JP3732526B2 - 静電粉末コーティング装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、静電粉末コーティング装置に関する。より詳細には、この発明は、複数のスプレー流を利用する静電粉末コーティング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粉末コーティング方法及び装置によれば、気体と粉末粒子との加圧された混合物は、静電荷が与えられて、コーティングすなわち塗装もしくは塗布される対象物の方向にガンから外側に噴射又はスプレーされるようになっている。気体−粉末混合物に入っている粒子はガンの内側に在る間に、与えられた静電界を経由して、又は摩擦荷電、即ち摩擦電気によって、又はガンの外側で外部電極によって発生された静電界を経由して荷電される。静電粉末コーティング中、混合物中の荷電された粉末粒子は、コーティングされる対象物に向かって移動するに従って相互に反発する。飛行中、コーティングされる対象物の低い電位は、静電気で粒子を引きつける。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコーティングガンでコーティングにおける一様性を達成するために、ガンのノズルの前にトランペット形状のディフレクターを配置するのが一般的である。ディフレクターは、粉末がより広い面積を覆うように加圧された混合物の流路を拡張したり、広げたりする。この方法は、対象物を大ざっぱにコーティングするには程々に良く仕事を果たすのだが、幾つかの制限を受ける。先ず第一に、比較的広い横断面積に寄って、スプレーされる混合物は、厚い空気クッションを発生する。この空気クッションは、後に続く粒子の流れを邪魔し、かなりの数の引き続いてスプレーされる粒子をコーティング面から跳ね返す。結果的に、この方法による粉末コーティングは、完全なコーティングを確実に行うのに余分な時間がかかり、又かなりの量の粉末が跳ね返りによって失われる。
【0004】
従来の粉末コーティング方法及び装置は、円筒容器や金属パイプの内面のような一様でない又は凸凹のある面をコーティングするのに更に制限を受ける。ガンと対象物との間に静電界を形成するために外部電極を使用すると、静電気力の最強線が対象物の最も近い部分へのサイト進路の直接線に沿って配置されることになり、また凹んだ部分に向けられた静電気力線は、大幅により弱くなる。例えば、容器に対して静電気力線は、ガンと容器の内面頂部との間で最も強くなり且つガンと容器底との間で最も弱くなる。
【0005】
多数の突出部及び若しくは中空部を、即ち一様でない面を有した対象物又はワークピースを粉末コーティングするとき、荷電された粒子は最初最強静電界線の経路をとる。その後に、粒子はこの同じ経路に沿い続けようとし、結果的にガンに最も近い対象物の不連続面域に、又は周囲面域よりガンにより近い突出部に蓄積することになる。結果的に、対象物は一様にコーティングされない。より具体的には、突出部及び若しくは中空部を有したワークピース又は対象物は、非常に不均一にコーティングされる。多くの場合、突出部の頂部又は縁は、厚くコーティングされ、中空部の底は、薄くコーティングされ、中空部のコーナは、殆どコーティングされない。粒子が全面に渡って一様に蓄積されるよりもむしろ不連続面域に蓄積する傾向は、ファラデーケージ効果(Faraday cage effect)と称さ れている。
【0006】
粉末コーティングに関連した別の問題は、摩擦荷電(摩擦帯電)が使用されると粉末粒子混合物が充分に荷電(帯電)されない点である。摩擦荷電を使用するときに荷電率を増加するために、混合物の接触面積を増大する必要がある。しかし、このことは、流路をより長く且つより複雑にする。結果的に、もし色を変えたい場合に別の色の粉末に変わるのにより長い時間がかかることになる。
【0007】
外部電極によって発生される静電界に関しては、荷電効率は時々電界強度を増大することで高められよう。しかし、このことはファラデーケージ効果によって発生される逆効果を増大させる。更に、より高い電荷を有した粒子は、塗着後それらの電荷を保持しており、このことによって、後続の粒子を再パルス化し、第二コーティングを行うのを邪魔する。
【0008】
粉末コーティングに関連した別の問題は、単位時間当りにスプレーされる粉末粒子量が変わる点である。一般に、単位時間当りにスプレーされる粉末量は、ポンプ圧を増大したり減少することで変えられる。しかし、圧力変化はスプレーガンからの噴射速度に変化を起こし、これはソフトランディング又は連続ジェット流のぶつかり合いのような別のコーティング現象をもたらす。ソフトランディングでは、コーティングは静電吸引を介して影響され、ファラデーケージ効果によって、更に別のコーティングが不必要な程コーティング重量が増大する。この場合、更に別のコーティングは不必要になる。ジェット流のぶつかり合いに関しては、再跳ね返りが非常に激しいので沈着した粉末粒子でさえ対象物から吹き飛ばされる。
【0009】
従来の粉末コーティング方法及び装置の別の制限は、比較的小さい対象物をコーティングする場合である。より低い必要容積に対応するために、低圧、即ち1.5kg/cm2 以下が使用されると、スプレーパターンは不安定になり、不均一コーティングとなる。
【0010】
この発明の目的は、容器の内面のような一様でない又は不規則すなわち凸凹のある形状の対象物の粉末粒子(即ち粉粒体)コーティングの一様性を改善するにある。
本発明の別の目的は、粉末コーティング中に生ずる片寄りや再跳ね返りの量を減じるにある。
本発明の更に別の目的は、後続コーティングを行うのに悪影響を与えずに、静電粉末コーティングに使用される気体−粉末混合物に入っている粒子(即ち粉体)の荷電においてより高い効率を達成するにある。
本発明の更に別の目的は、外部電極を備えた粉末コーティング装置を特に使用するとき、ファラデーケージ効果によって生じる悪いコーティング結果を最少に減じるにある。
本発明の更に別の目的は、比較的小さい対象物又は比較的小さい容積を持った対象物を粉末コーティングする効率を改善するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の装置は、気体と粉末粒子(即ち粉粒体)との加圧された混合物を複数の別々のスプレー流に分割することで上記目的を達成する。混合物を複数の細かなスプレー流に分割することは、再跳ね返り効果を減じ又コーティングされる対象物の形状によって指図される選択可能なパターンに配列された多くの流路で比較的大きな又は小さな面域をオペレータが粉末コーティング出来るようにするものである。
【0012】
一般的な適用では、多くのスプレー流に入っている粒子は、スプレー流の各々に関連し、少なくとも一つの外部電極によって静電荷電される。外部電極に関連して多くの細かなスプレー流を使うと、最少空気クッションで別々のスプレー流の粉末粒子を効果的に荷電できる。
【0013】
更に、空気クッション及び若しくは片寄りをより減じるために、また比較的より小さい容積のコーティングをより容易に行うために、ガンからパルス状態で気体と粉末混合物をスプレーしてもよい。ガンから粉末粒子をパルス化することで、単位時間当りにスプレーされる粉末量に渡ってより正確に制御する。
【0014】
粒子を荷電するために静電界を発生する外部電極に供給される直流電源は、スプレー中に“オフ”と“オン”状態の間でパルス化され、外部電極とコーティングされる対象物との間に形成される静電界を周期的にパルス化する。電界が“オフ”のとき空気力学力だけで形成される飛行経路に沿って電界に邪魔されずに粒子は流れるので、静電界のパルス化は、ファラデーケージ効果を減じる。このことは、容器の底面や不規則すなわち凸凹面の凹み等の面域のコーティングをより一様に行う。
【0015】
一般的な粉末コーティングの適用に対して、粉末流のパルス化に関連して静電界をパルス化してもよい。更に、これら二つの構成は、多くのスプレー流と外部電極の使用と更に結びつけられる。
【0016】
この発明の装置は、容器内面を粉末コーティングするのに特に適している。より具体的には、多くのスプレー流とガン内部での粉末荷電との結びつきは、ファラデーケージ効果を減じ、また缶の内側の一様なコーティングができるようにする。この装置は、直列又は並列に連結された多くの荷電室を利用したりして、ガン内部での粒子荷電に関連した付加的な幾つかの構成を有していてもよい。
【0017】
この発明は、容器の内面を粉末コーティングする幾つかの他のアプローチを意図している。より具体的には、電極によって形成される静電界のパルス化に関連して、多くのスプレー流と外部電極との結び付きをもたせてもよい。更に、単一スプレー流又は多くのスプレー流に関してスプレーガンからスプレーされる粉末をパルス化してもよい。容器内面をコーティングする更に別のアプローチとして、粉末噴射のパルス化に組み合せて静電界をパルス化してもよい。これらの二つの構成は、更に、多くのスプレー流と外部電極との使用に組み合わされる。
【0018】
構造上、本発明は、加圧された気体−粉末混合物を複数の細かなスプレー流に分割する多孔ノズル又は多管スプレー孔組立て体を使用している。もし、多孔ノズルが使用されると、ノズルは、ガンの前方端に連結し、また多孔ノズルの多数の孔は粉末粒子がスプレーされて通るスプレーガンの内部室の多数の開口を形成する。もし、多管スプレー孔組立体が使用されると、この組立体のマニホールドは、ガンの前方端に連結する。マニホールドは、室と流体連通するようにガンの前方端の所定位置に多数の管を保持する。管の反対端は、ホルダーによって所望の配列に保持される。多管スプレー孔組立体に関して、多数の管は、多数の室開口を形成する。
【0019】
多孔ノズル又は多管スプレー孔組立体のいずれかに関して、室開口は、いずれかの所望のパターンに配列される。室開口の配列は、多数のスプレー流がガンから噴射されると横切る流路を決める。開口は、直線状に整列されたり、好ましくは各列が隣接列に対して互い違いになるように多くの平行な列に配列されたりする。開口は、更に、角度をなした流路を形成するために、傾斜されたり又は角度がつけられる。
【0020】
コーティングされる対象物の形や大きさに基ずいて、室開口は、所望の状態で流路を導くように配列される。放熱フィンやトランスやラヂエータ等の、多くの中空部を有した対象物を粉末コーティングする際に、特に重要である。この種の対象物に関して、6〜24の別々のスプレー流を使用するのが通常好ましい。最も多い例では、約2〜8mmの範囲が、室開口、即ち多管スプレー孔組立体の管又は多孔ノズルの孔の内径にとって更に好ましい。多くの室開口を使用するとき、室開口は約2〜8mmに隔設されるのが好ましい。組立体の管やノズルは、荷電の極性や摩擦係数に基ずいてフッソ樹脂、ナイロン又はポリプロピレン等のプラスチックから造られるのが好ましい。
【0021】
室開口のこれらいずれの配列に関しても、一つ以上の外部電極によって、又は内部と外部の荷電の組み合わせによって、加圧された気体−粉末混合物は、ガン内部で、ガン外部で静電荷電される。本発明の特定の商業上の適用に際しては、混合物に入っている粉末粒子の荷電について最も適切なものが決められる。
【0022】
一つ以上の外部電極が粉末粒子の荷電のために使用されると、“オン”と“オフ”の状態の間で各電極によって発生される静電界をパルス化するのが時々必要とされる。この静電界のパルス化は、各外部電極と直流電源との間の電気接続の選択可能な中断を行うパルス制御器によって達成される。静電界をパルス化すると、外部電極の使用の際のファラデーケージ効果を減じることになる。静電界のパルス化は、1989年1月17日発行の公開特許公報 特開平1−11,669号に開示されている。
【0023】
上記のごとく、本発明の装置は、ガンからの粉末粒子をパルス化してもよい。粉末粒子のパルス化は、所望の波形に応じてガンから混合物を噴射するためにエゼクターに連結された粉末パルス制御器によって達成される。所望の圧力で、通常一様な圧力で“オン”と“オフ”の状態の間でサイクルさせることで、粉末粒子は連続パルスでガン端部からスプレーされ、また空気クッションが減ぜられる。粉末粒子のパルス化は、片寄りやコーティングされる対象物からの跳ね返りを減ずる。パルス化はスプレー中に一様な圧力が維持されるようにするので、制御器は、パルスの持続期間と振幅が注意深く制御されるようにすると共に、単位時間当りにスプレーされる粉末粒子の量は、比較的より小さい容積の小さい対象物をコーティングする際でも比較的一様なままとなる。粉末のパルス化は、1987年1月20日発行の公開特許公報 特開昭62−11,574号に開示されている。
【0024】
多孔ノズルの孔又は多管式スプレー孔組立体の管は多くのより小さい孔又は単一の細長いスリットのいずれかを有した小さいスケールのノズルを更に備えていてもよい。この種の小さなスケールのノズルは、さらに細かなスプレー流への混合物の分離を行う。
【0025】
使われる粉末粒子のタイプや、コーティングされる対象物の寸法、形状及び組成に基づいて、上記特徴は一様な粉末コーティングを達成する為に各種組み合わせて利用される。本発明のこれらの及び他の特徴は、次の詳細な説明と図面によって容易に理解されよう。
【0026】
【実施例】
図1は、多孔ノズルを用いた静電粉末スプレーコーティング装置10を示している。図1は、多孔ノズルの例を示すものであって、電極構成は本発明と異なる。本装置10は、粉末粒子を内部に取り込む空気と粉末粒子とが混合される粉末供給ホッパー12を含んでいる。エゼェクター又はポンプ14は、気体−粉末混合物をタンク12から輸送管16を経てガン本体18内に輸送する。エアーコンプレッサー20は、ポンプ14を駆動し、ホッパー12からの空気に粉末粒子を浮遊させるのに充分高い圧力を維持している。ガン本体18では、混合物は管16を出て室22内に流入する。室22から、混合物はガン18の前端の多孔ノズル25内に形成された複数の室開口24を出ていく。
【0027】
運転中に、気体−粉末混合物は、流路26を横切る複数の別個の細かなスプレー流を形成するために、室開口24を経て室22からスプレーされ、またそれらは、コーティングされる物品30の表面28に向かってスプレーされる。
【0028】
スプレーコーティング中、気体−粉末混合物内に入っている粒子は、地電位として図1に示されている表面28の低い静電位に引きつけられるように静電荷電される。図1は、気体−粉末混合物内の粒子を静電荷電する(即ち帯電させる)ために一つ以上の静電界を発生させるための直流電圧を与える高電圧発生器32を示している。導電ケーブル33は、電圧源32をガン18の前端から外側に突き出た複数の電極34に接続している。各電極は、各流路26を横切る気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電を最大にするように各室開口24に関連付けされている。
【0029】
後述する図15〜18に示す外部電極を使用した本発明の全の実施例では、約105〜109オームの範囲の抵抗(図示されていない)を有した電気回路を伴っており、これでガン18がコーティングされる対象物30に接近しているときに、スパークするのを防ぐようにするのが望ましい。好適な一実施例では、外部電極は、炭化ケイ素から造られ、約106オームセンチメータの抵抗を有している。
【0030】
もし必要ならば、気体−粉末混合物内に入っている粒子を静電荷電する効率を更に高めるために、ケーブル33はガン18の室22内に配置された直流電極36へ高い電圧を供給する。内部接地端子37と協同して電極棒36は、ガン18内部に静電界を形成し、室22を通って流れている間に気体−粉末混合物内に入っている粒子を静電荷電する荷電イオンを発生する。室22にいる間気体−粉末混合物内に入っている粒子の比較的高い圧力と流速とによって、そこに入っている荷電粒子の大部分は接地端子37を通って移動し、たとえ接地端子37に幾つかの荷電粒子が引きつけられ沈着されてもノズル25からスプレーされる。
【0031】
図2は、ノズル25の前端又はスプレー端の横断面図である。この実施例によれば、多孔ノズル25は、流路26a、26b、26c、26dを各々通るスプレー流を発生し且つ外部電極34a、34b、34c、34d、34eによって静電荷電される室開口24a、24b、24c、24dを有している。かくして、この実施例では、各室開口によって発生された各流路26は、一対の外部電極34の間を伸びている。これは、スプレー中に静電荷電される気体−粉末混合物内の粒子の数を最大にする。
【0032】
図3は、表面28への途上で、室開口24a、24b、24c、24dで形成されるスプレー流による個々の流路26a、26b、26c、26dを横断面で示している。
図4は、図3に描かれた四つの別々スプレー流によって表面28上に形成された複合スプレーパターン38を示している。図4に示されているように、別々のスプレー流によって横切られている流路26は、表面28への途上で大きくされ且つ共に合流する。表面28上に形成される最終スプレーパターン38は、ガン18の前端と表面28との間の距離に依存している。
【0033】
図5は、図1に描かれた静電粉末スプレーコーティング装置10の変形例を示している。この変形例によれば、多孔ノズル25は、先細の又は収斂した室開口124を有した多孔ノズル125で置き換えられる。これら室開口124は、図6に示されているようなスプレーパターン138を発生するために流路126を通って、図4に描かれたスプレーパターン38よりも狭く且つ濃い四つのはっきりしたしかし比較的接近した流れを発生する。
【0034】
図7は、装置10に、図1及び図5に各々描かれた多孔ノズル25、125の代わりに多管式スプレー孔組立体325が装備されている例を示している。図7に示す電極構成は本発明と異なるものである。多管式スプレー孔組立体325は、ガン18の前端に連結されたマニホールド327と、室22と流体連通するようにマニホールド327に連結された複数の管329と、所定の配列に管329の前端を保持するホルダー331とを有している。前記した多孔ノズルの孔のように、多管式スプレー孔組立体の複数の管は、複数の室開口を形成している。
【0035】
導電ケーブル333は、直流電源(図示されていない)に接続した第一端と、複数の外部電極334に接続した第二端とを有している。電極334は、ホルダー331から前方に伸びている。多孔ノズル25のように、多管スプレー孔組立体325は、気体−粉末混合物を、表面28に向かう複数の流路326を通る複数の細かなスプレー流に分割する。この実施例では、六つの流路326a、326b、...326f(図9参照)が存在し、これら流路を移動するスプレー流内に入っている粒子は、外部電極334a、334b、334c、...334fによって各々静電荷電される。図8参照。
【0036】
図8は、線状に室開口324a、324b、...324fを配置するように管329の前端を直線状に配列したホルダー331の正面を示している。図9は、噴射直後に多管スプレー孔組立体325によって形成されるスプレーの横断面を示している。或る距離をおいて、スプレー流は、別々ではっきりしており、六つの直線状に配列された円盤の形を取っている。図10は、その後の或る時の或る距離での同じスプレー流を示しており、そこでスプレー流は合流して単一の細長いスプレーパターン338を形成している。
【0037】
図11、図12及び図13は、多孔ノズル又は多管ノズルの室開口24が直線状に配列され、又気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電が電極としての働きをする一本のワイヤー42を介して達成される本発明の実施例を示している。ワイヤー42は、開口の直前で整列した又は一方に対して片寄った室開口24と平行になっている。本発明のこの単一ワイヤー電極の実施例は、本発明の多孔ノズル実施例又は多管スプレー孔組立体実施例のいずれかに同じように適していることが理解される。コーティングされる対象物(図示されていない)は、室開口24からワイヤー42の他方側に設置されている。
【0038】
図11は、絶縁被い43が室開口24を越えたワイヤー42の端部で除去されているもので全長に渡って露出されたワイヤー電極を示している。代わりに、図12に示す絶縁被い43は、ワイヤー42が露出されている各室開口24に対応した複数の隔設選択された領域44を除いて、ワイヤー42の全長に沿って伸びている。
【0039】
図13及び図14に示されている別の代替例によると、絶縁被い43は、電極として働く底部分44を露出するために、コーティングされる対象物と対向する図13及び図14のワイヤー42の底のV−形状領域47が除去されている。
【0040】
図15は、別の多管スプレー孔組立体425を示している。多管組立体425は、マニホールド327と同じようなマニホールド427と、室22と連通した第一端部と複数の室開口424を形成した反対側端部とを有した複数の管429とを有している。管429のこれら反対側端部は、直線状配列に3本の2つの別々のグループを成した室開口424を向けているホルダー431内に保持されている。
【0041】
使用に際して、多管スプレー孔組立体425は各グループに三つのスプレー流が含まれた二つの別々グループのスプレー流を発生する。結果的に、図16に示されているように、組立体425は、流路426a、426b、426cを通るスプレー流によって形成された上部領域438aと流路426d、426e、426fを通るスプレー流によって形成された下部領域438bとを含んだスプレーパターン438を発生する。導電ケーブル433は、電源(図示されていない)をホルダー431から前方に伸びた複数の外部電極434に接続する。ケーブル433と外部電極434とは、図7に描かれたケーブル333と外部電極334と同じである。
【0042】
図17は、別の多管スプレー孔組立体525を示している。多管スプレー孔組立体525は、マニホールド527と、マニホールド527と連通した第一端部とホルダー531に所定の形状で保持された第二端部とを有した複数の管529とを有している。導電ケーブル433は、電源(図示されていない)に接続されており、ホルダー531に沿って伸び、ホルダー531から前方に伸びた複数の外部電極534に接続している。
【0043】
図17では室開口524の各々に関連した少なくとも一つの外部電極534を有することが好ましい。図17及び図18に示す電極構成は、本発明と異なっているが、多管スプレー孔組立体525に図11〜図13に示した本発明の電極を用いることができる。図18に示されているように、管524の前端は、第二列の室開口524bに平行な第一列に室開口524aが整列されるように向けられており、第一と第二の列の開口が相互に千鳥状になっている。室開口524cは、最初の二列に平行で第二列に対して互い違いになり第一列に整列している第三列を形成している。
【0044】
図19は、多管スプレー孔組立体525で形成されるもので室開口524a、524b、524cの第一、第二、第三列に各々対応した三つの別々のコーティング線538a、538b、538cのスプレーパターン538を示している。
【0045】
図20は、静電スプレーコーティング装置10の一適用例を示している。図20は、底の平行面53と側壁54とを各々形成しする底の水平部材51と複数の平行な垂直部材52とを含んだ対象物50をスプレーコーティングするために使用される多管スプレー孔組立体325を示している。ホルダー331内で管329の前端を直線状に向けているため、図20と図21に示されているように、一度に一つのスロットの側壁54と底53をコーティングするようにスプレー流は、対象物50に向けられる。もし必要なら、スプレーコーティング中に組立体325はスロット内の下方に伸ばされる。
【0046】
図21は、電極334に直流電源を供給するケーブル333に接続されたパルス制御器339を示している。パルス制御器339は、所望のシーケンスで電極334への直流電力を接続分離を行うスイッチングを行う。これで、“オン”と“オフ”の状態の間で、電極334によって形成される静電界をパルス化する。
【0047】
図21Aは、スプレー中に静電界をパルス化する一方法を図解している。連続的にスプレーするスプレーガンで、上部の波形によって示されているように、パルス制御器339は、60ミリ秒毎に静電界をサイクル変化させる、即ち、電界は20ミリ秒間“オン”され、40ミリ秒間“オフ”される。更に、静電界のパルス化は、下側の波形により示されている。
“オン”と“オフ”との相対時間は、サイクル全体の時間に従って、所望のシーケンスに応じて変えることができる。静電界のパルス化は、粉末流のパルス化のような、本願に開示の他の粉末コーティングの特徴と組み合わせて利用し、容器の内面のような不均一な面を一様にコーティングするようにすることができる。
【0048】
図22に示されているように、例えば各室開口324と流体連通するように、例えば図7の多管組立体の管29に、小スケールのスリットノズル70が取り付けられる。小スケールのスリットノズル70は、細長いスリット74で終結する細長い広がっている中空部分72を有している。
【0049】
小スケールの多孔ノズル60と小スケールのスリットノズル70とは、多管組立体の管29の端に取り付けられて示されており、更に、多孔ノズル25に関する本発明の実施例にこの原理が適用されることが理解されよう。
【0050】
図23と図24とは、ガン18から気体−粉末混合物をパルス状にスプレーする本発明の別な態様を図解している。本発明のこの態様によると、気体−粉末混合物をホッパー12からガン18を通してそこから直列パルスで流出させるためにコンプレッサー20からの空気流を制御するソレノイド弁SVにパルス発生器76が導線77を介して電気的に接続されている。静電粉末コーティング装置のパルス運転については、この出願で前に述べた特許公開公報 特開昭62(1987)−11,574号で説明されている。
【0051】
図24は、ガン18から外側にスプレー流がパルス流出するのを制御するために使用される二つの例の波形78、79を示している。上記特許公開公報に示されているように、単位時間当りのパルスの数を選択することで、パルスの振幅と持続時間及びガン18から外にスプレーされる粉末の量が容易に調節され且つ正確に制御される。多分最も重要なことは、ポンプ14への空気圧は、単位時間当りの一定の噴射容積と速度を確保するために高められる点である。これで、コーティングにおけるより優れた一様性が確保される。更に、スプレー流をパルス化することで、薄いコーティング厚さが必要な場合のスプレーコーティングをより容易にする。
【0052】
図25〜図28は、図1のガン18内での気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電を示している。図1は、内部荷電が外部電極34を介して外部荷電を補うために使用されているのを示している。代わりに、内部荷電は、気体−粉末混合物内の粒子を静電荷電するための唯一の手段となろう。内部荷電は、金属容器の内面をコーティングする上で特に有利であり、そこでの外部電極の使用は、技術的背景で説明したように、ファラデーケージ効果を生みがちである。
【0053】
図25は、電源(図示されていない)によって充電された内部電極80と、ガン18内部に静電界を発生する接地端子81とを描いている。ガン内で気体−粉末混合物の粒体を静電荷電するとき、電極80又は接地端子81のいずれかに粉末粒体が付着するのを防ぐのが重要である。図25は、ガン内の孔84介して導管83と連通した圧縮空気入口82を示している。導管83は、電極80を取り囲んでそれに荷電粒子が蓄積するのを防ぐために電極80の周りに空気を吹き付ける。別の空気入口85がガンの外側を取り囲んだ中空鐶86内に圧縮空気を供給する。鐶86からの圧縮空気は、ガンの周囲に隔設された複数の孔87を介してガン内に半径方向内側に流入する。孔87から半径方向内側に向けられた空気流は接地端子81上への荷電粒子の蓄積を邪魔する。
【0054】
図26は、内部荷電の代替構造を示している。入口85はガンの外壁の単一の孔89と整合している。孔89は、内面に沿ってガンを取り囲んだ環状中空空間88と連通している。環状中空空間88は、電気接地(図示されていない)に接続された管状導電焼結金属90で形成されている。焼結金属90の多孔は、入口85に供給された空気のガンからの流出を許容し、これでその上への粒子の蓄積を邪魔する。
【0055】
上で示されたように、ガン内での静電荷電は、外部荷電と組み合わせて使用される。例えば、図27は、電極80a、80bとそこに設置された接地端子81a、81bと各々直列に接続された二つの荷電室22a、22bを含んだ構成を示している。多孔ノズル25は、第二室22の下流端に配置されている。
【0056】
代わりに、多くの室22は、直列接続に伴う圧力損失を無くするように並列に接続される。粉末上の荷電を増大しないとき並列接続室を使用するのは、ガンからスプレーされる粉末の流速を高めることになる。
【0057】
図28は、多数の荷電室を含んだ構成を示している。この構成によると、上流室22aは、加えられた直流静電界よりもむしろ摩擦荷電を利用している。摩擦の又は摩擦電気の荷電は、次に接地端子93に接続される室22の内面に好ましくは接触する曲がりくねったプラスチック又はテフロンの管92に粉末粒子を通すことで生じる。粉末粒子は、管92と多く摩擦接触することで摩擦電気で荷電される。この構成に関して、確実に、第二荷電室226が摩擦電気荷電室22aと同じ極性で粉末を荷電するようにすることが重要である。
【0058】
本発明の一般的な上記説明や好適な実施例の上記詳細な説明から、本発明が受けやすい各種変更を容易に当業者は理解するでしょう。従って、われわれは、特許請求の範囲の技術的範囲及びその同等説明によってのみ制限されることを望むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静電粉末スプレーコーティング装置を長手横断面で示している概略図である。
【図2】 図1の2−2線に沿った横断図である。
【図3】 コーティングされる対象物に向かって進むに従って気体−粉末混合物の四つの別々のスプレー流を示したもので図1の3−3線に沿った横断図である。
【図4】 同じく示したもので図1の4−4線に沿った横断図である。
【図5】 図1に描かれた静電粉末スプレーコーティング装置の変形例を長手横断面で示している概略図である。
【図6】 図5で示された気体−粉末混合物の四つのスプレー流で発生されるコーティングパターンを示したもので、図5の6−6線に沿った横断断面図である。
【図7】 多管スプレー孔組立体を有した静電粉末スプレーコーティング装置の図5と同様な長手概略図である。
【図8】 図7の12−12線に沿った横断図である。
【図9】 スプレー流がコーティングされる対象物に向かって進むに従って図7に示された多管スプレー孔組立体によって発生される気体−粉末混合物の複数のスプレー流を示したもので、図7の13−13線に沿った横断断面図である。
【図10】 同じく図7の14−14線に沿った横断断面図である。
【図11】 ワイヤーが静電気を粒子に荷電させる電界を造りだす為に使用されている本発明の静電粉末スプレーコーティング装置の実施例を示した拡大横断概略図である。
【図12】 複数の隔設された被われていない領域を除いて、ワイヤーがその長さに沿って絶縁されているもので、図11に示された実施例の変形例を示し、図11と同様な拡大横断図である。
【図13】 ワイヤーがコーティングされる製品に向いた複数の隔設された被われていない領域を露出する角度付きスリットを有したもので、図11に示された実施例の別な変形例を示し、図11及び図12と同様な拡大横断図である。
【図14】 図13の18−18線に沿った横断図である。
【図15】 多管組立体の別の変形例のを示しており、図7と同様な長手概略図である。
【図16】 図15に示された多管組立体によって形成される二つのスプレーパターンを描いているもので、図15の20−20線に沿った横断断面図である。
【図17】 多管組立体の更に別な変形例を示しており、図7及び図15と同様な長手概略図である。
【図18】 図17の22−22線に沿った横断図である。
【図19】 図17と図18に示された多管組立体によって形成されたスプレーパターンを描いている。
【図20】 多管組立体の管が直線状に配列されているものの一使用例を描いた斜視図である。
【図21】 図20で矢印25で示された方向に沿ったもので、図20の立面又は側面図である。
Aは、粉末粒子のスプレー中に静電界をパルス化する例を図解した二つのグラフを示している。
【図22】 多孔ノズル又は多管組立体のスプレー孔に取り付けられる小スケールスリットノズルの斜視図である。
【図23】 装置にガンからの気体−粉末混合物の流れをパルス化するパルス発生器を装備した静電粉末スプレーコーティング装置を示している。
【図24】 図23に示された静電粉末スプレーコーティング装置の運転を制御するために使われるパルス波形を示している。
【図25】 気体−粉末混合物内の粒子がガンの室内で静電荷電される静電粉末スプレーコーティング装置を示している長手概略図である。
【図26】 粒子がガン内で静電荷電される静電粉末スプレーコーティング装置の別な変形例を示しており、図25と同様な長手横断概略図である。
【図27】 直列に接続された二つの室を含んでいる静電粉末スプレーコーティング装置を示している長手横断概略図である。
【図28】 図27に示された荷電室の別の変形例を示しており、図27と同様な長手横断概略図である。
【符号の説明】
10 静電粉末スプレーコーティング装置
【産業上の利用分野】
この発明は、静電粉末コーティング装置に関する。より詳細には、この発明は、複数のスプレー流を利用する静電粉末コーティング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粉末コーティング方法及び装置によれば、気体と粉末粒子との加圧された混合物は、静電荷が与えられて、コーティングすなわち塗装もしくは塗布される対象物の方向にガンから外側に噴射又はスプレーされるようになっている。気体−粉末混合物に入っている粒子はガンの内側に在る間に、与えられた静電界を経由して、又は摩擦荷電、即ち摩擦電気によって、又はガンの外側で外部電極によって発生された静電界を経由して荷電される。静電粉末コーティング中、混合物中の荷電された粉末粒子は、コーティングされる対象物に向かって移動するに従って相互に反発する。飛行中、コーティングされる対象物の低い電位は、静電気で粒子を引きつける。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のコーティングガンでコーティングにおける一様性を達成するために、ガンのノズルの前にトランペット形状のディフレクターを配置するのが一般的である。ディフレクターは、粉末がより広い面積を覆うように加圧された混合物の流路を拡張したり、広げたりする。この方法は、対象物を大ざっぱにコーティングするには程々に良く仕事を果たすのだが、幾つかの制限を受ける。先ず第一に、比較的広い横断面積に寄って、スプレーされる混合物は、厚い空気クッションを発生する。この空気クッションは、後に続く粒子の流れを邪魔し、かなりの数の引き続いてスプレーされる粒子をコーティング面から跳ね返す。結果的に、この方法による粉末コーティングは、完全なコーティングを確実に行うのに余分な時間がかかり、又かなりの量の粉末が跳ね返りによって失われる。
【0004】
従来の粉末コーティング方法及び装置は、円筒容器や金属パイプの内面のような一様でない又は凸凹のある面をコーティングするのに更に制限を受ける。ガンと対象物との間に静電界を形成するために外部電極を使用すると、静電気力の最強線が対象物の最も近い部分へのサイト進路の直接線に沿って配置されることになり、また凹んだ部分に向けられた静電気力線は、大幅により弱くなる。例えば、容器に対して静電気力線は、ガンと容器の内面頂部との間で最も強くなり且つガンと容器底との間で最も弱くなる。
【0005】
多数の突出部及び若しくは中空部を、即ち一様でない面を有した対象物又はワークピースを粉末コーティングするとき、荷電された粒子は最初最強静電界線の経路をとる。その後に、粒子はこの同じ経路に沿い続けようとし、結果的にガンに最も近い対象物の不連続面域に、又は周囲面域よりガンにより近い突出部に蓄積することになる。結果的に、対象物は一様にコーティングされない。より具体的には、突出部及び若しくは中空部を有したワークピース又は対象物は、非常に不均一にコーティングされる。多くの場合、突出部の頂部又は縁は、厚くコーティングされ、中空部の底は、薄くコーティングされ、中空部のコーナは、殆どコーティングされない。粒子が全面に渡って一様に蓄積されるよりもむしろ不連続面域に蓄積する傾向は、ファラデーケージ効果(Faraday cage effect)と称さ れている。
【0006】
粉末コーティングに関連した別の問題は、摩擦荷電(摩擦帯電)が使用されると粉末粒子混合物が充分に荷電(帯電)されない点である。摩擦荷電を使用するときに荷電率を増加するために、混合物の接触面積を増大する必要がある。しかし、このことは、流路をより長く且つより複雑にする。結果的に、もし色を変えたい場合に別の色の粉末に変わるのにより長い時間がかかることになる。
【0007】
外部電極によって発生される静電界に関しては、荷電効率は時々電界強度を増大することで高められよう。しかし、このことはファラデーケージ効果によって発生される逆効果を増大させる。更に、より高い電荷を有した粒子は、塗着後それらの電荷を保持しており、このことによって、後続の粒子を再パルス化し、第二コーティングを行うのを邪魔する。
【0008】
粉末コーティングに関連した別の問題は、単位時間当りにスプレーされる粉末粒子量が変わる点である。一般に、単位時間当りにスプレーされる粉末量は、ポンプ圧を増大したり減少することで変えられる。しかし、圧力変化はスプレーガンからの噴射速度に変化を起こし、これはソフトランディング又は連続ジェット流のぶつかり合いのような別のコーティング現象をもたらす。ソフトランディングでは、コーティングは静電吸引を介して影響され、ファラデーケージ効果によって、更に別のコーティングが不必要な程コーティング重量が増大する。この場合、更に別のコーティングは不必要になる。ジェット流のぶつかり合いに関しては、再跳ね返りが非常に激しいので沈着した粉末粒子でさえ対象物から吹き飛ばされる。
【0009】
従来の粉末コーティング方法及び装置の別の制限は、比較的小さい対象物をコーティングする場合である。より低い必要容積に対応するために、低圧、即ち1.5kg/cm2 以下が使用されると、スプレーパターンは不安定になり、不均一コーティングとなる。
【0010】
この発明の目的は、容器の内面のような一様でない又は不規則すなわち凸凹のある形状の対象物の粉末粒子(即ち粉粒体)コーティングの一様性を改善するにある。
本発明の別の目的は、粉末コーティング中に生ずる片寄りや再跳ね返りの量を減じるにある。
本発明の更に別の目的は、後続コーティングを行うのに悪影響を与えずに、静電粉末コーティングに使用される気体−粉末混合物に入っている粒子(即ち粉体)の荷電においてより高い効率を達成するにある。
本発明の更に別の目的は、外部電極を備えた粉末コーティング装置を特に使用するとき、ファラデーケージ効果によって生じる悪いコーティング結果を最少に減じるにある。
本発明の更に別の目的は、比較的小さい対象物又は比較的小さい容積を持った対象物を粉末コーティングする効率を改善するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の装置は、気体と粉末粒子(即ち粉粒体)との加圧された混合物を複数の別々のスプレー流に分割することで上記目的を達成する。混合物を複数の細かなスプレー流に分割することは、再跳ね返り効果を減じ又コーティングされる対象物の形状によって指図される選択可能なパターンに配列された多くの流路で比較的大きな又は小さな面域をオペレータが粉末コーティング出来るようにするものである。
【0012】
一般的な適用では、多くのスプレー流に入っている粒子は、スプレー流の各々に関連し、少なくとも一つの外部電極によって静電荷電される。外部電極に関連して多くの細かなスプレー流を使うと、最少空気クッションで別々のスプレー流の粉末粒子を効果的に荷電できる。
【0013】
更に、空気クッション及び若しくは片寄りをより減じるために、また比較的より小さい容積のコーティングをより容易に行うために、ガンからパルス状態で気体と粉末混合物をスプレーしてもよい。ガンから粉末粒子をパルス化することで、単位時間当りにスプレーされる粉末量に渡ってより正確に制御する。
【0014】
粒子を荷電するために静電界を発生する外部電極に供給される直流電源は、スプレー中に“オフ”と“オン”状態の間でパルス化され、外部電極とコーティングされる対象物との間に形成される静電界を周期的にパルス化する。電界が“オフ”のとき空気力学力だけで形成される飛行経路に沿って電界に邪魔されずに粒子は流れるので、静電界のパルス化は、ファラデーケージ効果を減じる。このことは、容器の底面や不規則すなわち凸凹面の凹み等の面域のコーティングをより一様に行う。
【0015】
一般的な粉末コーティングの適用に対して、粉末流のパルス化に関連して静電界をパルス化してもよい。更に、これら二つの構成は、多くのスプレー流と外部電極の使用と更に結びつけられる。
【0016】
この発明の装置は、容器内面を粉末コーティングするのに特に適している。より具体的には、多くのスプレー流とガン内部での粉末荷電との結びつきは、ファラデーケージ効果を減じ、また缶の内側の一様なコーティングができるようにする。この装置は、直列又は並列に連結された多くの荷電室を利用したりして、ガン内部での粒子荷電に関連した付加的な幾つかの構成を有していてもよい。
【0017】
この発明は、容器の内面を粉末コーティングする幾つかの他のアプローチを意図している。より具体的には、電極によって形成される静電界のパルス化に関連して、多くのスプレー流と外部電極との結び付きをもたせてもよい。更に、単一スプレー流又は多くのスプレー流に関してスプレーガンからスプレーされる粉末をパルス化してもよい。容器内面をコーティングする更に別のアプローチとして、粉末噴射のパルス化に組み合せて静電界をパルス化してもよい。これらの二つの構成は、更に、多くのスプレー流と外部電極との使用に組み合わされる。
【0018】
構造上、本発明は、加圧された気体−粉末混合物を複数の細かなスプレー流に分割する多孔ノズル又は多管スプレー孔組立て体を使用している。もし、多孔ノズルが使用されると、ノズルは、ガンの前方端に連結し、また多孔ノズルの多数の孔は粉末粒子がスプレーされて通るスプレーガンの内部室の多数の開口を形成する。もし、多管スプレー孔組立体が使用されると、この組立体のマニホールドは、ガンの前方端に連結する。マニホールドは、室と流体連通するようにガンの前方端の所定位置に多数の管を保持する。管の反対端は、ホルダーによって所望の配列に保持される。多管スプレー孔組立体に関して、多数の管は、多数の室開口を形成する。
【0019】
多孔ノズル又は多管スプレー孔組立体のいずれかに関して、室開口は、いずれかの所望のパターンに配列される。室開口の配列は、多数のスプレー流がガンから噴射されると横切る流路を決める。開口は、直線状に整列されたり、好ましくは各列が隣接列に対して互い違いになるように多くの平行な列に配列されたりする。開口は、更に、角度をなした流路を形成するために、傾斜されたり又は角度がつけられる。
【0020】
コーティングされる対象物の形や大きさに基ずいて、室開口は、所望の状態で流路を導くように配列される。放熱フィンやトランスやラヂエータ等の、多くの中空部を有した対象物を粉末コーティングする際に、特に重要である。この種の対象物に関して、6〜24の別々のスプレー流を使用するのが通常好ましい。最も多い例では、約2〜8mmの範囲が、室開口、即ち多管スプレー孔組立体の管又は多孔ノズルの孔の内径にとって更に好ましい。多くの室開口を使用するとき、室開口は約2〜8mmに隔設されるのが好ましい。組立体の管やノズルは、荷電の極性や摩擦係数に基ずいてフッソ樹脂、ナイロン又はポリプロピレン等のプラスチックから造られるのが好ましい。
【0021】
室開口のこれらいずれの配列に関しても、一つ以上の外部電極によって、又は内部と外部の荷電の組み合わせによって、加圧された気体−粉末混合物は、ガン内部で、ガン外部で静電荷電される。本発明の特定の商業上の適用に際しては、混合物に入っている粉末粒子の荷電について最も適切なものが決められる。
【0022】
一つ以上の外部電極が粉末粒子の荷電のために使用されると、“オン”と“オフ”の状態の間で各電極によって発生される静電界をパルス化するのが時々必要とされる。この静電界のパルス化は、各外部電極と直流電源との間の電気接続の選択可能な中断を行うパルス制御器によって達成される。静電界をパルス化すると、外部電極の使用の際のファラデーケージ効果を減じることになる。静電界のパルス化は、1989年1月17日発行の公開特許公報 特開平1−11,669号に開示されている。
【0023】
上記のごとく、本発明の装置は、ガンからの粉末粒子をパルス化してもよい。粉末粒子のパルス化は、所望の波形に応じてガンから混合物を噴射するためにエゼクターに連結された粉末パルス制御器によって達成される。所望の圧力で、通常一様な圧力で“オン”と“オフ”の状態の間でサイクルさせることで、粉末粒子は連続パルスでガン端部からスプレーされ、また空気クッションが減ぜられる。粉末粒子のパルス化は、片寄りやコーティングされる対象物からの跳ね返りを減ずる。パルス化はスプレー中に一様な圧力が維持されるようにするので、制御器は、パルスの持続期間と振幅が注意深く制御されるようにすると共に、単位時間当りにスプレーされる粉末粒子の量は、比較的より小さい容積の小さい対象物をコーティングする際でも比較的一様なままとなる。粉末のパルス化は、1987年1月20日発行の公開特許公報 特開昭62−11,574号に開示されている。
【0024】
多孔ノズルの孔又は多管式スプレー孔組立体の管は多くのより小さい孔又は単一の細長いスリットのいずれかを有した小さいスケールのノズルを更に備えていてもよい。この種の小さなスケールのノズルは、さらに細かなスプレー流への混合物の分離を行う。
【0025】
使われる粉末粒子のタイプや、コーティングされる対象物の寸法、形状及び組成に基づいて、上記特徴は一様な粉末コーティングを達成する為に各種組み合わせて利用される。本発明のこれらの及び他の特徴は、次の詳細な説明と図面によって容易に理解されよう。
【0026】
【実施例】
図1は、多孔ノズルを用いた静電粉末スプレーコーティング装置10を示している。図1は、多孔ノズルの例を示すものであって、電極構成は本発明と異なる。本装置10は、粉末粒子を内部に取り込む空気と粉末粒子とが混合される粉末供給ホッパー12を含んでいる。エゼェクター又はポンプ14は、気体−粉末混合物をタンク12から輸送管16を経てガン本体18内に輸送する。エアーコンプレッサー20は、ポンプ14を駆動し、ホッパー12からの空気に粉末粒子を浮遊させるのに充分高い圧力を維持している。ガン本体18では、混合物は管16を出て室22内に流入する。室22から、混合物はガン18の前端の多孔ノズル25内に形成された複数の室開口24を出ていく。
【0027】
運転中に、気体−粉末混合物は、流路26を横切る複数の別個の細かなスプレー流を形成するために、室開口24を経て室22からスプレーされ、またそれらは、コーティングされる物品30の表面28に向かってスプレーされる。
【0028】
スプレーコーティング中、気体−粉末混合物内に入っている粒子は、地電位として図1に示されている表面28の低い静電位に引きつけられるように静電荷電される。図1は、気体−粉末混合物内の粒子を静電荷電する(即ち帯電させる)ために一つ以上の静電界を発生させるための直流電圧を与える高電圧発生器32を示している。導電ケーブル33は、電圧源32をガン18の前端から外側に突き出た複数の電極34に接続している。各電極は、各流路26を横切る気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電を最大にするように各室開口24に関連付けされている。
【0029】
後述する図15〜18に示す外部電極を使用した本発明の全の実施例では、約105〜109オームの範囲の抵抗(図示されていない)を有した電気回路を伴っており、これでガン18がコーティングされる対象物30に接近しているときに、スパークするのを防ぐようにするのが望ましい。好適な一実施例では、外部電極は、炭化ケイ素から造られ、約106オームセンチメータの抵抗を有している。
【0030】
もし必要ならば、気体−粉末混合物内に入っている粒子を静電荷電する効率を更に高めるために、ケーブル33はガン18の室22内に配置された直流電極36へ高い電圧を供給する。内部接地端子37と協同して電極棒36は、ガン18内部に静電界を形成し、室22を通って流れている間に気体−粉末混合物内に入っている粒子を静電荷電する荷電イオンを発生する。室22にいる間気体−粉末混合物内に入っている粒子の比較的高い圧力と流速とによって、そこに入っている荷電粒子の大部分は接地端子37を通って移動し、たとえ接地端子37に幾つかの荷電粒子が引きつけられ沈着されてもノズル25からスプレーされる。
【0031】
図2は、ノズル25の前端又はスプレー端の横断面図である。この実施例によれば、多孔ノズル25は、流路26a、26b、26c、26dを各々通るスプレー流を発生し且つ外部電極34a、34b、34c、34d、34eによって静電荷電される室開口24a、24b、24c、24dを有している。かくして、この実施例では、各室開口によって発生された各流路26は、一対の外部電極34の間を伸びている。これは、スプレー中に静電荷電される気体−粉末混合物内の粒子の数を最大にする。
【0032】
図3は、表面28への途上で、室開口24a、24b、24c、24dで形成されるスプレー流による個々の流路26a、26b、26c、26dを横断面で示している。
図4は、図3に描かれた四つの別々スプレー流によって表面28上に形成された複合スプレーパターン38を示している。図4に示されているように、別々のスプレー流によって横切られている流路26は、表面28への途上で大きくされ且つ共に合流する。表面28上に形成される最終スプレーパターン38は、ガン18の前端と表面28との間の距離に依存している。
【0033】
図5は、図1に描かれた静電粉末スプレーコーティング装置10の変形例を示している。この変形例によれば、多孔ノズル25は、先細の又は収斂した室開口124を有した多孔ノズル125で置き換えられる。これら室開口124は、図6に示されているようなスプレーパターン138を発生するために流路126を通って、図4に描かれたスプレーパターン38よりも狭く且つ濃い四つのはっきりしたしかし比較的接近した流れを発生する。
【0034】
図7は、装置10に、図1及び図5に各々描かれた多孔ノズル25、125の代わりに多管式スプレー孔組立体325が装備されている例を示している。図7に示す電極構成は本発明と異なるものである。多管式スプレー孔組立体325は、ガン18の前端に連結されたマニホールド327と、室22と流体連通するようにマニホールド327に連結された複数の管329と、所定の配列に管329の前端を保持するホルダー331とを有している。前記した多孔ノズルの孔のように、多管式スプレー孔組立体の複数の管は、複数の室開口を形成している。
【0035】
導電ケーブル333は、直流電源(図示されていない)に接続した第一端と、複数の外部電極334に接続した第二端とを有している。電極334は、ホルダー331から前方に伸びている。多孔ノズル25のように、多管スプレー孔組立体325は、気体−粉末混合物を、表面28に向かう複数の流路326を通る複数の細かなスプレー流に分割する。この実施例では、六つの流路326a、326b、...326f(図9参照)が存在し、これら流路を移動するスプレー流内に入っている粒子は、外部電極334a、334b、334c、...334fによって各々静電荷電される。図8参照。
【0036】
図8は、線状に室開口324a、324b、...324fを配置するように管329の前端を直線状に配列したホルダー331の正面を示している。図9は、噴射直後に多管スプレー孔組立体325によって形成されるスプレーの横断面を示している。或る距離をおいて、スプレー流は、別々ではっきりしており、六つの直線状に配列された円盤の形を取っている。図10は、その後の或る時の或る距離での同じスプレー流を示しており、そこでスプレー流は合流して単一の細長いスプレーパターン338を形成している。
【0037】
図11、図12及び図13は、多孔ノズル又は多管ノズルの室開口24が直線状に配列され、又気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電が電極としての働きをする一本のワイヤー42を介して達成される本発明の実施例を示している。ワイヤー42は、開口の直前で整列した又は一方に対して片寄った室開口24と平行になっている。本発明のこの単一ワイヤー電極の実施例は、本発明の多孔ノズル実施例又は多管スプレー孔組立体実施例のいずれかに同じように適していることが理解される。コーティングされる対象物(図示されていない)は、室開口24からワイヤー42の他方側に設置されている。
【0038】
図11は、絶縁被い43が室開口24を越えたワイヤー42の端部で除去されているもので全長に渡って露出されたワイヤー電極を示している。代わりに、図12に示す絶縁被い43は、ワイヤー42が露出されている各室開口24に対応した複数の隔設選択された領域44を除いて、ワイヤー42の全長に沿って伸びている。
【0039】
図13及び図14に示されている別の代替例によると、絶縁被い43は、電極として働く底部分44を露出するために、コーティングされる対象物と対向する図13及び図14のワイヤー42の底のV−形状領域47が除去されている。
【0040】
図15は、別の多管スプレー孔組立体425を示している。多管組立体425は、マニホールド327と同じようなマニホールド427と、室22と連通した第一端部と複数の室開口424を形成した反対側端部とを有した複数の管429とを有している。管429のこれら反対側端部は、直線状配列に3本の2つの別々のグループを成した室開口424を向けているホルダー431内に保持されている。
【0041】
使用に際して、多管スプレー孔組立体425は各グループに三つのスプレー流が含まれた二つの別々グループのスプレー流を発生する。結果的に、図16に示されているように、組立体425は、流路426a、426b、426cを通るスプレー流によって形成された上部領域438aと流路426d、426e、426fを通るスプレー流によって形成された下部領域438bとを含んだスプレーパターン438を発生する。導電ケーブル433は、電源(図示されていない)をホルダー431から前方に伸びた複数の外部電極434に接続する。ケーブル433と外部電極434とは、図7に描かれたケーブル333と外部電極334と同じである。
【0042】
図17は、別の多管スプレー孔組立体525を示している。多管スプレー孔組立体525は、マニホールド527と、マニホールド527と連通した第一端部とホルダー531に所定の形状で保持された第二端部とを有した複数の管529とを有している。導電ケーブル433は、電源(図示されていない)に接続されており、ホルダー531に沿って伸び、ホルダー531から前方に伸びた複数の外部電極534に接続している。
【0043】
図17では室開口524の各々に関連した少なくとも一つの外部電極534を有することが好ましい。図17及び図18に示す電極構成は、本発明と異なっているが、多管スプレー孔組立体525に図11〜図13に示した本発明の電極を用いることができる。図18に示されているように、管524の前端は、第二列の室開口524bに平行な第一列に室開口524aが整列されるように向けられており、第一と第二の列の開口が相互に千鳥状になっている。室開口524cは、最初の二列に平行で第二列に対して互い違いになり第一列に整列している第三列を形成している。
【0044】
図19は、多管スプレー孔組立体525で形成されるもので室開口524a、524b、524cの第一、第二、第三列に各々対応した三つの別々のコーティング線538a、538b、538cのスプレーパターン538を示している。
【0045】
図20は、静電スプレーコーティング装置10の一適用例を示している。図20は、底の平行面53と側壁54とを各々形成しする底の水平部材51と複数の平行な垂直部材52とを含んだ対象物50をスプレーコーティングするために使用される多管スプレー孔組立体325を示している。ホルダー331内で管329の前端を直線状に向けているため、図20と図21に示されているように、一度に一つのスロットの側壁54と底53をコーティングするようにスプレー流は、対象物50に向けられる。もし必要なら、スプレーコーティング中に組立体325はスロット内の下方に伸ばされる。
【0046】
図21は、電極334に直流電源を供給するケーブル333に接続されたパルス制御器339を示している。パルス制御器339は、所望のシーケンスで電極334への直流電力を接続分離を行うスイッチングを行う。これで、“オン”と“オフ”の状態の間で、電極334によって形成される静電界をパルス化する。
【0047】
図21Aは、スプレー中に静電界をパルス化する一方法を図解している。連続的にスプレーするスプレーガンで、上部の波形によって示されているように、パルス制御器339は、60ミリ秒毎に静電界をサイクル変化させる、即ち、電界は20ミリ秒間“オン”され、40ミリ秒間“オフ”される。更に、静電界のパルス化は、下側の波形により示されている。
“オン”と“オフ”との相対時間は、サイクル全体の時間に従って、所望のシーケンスに応じて変えることができる。静電界のパルス化は、粉末流のパルス化のような、本願に開示の他の粉末コーティングの特徴と組み合わせて利用し、容器の内面のような不均一な面を一様にコーティングするようにすることができる。
【0048】
図22に示されているように、例えば各室開口324と流体連通するように、例えば図7の多管組立体の管29に、小スケールのスリットノズル70が取り付けられる。小スケールのスリットノズル70は、細長いスリット74で終結する細長い広がっている中空部分72を有している。
【0049】
小スケールの多孔ノズル60と小スケールのスリットノズル70とは、多管組立体の管29の端に取り付けられて示されており、更に、多孔ノズル25に関する本発明の実施例にこの原理が適用されることが理解されよう。
【0050】
図23と図24とは、ガン18から気体−粉末混合物をパルス状にスプレーする本発明の別な態様を図解している。本発明のこの態様によると、気体−粉末混合物をホッパー12からガン18を通してそこから直列パルスで流出させるためにコンプレッサー20からの空気流を制御するソレノイド弁SVにパルス発生器76が導線77を介して電気的に接続されている。静電粉末コーティング装置のパルス運転については、この出願で前に述べた特許公開公報 特開昭62(1987)−11,574号で説明されている。
【0051】
図24は、ガン18から外側にスプレー流がパルス流出するのを制御するために使用される二つの例の波形78、79を示している。上記特許公開公報に示されているように、単位時間当りのパルスの数を選択することで、パルスの振幅と持続時間及びガン18から外にスプレーされる粉末の量が容易に調節され且つ正確に制御される。多分最も重要なことは、ポンプ14への空気圧は、単位時間当りの一定の噴射容積と速度を確保するために高められる点である。これで、コーティングにおけるより優れた一様性が確保される。更に、スプレー流をパルス化することで、薄いコーティング厚さが必要な場合のスプレーコーティングをより容易にする。
【0052】
図25〜図28は、図1のガン18内での気体−粉末混合物内の粒子の静電荷電を示している。図1は、内部荷電が外部電極34を介して外部荷電を補うために使用されているのを示している。代わりに、内部荷電は、気体−粉末混合物内の粒子を静電荷電するための唯一の手段となろう。内部荷電は、金属容器の内面をコーティングする上で特に有利であり、そこでの外部電極の使用は、技術的背景で説明したように、ファラデーケージ効果を生みがちである。
【0053】
図25は、電源(図示されていない)によって充電された内部電極80と、ガン18内部に静電界を発生する接地端子81とを描いている。ガン内で気体−粉末混合物の粒体を静電荷電するとき、電極80又は接地端子81のいずれかに粉末粒体が付着するのを防ぐのが重要である。図25は、ガン内の孔84介して導管83と連通した圧縮空気入口82を示している。導管83は、電極80を取り囲んでそれに荷電粒子が蓄積するのを防ぐために電極80の周りに空気を吹き付ける。別の空気入口85がガンの外側を取り囲んだ中空鐶86内に圧縮空気を供給する。鐶86からの圧縮空気は、ガンの周囲に隔設された複数の孔87を介してガン内に半径方向内側に流入する。孔87から半径方向内側に向けられた空気流は接地端子81上への荷電粒子の蓄積を邪魔する。
【0054】
図26は、内部荷電の代替構造を示している。入口85はガンの外壁の単一の孔89と整合している。孔89は、内面に沿ってガンを取り囲んだ環状中空空間88と連通している。環状中空空間88は、電気接地(図示されていない)に接続された管状導電焼結金属90で形成されている。焼結金属90の多孔は、入口85に供給された空気のガンからの流出を許容し、これでその上への粒子の蓄積を邪魔する。
【0055】
上で示されたように、ガン内での静電荷電は、外部荷電と組み合わせて使用される。例えば、図27は、電極80a、80bとそこに設置された接地端子81a、81bと各々直列に接続された二つの荷電室22a、22bを含んだ構成を示している。多孔ノズル25は、第二室22の下流端に配置されている。
【0056】
代わりに、多くの室22は、直列接続に伴う圧力損失を無くするように並列に接続される。粉末上の荷電を増大しないとき並列接続室を使用するのは、ガンからスプレーされる粉末の流速を高めることになる。
【0057】
図28は、多数の荷電室を含んだ構成を示している。この構成によると、上流室22aは、加えられた直流静電界よりもむしろ摩擦荷電を利用している。摩擦の又は摩擦電気の荷電は、次に接地端子93に接続される室22の内面に好ましくは接触する曲がりくねったプラスチック又はテフロンの管92に粉末粒子を通すことで生じる。粉末粒子は、管92と多く摩擦接触することで摩擦電気で荷電される。この構成に関して、確実に、第二荷電室226が摩擦電気荷電室22aと同じ極性で粉末を荷電するようにすることが重要である。
【0058】
本発明の一般的な上記説明や好適な実施例の上記詳細な説明から、本発明が受けやすい各種変更を容易に当業者は理解するでしょう。従って、われわれは、特許請求の範囲の技術的範囲及びその同等説明によってのみ制限されることを望むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静電粉末スプレーコーティング装置を長手横断面で示している概略図である。
【図2】 図1の2−2線に沿った横断図である。
【図3】 コーティングされる対象物に向かって進むに従って気体−粉末混合物の四つの別々のスプレー流を示したもので図1の3−3線に沿った横断図である。
【図4】 同じく示したもので図1の4−4線に沿った横断図である。
【図5】 図1に描かれた静電粉末スプレーコーティング装置の変形例を長手横断面で示している概略図である。
【図6】 図5で示された気体−粉末混合物の四つのスプレー流で発生されるコーティングパターンを示したもので、図5の6−6線に沿った横断断面図である。
【図7】 多管スプレー孔組立体を有した静電粉末スプレーコーティング装置の図5と同様な長手概略図である。
【図8】 図7の12−12線に沿った横断図である。
【図9】 スプレー流がコーティングされる対象物に向かって進むに従って図7に示された多管スプレー孔組立体によって発生される気体−粉末混合物の複数のスプレー流を示したもので、図7の13−13線に沿った横断断面図である。
【図10】 同じく図7の14−14線に沿った横断断面図である。
【図11】 ワイヤーが静電気を粒子に荷電させる電界を造りだす為に使用されている本発明の静電粉末スプレーコーティング装置の実施例を示した拡大横断概略図である。
【図12】 複数の隔設された被われていない領域を除いて、ワイヤーがその長さに沿って絶縁されているもので、図11に示された実施例の変形例を示し、図11と同様な拡大横断図である。
【図13】 ワイヤーがコーティングされる製品に向いた複数の隔設された被われていない領域を露出する角度付きスリットを有したもので、図11に示された実施例の別な変形例を示し、図11及び図12と同様な拡大横断図である。
【図14】 図13の18−18線に沿った横断図である。
【図15】 多管組立体の別の変形例のを示しており、図7と同様な長手概略図である。
【図16】 図15に示された多管組立体によって形成される二つのスプレーパターンを描いているもので、図15の20−20線に沿った横断断面図である。
【図17】 多管組立体の更に別な変形例を示しており、図7及び図15と同様な長手概略図である。
【図18】 図17の22−22線に沿った横断図である。
【図19】 図17と図18に示された多管組立体によって形成されたスプレーパターンを描いている。
【図20】 多管組立体の管が直線状に配列されているものの一使用例を描いた斜視図である。
【図21】 図20で矢印25で示された方向に沿ったもので、図20の立面又は側面図である。
Aは、粉末粒子のスプレー中に静電界をパルス化する例を図解した二つのグラフを示している。
【図22】 多孔ノズル又は多管組立体のスプレー孔に取り付けられる小スケールスリットノズルの斜視図である。
【図23】 装置にガンからの気体−粉末混合物の流れをパルス化するパルス発生器を装備した静電粉末スプレーコーティング装置を示している。
【図24】 図23に示された静電粉末スプレーコーティング装置の運転を制御するために使われるパルス波形を示している。
【図25】 気体−粉末混合物内の粒子がガンの室内で静電荷電される静電粉末スプレーコーティング装置を示している長手概略図である。
【図26】 粒子がガン内で静電荷電される静電粉末スプレーコーティング装置の別な変形例を示しており、図25と同様な長手横断概略図である。
【図27】 直列に接続された二つの室を含んでいる静電粉末スプレーコーティング装置を示している長手横断概略図である。
【図28】 図27に示された荷電室の別の変形例を示しており、図27と同様な長手横断概略図である。
【符号の説明】
10 静電粉末スプレーコーティング装置
Claims (11)
- 大気に開いた複数の室開口を有した少なくとも一つの内部室を有したガンと、
気体と粉末粒子との加圧された混合物を前記内部室内に導入し且つ前記混合物を前記ガンから前記複数の室開口を通して複数の別々のスプレー流で外側に向かってスプレーする手段と、
前記ガンの外部に配置された電極を含み、前記複数の別々のスプレー流に入っている前記粉末粒子に静電気を与える手段とを含み、
前記複数の室開口は、ほぼ直線状に配列されており、
前記静電気を与える手段は、前記ほぼ直線状に配列された前記複数の室開口とほぼ平行に配置されたワイヤーと、前記ワイヤーの選択された部分を被覆せずに前記ワイヤーを部分的に被覆する絶縁層とを含み、前記ワイヤーの前記選択された部分が前記電極としての働きをすることを特徴とする静電粉末コーティング装置。 - 前記選択された部分は、前記複数の別々のスプレー流とそれぞれ対応していることを特徴とする請求項1に記載の静電粉末コーティング装置。
- 大気に開いた複数の室開口を有した少なくとも一つの内部室を有したガンと、
気体と粉末粒子との加圧された混合物を前記内部室内に導入し且つ前記混合物を前記ガンから前記複数の室開口を通して複数の別々のスプレー流で外側に向かってスプレーする手段と、
前記ガンの外部に配置された電極を含み、前記複数の別々のスプレー流に入っている前記粉末粒子に静電気を与える手段とを含み、
前記複数の室開口は、ほぼ直線状に配列されており、
前記静電気を与える手段は、前記複数の室開口のほぼ直線状配列とほぼ平行に配置された一本のワイヤーを含み、前記ワイヤーが前記電極としての働きをすることを特徴とする静電粉末コーティング装置。 - 前記ガンは、更に、前記複数の室開口を形成する複数の孔を有した多孔ノズルから構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 前記ガンは、更に、前記複数の室開口を形成する複数の管を有した多管式スプレー孔組立体から構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 前記電極は、炭化ケイ素からなり、約106 オーム・センチメートルの抵抗を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 更に、パルスをなして前記混合物が前記ガンから外側にスプレーされるようにする手段を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 更に、前記複数の別々のスプレー流に入っている前記粉末粒子に静電気を与えるための静電界を発生させるために前記電極に電力供給部を接続する手段と、スプレー中に前記静電界をパルス化する手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 前記ほぼ直線状に配列された前記複数の室開口は、複数列設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
- 前記複数列のうちの隣り合う列の前記複数の室開口は、相互に千鳥状になっていることを特徴とする請求項9に記載の静電粉末コーティング装置。
- 前記複数の別々のスプレー流は、合流して一つのスプレーパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の静電粉末コーティング装置。
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