JP3730226B2

JP3730226B2 - 喫煙物

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Publication number: JP3730226B2
Application number: JP2003038166A
Authority: JP
Inventors: ピーター・レックス・ホワイト
Original assignee: British American Tobacco Investments Ltd
Current assignee: British American Tobacco Investments Ltd
Priority date: 1992-07-04
Filing date: 2003-02-17
Publication date: 2005-12-21
Anticipated expiration: 2020-12-21
Also published as: JPH0698747A; GB9214267D0; CN1086108A; GR3021910T3; HU216810B; DK0579410T3; ATE145795T1; KR940005240A; ES2095577T3; EP0579410B1; HUT65088A; EP0579410A1; KR100262359B1; US5549125A; CN1054271C; HU9301944D0; DE69306323D1; DE69306323T2; JP2004000148A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は喫煙物に関するものであり、特に喫煙物から発せられる煙りの蒸気相成分を減少させる手段を含むフィルターエレメントを有する喫煙物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
煙りの蒸気相成分を減少させるために煙草煙用フィルターエレメントに炭素または活性炭を用いることが長い間知られている。通常、炭素は２層構造のフィルターに用いられ、この２層のフィルターのうちどちらかに炭素粒子が粘着性のセルロースアセテートトウ（束）上に分散され、このトウは従来の方法で束ねられ２単位長に切断されている。アセテートを含む２単位長の炭素はプレーンセルロースアセテートフィルターエレメントと組み合わされる。この組み合わせられた集合体はプラグ紙に巻かれ、プラグ紙に巻かれたフィルターエレメントは炭素を含まない部分に炭素を含む部分が隣接するように炭素を含む２単位長のフィルターエレメントと２単位長のプレーンセルロースアセテート双方の中間点で切断される。この種のフィルターは活性炭またはＡＡフィルターとして知られている。
【０００３】
英国特許明細書第1087909号に記載されているように、炭素は３層構造のフィルターに用いられ、３層のフィルターのうちいずれかで炭素がセルロースアセテート・トウ内に含まれている。あるいは米国特許第418564号に記載されているようにセルロースアセテートのような煙草煙の濾過材である２つのプラグ間の溝に炭素が自由に保持されている３層構造のフィルターに炭素を用いる場合もある。他の選択肢として、商業的に製せられた炭素フィルターでは英国Filtrona社によるACTフィルター（Active Carbon Thread）が挙げられる。このフィルターでは中央部分の炭素は木綿糸に付着しセルロースアセテートに囲まれている。この炭素が付着した糸部分によって最小の抵抗で煙の大半が中央部分を介して通過する経路が形成される。
【０００４】
これら公知のフィルターの構成の欠点は全てではないが殆どの煙が炭素を含むフィルターエレメントの部分を介して通過することである。
【０００５】
英国特許明細書第1410048号では全ての煙が炭素部分を介して通過する含炭素フィルター付き紙巻煙草に通常生じる炭素の「異味」の問題を解決せんとしたものである。この英国特許ではフィルターは透気孔材からなる隔壁によって離隔された長手方向に延びる部分からなるように製せられており、１部分は煙の流路からなり、別の１部分は炭素を含み、煙に近い所に位置している。前記明細書の第１図を本願の添付図面の第１図（先行技術）として参照する。この図面には２つの同心の管体（５、６）からなるフィルター部分（１）を有する３層フィルターエレメントが示されており、この内、内方の管体（６）は高透気性紙（1000コレスタ単位以上）からなり外方の管体（５）は煙を透過させない巻紙からなる。環状の間隙（７´）には炭素粒子が充填され内方の管体（６）の内部は空洞であり中央に煙のためのチャネル（７）を形成する。環状の間隙（７´）は非透気の環状の仕切り（８）で両端が塞がれている。フィルター部分（１）のどちらかの端部はフィルタープラグ（２）でありそれはセルロースアセテート（３）からなる。吸煙時では、煙は炭素材を介して流れずに煙用チャネル（７）を介して吸引される。揮発性成分は内方管体（６）を介して揮発性成分を吸収する炭素が充填された環状の間隙（７´）内に揮発性成分が発散されることによって減少する。煙の特定の物質が炭素材と接触しないので炭素の「異味」は生じなくなる。
【０００６】
この構造の欠点は十分満足のいく方法で塞がれた環状の間隙の端部を有するフィルターを製することは困難であり且つ高速で多層部材を組み立てるのが困難であるという欠点がある。
【０００７】
さらに蒸気相成分のための従来の炭素を含む３層フィルターは約２０％程度の例えばアセトアルデヒド及びアクロレインを濾過する効果しかない。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は炭素部分を含む煙草煙用フィルターエレメントを提供することであり、この炭素部分は微粒の煙相と接触せず且つフィルターは蒸気相の除去を行う通常より高い濾過効果を有する。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
この目的は換気手段と煙草充填材ロッドと煙草煙用フィルターエレメントからなり、このフィルターエレメントは煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分と該エレメントの長手方向に延びた煙草煙の流路である部分とからなり、この蒸気相成分減少手段からなる部分は、煙草煙の流路である部分の周囲を環状に延びる喫煙物において、この蒸気相成分減少手段は巻き紙に付着しており、換気手段は、喫煙時に煙草煙が煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分から離れて導かれ且つ煙草煙の蒸気相成分が、蒸気相成分を減少させるために蒸気相成分減少手段からなる部分内に放散し得るようにフィルターエレメントの上流端又は上流端の方に位置している。
【００１０】
煙草煙の流路である部分は煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分から離隔されるのが好ましい。
【００１１】
煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段は吸収材を用いるのが有利でありこの吸収材は炭素が適している。当業者に知られている他の材質のものを使用してもよい。
【００１２】
煙草煙の蒸気相を減少させる手段からなる部分は互いに隣接して位置する蒸気相を減少させる手段のポケットから構成されてもよいが長手方向に妨げられないようにするのが好ましい。煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分は実質的にフィルターエレメントの全長を延び且つ煙の流路である部分とともに延びるようにしてもよい。
【００１３】
煙草煙用フィルターエレメントはプラグ紙で互いに結合した別個の部分からなるかあるいは一体型であってもよい。フィルターエレメントの構造がいかなるものであっても煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分は煙草充填材ロッドに隣接してまたは近接したフィルターエレメントの端部にまたはこの端部の方に位置させると有利である。このような構造は２層フィルター構造または一体型フィルターエレメントであってもよい。
【００１４】
選択的に蒸気相成分を減少させる手段からなる部分はフィルターエレメントの中心に向かって位置するようにしてもよい。このような構造では３層フィルター構造または一体型フィルターエレメントになる。
【００１５】
本発明による別個の部分からなるフィルターエレメントで２層のフィルター構造に於いて、蒸気相成分を減少させる手段からなる部分から構成されるフィルターエレメントの部分は多孔性の膜内に巻かれるかまたは巻かれていない煙草煙の濾過材の周囲または前記多孔性膜からなる空洞あるいは実質的に空洞の管状の溝の周囲を環状に配されるのが好ましい。多孔性膜は煙草煙の蒸気相成分だけを透過させるのが好ましい。２及び３層フィルター構造では、濾過用プラグの圧力降下は変えることもできる。
【００１６】
ここで用いる２層及び３層フィルターという用語は２乃至３つの別個の部分からなるフィルターを意味する。しかしながら、本発明のフィルターエレメントは一体型構造のものでも２あるいは３層フィルターエレメントであってもよい。
【００１７】
換気手段はフィルターエレメントと煙草充填材ロッドを結合させるために用いられるチッピング紙の穿孔からなるのが好ましい。
【００１８】
選択的に、換気手段は穿孔プラグ紙と伴に用いられる多孔性チッピング紙を用いて得られるものであっても良い。多孔性チッピング紙はその全域に亘ってあるいは局部的に多孔性であってもよく、その範囲はその下に位置する穿孔プラグ紙によって決められる。
【００１９】
必要であれば、換気手段を煙草充填材ロッドの端部にまたはその付近に設けても良い。換気手段はチッピング紙または煙草充填材に巻かれる紙巻き煙草用巻紙に設けてもよい。
【００２０】
換気手段をフィルターエレメントと煙草充填材ロッドの間に位置する部材の位置に設けても良い。
【００２１】
また換気手段は煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分から離れるように煙を導くために前記部分を介して空気が通過するように設け、蒸気相成分を前記部分内に放散させる。
【００２２】
【実施例】
本発明を添付の図面を参照し、詳述する。
第１図は上述の先行技術を説明するものである。
【００２３】
第２図は３層フィルター（１００）を構成する煙草充填材ロッド（４０）、セルロースアセテート濾過材からなる２つの端末プラグ（２０、３０）と中央部分（９０）からなる紙巻き煙草（１０）を示す。３層フィルター（１００）は多孔性プラグ紙（１１０）に巻かれている。煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分は中央部分（９０）であり、この中央部分はプラグ紙（１１０）に付着した炭素材からなる環状部分と多孔性膜に包まれた心部（６５）からなる。多孔性膜（６０）を用いることは任意である。心部（６５）はセルロースアセテート濾過材からなる。多孔性膜（６０）は煙草煙の蒸気相成分を透過する。３層フィルター（１００）はチッピング紙（５０）によって煙草充填材ロッド（４０）に結合される。チッピング紙（５０）には換気穿孔（５５）の形態の換気手段が設けられている。煙の流路である部分は従って端末プラグ（３０）、心部（６５）及び端末プラグ（２０）を介して延びる。
【００２４】
紙巻き煙草（１０）の３層フィルターは通常上述の英国特許明細書第１４１００４８号に記載の方法で製せられる。
【００２５】
実際の使用で紙巻き煙草が吸引される際、空気は端末プラグ（３０）の穿孔（５５）を介してフィルターエレメント内に吸引される。この流入空気の効果は煙草充填材ロッド（４０）から吸引された煙の周りに空気の外装を形成することである。煙は従ってセルロースアセテートの心部（６５）を介して導かれる。その際、煙草煙の微粒子相は環状部分（７０）内の炭素とは接触しない。蒸気相成分は炭素を含む環状部分（７０）内に放散され、そこで前記成分は炭素に吸収される。煙は炭素を含む環状部分（７０）から離れて流れ、これによって炭素は煙草煙の全ての成分によって汚染されず煙の炭素との接触による炭素の「異味」は生じなくなる。本発明による全ての紙巻き煙草によって達成される蒸気相の減少率は紙巻き煙草の換気手段によって得られる減少率より大きいことが判明した。
【００２６】
例示していないが第２図に示した構造と作用が類似している例として中央部分を有しその心部は空洞で蒸気相透過膜の管体からなっている。煙の流路である部分は従って端末プラグ（３０）の濾過材、心部（６５）の空洞状の溝及び端末プラグ（２０）の濾過材を介して延びる。
【００２７】
第３図に示す紙巻き煙草（１１）は一体型フィルターエレメント（２００）からなる。このフィルターエレメント（２００）は炭素材の環状部分（２７０）が設けられた中央部分に亘って配された煙草煙の濾過材（２２０）からなり前記炭素材はプラグ紙（２１０）の長さに対して横手方向に配された帯片に付着している。チッピング紙（２５０）には換気孔（２５５）が設けられている。
【００２８】
使用に際して、紙巻き煙草（１１）は第１図の紙巻き煙草と同様に作用し、つまり煙はフィルターエレメントの中央に沿って強制的に流れる。
【００２９】
第４図は紙巻き煙草（１２）に２層フィルターエレメント（３００）が設けられた例を示す。セルロースアセテート濾過材の端末プラグ（３２０）は紙巻き煙草（１２）の吸い口端または下流端部に位置する。煙草充填材ロッド（３４０）の当接部分はプラグ紙（３１０）に付着した炭素材の環状部分（３７０）からなる端末部分である。心部（３６５）は蒸気相透過膜からなる管体（３６０）によって形成される空洞の凹部となっている。煙草充填材ロッド（３４０）を結合するチッピング紙（３５０）は吸引時に環状の部分（３７０）の炭素と接触しない煙の流路に沿って煙が流れるように環状部分（３７０）の炭素を介して換気空気を進入させる換気孔（３５５）を有する。蒸気相成分の外方への放散は炭素を含む環状部分（３７０）内に生じ、そこで蒸気相成分は炭素に吸収される。心部（３６５）は必要な場合に濾過材で充填されてもよい。
【００３０】
第５図は第４図に近似した変形例である。プラグ紙（４１０）に付着した炭素材を含む環状部分（４７０）はフィルターエレメント（４００）のセルロースアセテートのような濾過材（４２０）の周囲に巻かれている。フィルターエレメント（４００）は一体型のエレメントである。フィルターエレメント（４００）はチッピング紙（４５０）によって煙草充填材ロッド（４４０）と結合しこのエレメントにはロッド（４４０）とフィルターエレメントの界面にまたは付近に換気孔（４５５）が設けられている。
【００３１】
使用時に於いて煙は換気空気が炭素からなる環状部分を介してフィルターエレメントに進入することによりフィルターエレメント（４００）の中心部分に流れる。換気空気が内方に進入するにも拘らず蒸気相成分の外方への放散は炭素内で生じる。
【００３２】
第６図はプラグ紙（５１０）に巻かれた濾過材からなる心部で構成された一体型フィルターエレメント（５００）を有する紙巻き煙草（１４）を示し、前記プラグ紙の下面全域に亘って炭素材が付着している。フィルターエレメントの長手方向に延びる炭素材からなる部分（５７０）は濾過材（５２０）の心部に対して環状になっている。換気空気はチッピング紙（５５０）に設けられた換気孔（５５５）を介してフィルターエレメントに進入する。換気空気の外装がロッド（５４０）からの煙の周囲に設けられ、これにより煙の炭素との接触が妨げられ外方への環状部分（５７０）内への蒸気相成分の放散が行われる。
【００３３】
第７図の実施例はチッピング紙（６５０）の換気孔（６５５）が煙草充填材ロッド（６４０）とフィルターエレメント（６００）の間の接点または界面の上流部に位置している以外は第５図の実施例と同一である。換気空気の外装はフィルターエレメント（６００）の中心への煙を流入させる。
【００３４】
第８図は煙草充填材ロッド（７４０）とフィルターエレメント（７００）からなる紙巻き煙草を示し、このエレメントはセルロースアセテートの濾過材からなる端末プラグ（７２０）、中央部分（７９０）と通気性材（８００）からなる環状端末部分（７３０）からなり、さらに前記中央部分は炭素材からなる環状部分（７７０）と蒸気相透過膜（７６０）に巻かれたセルロースアセテートの濾過材からなる心部（７６５）を有する。チッピング紙（７５０）の換気孔（７５５）は端末部分（７３０）に位置している。
【００３５】
本発明の紙巻き煙草の効果を定量的に裏付けるために、以下の４種類の紙巻き煙草を比較のため用いた。これら４種類の紙巻き煙草は従来の２４．５ｍｍの円周を有する。さらにこれら４種類の紙巻き煙草はそれぞれ従来のセルロースアセテートフィルターエレメントを有する紙巻き煙草、従来の炭素を含む３層のフィルターエレメントを有する紙巻き煙草、選択的に炭素を含むフィルターエレメントを有する紙巻き煙草そして本発明による紙巻き煙草である。下記の表１は製造者によるフィルターの仕様を示したものである。（カッコ内の数字は圧力降下値の実測値）
【００３６】
【表１】

【００３７】
比較のため、上述のＡＣＴフィルターエレメントを有する２つの紙巻き煙草を加えて前記４種類の紙巻き煙草とした。このＡＣＴフィルターエレメントでは炭素はエレメントの心部を介して延びる糸部に付着して存在する。これら２種類の紙巻き煙草の内１つは他の紙巻き煙草より高い圧力降下を有し、高い圧力降下を有する紙巻き煙草は「Ａｃｔ−ｈｉ」として知られており、もう一方の紙巻き煙草は「Ａｃｔ−ｌｏ」として知られている。
【００３８】
本発明による３種類の紙巻き煙草が製せられた。これらの紙巻き煙草はＡＣＳフィルターエレメントを有し、このエレメントでは炭素は中心部を包囲する帯片として存在する。高圧力降下中央部を有する紙巻き煙草が製せられこれらは「ACS-hi」として知られている。低圧力降下中央部を有する紙巻き煙草が製せられ、これらは「ACS-lo」として知られている。２．５ｍｍの内部直径を有する管体と同心に延びる中央部を有する紙巻き煙草も製せられた。これらの紙巻き煙草は「ACS-チューブ」として知られている。ＡＣＳ型の紙巻き煙草は第２図の実施例に示した構成になっている。
【００３９】
第９図は紙巻き煙草のチップの表面積と圧力降下を棒グラフで示した。紙巻き煙草は通常これらの設計要件に類似するということが判明した。このことから各種の紙巻き煙草のタールの送出量は類似する。また各種紙巻き煙草の炭素活性度も一致し、フィルターエレメントの中心部分を介して流れる煙の量も一致するのでタールの量も一致する。
【００４０】
これら７種類の紙巻き煙草は２秒間に１パフそして１分間を１周期としてその際３５ｃｍ３の容量を吸引する標準機械喫煙状態で喫煙された。非換気紙巻き煙草の主流煙から得られる基本的な煙の送出量を表２に示す。
【００４１】
【表２】

【００４２】
第１０図は非換気紙巻き煙草の煙に含まれるニコチンとタールの量を棒グラフで示したものである。この棒グラフから各種紙巻き煙草の総フィルターエレメント圧力降下が類似していても、ACT及びACS 型の紙巻き煙草のタール及びニコチンの送出量に影響が見られる。ACT及びACS 型の紙巻き煙草のタール及びニコチンの送出量の違いはしかしながら別の要因によるものだと思われる。
【００４３】
さらに７種類の煙草にフィルターエレメントの吸い口端から２０ｍｍの所にチッピング紙にレーザー穿孔を設け、それにより３０％の換気レベルが得られた。これらの穿孔が設けられた紙巻き煙草は標準喫煙状態で喫煙され、これら紙巻き煙草から得られた煙の送出量を表３に示す。
【００４４】
【表３】

【００４５】
第１１図は３０％の換気率を有する紙巻き煙草のニコチンとタールの送出量を棒グラフで示したものである。換気によって煙は各フィルターエレメントの中央部を介して流れる。全ての紙巻き煙草のタールとニコチンの送出量は同様に低いということが明らかになった。
【００４６】
表２及び３が示すように換気及び非換気状態では本発明の紙巻き煙草で得られる送出量は従来のセルロースアセテート及び３層フィルターで得られる送出量と類似している。
【００４７】
主流煙からのアセトアルデヒド及びアクロラインの送出量の測定を非換気及び換気紙巻き煙草で行った。測定の平均値をアセトアルデヒド及びアクロライン双方を組み合わせたものの平均濾過効果として表４に示す。
【００４８】
【表４】

【００４９】
「ＡＣＴ」及び「ＡＣＳ」型のフィルターの濾過性能は従来の３層フィルター及びセルロースアセテートフィルターエレメントによる濾過効果より高いということが判明した。「ＡＣＴ」フィルターエレメントの場合、この高い濾過性能は炭素部分を介して殆どの煙が通過することによるものと思われる。しかしながら、換気による減少率は「ＡＣＴ−ｈｉ」及び「ＡＣＴ−ｌｏ」のフィルターエレメントより「ＡＣＳ−ｈｉ」及び「ＡＣＳ−ｌｏ」フィルターエレメントのほうが高いということが判明した。「ＡＣＴ」フィルターの場合、換気による減少率は単に稀釈作用によるものであると思われる。しかしながら、「ＡＣＳ−ｈｉ」及び「ＡＣＳ−ｌｏ」フィルターエレメントの換気による高減少率は中央部分の軸から外方へ炭素部分を包囲している周辺部への主流煙の放散によるもので、そこで蒸気相の減少が生じる。
【００５０】
総減少率はフィルターのついていない煙草即ち両切り煙草を測定して得られた減少率に基づいたものである。これは濾過及び換気双方によって得られた減少率である。
【００５１】
アセトアルデヒドとアクロラインの効率を非換気フィルターエレメント（フィルター）、換気による減少率（３０％換気）及び総減少率として棒グラフで第１２図に示す。
【００５２】
７つの異なる紙巻き煙草の煙草煙の微粒子及び蒸気相に関する情報と同様に、煙の半揮発成分を調べる事も有用であると思われる。従来これは水と油の分離比（OWP 比）を測定することによって得られる。全ての紙巻き煙草の換気及び非換気でのOWP 比を第１３図に示す。
【００５３】
さらにＯＷＰ走査で検出された化合物の調査を行った。従来の３層フィルターエレメントを有する紙巻き煙草と従来のセルロースアセテートフィルターエレメントを有する紙巻き煙草のＯＷＰ走査を「ＡＣＴ−ｈｉ」紙巻き煙草と「ＡＣＳ−ｈｉ」紙巻き煙草のＯＷＰ走査と比較した。第１４図は４種類の紙巻き煙草のピーク高さの減少率を縦軸に、蒸気相走査の充填塔ガスクロマトグラフィーのピーク番号を横軸にしたプロットである（両切り煙草からピークの高さを比較した）。４つの紙巻き煙草のピーク高度での減少パターンは非換気では類似していることが第１４図から明らかである。
【００５４】
第１５図は第１４図に見られる非換気紙巻き煙草の特定のピーク番号のＯＷＰ走査に亘るピークの高さの減少率を縦軸に、ガスクロマトグラフ走査のピーク番号を横軸にしたプロットである。
【００５５】
しかしながら、第１５図は４つの紙巻き煙草を換気した場合（３０％の換気率）「ＡＣＴ−ｈｉ」、３層及びセルロースアセテートフィルターエレメントのスキャンの低ピーク番号のパターンに於いて明らかに密接な相関関係があるということを示している。「ＡＣＳ」フィルターエレメントもこのようなパターンを示しているがＯＷＰのピークの最大値での減少率はより大きいということが明らかである。ピーク番号７０以上即ちフェノール化合物では、「ＡＣＴ−ｈｉ」と３層フィルターは同じ様に行動し、従来のセルロースアセテートフィルターに見られる行動とはかなり異なる。対照的に、「ＡＣＳ−ｈｉ」フィルター紙巻き煙草ＯＷＰピークの高度はセルロースアセテートの傾向を正確に追従してはいないが、「ＡＣＴ−ｈｉ」及び３層フィルター紙巻き煙草より換気の影響を受けず「ＡＣＴ−ｈｉ」及び３層フィルター紙巻き煙草よりセルロースアセテートのＯＷＰ比に近い。
【００５６】
従って、本発明の紙巻き煙草のアセトアルデヒド及びアクロラインの平均値での総減少率を示したが、この値はＡＣＴフィルターを用いて得られる減少率と類似し、従来の３層フィルターのアセトアルデヒド及びアクロラインの平均値での減少率より著しく大きい減少率である。しかしながら、本発明の紙巻き煙草ＯＷＰピーク高度で示される化合物は高ピーク番号でのセルロースアセテートとより類似しているという点から喫煙者による味覚及び風味という点で紙巻き煙草を設計するうえで十分対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】英国特許明細書第１４１０４０８号の第１図に記載のフィルターエレメントの断面図。
【図２】本発明による３層フィルターからなる紙巻き煙草の断面図。
【図３】本発明による一体型フィルターエレメントからなる紙巻き煙草の断面図。
【図４】本発明による２層フィルターからなる紙巻き煙草の断面図。
【図５】本発明による一体型フィルターエレメントからなる紙巻き煙草の断面図。
【図６】本発明による紙巻き煙草の断面図
【図７】本発明による一体型フィルターエレメントからなる紙巻き煙草の断面図。
【図８】本発明による２つのフィルターと３層フィルター構造の管状部材からなる紙巻き煙草の断面図。
【図９】本発明の紙巻き煙草との比較のために選択された紙巻き煙草のチップの表面積及び圧力降下を示した棒グラフ。
【図１０】図９で用いた紙巻き煙草の非換気状態での煙のニコチンとタールの送出量を示した棒グラフ。
【図１１】図１０で用いた紙巻き煙草の３０％の換気状態での煙のニコチンとタールの送出量を示した棒グラフ。
【図１２】図９で用いた紙巻き煙草のアセトアルデヒドとアクロライン効果の平均値を表した図。
【図１３】図９で用いた紙巻き煙草の水油分割比を表した。
【図１４】図９で用いた紙巻き煙草のうち４種類の紙巻き煙草の非換気状態での蒸気相スキャンの充填塔ガスクロマトグラフを表した。
【図１５】図１４のスキャンのピーク高度のさらなる減少率のプロットを表した。
【符号の説明】
紙巻き煙草：１０、
端末プラグ：２０，３０、
環状部分：７０、
中央部分：９０、
プラグ紙：１１０、
チッピング紙：５０、
心部：６５、
多孔性膜：６０

Claims

換気手段と煙草充填材ロッドと煙草煙用フィルターエレメントとからなり、このフィルターエレメントは煙草煙の蒸気相成分を減少させる手段からなる部分と該エレメントの長手方向に延びた煙草煙の流路である部分とからなり、この蒸気相成分減少手段からなる部分は、煙草煙の流路である部分の周囲を環状に延びる喫煙物において、この蒸気相成分減少手段は巻き紙に付着しており、換気手段は、喫煙時に煙草煙が前記煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分から離れて導かれ且つ煙草煙の蒸気相成分が、前記蒸気相成分を減少させるために前記蒸気相成分減少手段からなる部分内に放散し得るようにフィルターエレメントの上流端又は上流端の方に位置していることを特徴とする喫煙物。
前記煙草煙の流路である部分は前記煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分から離隔していることを特徴とする請求項１記載の喫煙物。
前記煙草煙の蒸気相成分減少手段は吸着性材であることを特徴とする請求項１又は２記載の喫煙物。
前記吸着性材は炭素であることを特徴とする請求項３記載の喫煙物。
前記炭素は活性炭であることを特徴とする請求項４記載の喫煙物。
前記煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分は実質的にフィルターエレメントの全長に亘って延びていることを特徴とする請求項１乃至５いずれか１項記載の喫煙物。
前記煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分は前記煙草充填材ロッドに隣接または近接する前記フィルターエレメントの端部またはこの端部側に位置することを特徴とする請求項1乃至６いずれか１項記載の喫煙物。
前記煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分は前記フィルターエレメントの中央に向かって位置することを特徴とする請求項１乃至６いずれか１項記載の喫煙物。
前記煙草煙用フィルターエレメントはプラグ紙で結合した別個の部分からなることを特徴とする請求項１乃至８いずれか１項記載の喫煙物。
前記煙草用フィルターエレメントは一体型であることを特徴とする請求項１乃至８いずれか１項記載の喫煙物。
前記換気手段は煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分から煙が離れて流れるように構成されていることを特徴とする請求項１乃至１０いずれか１項記載の喫煙物。
前記換気手段は空気が煙草煙の蒸気相成分減少手段からなる部分を介して、煙を前記部分から離れるように導くために通過し、同時に前記部分に蒸気相成分を放散させることを特徴とする請求項６記載の喫煙物。