JP3734270B2 - 脛骨用補綴具 - Google Patents

Description

本発明は、整形外科用の補綴装置に関するものであり、さらに詳しくは、患者の膝関節の一部と置き換えるための改良された補綴具に関するものである。よりいっそう詳しくは、本発明は、モジュール式であって、円柱部と先細部を含んだ取り外し可能な骨幹端ステム部分を有し、そこにおいて平行なフィンが骨幹端ステムの近位端から遠位端へ連続して延び、前記の円柱状に形成された部分をまず通りその後に前記の先細部を通る、改良された脛骨の補綴具に関するものである。
トレーと、補綴具が埋め込まれるときに初期固定をもたらすステム部分とを有する脛骨部品に関して多くの脛骨部品が特許されている。
モジュール式の脛骨支持具の一例は、「補綴具の膝代替システムにおける脛骨部品のためのモジュール式の脛骨支持釘」との表題の付いたエリアス特許第5,246,459号に見られる。このエリアス特許には、膝関節補綴具の脛骨部品を溝を有する脛骨に固定するために使用できるモジュール式脛骨支持釘が開示されている。このモジュール脛骨支持釘は、脛骨の溝に係合操作できる堅い外面を有する円柱状本体を含んでいる。このモジュール式脛骨支持釘は、その円柱状本体から下方へ延びる複数のスパイクをさらに含んでいる。これらのスパイクは前記溝の下端で脛骨に係合操作できる。
コシノ・トミヒサに交付された米国特許第5,137,536号には、人工膝関節のための脛骨部品が記載されている。この脛骨部品は、１つの上面を有する板部と、大腿骨部品に摺動接触するようにした一対のベアリング面とを含んでいる。その板部の下面から下方へステム部分が延びている。そのステムから、一対の刀身状部材が斜めにかつ背部に延びる。板部は、周囲の骨に対する親和性を改善するための細長くされた複数の溝を持った下面を有しており、それらの溝は、第１グループの溝と、その第１グループの溝に垂直に延びる第２組グループの溝とを含んでいる。
英国特許第2,192,543Aには、補綴装置に使用するための釘が開示されている。補綴装置に関連して固定具及び／または骨補強具として使用されるのに適したものとして、金属あるいはセラミックスの釘が示されている。この釘は、挿入端から断面が増加する、ほぼ先細に形づくられた部分を有している。先細にされた端部分の面は、その長さに沿ってその周囲の延びる交互の隆起部を有しており、連続した各隆起部は、挿入端から離れるにつれて、先行する隆起部の外面よりも前記釘の軸からかなり大きい距離だけ離れたところに、比較的少さな間隔で配された外面を有する。釘は別体であってもよく、補綴装置の一部を形成するものであってもよい。
ジェームス・ショウに交付された米国特許第4,938,769号には、軸方向に長い中央ステムとこのステムから間隔をおいて配された複数の長い固定釘とを含む脛骨の補綴具のための端部骨固定組立体が開示されている。そのステムと釘は近位及び遠位端を有している。ステムの近位端には取付平面がある。複数の構造的な環がステムと釘を互いに連結する。前記組立体に脛骨トレーを取り外し可能に取り付けるための手段が設けられ、釘のそれぞれが構造的連結によってステムに取り付けられる。
「骨／組織の内部成長を促進するために適合される補綴装置」との表題の付いたボレスキーらの特許第4,479,271号には、平面と、この平面の底部基層における下部基礎面から突出した少なくとも１つの多孔性金属ステムとを含む脛骨部品が開示されており、突出したステムの外面は、骨及び／または組織の内部成長を促進するために、用意された骨表面と直接接するようにされており、突出した多孔性金属ステムのそれぞれは、そのステムの遠位端から前記平面の底部基層における上部面まで延びる孔を含んでいる。
マーレイ特許第4,016,606号には、トレーと、患者の大腿骨における縦長の孔に受け入れられるようにされたステムとを備えた脛骨部品を含んだ膝補綴具が開示されている。そのステムは、挿入の際に球形のくぼみの半径とほぼ同じ半径を持つ対応したほぼ球形の面と一体である一端を有している。
脛骨トレー（例えば多孔性のまたはセメント接合された）を埋め込む際には、すぐれた初期固定を得ることが極めて重要である。この埋込片は、同部品を回転させ、剪断し、あるいは傾斜させる力に耐えることのできるものでなければならない。本発明は、脛骨部品とともに用いて、回転、剪断及び傾斜の力に耐える力をもたらすための改良されたステムを提供する。
本発明によれば、患者の近位脛骨の一部と置き換えるための脛骨トレーと、近位端部分及び遠位端部分を有し、脛骨トレーを前記近位脛骨に固定するために、脛骨トレーと角度をなしてそのトレーからの突出部を形成するステムであって、ほぼ円柱状に形づくられた近位部分と先細にされた遠位部分とを備えているステムと、実質的にステムの全長に延びる、円周状に間隔をおいてほぼ平行に配された複数のフィンとを備え、これらのフィンのそれぞれが、円柱状に形づくられた前記近位部分を通り、その後、ある角度で曲がって、徐々に先細にされた前記遠位部分を通ることを特徴とする脛骨の補綴具用膝部品が提供される。
したがって、本発明は、すぐれた初期固定を持つ、改良された脛骨の補綴具を提供する。本発明の骨幹端脛骨ステムは、埋め込まれた脛骨部品に、回転、剪断及び傾斜に対する抵抗力をもたらす。
本発明の装置は患者の近位脛骨の一部分と置き代えるための脛骨トレーを含む。ステムは、近位及び遠位端部分を有しかつ、そのトレーとともに角度を形成する、トレーの下面からの突出部を形成する。ステムは、脛骨トレーを前記近位脛骨にしっかり固定するために設けられる。
ステムは、それをトレーにモジュール方式で取り付けるための接続部を含んでいてもよい。これにより、患者に一番ぴったりとフィットする脛骨トレーに接続するために外科医が特定寸法のステムを選択することのできるキットを形成するために、寸法を異ならせた多数のステムを与えることができる。
ステムは、ほぼ円柱状に形づくられた近位部分と徐々に先細にされた遠位部分とを含む。長手方向へ延び、円周状に間隔をおいて配されたほぼ平行な複数のフィンが、ステムに沿って、実質的にステムの全長に沿って延びる。このため、フィンのそれぞれは、円柱状に形づくられた近位部分を通り、その後、曲がって、徐々に先細にされた遠位部分を通る。好ましい実施例では、ステムにおける徐々に先細にされた遠位部分は円錐状に形づくられている。ステムは、ほぼ管状の内部孔を持った中空円柱部を有していてもよい。
ステムの近位及び遠位部は、好ましい実施例では、ステムの移行部分で一体につながっている。そこで、フィンのそれぞれは、間に鈍角を形成する第１及び第２直線状部を含む外縁を有している。好ましい実施例では、その角は９０度より大きく１８０度より小さい。
ステムは好ましくは、ステムの下端と円錐状に形づくられた部分とを定める、ほぼ平坦な遠位先端を与える。
フィンは好ましくは、ステムの円周の周りに等しい間隔、例えばおよそ３から１８０度までの間隔をおいて配されている。
フィンは、ほぼＵ形の縦長の溝によって隔てられていてもよい。
フィンのそれぞれは好ましくは、近位及び遠位端の間に長手方向へ延びる一対の面を含んでいる。フィンは好ましくは、横断面においてほぼ三角形に形づくられている。各フィンが先細部に沿って延びるのにつれて、各フィンの前記一対の面はだんだん狭くなり、ステムの平坦な遠位面に至る前に鋭利な縁になるが、その縁は遠位よりも近位で鋭利さが少ないようにされていてもよい。ステムにおける周縁の少なくとも一部分にはフィンがなくてもよい。
脛骨の補綴具は好ましくは、個々の患者に合わせた適切な補綴具を組み立てるために、モジュール形態で供給される。したがって、この形態であれば、脛骨トレー及びステム部分は別々に設けられてもよく、また、ステムはそれを脛骨トレーに取り外し可能に取り付けるための手段を持っている。このような手段は先細の固定装置を備えていてもよい。
本発明の特質と目的をよりいっそう理解するために、添付図面に即した次の詳細な説明を参照すべきであるが、これは本発明の一例としてだけ与えられ、また、図面において同様の部品には同様の参照符号が付けられている。
図１は本発明に係る装置の好ましい実施例の分解斜視図である。
図２は本発明に係る装置の好ましい実施例におけるステム部分の切断端面図である。
図２Ａは図１の２Ａ−２Ａ線に沿う、ステム部分の円錐部を通る断面図である。
図２Ｂは図１の２Ｂ−２Ｂ線に沿う断面図であり、図２Ａの覆いを含み、それによってステムの先細状態とフィンの厚みの変化とを明らかにしている。
図３は本発明に係る装置の好ましい実施例におけるステム部分の切断断面図である。
図４は本発明に係る装置の好ましい実施例の斜視図である。
図５は本発明に係る装置の好ましい実施例の斜視図である。
図６は図５の６−６に沿う断面図である。
図７は本発明に係る装置の好ましい実施例におけるステム部分を示す一部切欠斜視図である。
図８は本発明に係る装置の好ましい実施例におけるステム部分を示す別の一部切欠斜視図である。
図９は本発明に係る装置の好ましい実施例における種々の大きさ及び形状のステム部分を示す部分正面図である。
図１０〜１２は本発明に係る装置の好ましい実施例の外科的埋め込み方法を説明する模式的正面図である。
図１〜６は全体として符号１０で指示する、本発明に係る装置の好ましい実施例を示している。脛骨の補綴具１０は、横断状に延びかつ近位面１２及び遠位面１３を有する脛骨トレー１１を含んでいる。従来技術で知られているように、遠位面１３は、患者の脛骨の近位端が外科的に作り上げられて横断状切り口を持った後に患者のその脛骨の近位端に面する。脛骨トレー１１は、作り上げられたその脛骨近位面に適合する形状にされている周壁面１４を持っている。
トレー１１を貫通して近位面１２及び遠位面１３の双方に通じるように複数の開口１５を配することができる。開口１５は補綴具１０を患者の脛骨近位部に取り付けるための１以上の骨ねじの受け入れ部である。複数の骨スパイク１６が、ある角度、好ましくは約９０度（９０°）を作って遠位面１３から延びている。
遠位面１３は例えばビード面のような骨取付面１７にすることができる。遠位面１３の中心部には、後述する骨幹端ステム２５をトレー１１に取り外し可能に取り付けるための先細固定手段である柱１８が約９０度（９０°）の角度でそこから延びている。柱１８は大径部１９と先細部分を有する小径部２０とを含んでいる。環状の円錐肩２１は大径部１９と小径先細部２０との間における移行部になる。
柱１８は、図１に示すように、大径部１９の外面にあって環状肩２１まで延びる平坦面２２部分を有している。以下でいっそう充分に説明するように、平坦面２２は、モジュール式の骨幹端ステム２５における同様な平坦面とあいまって、その骨幹端ステム２５が柱１８に対して不正確に合体されるのを防止する。
柱１８はその遠位端になる平坦な環状端部分２３を有している。柱１８は例えば溶接することのできる継目部２４で脛骨トレー１１に取り付けられるが、柱１８とトレー１１は一体物として機械加工することもできる。骨取付面１７は、継目部２４を超えて、また部分的に大径部１９まで広がることができる。
骨幹端ステム２５（図１，２，２Ａ〜２Ｂ，３，４及び７〜９）には近位端２６及び遠位端２７がある。ステム２５は閉鎖端のある孔２８を有している。孔２８は閉鎖端部分２９と開口部分３０とを有している。孔２８は、柱１８に骨幹端ステム２５が合体されるときに柱１８を受け入れるために柱１８と同様の大きさ及び形状にされている。したがって、孔２８は、大径部３１、移行部になる環状肩３５、小径先細部３２、移行部になる環状肩３５Ａ、及び円錐端部３３を持っている。閉鎖端部分２９に雌ねじを設けることもできる。
対応する平坦面２２，３４により柱１８に対するステム２５の適切な合体が確保される。対応する小径部２０及び３２は、ステム２５が柱１８の上方に配されて例えば衝撃ドライバで柱１８に嵌められたときにステム２５と柱１８との間に楔ロックまたはモールステーパロックの嵌め合いが達成されるように、合体時に係合する環状の楔形部である。使用に際して、衝撃ドライバは骨幹端ステム２５に平坦な遠位面３６で荷重を移すのに用いられるであろう。
好ましい実施例では、図９に示すように、異なった寸法からなる多数の骨幹端ステム２５Ａ〜２５Ｃがあってもよい。図９に示すような、骨幹端ステム２５Ａ〜２５Ｂの平坦な遠位面３６は、図９に示すような、骨幹端ステム２５Ｃのための平坦な遠位面３６Ａよりも大きな直径のものである。
平坦な骨幹端ステム２５のそれぞれは、図５〜６に示すように、骨幹端ステム２５の近位端２６で始まりステム２５の環状移行部分３８まで延びる、長手方向へ延びた平坦面３７を有している。平坦面３７の幅は、ステム２５などの寸法に応じて、例えばおよそ数ｍｍからおよそ４０ｍｍまでの間で適宜決められる。環状移行部分３８は、骨幹端ステム２５のほぼ円柱状部３９と骨幹端ステム２５の先細部４０との間に位置している。先細部４０は図１，３〜９に示すように円錐台状に形成することができる。
ほぼ均一の直径の円柱部３９を設けることで、外科医は、その円柱部３９の外径よりも直径の小さいステム２５を受け入れるため、患者の海綿状骨組織に円柱状に形成される開口をあけることができる。先細部４０は、骨幹端ステム２５を適切な位置に合わせるために、外科的に形成されたその開口にまず入る。その後、補綴具１０を患者の脛骨に引き続いて打ち込むことで、複数のフィン４１が海綿状骨組織に食い込む。
多数の溝４２（図２，２Ａ，２Ｂ，５，７及び８）は多数のフィン４１の間に定められる。フィン４１は円周状に配されており、互いにほぼ平行である。フィン高さ（円柱部３９の芯直径すなわち溝４２の底からフィン４１の外縁まで測定される距離）は、ステム２５などの寸法に応じて、例えば２ｍｍから４０ｍｍの間で適宜決められる。好ましい実施例において、溝はほぼＵ形であって長手方向へ延びており、互いにほぼ平行である。フィン４１及び溝４２は骨幹端ステム２５の中心長手軸４３に関して円周状に配されている。図２Ａ〜２Ｂにおいて、フィン４１は円錐台状先細部４０に鋭利な縁４４を有し円柱部３９に鈍い縁４５を有しているのがわかる。
例えば直径が１２〜１４ｍｍで深さが４０〜５０ｍｍの孔４６を作るようなくさびを骨に（切断面に対して垂直に）打ち込むことで、その骨は骨幹端ステムを受け入れる用意ができる。その後、前記装置は図１０〜１２に示すようにこの孔に押し込まれる。図１１でわかるように、孔４６はステム円柱部３９の直径よりも小さい直径を有している。これにより、フィン４１は孔４６に隣接する周囲の骨組織に食い込むことができる。
次の表はこの明細書と添付図面で用いられる部品の番号と部品の説明を記載している。

Claims (25)

1. ａ）患者の近位脛骨の一部と置き換えるための脛骨トレーと、
   ｂ）近位端部分及び遠位端部分を有し、脛骨トレーを前記近位脛骨に固定するために、脛骨トレーと角度をなしてそのトレーからの突出部を形成するステムであって、
   ｃ）ほぼ円柱状に形づくられた近位部分と先細にされた遠位部分とを備えているステムと、
   ｄ）実質的にステムの全長に延びる、円周状に間隔をおいてほぼ平行に配された複数のフィンとを備え、
   これらのフィンのそれぞれが、円柱状に形づくられた前記近位部分を通り、その後、ある角度で曲がって、徐々に先細にされた前記遠位部分を通ることを特徴とする脛骨の補綴具用膝部品。
2. フィンが、骨を切除するためにステムの遠位部分に鋭利な先縁を有している請求項１記載の脛骨の補綴具用膝部品。
3. フィンの先縁は、近位で鋭利さが減る請求項２記載の脛骨の補綴具用膝部品。
4. フィンが、等しい間隔をおいて配されている請求項１〜３のいずれか１つに記載の補綴具。
5. フィンが、ほぼ管状の内部孔を有するステムの中空円柱部から延びている請求項１〜４のいずれか１つに記載の補綴具。
6. フィンが、横断面においてほぼ三角形に形づくられている請求項１〜５のいずれか１つに記載の補綴具。
7. ステムが、トレーに取り外し可能に取り付けられている請求項１〜６のいずれか１つに記載の補綴具。
8. ステムをトレーに取り外し可能に取り付けるための先細固定手段をさらに備えている請求項７記載の補綴具。
9. 前記脛骨トレー及び前記ステムが、モジュール式の脛骨の補綴具用膝部品の部分として供給されている請求項７または８に記載の補綴具。
10. 前記脛骨トレー及び前記ステムの複数個が、モジュール式の脛骨の補綴具用膝部品を組み立てるためのキットとしていっしょに供給されている請求項９記載の補綴具。
11. ステム及びトレーが一体である請求項１〜６のいずれか１つに記載の補綴具。
12. 少なくとも３つのフィンがある請求項１〜１１のいずれか１つに記載の補綴具。
13. 近位部分及び遠位部分が移行部分で一体につながっている請求項１〜１２のいずれか１つに記載の補綴具。
14. 各フィンが、間に鈍角を形成する近位直線状部分及び遠位直線状部分を含む外縁を有している請求項１〜１３のいずれか１つに記載の補綴具。
15. その角が、９０度より大きく１８０度より小さい請求項１４記載の補綴具。
16. 各フィンが、縦長の溝によって隔てられている請求項１〜１５のいずれか１つに記載の補綴具。
17. 溝が、等しい間隔をおいて配されている請求項１６記載の補綴具。
18. 溝が、ほぼＵ形であって長手方向へ延びており、互いにほぼ平行である請求項１６または１７に記載の補綴具。
19. ステムの遠位端部分での溝の深さが、ステムの近位端部分での溝の深さよりも小さい請求項１６〜１８のいずれか１つに記載の補綴具。
20. ステムが、その長さの少なくとも一部に沿って長手方向へ延びる平坦面をさらに備えている請求項１〜１９のいずれか１つに記載の補綴具。
21. 長手方向への平坦面は、その幅がおよそ４０ｍｍまでである請求項２０記載の補綴具。
22. 平坦面が、フィンにほぼ平行である請求項２０または２１記載の補綴具。
23. ステムが、平坦な遠位先端を有している請求項１〜２２のいずれか１つに記載の補綴具。
24. フィンが、円周状におよそ３から１８０度までの間隔をおいて配されている請求項１〜２３のいずれか１つに記載の補綴具。
25. 円柱部の芯直径からフィンの外縁部分まで測定されるフィン高さが、２ｍｍから４０ｍｍまでである請求項１〜２４のいずれか１つに記載の補綴具。

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