公報 第56回秋季応用物理学会学術講演会、講演予講集28a−ZT−6,1995年
本発明者らは、材料の屈折率制御のため光学用高分子材料に簡便にフッ素を導入することができる方法が見出されていなかったことに着目し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は光学用高分子材料に簡便な方法でフッ素の導入を行い、光学材料の屈折率を低減し、また屈折率を精密に制御することにある。
ところで、フッ素化ポリイミドからなる成形品の表面は撥水撥油傾向があり、いわゆる「ぬれ」が悪く、金属表面あるいは金属酸化物表面等との密着性または他の有機光学材料との密着性に問題があった。密着性を改良するためフッ素化ポリイミドの表面に、オゾン処理、プラズマ処理、エキシマレーザー処理等を施すことが行われてきた。また、エキシマレーザー照射下でフッ素化ポリイミドを水と反応させて親水化させることも知られている(非特許文献1参照)。しかし、かかる方法ではフッ素化ポリイミド中の炭素−フッ素結合(C−F結合)の解離を生じるので、フッ素化ポリイミドの電気的長所または屈折率制御等の光学的長所が失われてしまう恐れがある。また従来の方法では、設備またはコスト上の問題があり、かつ、処理面積の大きさに限度がある等の問題もあった。
そこで、本発明の他の目的は、フッ素化ポリイミドの成形品の表面に簡便な方法でフッ素の導入を行うことにより、フッ素化ポリイミド中の炭素−フッ素結合を解離することなく、親水性をフッ素化ポリイミドの成型品の表面に付与し、接着性を与えることにある。
請求項1のフッ素化ポリイミド成形品の表面親水化方法の発明は、フッ素化ポリイミドからなる成形品をフッ素濃度が0.01%から20%のフッ素ガス雰囲気中に1分〜30分浸積することにより、該フッ素化ポリイミドからなる成形品の表面の水接触角を70度以下にすることを特徴とする。
ここで、前記フッ素化ポリイミドは下記構造式:
Figure 0003737499
で表される繰り返し単位からなるフッ素化ポリイミドであることができる。
本発明の光学用高分子材料の屈折率制御方法は、従来のフッ素導入による屈折率制御方法と比較して、光学用高分子材料の屈折率を簡易にかつ広範囲で制御できるため、光ファイバや光導波路のクラッド形成等、様々な光部品の作製に利用することができる。
また、フッ素化ポリイミドからなる成形品をフッ素処理することにより、適度の親水性に制御することができる。
本発明においては、光学用高分子材料をフッ素ガス雰囲気中に浸漬することにより、高分子材料の屈折率を制御することができる。フッ素ガス雰囲気中のフッ素ガス濃度、フッ素ガス雰囲気中に浸漬する温度や時間を適宜選択することにより、高分子材料の屈折率を所望の値に精密に制御することができる。
ここで、フッ素ガス雰囲気とは、フッ素ガスを含む気体を意味し、例えば、フッ素ガスと窒素ガスとの混合ガス等が挙げられる。フッ素ガス雰囲気中のフッ素ガスの濃度は、所望の屈折率の材料を得るのに必要な濃度を適宜選択する。
本発明に用いる高分子材料としては光透過性に優れたポリイミド、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン等の種々の高分子材料を挙げることができるが、耐熱性、化学的安定性等の観点からポリイミド、さらに高光透過性も考慮するとフッ素化ポリイミドが好ましい。
これらの高分子材料を例えば窒素ガス等で希釈した種々の濃度のフッ素ガス中に、所定温度、所定時間浸漬することにより、高分子材料の表面から内部に向かって徐々に分子内でのフッ素の導入が起こり、材料のフッ素含有率が増加してゆくことになる。材料表面からのフッ素の浸透深さ、フッ素処理後の材料中のフッ素含有率は、フッ素処理中のフッ素ガスの濃度、フッ素処理温度、フッ素処理時間に依存して変化する。これらの条件については特に制限はないが、フッ素濃度が高い場合、処理時間が長い場合、処理温度が高い場合に、フッ素の浸透深さが深くなり、またフッ素処理後の高分子材料のフッ素含有率が高くなる。フッ素含有率の増加に伴ってフッ素化された部分の屈折率が低減するので、フッ素濃度、処理温度、処理時間を適宜選択すれば、所望の屈折率の材料を得ることができる。ただし、極端にフッ素濃度を高くしたり、極端な高温長時間でのフッ素処理を行うと分子が劣化するため、通常のフッ素処理条件としてはフッ素濃度が0.1〜30%、処理温度が20〜150℃、処理時間が5〜250分が好適である。
本発明においては、フッ素化ポリイミドの成形品の表面に親水性を付与するためフッ素化処理を行う。かかるフッ素化処理は、室温下、フッ素濃度0.01%〜20%のフッ素ガス雰囲気中で1分〜30分間行うことが好ましい。この処理を施すことにより、フッ素化ポリイミドの成形品表面の水接触角を70度以下30度以上にすることができる。ここで、水接触角とは、フッ素化ポリイミドの成形品の表面に水を滴下したときの水滴の接触角をいう。また、本発明において成形品とは、射出成形等による成形品のみならず、例えばフィルム、板、ファイバー等、実用に供されている形を成すすべての物品をいう。具体的には、フッ素化ポリイミドフィルム、フッ素化ポリイミドコーティング膜等も含まれる。
このようなフッ素化処理によるフッ素化ポリイミド成形品の表面を顕微鏡で観察しても変化はみられないことから、成形品の表面のごく薄い上層部分のみがフッ素化されていて、表面のごく薄い部分でこみ合って共存するC−F結合が表面エネルギーを上昇させて表面の親水性を発現していると考えられる。
フッ素化ポリイミドはフッ素処理前にすでに多数のCF3基を保有しているので、X線電子分光法(ESCA)による表面測定におけるFlsスペクトルでは判断することができない。図1(a),(b)にESCAのClsスペクトルを示す。図1(a)は、反応前のフッ素化ポリイミドについてのESCAのClsスペクトルを示し、図1(b)は反応後のフッ素化ポリイミドについてのESCAのClsスペクトルを示す。ただし、ESCAは成形品の表面から約50オングストロームの極薄い層を測定したものである。
図1(a),(b)から、C−H結合またはC−C結合に相当する281.87eVの吸収は反応前から反応後で大きく減少し、C=O結合またはC−N結合に相当する284.10eVの吸収変化は反応前から反応後であまり変化しない。また、C−F結合に対応する285.92eVおよびCF2結合に対応する287.73eVの吸収は反応前後で大きく増加しており、CF3結合に対応する290.21eVの吸収はほとんど変化していない。
図2に、フッ素化処理後のポリイミド成形品のNMRスペクトルを示した。図2から、フッ素化処理前のポリイミドには存在しなかったベンゼン環に結合したFシグナルが−180PPMに出現し、シクロヘキサン環のCF2結合に相当するFシグナルが−70〜−80PPMに出現したことがわかった。
所定条件の下、所定濃度のフッ素ガス雰囲気下でフッ素化ポリイミドを保持すると、フッ素化ポリイミド表面はフッ素親和状態が形成されて、フッ素原子同士の相互作用によって極めて速やかにフッ素原子が引きつけられ、そこに選択的に反応して新しいC−F結合が導入される。イミド結合間の水素結合は強力であるので、フッ素化ポリイミドの表面エネルギーは小さくなるが、表面の極薄い層では新しく形成されたC−F結合によって歪みが生じ、規則的な水素結合の一部が切断される。このような表面におけるイミド間水素結合の切断により表面エネルギーが上昇し、表面張力および接触角を減少させることとなる。かかるフッ素化処理による接触角の調節は、フッ素化ポリイミドにおいてのみ実現できる。かかる反応に好ましく用いられるフッ素化ポリイミドとしては特に制限はないが、例えば以下の構造式を有するフッ素化ポリイミドが好ましい。
Figure 0003737499
フッ素化されてない通常のポリイミドからなる成形品をフッ素化処理した場合には、表面親水化速度が速すぎて親水化制御ができないので、上述の効果は得られない。これは、フッ素化されてないポリイミドではフッ素結合が存在しないのでフッ素化反応が不規則に生じ、そのため水素結合が不規則に多様に切断されてフッ素化が進行し、所望の親水性表面を通り越して遊離の水素結合可能な水溶性表面になってしまうからである。
なお、ポリプロピレン等をフッ素で表面親水化する技術が知られている(特許文献3参照)が、これはフッ素化処理を施す対象物にフッ素結合が存在しない場合である。すなわち、表面処理を施すポリプロピレンとフッ素化ポリイミドとでは全く化学構造が異なり、表面親水化のメカニズムも全く異なるものであり、したがってポリプロピレン等のフッ素化方法を利用しても、フッ素化ポリイミドの接触角の低下には限界が生じてしまう。
以下に本発明の光学用高分子材料の屈折率制御方法について実施例を用いて具体的に説明する。ただし、以下の実施例は単なる例示であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例において、高分子材料の分子中へのフッ素の導入の確認はX線光電子分光法(ESCA)により確認した。また、屈折率はプリズムカップリングを用い、波長633nm、TEモード(材料のフィルム面と平行方向の光の偏波モード)およびTMモード(材料のフィルム面と垂直方向の光の偏波モード)で測定した。
ESCA分析:対照1
下記の繰り返し単位
Figure 0003737499
からなる分子構造のフッ素化ポリイミドフィルムについてESCA分析を行った。フッ素原子の総数が高分子構造中に占める比率(以下「全フッ素原子比率」または「全F比率」という)、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合の数が高分子構造中に占める比率(以下「各結合比率」という)を得た。結果を表1に示す。また、上記繰り返し単位からなる分子構造のフッ素化ポリイミドフィルムの屈折率を測定した。結果を表1に示す。
ESCA分析1〜6
上記ESCA分析:対照1のフッ素化ポリイミドフィルムを表1に示す処理条件でフッ素処理を行って、ESCA分析1〜6のフッ素化ポリイミドフィルムを得た。得られたESCA分析1〜6の各フッ素化ポリイミドフィルムについて、フィルム表面のESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。また、このフッ素化ポリイミドフィルムの屈折率を測定した。これらの結果をまとめて表1に示す。
ESCA分析:対照2
市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製のカプトンHフィルム)についてESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を測定した。結果を表1に示す。また、このポリイミドフィルムの屈折率を測定した。結果を表1に示す。
参考例1〜5
上記ESCA分析:対照2のポリイミドフィルムを表1に示す処理条件でフッ素処理を行って、参考例1〜5のポリイミドフィルムを得た。得られた参考例1〜5の各フィルムについてフィルム表面のESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。また、このポリイミドフィルムの屈折率を測定した。これらの結果をまとめて表1に示す。
ESCA分析:対照3
市販のPMMAフィルムについてESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。結果を表1に示す。
参考例6〜9
上記ESCA分析:対照3のPMMAフィルムを表1に示す条件でフッ素処理を行って、参考例6〜9のPMMAフィルムを得た。得られた参考例6〜9の各フィルムについて、フィルム表面のESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。結果を表1に示す。
ESCA分析:対照4
市販のポリエーテルサルフォンフィルム(TALPA)についてESCA分析を行い、全フッ素原子比率、C−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を測定した。結果を表1に示す。
参考例10〜11
上記ESCA分析:対照4のポリエーテルサルフォンフィルムを表1に示す条件でフッ素処理を行って、参考例10〜11のポリエーテルサルフォンフィルムを得た。得られた参考例10〜11の各フィルムについてフィルム表面のESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。結果を表1に示す。
ESCA分析:対照5
市販のPETフィルムについてESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を測定した。結果を表1に示す
参考例12〜16
上記ESCA分析:対照5のPETフィルムを表1に示す処理条件でフッ素処理を行って、参考例12〜16のPETフィルムを得た。得られた参考例12〜16の各フィルムについて表面のESCA分析を行い、全フッ素原子比率、およびC−C、C−N、C=O、C−F、CF2、CF3の各結合比率を得た。結果を表1に示す。
Figure 0003737499
ESCA分析:対照1およびESCA分析1〜4で得られたフッ素ガスへの暴露時間(処理時間)とポリイミドのフッ素含有率の関係を図3に示した。この結果より処理時間の増加とともにポリイミドのフッ素含有率が増加し、極めて短時間でフッ素化反応が飽和状態に達していることがわかった。また、ESCA分析:対照1およびESCA分析1〜4で得られたフッ素ガスへの処理時間とポリイミドの屈折率の関係を図4に示した。この結果より処理時間の増加とともにポリイミドの屈折率は徐々に低減し、処理時間を変えることで簡便にポリイミドの屈折率を制御できることが明らかとなった。
次にESCA分析1、ESCA分析3、ESCA分析5〜6で得られたフッ素ガスの処理温度とポリイミドのフッ素含有率の関係を図5に示した。この結果より処理温度が高くなるとポリイミドのフッ素含有率が増加することがわかった。また、ESCA分析1、ESCA分析3、ESCA分析5〜6で得られたフッ素ガスの処理温度とポリイミドの屈折率の関係を図6に示した。図6から、フッ素ガスの処理温度が高くなるとともにポリイミドの屈折率は徐々に減少するので、温度を変えることで簡便にポリイミドの屈折率を制御できることが明らかとなった。なお、図5および図6からも、上述のごとく処理時間の長い方が、すなわち処理時間が1分のフィルムより10分のフィルムの方がフッ素の含有率は大きくなることがわかる。
また、ESCA分析:対照2および参考例1〜7ESCA分析:対照3および参考例6〜9、ESCA分析:対照5および参考例12〜16からも、処理時間が長くなるにつれて、フッ素含有率が高くなることがわかる。
これらの結果から、本発明の光学用高分子材料の屈折率制御方法は高分子材料をフッ素ガス中へ浸漬するという極めて簡便な操作により、分子中へのフッ素の導入が可能であり、これによって高分子材料の屈折率を低減できる方法であることが明らかとなった。さらにこのフッ素処理条件を変えることにより材料の屈折率を精密に制御できることが明らかとなった。
実施例
フッ素化ポリイミド溶液をスピンコート法により製膜して、厚さ16μmのフィルムを得た。なお、得られたフィルムについては水接触角を測定しておいた。得られたフッ素化ポリイミドフィルムをニッケル製の容器内に入れて容器内を真空にした。次いで、室温条件下で0.4%F2/99.6%N2の混合ガスを容器内に導入した。フッ素ガス雰囲気中での処理時間とポリイミドのフッ素含有率の関係は図3と同様の結果が得られ、処理時間の増加とともにポリイミドのフッ素含有率が増加し、極めて短時間でフッ素化反応が飽和状態に達していた。1分、5分、10分または30分の処理時間でフィルムを取り出してフィルム表面の水接触角を測定した。その結果を以下に示す。
処理時間 水接触角
未処理 84.1度
1分 73.5度
5分 70.3度
10分 70.5度
30分 69.0度
なお、フッ素化ポリイミドの代わりに市販のポリイミド樹脂膜(カプトン)を実施例と同様にして処理したところ、処理前の水接触角は71度であったが、処理時間1分で水接触角9.0度となり次第に表面が水に溶け出していくのが観察できた。さらに1時間フッ素処理を続けると、わずかではあるが水接触角が増大し、18.9度となった。
実施例
実施例において、フッ素ガス組成を1.0%F2/99.0%N2に代えた以外は実施例と同様にして、フッ素処理を行った。処理時間1分では、水接触角が56度に達した。また、処理時間10分では水接触角が61.9度となった。
実施例
実施例において、フッ素ガス組成を8.0%F2/92.0%N2に代えた以外は実施例と同様にして、フッ素処理を行った。処理時間10分では水接触角が48度となった。
実施例
実施例において、フッ素ガス組成を0.01%F2/99.99%N2に代えた以外は実施例と同様にして、フッ素処理を行った。処理時間30分では水接触角が70.0度となった。
実施例
実施例において、フッ素ガス組成を20.0%F2/80.0%N2に代えた以外は実施例と同様にして、フッ素処理を行った。処理時間1分では、水接触角が50.0度に達した。また、処理時間5分では水接触角が40.0度となった。
実施例1〜5から明らかなように、有機光学材料として有用なフッ素化ポリイミドからなる成形品を、室温条件下、希薄な濃度のフッ素ガス雰囲気中で短時間処理することにより、C−F結合を切断することなく、かつ、見かけ上物性を変化させずに、極めて容易に成形品の表面を適度の親水性に制御することができた。
(a)は反応前のフッ素化ポリイミドについてのESCAのスペクトルの線図であり、(b)は反応後のフッ素化ポリイミドについてのESCAのスペクトルの線図である。 フッ素化処理後のポリイミド成形品のNMRスペクトルを示す線図である。 フッ素ガス雰囲気中の処理時間とポリイミド中のフッ素含有率との関係を示すグラフである。 フッ素ガス雰囲気中の処理時間とポリイミドの屈折率との関係を示すグラフである。 フッ素ガス雰囲気中の処理温度とポリイミド中のフッ素含有率との関係を示すグラフである。 フッ素ガス雰囲気中の処理温度とポリイミドの屈折率との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. フッ素化ポリイミドからなる成形品をフッ素濃度が0.01%から20%のフッ素ガス雰囲気中に1分〜30分浸積することにより、該フッ素化ポリイミドからなる成形品の表面の水接触角を70度以下にすることを特徴とするフッ素化ポリイミド成形品の表面親水化方法。
  2. 前記フッ素化ポリイミドが下記構造式:
    Figure 0003737499
    で表される繰り返し単位からなるフッ素化ポリイミドであることを特徴とする請求項1に記載のフッ素化ポリイミド成形品の表面親水化方法。
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