JP3730636B2 - 分析方法および表示素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を利用して試料を分析する分析方法およびこの分析方法を使用した表示素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、試料を分析するために、蛍光X線分析法が広く利用されている。この蛍光X線分析法は、X線を利用して試料中の元素の定性や定量を行うための分析手法であり、この分析手法によれば、例えば、試料の組成(元素比率)や付着量などを特定することが可能である。
【0003】
図8は、従来の蛍光X線分析法の概要を説明するためのものである。従来の蛍光X線分析法では、基板101上に設けられた試料102を分析するために、まず、X線管103から試料102に、例えば、試料102の膜面に対してほぼ直交する方向から一次X線X1を照射する。そして、試料102から発生した二次X線(蛍光X線)X2を分光結晶104を介して検出器105において検出し、その二次X線X2に基づいてデータ処理装置106において試料102を分析している。これにより、二次X線X2の波長や強度に基づいて、試料102の定性や定量が行われる。
【0004】
この蛍光X線分析法を使用した分析例は、既に数多く知られている。例えば、試料を上下から挟み込むように設けた2つの反射膜(高密度層)を利用し、試料内で一次X線を多重反射させて定在波を発生させることにより、二次X線の強度を高める分析手法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この分析手法では、二次X線の強度が高まるものの、定在波を発生させるために試料の厚さを約0.1nm〜10nmの極薄にし、かつ試料の膜面に対して1°未満の極めて小さい角度(全反射臨界角度=約0.2°)をなすように一次X線を照射しなければならない。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−055841号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、蛍光X線分析を安定的に行うためには、分析が完了するまで試料の安定性を可能な限り維持する必要がある。しかしながら、従来の蛍光X線分析法では、試料中に耐X線性の弱い元素が含まれていると、一次X線の照射に起因して分析完了前に試料がダメージを受けてしまうため、試料を安定的に分析することが困難であるという問題があった。
【0007】
特に、最近では、例えば表示素子の製造工程に蛍光X線分析法が利用されることもあるため、表示素子の品質確保の観点から言っても、蛍光X線分析に関する安定的な分析手法の確立は急務である。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、一次X線の照射に起因して試料がダメージを受けることを抑制し、試料を安定的に分析することが可能な分析方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、本発明の分析方法を使用して表示素子を高精度に管理することが可能な表示素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る分析方法は、金属酸化物または金属窒化物を用いて試料を覆うように保護膜を形成したのち、全反射が生じない照射角度で保護膜越しに試料に一次X線を照射し、試料から発生した二次X線を保護膜越しに検出することにより、試料を分析するようにしたものである。
【0011】
本発明に係る分析方法では、金属酸化物または金属窒化物を用いて形成された保護膜により試料が保護されるため、その試料中に耐X線性の弱い元素が含まれていたとしても、試料が一次X線の照射に起因してダメージを受けにくくなる。
【0012】
本発明に係る表示素子の製造方法は、本発明の分析方法を使用して、表示素子の組成または付着量の少なくとも一方を管理する管理工程を含むようにしたものである。
【0013】
本発明に係る表示素子の製造方法では、本発明の分析方法を使用して表示素子が分析される。これにより、表示素子の組成や付着量が高精度に管理される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る分析方法としての蛍光X線分析法について説明する。図1は本実施の形態に係る蛍光X線分析法の概要を説明するためのものである。
【0016】
この蛍光X線分析法は、耐X線性の弱い元素を含む試料2を分析するために利用されるものであり、試料2を覆うように保護膜10を形成したのち、蛍光X線分析装置20を使用して分析を行うものである。この蛍光X線分析装置20は、X線管3と、分光結晶4と、検出器5と、この検出器5に接続されたデータ処理装置6とを備えている。
【0017】
この蛍光X線分析法では、例えばシリコンウェハなどの基板1上に設けられた試料2を分析するために、X線管3から保護膜10越しに試料2に一次X線X1を照射したのち、試料2から発生した二次X線(蛍光X線)X2を保護膜10越しに検出することにより、試料2を分析する。試料2から発生した二次X線X2は、分光結晶4により分光されたのち、検出器5により検出される。この検出器5により検出された二次X線X2に基づいて、データ処理装置6により試料2が分析される。
【0018】
一次X線X1の照射角度、すなわち保護膜10の膜面と一次X線X1の照射方向とのなす角度ωは、一次X線X1が照射された際に保護膜10において全反射が生じないような角度であり、具体的には約1°〜90°の範囲内である。
【0019】
試料2は、耐X線性の弱い元素を含む化合物であり、具体的には、その耐X線性の弱い元素として硫黄を含む硫化バリウム(BaS)膜である。なお、試料2の厚さは特に限定されない。また、試料2は膜状(例えば、厚さが約15μm未満)に限らず、バルク状(例えば、厚さが15μm以上)であってもよい。さらに、試料2は単層であってもよいし、あるいは多層であってもよい。
【0020】
保護膜10は、一次X線X1から試料2を保護するためのものであり、例えば、耐X線性に優れた金属膜、金属酸化物膜または金属窒化物膜などである。この種の膜材料としては、例えば、金属として貴金属(Au、Pt、Pd)または不動態膜を形成する金属(Al、Ti)、金属酸化物としてIIA族の酸化物(MgO)、IIIA族の酸化物(Y2 3 )、IIIB族の酸化物(Al2 3 、Ga2 3 、In2 3 )、IVA族の酸化物(TiO2 、ZrO2 、HfO2 )、IVB族の酸化物(SiO2 、SnO2 )、VA族の酸化物(Ta2 5 )またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせ、金属窒化物としてIVA族の窒化物(TiN)またはIVB族の窒化物(SiN)が挙げられる。これらの膜材料のうち、例えば、錆発生防止の観点から、酸化しやすい金属よりも酸化しにくい金属酸化物が好ましく、その金属酸化物の中でも、安定性の高い酸化アルミニウム(Al2 3 )や酸化珪素(SiO2 )がより好ましい。この保護膜10は、例えば、蒸着、スパッタリングまたはCVD(Chemical Vapor Deposition )などの既知の成膜技術を利用して形成可能である。
【0021】
保護膜10の厚さT(μm)は、検出器5において検出可能な強度の二次X線X2を生じさせ得る程度であり、例えば、下記の式1の条件を満たす厚さである。特に、I2/I1が0.001未満(I2/I1<0.001)になると、検出器5において二次X線X2を検出しにくくなるため、二次X線X2に基づいて安定的に分析を行う上では、I2/I1が0.001以上(I2/I1≧0.001)であることが好ましい。
【0022】
【式1】
T=−(sinθ/μ)Log(I2/I1),I2/I1≧0.001
(式中、θは保護膜10の膜面と二次X線X2の出射方向とのなす角度(出射角度)、μは保護膜10の線吸収係数(1/μm)、I1は保護膜10を設けない場合の二次X線X2の強度、I2は保護膜10を設けた場合の二次X線X2の強度を表している。)
【0023】
なお、保護膜10の厚さは、一次X線X1から試料2を保護し得る厚さ以上であればよい。具体的には、例えば、保護膜10が酸化アルミニウムにより構成されている場合の厚さは、物理的に試料2を被覆し得る厚さ(約0.48nm)以上であればよく、より現実的には、既存の成膜技術で制御し得る厚さ(約1nm)以上であればよい。また、保護膜10の厚さは、試料2から発生した二次X線X2を保護膜10越しに検出し得る厚さ以下であればよい。具体的には、例えば、試料2が硫化バリウムにより構成され、かつ保護膜10が酸化アルミニウムにより構成されている場合の厚さは、約50μm以下であればよい。
【0024】
本実施の形態に係る蛍光X線分析法では、試料2に保護膜10を形成した上で分析を行うようにしたので、その保護膜10により試料2が保護される。この場合には、試料2に保護膜10を設けないで分析を行っていた従来の蛍光X線分析法と比較して、試料2中に含まれている耐X線性の弱い硫黄元素が一次X線X1の照射に起因して揮発しにくくなり、これにより試料2が分解しにくくなるため、試料2を分析完了時まで維持しやすくなる。したがって、本実施の形態では、一次X線X1の照射に起因して試料2がダメージを受けることを抑制し、試料2を安定的に分析することができる。これにより、従来の蛍光X線分析法と比較して、複数回に渡って分析を行った場合の再現性も得ることができる。
【0025】
特に、本実施の形態では、上記した式1の条件を満たす厚さTとなるように保護膜10を形成すれば、試料2に保護膜10を設けた場合においても、その保護膜10の存在に起因して試料2を分析不能な程度まで二次X線X2の強度が低下することなく、試料2を分析可能な程度の強度を有する二次X線X2が得られる。したがって、この観点においても分析の安定化に寄与することができる。
【0026】
また、本実施の形態では、酸化しにくい金属酸化物を用いて保護膜10を形成すれば、酸化しやすい金属を用いた場合とは異なり、保護膜10が錆びることを防止し、その保護膜10の安定性を高めることができる。この場合には、特に、金属酸化物として、金属元素の酸化数が変化しにくい酸化アルミニウムや酸化珪素を用いれば、保護膜10の安定性をより高めることができる。
【0027】
以上説明した蛍光X線分析法は、表示素子の製造方法に利用可能である。すなわち、上記した硫化バリウムは蛍光材料として広く知られており、その硫化バリウムを蛍光源として備えた表示素子を製造する場合には、上記した蛍光X線分析法を利用すれば、その表示素子の組成や付着量などを分析して検査することが可能になる。
【0028】
図2は本発明の分析方法を使用した表示素子の製造工程の流れを説明するためのものであり、図3は表示素子の製造手順を簡単に説明するためのものである。ここで製造される表示素子は、例えば、無機EL(Electoro Luminescence )素子である。
【0029】
表示素子を製造する際には、図3に示したように、表示素子を形成するための複数の形成領域R1と、この形成領域R1とは別個に設けられ、表示素子を管理するために利用されるダミーパターンを形成するための形成領域R2とが設けられた例えばセラミック製の基板30を準備する。そして、まず、基板30上に、前工程として例えば下部電極を含む電気部品を成膜したのち(図2:ステップS101)、その形成領域R1,R2に、蛍光膜31(硫化バリウム膜)を成膜する(図2;ステップS102)。この蛍光膜31は、単層膜であってもよいし、あるいは積層膜であってもよい。続いて、形成領域R2に形成された蛍光膜31上にのみ保護膜32を成膜することにより、ダミーパターン33を形成する(図2;ステップS103)。
【0030】
続いて、蛍光X線分析法を利用してダミーパターン33を分析し(図2;ステップS104)、その組成や付着量が所望の規格内であるか否かを判定する(図2;ステップS105)。分析結果が規格内である場合には(図2;ステップS105Y)、形成領域R1に形成されている一連の蛍光膜31の組成や付着量が規格内であるものと判断し、後工程として例えば上部電極を含む電気部品を成膜することにより(図2;ステップS106)、表示素子が完成する。この場合には、例えば、ダミーパターン33から保護膜32を除去したのち、そのダミーパターン33の一部を構成していた蛍光膜31を再利用することが可能である。一方、分析結果が規格内でない場合には(図2;ステップS105N)、形成領域R1に形成されてる一連の蛍光膜31の組成や付着量が規格内でないものと判断し、その一連の蛍光膜31を破棄する。
【0031】
この表示素子の製造方法では、本発明の分析方法を使用して表示素子を分析するようにしたので、上記実施の形態において説明した作用と同様の作用により、蛍光X線分析時に蛍光膜31がダメージを受けることを抑制し、その蛍光膜31を安定的に分析することが可能となる。したがって、表示素子の組成および付着量の双方を高精度に管理することができる。もちろん、表示素子の組成および付着量の双方に限らず、組成または付着量のいずれか一方のみを管理することもできる。この場合には、特に、実際に製品として利用する蛍光膜31(形成領域R1に形成された蛍光膜31)とは別にダミーパターン33を設け、その蛍光膜31に代えてダミーパターン33を分析するようにすれば、分析作業に伴う不具合(例えば、保護膜32を設けたことに起因する蛍光膜31の機能不全)を与えることなく、蛍光膜31の組成や付着量を管理することができる。
【0032】
なお、この表示素子の製造方法に関する細部は、上記したように表示素子を高精度に管理することが可能な限り、自由に変更可能である。具体的には、上記では蛍光膜31が形成されている基板30上にダミーパターン33を設けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、この基板30とは異なる他の基板上に設けるようにしてもよい。この「他の基板」は、例えば、基板30と同一の材質(例えばセラミック製)であってもよいし、あるいは異なる材質(例えばシリコン製、すなわちシリコンウェハ)であってもよい。この場合には、特に、ダミーパターン33を形成するために形成領域R2に形成された蛍光膜31のみを覆うように保護膜32を形成する際に、形成領域R1に形成された他の蛍光膜31を保護する必要がなくなる。また、保護膜32の成膜(ダミーパターン33の形成)およびダミーパターン33の分析を後工程の前に行うようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、後工程の後に行うようにしてもよい。
【0033】
【実施例】
次に、本発明に関する具体的な実施例について説明する。
【0034】
まず、本発明の分析方法を使用して蛍光X線分析を行ったところ、図4に示した結果が得られた。図4は、蛍光X線分析後の試料の表面状態を表す写真である。蛍光X線分析を行う際には、シリコンウェハ基板(2inch)上に試料として硫化バリウム膜(34mm×34mm角,300nm厚)を形成したのち、さらに硫化バリウム膜上に保護膜として酸化アルミニウム膜(30nm厚)を形成した。この際、内径30mmのマスクを使用し、一次X線の照射エネルギー(Rh管球)=50kV−50mA、照射時間=100秒間とした。なお、本発明の分析方法と比較するために、本発明の分析方法と同様の条件で従来の分析方法を使用して蛍光X線分析を行ったところ、図5に示した写真が得られた。
【0035】
本発明の分析方法を使用した場合には、図4に示したように、分析後においても試料の膜質が均一であり、試料がダメージを受けている様子は見られなかった。これに対して、従来の分析方法を使用した場合には、図5に示したように、分析後において試料の膜質が不均一になり、試料がダメージを受けている様子が見られた。この膜質変化は、一次X線の照射に起因して耐X線性の弱い硫黄元素が揮発し、試料が分解したためである。この結果から、本発明の分析方法を使用すれば、従来の分析方法を使用する場合とは異なり、一次X線の照射に起因して試料がダメージを受けることを抑制し、試料を安定的に分析し得ることが確認された。
【0036】
次に、硫化バリウム膜に関して、本発明の分析方法を使用して複数回に渡って蛍光X線分析を行ったところ、図6に示した結果が得られた。図6は二次X線強度の分析回数依存性を表しており、「横軸」は分析回数(回)を示し、「縦軸」は硫黄元素に基づく二次X線の相対強度(1回目の二次X線強度に対する2回目以降の二次X線強度の比;%)を示している。図6中の「6A」は本発明の分析方法を使用した場合について示し、「6B」は従来の分析方法を使用した場合について示している。
【0037】
図6に示した結果から明らかなように、蛍光X線分析を6回に渡って行ったところ、本発明および従来のいずれの分析方法を使用した場合においても、硫黄元素に基づく二次X線の相対強度は分析回数を重ねるごとに次第に低下した。この際、本発明の分析方法を使用した場合(6A)には、6回目においても二次X線の相対強度が約97%までしか低下しなかったのに対して、従来の分析方法を使用した場合(6B)には、6回目において二次X線の相対強度が約84%まで低下してしまった。この結果から、本発明の分析方法を使用すれば、従来の分析方法を使用する場合と比較して、分析回数を重ねた際に二次X線の相対強度の低下量が極めて小さくなり、二次X線強度に関して優れた再現性が得られることが確認された。
【0038】
次に、硫化バリウム膜に関して、本発明の分析方法を使用して保護膜の厚さを変化させながら蛍光X線分析を行ったところ、図7に示した結果が得られた。図7は二次X線強度と保護膜の厚さとの相関を表しており、「横軸」は保護膜の厚さ(μm)を示し、「縦軸」は二次X線の相対強度(%)を示している。図7中の「7A」はバリウム元素に基づく二次X線の相対強度について示し、「7B」は硫黄元素に基づく二次X線の相対強度について示している。
【0039】
図7に示した結果から明らかなように、保護膜の厚さを0μm〜50μmの範囲内で変化させたところ、二次X線の相対強度は、バリウム元素および硫黄元素のいずれに関しても、保護膜の厚さが増すにしたがって次第に低下した。この結果から、二次X線の相対強度が漸近的にゼロになるまで蛍光X線分析を行うことが可能であるとすると、硫黄元素に基づく二次X線の相対強度(7B)を分析線として利用する場合には保護膜の厚さが10μm以下であればよく、一方、バリウム元素に基づく二次X線の相対強度(7A)を分析線として利用する場合には保護膜の厚さが50μm以下であればよいことが確認された。
【0040】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。具体的には、例えば、上記実施の形態および実施例では、耐X線性の弱い元素として硫黄を含む試料について本発明を適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、硫黄と同様に耐X線性の弱い他の元素についても本発明を適用可能であることは言うまでもない。この種の元素としては、例えば、フッ素(F)や塩素(Cl)などが挙げられる。
【0041】
また、上記実施の形態および実施例では、本発明を蛍光X線分析法に適用した場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、本発明を蛍光X線分析法以外の他のX線分析法、具体的には放射光を線源としたX線分析法に適用することも可能である。この場合においても、上記実施の形態において説明した効果と同様の効果を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る分析方法によれば、金属酸化物または金属窒化物を用いて試料に保護膜を形成した上でX線分析を行うようにしたので、保護膜により試料が保護される。したがって、一次X線の照射に起因して試料がダメージを受けることを抑制し、試料を安定的に分析することができる。この場合には、金属酸化物を用いて保護膜を形成すれば、保護膜が錆びることを防止し、その保護膜の安定性を高めることができる。特に、より安定性の高い酸化アルミニウムや酸化珪素を用いれば、保護膜の安定性をより高めることができる。
【0043】
また、本発明に係る表示素子の製造方法によれば、本発明の分析方法を使用して表示素子を分析するようにしたので、その表示素子の組成または付着量の少なくとも一方を高精度に管理することができる。
【0044】
また、上記の他、本発明に係る分析方法では、T=−(sinθ/μ)Log(I2/I1)かつI2/I1≧0.001の条件を満たす厚さTとなるように保護膜を形成すれば、試料に保護膜を設けた場合においても、試料を安定的に分析することができる。
【0046】
また、本発明に係る表示素子の製造方法では、表示素子とは別にダミーパターンを設け、このダミーパターンを分析するようにすれば、分析作業に伴う不具合を与えることなく、表示素子を高精度に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る分析方法の概要を説明するための図である。
【図2】表示素子の製造工程の流れを説明するための流れ図である。
【図3】表示素子の製造手順を簡単に説明するための平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る分析方法を使用して蛍光X線分析を行った場合の試料の表面状態を表す写真である。
【図5】従来の分析方法を使用して蛍光X線分析を行った場合の試料の表面状態を表す写真である。
【図6】二次X線強度の分析回数依存性を表す図である。
【図7】二次X線強度と保護膜の厚さとの相関を表す図である。
【図8】従来の分析方法の概要を説明するための図である。
【符号の説明】
1…基板、2…試料、3…X線管、4…分光結晶、5…検出器、6…データ処理装置、10…保護膜、20…蛍光X線分析装置、30…基板、31…蛍光膜、32…保護膜、33…ダミーパターン、R1,R2…形成領域、T…厚さ、X1…一次X線、X2…二次X線、θ…出射角度、ω…照射角度。

Claims (8)

  1. 金属酸化物または金属窒化物を用いて試料を覆うように保護膜を形成したのち、全反射が生じない照射角度で前記保護膜越しに前記試料に一次X線を照射し、前記試料から発生した二次X線を前記保護膜越しに検出することにより、前記試料を分析することを特徴とする分析方法。
  2. 前記照射角度は、前記保護膜の膜面に対して1°以上90°以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の分析方法。
  3. 前記金属酸化物として、IIA族、IIIA族、IIIB族、IVA族、IVB族またはVA族の酸化物のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の分析方法。
  4. T=−(sinθ/μ)Log(I2/I1)かつI2/I1≧0.001(θは保護膜の膜面と二次X線の出射方向とのなす角度、μは保護膜の線吸収係数(1/μm)、I1は保護膜を設けない場合の二次X線の強度、I2は保護膜を設けた場合の二次X線の強度を表している。)の条件を満たす厚さT(μm)となるように前記保護膜を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の分析方法。
  5. 硫黄(S)を含む試料を分析することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の分析方法。
  6. 前記試料として表示素子を分析することを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の分析方法。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の分析方法を使用して、表示素子の組成または付着量の少なくとも一方を管理する管理工程を含むことを特徴とする表示素子の製造方法。
  8. 前記管理工程では、前記表示素子とは別にダミーパターンを設け、このダミーパターンを分析することを特徴とする請求項記載の表示素子の製造方法。
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