JP3732099B2 - 尿計量器付きバッグ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に手術中や手術後に患者の腎機能や全身状態を把握するための、時間尿量の測定および一日尿を蓄尿するための、導尿カテーテルに接続して使用する尿計量器付きバッグに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵ、病室等において、重症患者の尿の管理、例えば人工心肺を用いて開心術を施行した患者や交通事故などの救急患者等における尿の管理は極めて重要である。
従来より用いられている尿計量器付きバッグは、目盛のついた透明なプラスチックボトルからなる尿計量器と軟質バッグからなる蓄尿バッグとで構成されている。患者の膀胱から導尿カテーテルを通って尿計量器に流入し貯留した尿の量を、約１時間ごとに目盛を読み取るもので、尿量の少ないときは細かな量の計測ができるようになっており、計測後は、尿計量器の尿を蓄尿バッグに移行させて次の１時間の尿貯留を行い、これらの作業を繰り返すこととなる。
【０００３】
構造は大きく２種類があり、１つ目は尿計量器の下に蓄尿バッグは配置し、三方活栓等を備えた接続チューブにて連結されているものがあり、使用方法は三方活栓にて流路を切り替えることにより、尿計量器から蓄尿バッグへの尿移行や、尿採取を行うものである。
そして二つ目は尿計量器を蓄尿バッグの前面に配置し、上部で液密的に連通させたものであり、蓄尿バッグへの尿移行操作は尿計量器を手前に持ち上げ尿を上部の流入口よりバッグへ落とし込むことにより行い、また尿採取は尿計量器の下部に設けられた採取ポートにより行う。
【０００４】
精密な尿計量が求められる手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵを経て、患者が病室等へ移動した後は必ずしも精密な尿計量を行う必要はなく、単なる尿バッグとして蓄尿のみを実施することとなるが、前者の尿計量器と蓄尿バッグを上下に配した三方活栓式については三方活栓を蓄尿バッグへ尿が流れるようにして設定しておけばそのまま蓄尿バッグとして使用することができる。
【０００５】
しかしながら、後者の尿計量器持ち上げ式の方はそのまま使用すると尿計量器がいっぱいに蓄尿した後、蓄尿バッグへ尿がオーバーフローする仕組みにはなっているものの、患者からの導尿チューブ先端に不潔な古い尿が跳ねて接触することにより逆行感染等を引き起こす可能性があり、人の手により尿計量器を持ち上げる尿移行操作を定期的に実施しなければならなかった。
【０００６】
このため精密計量が不要になった時点で尿計量器付きバッグの使用を止め、単なる蓄尿バッグへ取り替える場合があるが、コストアップのみならず、取り替え操作の際の外気流入により、逆行感染を引き起こす可能性があった。
更に、病室においては近年の高齢化に伴う低ベッド化の中で製品の背丈が高く蓄尿バッグの底部が病室の床に擦ってしまい不潔となるだけでなく、蓄尿バッグの下部からの排尿操作がしにくいといった不具合もあった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、尿計量器持ち上げ式の尿計量器付きバッグにおいて手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵで求められる精密な尿計量を確保しつつ、病室に移動後は単なる蓄尿バッグとして使用可能であるとともに、更に病室での低ベッドに対して背丈を低く設置可能な尿計量器付きバッグを提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、即ち本発明は、（１）蓄尿バッグの前面に尿計量器を配置し、上部に設置された流入口にてお互いが液密に連通している尿計量器付きバッグにおいて、蓄尿バッグから尿計量器が取り外し可能である着脱手段を設け、蓄尿バッグのみを単体で使用できるとともに、該蓄尿バッグのみを単体で使用する際に、使用する方向（上下）を複数設定できることを特徴とする尿計量器付きバッグ、（２）蓄尿バッグの前面に尿の精密計量を行うための尿計量器を配置し、上部でお互いが液密に連通するように流入口が設けられた尿計量器付きバッグにおいて、この流入口には上部に接続チューブが設置され、流入口の後端面は蓄尿バッグに取付けられて、もう一端は尿計量器接続口が設置されおり、この接続口にはシャッターが設置され計量器と接続時は蓄尿バッグと連通するよう開口しており、尿計量器の取り外し時は外気と連通することなく閉鎖される機構を有しており、更に蓄尿バッグはほぼ長方形をなしており、尿計量器との流入口が上部コーナーに、また排出口がこれと対角の下部コーナーに配置されていることを特徴とする尿計量器付きバッグ、（３）蓄尿バッグには、流入口を設けた上部コーナーを基点とした両隣の一辺にＬ字型の補強部材が設けられ、流入口のある上部コーナーおよび両側のコーナーの３箇所を介するよう吊り紐が設置されている（１）〜（２）記載のいずれかの尿計量器付きバッグ、（４）Ｌ字型の補強部材にはＬ字の両辺にハンガー又は取手が設けられている（３）記載の尿計量器付きバッグである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図１及び図２は本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す図であり、図１は通常使用状態を示す（ａ）は正面図、（ｂ）は側断面図、図２は尿計量器を分離した蓄尿バッグの２種類の設置状態を示す正面図で、図３〜６は本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続部の分離機構を示す側断面図である。
【００１０】
本発明による尿計量器付きバッグは、図1に示すように蓄尿バッグ（１１）の前面に尿計量器（１）を配置している。
尿計量器（１）は一般的に透明ポリ塩化ビニル樹脂などによるブロー成形品、あるいは射出成形品、真空成形品などを使用することが多いが、特にこれらの材料や成形法に限定されず、その他の透明性の良い熱可塑性樹脂でも差し支えない。
【００１１】
尿計量器（１）は約５０ｍＬ以下の計量を精密に行うべく下部が先細りの概ね下向きに凸形状をなし表面に目盛（５）が付設されている。下部先端には新鮮尿の検査のための尿採取等が実施できる採取ポート（７）が設置されており、その構造は特に限定されるものではなく、一般に使用されている二方活栓や、回転バルブ等が採用されている。そして上部には蓄尿バッグ（１１）との着脱手段の一部である液密的に接続するための接続口Ａ（２）が設けられており、尿計量器（１）を形成する背面には接続口Ａ（２）へ尿を容易に集めるための尿集中溝を設けることも好ましい実施例の一つである。また、接続口Ａ（２）にはその接続を確実にするための例えば左右に回転させることにより着脱される方式等のロック（６）が備えられている。
【００１２】
蓄尿バッグ（１１）は一般的に軟質ポリ塩化ビニル樹脂による前面透明、背面白色のシートの張り合わせによるものが多いが、同等の柔軟性や外観を示すものであれば特に材料や成形法に限定はないが、形状は長方形に近い形状が望ましく、長辺側を尿計量器（１）の縦方向に配置している。また蓄尿バッグ（１１）の上部コーナーには尿の跳ね上げ防止用のドリップチャンバーをなす尿の流入口（１２）が設置されその上部に導尿カテーテルへの接続チューブ（１０）が接続されている。
【００１３】
また、流入口（１２）の下部前方には前記着脱手段の一部である開閉機構をなすシャッター（１４）を備えた接続口Ｂ（１３）が設置されている。接続口Ｂ（１３）は前記尿計量器（１）の接続口Ａ（２）と液密的に接続可能であり、機構の詳細は後述するが接続時はシャッター（１４）が開口し分離時は閉鎖する機構をなしており、更に接続口Ｂ（１３）の外周には前記尿計量器（１）のロック（６）の嵌合部（１７）備えられている。
【００１４】
接続口Ａ（２）、ロック（６）、接続口Ｂ（１３）、シャッター（１４）、嵌合部（１７）の材質は特に限定されるものではないが、接続口Ａ（１）は尿計量器（１）の一部であり、その他はこれと摺動性、気密性、操作性、コストの観点より適宜決定される。
また、流入口（１２）近傍には分離時に接続口Ｂ（１３）を清潔に保護することや、誤ってシャッター（１４）を開口させることを防止するためのスペアーキャップを紐等で付設しても良い。
【００１５】
更に前記流入口（１２）を配するコーナーの対角下部には貯留された尿を排出するための排出部（１８）が設置されている。なお、排出部（１８）は一般的にクランプ（２０）付きの排出チューブ（１９）が設置されていることが多く、特に限定されるもおのではないが、排出チューブ（１９）を図２のように収納するための収納部（２１）の配置は図２（ａ）のときに底面となる配置が望ましい。
【００１６】
蓄尿バッグ（１１）の目盛印刷に関しては精密な計量が不要であるため、図２の（ａ）、（ｂ）の配置で５０〜２００ｍＬ刻み程度の目盛（２２）及び（２３）をそれぞれの向きに付設すればよく、配置に関しては特に限定されるものではない。
なお、導尿をスムーズに行うためのエアーフィルター（２６）の設置箇所は、実施例の如く計量部（１）の流入口（１２）の接続チューブ（１０）近傍に設置することが望ましいが、設置状態において尿の貯留時に接触しない箇所を選択すれば蓄尿バッグ（１１）への設置も可能である。
【００１７】
また、蓄尿バッグ（１１）の連通口（１２）を配した上部コーナーを基点とした両隣の一辺に例えば、射出成形、打抜加工による硬質樹脂よりなるＬ字型の補強部材（２７）が設けられており、連結口（１２）のある上部コーナーおよび両側のコーナーを介して釣り紐（２５）が通されている。又Ｌ字型の補強部材（２７）は埋設されているのが好ましい。このとき、連通口（１２）以外の両コーナーを結ぶ吊り紐（２５）に予め吊り金具（２４）が設置されており、この吊り紐（２５）が蓄尿バッグ（１１）の背面に配置されることにより図２（ａ）、（ｂ）いずれの設置においても兼用で使用することが可能となる。
また、吊り下げや携帯性を向上させるためにハンガーや取手を補強部材（２７）等に一体で設置することも望ましい実施例の一つである。
【００１８】
次に図３〜６を用いて尿計量器（１）と蓄尿バッグ（１１）の一実施例となる着脱手段による接続、分離機構を詳細に説明する。図３〜６は接続時（図３）から分離時（図６）までの経過を示しており、接続口Ａ（２）の先端外周には接続口Ｂ（１３）との液密性を確保するためのＯリングＡ（３）が装着されている。また接続口Ｂ（１３）内には円盤状をなすシャッター（１４）が回転可能に設置され、シャッター（１４）の外周には液密性を確保するためのＯリングＢ（１５）を装着されている。
【００１９】
更に接続口Ａ（２）の先端には保持部（４）が、接続口Ｂ（１３）のシャッターにはつまみ（１６）がそれぞれ摺動嵌合するように備えられ、図３から図６に至るように接続口の分離に伴いシャッター（１４）に回転を与える機構をなしており、（ｃ）図の接続口Ａ（３）が接続口Ｂ（１３）から完全に分離する前に、シャッター（１４）が完全に閉じるように設計されることが外気を流入させないために重要である。なお、シャッター（１４）は接続口Ｂ（１３）の開閉を行うと同時に尿の流通方向を切り替える役目を同時に果たしている。
【００２０】
最後に本発明の尿計量器付きバッグの使用方法を具体的に説明する。手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵ等においては、患者の腎機能や全身状態を把握するための、精密な尿計量が求められるため、図１の状態で使用する。その後病室への移動後、尿計量が不要になった時点で接続口Ａ（２）のロック（６）を回転させ尿計量器（１）を分離させ、尿計量器（１）のみを廃棄する。その後は蓄尿バッグ（１１）のみを単体で蓄尿用として図２（ａ）のように使用することとなる。ここで高齢化用にベッド高さが低くなっているために、蓄尿バッグ（１１）の底面が床に接触するなどの不具合が生じる場合は、図２（ｂ）の通り設置することによりこの問題を克服することができる。
【００２１】
【発明の効果】
以上に述べた如く、本発明による尿計量器付きバッグは精密な尿計量が不要になった際に外気と連通することなく尿計量器を分離して蓄尿バッグ単体で使用でき、更に蓄尿バッグとして使用する場合に設置場所の状況を考慮して、設置方法を選択できる尿計量用具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す図で（ａ）は正面図で（ｂ）は側断面図である。
【図２】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す尿計量器を分離した蓄尿バッグ単体を示す図で（ａ）通常設置状態で、（ｂ）９０度回転させ低ベッド対応の設置状態の正面図である。
【図３】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが接続された状態である。
【図４】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離される途中の状態である。
【図５】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離される途中の状態である。
【図６】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離された状態である。
【符号の説明】
１ 尿計量器
２ 接続口Ａ
３ ＯリングＡ
４ 保持部
５ 目盛
６ ロック
７ 採取ポート
10 接続チューブ
11 蓄尿バッグ
12 流入口
13 接続口Ｂ
14 シャッター
15 ＯリングＢ
16 つまみ
17 嵌合部
18 排出部
19 排出チューブ
20 クランプ
21 収納部
22、23 目盛
24 吊り金具
25 吊り紐
26 エアーフィルター
27 補強部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に手術中や手術後に患者の腎機能や全身状態を把握するための、時間尿量の測定および一日尿を蓄尿するための、導尿カテーテルに接続して使用する尿計量器付きバッグに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵ、病室等において、重症患者の尿の管理、例えば人工心肺を用いて開心術を施行した患者や交通事故などの救急患者等における尿の管理は極めて重要である。
従来より用いられている尿計量器付きバッグは、目盛のついた透明なプラスチックボトルからなる尿計量器と軟質バッグからなる蓄尿バッグとで構成されている。患者の膀胱から導尿カテーテルを通って尿計量器に流入し貯留した尿の量を、約１時間ごとに目盛を読み取るもので、尿量の少ないときは細かな量の計測ができるようになっており、計測後は、尿計量器の尿を蓄尿バッグに移行させて次の１時間の尿貯留を行い、これらの作業を繰り返すこととなる。
【０００３】
構造は大きく２種類があり、１つ目は尿計量器の下に蓄尿バッグは配置し、三方活栓等を備えた接続チューブにて連結されているものがあり、使用方法は三方活栓にて流路を切り替えることにより、尿計量器から蓄尿バッグへの尿移行や、尿採取を行うものである。
そして二つ目は尿計量器を蓄尿バッグの前面に配置し、上部で液密的に連通させたものであり、蓄尿バッグへの尿移行操作は尿計量器を手前に持ち上げ尿を上部の流入口よりバッグへ落とし込むことにより行い、また尿採取は尿計量器の下部に設けられた採取ポートにより行う。
【０００４】
精密な尿計量が求められる手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵを経て、患者が病室等へ移動した後は必ずしも精密な尿計量を行う必要はなく、単なる尿バッグとして蓄尿のみを実施することとなるが、前者の尿計量器と蓄尿バッグを上下に配した三方活栓式については三方活栓を蓄尿バッグへ尿が流れるようにして設定しておけばそのまま蓄尿バッグとして使用することができる。
【０００５】
しかしながら、後者の尿計量器持ち上げ式の方はそのまま使用すると尿計量器がいっぱいに蓄尿した後、蓄尿バッグへ尿がオーバーフローする仕組みにはなっているものの、患者からの導尿チューブ先端に不潔な古い尿が跳ねて接触することにより逆行感染等を引き起こす可能性があり、人の手により尿計量器を持ち上げる尿移行操作を定期的に実施しなければならなかった。
【０００６】
このため精密計量が不要になった時点で尿計量器付きバッグの使用を止め、単なる蓄尿バッグへ取り替える場合があるが、コストアップのみならず、取り替え操作の際の外気流入により、逆行感染を引き起こす可能性があった。
更に、病室においては近年の高齢化に伴う低ベッド化の中で製品の背丈が高く蓄尿バッグの底部が病室の床に擦ってしまい不潔となるだけでなく、蓄尿バッグの下部からの排尿操作がしにくいといった不具合もあった。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、尿計量器持ち上げ式の尿計量器付きバッグにおいて手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵで求められる精密な尿計量を確保しつつ、病室に移動後は単なる蓄尿バッグとして使用可能であるとともに、更に病室での低ベッドに対して背丈を低く設置可能な尿計量器付きバッグを提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、即ち本発明は、（１）蓄尿バッグの前面に尿計量器を配置し、上部に設置された流入口にてお互いが液密に連通している尿計量器付きバッグにおいて、蓄尿バッグから尿計量器が取り外し可能である着脱手段を設け、蓄尿バッグのみを単体で使用できるとともに、該蓄尿バッグのみを単体で使用する際に、使用する方向（上下）を複数設定できることを特徴とする尿計量器付きバッグ、（２）蓄尿バッグの前面に尿の精密計量を行うための尿計量器を配置し、上部でお互いが液密に連通するように流入口が設けられた尿計量器付きバッグにおいて、この流入口には上部に接続チューブが設置され、流入口の後端面は蓄尿バッグに取付けられて、もう一端は尿計量器接続口が設置されおり、この接続口にはシャッターが設置され計量器と接続時は蓄尿バッグと連通するよう開口しており、尿計量器の取り外し時は外気と連通することなく閉鎖される機構を有しており、更に蓄尿バッグはほぼ長方形をなしており、尿計量器との流入口が上部コーナーに、また排出口がこれと対角の下部コーナーに配置されていることを特徴とする尿計量器付きバッグ、（３）蓄尿バッグには、流入口を設けた上部コーナーを基点とした両隣の一辺にＬ字型の補強部材が設けられ、流入口のある上部コーナーおよび両側のコーナーの３箇所を介するよう吊り紐が設置されている（１）〜（２）記載のいずれかの尿計量器付きバッグ、（４）Ｌ字型の補強部材にはＬ字の両辺にハンガー又は取手が設けられている（３）記載の尿計量器付きバッグである。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図１及び図２は本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す図であり、図１は通常使用状態を示す（ａ）は正面図、（ｂ）は側断面図、図２は尿計量器を分離した蓄尿バッグの２種類の設置状態を示す正面図で、図３〜６は本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続部の分離機構を示す側断面図である。
【００１０】
本発明による尿計量器付きバッグは、図1に示すように蓄尿バッグ（１１）の前面に尿計量器（１）を配置している。
尿計量器（１）は一般的に透明ポリ塩化ビニル樹脂などによるブロー成形品、あるいは射出成形品、真空成形品などを使用することが多いが、特にこれらの材料や成形法に限定されず、その他の透明性の良い熱可塑性樹脂でも差し支えない。
【００１１】
尿計量器（１）は約５０ｍＬ以下の計量を精密に行うべく下部が先細りの概ね下向きに凸形状をなし表面に目盛（５）が付設されている。下部先端には新鮮尿の検査のための尿採取等が実施できる採取ポート（７）が設置されており、その構造は特に限定されるものではなく、一般に使用されている二方活栓や、回転バルブ等が採用されている。そして上部には蓄尿バッグ（１１）との着脱手段の一部である液密的に接続するための接続口Ａ（２）が設けられており、尿計量器（１）を形成する背面には接続口Ａ（２）へ尿を容易に集めるための尿集中溝を設けることも好ましい実施例の一つである。また、接続口Ａ（２）にはその接続を確実にするための例えば左右に回転させることにより着脱される方式等のロック（６）が備えられている。
【００１２】
蓄尿バッグ（１１）は一般的に軟質ポリ塩化ビニル樹脂による前面透明、背面白色のシートの張り合わせによるものが多いが、同等の柔軟性や外観を示すものであれば特に材料や成形法に限定はないが、形状は長方形に近い形状が望ましく、長辺側を尿計量器（１）の縦方向に配置している。また蓄尿バッグ（１１）の上部コーナーには尿の跳ね上げ防止用のドリップチャンバーをなす尿の流入口（１２）が設置されその上部に導尿カテーテルへの接続チューブ（１０）が接続されている。
【００１３】
また、流入口（１２）の下部前方には前記着脱手段の一部である開閉機構をなすシャッター（１４）を備えた接続口Ｂ（１３）が設置されている。接続口Ｂ（１３）は前記尿計量器（１）の接続口Ａ（２）と液密的に接続可能であり、機構の詳細は後述するが接続時はシャッター（１４）が開口し分離時は閉鎖する機構をなしており、更に接続口Ｂ（１３）の外周には前記尿計量器（１）のロック（６）の嵌合部（１７）備えられている。
【００１４】
接続口Ａ（２）、ロック（６）、接続口Ｂ（１３）、シャッター（１４）、嵌合部（１７）の材質は特に限定されるものではないが、接続口Ａ（１）は尿計量器（１）の一部であり、その他はこれと摺動性、気密性、操作性、コストの観点より適宜決定される。
また、流入口（１２）近傍には分離時に接続口Ｂ（１３）を清潔に保護することや、誤ってシャッター（１４）を開口させることを防止するためのスペアーキャップを紐等で付設しても良い。
【００１５】
更に前記流入口（１２）を配するコーナーの対角下部には貯留された尿を排出するための排出部（１８）が設置されている。なお、排出部（１８）は一般的にクランプ（２０）付きの排出チューブ（１９）が設置されていることが多く、特に限定されるもおのではないが、排出チューブ（１９）を図２のように収納するための収納部（２１）の配置は図２（ａ）のときに底面となる配置が望ましい。
【００１６】
蓄尿バッグ（１１）の目盛印刷に関しては精密な計量が不要であるため、図２の（ａ）、（ｂ）の配置で５０〜２００ｍＬ刻み程度の目盛（２２）及び（２３）をそれぞれの向きに付設すればよく、配置に関しては特に限定されるものではない。
なお、導尿をスムーズに行うためのエアーフィルター（２６）の設置箇所は、実施例の如く計量部（１）の流入口（１２）の接続チューブ（１０）近傍に設置することが望ましいが、設置状態において尿の貯留時に接触しない箇所を選択すれば蓄尿バッグ（１１）への設置も可能である。
【００１７】
また、蓄尿バッグ（１１）の連通口（１２）を配した上部コーナーを基点とした両隣の一辺に例えば、射出成形、打抜加工による硬質樹脂よりなるＬ字型の補強部材（２７）が設けられており、連結口（１２）のある上部コーナーおよび両側のコーナーを介して釣り紐（２５）が通されている。又Ｌ字型の補強部材（２７）は埋設されているのが好ましい。このとき、連通口（１２）以外の両コーナーを結ぶ吊り紐（２５）に予め吊り金具（２４）が設置されており、この吊り紐（２５）が蓄尿バッグ（１１）の背面に配置されることにより図２（ａ）、（ｂ）いずれの設置においても兼用で使用することが可能となる。
また、吊り下げや携帯性を向上させるためにハンガーや取手を補強部材（２７）等に一体で設置することも望ましい実施例の一つである。
【００１８】
次に図３〜６を用いて尿計量器（１）と蓄尿バッグ（１１）の一実施例となる着脱手段による接続、分離機構を詳細に説明する。図３〜６は接続時（図３）から分離時（図６）までの経過を示しており、接続口Ａ（２）の先端外周には接続口Ｂ（１３）との液密性を確保するためのＯリングＡ（３）が装着されている。また接続口Ｂ（１３）内には円盤状をなすシャッター（１４）が回転可能に設置され、シャッター（１４）の外周には液密性を確保するためのＯリングＢ（１５）を装着されている。
【００１９】
更に接続口Ａ（２）の先端には保持部（４）が、接続口Ｂ（１３）のシャッターにはつまみ（１６）がそれぞれ摺動嵌合するように備えられ、図３から図６に至るように接続口の分離に伴いシャッター（１４）に回転を与える機構をなしており、（ｃ）図の接続口Ａ（３）が接続口Ｂ（１３）から完全に分離する前に、シャッター（１４）が完全に閉じるように設計されることが外気を流入させないために重要である。なお、シャッター（１４）は接続口Ｂ（１３）の開閉を行うと同時に尿の流通方向を切り替える役目を同時に果たしている。
【００２０】
最後に本発明の尿計量器付きバッグの使用方法を具体的に説明する。手術室、ＩＣＵ、ＣＣＵ等においては、患者の腎機能や全身状態を把握するための、精密な尿計量が求められるため、図１の状態で使用する。その後病室への移動後、尿計量が不要になった時点で接続口Ａ（２）のロック（６）を回転させ尿計量器（１）を分離させ、尿計量器（１）のみを廃棄する。その後は蓄尿バッグ（１１）のみを単体で蓄尿用として図２（ａ）のように使用することとなる。ここで高齢化用にベッド高さが低くなっているために、蓄尿バッグ（１１）の底面が床に接触するなどの不具合が生じる場合は、図２（ｂ）の通り設置することによりこの問題を克服することができる。
【００２１】
【発明の効果】
以上に述べた如く、本発明による尿計量器付きバッグは精密な尿計量が不要になった際に外気と連通することなく尿計量器を分離して蓄尿バッグ単体で使用でき、更に蓄尿バッグとして使用する場合に設置場所の状況を考慮して、設置方法を選択できる尿計量用具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す図で（ａ）は正面図で（ｂ）は側断面図である。
【図２】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの構造を示す尿計量器を分離した蓄尿バッグ単体を示す図で（ａ）通常設置状態で、（ｂ）９０度回転させ低ベッド対応の設置状態の正面図である。
【図３】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが接続された状態である。
【図４】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離される途中の状態である。
【図５】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離される途中の状態である。
【図６】本発明の一実施例となる尿計量器付きバッグの接続分離機構を詳細に示す側断面図であり、尿計量器と蓄尿バッグが分離された状態である。
【符号の説明】
１ 尿計量器
２ 接続口Ａ
３ ＯリングＡ
４ 保持部
５ 目盛
６ ロック
７ 採取ポート
10 接続チューブ
11 蓄尿バッグ
12 流入口
13 接続口Ｂ
14 シャッター
15 ＯリングＢ
16 つまみ
17 嵌合部
18 排出部
19 排出チューブ
20 クランプ
21 収納部
22、23 目盛
24 吊り金具
25 吊り紐
26 エアーフィルター
27 補強部材
Claims (4)
- 蓄尿バッグの前面に尿計量器を配置し、上部に設置された流入口にてお互いが液密に連通している尿計量器付きバッグにおいて、蓄尿バッグから尿計量器が取り外し可能である着脱手段を設け、蓄尿バッグのみを単体で使用できるとともに、該蓄尿バッグのみを単体で使用する際に、使用する方向（上下）を複数設定できることを特徴とする尿計量器付きバッグ。
- 蓄尿バッグの前面に尿の精密計量を行うための尿計量器を配置し、上部でお互いが液密に連通するように流入口が設けられた尿計量器付きバッグにおいて、この流入口には上部に接続チューブが設置され、流入口の後端面は蓄尿バッグに取付けられて、もう一端は尿計量器接続口が設置されおり、この接続口にはシャッターが設置され計量器と接続時は蓄尿バッグと連通するよう開口しており、尿計量器の取り外し時は外気と連通することなく閉鎖される機構を有しており、更に蓄尿バッグはほぼ長方形をなしており、尿計量器との流入口が上部コーナーに、また排出口がこれと対角の下部コーナーに配置されていることを特徴とする尿計量器付きバッグ。
- 蓄尿バッグには、流入口を設けた上部コーナーを基点とした両隣の一辺にＬ字型の補強部材が設けられ、流入口のある上部コーナーおよび両側のコーナーの３箇所を介するよう吊り紐が設置されている請求項１または２記載のいずれかの尿計量器付きバッグ。
- Ｌ字型の補強部材にはＬ字の両辺にハンガー又は取手が設けられている請求項３記載の尿計量器付きバッグ。
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