JP3734368B2 - ビール粕炭化用成型装置 - Google Patents

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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビール粕炭化用成型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビール製造の最初の工程では、原料の大麦を発芽させた「麦芽」を粉砕し、これを煮込んだもろみから麦汁を抽出する。これを仕込工程と呼んでいる。本工程からは、麦汁抽出後の残渣が発生し、これを一般的に「ビール粕」と呼んでいる。ビール粕の成分は、セルロース・ヘミセルロース・リグニン・タンパク質などからなる。
【0003】
これまで、発生したビール粕はその大半を牛等の飼料として再利用されてきた。しかし、今後安定したビール粕の処理のために多方面での利用の検討が必要である。その1つとしてビール粕等の廃棄物の炭化処理方法があげられる。
【0004】
廃棄物及びビール粕の炭化に関する技術としては、特開平2-294391号、特開平3-72848号、特開平8-9954号、特開昭57-116000号公報に開示されたようなものがある。特開平2-294391号公報に開示されたものは、ビール粕を圧搾成型して炭化させるものであって、成型時に加熱せずその後窯にて焼上げ処理するものである。特開平3-72848号公報に開示されたものは、高水分のビール粕と乾燥ビール粕を混合して水分を56〜60%に調整して圧縮成型するものであって、圧縮成型は自然乾燥の状態で行って加熱はしない。特開平8-9954号公報に開示されたものは、ビール粕を炭化製品として有効利用するために成型することを述べているが、好ましいとされる400〜700℃で炭化した後に成型するため、結着剤等を使用しなければ十分な成型が行いにくいという課題がある。さらに、特開昭57-116000号公報に開示されたものは、廃棄物を含有水分10%内外にドライヤー処理した後、熱と圧縮を加えて棒状に成型して、固形燃料とする廃棄物圧縮成型機が開示されているが、廃棄物の対象がオガ屑、樹皮、繊維屑、紙屑、パルプスラッジ等の繊維系の廃棄物のため処理温度が300℃であって、ビール粕のようなタンパク質や糖分を含む原料を処理する場合に、適用されにくいものである。
【0005】
また、ビール粕等の有機物を従来の圧縮成型機を利用して炭化用に成型しようとする際、圧縮成型時に温度が変動すると、成型物が装置出口から飛散して成型できないという問題があった。このため、ビール粕に適当な加熱条件を一定に保つことができるシステムが装置に備わっていることが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、結着剤を使用せずにビール粕原料の圧縮成型を行うことができ、また圧縮成型時にビール粕原料の温度を一定に保持することができて、成型物が装置出口から飛散したり、成型されないでビール粕が押し出されるというようなことがないビール粕炭化用成型装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記のような目的を達成するために、ビール粕炭化用成型装置であって、水分が1〜 10 %となるように乾燥又は脱水されて供給されるビール粕を収容する中空筒状の装置本体と、この装置本体内に回転可能に横設された圧縮スクリューと、前記装置本体の一側に設けられた加熱圧縮筒と、この加熱圧縮筒を加熱する加熱源と、作業時において、この加熱源の温度を前記加熱圧縮筒における加熱温度が 160 250 ℃に保持されるように制御する温度制御手段と、前記圧縮スクリューの回転数を前記加熱源の単位時間当たりの温度上昇が大きいときは回転数を落とし、温度低下が大きいときは回転数を上げるように制御する回転制御手段とを具え、前記加熱圧縮筒内でビール粕を加熱圧縮して棒状物に成型することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に図1に示す本発明の実施形態を説明する。この実施形態において、1は圧縮成型装置の筒状の装置本体を示し、この装置本体1内に圧縮スクリュー2が回転可能に横設された、装置本体1の一側上部に設けられた原料を投入するホッパー3が、またこのホッパー3と反対側の側面に加熱圧縮筒4が設けられ、加熱圧縮筒4の外周を包囲して加熱源5と、圧縮スクリュー2を回転駆動するモータ6と、加熱源5の温度を制御する温度制御手段7と、モータ6の回転数を制御する回転制御手段8が設けられている。そして加熱源5として電熱ヒータ、温度制御手段7として交流電流調整器、回転制御手段8として常用されるインバータを使用することとするが、同様の機能をもつものであればこれらに代えて他のものを使用してもよい。
【0009】
前記のようなものを使用して、ビール粕の炭化用成型を行うに際しては、これに使用するビール粕は、通常水分が60〜75%程度であるが、これをこの装置に投入する前に、水分を1〜10%となるように乾燥又は脱水させる。それはビール粕の水分が10%以上になると、著しく供給量を減少させないと、圧縮時に水蒸気が多量に発生して爆発的に飛散する恐れがあるので好ましくなく、またビール粕の水分が1%未満では、圧縮時に固まりにくいという問題があるからである。この際の乾燥方法としては、熱風、スチーム等を間接的に、又は直接的に作用させるような方法が利用される。
【0010】
このようにして乾燥した水分5.5%のビール粕30ml/sec(21.6kg/h)を、ホッパー3から装置本体1内に供給し、モータ6によって圧縮スクリュー2を回転駆動し、ビール粕を圧縮スクリュー2との摩擦によって発生する熱によって加熱しながら加熱圧縮筒4内に押し出して加熱圧縮筒4内において加熱する。この際の加熱圧縮筒4における加熱温度は、160〜250℃、好ましくは180〜220℃である。このときビール粕の供給量の割に、加熱圧縮筒4内の温度が前記の温度より低すぎると、ビール粕が成型されないまま加熱圧縮筒4から外部に押し出されたり、出口から爆発的に飛散することがあり、反対に加熱圧縮筒4内の温度が高すぎると、ビール粕成型物が焦げたり、出口から爆発的に飛散することがある。
【0011】
このようなことから加熱圧縮筒4内の温度を、一定の温度に保持することが安定した成型を継続することに重要な条件であり、そのために温度制御手段7によって加熱源5の温度を制御することとなるが、それだけでは加熱源5の温度に変動が起こるため、単位時間当たりの温度の変動を適宜の手段で感知して、回転制御手段8によってモータ6の回転数すなわち圧縮スクリュー2の回転数を制御してこの変動の是正を行うこととなる。すなわち温度上昇が大きいときは圧縮スクリュー2の回転数を落とし、加熱源5の加温に関わらず温度低下が大きいときは、圧縮スクリュー2の回転数を上げるように制御する。
【0012】
前記のようにして、加熱圧縮筒4内において、成型されて外部に押し出されたビール粕は、通常直径が4〜6cmの棒状物であって、図示しない切断機によって必要な長さに切断される。このようにしてえられたビール粕成型品は、木炭、練炭等の製造に使用され、またそのまま薪のように直接燃焼させる燃料として使用することもできる。また窒素ガスや炭酸ガス存在下で750,850,900℃において焼成したところ、いずれも硬度及び精煉度が備長炭相当の白炭となった。さらに炭化する場合は、このビール粕成型品を300〜1200℃の熱に数時間あてることとなる。このような成型炭化品は、微細な空隙をもつため吸着剤として使用できる以外に、微生物を付着させてこれを発育させる機能があり、河川浄化や土壌改良剤、魚礁として活用することもできる。
【0013】
【発明の効果】
本発明は前記のように、ビール粕炭化用成型装置であって、水分が1〜 10 %となるように乾燥又は脱水されて供給されるビール粕を収容する中空筒状の装置本体と、この装置本体内に回転可能に横設された圧縮スクリューと、前記装置本体の一側に設けられた加熱圧縮筒と、この加熱圧縮筒を加熱する加熱源と、作業時において、この加熱源の温度を前記加熱圧縮筒における加熱温度が 160 250 ℃に保持されるように制御する温度制御手段と、前記圧縮スクリューの回転数を前記加熱源の単位時間当たりの温度上昇が大きいときは回転数を落とし、温度低下が大きいときは回転数を上げるように制御する回転制御手段とを具え、前記加熱圧縮筒内でビール粕を加熱圧縮して棒状物に成型するので、ビール製造工程の副産物であるビール粕を安定的に効率よく炭化製造用に圧縮加工することが可能であり、成型時にビール粕の温度を加熱源の温度を制御することと、圧縮スクリューの回転数を制御することとによって、適性な温度に保持することができて、温度むらによってビール粕成型物の飛散が発生するのを防止することができ、またビール粕成型物内部の間隙を均一とし、このようなビール粕成型物を焼成して製造される炭の品質を均一化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の一部縦断正面図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 圧縮スクリュー
3 ホッパー 4 加熱圧縮筒
5 加熱源 6 モータ
7 温度制御手段 8 回転制御手段

Claims (1)

  1. ビール粕炭化用成型装置であって、水分が1〜 10 %となるように乾燥又は脱水されて供給されるビール粕を収容する中空筒状の装置本体と、この装置本体内に回転可能に横設された圧縮スクリューと、前記装置本体の一側に設けられた加熱圧縮筒と、この加熱圧縮筒を加熱する加熱源と、作業時において、この加熱源の温度を前記加熱圧縮筒における加熱温度が 160 250 ℃に保持されるように制御する温度制御手段と、前記圧縮スクリューの回転数を前記加熱源の単位時間当たりの温度上昇が大きいときは回転数を落とし、温度低下が大きいときは回転数を上げるように制御する回転制御手段とを具え、前記加熱圧縮筒内でビール粕を加熱圧縮して棒状物に成型することを特徴とするビール粕炭化用成型装置。
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