JP3731243B2 - シングルモード光ファイバおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタル通信に使用するシングルモード光ファイバおよびシングルモード光ファイバの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通信用シングルモード光ファイバ(以下、「SM光ファイバ」とも呼ぶ)の信号光波長は1.3μm近傍または1.55μm近傍であることが多いが、伝送損失の面から1.55μmの使用が増しつつある。1.55μm用SM光ファイバでは、波長分散(波長によって光の伝搬速度が異なるためパルス波が広がる現象)がゼロになるゼロ分散波長を1.55μm近傍にする必要がある。このため、現在では、屈折率分布(以下「プロファイル」と呼ぶ)を特公平3―18161号公報に示されるようなデュアルシェイプ型、又は“Relation between Macrobending Losses and Cutoff Wavelength in Dispersion-Shifted Segmented-Core Fiber”Electronics Letter, Vol.22, No.11, p.574,1986に示されるセグメントコア型にしたものが主に使用されている。
【0003】
こうした1.55μm用SM光ファイバでは、コア部を内層コア部と外層コア部との2層構造とし、ゼロ分散波長を1.55μm近傍にする必要からプロファイルが決定されるとともに、モードフィールド径(以下、MFDとも呼ぶ)とコア径とが同程度のものが採用されている。
【0004】
従来、(i)VAD(Vaper Axial Deposition)法あるいはOVD(Outside Vaper Deposition)法により、コア部分とコア部付近のクラッドの一部とになるべき多孔質ガラスを形成し、(ii)この多孔質ガラスを加熱して円柱状のガラス部材を作成後、更に、(iii)このガラス部材の外側に残りのクラッドとなるべき多孔質ガラスを形成し(以後、この工程を「ジャケット付け工程」と呼ぶ)、加熱してガラス化して光ファイバ母材を作成し、(iv)光ファイバ母材を加熱線引して上記のシングルモード光ファイバを製造するか、(i)MCVD(Modified Chemical Vaper Deposition)法により、コア部付近のクラッドの一部となるべきガラス管の内面にコア部となるべき多孔質ガラスを形成し、(ii)このガラス管を加熱して中実化するとともに、多孔質ガラスをガラス化して円柱状のガラス部材を作成後、更に、(iii)ジャケット付け後、加熱してガラス化して光ファイバ母材を作成し、(iv)光ファイバ母材を加熱線引して上記のシングルモード光ファイバを製造するか、(i)VAD(Vaper Axial Deposition)法あるいはOVD(Outside Vaper Deposition)法により、コア部分となるべき多孔質ガラスを形成し、(ii)この多孔質ガラスを別工程で作成したコア部付近のクラッドの一部となるべきガラス管に挿入後にコラプスして円柱状のガラス部材を作成後、更に、(iii)ジャケット付け後、加熱してガラス化して光ファイバ母材を作成し、(iv)光ファイバ母材を加熱線引して上記のシングルモード光ファイバを製造している。
【0005】
ここで、ジャケット付け工程の前にクラッドの一部を形成しておくのは、ジャケット付けの際に、内側のガラス部材に不純物(主にH2 O)が浸透することが避けられないため、光が主に伝搬するコア付近にジャケット付けの界面が存在すると伝送損失の原因となるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の1.55μmSM光ファイバではMFDとコア径とが1.5〜2.0倍程度であるため、伝送光が存在し得る領域に伝送損失の原因となる不純物が混入した部分を存在させないために、ジャケット付け工程の前にコア付近のクラッドとなるべき部分を形成している。
【0007】
したがって、VAD法による場合には、内層部コアと成るべき部分の多孔質ガラス、外層コア部と成るべき部分の多孔質ガラス、およびクラッド部のコア部付近の一部と成るべき部分の多孔質ガラスを製造するため、3種のバーナを同時に使用する必要があるが、火炎の干渉が生じるためにプロファイルの制御が難しく、安定して所望のプロフィルを実現できにくい。
【0008】
また、OVD法による場合には、ガラスロッドを回転させながらスス付けを行うので重力の影響を受けやすく、大きなガラス材を得ることが困難である。したがって、クラッドの一部となるべき部分まで同時に作成すると、内側のコア部となるべき部分が細い光ファイバ母材しか作成できないので、1つの光ファイバ母材から線引によって得られるSM光ファイバの長さが短く、生産性が上がらない。
【0009】
また、MCVD法による場合には、ガラス管の内部にガラスを析出されるので、外径に制約が存在する。したがって、OVD法の場合と同様に生産性が上がらない。
【0010】
また、コラプスを用いる方法は、クラッドの一部となるべき部分を作る工程が加わることになるとともに、コア径の大きな光ファイバ母材を製造することは困難であり、生産性が上がらない。
【0011】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、従来の分散シフト型SM光ファイバと同等な伝送特性を有するとともに、生産性の向上が可能なシングルモード光ファイバを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明のシングルモード光ファイバを好適に製造できるシングルモード光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のSM光ファイバは、石英を主材とするSM光ファイバであって、(a)純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値Δn2 であるとともに、第1の外径aを有する第1のコア部と、(b)純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値Δn2 よりも小さな第2の値Δn1 であるとともに、第2の外径bを有する、第1のコア部の周囲に形成された第2のコア部と、(c)純石英に対する比屈折率差の平均が第2の値Δn1 よりも小さな第3の値Δn0 である、第2のコア部の周囲に形成されたクラッド部とを備え、
0.07≦a/b≦0.12 …(1)
なる関係を満たすとともに、第2の外径bがMFDの2.4倍以上であることを特徴とする。
【0014】
請求項1のSM光ファイバは、(1)式の関係を満たすとともに、第2のコアの外径bがモードフィールド径の2.4倍以上なので、従来の分散シフトファイバと同等の伝送特性を実現できる。この光ファイバでは、MFD=8〜11μmであり、従来の分散シフトファイバよりも大きい。
【0015】
一般に、MFDが大きくなると曲げロスが増加するが、a/bを0.12以下としているので、曲げロスが従来の分散シフトファイバと同等となる。また、a/bを小さくするとカットオフ波長が長くなるが、ゼロ分散波長=1560〜1580nm、30mmφ曲げロス≦1dB/m、かつ、MFD≧8μmの条件のもとでは、a/b<0.07ではカットオフ波長が1.6μm以上となる。したがって、a/b≧0.07としている。そして、0.07≦a/b≦0.12とした場合、従来の分散シフトファイバと同等な伝送特性となるように第2のコアの外径bを選ぶと、b/MFD≧2.4となる。
【0016】
請求項1のSM光ファイバでは、第2のコアの外径bは23μm以上となる必要がある。
【0017】
また、光増幅器を使用して長距離伝送を行う場合、伝送光の光パワー密度に比例する自己位相変調や相互位相変調、および光パワー密度の2乗に比例する4光波混合などの非線形現象が光波形を歪ませるため問題となる。請求項1のSM光ファイバによれば、MFDが従来の分散シフトファイバより大きいので、総光パワーが同じ場合には光パワー密度が小さくなるので、この点に関しては有利なものとなる。
【0018】
また、他の光ファイバなどの光部品と光学的に接続するにあたっても、接続位置誤差が同じ場合には接続損失を低減され、この点に関しても有利である。
【0019】
ジャケット付けは、SiをO2 およびH2 とともに吹きつけ、加水分解反応によりSiO2 を析出させることによって行われる。この過程でH2 Oが生成され、ガラスに浸透する。H2 Oが伝送光の伝送領域に達すると、H2 Oによる光の吸収が発生し、伝送損失が増加する。
【0020】
請求項1のSM光ファイバでは、第2のコアの径がMFDの2.4倍以上なので、第2のコアとなるべきガラス部の外側に直接ジャケット付けを行い、第2のコアとなるべきガラス部の外側付近にH2 Oの侵入したとしたとしても、伝送損失が実質的に増加することはない。
【0021】
請求項2のSM光ファイバは、請求項1のSM光ファイバにおいて、第1の値Δn 2 が0.6%以上、かつ、0.95%以下であるとともに、
0.08≦Δn1 /Δn2 ≦0.15
なる関係を満たすことを特徴とする。
【0022】
請求項2のSM光ファイバでは、伝送特性を損なわずに、MFDに対して第2のコアの径bを大きく設定することができるので、コア部の径が大きな光ファイバ母材の作成が可能となり、生産性の上で有利である。
【0023】
比屈折率差のプロファイルは、きれいなステップ型となるとは限らない。こうした場合には、(i)aは、第1のコア部と第2のコア部との境界部であって、比屈折率差が(Δn2 +Δn1 )/2となる部分が形成する形状の径で定義され、(ii)bは、第2のコア部とクラッド部との境界部であって、比屈折率差が(Δn1 +Δn0 )/2となる部分が形成する形状の径で定義される。
【0024】
請求項4のSM光ファイバの製造方法は、(a)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値△n2 であり、第1のコア部となるべき第1のスス体を形成する第1の工程と、(b)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値△n2 よりも小さな第2の値△n1 であり、光ファイバ化後にモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有する第2のコア部となるべき第2のスス体を第1のスス体の周囲に形成する第2の工程と、(c)第2の工程で形成された複合スス体を加熱してガラス化する第3の工程と、(d)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が第2の値△n1 よりも小さな第3の値△n0 であり、クラッド部となるべき第3のスス体を第3の工程で形成されたガラス体の周囲に形成する第4の工程と、(e)第4の工程で形成されたガラス・スス複合体を加熱して第3のスス体をガラス化し、光ファイバ母材を作成する第5の工程と、(f)光ファイバ母材の一端を加熱して線引きする第6の工程とを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項4のSM光ファイバの製造方法はVAD法に属する。この製造方法では、まず、第1および第2の工程で、第1のコア部用のバーナと第2のコア部用のバーナとの2種のバーナのみを使用して複合スス体を形成する。したがって、同時使用のバーナは2種であるので、従来の3種のバーナの場合に比べて火炎干渉の制御が容易であり、所望のプロファイルを安定して実現できる。
【0026】
次に、第3の工程で、第1および第2の工程で形成された複合スス体を加熱してガラス化する。
【0027】
引き続き、第4の工程で、第3の工程で作成されたガラス体の周囲にクラッド部となるべき第3のスス体を形成してジャケット付けを行う。第2の工程で光ファイバ化後に第2のコア部がモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有するように第2のスス体を形成しているので、光伝送部へのH2 Oの混入を考慮する必要が無いので、第4の工程で第2のコア部となるべきガラス部の周囲に直接ジャケット付けを施すことができる。
【0028】
この後、第5の工程で、第4の工程でジャケット付けされたガラス・スス複合体を加熱して光ファイバ母材を作成し、第6の工程でこの光ファイバ母材を加熱線引してSM光ファイバを製造する。
【0029】
請求項5のSM光ファイバの製造方法は、(a)円柱状のガラス棒の周囲に、ガラス化後の純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値△n2 であり、第1のコア部となるべき第1のスス体を形成する第1の工程と、(b)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値△n2 よりも小さな第2の値△n1 であり、光ファイバ化後にモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有する第2のコア部となるべき第2のスス体を第1のスス体の周囲に形成する第2の工程と、(c)ガラス棒を引き抜き、第1のスス体および第2のスス体からなる管状スス体を加熱して中実化し、ガラス化する第3の工程と、(d)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が前記第2の値△n1 よりも小さな第3の値△n0 であり、クラッド部となるべき第3のスス体を第3の工程で形成されたガラス体の周囲に形成する第4の工程と、(e)第4の工程で形成されたガラス・スス複合体を加熱して第3のスス体をガラス化して光ファイバ母材を作成する第5の工程と、(f)光ファイバ母材の一端を加熱して線引きする第6の工程とを備えることを特徴とする。
【0030】
請求項5のSM光ファイバの製造方法はOVD法に属する。この製造方法では、まず、第1および第2の工程で、第1のコアとなるべき第1のスス体と第2のコアとなるべき第2のスス体を形成する。第1および第2の工程では、ガラスロッドを回転させながらスス付けを行うので重力の影響を受けるので複合スス体の外径には限界がある。しかし、従来の分散シフトファイバの製造工程におけるOVD法の場合のように、クラッド部の一部となるべき部分を形成しないので、複合スス体の外径が同一であっても大きなコア部となるべき部分を作成することができる。
【0031】
次に、第3の工程で、ガラス棒を引き抜き、第1および第2の工程で形成された複合スス体を加熱して中実化するとともにガラス化する。
【0032】
引き続き、第4の工程で、第3の工程で作成されたガラス体の周囲にクラッド部となるべき第3のスス体を形成してジャケット付けを行う。第2の工程で光ファイバ化後に第2のコア部がモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有するように第2のスス体を形成しているので、光伝送部へのH2 Oの混入を考慮する必要が無いので、第4の工程で第2のコア部となるべきガラス部の周囲に直接ジャケット付けを施すことができる。
【0033】
この後、第5の工程で、第4の工程でジャケット付けされたガラス・スス複合体を加熱して光ファイバ母材を作成し、この光ファイバ母材を加熱線引してSM光ファイバを製造する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の説明にあたって同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
4光波混合は信号光波長とゼロ分散波長とが離れているほど抑制されるので、光増幅器を使用したシステムでは、ゼロ分散波長を信号光波長の短波長側または長波長側にシフトした分散シフトファイバを用いるのが通例である。以下、実施の形態の説明にあたっては、ゼロ分散波長を信号光波長の長波長側にシフトした場合について説明する。なお、短波長側にシフトした場合も原理的に同様である。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態のSM光ファイバの構成図である。図1に示すように、この光ファイバは、(a)純石英に対する比屈折率差の平均がΔn2 であるとともに、外径aを有する第1のコア部110と、(b)純石英に対する比屈折率差の平均がΔn1 (<Δn2 )であるとともに、外径bを有する、第1のコア部110の周囲に形成された第2のコア部120と、(c)純石英に対する比屈折率差の平均がΔn0 (=0、<Δn1 )である、第2のコア部130の周囲に形成されたクラッド部200とを備える。
【0037】
そして、
0.07≦a/b≦0.12 …(1)
および、
b/MFD≧2.4 …(2)
なる関係を満たす。
【0038】
この光ファイバは、以下のようにして本発明のSM光ファイバの製造方法によって製造される。
【0039】
(第1の製造方法)
図2は、本発明のシングルモード光ファイバの製造方法の第1の実施形態に係る製造方法の工程図である。この製造方法は、VAD法に属する。
【0040】
図2に示すように、まず、バーナ410、420を用いて、(i)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が△n2 であり、第1のコア部110となるべきスス体111と、(ii)ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が△n1 (<△n2 )であり、スス体111の周囲に形成された第2のコア120となるべきスス体121とを形成し、複合スス体311を得る(図2(a)参照)。
【0041】
次に、図2(a)の工程で形成された複合スス体311を加熱して、透明化し、延伸して複合ガラス体312とする(図2(b)、(c)参照)。
【0042】
引き続き、バーナ450を用いて、複合ガラス体312の周囲にガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が△n0 であり、クラッド200となるべきスス体201とを形成し、透明化し、延伸して光ファイバ母材310とする(図2(d)、(e)参照)。
【0043】
こうして得られた光ファイバ母材310の一端を加熱して線引きして本発明の実施形態の光ファイバが製造される(図2(f)参照)。
【0044】
(第2の製造方法)
図3は、本発明のシングルモード光ファイバの製造方法の第2の実施形態に係る製造方法の工程図である。この製造方法は、OVD法に属する。
【0045】
図3に示すように、まず、円柱状のガラス棒500の周囲に、ガラス化後の純石英に対する比屈折率差の平均がΔn2である、第1のコアとなるべきスス体112を形成する(図3(a)参照)。引き続き、ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均がΔn1(<Δn2)であり、第2のコア120となるべきスス体122をスス体112の周囲に形成する(図3(b)参照)。
【0046】
次に、ガラス棒500を引き抜き、スス体112とスス体122とから管状スス体321を得、管状スス体321を加熱して中実化し、透明化し、延伸して複合ガラス体322とする(図3(c)、(d)参照)。
【0047】
引き続き、バーナを用いて、複合ガラス体322の周囲にガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が△n0 であり、クラッド200となるべきスス体202を形成し、透明化し、延伸して光ファイバ母材320とする(図3(e)、(f)参照)。
【0048】
こうして得られた光ファイバ母材320の一端を加熱して線引きして本発明の実施形態の光ファイバが製造される(図3(g)参照)。
【0049】
SM光ファイバでの光伝送では、伝送光の存在する領域はコアの中心部付近に集中しつつも径方向へ広がりを有しており、この広がりの目安がMFDである。本実施形態のSM光ファイバは、ジャケット付けによる不純物(主に、H2 O)が混入する位置が第2のコア部120とクラッド部200との界面であるが、第2のコア部120の外径bはMFDの2.4倍以上なので、不純物が光伝送領域まで混入することは実質的に無いので、不純物による伝送光の吸収は実質的に無い。
【0050】
図4は、上記の製造方法で製造された、Δn2 =0.85%、Δn1 =0.1%、a/b=0.10、ゼロ分散波長=1570nmに設定された、SM光ファイバのb/MFDと1550nmの信号光の伝送損失との関係を示すグラフである。図4から、b/MFD≧2.4では伝送損失が増加しないことが確認される。したがって、本実施形態では、b/MFD≧2.4を採用している。
【0051】
図5は、上記の製造方法で製造された、Δn2 =0.85%、Δn1 =0.1%でゼロ分散波長=1570nmとなるbを選択した場合の、SM光ファイバのa/bとb/MFDとの関係を示すグラフである。図5から、a/b>0.12となると、b/MFD<2.4となり伝送損失が増加することになる。したがって、本実施形態では、a/b≦0.12を採用している。通常、光ファイバの曲げ損失が大きいと、光ケーブル等に加工する際に損失増を起こし、好ましくない。このため、実用的な30mmφの曲げロスが1dB/m以下、ゼロ分散波長1560±40nmのファイバに限定すると、他のΔn2,Δn1の組み合せでもa/b≦0.12が良好範囲となる。
【0052】
また、a/b<0.07ではカットオフ波長が1.6μm以上となるので、本実施形態では、a/b≧0.07を採用している。
【0053】
図6は、上記の製造方法で製造された、Δn1 /Δn2 =0.1、a/b=0.1、ゼロ分散波長=1570nmとなるbを選択した場合の、SM光ファイバのΔn2とb/MFDとの関係を示すグラフであり、図7は、上記の製造方法で製造された、Δn2 =0.85%、a/b=0.1、ゼロ分散波長=1570nmとなるbを選択した場合の、SM光ファイバのΔn1/Δn2 とb/MFDとの関係を示すグラフである。図6から、Δn2 =0.6〜0.95%とするとb/MFDを2.4以上とできること、また、図7から、Δn1/Δn2 =0.08〜0.15とするとb/MFDを2.4以上とできることが確認される。前記の(30mmφ曲げロス)≦1dB/mとゼロ分散波長1560±40μmを条件とした場合、a/b=0.1以外でも、Δn1/Δn2 =0.08〜0.15かつΔn2=0.6〜0.95%のとき、b/MFD≧2.4となる。したがって、両条件を同時に満たすことが、b/MFDを大きくする上で好適である。
【0054】
図8は、Δn2 =0.85%、Δn1 =0.1%、a/b=0.07、0.10、0.12、ゼロ分散波長=1570nmに設定された、SM光ファイバのbとb/MFDとの関係を示すグラフである。a/bがいずれの値であっても、b/MFD≧2.4となるのはb≧23μmの場合であることが確認される。
【0055】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、変形が可能である。例えば、純石英に対するクラッド部の比屈折率差は0ではない値を採用してもよい。また、上記実施形態では屈折率プロファイルを階段型としたが、内層コアが凸状の屈折率分布を有していてもよいし、外層コアが半径方向に傾斜する屈折率分布を有していてもよい。こうした場合には、各部の実効屈折率差を用いれば、上記と同様に取り扱うことができる。
【0056】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、請求項1のSM光ファイバによれば、第1のコア部、第1のコア部の周囲の第2のコア部、第2のコア部の周囲のクラッド部の構成で、第2のコアの外径をモードフィールド径の2.4倍以上としたので、従来の分散シフトファイバの伝送特性を維持しながら、光ファイバ母材の作成にあたってコア径の大きな母材を作成可能であり、生産性の向上が可能となる。
【0057】
また、請求項4および請求項5のシングルモード光ファイバの製造方法によれば、VAD法またはOVD法といった周知の手法を使用してコア部となるべきガラス体を作成後、クラッド部となるべき部分をコア部となるべきガラス体に直接クラッド付けして光ファイバ母材を作成するので、コア径の大きな母材を作成可能であり、請求項1のシングルモード光ファイバを生産性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のシングルモード光ファイバの構成図である。
【図2】本発明のシングルモード光ファイバの製造方法の第1の実施形態に係る製造方法の工程図である。
【図3】本発明のシングルモード光ファイバの製造方法の第2の実施形態に係る製造方法の工程図である。
【図4】SM光ファイバのb/MFDと伝送損失との関係を示すグラフである。
【図5】SM光ファイバのa/bとb/MFDとの関係を示すグラフである。
【図6】SM光ファイバのΔn2 とb/MFDとの関係を示すグラフである。
【図7】SM光ファイバのΔn1 /Δn2 とb/MFDとの関係を示すグラフである。
【図8】SM光ファイバのbとb/MFDとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
110…第1のコア部、120…第2のコア部、200…クラッド部。
Claims (5)
- 石英を主材とするシングルモード光ファイバであって、
純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値Δn2 であるとともに、第1の外径aを有する第1のコア部と、
純石英に対する比屈折率差の平均が前記第1の値Δn2 よりも小さな第2の値Δn1 であるとともに、第2の外径bを有する、前記第1のコア部の周囲に形成された第2のコア部と、
純石英に対する比屈折率差の平均が前記第2の値Δn1 よりも小さな第3の値Δn0 である、前記第2のコア部の周囲に形成されたクラッド部と、
を備え、
0.07≦a/b≦0.12
なる関係を満たすとともに、前記第2の外径bがモードフィールド径の2.4倍以上である、ことを特徴とするシングルモード光ファイバ。 - 前記第1の値Δn 2 が0.6%以上、かつ、0.95%以下であるとともに、
0.08≦Δn1 /Δn2 ≦0.15
なる関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のシングルモード光ファイバ。 - 前記第2の外径bは23μm以上である、ことを特徴とする請求項1記載のシングルモード光ファイバ。
- ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値Δn2 であり、第1のコア部となるべき第1のスス体を形成する第1の工程と、
ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が前記第1の値Δn2 よりも小さな第2の値Δn1 であり、光ファイバ化後にモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有する第2のコア部となるべき第2のスス体を前記第1のスス体の周囲に形成する第2の工程と、
前記第2の工程で形成された複合スス体を加熱してガラス化する第3の工程と、
ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が前記第2の値Δn1 よりも小さな第3の値Δn0 であり、クラッド部となるべき第3のスス体を前記第3の工程で形成されたガラス体の周囲に形成する第4の工程と、
前記第4の工程で形成されたガラス・スス複合体を加熱して前記第3のスス体をガラス化して光ファイバ母材を作成する第5の工程と、
前記光ファイバ母材の一端を加熱して線引きする第6の工程と、
を備えることを特徴とするシングルモード光ファイバの製造方法。 - 円柱状のガラス棒の周囲に、ガラス化後の純石英に対する比屈折率差の平均が第1の値Δn2 であり、第1のコア部となるべき第1のスス体を形成する第1の工程と、
ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が前記第1の値Δn2 よりも小さな第2の値Δn1であり、光ファイバ化後にモードフィールド径の2.4倍以上の外径を有する第2のコア部となるべき第2のスス体を前記第1のスス体の周囲に形成する第2の工程と、
前記ガラス棒を引き抜き、前記第1のスス体および前記第2のスス体からなる管状スス体を加熱して中実化し、ガラス化する第3の工程と、
ガラス化後に純石英に対する比屈折率差の平均が前記第2の値Δn1 よりも小さな第3の値Δn0 であり、クラッド部となるべき第3のスス体を前記第3の工程で形成されたガラス体の周囲に形成する第4の工程と、
前記第4の工程で形成されたガラス・スス複合体を加熱して前記第3のスス体をガラス化して光ファイバ母材を作成する第5の工程と、
前記光ファイバ母材の一端を加熱して線引きする第6の工程と、
を備えることを特徴とするシングルモード光ファイバの製造方法。
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