JP3736479B2 - Semiconductive resin molded product - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導電性樹脂成形品に関するものであり、例えば、電気電子分野や自動車分野、より具体的には複写機やプリンター用の半導電ローラ、ベルトや、各種の帯電防止材料、とりわけ電子デバイスの製造、搬送工程におけるトレイやケース、治工具などの帯電防止部品に好適な、半導電性領域で均一な抵抗値を有する半導電性樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクドライブの磁気ヘッドなどの電子デバイスが、めざましく高密度化されるに伴い、デバイスのESD(静電気放電)現象による破壊が深刻となっている。その結果、デバイスの搬送トレイや、治工具などの帯電防止部品には、帯電電荷を素早く散逸させることだけでなく、デバイスが帯電防止部品に接触した際に生じる接触電流が少ないことも要求されるようになってきた。即ち、これらの帯電防止部品には、表面の電気抵抗値が高すぎず、低すぎず、適正な範囲で制御された半導電性を有することが要求される。
【0003】
従来、半導電性部品には、熱可塑性樹脂にカーボンブラックや炭素繊維、親水性ポリマーなどの導電性成分を添加した樹脂組成物を成形したものが使用されてきたが、104〜1010Ωの半導電性領域は、導電性成分の添加量や、成形条件に大きく依存し、半導電性の精密なコントロールが困難であった。
【0004】
一方、このような電子デバイス用帯電防止部品には、電気抵抗値が適正な範囲で制御された半導電性のみならず、成形品表面からの導電性フィラーの脱落等による発塵が少ないことも要求されており、この要求に対して、熱可塑性樹脂に微細な炭素繊維を添加したものが適切であるとされている(特表平8−508534号公報など)。しかし、このものでも、抵抗値は成形条件等に大きく依存するため、十分に狭い半導電性領域にコントロールすることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、半導電性領域で均一な抵抗値を有する半導電性樹脂成形品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導電性樹脂成形品は、(A)マトリックス熱可塑性樹脂と、(B)平均繊維径200nm以下の微細炭素繊維0.1〜20重量%とからなる導電性樹脂成分100重量部に、(C)(A)成分以外の熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー0.1〜30重量部を、(C)成分の配合量が(B)成分に対する重量比で0.1〜10となるように配合してなる導電性熱可塑性樹脂組成物を成形してなる半導電性樹脂成形品であって、該(C)成分が(A)成分と完全に相溶することなく、海島状に分散して該(C)成分が島状の分散相を形成しており、該(C)成分の分散相の短径の平均値が10μm以下であり、該(C)成分の分散相の短径の平均値が、前記(B)成分の微細炭素繊維の平均繊維径の2倍以上200倍以下であり、該(C)成分の分散相の短径と長径との比(長径/短径)が50以下であり、該(C)成分中には、前記(B)成分の微細炭素繊維が実質的に存在しないことを特徴とする。
【0007】
平均繊維径200nm以下の微細炭素繊維は、従来の炭素繊維やカーボンブラックに比べて、僅かな添加量で導電性を発現することができるため、低発塵性、成形品外観、成形性に優れる点で、優れた導電性フィラーとして知られている。
【0008】
しかしながら、このような微細炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂成形品は、その導電性が成形加工の条件により大きく変動しやすく、半導電性領域の抵抗値を均一にコントロールすることが困難であった。本発明者はこの理由について検討した結果、以下のような結論に至った。
【0009】
即ち、微細炭素繊維を含有する熱可塑性樹脂成形品中では、微細炭素繊維は、熱可塑性のマトリックス樹脂中で互いに絡み合った状態で分散して存在しており、絡み合った微細炭素繊維により導電性のネットワークが形成されることによって導電性が発現する。
【0010】
この熱可塑性樹脂成形品は、微細炭素繊維を含む熱可塑性樹脂組成物の射出成形などの成形加工により、溶融、流動、冷却固化のプロセスを経て成形されるが、この際、流動時に生じる剪断力によって、図2(a)に示す如く、マトリックス樹脂1中で微細炭素繊維2が配向する結果、微細炭素繊維2同士の絡み合いや接触が不十分となり、導電性は低いものとなる。
【0011】
次に、マトリックス樹脂1中で配向した微細炭素繊維2は、冷却固化プロセスの初期においてマトリックス樹脂1の温度が高い(粘度が低い)間に、図2(b)、更には図2(c)に示す如く、その配向が緩和して、導電性ネットワークが形成され、その結果導電性は向上する。この現象は、微細炭素繊維2を極端に配向させた条件で成形した低い導電性(高い抵抗値)を有する成形品を、再度加熱することによって、加熱した部分の導電性が向上することで検証される。かかる現象は射出成形、押し出し成形のように、完全に樹脂を溶融させ、これを流動させる成形プロセスのみならず、真空成形のように、半溶融状態のシートを延伸して成形する成形法においても同様に起こり、延伸過程における微細炭素繊維の配向と、冷却過程での配向の緩和により導電性(抵抗値)が変動する。
【0012】
上述の導電性発現メカニズムを踏まえて、成形品の導電性を半導電性領域に制御するためには、微細炭素繊維の配向や緩和が過度に進むことなく、適度な接触状態を形成する必要がある。即ち、例えば、図2(a)のように微細炭素繊維2が十分に配向した状態では、一般に1012Ω以上の低い導電性であり、図2(c)のように微細炭素繊維2の配向が十分に緩和した状態では、一般に104Ω以下の導電性であるから、104〜1010Ωの範囲の半導電性を得るためには、図2(b)のような状態に微細炭素繊維2の配向が適度に緩和した状態であることが望まれる。しかしながら、104〜1010Ωの半導電性領域の導電性を得るべく、微細炭素繊維の配向を適度に緩和することは、微細炭素繊維の配向及びその緩和の状況が、成形条件に対して特に敏感に変化するため、再現性良く実現することが困難であり、また、複雑な形状を有する成形品においては、同一の成形品内においても、部位によって抵抗値が異なるものとなり、各部位の抵抗値を均一にコントロールすることも極めて困難である。
【0013】
例えば、射出成形品においては、樹脂の注入口であるゲート付近や薄肉部では、大きな剪断力を受けるために微細炭素繊維が配向して導電性が低く(抵抗値が高く)なり易く、一方、流動末端では剪断力が低いために微細炭素繊維の配向性が低く導電性が高く(抵抗値が低く)なり易い。ゲート付近の導電性を向上(抵抗値を低下)させるために、冷却速度を低下させたり、微細炭素繊維の添加量を増やすと、流動末端の抵抗値が低くなり、結果的に抵抗値の均一性は確保できない。また、一般に、剪断速度や冷却速度は、成形品の表面付近で大きくなり、かつ成形条件による影響も受けやすくなる。従って、帯電防止部品など多くの半導電性樹脂成形品は、特に表面抵抗値の変動が大きくなりやすい。
【0014】
本発明者は、かかる成形加工プロセスにおける微細炭素繊維の配向及び配向の緩和による導電性発現のメカニズムを踏まえて、半導電性の成形品を安定的に得るために検討した結果、(A)成分のマトリックス樹脂中に(C)成分の島状の分散相を形成することにより、良好な半導電性を実現することができることを見出した。
【0015】
即ち、本発明では、マトリックス樹脂中の微細炭素繊維の配向が、冷却過程において過度に緩和されることにより生じる過度の導電性の増大を防止するために、図1(a)に示す如く(A)成分のマトリックス樹脂1とは異なる、非導電性ないし低導電性の第2の樹脂及び/又はエラストマーの(C)成分2をマトリックス樹脂の(A)成分1と相溶させること無く海島状に分散させ、(C)成分3の分散相により、微細炭素繊維2の導電性ネットワークを電気的に分断することにより半導電性を実現する。このように、(C)成分3の分散相で微細炭素繊維2の導電性ネットワークを分断するために、本発明では、図1(a)に示す如く、微細炭素繊維2の大部分は(A)成分1中に分散しており、(C)成分3中には、微細炭素繊維2が実質的に存在しないことが望ましい。
【0016】
微細炭素繊維2が(C)成分3中に実質的に存在しないことを確認する方法としては、例えば、成形品の断面を、エッチングして(C)成分を除去した後、顕微鏡観察して、(C)成分除去後の部分に、微細炭素繊維が存在していない(ネットワークが形成されていない)ことが確認されればよい。
【0017】
かかる(C)成分の分散相は、微細炭素繊維によって形成された導電性ネットワークを部分的に分断する効果と共に、冷却過程における微細炭素繊維の配向の緩和を阻害する効果を発揮し、これにより導電性が過度に高くなる(抵抗値が過度に低くなる)ことを防止することができる。
【0018】
その結果、例えば射出成形品のゲート付近や、薄肉部の導電性を向上させる(抵抗値を低下させる)ために、冷却速度を低下させたり、微細炭素繊維の添加量を増加させても、流動末端等で過度の導電性の増大(抵抗値の低下)が起こることは無く、抵抗値の均一な半導電性樹脂成形品が得られる。
【0019】
図1(b)に、(A)成分中に分散する(C)成分3の分散相を示す。この分散相の大きさや形状は、(C)成分の粘度、(C)成分と(A)成分との粘度比、相溶性、製造時の混練条件等によって異なる。また(C)成分の分散相は、成形加工の流動時において、流動方向に引き延ばされて、繊維状又は層状に配向した分散相が形成される場合もある。
【0020】
本発明における(C)成分の分散相の大きさは、分散相の短径(即ち直径が最小となる点で測定した値。図1(b)のRmin)が10μm以下である。(C)成分の分散相の短径Rminが10μmより大きいと、本発明の効果が得られず、導電性が過度に増大する(抵抗値が過度に低下する)。
【0021】
その理由を以下に説明する。
【0022】
即ち、同一の(C)成分配合割合において、(C)成分の分散相の短径が大きく、分散状態が粗いと、結果として分散相同士の間の距離が大きくなる。分散相と分散相との間隔即ち(C)成分が存在しない部分では、微細炭素繊維の緩和を阻害する効果や、導電性ネットワークを分断する効果が無いので、導電性の過度の増大を防止できない。そのため、本発明の効果を得るためには、大量の(C)成分の添加が必要となるが、大量の(C)成分の添加は、得られる成形品の強度が低下するだけでなく、(A)成分と(C)成分の海島相が反転し、(C)成分が海相となり、微細炭素繊維を含有する(A)成分が分散相(島)となり、微細炭素繊維の導電性ネットワークが形成されず、導電性の極端な低下を引き起こす。
【0023】
このようなことから、(C)成分の分散相により、微細炭素繊維の配向の緩和を阻害すると共に、微細炭素繊維の導電性ネットワークを適度に分断するためには、この分散相の短径Rminが10μm以下と小さいことが重要である。しかし、(C)成分が、(A)成分と分子状に相溶し、完全に均一に分散すると、微細炭素繊維の緩和を阻害する効果及び、微細炭素繊維の導電性ネットワークを分断する効果が小さくなり、本発明の効果は得られない。
【0024】
本発明においては、(C)成分の分散相の短径Rminは、微細炭素繊維の平均繊維直径の2倍以上200倍以下、特に2倍以上50倍以下であることが、均一な半導電性の発現の点で望ましい。
【0025】
(C)成分の分散相が繊維状又は層状に引き延ばされた形状である場合、短径Rminと長径(直径が最大となる点で測定した値。図1(b)のRmax)との比、即ちアスペクト比(長径/短径)は50以下、特に30以下であることが望ましい。アスペクト比がこれより大きいと、微細炭素繊維の導電性ネットワークの分断効果が大きくなりすぎて、導電性が極端に低下するので望ましくない。
【0026】
なお、本発明において、(C)成分の分散相の短径及びアスペクト比とは、顕微鏡を用いて30点測定した値の平均である。
【0027】
また、(C)成分の分散相同士の間の平均距離は、微細炭素繊維の平均直径の10倍以上10,000倍以下であることが、均一な半導電性の発現の点で望ましい。
【0028】
更に、(C)成分のうちの一部又は全部として、冷却過程の粘度上昇及び固化速度が(A)成分よりもはるかに遅いものを使用することによって、導電性の過度の上昇を防ぐだけでなく、過度の導電性低下(抵抗値増大)をも改善することができる。
【0029】
即ち、例えば、射出成形品のゲート付近のような低導電性部位(高抵抗部位)は、微細炭素繊維の極端な配向が、冷却過程の樹脂が固化するまでの時間内で緩和しきれずに、生じるものである。これに対して(C)成分の全量もしくは一部の固化速度を遅らせることによって(C)成分の周囲の微細炭素繊維の配向の緩和を促進し、抵抗値を安定させることができる。
【0030】
上記の効果を発現させるために、(C)成分の全量もしくは一部が下記(i)又は(ii)のようなガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー(以下「低Tg成分」と称す場合がある。)であることが望ましい。
(i) (A)成分が非結晶性樹脂の場合には、(A)成分のガラス転移温度(Tg)よりも120℃以上低いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー
(ii) (A)成分が結晶性樹脂の場合には、(A)成分の結晶融点(Tm)よりも200℃以上低いガラス転移温度(Tg)を有する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー
【0031】
本発明において、熱可塑性樹脂としては、寸法精度、耐熱性、機械物性などのバランスが良好なポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
【0032】
なお、本発明による(C)成分の分散相による上記効果は、導電性フィラーとして平均繊維径200nm以下の微細炭素繊維との併用において、達成されるものであり、カーボンブラックや、直径が200nmを超える炭素繊維や金属などの導電性フィラーを添加した樹脂組成物の成形品においては、導電性フィラー同士の絡み合いが少ないために、冷却過程での配向の緩和及び導電性ネットワークの形成効果が極めて少なく、従って(C)成分の添加による上記効果は低い。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の半導電性樹脂成形品の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明の半導電性樹脂成形品の成形材料である導電性熱可塑性樹脂組成物の構成成分について説明する。
【0035】
(A)熱可塑性樹脂
(A)成分の熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルフホン、ポリエーテルイミド、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、脂環式ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは、半導電性樹脂成形品の用途に応じて機械的強度、成形性等の特性から1種又は2種以上を適宜選択使用することができる。
【0036】
上述の熱可塑性樹脂の中でも、非結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルフホン、ポリエーテルイミド、変性ポリオキシメチレン、ポリスチレン、脂環式ポリオレフィンなどが挙げられ、一方、結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドなどが挙げられる。
【0037】
このような熱可塑性樹脂の中でもポリカーボネート樹脂が、寸法精度、耐熱性、機械物性などのバランスが良好な点で望ましい。ポリカーボネート樹脂としては、例えば界面重合法、ピリジン法、クロロホーメート法などの溶液法により、二価フェノール系化合物を主成分とする原料をホスゲンと反応させることによって製造される一般的なものを使用することができる。
【0038】
熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、ポリカーボネート樹脂のメルトフローレート(MFR)は、280℃、2.16Kg荷重の測定において、2g/10分以上30g/10分以下、特に4g/10分以上15g/10分以下であることが望ましい。
【0039】
(B)微細炭素繊維
本発明で使用される(B)成分の微細炭素繊維は、平均繊維径が200nm以下のものであり、一般的には気相成長法により製造される。微細炭素繊維としては、例えば特表平8−508534号公報に記載されている炭素フィブリルが使用される。
【0040】
即ち、炭素フィブリルは、当該フィブリルの円柱状軸に実質的に同心的に沿って沈着されているグラファイト外層を有し、その繊維中心軸は直線状でなく、うねうねと曲がりくねった管状の形態を有する。
【0041】
炭素フィブリルの平均繊維径は200nm以下、望ましくは100nm以下、更に望ましくは50nm以下である。炭素フィブリルの繊維径は炭素フィブリルの製法に依存し、若干の分布があるが、ここで言う平均繊維径とは顕微鏡観察して5点測定した平均値である。
【0042】
炭素フィブリルの平均繊維径が200nmより大きいと、マトリックス樹脂中でのフィブリル同士の接触が不十分となり、導電性を発現させるために多量の添加が必要となったり、安定した導電性が得られにくい。
【0043】
炭素フィブリルの平均繊維径は0.1nm、特に0.5nm以上が望ましい。平均繊維径がこれより小さいと、製造が著しく困難である。
【0044】
炭素フィブリルは、長さと径の比(長さ/径比、即ちアスペクト比)が5以上のものが好ましく、特に100以上の長さ/径比を有するものは、導電性ネットワークを形成しやすいため、少量の添加で優れた導電性が得られる点で望ましい。より好ましい炭素フィブリルの長さ/径比は1000以上である。なお、この炭素フィブリルの繊維径、繊維長(及びアスペクト比)は、透過型電子顕微鏡での観察において、10点の実測値の平均値である。
【0045】
微細な管状の形態を有する炭素フィブリルの壁の厚み(管状体の壁厚)は、通常3.5〜75nm程度である。これは、通常フィブリルの外径の約0.1から0.4倍に相当する。
【0046】
炭素フィブリルはその少なくとも一部分が凝集体の形態である場合、原料となる樹脂組成物中に、面積ベースで測定して約50μm、特に10μmよりも大きい径を有するフィブリル凝集体を含有していないことが、所定の導電性を得るための添加量が少なくてすみ、得られる成形品の機械物性を低下させない点で望ましい。
【0047】
更に、本発明において、炭素フィブリル等の微細炭素繊維は、曲がりくねった繊維形状であることが、繊維同士の絡み合いが多くなり、微量の添加量で導電性が得られると同時に、本発明の効果が大きい点で望ましい。
【0048】
このような絡み合いを得るために、本発明で用いる微細炭素繊維は、屈曲度が5°以上、望ましくは20°以上、更に望ましくは40°以上であることが好ましい。
【0049】
微細炭素繊維の屈曲度は、例えば、本発明の半導電性樹脂成形品の樹脂成分を溶媒やイオンスパッタリング等で除去して、微細炭素繊維を露出させるか、又は成形品より切り出した超薄切片を電子顕微鏡観察することによって測定することができる。この場合、成形品の表面から50μm以内の表面層における微細炭素繊維について測定することとする。
【0050】
屈曲度は図3に示すように炭素フィブリル等の微細炭素繊維2を顕微鏡で観察し、同一繊維上において、繊維径の5倍(繊維径(図2のdの部分)を測定し、デバイダ等で繊維に沿って計る等の方法による)離れた任意の2点A,Bを選び、それぞれの点に接線LA,LBを引いて、接線LA,LBの交差する点Qの外角(図2においてαで示す角)を測定する。10点の平均値をとり、これを屈曲度とする。
【0051】
繊維が直線的であればこの角度は0゜となり、半円であれば180゜、円を描くものであれば360゜となる。
【0052】
このような測定を行って求めた屈曲度αが、5゜以上、望ましくは20゜以上、更に望ましくは40゜以上の微細炭素繊維であれば、微細炭素繊維同士の絡み合いによるネットワークを形成し易く、非導電性繊維の脱落防止、帯電防止性付与の面で好ましい。
【0053】
なお、通常の炭素繊維(ピッチ系、PAN系)は、繊維直径が7〜13μm程度の、剛直かつ直線的な繊維であり、屈曲度は5°未満となる。かかる直線的な繊維では、お互いの絡み合いが生じることはなく、ネットワーク構造を形成し難い。
【0054】
本発明において、微細炭素繊維としては、市販品、例えば、ハイペリオンカタリシスインターナショナル社の、「BN」等を用いることができる。
【0055】
なお、本発明で用いる微細炭素繊維には、(A)成分の熱可塑性樹脂、或いは各種の表面処理や分散剤による処理を施しても良い。この場合の処理剤としては例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などのカップリング剤や、非極性セグメントと極性セグメントのブロック又はグラフト共重合体などが使用できる。
【0056】
本発明において、微細炭素繊維の含有量は、(A)成分の熱可塑性樹脂と(B)成分の微細炭素繊維との合計の導電性樹脂成分中に0.1〜20重量%、望ましくは0.5〜8重量%である。微細炭素繊維の含有量がこの範囲よりも少ないと得られる成形品に十分な帯電防止性能を得ることができず、微細炭素繊維の含有量がこの範囲よりも多いと、成形性の低下、得られる成形品の強度等の物性の低下を引き起こす恐れがある。
【0057】
(C)熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー
(C)成分としては、(A)成分として使用できる熱可塑性樹脂として挙げた前述の熱可塑性樹脂の他、各種の熱可塑性エラストマー、例えばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどを使用することができる。
【0058】
(C)成分は、これらの熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーのうち、(A)成分として選定された熱可塑性樹脂と異なるものであれば良く、1種を用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0059】
(C)成分の分散相の短径が10μm以下となるように(A)成分中に(C)成分を分散させるためには、(C)成分としては(A)成分と比較的相溶性の良いものを使用することが望ましい。
【0060】
例えば(A)成分としてポリカーボネート樹脂を用いる場合、(C)成分としては、極性基を有する成分を用いることが望ましい。具体的にはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、ウレタン系エラストマ−や、グリシジル基、カルボン酸、シラノール基等の極性基で変性された極性基変性ポリオレフィンや、極性基変性ポリスチレンなどが挙げられる。また、ポリオレフィンやポリスチレン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの非極性成分を用いる場合には、前述の極性基変性物やシランカップリング剤等の相溶化成分を併用することが望ましい。
【0061】
上記の極性基変性物のうち、グリシジル変性物としては、例えば、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−グラフト−ポリメチルメタクリレート、エチレン−グリシジルメタクリレート−グラフト−ポリスチレン等が挙げられる。
【0062】
また、酸変性物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンブテン共重合体、ポリスチレン、スチレン系エラストマー等の非極性樹脂に対して、無水マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を有機過酸化物などのラジカル発生剤の存在下で溶融混合してグラフトせしめて得られたものが挙げられる。
【0063】
また、シラノール変性物としては、例えば、一般式:RSiR’nY3−n(ここで、Rはエチレン性不飽和炭化水素又はオキシ炭化水素基、R’は脂肪族飽和炭化水素基、Yは加水分解可能な有機基であり、nは0,1又は2である)で表されるエチレン性不飽和シラン化合物を、有機過酸化物などのラジカル発生剤の存在下で溶融混合して得られるものが挙げられる。
【0064】
また、ポリカーボネート樹脂のTg(140〜150℃)よりも120℃以上低いTgを有する低Tg成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー等の各種エラストマーが挙げられる。
【0065】
電子デバイス用の帯電防止部品、とりわけハードディスクドライブ用磁気ヘッドの組立、搬送持にヘッドを固定して保護するために使用する固定治具においては、半導電性のみならず、発塵性が少ないことや、ヘッドとの摺動性に優れることが要求される。本発明の半導電性樹脂成形品をかかる用途に使用する際には、(C)成分として、グリシジル基などの極性基変性ポリオレフィンを全量又は一部に使用すると、安定した半導電性だけでなく、分散相の脱落による発塵が少ない事や、摺動性に優れることで、好適である。
【0066】
以下に(C)成分の各種エラストマーについて説明する。
【0067】
(1) オレフィン系エラストマー(オレフィン系TPE)
オレフィン系TPEとしては例えば、オレフィン系共重合体ゴム、具体的には、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)などの、オレフィンを主成分とする無定形ランダム共重合体の弾性体、又はそれらを有機パーオキサイドの存在下に加熱処理し、主としてラジカルによって架橋した弾性体を基本成分として含有したものが挙げられる。
【0068】
このようなオレフィン系共重合体ゴムとしては、上述のエチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・1−ブテン共重合ゴム(EPM)や、非共役ジエンとして、ブテン−1、1,4−ヘキサジエン等の脂肪族ジエン、5−エチリデンノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ジシクロオクタジエン等を用いたエチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴムを挙げることができる。
【0069】
これらエチレン・プロピレン系共重合体ゴムの製造法や形状は特に限定されない。
【0070】
(2) スチレン系可塑性エラストマー(スチレン系TPE)
スチレン系TPEとしては例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物又はスチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物又はそれらの混合物から選ばれたスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を基本成分として含有したものが挙げられる。
【0071】
上記スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体の水素添加物又はスチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物又はそれらの混合物であり、具体的にはスチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体、或いは、スチレン・イソプレンブロック共重合体の水素添加物であるスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、或いはそれらの混合物を挙げることができる。
【0072】
(3) 付加的配合材(任意成分)
上述のオレフィン系、スチレン系エラストマー成分には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、炭化水素系ゴム用軟化剤(平均分子量300〜2,000)、各種熱可塑性樹脂、各種エラストマー、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ガラスバルーン等の各種フィラー等の配合材を配合することができる。
【0073】
炭化水素系ゴム用軟化剤は、オレフィン系、スチレン系エラストマー組成物の柔軟性のコントロールを行うために重要な役割を果たすことができる。
【0074】
このような炭化水素系ゴム用軟化剤(平均分子量が一般に300〜2,000、好ましくは500〜1,500のもの)は、オレフィン系共重合体ゴム又はスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物100重量部に対して、0〜250重量部、特に20〜200重量部配合することが好ましい。このような炭化水素系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン環の三者を組み合わせた混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占めるものがパラフィン系オイルと呼ばれ、ナフテン環の炭素数が30〜45%のものがナフテン系オイルと呼ばれ、芳香族の炭素数が30%より多いものが芳香族系オイルと呼ばれて区分されている。これらの中ではパラフィン系オイルを用いることが好ましい。
【0075】
また、上記付加的配合材成分中の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、エチレン系樹脂、ポリブテン−1樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を用いることができる。
【0076】
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を挙げることができる。
【0077】
上記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(分岐状エチレン重合体)や中密度、高密度ポリエチレン(直鎖状エチレン共重合体)等を挙げることができる。
【0078】
上述のエチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・ヘプテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン−1共重合体等を代表的なものとして挙げることができる。
【0079】
使用する熱可塑性樹脂は1種類でも良く、複数種類でも良く、その添加量は、オレフィン系共重合体ゴム又はスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物100重量部に対して、一般に1〜300重量部、好ましくは20〜250重量部配合することが好ましい。
【0080】
(4) エステル系エラストマー
エステル系エラストマーとしては、ハード成分に芳香族ポリエステル、ソフト成分に脂肪族ポリエーテルを用いたポリエステルポリエーテルブロック共重合体、ハード成分に芳香族ポリエステル、ソフト成分に脂肪族ポリエステルを用いたポリエステルポリエステルブロック共重合体が挙げられる。
【0081】
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体は、▲1▼炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、▲2▼芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステル、並びに▲3▼重量平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールとを原料として、エステル化反応、又は、エステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものである。
【0082】
ここで、炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールとしては、ポリエステルの原料、特にポリエステルエラストマーの原料として公知のものを用いることができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、好ましくは、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、特に好ましくは1,4−ブタンジオールを主成分とするものであり、1種又は2種以上を使用することができる。
【0083】
芳香族ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特にポリエステルエラストマーの原料として公知のものが使用でき、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、好ましくは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、特に好ましくは、テレフタル酸を主成分とするものであり、これらの2種以上を併用しても良い。また、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとしては、ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート、2,6−ジメチルナフタレート等のジメチルエステルが挙げられ、好ましくはジメチルテレフタレート、2,6−ジメチルナフタレートであり、特に好ましくは、ジメチルテレフタレートであり、これらは、2種以上を併用することもできる。また、上記以外に3官能のジオール、その他のジオールや他のジカルボン酸及びそのエステルを少量共重合しても良く、更に、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸、又は、そのアルキルエステル等も共重合成分として使用しても良い。
【0084】
ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、重量平均分子量が400〜6000のものが使用されるが、好ましくは500〜4,000、特に好ましくは600〜3,000のものである。分子量が400未満では、共重合体のブロック性が不足し、重量平均分子量が6000を超えるものは、系内での相分離によりポリマーの物性が低下する。ここで、ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2及び1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等が挙げられる。特に好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコールである。
【0085】
ポリアルキレンエーテルグリコールの含有量は、生成するブロック共重合体に対し、5〜95重量%であることが望ましく、好ましくは10〜85重量%、特に好ましくは20〜80重量%である。この含有量が95重量%より多いと、縮重合によりポリマーを得るのは難しい。
【0086】
一方、ポリエステルポリエステルブロック共重合体は、上記▲3▼重量平均分子量が400〜6000のポリアルキレンエーテルグリコールの代りに、▲4▼脂肪族又は脂環式ジカルボン酸と脂肪族ジオールと縮合したポリエステルオリゴマー、▲5▼脂肪族ラクトン又は脂肪族モノオールカルボン酸から合成されたポリエステルオリゴマーと、前記▲1▼炭素数2〜12の脂肪族及び/又は脂環族ジオールと、▲2▼芳香族ジカルボン酸又はそのアルキルエステルとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものである。
【0087】
▲4▼のポリエステルオリゴマーの例としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸又はコハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸のうちの一種以上とエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール等のジオールのうちの一種以上とを縮合した構造のポリエステルオリゴマーが挙げられ、▲5▼の例としてε−カプロラクトン、ω−オキシカプロン酸等から合成されたポリカプロラクトン系ポリエステルオリゴマーが挙げられる。
【0088】
このようなポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、市販のポリマーである「ペルプレンP」(東洋紡績社製商品名)や「ハイトレル」(東レ・デュポン社製商品名)、「ローモッド」(日本ジーイープラスチック社製商品名)、「ニチゴーポリエスター」(日本合成化学工業社製商品名)、「帝人ポリエステルエラストマー」(帝人社製商品名)等があり、ポリエステルポリエステルブロック共重合体としては市販のポリマーである「ペルプレンS」(東洋紡績社製商品名)がある。
【0089】
(5) ポリアミド系エラストマー
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミド(ナイロン6,66,11,12等)をハードセグメントとし、ポリエーテル又はポリエステルをソフトセグメントとするものである。例えば、ポリエーテルブロックアミドは下記一般式[I]で示されるものである。
【0090】
【化1】
【0091】
本発明において用いられる上記一般式[I]で示されるポリエーテルブロックアミドは、米国特許第3,044,978号明細書等に開示されているように、それ自体は公知の物質である。
【0092】
このものは、例えば、(イ)ジアミンとジカルボン酸の塩、ラクタム類又はアミノジカルボン酸(PA構成成分)、(ロ)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール(PG構成成分)、及び(ハ)ジカルボン酸を重縮合させることによって製造される。
【0093】
ポリエーテルブロックアミドの市販品としては、「ペバックス」(東レ(株)製商品名)、「ダイアミド−PAE」(ダイセル・ヒュルス社製商品名)、「UBEポリアミドエラストマー」(宇部興産(株)製商品名)、「ノバミットPAE」(三菱化学(株)製商品名)、「グリラックスA」(大日本インキ化学工業(株)製商品名)、「グリロンELX、ELY」(エムスジャパン(株)製商品名)等がある。
【0094】
(6) ウレタン系エラストマー
ポリウレタン系エラストマーは、ジイソシアネートと短鎖グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等)とからなるハードセグメントと、ジイソシアネートと長鎖ポリオールからなるソフトセグメントとを有するものである。ここで、長鎖ポリオールとしては、分子量が400〜6,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリ(1,2及び1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコールなど、のようなポリエーテル系のもの、或いはポリアルキレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート等のようなポリエステル系のものが使われる。この種のポリウレタン系熱可塑性エラストマーは下記一般式[II]で表される構造の化合物である。
【0095】
【化2】
【0096】
なお、この種のジイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の公知慣用のものを使用することができる。
【0097】
前記ポリウレタン系エラストマーの市販品としては、「エラストラン」(武田バーディッシュウレタン社製商品名)、「ミラクトラン」(日本ミラクトラン(株)製商品名)、「レザミンP」(大日精化工業(株)製商品名)、「ユーファインP」(旭硝子(株)製商品名)等がある。
【0098】
また、(C)成分として用いる熱可塑性エラストマーの曲げ弾性率(ASTMD790)は、500以下のものが望ましく、使用する(A)成分の熱可塑性樹脂の曲げ弾性率(ASTM D790)の1/5以下、より望ましくは1/8以下の曲げ弾性率を有することが、エラストマーの添加による導電性の向上効果が大きい点で好ましい。
【0099】
本発明において、このような(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分の合計100重量部に対して1〜30重量部である。(C)成分の配合量がこれよりも少ないと、(C)成分を配合することによる発明の効果を十分に得ることができず、多いと、前述の如く、(A)成分と(C)成分の分散相が反転して、(C)成分が海相となり、導電性が損なわれる。
【0100】
(C)成分の配合量は、(B)成分に対する重量比で、0.1〜10、望ましくは0.3〜5である。
【0101】
また、(C)成分の一部又は全量に、前述の(i)又は(ii)のような低Tg成分を用いる場合、この低Tg成分は(A)及び(B)成分の合計100重量部に対して50重量部以下、望ましくは1〜20重量部とすることが望ましい。低Tg成分の配合量がこれより少ないとその添加効果を十分に得ることができず、これより多いと得られる成形品の機械的強度や耐熱性を損なう点で望ましくない。
【0102】
更に、(C)成分中の低Tg成分の含有量としては、(C)成分100重量部中、0.5〜80重量部であると、導電性が均一となる点で望ましい。
【0103】
(D)添加成分
本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物には、上記(A)〜(C)成分の他、必要に応じて、上記の性能を損なわない範囲で付加成分を配合することができる。
【0104】
このような付加成分としては、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維等の無機繊維状強化材、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の有機繊維状強化材、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン等の無機充填剤、フッ素樹脂パウダー、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、相溶化剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着色剤、防菌剤、蛍光増白剤等といった各種添加剤を挙げることができる。
【0105】
更に本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物には、本発明で用いる微細炭素繊維以外の導電性フィラーを付加成分として添加しても良い。このような導電性フィラーとしては、例えばアルミニウム、銀、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレス、真鍮、チタンなどの金属系フィラー、黒鉛(人工黒鉛、天然黒鉛)、ガラス状カーボン粒子、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物系充填材などの導電性充填材が挙げられる。
【0106】
なお、金属酸化物系フィラーのなかでも格子欠陥の存在により余剰電子が生成して導電性を示すものの場合には、ドーパントを添加して導電性を増加させたものを用いても良い。例えば、酸化亜鉛にはアルミニウム、酸化スズにはアンチモン、酸化インジウムにはスズ等がそれぞれドーパントとして用いられる。また、炭素繊維などに金属をコーティングしたり、チタン酸カリウムウィスカやホウ酸アルミニウムウィスカの表面に導電性酸化スズ又は導電性カーボンを形成した複合系導電性フィラーを使用することもできる。
【0107】
(E)製造方法
本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂の加工方法で製造することができる。例えば(A),(B)及び(C)成分と更に必要に応じて配合される添加成分の全てを予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押し出し機、二軸混練押し出し機、ニーダーなどで溶融混練することによって製造することができる。
【0108】
また、本発明の半導電性樹脂成形品は、このような導電性熱可塑性樹脂組成物を各種の溶融成形法を用いて成形することにより製造することができる。成形法としては、具体的には圧縮成形、押し出し成形、真空成形、ブロー成形、射出成形などを挙げることができる。これらの成形法の中でも、特に射出成形法、真空成形法において、顕著な効果を得ることができる。
【0109】
なお、本発明に係る導電性熱可塑性樹脂組成物を製造する際には、予め(A)成分の一部に高濃度の(B)成分を添加したマスターバッチを製造し、その後このマスターバッチを(A)成分と(C)成分で希釈して製造すると、(C)成分の分散相中に(B)成分の微細炭素繊維が過度に混入しないので、本発明の効果が大きくなる。また、(A)成分の全量に(B)成分の全量を予め混合し、その後、(C)成分を添加して混合しても良い。
【0110】
本発明の半導電性樹脂成形品を、電子デバイス向け帯電防止部品として使用する場合には、表面抵抗値を104〜1010Ω、望ましくは105〜109Ωの範囲にコントロールすると、帯電が生じにくく、かつ接触電流が少ない点で好ましい。
【0111】
このような表面抵抗値の制御は、(B)成分の粘度、(A)成分と(B)成分との粘度比、(B)成分及び(C)成分の配合割合や、成形条件(樹脂温度、金型温度、成形圧力等)を適宜調節し、(B)成分の微細炭素繊維の配向及びその緩和度合い、(C)成分の分散相による微細炭素繊維の導電性ネットワークの分断及び微細炭素繊維の配向の緩和の阻害の程度を制御すれば良い。
【0112】
なお、一般に表面抵抗値とは、測定サンプルの厚みや幅方向への電流の回り込みを考慮して、抵抗値を形状要因で換算することにより(Ω/□)の単位で得られるが、複雑な形状の成形品の場合、この換算が極めて困難である。一方、実用においては、形状を含んだ上での見かけの抵抗値が重要であり、必ずしも形状で換算された単位(Ω/□)を用いる必要はない。従って、本発明においては、上記表面抵抗値(Ω)で評価する。
【0113】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0114】
なお、実施例及び比較例で用いた配合原料は次の通りである。
ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチック社製「ユーピロンS3000」(商品名)(Tg=146℃)
微細炭素繊維:ハイペリオンカタリシスインターナショナル社製 タイプ「BN」(商品名)(平均繊維径=10nm、平均繊維長=0.5μm以上、長さ/径比=50以上、屈曲度=122゜)
EPR(エチレンプロピレン共重合体):日本合成ゴム社製「EP912P」(商品名)(Tg<−50℃)
GMA−PE(エチレングリシジルメタクリレート共重合体):住友化学社製「ボンドファーストE」(商品名)(Tg=−23℃)
PP(ポリプロピレン):日本ポリケム社製「ノバテック MA4U」(商品名)(Tg=8℃)
PET(ポリエチレンテレフタレート):日本ユニペット社製 ユニペット「RT553C」(商品名)(Tg=80℃)
PEI(ポリエーテルイミド):GEプラスチックス社製「ウルテム 1000」(Tg=218℃)
PAR(ポリアリレート樹脂):ユニチカ株式会社製「Uポリマー U100」(商品名)(Tg=182℃)
【0115】
実施例1〜5,比較例1〜4
表1に示す成分配合で各材料を混合し、2軸押出機(池貝鉄鋼社製「PCM45」、L/D=32(L;スクリュー長、D;スクリュー径))を用いて、バレル温度300℃(ただし、実施例5及び比較例4は350℃)、スクリュー回転数160rpmにて溶融混練して、導電性ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
【0116】
なお、配合混練は、予めポリカーボネート樹脂に微細炭素繊維を15重量%添加したマスターバッチを製造し、これを残る成分で希釈して所定の配合量とした。
【0117】
得られた導電性熱可塑性樹脂組成物について、成形品の表面抵抗値と、分散相の短径及びアスペクト比を下記方法により測定し、結果を表1に示した。
【0118】
▲1▼ 表面抵抗値
各導電性熱可塑性樹脂組成物を用いて、75ton射出成型機にて、シリンダ温度310℃、金型温度90℃で射出速度15〜17cc/secにて、図4に示す抵抗値測定用シートサンプル10を成形した。この抵抗値測定用シートサンプル10について、ゲート部(フィルムゲート側)10A、末端部10Bの表面抵抗値をダイヤインスツルメント社製ハイレスタUPを使用して、UAプローブ(2探針プローブ、プローブ間距離20mm、プローブ直径2mm)を用いて測定した。印可電圧は抵抗値1×106Ω未満であれば10Vとし、抵抗値1×106Ω以上であれば100Vとして測定を行った。
【0119】
▲2▼ 分散相の短径及びアスペクト比
▲1▼の抵抗値測定用シートサンプル10の表面抵抗値測定部10A,10Bについて、(C)成分の分散相の短径及びアスペクト比を測定した。
【0120】
なお、微細炭素繊維を含有する射出成形品は、その表面近傍において最も剪断力が大きく、冷却速度が速く、その結果導電性が低くなる。従って、成形品の表面抵抗値や実用的な帯電特性は、表面近傍の分散状態に支配される。そこで、この分散相の短径及びアスペクト比の測定では、表面から50μmの深さの範囲で分散相を観察した。
【0121】
また、(C)成分の分散相形状は、樹脂の流動方向に沿って細長く引き延ばされていることが確認され、そのため流動方向が最も大きく、また深さ方向が最も小さい直径となることが確認された。従って、分散相の直径を流動方向に測定した値を長径、深さ方向に測定した値を短径とした。
【0122】
以上より、サンプルから樹脂の流動方向に沿った断面の薄切片を切り出し、これを染色処理した後に、透過型電子顕微鏡にて分散相を観察し、分散相の30個をランダムに選び、それぞれ短径及び長径を測定し、その平均値を算出した。
【0123】
なお、この顕微鏡観察において、(C)成分の分散相中に微細炭素繊維が殆ど存在しないことを確認した。
【0124】
また、実施例1及び比較例1,2で用いた導電性ポリカーボネート樹脂組成物について、導電性の成形温度依存性を下記方法により調べ、結果を表2に示した。また、表面抵抗値と成形温度との関係を図5に示した。
【0125】
▲3▼ 導電性の成形温度依存性
実施例1、比較例1及び比較例2で用いた組成物を用いて、▲1▼の抵抗値測定用シートサンプル10を射出成形する際の成形温度を変化させることで、冷却速度を変えて成形を行った(金型温度90℃ 射出速度15〜17cc/sec)。次に、得られたシートサンプル10の中央部10Cにおいて、表面抵抗値、及び、(C)成分の分散相の短径(実施例1のものについてのみ)を上記▲1▼,▲2▼と同様に測定した。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
表1,2及び図5から、次のことが明らかである。
【0129】
即ち、実施例1〜5の本発明の半導電性樹脂成形品であれば、抵抗値104〜1010Ωの半導電性領域において、極めて均一な導電性の分布を得ることができ、しかも、導電性の射出成形温度の依存性も小さく、どのような条件でも安定した半導電性を得ることができる。
【0130】
これに対して、比較例1〜3では、均一な半導電性を得ることができない。
【0131】
特に、実施例5と比較例3との比較から分かるように、同一の組成物配合であっても(C)成分の分散相の短径が本発明の範囲外であると、本発明による効果が得られない。
【0132】
また、比較例4のように、(C)成分が(A)成分と相溶し、その結果(C)成分が10μm以上の分散相を形成しない場合、導電性のばらつきが大きく、本発明の効果は得られない。
【0133】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、抵抗値104〜1010Ωの半導電性領域において、均一な導電性を有する半導電性樹脂成形品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)図は実施の形態に係る半導電性樹脂成形品の海島構造を示す模式的な断面図であり、(b)図は(C)成分の分散相を示す模式的な断面図である。
【図2】微細炭素繊維による導電性ネットワークを説明する模式図である。
【図3】本発明に係る微細炭素繊維の屈曲度の測定方法の説明図である。
【図4】実施例及び比較例において成形した抵抗値測定用シートサンプルを示す平面図である。
【図5】実施例1及び比較例1,2における導電性の成形温度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 (A)成分(マトリックス樹脂)
2 微細炭素繊維((B)成分)
3 (C)成分
10 抵抗値測定用シートサンプル[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a semiconductive resin molded article, for example, the electric and electronic fields and the automobile field, more specifically, semiconductive rollers and belts for copying machines and printers, various antistatic materials, especially electronic devices. The present invention relates to a semiconductive resin molded article having a uniform resistance value in a semiconductive region, which is suitable for antistatic parts such as trays, cases, jigs and tools in manufacturing and conveying processes.
[0002]
[Prior art]
In recent years, as electronic devices such as magnetic heads of hard disk drives have been remarkably increased in density, destruction due to ESD (electrostatic discharge) phenomenon of devices has become serious. As a result, antistatic parts such as device transport trays and jigs are required not only to dissipate charged charges quickly, but also to have low contact current when the device contacts the antistatic parts. It has become like this. That is, these antistatic components are required to have a semiconductivity that is controlled within an appropriate range, with a surface electrical resistance value that is neither too high nor too low.
[0003]
Conventionally, as a semiconductive part, a molded resin composition in which a conductive component such as carbon black, carbon fiber, and hydrophilic polymer is added to a thermoplastic resin has been used.4-1010The semiconductive region of Ω greatly depends on the amount of conductive component added and the molding conditions, and it is difficult to precisely control the semiconductivity.
[0004]
On the other hand, such antistatic parts for electronic devices not only have semiconductivity whose electric resistance value is controlled within an appropriate range, but also have less dust generation due to dropping of the conductive filler from the surface of the molded product. In response to this requirement, it is considered that a material obtained by adding fine carbon fibers to a thermoplastic resin is appropriate (Japanese Patent Publication No. 8-508534, etc.). However, even in this case, it is difficult to control the resistance value to a sufficiently narrow semiconductive region because the resistance value greatly depends on molding conditions and the like.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve the above-described conventional problems and provide a semiconductive resin molded product having a uniform resistance value in a semiconductive region.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The semiconductive resin molded article of the present invention comprises (A) a matrix thermoplastic resin and (B) 100 parts by weight of a conductive resin component comprising 0.1 to 20% by weight of fine carbon fibers having an average fiber diameter of 200 nm or less. , (C) thermoplastic resins other than the component (A) and / or thermoplastic elastomer 0.130Parts by weightThe blending amount of the component (C) is 0.1 to 10 by weight ratio to the component (B).A semiconductive resin molded product obtained by molding a conductive thermoplastic resin composition formed by mixing, and the component (C) is dispersed in a sea island shape without being completely compatible with the component (A). The component (C) forms an island-shaped dispersed phase, the average value of the minor axis of the dispersed phase of the component (C) is 10 μm or less, and the minor axis of the dispersed phase of the component (C) The average value is not less than 2 times and not more than 200 times the average fiber diameter of the fine carbon fibers of the component (B), and the ratio (major axis / minor axis) of the minor axis to the major axis of the dispersed phase of the component (C) is It is 50 or less, and the fine carbon fiber of the said (B) component does not exist substantially in this (C) component, It is characterized by the above-mentioned.
[0007]
Fine carbon fibers having an average fiber diameter of 200 nm or less can exhibit electrical conductivity with a slight addition amount compared to conventional carbon fibers and carbon black, and thus are excellent in low dust generation, appearance of molded products, and moldability. In this respect, it is known as an excellent conductive filler.
[0008]
However, the thermoplastic resin molded article containing such fine carbon fibers has its conductivity easily fluctuated greatly depending on the molding process conditions, and it has been difficult to uniformly control the resistance value of the semiconductive region. . As a result of examining the reason for this, the present inventor has come to the following conclusion.
[0009]
That is, in a thermoplastic resin molded article containing fine carbon fibers, the fine carbon fibers are dispersed and exist in an entangled state in the thermoplastic matrix resin, and the entangled fine carbon fibers are more conductive. Conductivity develops when a network is formed.
[0010]
This thermoplastic resin molded product is molded through a process of melting, flowing, cooling and solidifying by a molding process such as injection molding of a thermoplastic resin composition containing fine carbon fibers. As a result, as shown in FIG. 2A, as a result of the orientation of the
[0011]
Next, the
[0012]
In order to control the conductivity of the molded product to the semiconductive region based on the above-described conductivity expression mechanism, it is necessary to form an appropriate contact state without excessive progress of orientation and relaxation of the fine carbon fibers. is there. That is, for example, in the state where the
[0013]
For example, in an injection molded product, in the vicinity of the gate, which is a resin injection port, or in a thin portion, a fine carbon fiber is easily oriented due to a large shearing force, and the conductivity tends to be low (resistance value is high). Since the shear force is low at the flow end, the orientation of the fine carbon fiber is low and the conductivity is high (resistance value is low). If the cooling rate is reduced or the amount of fine carbon fiber added is increased in order to improve the electrical conductivity in the vicinity of the gate (decrease the resistance value), the resistance value at the flow end decreases, resulting in a uniform resistance value. Sex cannot be secured. In general, the shear rate and the cooling rate increase near the surface of the molded product and are easily affected by the molding conditions. Therefore, in many semiconductive resin molded products such as antistatic parts, the fluctuation of the surface resistance value tends to be particularly large.
[0014]
The present inventor has studied in order to stably obtain a semi-conductive molded product, based on the orientation of fine carbon fibers in the molding process and the mechanism of conductivity development due to the relaxation of the orientation. It was found that good semiconductivity can be realized by forming an island-like dispersed phase of component (C) in the matrix resin.
[0015]
That is, in the present invention, as shown in FIG. 1A, the orientation of the fine carbon fibers in the matrix resin is prevented from being excessively relaxed in the cooling process, as shown in FIG. (2) Non-conductive or low-conductivity second resin and / or elastomer (C)
[0016]
As a method for confirming that the
[0017]
The dispersed phase of component (C) exhibits the effect of partially disrupting the conductive network formed by the fine carbon fibers and the effect of inhibiting the relaxation of the orientation of the fine carbon fibers during the cooling process. It is possible to prevent the property from becoming excessively high (the resistance value becomes excessively low).
[0018]
As a result, even if the cooling rate is decreased or the amount of fine carbon fiber added is increased in order to improve the conductivity (reducing the resistance value) in the vicinity of the gate of the injection molded product or the thin-walled portion, An excessive increase in conductivity (decrease in resistance value) does not occur at the end or the like, and a semiconductive resin molded product having a uniform resistance value can be obtained.
[0019]
FIG. 1B shows the dispersed phase of component (C) 3 dispersed in component (A). The size and shape of the dispersed phase vary depending on the viscosity of the component (C), the viscosity ratio of the component (C) and the component (A), compatibility, kneading conditions during production, and the like. In addition, the dispersed phase of component (C) may be stretched in the flow direction during the flow of molding to form a dispersed phase that is oriented in the form of fibers or layers.
[0020]
The size of the dispersed phase of the component (C) in the present invention is a value measured at the point where the minor axis of the dispersed phase (that is, the diameter becomes minimum. R in FIG. 1B).min) Is 10 μm or less. (C) Short diameter R of dispersed phase of componentminIf it is larger than 10 μm, the effect of the present invention cannot be obtained, and the conductivity is excessively increased (the resistance value is excessively decreased).
[0021]
The reason will be described below.
[0022]
That is, if the minor diameter of the dispersed phase of component (C) is large and the dispersed state is rough at the same proportion of component (C), the distance between the dispersed phases increases as a result. Since there is no effect of inhibiting the relaxation of fine carbon fibers or the effect of dividing the conductive network in the part where the interval between the dispersed phase and the dispersed phase, that is, the component (C) does not exist, an excessive increase in conductivity cannot be prevented. . Therefore, in order to obtain the effect of the present invention, it is necessary to add a large amount of the component (C). However, the addition of a large amount of the component (C) not only decreases the strength of the obtained molded product, The sea-island phase of component (A) and component (C) is reversed, component (C) becomes the sea phase, component (A) containing fine carbon fibers becomes the dispersed phase (islands), and the conductive network of fine carbon fibers becomes Not formed, causing an extreme decrease in conductivity.
[0023]
For this reason, the dispersion phase of the component (C) inhibits the relaxation of the orientation of the fine carbon fibers, and in order to appropriately divide the conductive network of the fine carbon fibers, the short diameter R of the dispersion phase.minIs as small as 10 μm or less. However, when the component (C) is molecularly compatible with the component (A) and dispersed completely uniformly, the effect of inhibiting the relaxation of the fine carbon fibers and the effect of dividing the conductive network of the fine carbon fibers are obtained. Thus, the effect of the present invention cannot be obtained.
[0024]
In the present invention, the minor axis R of the dispersed phase of the component (C)minIs preferably 2 times or more and 200 times or less, particularly 2 times or more and 50 times or less of the average fiber diameter of the fine carbon fibers, from the viewpoint of uniform semiconductivity.
[0025]
When the disperse phase of component (C) is in the shape of a fiber or layer, the minor axis RminAnd the major axis (value measured at the point where the diameter becomes maximum. R in FIG. 1B)max), That is, the aspect ratio (major axis / minor axis) is preferably 50 or less, particularly 30 or less. If the aspect ratio is larger than this, the effect of dividing the conductive network of fine carbon fibers becomes too great, and the conductivity is extremely lowered, which is not desirable.
[0026]
In the present invention, the minor axis and aspect ratio of the dispersed phase of component (C) are the average of values measured at 30 points using a microscope.
[0027]
The average distance between the dispersed phases of the component (C) is preferably 10 times or more and 10,000 times or less the average diameter of the fine carbon fibers from the viewpoint of uniform semiconductivity.
[0028]
Furthermore, as a part or all of the component (C), it is only necessary to prevent an excessive increase in conductivity by using a component having a viscosity increase in the cooling process and a solidification rate much slower than the component (A). In addition, an excessive decrease in conductivity (an increase in resistance value) can be improved.
[0029]
That is, for example, the low conductivity portion (high resistance portion) such as the vicinity of the gate of an injection molded product is not completely relaxed within the time until the resin in the cooling process is solidified due to the extreme orientation of the fine carbon fibers. It will occur. On the other hand, by slowing the solidification rate of all or part of the component (C), the relaxation of the orientation of the fine carbon fibers around the component (C) can be promoted, and the resistance value can be stabilized.
[0030]
In order to express the above effect, the thermoplastic resin and / or the thermoplastic elastomer (hereinafter referred to as “the (C) component”) having a glass transition temperature (Tg) as shown in (i) or (ii) below. It may be referred to as “low Tg component”).
(i) When component (A) is an amorphous resin, a thermoplastic resin and / or thermoplastic resin having a glass transition temperature (Tg) that is 120 ° C. or more lower than the glass transition temperature (Tg) of component (A) Elastomer
(ii) When component (A) is a crystalline resin, a thermoplastic resin and / or thermoplastic elastomer having a glass transition temperature (Tg) that is 200 ° C. or lower than the crystalline melting point (Tm) of component (A)
[0031]
In the present invention, it is preferable to use a polycarbonate resin having a good balance of dimensional accuracy, heat resistance, mechanical properties and the like as the thermoplastic resin.
[0032]
In addition, the said effect by the dispersed phase of (C) component by this invention is achieved in combination with a fine carbon fiber with an average fiber diameter of 200 nm or less as a conductive filler. In the molded product of the resin composition to which more conductive fillers such as carbon fibers and metals are added, there is little entanglement between the conductive fillers, so that the effect of relaxing the orientation and forming the conductive network in the cooling process is extremely small. Therefore, the above effect due to the addition of the component (C) is low.
[0033]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the semiconductive resin molded product of the present invention will be described in detail.
[0034]
First, the components of the conductive thermoplastic resin composition, which is a molding material for the semiconductive resin molded product of the present invention, will be described.
[0035]
(A) Thermoplastic resin
Examples of the thermoplastic resin of component (A) include polycarbonate, polyarylate, polyphenylsulfone, polyethersulfone, polyetherimide, polyoxymethylene, polystyrene, alicyclic polyolefin, polyethylene, polypropylene, polymethylpentene, Examples thereof include thermoplastic resins such as polyethylene terephthalate, polybutylene terephthalate, polyphenylene sulfide, polyamide, and polyetheretherketone. One or more of these can be appropriately selected and used from the characteristics such as mechanical strength and moldability according to the use of the semiconductive resin molded product.
[0036]
Among the thermoplastic resins described above, examples of the amorphous thermoplastic resin include polycarbonate, polyarylate, polyphenylsulfone, polyethersulfone, polyetherimide, modified polyoxymethylene, polystyrene, and alicyclic polyolefin. On the other hand, examples of the crystalline thermoplastic resin include polyethylene, polypropylene, polymethylpentene, polyethylene terephthalate, polybutylene terephthalate, polyphenylene sulfide, and polyamide.
[0037]
Among such thermoplastic resins, a polycarbonate resin is desirable in terms of a good balance of dimensional accuracy, heat resistance, mechanical properties, and the like. As polycarbonate resin, for example, a general one produced by reacting a raw material mainly composed of a dihydric phenol compound with phosgene by a solution method such as an interfacial polymerization method, a pyridine method, or a chloroformate method is used. can do.
[0038]
When a polycarbonate resin is used as the thermoplastic resin, the melt flow rate (MFR) of the polycarbonate resin is 2 g / 10 min or more and 30 g / 10 min or less, particularly 4 g / 10 min or more and 15 g in the measurement of 280 ° C. and 2.16 kg load. / 10 minutes or less is desirable.
[0039]
(B) Fine carbon fiber
The fine carbon fiber of the component (B) used in the present invention has an average fiber diameter of 200 nm or less, and is generally produced by a vapor growth method. As the fine carbon fiber, for example, carbon fibrils described in JP-T-8-508534 are used.
[0040]
That is, the carbon fibril has a graphite outer layer deposited substantially concentrically along the columnar axis of the fibril, and the fiber central axis is not linear but has a undulating and winding tubular form. .
[0041]
The average fiber diameter of carbon fibrils is 200 nm or less, desirably 100 nm or less, and more desirably 50 nm or less. The fiber diameter of carbon fibrils depends on the production method of carbon fibrils and has a slight distribution. The average fiber diameter referred to here is an average value measured at five points under a microscope.
[0042]
If the average fiber diameter of the carbon fibrils is larger than 200 nm, the contact between the fibrils in the matrix resin becomes insufficient, so that a large amount of addition is necessary to develop conductivity, and stable conductivity is difficult to obtain. .
[0043]
The average fiber diameter of carbon fibrils is preferably 0.1 nm, particularly 0.5 nm or more. If the average fiber diameter is smaller than this, the production is extremely difficult.
[0044]
Carbon fibrils preferably have a length-to-diameter ratio (length / diameter ratio, that is, aspect ratio) of 5 or more, and particularly those having a length / diameter ratio of 100 or more are easy to form a conductive network. The addition of a small amount is desirable in that excellent conductivity can be obtained. A more preferable length / diameter ratio of the carbon fibril is 1000 or more. In addition, the fiber diameter and fiber length (and aspect ratio) of this carbon fibril are the average values of 10 actually measured values when observed with a transmission electron microscope.
[0045]
The wall thickness of carbon fibrils having a fine tubular form (wall thickness of the tubular body) is usually about 3.5 to 75 nm. This usually corresponds to about 0.1 to 0.4 times the outer diameter of the fibril.
[0046]
When at least a part of the carbon fibril is in the form of an aggregate, the resin composition as a raw material does not contain a fibril aggregate having a diameter of about 50 μm, particularly larger than 10 μm, measured on an area basis. However, the addition amount for obtaining the predetermined conductivity is small, and it is desirable in that the mechanical properties of the obtained molded product are not deteriorated.
[0047]
Furthermore, in the present invention, the fine carbon fibers such as carbon fibrils have a twisted fiber shape, and the entanglement between the fibers increases, and conductivity is obtained with a small amount of addition, and at the same time, the effects of the present invention are achieved. Desirable in large respects.
[0048]
In order to obtain such entanglement, the fine carbon fiber used in the present invention preferably has a bending degree of 5 ° or more, desirably 20 ° or more, and more desirably 40 ° or more.
[0049]
The degree of bending of the fine carbon fiber is, for example, by removing the resin component of the semiconductive resin molded product of the present invention with a solvent, ion sputtering or the like to expose the fine carbon fiber, or an ultrathin slice cut out from the molded product Can be measured by observation with an electron microscope. In this case, fine carbon fibers in the surface layer within 50 μm from the surface of the molded product are measured.
[0050]
As shown in FIG. 3, the degree of bending is observed with a microscope for
[0051]
This angle is 0 ° if the fiber is straight, 180 ° if it is a semicircle, and 360 ° if it is a circle.
[0052]
If the degree of flexure α obtained by performing such measurement is 5 ° or more, preferably 20 ° or more, and more preferably 40 ° or more, a network formed by entanglement of the fine carbon fibers can be easily formed. In terms of preventing non-conductive fibers from falling off and imparting antistatic properties, it is preferable.
[0053]
Note that ordinary carbon fibers (pitch-based and PAN-based) are rigid and linear fibers having a fiber diameter of about 7 to 13 μm, and the degree of bending is less than 5 °. Such straight fibers are not entangled with each other and it is difficult to form a network structure.
[0054]
In the present invention, as the fine carbon fibers, commercially available products such as “BN” manufactured by Hyperion Catalysis International, Inc. can be used.
[0055]
The fine carbon fiber used in the present invention may be subjected to treatment with the thermoplastic resin of component (A), or various surface treatments and dispersants. As the treating agent in this case, for example, a coupling agent such as a silane coupling agent, a titanate coupling agent, an aluminum coupling agent, a nonpolar segment and a polar segment block or graft copolymer, and the like can be used. .
[0056]
In the present invention, the content of the fine carbon fiber is 0.1 to 20% by weight, preferably 0 in the total conductive resin component of the thermoplastic resin (A) and the fine carbon fiber (B). .5-8% by weight. If the content of the fine carbon fiber is less than this range, sufficient antistatic performance cannot be obtained for the obtained molded product, and if the content of the fine carbon fiber is more than this range, the moldability is deteriorated. There is a risk of causing deterioration in physical properties such as strength of the molded product.
[0057]
(C) Thermoplastic resin and / or thermoplastic elastomer
As the component (C), in addition to the thermoplastic resins mentioned as the thermoplastic resin that can be used as the component (A), various thermoplastic elastomers such as olefin elastomers, styrene elastomers, ester elastomers, and amide elastomers. Urethane elastomers can be used.
[0058]
(C) component should just differ from the thermoplastic resin selected as (A) component among these thermoplastic resins and / or thermoplastic elastomers, and even if it uses 1 type, it combines 2 or more types. May be used.
[0059]
In order to disperse the component (C) in the component (A) so that the minor axis of the dispersed phase of the component (C) is 10 μm or less, the component (C) is relatively compatible with the component (A). It is desirable to use a good one.
[0060]
For example, when a polycarbonate resin is used as the component (A), it is desirable to use a component having a polar group as the component (C). Specifically, polybutylene terephthalate, polyethylene terephthalate, polyarylate, polysulfone, polyethersulfone, polyetherimide, polyamide, ester elastomer, amide elastomer, urethane elastomer, glycidyl group, carboxylic acid, silanol group, etc. Examples thereof include polar group-modified polyolefin modified with a polar group and polar group-modified polystyrene. Moreover, when using nonpolar components, such as polyolefin, polystyrene, an olefin-type elastomer, and a styrene-type elastomer, it is desirable to use together compatibilizing components, such as the above-mentioned polar group modified material and a silane coupling agent.
[0061]
Among the polar group-modified products, examples of the glycidyl-modified product include ethylene-glycidyl methacrylate copolymer, ethylene-glycidyl methacrylate-graft-polymethyl methacrylate, and ethylene-glycidyl methacrylate-graft-polystyrene.
[0062]
Examples of the acid-modified product include maleic anhydride, fumaric acid, acrylic acid for nonpolar resins such as polyethylene, polypropylene, ethylene-propylene copolymer, ethylene butene copolymer, polystyrene, and styrene elastomer. And those obtained by melting and grafting an unsaturated carboxylic acid such as methacrylic acid in the presence of a radical generator such as an organic peroxide.
[0063]
Examples of silanol-modified products include, for example, the general formula: RSiR ′nY3-nWherein R is an ethylenically unsaturated hydrocarbon or oxyhydrocarbon group, R ′ is an aliphatic saturated hydrocarbon group, Y is a hydrolyzable organic group, and n is 0, 1 or 2. Examples thereof include those obtained by melt-mixing the ethylenically unsaturated silane compound represented in the presence of a radical generator such as an organic peroxide.
[0064]
In addition, as a low Tg component having a Tg lower by 120 ° C. than Tg (140 to 150 ° C.) of a polycarbonate resin, polyethylene, polypropylene, olefin elastomer, styrene elastomer, ester elastomer, amide elastomer, urethane elastomer And various elastomers.
[0065]
Anti-static parts for electronic devices, especially magnetic jigs for hard disk drives, and fixing jigs used for fixing and protecting the heads in the transport holder must be not only semiconductive but also less dusty. In addition, it is required to have excellent slidability with the head. When the semiconductive resin molded article of the present invention is used for such applications, when the whole or part of the polar group-modified polyolefin such as glycidyl group is used as the component (C), not only the stable semiconductive property is obtained. It is preferable because it generates less dust due to falling off of the dispersed phase and is excellent in slidability.
[0066]
Hereinafter, various elastomers of the component (C) will be described.
[0067]
(1) Olefin-based elastomer (olefin-based TPE)
As the olefinic TPE, for example, an olefinic copolymer rubber, specifically an ethylene / propylene copolymer rubber (EPM), an ethylene / propylene / nonconjugated diene copolymer rubber (EPDM), etc. And an elastic body of an amorphous random copolymer, or an elastic body obtained by heat-treating them in the presence of an organic peroxide and mainly crosslinked by radicals.
[0068]
Examples of such olefin copolymer rubber include the above-mentioned ethylene / propylene copolymer rubber (EPM), ethylene / 1-butene copolymer rubber (EPM), and non-conjugated dienes such as butene-1, 1,4- Mention may be made of ethylene / propylene / non-conjugated diene copolymer rubbers using aliphatic dienes such as hexadiene, 5-ethylidene norbornene, 5-methylnorbornene, 5-vinyl norbornene, dicyclopentadiene, dicyclooctadiene and the like.
[0069]
The production method and shape of these ethylene / propylene copolymer rubbers are not particularly limited.
[0070]
(2) Styrenic plastic elastomer (styrene TPE)
Examples of styrene-based TPE include hydrogenated styrene / butadiene block copolymers, hydrogenated styrene / isoprene block copolymers, or hydrogenated styrene / conjugated diene block copolymers selected from mixtures thereof. Can be mentioned as a basic component.
[0071]
The hydrogenated styrene / conjugated diene block copolymer is a hydrogenated styrene / butadiene block copolymer, a hydrogenated styrene / isoprene block copolymer, or a mixture thereof. Examples thereof include styrene / ethylene / butylene / styrene copolymers, or styrene / ethylene / propylene / styrene copolymers which are hydrogenated products of styrene / isoprene block copolymers, or mixtures thereof.
[0072]
(3) Additional compounding material (optional component)
The above-mentioned olefin-based and styrene-based elastomer components have a hydrocarbon rubber softener (average molecular weight of 300 to 2,000), various thermoplastic resins, various elastomers, talc, and the like within a range that does not significantly impair the effects of the present invention. Compounding materials such as various fillers such as calcium carbonate, glass fiber, and glass balloon can be blended.
[0073]
The hydrocarbon rubber softener can play an important role in controlling the flexibility of the olefin-based or styrene-based elastomer composition.
[0074]
Such a hydrocarbon rubber softener (having an average molecular weight of generally 300 to 2,000, preferably 500 to 1,500) is a hydrogen of olefin copolymer rubber or styrene / conjugated diene block copolymer. It is preferable to blend 0 to 250 parts by weight, particularly 20 to 200 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the additive. Such a hydrocarbon rubber softener is a mixture of a combination of an aromatic ring, a naphthene ring and a paraffin ring, and the paraffin chain carbon number accounts for 50% or more of the total carbon. These are called oils, and those having a naphthenic ring carbon number of 30 to 45% are called naphthenic oils, and those having more than 30% aromatic carbons are called aromatic oils. Among these, it is preferable to use paraffinic oil.
[0075]
Examples of the thermoplastic resin in the additional compounding component include polyolefin resins such as polypropylene, ethylene resin, and polybutene-1 resin, polystyrene, acrylonitrile / styrene copolymer, acrylonitrile / butadiene / styrene copolymer, and the like. Polystyrene resins such as polystyrene resins, polyphenylene ether resins, polyamide resins such as nylon 6 and nylon 66, polyester resins such as polyethylene terephthalate and polybutylene terephthalate, polyoxymethylene resins such as polyoxymethylene homopolymers and polyoxymethylene copolymers, A polymethyl methacrylate resin or the like can be used.
[0076]
Examples of the ethylene resin include polyethylene, ethylene / α-olefin copolymer, ethylene / vinyl acetate copolymer, ethylene / (meth) acrylic acid copolymer, and ethylene / (meth) acrylic acid ester copolymer. be able to.
[0077]
Examples of the polyethylene include low density polyethylene (branched ethylene polymer), medium density, high density polyethylene (linear ethylene copolymer), and the like.
[0078]
As the above-mentioned ethylene / α-olefin copolymer, ethylene / butene-1 copolymer, ethylene / hexene copolymer, ethylene / heptene copolymer, ethylene / octene copolymer, ethylene / 4-methylpentene- One copolymer can be cited as a representative example.
[0079]
The thermoplastic resin to be used may be one kind or plural kinds, and the addition amount is generally 1 to 100 parts by weight of the hydrogenated product of olefin copolymer rubber or styrene / conjugated diene block copolymer. It is preferable to blend 300 parts by weight, preferably 20 to 250 parts by weight.
[0080]
(4) Ester elastomer
As the ester elastomer, polyester polyester block copolymer using aromatic polyester as hard component, polyester polyether block copolymer using aliphatic polyether as soft component, aromatic polyester as hard component, and aliphatic polyester as soft component A copolymer is mentioned.
[0081]
The polyester polyether block copolymer comprises (1) an aliphatic and / or alicyclic diol having 2 to 12 carbon atoms, (2) an aromatic dicarboxylic acid or an alkyl ester thereof, and (3) a weight average molecular weight of 400. ˜6000 polyalkylene ether glycol as a raw material, and an oligomer obtained by esterification reaction or transesterification reaction is polycondensed.
[0082]
Here, as the aliphatic and / or alicyclic diol having 2 to 12 carbon atoms, a known material can be used as a raw material for polyester, particularly a polyester elastomer. For example, ethylene glycol, propylene glycol, trimethylene Glycol, 1,4-butanediol, 1,4-cyclohexanediol, 1,4-cyclohexanedimethanol and the like, preferably 1,4-butanediol, ethylene glycol, particularly preferably 1,4-butanediol As a main component, one kind or two or more kinds can be used.
[0083]
As the aromatic dicarboxylic acid, known raw materials for polyester, particularly polyester elastomer, can be used, and examples thereof include terephthalic acid, isophthalic acid, phthalic acid, 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, and the like. Terephthalic acid and 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, particularly preferably terephthalic acid is the main component, and two or more of these may be used in combination. Examples of the alkyl ester of aromatic dicarboxylic acid include dimethyl esters such as dimethyl terephthalate, dimethyl isophthalate, dimethyl phthalate, and 2,6-dimethyl naphthalate, preferably dimethyl terephthalate and 2,6-dimethyl naphthalate. In particular, dimethyl terephthalate is preferable, and two or more of these can be used in combination. In addition to the above, trifunctional diols, other diols and other dicarboxylic acids and esters thereof may be copolymerized in small amounts, and aliphatic dicarboxylic acids such as adipic acid or alicyclic dicarboxylic acids, or Alkyl esters and the like may also be used as copolymerization components.
[0084]
As the polyalkylene ether glycol, those having a weight average molecular weight of 400 to 6000 are used, preferably 500 to 4,000, particularly preferably 600 to 3,000. When the molecular weight is less than 400, the block property of the copolymer is insufficient, and when the weight average molecular weight exceeds 6000, the physical properties of the polymer decrease due to phase separation in the system. Here, as polyalkylene ether glycol, polyethylene glycol, poly (1,2 and 1,3-propylene ether) glycol, polytetramethylene ether glycol, polyhexamethylene ether glycol, block or random copolymer of ethylene oxide and propylene oxide And a block or random copolymer of ethylene oxide and tetrahydrofuran. Particularly preferred is polytetramethylene ether glycol.
[0085]
The content of the polyalkylene ether glycol is desirably 5 to 95% by weight, preferably 10 to 85% by weight, and particularly preferably 20 to 80% by weight with respect to the block copolymer to be formed. When this content is more than 95% by weight, it is difficult to obtain a polymer by condensation polymerization.
[0086]
On the other hand, the polyester polyester block copolymer is a polyester oligomer obtained by condensing an aliphatic or alicyclic dicarboxylic acid and an aliphatic diol in place of the polyalkylene ether glycol having the weight average molecular weight of 400 to 6000. (5) A polyester oligomer synthesized from an aliphatic lactone or an aliphatic monool carboxylic acid, (1) the aliphatic and / or alicyclic diol having 2 to 12 carbon atoms, and (2) an aromatic dicarboxylic acid. Or the alkyl ester is used as a raw material, and the oligomer obtained by esterification reaction or transesterification is polycondensed.
[0087]
Examples of the polyester oligomer (4) include alicyclic dicarboxylic acids such as 1,4-cyclohexanedicarboxylic acid, 1,2-cyclohexanedicarboxylic acid, dicyclohexyl-4,4′-dicarboxylic acid, succinic acid, oxalic acid, Examples include polyester oligomers having a structure in which one or more aliphatic dicarboxylic acids such as adipic acid and sebacic acid are condensed with one or more diols such as ethylene glycol, propylene glycol, tetramethylene glycol, and pentamethylene glycol. Examples of (5) include polycaprolactone polyester oligomers synthesized from ε-caprolactone, ω-oxycaproic acid and the like.
[0088]
Examples of such polyester polyether block copolymers include “Perprene P” (trade name, manufactured by Toyobo Co., Ltd.), “Hytrel” (trade name, manufactured by Toray DuPont), and “Lomod” (Japan EE). "Nichigo Polyester" (trade name, manufactured by Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd.), "Teijin Polyester Elastomer" (trade name, manufactured by Teijin Limited), etc., and a polyester polyester block copolymer is a commercially available polymer. There is “Perprene S” (trade name, manufactured by Toyobo Co., Ltd.).
[0089]
(5) Polyamide elastomer
The polyamide-based elastomer has polyamide (
[0090]
[Chemical 1]
[0091]
The polyether block amide represented by the above general formula [I] used in the present invention is a known substance per se as disclosed in US Pat. No. 3,044,978.
[0092]
This includes, for example, (i) salts of diamine and dicarboxylic acid, lactams or aminodicarboxylic acids (PA constituent), (b) polyoxyalkylene glycols (PG constituents) such as polyoxyethylene glycol and polyoxypropylene glycol ), And (iii) polycondensation of dicarboxylic acid.
[0093]
Commercially available polyether block amides include "Pebax" (trade name, manufactured by Toray Industries, Inc.), "Daiamide-PAE" (trade name, manufactured by Daicel Huls), and "UBE polyamide elastomer" (manufactured by Ube Industries, Ltd.) Product name), "Novamit PAE" (trade name, manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation), "Glais A" (trade name, manufactured by Dainippon Ink & Chemicals, Inc.), "Grillon ELX, ELY" (MS Japan Corporation) Product name).
[0094]
(6) Urethane elastomer
The polyurethane elastomer has a hard segment composed of diisocyanate and short chain glycol (ethylene glycol, propylene glycol, 1,4-butanediol, bisphenol A, etc.) and a soft segment composed of diisocyanate and long chain polyol. . Here, as the long-chain polyol, poly (alkylene oxide) glycol having a molecular weight of 400 to 6,000, for example, polyethylene glycol, poly (1,2 and 1,3-propylene oxide) glycol, poly (tetramethylene oxide) glycol Polyethers such as poly (hexamethylene oxide) glycol, or polyesters such as polyalkylene adipate, polycaprolactone, and polycarbonate are used. This type of polyurethane-based thermoplastic elastomer is a compound having a structure represented by the following general formula [II].
[0095]
[Chemical formula 2]
[0096]
In addition, as this kind of diisocyanate compound, well-known usual things, such as phenylene diisocyanate, tolylene diisocyanate, xylene diisocyanate, 4,4'- diphenylmethane diisocyanate, hexamethylene diisocyanate, can be used.
[0097]
Commercially available polyurethane elastomers include “Elastollan” (trade name, manufactured by Takeda Birdish Urethane Co., Ltd.), “Milactolan” (trade name, manufactured by Nippon Milactolan Co., Ltd.), “Rezamin P” (Daiichi Seikagaku Corporation) ) (Trade name), “Ufine P” (trade name, manufactured by Asahi Glass Co., Ltd.), and the like.
[0098]
The flexural modulus (ASTMD 790) of the thermoplastic elastomer used as the component (C) is desirably 500 or less, and is 1/5 or less of the flexural modulus (ASTM D790) of the thermoplastic resin of the component (A) to be used. More preferably, it has a flexural modulus of 1/8 or less because the effect of improving the conductivity due to the addition of the elastomer is large.
[0099]
In this invention, the compounding quantity of such (C) component is with respect to a total of 100 weight part of (A) and (B) component.1-30 parts by weight. If the blending amount of the component (C) is less than this, the effect of the invention by blending the component (C) cannot be sufficiently obtained, and if so, as described above, the component (A) and the component (C) The dispersed phase of the component is reversed, and the component (C) becomes the sea phase, and the conductivity is impaired.
[0100]
(The blending amount of component C) is 0.1 to 10, preferably 0.3 to 5, in weight ratio to component (B).The
[0101]
In addition, when the low Tg component as described in (i) or (ii) above is used for part or all of the component (C), the low Tg component is 100 parts by weight in total of the components (A) and (B). 50 parts by weight or less, preferably 1 to 20 parts by weight. If the blending amount of the low Tg component is less than this, the effect of addition cannot be sufficiently obtained, and if it is more than this, it is not desirable in that the mechanical strength and heat resistance of the resulting molded product are impaired.
[0102]
Furthermore, the content of the low Tg component in the component (C) is preferably 0.5 to 80 parts by weight in 100 parts by weight of the component (C) in terms of uniform conductivity.
[0103]
(D) Additive component
In the conductive thermoplastic resin composition according to the present invention, in addition to the above components (A) to (C), an additional component can be blended as necessary within a range not impairing the above performance.
[0104]
Examples of such additional components include inorganic fibrous reinforcing materials such as glass fiber, silica fiber, silica / alumina fiber, potassium titanate fiber, and aluminum borate fiber, and organic materials such as aramid fiber, polyimide fiber, and fluororesin fiber. Fibrous reinforcement, talc, calcium carbonate, mica, glass beads, glass powder, inorganic fillers such as glass balloons, fluoroplastic powder, solid lubricants such as molybdenum disulfide, plasticizers such as paraffin oil, antioxidants, Heat stabilizer, light stabilizer, UV absorber, neutralizer, lubricant, compatibilizer, anti-fogging agent, anti-blocking agent, slip agent, dispersant, colorant, antibacterial agent, fluorescent brightener, etc. Additives can be mentioned.
[0105]
Furthermore, you may add to the electroconductive thermoplastic resin composition which concerns on this invention as electroconductive fillers other than the fine carbon fiber used by this invention. Examples of such conductive fillers include metal fillers such as aluminum, silver, copper, zinc, nickel, stainless steel, brass, and titanium, graphite (artificial graphite, natural graphite), glassy carbon particles, pitch-based carbon fibers, Examples thereof include conductive fillers such as metal oxide fillers such as PAN-based carbon fibers, titanium oxide, zinc oxide, tin oxide, and indium oxide.
[0106]
Note that, among metal oxide fillers, in the case where surplus electrons are generated due to the presence of lattice defects and show conductivity, a filler added with a dopant to increase conductivity may be used. For example, aluminum is used for zinc oxide, antimony for tin oxide, tin for indium oxide, and the like as dopants. Further, a composite conductive filler in which carbon fiber or the like is coated with metal, or conductive tin oxide or conductive carbon is formed on the surface of potassium titanate whisker or aluminum borate whisker can be used.
[0107]
(E) Manufacturing method
The conductive thermoplastic resin composition according to the present invention can be produced by a normal thermoplastic resin processing method. For example, the components (A), (B) and (C) and all the additional components blended as necessary are mixed in advance, and then a Banbury mixer, roll, brabender, single-screw kneading extruder, twin-screw kneading extrusion It can be produced by melt kneading with a machine, a kneader or the like.
[0108]
Moreover, the semiconductive resin molded article of the present invention can be produced by molding such a conductive thermoplastic resin composition using various melt molding methods. Specific examples of the molding method include compression molding, extrusion molding, vacuum molding, blow molding, and injection molding. Among these molding methods, remarkable effects can be obtained particularly in the injection molding method and the vacuum molding method.
[0109]
In addition, when manufacturing the conductive thermoplastic resin composition according to the present invention, a master batch in which a high concentration of the component (B) is added to a part of the component (A) is manufactured in advance, and then this master batch is used. When the product is diluted with the component (A) and the component (C), the fine carbon fiber of the component (B) is not excessively mixed in the dispersed phase of the component (C), so that the effect of the present invention is enhanced. Alternatively, the total amount of component (B) may be mixed in advance with the total amount of component (A), and then component (C) may be added and mixed.
[0110]
When the semiconductive resin molded product of the present invention is used as an antistatic component for electronic devices, the surface resistance value is 104-1010Ω, preferably 105-109Control within the range of Ω is preferable in that charging is difficult to occur and the contact current is small.
[0111]
Such control of the surface resistance value includes the viscosity of the component (B), the viscosity ratio of the components (A) and (B), the blending ratio of the components (B) and (C), and molding conditions (resin temperature , Mold temperature, molding pressure, etc.), (B) orientation of fine carbon fibers of component (B) and the degree of relaxation thereof, (C) conductive carbon fragmentation of fine carbon fibers by component dispersed phase and fine carbon fibers The degree of inhibition of the relaxation of the orientation may be controlled.
[0112]
In general, the surface resistance value can be obtained in units of (Ω / □) by converting the resistance value by the shape factor in consideration of the current wraparound in the thickness and width direction of the measurement sample. In the case of a shaped molded article, this conversion is extremely difficult. On the other hand, in practice, the apparent resistance value including the shape is important, and it is not always necessary to use the unit (Ω / □) converted by the shape. Therefore, in this invention, it evaluates with the said surface resistance value ((omega | ohm)).
[0113]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to Examples and Comparative Examples.
[0114]
In addition, the compounding raw material used by the Example and the comparative example is as follows.
Polycarbonate resin: “Iupilon S3000” (trade name) manufactured by Mitsubishi Engineering Plastics (Tg = 146 ° C.)
Fine carbon fiber: Type “BN” (trade name) manufactured by Hyperion Catalysis International, Inc. (average fiber diameter = 10 nm, average fiber length = 0.5 μm or more, length / diameter ratio = 50 or more, bending degree = 122 °)
EPR (ethylene propylene copolymer): “EP912P” (trade name) manufactured by Nippon Synthetic Rubber Co., Ltd. (Tg <−50 ° C.)
GMA-PE (ethylene glycidyl methacrylate copolymer): “Bond First E” (trade name) manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. (Tg = −23 ° C.)
PP (polypropylene): “NOVATEC MA4U” (trade name) manufactured by Nippon Polychem Co., Ltd. (Tg = 8 ° C.)
PET (polyethylene terephthalate): Unipet “RT553C” (trade name) manufactured by Nippon Unipet Co., Ltd. (Tg = 80 ° C.)
PEI (polyetherimide): “Ultem 1000” manufactured by GE Plastics (Tg = 218 ° C.)
PAR (polyarylate resin): “U polymer U100” (trade name) manufactured by Unitika Ltd. (Tg = 182 ° C.)
[0115]
Examples 1-5, Comparative Examples 1-4
Each component was mixed with the ingredients shown in Table 1, and a barrel temperature of 300 was used using a twin-screw extruder ("PCM45" manufactured by Ikekai Steel Co., Ltd., L / D = 32 (L; screw length, D: screw diameter)). Melting and kneading was performed at ℃ (however, Example 5 and Comparative Example 4 were 350 ℃) and a screw rotation speed of 160 rpm to obtain pellets of a conductive polycarbonate resin composition.
[0116]
In addition, the compounding kneading prepared a master batch in which 15% by weight of fine carbon fiber was previously added to a polycarbonate resin, and diluted this with the remaining components to obtain a predetermined compounding amount.
[0117]
With respect to the obtained conductive thermoplastic resin composition, the surface resistance value of the molded product, the short diameter and aspect ratio of the dispersed phase were measured by the following methods, and the results are shown in Table 1.
[0118]
(1) Surface resistance value
Using each conductive thermoplastic resin composition, a 75 ton injection molding machine with a cylinder temperature of 310 ° C., a mold temperature of 90 ° C. and an injection speed of 15 to 17 cc / sec, a sheet sample for resistance measurement shown in FIG. 10 was molded. About this resistance value
[0119]
(2) Minor diameter and aspect ratio of dispersed phase
With respect to the surface resistance
[0120]
In addition, the injection molded product containing fine carbon fibers has the largest shearing force in the vicinity of the surface, the cooling rate is fast, and as a result, the conductivity becomes low. Therefore, the surface resistance value and practical charging characteristics of the molded product are governed by the dispersed state in the vicinity of the surface. Therefore, in the measurement of the short diameter and aspect ratio of the dispersed phase, the dispersed phase was observed in the range of a depth of 50 μm from the surface.
[0121]
In addition, it is confirmed that the dispersed phase shape of the component (C) is elongated along the flow direction of the resin, so that the flow direction is the largest and the depth direction is the smallest diameter. confirmed. Therefore, the value obtained by measuring the diameter of the dispersed phase in the flow direction was taken as the major axis, and the value measured in the depth direction was taken as the minor axis.
[0122]
As described above, a thin section of a cross section along the flow direction of the resin was cut out from the sample, and after this was dyed, the dispersed phase was observed with a transmission electron microscope, and 30 of the dispersed phases were randomly selected. The diameter and major axis were measured, and the average value was calculated.
[0123]
In addition, in this microscopic observation, it was confirmed that fine carbon fibers were hardly present in the dispersed phase of the component (C).
[0124]
Further, the conductive polycarbonate resin compositions used in Example 1 and Comparative Examples 1 and 2 were examined for conductivity molding temperature dependency by the following method, and the results are shown in Table 2. The relationship between the surface resistance value and the molding temperature is shown in FIG.
[0125]
(3) Molding temperature dependence of conductivity
Using the compositions used in Example 1, Comparative Example 1 and Comparative Example 2, the cooling rate was changed by changing the molding temperature when injection molding the
[0126]
[Table 1]
[0127]
[Table 2]
[0128]
From Tables 1 and 2 and FIG. 5, the following is clear.
[0129]
That is, if it is the semiconductive resin molded product of the present invention of Examples 1 to 5, the resistance value is 104-1010In the semiconducting region of Ω, it is possible to obtain a very uniform conductivity distribution, and the dependence on the conductive injection molding temperature is small, and a stable semiconductivity can be obtained under any conditions. .
[0130]
On the other hand, in Comparative Examples 1-3, uniform semiconductivity cannot be obtained.
[0131]
In particular, as can be seen from a comparison between Example 5 and Comparative Example 3, the effect of the present invention is obtained when the minor axis of the dispersed phase of component (C) is outside the scope of the present invention even with the same composition. Cannot be obtained.
[0132]
Further, as in Comparative Example 4, when the component (C) is compatible with the component (A) and, as a result, the component (C) does not form a dispersed phase of 10 μm or more, the variation in conductivity is large. There is no effect.
[0133]
【The invention's effect】
As detailed above, according to the present invention, a resistance value of 104-1010In the semiconductive region of Ω, a semiconductive resin molded product having uniform conductivity is provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1A is a schematic cross-sectional view showing a sea-island structure of a semiconductive resin molded article according to an embodiment, and FIG. 1B is a schematic view showing a dispersed phase of component (C). It is sectional drawing.
FIG. 2 is a schematic diagram for explaining a conductive network made of fine carbon fibers.
FIG. 3 is an explanatory diagram of a method for measuring the degree of bending of fine carbon fibers according to the present invention.
FIG. 4 is a plan view showing resistance value measuring sheet samples molded in Examples and Comparative Examples.
FIG. 5 is a graph showing the molding temperature dependence of conductivity in Example 1 and Comparative Examples 1 and 2;
[Explanation of symbols]
1 (A) component (matrix resin)
2 Fine carbon fiber (component (B))
3 (C) component
10 Sheet sample for resistance measurement
Claims (4)
該(C)成分が(A)成分と完全に相溶することなく、海島状に分散して該(C)成分が島状の分散相を形成しており、
該(C)成分の分散相の短径の平均値が10μm以下であり、該(C)成分の分散相の短径の平均値が、前記(B)成分の微細炭素繊維の平均繊維径の2倍以上200倍以下であり、
該(C)成分の分散相の短径と長径との比(長径/短径)が50以下であり、
該(C)成分中には、前記(B)成分の微細炭素繊維が実質的に存在しないことを特徴とする半導電性樹脂成形品。(C) Heat other than the component (A) is added to 100 parts by weight of the conductive resin component consisting of a matrix thermoplastic resin and (B) 0.1 to 20% by weight of fine carbon fibers having an average fiber diameter of 200 nm or less. Conductive thermoplasticity obtained by blending 0.1 to 30 parts by weight of a plastic resin and / or thermoplastic elastomer so that the blending amount of the component (C) is 0.1 to 10 by weight ratio to the component (B) . A semiconductive resin molded product formed by molding a resin composition,
The component (C) is not completely compatible with the component (A), but is dispersed in the shape of a sea island, and the component (C) forms an island-shaped dispersed phase.
The average value of the minor axis of the dispersed phase of the component (C) is 10 μm or less, and the average value of the minor axis of the dispersed phase of the component (C) is the average fiber diameter of the fine carbon fibers of the component (B). 2 times or more and 200 times or less,
The ratio of the minor axis to the major axis (major axis / minor axis) of the dispersed phase of component (C) is 50 or less,
The semiconductive resin molded product characterized in that the fine carbon fiber of the component (B) is substantially not present in the component (C).
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